Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「TONKIN -The First Indochina War-」(LEGION WARGAMES)を対戦する(1)ゲームシステム

第二次世界大戦直後に起こったフランスに対するベトナム独立戦争である第一次インドシナ戦争を扱った、「TONKIN -The First Indochina War-」(LEGION WARGAMES)を対戦しました。

Box cover

 

第一次インドシナ戦争といえば終盤1954年に発生したディエンビエンフーの戦いが有名ですが、戦争は1946年から1954年とかなりの長期間に渡っています。

本ゲームはベトナム(ベトミン*1)がそれまでのゲリラ戦主体の戦闘から、組織だった部隊を投入しはじめた時期にあたる1950年10月から、戦争の終結までを扱っています。

マップは北ベトナム全域、北は中国、西はラオス、東はトンキン湾までをカバーしています。戦争中、ベトミンは中国から支援を受けていました*2。またベトナム南部は戦争途中にベトナム国として分離独立しており、戦場としては登場しません。
ちなみにディエンビエンフーは西側のラオス国境近くの山岳地帯に位置しています。

1ターン=1ヶ月、ただし雨季(6~9月)については1ターン=2ヶ月からなっているため、1年は10ターンで表されます。

ユニットの単位は、大隊~連隊~師団単位。

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ゲームシステム

勝利条件

ポイント制。フランスが得点するとポイントが追加され、ベトミンの場合はポイントが下がるというシーソー方式です。

得点になるのはポイントがついた拠点ヘックス(都市・町・村)の占拠、部隊の除去、支持を受ける都市・町・村の数が一定数を超えるといった条件によりポイントが増減します。

他にサドンデス条件として、ベトミンによるハノイの占領、フランス軍によるベトミン司令部(ユニットのイラストでは、ホー・チ・ミンを表しているのでしょう)の除去があります。

 

ゲームの手順(ターンの内容)

  1. 補充&増援フェイズ
  2. ベトミン移動フェイズ
  3. フランス遠征軍移動フェイズ
  4. 減衰フェイズ
  5. 作戦フェイズ
  6. 補給チェックフェイズ

 

作戦フェイズ

ゲーム進行の中核は作戦フェイズになります。
両プレイヤーは基本、ターン毎に10作戦ポイントを与えられます。作戦ポイントを使って移動(移動フェイズでの移動とは別に実施可能)や攻撃・砲撃、また部隊の回復や道路の破壊・修復・構築といったオペレーションを実施します。自分の手番の中で一度に使うことができる作戦ポイントの数はダイスで決めます。決められた数の範囲の中で1個~複数個のオペレーションを実施すると手番が相手側に交代します。相互に作戦ポイントを消費して両軍がそれぞれ10ポイント使い切るとターンは終了します。*3

作戦ポイントを使って実施するオペレーションですが、一部のオペレーションを除き、作戦ポイントがある限り、ひとつの作戦フェイズの間に同じユニットが複数回実施することができます。例えば一度に実施できるオペレーションが3であった場合、ある特定ユニットが3回戦闘を行うこともできれば、移動-攻撃-回復と3種類のオペレーションを実施することもできます*4。もちろん1回毎、異なるユニットが異なるオペレーションを実施することも可能です。

https://boardgamegeek.com/thread/1309643/activation-options

1ヶ月というターンの長さを考慮すれば妥当とも言えるシステムなのですが、場合によれば特定のユニットや特定の場所で集中的に移動や戦闘が行われることができることになるなどかなりプレイに影響する仕様です。

 

SDユニット(Supply Dump:補給集積所)

f:id:yuishika:20210527124430p:plain SDユニットの存在も特徴的です。
SDユニットは移動できる補給源という性格の他、作戦や攻撃の発動により消費される(除去される)物資そのものも表しています。

両軍は各ターン、SDユニットを1~2個受領します。さきほど紹介した作戦フェイズに作戦ポイントを受領するためにはマップ上に存在するSDユニットをうちひとつを「使用状態」にする必要があります。さらに攻撃や砲撃のオペレーションを実施するためには、実施するユニットの3ヘックス以内に「使用状態」のSDユニットが存在する必要があります。「使用状態」のSDユニットは作戦フェイズ終了時に除去されます。

「3ヘックス以内」という距離の制約があるため、作戦フェイズに攻撃を発起するにあたっては前線近くまでSDユニットを移動または輸送する必要があるのです。

似たような概念として、MMP社のOCS(Operation Combat Series)ではSP(Supply Point:補給ポイント)がありました。SPは補給物資を表し、前線近くまで運搬し一定範囲内で発起される攻撃(防御)や砲撃時に消費されます。本ゲームにおけるSDは、OCSにおけるSPに補給源としての役割が付加されたものともいえるでしょう。

 

補給

このゲームでは補給源ヘックスから個々の部隊ユニットがいるヘックスまでに引くことができる補給線は基本3ヘックス(!)に限定されます。

補給源になりえるヘックスはそれぞれの陣営を支持する都市/町/村などがあるのですが、補給線の長さが短いため都市/町/村から引く補給線では戦域を全くカバーできずに、補給源としての役割もあるSDユニットや陣地(Trench:オペレーションとしてSDを消費して構築する必要があります)を部隊を配置している場所に点在させる必要があります。先のとおり、SDユニット自体が戦闘を行ったりすることで消費(除去)されることを考慮すると、補給の扱いもかなり慎重になる必要があります。

 

両軍の特徴

少数精鋭で都市部/平地部(紅河デルタ地帯)を中心に活動を行ったフランス軍と、ジャングルや山岳地帯を中心に活動を行ったベトミンという対照的な軍勢の特徴を表すような各種ルールが用意されています。

フランス軍

f:id:yuishika:20210527124557p:plain 当時のフランス軍の状況を反映して、正規軍の他、フランス外人部隊、植民地部隊(モロッコインドシナベトナムラオスセネガルアルジェリア・・・)から成っています。エリート部隊として多くの落下傘兵部隊が登場します。

増援表にある部隊を得るためにはユニット毎にVPポイントを消費する必要があります。増援を得たくても、勝利ポイントと相談という状況なのです。*5
またフランス軍は本国国内世論(反戦意識や本国軍の出征に否定的な世論動向)や世界情勢の変化(他の植民地における治安悪化)により強制的に一部部隊の撤退を迫られることもあります。

フランス軍ユニットは森林(ジャングル)と山岳ヘックスにZoCが及びません。
これは非常に危険な状況を生みます。マップ上の6割以上の面積を占めるジャングル(上記のマップ写真参照。緑色のヘックスがジャングル)において、ベトミンの部隊ユニットはフランス軍部隊がZoCを持たないことをいいことに、自由自在に動き回ることができるのです。後述しますが、ベトミンはジャングルの中での必要移動力がフランス軍に比べ少なく、さらにフランス軍が周囲のヘックスにZoCを持たないため、移動力が二倍になるという「ダブル移動」を自由に使えることになります。フランス軍歩兵ユニットが道路外のジャングルヘックスでは1回に1ヘックスしか移動できない一方でベトミン部隊は3~4ヘックス移動できるという状態になることもあります。「赤い彗星」状態でジャングルを舞台にベトミン兵が跳梁跋扈するのです。

フランス軍のSDユニットは自ら移動できないため、トラック、海上輸送、河川輸送、空輸などを用いて前線まで移動させる必要があります。ただしトラック移動は使用条件と移動距離に制約があるため、僻地においてはトラック輸送ではなく空輸を併用していく必要がでてきます。
またトラック輸送は道路上しか通すことができないため、ベトミンが攻撃手段としてオペレーションのひとつである「道路破壊」を多用するようになると地上の運搬ルートそのものがあちこちで切断されることになり、これもまたフランス軍にとって頭が痛い状況になってきます。輸送路自体が確保できなくなってくるのです。
カバー手段としては空輸がありますが、空輸は輸送力が限定される点と目的地に空港があるか、空中投下のための平地が必要となる点が制約になってきます。

近代的軍隊であるフランス軍固有のオペレーションとして航空支援、艦砲射撃を利用可能です。
冒頭に書いたようにフランス軍は、様々な出自の兵から成るのとあわせ、それぞれ特別ルールを持った、河川部隊や自動車化部隊など特殊な部隊が色々と登場します。

ベトミン

f:id:yuishika:20210527124625p:plain 自国の独立を望んだベトナム人からなるベトミンは部隊の補充が楽です。どこかしこで補充兵がまさに湧いてきます。ステップロス程度の損害であれば、すぐに回復させることが可能です。

荒地とジャングルヘックスにおいて必要移動力が小さく、またフランス軍の項目で書いたとおりフランス軍のZoCが及ばないことから「ダブル移動」を駆使してかなり自由に動き回ることができます。

ジャングルの中ではベトミンは混乱状態に陥る可能性が小さいなど、まさにジャングルはベトミンの独擅場になります。
逆に平地に下手に踊り出ると、フランス軍の強力なオーバーラン攻撃を受ける懸念があります。

ベトミンのSDユニットは自ら徒歩ユニットとして移動できます。これによりジャングルの道なき道も超えて移動させることができます。トラック輸送も使えるのですが数がほとんどないです。

オペレーションのひとつとして「道路破壊」と「道路構築」ができます。「道路破壊」はトラック輸送に頼るフランス軍の移動ルートを遮ることができ、非常に嫌らしい攻撃ができることになります。
「道路構築」は道なき道を超える輸送を楽にするための手段になります。イメージ的にはディエンビエンフーのような山奥の拠点への攻撃に使ったりするのかとは思います。

戦闘時に「ボルシェビキ精神(Bolshevik Sprit)」を宣言すると部隊は必ず損害を被ることと引き換えに戦闘解決時に1d6(最大値は3)分のダイス修正値を得ることができます。非常に強力です。

部隊としては歩兵部隊が多いのですが、ディエンビエンフーなどで勇名を馳せた対空砲がユニット化しており、航空支援、空輸、空中投下に対して妨害をすることができます。

(つづく)

 

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

*1:ベトミン(Việt Minh/ 越盟)、正式名称ベトナム独立同盟会(Việt Nam Ðộc Lập Ðồng Minh Hội/ 越南獨立同盟會)は、1941年5月19日に正式に結成され、フランス植民地からの独立を求め第一次インドシナ戦争を戦ったベトナム独立運動組織。

なおベトナム戦争で登場するベトコンは別の組織になります。

ベトコン(Việt Cộng / 越共):ベトナム戦争中に南ベトナムで組織された民兵組織。正式名称は南ベトナム解放民族戦線
ベトコンは南ベトナムの体制側が「ベトナム・コンサン(Việt Nam Cộng sản / 越南共産 = 共産主義ベトナム)」を略して呼び始めた蔑称が由来。南ベトナムを支援していたアメリカ合衆国もこれに倣ってVietcongと呼んでおり、日本でも報道経由でこの名称が定着した。
北ベトナム軍(ベトナム人民軍)および、ソビエト連邦中華人民共和国の支援を受けてサイゴン政権及びアメリカ軍などと戦った。

*2:このためベトミンの補給源はフランス軍には手が出せない中国国内にあります

*3:さきに10作戦ポイントを使い切った場合、残りは相手が作戦ポイントをまとめて使用できるようになるため、どう使っていくかは相手との駆け引きになります。

*4:戦闘を行った際には攻撃側・防御側双方とは「混乱チェック」が強制されるため無制限に攻撃を続けられる訳ではありません。他にも各オペレーションについては発動条件や制約条件があります。

*5:ベトナム戦争を題材にしたCOINゲーム「FIRE IN THE LAKE」(GMT)あたりのアメリカ軍と同じ状況ですね。

「'65」(Flying Pig Games)を対戦する(2)

「'65: Squad-Level Combat in the Jungle of Vietnum」(Flying Pig Games)を対戦しました。ベトナム戦争における分隊レベルの戦闘を扱った戦術級ゲームです。

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yuishika.hatenablog.com

 

 

前記事への追加

ゲームスケールについて

f:id:yuishika:20210520151442p:plain ゲームスケールは明確には記載されていません。ボックス裏に書いてあったりするのですが未確認です。歩兵ユニットの射程距離などから推察すると、1ヘックス=50メートル程度と戦術級で標準的なスケールではないかと思われます。
時間スケールも不明ですが、まぁこれも他の戦術級と同等とすると1ターン=数分といったところでしょうか。インパルス制で1ターンに実施できるインパルスの数は不定ですが、個々のユニットは1ターンに1回のみ活動できることからすると妥当なところではないでしょうか。

アメリカ軍とベトコンまたは北ベトナム軍の特徴について

f:id:yuishika:20210520151805p:plain ユニットに表示された数字だけを見るとアメリカ兵と、ベトコン・北ベトナム兵はあまり差がないように見えます。
通常の小銃装備の分隊の火力では前者が2で、後者は1ではあるのですが。
ジャングルにいる場合、ベトコン・北ベトナム軍はアメリカ軍ユニットに比べ、大きい地形効果を得ることができます。

こうした数値は攻撃判定の際に引くことができるカードの枚数に跳ねてきますので、たった1の違いでも影響は少なくありません。

数値以外での要素としては、ユニットに表示された「能力」が様々異なります。例えばアメリカの小銃分隊グレネードランチャーを装備しているとされており、カードによってかなり頻繁に火力を増強させることができます。前回記事では迫撃砲は登場しないと書きましたが、グレネードランチャー装備として近接火力の差がでていました。もう一方のベトコン・北ベトナム兵の場合は白兵戦の際に用いる「強襲」という能力を持っています。 

予備フェイズについて

f:id:yuishika:20210520152116p:plain 前回記事ではそのターンアクションを行わなかったユニットが移動できるとさらりと紹介しましたが、けっこうクセがあるルールだと感じています。

敵ユニットから3ヘックス以内にいるユニットは対象外だったり、移動する場合も敵ユニットから3ヘックス以内にはいったところでストップしなければならないという制約はあるものの、この予備フェイズでの移動にはカードは不要であるため、移動できるユニットはすべて一斉に移動できることになるし、また移動途中に臨機射撃を受けません。
インパルスアクション中での活動をわざと控えめしておいて、この予備フェイズでいっせいに移動させるという手もありえます。

臨機射撃を受けないため、相手のLOS内の開豁地を悠々と移動させることができます。徒歩ユニットはまだ移動力が小さいため良いのですが、車輌は移動力があるため、予備フェイズの間に全く別の場所に移動して配置を変えることができることになります。正面に見えていた敵車輌が予備フェイズに移動して、いきなり側面に位置することになるとか、けっこう局面が変わりますよね。

 

プレイ

シナリオ2: By the Belt Buckle

お試しとしてシナリオ2をプレイ。
ベトコン(青色ユニット)は、マップ奥側の端からユニットを突破させるか、ゲーム終了時に一定数のユニットをアメリカ軍(緑色ユニット)がいるマップに存在させれば勝利。

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ベトコンは最初、手札として得た「支援砲撃」を皮切りにアメリカ軍の右翼に圧力をかけ一部はアメリカ兵がいるヘックスにまで突入する。後続が続かなかったため撃退され、アメリカ軍の回復も早く戦線は崩せなかった(このあたりは最初だったので、お試しで攻撃をした部分もあったが)。

その後、アメリカ軍はシナリオ特別ルールで認められた「支援砲撃」を連続的に用いベトコンの気勢を削ごうとしたが、これはベトコンが得意の地形であるジャングルに籠もってやりすごしたため、空振りとなった。その後、両者は開豁地ヘックスを挟んだまま射撃の応酬を繰り広げた。
終盤近く予備フェイズにベトコンは全軍を持ってスタックを崩し、1ユニット毎に”ばらばらとなって”前進を始めた。アメリカ軍はこの”飽和突撃”に対応できず射撃戦の後、ベトコンユニットがアメリカ軍が守るマップに一定数生き残ったことにより、得点差によりベトコンの勝利となった。

最後に”飽和突撃”があるのを予想すると、アメリカ軍は拠点防御を行うのではなく、ゲームの早いうちから積極的にベトコンユニットの排除に務めるべきであったという反省。

 

シナリオ4:Clear(掃討)

アメリカ軍による掃討作戦を扱った作品。
アメリカ軍は、ジャングルがあるマップ内にいる北ベトナム軍を中央のマップからすべて排除するか、一定個数(9個)以上の同ユニットを除去すれば勝利。

車輌としてアメリカ軍にM48パットン 1両、M113 4両、北ベトナム軍にPT76 3両が登場。
全7ターン。

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シナリオ4初期状態。
北ベトナム軍が広く展開しているのに対し、アメリカ軍は兵員輸送装甲車M113の乗ったままの兵も多く、部隊は集結して配置。
北ベトナムは両翼に対装甲攻撃力能力があるRPG班、要所に機関銃分隊を配置。
(後にRPGは、目標車輌に対して1ヘックス以内、最低でも2ヘックスまで近づかないと命中が難しいとわかる。ASLにおけるパンツァーファウストと同等といったところ)。

北ベトナム軍はアメリカ軍の歩兵に射撃を集中し、着実に1個ずつ減らしていく。アメリカ軍は兵員輸送車の機銃も加え北ベトナム軍の拠点を攻撃するが、ジャングルにこもった彼らはしぶとく(地形修正効果2は大きい)耐える。


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第3ターン、北ベトナム軍の増援としてPT76 3両が登場した。
PT76は砲塔装備の兵員輸送装甲車だが、M113に比べると世代が新しいため、武装が強力(76ミリ砲装備!)で、機銃装備しかないM113クラスの装甲車が相手なら凌駕できるだけの対戦車戦闘力を持つ。榴散弾を装備しているため対歩兵戦闘にもよいという優秀車輌。ただ90ミリ砲を装備し、主力戦車として装甲もあるM48相手には手も足もでないだろう。

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アメリカ軍は火力にものを言わせて積極的に北ベトナム兵の除去を試みるが、すでに遅く勝利条件を満たすことはは叶わなかった。 
なお最終盤、車輌同士の戦闘で、M113が1両、PT76が1両失われた。

北ベトナム軍は最終盤、危うくなると背後のジャングルに逃げ込むという手があるため、バランス的には北ベトナム軍有利に見える。 

 

感想

シンプルなルールで予想以上に楽しめました。

ゲームシステムについて

f:id:yuishika:20210520223428p:plain マップ上から高度の要素をなくした事で、視界判定(LOS判定)がかなり簡単になっているように感じます。士気チェックや指揮官が必要となる要素もありません。

潰走ルール*1がないため損害を受け動揺状態となったユニットは頻繁に敵の面前に取り残されます。相手方に近すぎるため、予備フェイズでの移動は不可能となるし、またインパルスアクションで移動しようとすると敵がすかさず迎撃します。 

ユニット上に記載された「能力(特殊能力)」のシンボルマークがわかりづらく、使いこなすのはこのゲームのポイントになりそうです。

また予備フェイズが曲者なのは前述の通りです。

f:id:yuishika:20210520223650p:plain シナリオの舞台となる戦場は広くないため、ASLのように主攻・助攻といった複数の攻撃ラインをもった戦闘といった複雑な展開にはなりません。
1ユニットずつ移動させ、相手の臨機射撃カードを消費させ、切れたところで本格的に前進させるといった他の戦術級ゲームと同様のアプローチができそうです。

インパルスアクションの際には最大4枚のカードしか手元にないため、射撃をしたい時に「FIRE」カードがない、移動したい時に「MOVE」カードがないという状況が頻繁に起きます。このあたりカードドリブンゲームらしい面白さといえるでしょう。

プレイ時間は慣れれば1~2時間で収めることができるのではないでしょうか。 

次回はより大規模なシナリオ、またはヘリコプターが登場するシナリオなどに挑戦してみたいです。

 

おまけ 

同じベトナム戦争を扱った戦術級ゲーム。
ユニット規模は同じか、または「FRONT TOWARD ENEMY」のほうが小さいくらいだが、AARを読むと本ゲームとはかなり雰囲気が異なる印象だ。どちらかというと「FRONT TOWARD ENEMY」のほうがベトナム戦争っぽい印象がする。

 

(了)

  

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*1:士気崩壊を起こした部隊が敵から離れるように強制的に退却させられるルール。例えばASLでは射撃を受け損害を被ったユニットは潰走フェイズで敵から離れた遮蔽物のあるヘックスに強制的に移動する

「'65」(Flying Pig Games)を対戦する(1)

「'65: Squad-Level Combat in the Jungle of Vietnum」(Flying Pig Games)を対戦しました。副題通りベトナム戦争における分隊レベルの戦闘を扱った戦術級ゲームです。デザイナーは、「Old School Tactical」と同じMark.H.Walkerです。

Box Cover

 

 

Mark.H.Walkerによる戦術級ゲームは、「Old School Tactical」シリーズを以前紹介しています。

yuishika.hatenablog.com

 

またベトナムにおける戦術級ゲームとしては、「Front Toward Enemy」(MMP)をプレイしていますね。yuishika.hatenablog.com

 

 

ゲームの内容

ユニット

歩兵は基本、分隊単位(RPGチームなど一部は班)。または指揮官や狙撃兵などはヒーローとして個人単位でユニット化されています。車両、ヘリコプターは1両・1機単位です。

小火器は分隊やチームの装備兵器として能力に組み込まれていますので、小銃装備の分隊や機関銃分隊RPGチームなどが登場します。火砲は盤外からの支援砲撃として登場し、戦車砲迫撃砲はありません。

(訂正)アメリカ軍にM40無反動砲(対戦車目的)が登場します。また迫撃砲はないですが、アメリカ軍の小銃装備の分隊グレネードランチャーを装備しており射撃に用いることができます。

 

基本的なゲームシステム

カード上に記載されたアクションを交互に行うというカードドリブンでゲームは進みます。イニシアティブ、攻撃結果、命中や損害といった各種判定は全てカード上に記載された数値や結果によって処理されるため、ゲーム中、ダイスは用いません。

 

ゲームの手順 

カード4枚が配られ、プレイヤーはイニシアティブ決定のためカードを選びます。
イニシアティブをとったプレイヤーが先攻となり、カードに従い交互にアクションを実施します。カードはインパルス毎に補充され、基本常に4枚手元にあることになります。途中、戦闘等が発生すると判定のためカードをドローし、決定します。

一連の処理の中で、「End of Turn」というカードがドローされ、さらに同カードが一定枚数(シナリオによって異なるが4枚程度)に達した時点でそのターンのインパルスアクションは終了します。

予備フェイズとして、ここまでアクションを行わなかったユニットが移動を行いターン終了となります。またここでカードは1枚を残し残りは捨てます。

 

戦闘解決

非装甲目標に関する処理

ユニットの攻撃力、射程による減衰、カードのアクションによる増減、防御側ヘックスの地形効果などなどを加減してでてきた数値が攻撃判定を行うカードのドロー枚数となります。カードを引き、その中から”HIT”が表示されたカード枚数が防御側に与えた損害になります。通常の歩兵ユニットはまず「動揺」状態となり、その後「ステップロス」さらに除去となります。

「動揺」状態のユニットはカードによって回復します。士気や練度といった概念はありません。

装甲目標に関する処理

命中判定ー破壊判定の2段階で実施します。

彼我の距離を基準の数値として、攻撃側の命中修正、防御側のサイズ修正、地形修正、カードによる修正などを増減し、命中判定値を計算します。カードを1枚引き、カードにある命中判定の数値が命中判定値以上であれば命中となります。

命中すると破壊判定となり、こちらも同じ様な操作、攻撃側の対装甲攻撃力、防御側の装甲値、他の要素から破壊判定値を導出し、カードの数値を用いて破壊判定を行います。なお車輌は前面と側面/背面で防御力が異なります。

 

その他の戦闘関係ルール

臨機射撃

射撃を行うことができるリアクションカードを持っている場合、実施できます。
プレイした印象では、なかなかタイミングよく「射撃」を行うことができる「リアクションカード」を持っていることがないように感じました。

支援砲撃(盤外砲撃)

カードアクションにより実施されます。全カードのうち1枚だけしかないレアカードですので、引いたらすぐに使いたくなります。歩兵目標に対して強力です。

強襲戦闘(白兵戦)

「強襲」能力を持つユニットが、目標ヘックスに移動アクションを行うことで発生します。戦闘解決は相互に同時に射撃を行ったとして解決します。

その他戦闘

クリティカルヒット、全力射撃、側面射撃、Ambushといった戦場でのアクシデントやボーナスもすべてカードで表現されています。

 

地形とLOS

空中にいるヘリコプターを除き、高度の概念はありません。
ベトナムの地形らしく、ジャングル、クナイ、茂みといった複数の地形が登場します。
マップのヘックスが大きく、地形のグラフィックもはっきり描かれているため、LOS判定がしやすいです。なおASLのようにLOS判定=射撃実施とはみなされませんので、好きなだけLOS判定をしてよいです。

BOG(走行不能)判定がないため、車輌はずんずんジャングルの中にはいっていくことが可能です(必要移動力が大きいため、効率的とは言えない)。

マップは美しいです。上記の通り地形による高度はありませんので、平坦な戦場になっています。
「Old School Tactical」では1枚の大きなハードマップの一部を使うことでシナリオの戦場となっていましたが、本ゲームでは、ASLのように小型マップをシナリオの設定にあわせて組み合わせることで、戦場を表すシステムになっています。

 

能力(特別能力)

このゲームが特徴的なのは、ユニット面について単純に攻撃力、移動力といった数値データが記載しているだけではなく、細かなシンボルマークが複数種類表示されていることです。

これはユニット毎だったりユニット種類毎の特徴的な能力を表しており、カードと組み合わせることで多くのバリエーションを生み出し、このゲームの面白さにつながっているように感じます。

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ユニットの左辺中央部の四角のシンボル(複数並んでいるものもあり)や、下辺中央部の丸印のシンボルが能力(特殊能力)を表しています。
例えば、上記図内で右下にいるライフル銃を構えた”CHU”という単独兵ユニットには左辺中央分に縦に3種類の四角のシンボル(上から青、紫、エンジ色)が並んでいますがこれはそれぞれ、「困難目標」(損害を受けにくい)、「狙撃兵」(攻撃を行う時に色々特典がある)、「移動戦闘不可」(カードによって可能となる移動後すぐに戦闘というアクションをとれない)という特徴を表しています。

 

カード

インパルスフェイズには、インパルス毎に合計4枚になるように補充されます。ターンの終わりには1枚を残し残りは捨てます。
このようにカードの入れ替わりが激しいため、カードドリブンシステムのゲームにありがちなカードのカウンティングはあまり意味がないようになっています。

カードに記載されている行動には、アクション、支援、リアクションがあり、アクションは上で説明したインパルスにおける活動、支援は戦闘時などに通常のアクションに付加する形で追加され、効果が適用されるカードになります。リアクションは相手が出したカードに対応して出すことができるカードになります。「臨機射撃」「(突然の)遮蔽物」といった相手の行動に対するカウンターになるカードが含まれます。

 

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カードはレギュラーサイズですが、ユニットは歩兵ユニットも車輌などのユニットも大きいです。目測ASLユニット比 1.5~1.8程度ありそうです。

 

(つづく)

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

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「Monty's Gamble」(MMP)を対戦する

マーケット・ガーデン作戦をエリアインパルスシステムで描いた「Monty’s Gamble」(MMP)を対戦しました(4月25日坂戸会)。

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当方はドイツ軍を担当しました。

 

ゲームの基本情報

基本システムはエリアインパルスシステムです。

活性化から移動・戦闘に至る手順や、戦闘解決方法、オーバーラン、また”アドバンテージ”のルールなど同システムを踏襲したものになっています。

本ゲームならではの要素としては、空挺降下に関するルールや、史実において争奪の目標となった橋梁の奪取・破壊・修復といったルールがあります。

各ユニットは移動すると”SPENT”状態という行動済かつステップロス状態になります。ただし毎ターン、大量の補給ポイントが到着するため、補給線さえ確保できていれば、次ターンには完全戦力に戻ることは難しくありません。ドイツ軍も事情は同様です。

マップはイギリス第XXX軍団(第30軍団)の進撃範囲として東西に長い形状をしています。
マップは地形が細かいに描かれていて美しいです。
ただ道路を表す黒いラインとエリアの境界を表す白いラインとが紛らわしいです。水路・運河を表す水色のラインもあわせ、エリアの境界の混同や見落とし事故が発生しそうでした。

ユニットは大隊~連隊単位。
砲兵もユニットとして登場。さらに軍団砲兵と師団砲兵とで性能やルールが異なっており、使い分けはゲームに影響を与えそうです(今回のゲームの中では十分使いこなせていなかった模様)。

 

連合軍の事情

通常の進行では本ゲームは全4ターン(1ターン=1日)となります(延長もあり)。限られたターン数の中で、主力となる第30軍団は、マップ西端から進入して、東端近くにあるアルンヘム周辺のエリアまでたどりつく必要があります。

各ユニットが移動できるのは1ターンあたり1回+各ターンの最後の「再編成フェイズ」における自軍支配エリア内1エリア移動に限定されます。

第30軍団の道筋を遮る運河や河川の橋梁付近に空挺部隊が降下している訳ですが、彼らと協同して、橋梁を確保し、駆けつけるドイツ軍の増援を追い払ったり、制圧したりする必要があります。

ここでエリアインパルス方式を採用した面白さがでてくる訳で、ひとつのターンに何回活性化を行うことができるかは不確定であること*1、1ユニットはターンを通して1回しか移動できないこと、また1回のインパルスではひとつのエリアしか活性化できないといった制約の中で、効率よく活動を続けていく必要があるのです。

例えば第30軍団の全部隊を1つのイニングの中で活性化してしまうと、戦力は圧倒的になりますのでエリアの占拠は非常に楽でしょうが、そのターンは第30軍団はそれ以上前進できなくなります。よって同軍団の強力な戦車大隊・連隊は複数のグループに分けて、ひとつが前進して新エリアに進入しそのエリアを掃討、さらに次のインパルスに次のグループがさらに遠くの新エリアに進入して・・といった波状的に活動を行う必要があるでしょう。

空挺師団配下のユニットは各師団の作戦範囲外のエリアには進出できないという制限があるため、目標となる橋梁一帯を制圧した後は周辺エリアへの展開や道なりに進撃するといったことはできません。陸上の進撃はもっぱらイギリス第30軍団の役割となります。*2
連合軍の降下兵のユニットは戦闘力も防御力もあるため、地形効果が高い市街エリアなどに籠もられるとドイツ軍にとっては、叩き出すのにかなりやっかいな存在になるでしょう。一方で移動力は徒歩ユニット相当であるため、敵ユニットがいる離れたエリアへ攻撃を行うには敵エリアに隣接したエリアに移動して、その次ターンに攻撃ができるということで手間がかかります。
空挺部隊は占拠が必要なエリアにいち早く進出し、第30軍団の到着までひたすら耐えるということになるかと思います。

砲兵ユニットの使い方もポイントになるのではないかと考えます。砲兵ユニット、特に軍団砲兵については離れたエリアの敵を攻撃することができるため、集中運用することで砲兵力だけで相手を制圧するといったことも不可能では内容に思います。

ドイツ軍の増援はターン毎にバラバラと、また異なる位置から登場します(マップ参照:”独援軍”と記入したゾーンがおおよそのドイツ軍の増援登場位置となる。
このため、連合軍は主力が前進した後も、横合いからいきなりドイツ軍の攻撃・邪魔をされる可能性があるため考慮が必要となります。

勝利条件は第4ターンまでにVPエリアのポイント累計が10ポイントになるか、マップ東端から突破した場合、連合軍の勝利。
エリアのVPポイントは、だいたいアルンヘム周辺まで占拠すると10ポイントになるので、連合軍としてはなんとしても突進してアルンヘムまで占拠する必要があるということになります。

 

ドイツ軍の事情

ドイツ軍は初期配置では河川や運河の橋梁があるエリアに高射砲部隊がいる他は少数の守備隊しかない状態で始まります。そこへ第1ターンからかなりの数のユニットが増援として登場するのはうれしいものがありますね。

連合軍の作戦開始時にアルンヘム周辺に再編中のドイツSS2個師団がいて・・というのは有名なエピソードですが、実態は両方ともカンペグルッペ規模ということで個々のユニットは比較的強力なものがある一方で数は多くはありません。また最強ユニットもイギリス戦車大隊・連隊と比べると弱く、決して強い訳ではないのです。

 

増援としてバラバラと部隊があちこちから登場しますが、個々のユニットは強くありません。戦闘力も防御力も1というユニット(大隊規模)が多く登場するのです。まさに寄せ集めです。
ただエリアインパルスシステムの戦闘解決システムでは、守備にあたるすべてのユニットのうち「先導ユニット」に指定されたユニット以外の“2番目以降”のユニットはユニットに表記された防御力ではなく、その防御力は一律「1」として計算されるので、防御力が1の部隊もそれなりに役にたちます。

SS師団のユニットは強力ですがイギリス第30軍団の戦車連隊ユニットに比べると個別の能力で見劣りするし、数も少ないです。となると、ドイツ軍が主導的に攻勢作戦を取ることはなく、基本守備が主体ということになるのでしょう。

占拠することでポイントとなるポイントエリアや、チョークポイントとなる橋梁があるエリア(その多くは地形効果が高い市街地エリアになっていることが多い)に籠もって時間稼ぎをするというのが基本作戦になるのではないでしょうか。またいきなりそのようなポイントとなるエリアにイギリス軍第30軍団の強力なキラースタック(最大10ユニットがスタックできる)が飛び込んでこないように、妨害をすることになるのでしょう。

ただしオーバーランルールの存在と、ドイツ軍がひとつのインパルスの間に3ユニット以上除去されるとペナルティが発生するというルールがあるため、弱いユニットを道々にばらまくという作戦は得策ではない仕掛けになっています。

 

 

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イギリス第30軍団はマップ左上から登場して、アルンヘムがあるマップ右下のほうまで進出していく必要があります。途中の道筋はいくつもの河川や運河が横切っていますので、それ毎に橋梁を確保する必要があるのです。
また途中途中で、道筋の左右からドイツ軍の援軍が登場しますので(独援軍と書いたエリア)、これらを排除していく必要があります。

 

プレイ

インスト含んだ練習プレイだったこと、記録も十分ではないので簡単に・・

第1ターン(9月17日)

通常ターンに先立ってD-Day(攻撃開始日)の処理が行われます。

連合軍の空爆、3個空挺師団の降下と活性化、第30軍団による突破戦闘開始です。

空爆によりマップ上に点在するドイツ軍の高射砲陣地(移動不可能なユニット)が攻撃を受けます。高射砲陣地が有効な場合、隣接エリアまでそのエアカバーが有効になり、連合軍の降下兵降下や空中補給時に悪影響を与えるのです。

空爆によりマップ上の全高射砲ユニットのうちおおよそ8割が損害を受けるか沈黙させられました。その後の降下にあたって連合軍はダイスの目もあって3個師団がそっくり無傷で降下したのです(ドイツ軍の対空攻撃チェックがことごとく外れました)。

空挺師団の各ユニットの降下エリアは決まっており、さきほどの高射砲ユニットにより損害を受けるかどうかの判定がはいります。損害を受けなかった空挺ユニットはD-Dayインパルスの0122..間、全ユニットが活性化できますので、そのまま周辺エリアの確保やドイツ軍拠点への攻撃などを行います。

この降下した全エリアで活性化可能という点は非常に有利です。その後の通常ターンのインパルスでは1エリアずつしか活性化できないことからすると、このメリットは最大限活かすべきでしょう。

 

降下や第30軍団の活性化が一巡すると通常のターンの手順が始まり、ようやくドイツ軍が行動できるようになりますが、最初のインパルスでは移動はできず、橋の爆破だけが実施できる状態です。ただ爆破ができる橋の条件が厳しく、結局のところ1ヶ所だけでダイスチェックを行い、第101空挺師団の活動範囲内の街道沿いの橋梁の爆破に成功します。

その後もこのターンの間は移動も1移動力に制限されています。

今回のプレイでは、連合軍のユニット群が軒並み、D-Day特別インパルスの間に移動を終わらせていたことから、あまり活発に移動しなかったことから、ドイツ軍は先にナイメーヘンやアルンヘム市街に先遣隊を進駐させます。

第1ターンは結局、7インパルス目で終了します。

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第1ターン、降下直後のアイントホーフェン付近。降下しているのはアメリカ軍第101空挺師団(Screaming Eagles)。まだ左上のゾーンに第30軍団が控えている。

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第1ターン、降下直後のナイメーヘンアメリカ軍第82空挺師団(All America))と、アルンヘム(イギリス軍第1空挺師団)付近。付近に点在している黒いユニットがSS部隊だがいずれも小規模だったり戦力が弱い。

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第1ターン終了時点。アルンヘム周辺。
ドイツ軍は増援で駆けつけたSS部隊からなる先遣隊をイギリス軍に先んじて
、アルンヘム市街に進入させた。イギリス軍の空挺大隊(4-5-4)やグライダー大隊(4-6-4)は数もある上、防御力も高く、先に市街地エリアに入られると叩き出すのが大変難しくなるため、取るもとりあえずという部隊編成だ。なおドイツ軍は国防軍とSSとは連携が悪く、同じ戦闘に両方の部隊が参加すると逆にマイナス修正がつくくらいなので、運用上同一エリアには配置しないほうがよい。

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第1ターン終了時、ナイメーヘン周辺。
市街東岸にいた第9SS装甲師団装甲大隊は、アメリカ軍の進出に先んじて市街地西岸に進出。周囲はアメリカ軍ユニットばかりなので危険ではあるが、先に占拠することを優先した。

第2ターン(9月18日)

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1944年9月28日にアメリカ軍によって撮られたナイメーヘンの鉄橋。マーケット・ガーデン作戦の直後といったタイミングですね。手前に写っている市街地が廃墟状態なのが印象的です。

 

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もうひとつのSS師団、第10SS装甲師団が到着しナイメーヘンからアルンヘムあたりの防御を固めたドイツ軍。それぞれの市街地外縁部で各空挺師団との戦闘が発生しているが、連合軍は、増援の降下予定エリアの確保を優先し、また第30軍団の到着を待っているのか本格的な攻勢には出てきていない印象。

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写真がわかりづらいが、第30軍団の先鋒の戦車大隊が第101空挺師団の占拠地を超えて前進している。この付近のドイツ軍は弱小すぎて何もできずに蹴散らされていった。マップ端にはる”ゾーン”に増援として登場できるドイツ軍ユニットがいくつか見えるが、第30軍団が強力すぎてマップに登場できないでいる。

 

第3ターン(9月19日)

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来た!第30軍団の本隊が大挙して侵攻中です(マップ中央部から右手に進撃中)。

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アルンヘム・ナイメーヘン周辺ではドイツ軍がさらに増強されています。
アルンヘム東側外縁エリアでドイツ軍はイギリス軍降下兵ユニットの排除のため攻撃を行います。砲兵ユニットの使い方を工夫すればもう少し損害を与えられたのですが・・。
降下兵は薄く展開しているものの、ほとんど無傷です。ただ分散しすぎているせいで、1エリアずつ活性化してもそれほどの兵力にならない・・。

第4ターン(9月20日

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最終ターンということで第30軍団が急ぎナイメーヘンの外縁部に到着し、波状的にドイツ軍エリアに対して攻撃を行うが、ドイツ軍も複数回に分けて部隊を投入することで防いだ。結局、ナイメーヘン市街に隣接した外縁部エリアのドイツ国防軍を排除するにとどまり、ナイメーヘンへの直接攻撃にも一歩届かなかった。ドイツ軍はハイスタックのようだが、実態は最弱歩兵大隊(1-1-3)。

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最終決戦場になるはずだったアルンヘム周辺。イギリス第30軍団がここにたどり着くには、
(1) ナイメーヘン市街を攻撃する(ここでドイツ軍は橋梁の爆破を試みる)
(2) ナイメーヘンの東岸を渡河攻撃する
(3) アルンヘムの西岸を攻撃する、とまだかなりの手数が必要

感想戦

冒頭に書いたとおり連合軍地上部隊主力がアルンヘムに到着するにはかなり効率的に効果的に進撃していく必要があるように思います。空挺部隊も占拠エリアの確保を優先して、それぞれの降下地点でかなり分散して配置されていたのですが、エリア毎に活性化をするというゲームシステム上、それほど分散させずに攻撃を行うスタックを設けてもよかったのかもしれません。

今回連合軍が活発ではなかったためドイツ軍は要所の市街地を先に押さえることができましたが、空挺部隊が果敢に争奪を挑んでくると結構ドイツは苦しいように感じました。

今回、砲兵、オーバーラン、「浸透」(ドイツ軍だけが可能な特殊な移動)、複数種類用意された渡河方法、アドバンテージの利用、一定数以上の損害を与えた場合のボーナス、航空支援などルールの中に仕込まれた様々な仕掛けをうまく使えていなかったように思うので、ルールへの習熟をもって再戦してみたい。

(了)

 

 

MILITARY CLASSICS (ミリタリー クラシックス) 2021年6月号
 

 現在発売中の73号は第2特集がくしくも「マーケット・ガーデン作戦」。
第1特集の「松型」「橘型」駆逐艦の記事も見逃せない。

萌えよ! 戦車学校VII型 (フィリピン決戦&マーケット・ガーデン作戦)

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空挺兵を描いた連続ドラマ。
アマゾンプライムでの見放題期間は終了した模様。

 

*1:基本的には2D6によりその時のイニング数と同じかそれ以上のダイスの目を出せば次のイニングに継続になりますので、確率としては1ターンあたり6~7イニング程度は続く可能性があります。

*2:史実では空挺師団の部隊は第30軍団に帯同して進撃した。

「Blitzkrieg Legend」(MMP)を対戦する

MMP社のOCS(Operation Combat Series)のひとつである「Blitzkrieg Legend」を対戦しました。
同ゲームは、1940年のドイツによる西方遠征、オランダ、ベルギー、イギリス、フランスとドイツによる戦闘を扱った大作です。

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OCSについてはここでも書いていたように「KOREA」はプレイしたことがあるものの、まだルールを十分に理解しているとも言えない状態だったのですが、4人ゲームに参加させていただきました。

担当したのはドイツ軍北側の部隊。ベルギー攻略を主とする領域です。ベルギーのすぐ南側はアルデンヌの森になるため、ベルギー方面担当といったところでしょうか。

プレイしたシナリオはシナリオ7.1「Fall Gelb Campaign:No Holland」(Case Yellow:黄作戦:オランダ無しバージョン)。名前の通りオランダ戦を抜きにした黄作戦の開始から扱ったものです。

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おおよそ担当したエリアを北側から写したものです。左手の砂色のユニットがドイツ軍、手前に2個だけある赤橙色がこのシナリオに唯一登場するオランダ軍、鮮やかな黄緑色がベルギー軍、ベルギー軍のすぐ右側にある黄土色のユニット(てかってわかりにくいですが)がイギリス軍、紫がフランス軍です。
ユニット数だけではベルギー軍も、侵攻側のドイツ軍に劣らないくらいのユニットがあります。
写真ではわかりづらいですが、地形として河川や運河が南北に走っています(だいたいベルギー軍は運河や河川に沿って配置されています)。河川や運河超えの攻撃は攻撃力が半減されますので、侵攻にあたってはこれらの地形をどうこなしていくのかという点は重要です。

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こちらの写真のほうが地形や距離感がわかりやすいかも。
ドイツ軍はこの後、まっすぐ写真右手のほうに走って行かなければなりません。その前には河川があり、運河があり、何よりも敵軍スタックがありますね。
またユニットではなくマップ上に直接表記されているのですが、要塞ヘックスがかなりあります。エバンエマール要塞です。

Wikipediaより
ドイツ軍の行く手を塞いだアルベルト運河。ウィキペディアには書かれていないが、軍事史の本によると、1930年より建設された本運河は、経済的目的の他、国防目的もあったと書かれている。
そういえばスコードリーダー/ASLのマップにも運河が大きく描かれたものがありましたね。

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黄作戦時、アルベルト運河に掛かる橋梁のたもとで活動するドイツ軍。

Kasematte Maastricht 2.jpg

Wikipediaより今も残るエバンエマール要塞のトーチカ跡

 

第1ターンのドイツ軍には特殊部隊ユニットが2個与えられます。橋梁の奪取、要塞攻撃などに使えるようです。ダイスを振って成功値がでれば、それぞれの地形効果を取り消したりできるようです。

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第2ターン終了時の状況。
ドイツ軍は特殊部隊も活用しつつ、突破移動等によりベルギー軍前面の運河まで渡り橋頭堡を築きますがが、その裏にベルギー軍他の反撃に遭い、先頭の2個装甲師団がDG(混乱)状態に陥ってしまいました。安易に突出したところを、手練の連合軍に手痛く叩かれたといったところでしょうか。
助攻として攻撃していたエバンエマール要塞のほうはダイスの目が良く、想定以上に潰せています。

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第2ターン終了時のアルデンヌの森以南の状況。一番奥に見えるフランス軍ユニットの横一列あたりが「マジノ線」あたり。手前のベルギー軍ユニットの並びとマジノ線との間がいわゆるアルデンヌの森。
ドイツ軍のユニットが壁のように並んでいるのは、アルデンヌの森に侵攻するドイツ軍部隊の側面防衛のため、歩兵師団を分割したユニットが多数登場しているため。
1人のオペレーションではとても回しきれないと、途中から当方がアルデンヌ地方の北側(ロンメル率いる第7装甲師団など)も扱うようになりました。

 

いやぁ、ベルギー軍は強いし(弱くはないし)、アルデンヌの森も深いです。
戦史などを読んでもベルギーあたりはあっさり突破したイメージしかなかったため、どんなもんだ?と思っていましたが、普通に強いです。
きちんと渡河作戦を行い、要塞攻略を行い、と順を追って攻めないと落ちるものも落ちないです。うかうかしていると後方から、イギリスの大陸派遣軍やフランス軍が顔を出してきて逆撃されそうですね。パリはもとよりダンケルクどころかブリュッセルですら遠いです。

 

またOCSですから後方から補給物資(SP)を前線に運んでいく必要があります。司令部(補給線の中継点になる)をどこに置いて、どこに補給物資を展開するのかをきちんと考えておかないと、補給線つながっていないじゃん、というポイントが続出してきます。
いやぁ、1人の管理能力を超えるオペレーションを要求されるかも・・と、大作ゲームの真髄にも多少触れた気がしています。

次回挑戦するときには真面目に作戦面を考慮して取り組みたいものです。
(その前にOCSのルールをきちんと習得しろ、ってことですが)

 

なお、4人で配置を開始してシナリオを開始できるようになるまでに2時間。その後、第1ターンのドイツ軍の攻撃、第2ターンのドイツ軍、連合軍プレイヤーターンまであわせて1.5ターンの実施に6時間程度要しました。

(了)

 

西部戦線 (歴史群像アーカイブVol.17)

西部戦線 (歴史群像アーカイブVol.17)

  • 発売日: 2010/12/03
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「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)をVASSAL対戦する(2)

「Stalingrad -Verdun on the Volga-」をVASSAL対戦しました。

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前回記事はこちら

yuishika.hatenablog.com

 

第2ターン

ターンが変わると「昼間」インパルスが始まります。第1ターンの「夜」インパルスの間に戦力を補充したドイツ軍が攻勢を再開するのは必至です。

ソ連軍は、各エリアの防御力を計算して、ドイツ軍が投入しえる師団の戦力を計り、必要に応じスタックを積み上げます。十分な数、まして十分な戦力のユニットがある訳ではないためメリハリをつけた配置が必要となります。

 

第1インパルスー労働者部隊の英雄的な活躍によりドイツ軍装甲部隊が押しどめられた話

f:id:yuishika:20210507181142j:plain ドイツ軍は最初の攻撃として、マップ西端外にいた第14装甲軍団直属の精鋭戦闘団(カンペグルッペ)を投入し、北部地区の市街地に向かう森林エリアを攻撃します。
そこはソ連軍の部隊配置換えの間隙で生じていたウィークポイントで、配置されていたのはスターリングラードの工場労働者から編成された労働者部隊ユニット(1-2)1個のみです。
ソ連軍は第2ターンにあたって、ドイツ軍の攻撃は第1ターンに引き続き中央地区を起点に行うと予想し、北部地区については南側のドイツ軍師団に面したエリアを中心に部隊配置を行っていたことから、この西側からの横合いのエリアの防備は後回しにしていたのでした。
ここを突破された場合、そのまま河川を超え、北部地区市街地にそのまま突入されることになり、またソ連軍全体の防衛ラインの後退・再配置が引き起こされることになるポイントでした。
攻撃側のドイツ軍は増援として到着したばかりの最強カンペグルッペユニット(7-6)を含む精鋭スタック。戦力差からソ連軍の敗北、さらには損害の吸収ができずにオーバーランが引き起こされるのは必至!

ここで奇跡が2回起きます。
工場労働者から組織された貧弱な装備しかもたない労働者部隊ユニットは、ドイツ軍の強力なスツーカの直協支援を最低の「1」でしのいだ上、続いて進撃してきた装甲部隊の攻撃をわずか1ステップロスの損害で押し留めたのでした。ドイツ軍側はこのゲームの攻撃側の常として”先導ユニット”がステップロスとなりますので、労働者部隊は自らの1ステップロスと引き換えにドイツ軍装甲部隊ユニットのステップロスを勝ち取ったのです。さらに、労働者ユニットは全滅していないため、ドイツ軍のオーバーランは発生しません。ドイツ軍装甲部隊は足止めを食ったことなります。
ソ連軍は戦線の整理の部隊移動を行う時間猶予を得られ、さらにはこの労働者部隊はもう1回ドイツ軍に対し戦闘を強要させることになるのです(さらに言うと、労働者ユニットは全滅しても次のターンには補充ポイントの消費無しに復活できます)。

おそらく彼らはこの森から帰ってくることはないでしょうが、スターリンジューコフでなくともこの”英雄”達の活躍を絶賛してやみません。

f:id:yuishika:20210507175821j:plain 今回はダイスの目によりドイツ軍の突破は押し止められたのですが、市街地エリアでは、ソ連軍は「英雄」の宣言をすることにより、ドイツ軍のオーバーランの発生を留めることができます。ルールブックによると、ソ連兵がスターリングラード戦の中で度々起こした”ヘラクラス的な活躍”、を表現したルールなのだそうです。「英雄」の宣言は1ターンに1回実施でき、ソ連軍の防衛線を考慮する上でなくてはならない要素になっています。

ちなみに今回のゲームでは「英雄」ルールが発動される機会はありませんでした。

 

第2ターンの初動においてドイツ軍の攻撃は第1ターンの流れから中央部を突破した第24装甲師団を中心に展開されるであろうと予想していました。このため北部地区の備えは中央部からの攻撃に備えた防衛線(上記の赤線)を集中的に強化しており、実際のドイツ軍の攻撃のような横合いからの攻撃はほぼない、と(理由はあったのですが)判断していたのでした。

結果として横合いからの攻撃に対する備えは後回しになり、丘陵地に配置されていたのは労働者ユニットだけだったという訳です。*1

 

第1インパルスでのドイツ軍のもうひとつの攻撃は最北端のゾーンから、行われます。
こちらの攻撃も予想外でした(またもやドイツ軍の攻撃の兆候を見逃した情報将校は厳罰ものです)。
第16装甲師団の装甲部隊は作戦予備として、また装甲部隊の補充のため、後置しつづけるのではないかと想定していたのですが、躊躇なく攻撃参加させてきました。

あっさりと守備の歩兵連隊を消滅させたドイツ軍はそのままオーバーランをするかと思ったのですが、下手に前進して補給線を脅かされるのを嫌ったのか、また一部部隊だけを前進させることによる部隊の分散を避けたのか、攻撃を行ったエリアで停止します。

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第2ターン第1インパルス
ドイツ軍は西側(マップ上方)から第14装甲軍団直属の複数戦闘団を労働者ユニット1個で守備していた森林エリアに進入させた。市街地側のソ連軍は、南側(マップ左手)からの、例えば第295・389歩兵師団などからの攻撃に備え、部隊配置を行っていたため(わかりづらいですが黄緑色の点線)、実際に攻撃が行われた部分は手薄になっていた。
ドイツ軍はマップ右手(北側)から第16装甲師団の複数装甲連隊を進入させた。

 

第2~6インパルス

f:id:yuishika:20210507180642j:plain 北からは独立系の戦闘団、北方からは第16装甲師団に迫られ、じりじりと地歩を失い、ユニットを減らしているソ連軍は守備エリアを減らさないと戦線を維持できなくなってきます。
ソ連軍のジリ貧状況に止めを刺したのは第389歩兵師団によるオーバーランと絡めた進撃で、これによりソ連軍はここまで固守していた、勝利ポイントエリアを含んだいくつかのエリアからの大幅な撤収を行わざる得なくなります。

ソ連軍が守備エリアを縮小してエリア単位の部隊密度を高めるのにあわせ、ドイツ軍は攻撃力を強化するため南部地区に配置していた第29歩兵師団を中央地区に転進させてきます。

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第2~6インパルス
ドイツ軍第389歩兵師団が北部地区の市街地中心部のエリア(ただしこのエリアは市街地ではない)に侵攻したことにより、ソ連軍は河畔側のエリアにも部隊を配置せなばならなくなり玉突きで各所の前線エリアを放棄し後退させた。、
続いてドイツ軍は南部地区でソ連軍を包囲状態においていた第29歩兵師団を中央地区に移動させた。

第7インパルス ードイツ軍の新鋭部隊はママエフクルガンへ攻撃を行う-

f:id:yuishika:20210316230323p:plainドイツ軍は、カンペグルッペ(7-6)を先頭にした第295歩兵師団により、ママエフクルガンを攻撃します。ママエフクルガンのゲーム内での地位はここまでの記事でも度々登場してきたように、ソ連軍の増援がボルガ河を渡河してくる際の、「渡河チェック」に影響を与える点があります。ママエフクルガンをドイツ軍が占拠した際の修正地は+2となり、「渡河チェック」の成功値は落ちるのです。
ただし勝利ポイントエリアではないため、ソ連軍の渡河に邪魔立てする必要性がないのであれば、通過点のひとつでしかないエリアでもあります。

 

この市街を一望できる丘陵地を守るソ連軍は1個戦車連隊に1個歩兵連隊の2個連隊。勝利ポイントエリアではないため、最優先の守備エリアとは言えない陣容です。

ドイツ軍はスツーカの出撃、師団砲兵による支援砲撃を投入。ソ連軍もここは勝負どころと、軍団砲兵による支援砲撃を投入します。

ドイツ軍による攻撃は、スツーカによる直協支援が振るいません。その後のダイスもやや悪く、ソ連軍に思う様な損害を与えられません。結果によっては全滅もありえたソ連軍は戦車連隊がステップロスと一時後退という損害にとどまり、全滅を免れます。損害を戦車連隊側で引き受けたため、歩兵連隊は無傷のままとなりますが、戦車連隊の後退にあわせ、自主的退却によりいったんはママエフクルガンから撤退します。

ここでドイツ軍の兵站チェックの結果は、「昼」インパルスの終了を告げ、「夜」インパルスが到来することになります。

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第7インパルス
第295歩兵師団はカンペグルッペ(7-6)とともにママエフクルガンに進出し、同地のソ連軍部隊を撃退します。

 

第8インパルス[夜間] -ソ連軍はママエフクルガンへ逆襲する-

f:id:yuishika:20210507180237j:plain「夜」インパルスが始まります。

ママエフクルガンに隣接したエリアにもともと守備についていた第13親衛狙撃兵師団の連隊を含むソ連軍は、前のインパルスでママエフクルガンから自主的退却していた歩兵連隊を加えフルスタックとし、夜陰にまぎれママエフクルガンの丘を登りはじめます。

対するドイツ軍は、前の戦闘でステップロス状態となっていたカンペグルッペ(4-6)と歩兵3個連隊からなるフルスタック。
ソ連軍は第13親衛狙撃兵師団の部隊が参加した夜間戦闘でかつ、市街地エリアか森林エリアにおいてのみ認められる「ストームグループ」を宣言します。

「昼」インパルス中のドイツ軍にスツーカによる「航空支援」があるのと対称的に、「夜」インパルス中のソ連軍には「ストームグループ」の使用が認められています。実施条件は、「夜」インパルス、市街地エリアまたは森林エリアにおける戦闘時、かつ第1~3ターンの期間中は第13親衛狙撃兵師団のユニット(全部で3ユニットある)が参加した攻撃であること、です。

戦闘に与える影響は、戦闘結果をもとめるダイスに先立って、1D6による数値を攻撃側(ソ連軍)の戦闘値に追加させることが可能なことになります。

もともと「夜」インパルス中のソ連軍の攻撃には一律「+1」の夜間戦闘におけるそf連兵の優位性という追加修正がつくのとあわせ、発動条件こそ厳しいものの、「ストームグループ」の発動は強力な切り札となるのです。

 結果は「ストームグループ」が猛威を振るい、ドイツ軍は3個歩兵連隊を失い、カンペグルッペユニットは隣接エリアに撤退します。あと一息でカンペグルッペユニットの除去まで行けたのですが、良しとしましょう。
実はこれが今回はじめてソ連軍がドイツ軍に与えた損害となったのでした。

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第8インパルス
直前のインパルスにドイツ軍に奪われたママエフクルガンに対し、第13親衛狙撃兵師団の一連隊を含むソ連フルスタックは隣接エリアから逆襲、ドイツ軍スタックを壊滅状態にさせ退けた。

 

第9インパルス[夜間]-ソ連軍は「夜」インパルスの延長を宣言する-

全滅こそ逃れたものの1個師団に近い兵力が失われたことからドイツ軍は、先の第29歩兵師団の南部地区からの転用に加え、同じ南部地区にあった第94歩兵師団も中央部へ転進させます。

ドイツ軍の右翼(南部地区)にあった2個歩兵師団がごっそりと中央地区に展開されてきたのです。半包囲状態にあった南部地区のソ連軍は包囲を解かれ、ドイツ軍がいなくなったエリアに進出、展開します。

その裏、兵站チェックにおいて「夜」インパルスの終了のダイスの目が出たのですが、ソ連軍は「アドバンテージ」を使い、「夜」インパルスの延長を宣言します。

 

第10インパルス[夜間]~  -そしてストームグループが再度猛威を振るう-

f:id:yuishika:20210507180408j:plain 漫然と「夜」の終わりを受け入れることも可能だったのですが、「昼」インパルスになるとふたたびドイツ軍が攻勢を再開するのは必至です。
ゲームの流れも自然にドイツ軍側になびいていくでしょう。そうなる前にソ連軍はドイツ軍に対して、ダメ押しの攻撃を仕掛けることを画策したのでした。

ダメ押しの目標は、さきほどママエフクルガンから撤退したステップロス状態のカンペグルッペユニット。ちょうどよく森林エリアに存在しています。

ソ連軍はママエフクルガン攻撃に参加したスタックを用いることとし、先頭になる第13親衛狙撃兵師団の一連隊のユニットを、「戦力の譲渡」アクションを用いて回復させ、さらに次の第11インパルスにおいて、ドイツ軍の最強カンペグルッペユニットがいる森林エリアに攻撃をかけ、さらには「ストームグループ」を宣言します。

結果、独軍ユニットは粉砕され、オーバーランが発生しました。

 

ここでドイツ軍から、最大衝力をもったユニットが失われた事を理由に投了が宣せられました(7-6というユニットはドイツ軍に2個しかなく、そのうち1個が失われた)。

 

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第9~10インパルス[夜間]
ドイツ軍は南部地区から第29歩兵師団に続き、第94歩兵師団も引き抜き、中央地区へ転進させた。南部地区のソ連軍部隊は包囲から解かれ、ドイツ軍が去ったエリアに進出した。
ママエフクルガンのソ連軍は「戦力の譲渡」を用い先導ユニットを補充すると隣接エリアに残っていたドイツ軍のカンペグルッペ(4-6)を襲い除去に成功する。

 

感想戦

このタイミングでドイツ軍が投了するのは早いように感じました。

第3ターンになると「昼」インパルスが始まります。「昼」インパルスではスツーカの利用や師団砲兵が再び活動できるようになるため、ドイツ軍が再び盛り返してくることは必至なのです。

この点について、戦後、いくつか感想メールのやり取りの一部を記載します。

 

ドイツ軍の立場からの意見

  1. ドイツ軍が進撃し続け、ソ連軍の守備エリアが狭まっていくにつれて、ソ連軍のユニット密度が上がっていった後の時点のことを見据えていく必要があった。
  2. (第2ターンの攻勢の主力となった)独立系ユニットから構成されたスタックは、同一師団効果と砲兵支援による攻撃時のダイス修正が使えないため、個々のユニットは戦力が大きく見えても、スタックとしての衝力には額面の戦闘力ほどはなく、途中から攻勢に限界が来ていた。最初から同一師団効果と砲兵支援が使えるような進軍を考えておくか、ソ連軍の第2ターン増援フェイズが終わった時点で、ドイツ軍は南部地区の師団戦力を北方に転用する(スイングする)ことが必要だったのではないか。こうした戦力転用が十分にできず、南部地区において強力な師団をあらた塩漬けにしてしまった。

 

ソ連軍の密度があがってきてスタック毎の防御力が高まった際に、ドイツ軍がどう戦っていくかという問題は第2戦のときにもでてきていた課題です。
両軍とも積み上がるところまでつみあがった後は、運頼みで、ダイスの出目が悪かったときには「アドバンテージ」を発動させて強制的に「引き分け」に持ち込むという・・ことかなというのが第2戦のときの感想でした。

そうしたゲームシステムに寄っかかった、イチかバチかのギャンブル的な攻撃を行うことが”ゲームとして美しいか”という意見もあるかと思います。
一方で伸るか反るかでひとつひとつのエリアを血みどろになって両軍が取り合うのはそれはそれでスターリングラード的ではないかという気もしないではないです。

もっとも、第2戦の際のソ連軍に起こったのは、スタックが積み上がってしまい包囲された状態では増援すら受領できなくなるという事態であったりしたので、どこかが破綻が生じる可能性は高いのではないかと考えます。つまりはソ連軍がフルスタック状態で籠もったとしても、どこかで破綻を来す可能性は十分にあるため、臆せず突撃あるのみではないか・・と。

 

ドイツ軍の事情ばかり書いていますが、ソ連軍もまた異なった事情で苦しいです。
ここまでずっとソ連軍はユニットを除去され続けています。
今回はたまたま局地的な逆襲が成功しましたが、ドイツ軍がソ連軍のスタックを除去するのが難しくなっている以上に、ソ連軍がドイツ軍スタックを除去するのは難しいです。ドイツ軍以上に、ダイスの目頼りのイチかバチかの勝負に出る他ありません。
ソ連軍の正しい戦い方は、攻撃を受け続けることで攻撃を行うドイツ軍に出血を強いながら、ふんばるということでしかないのでしょう。

いずれにせよ両軍とも最後までキリキリと気を許すことができない良ゲームだと思います。オススメです。 

 

VASSAL対戦(メール対戦)について

戦闘が発生する毎に相手側にも砲兵支援の実施意思の確認、戦闘後の損害処理の確認などもあり頻繁にログファイルのやりとりが発生しました。ただその間もじっくりと考えることができる時間が確保される点は非常に印象深かったです。

ゲームへの理解も深まるし、相手のとり得る作戦の検証などじっくりと可能だった点がよかったですね。

また良いゲームを選んで試してみたいものです。

 

(了)

 

第1戦、第2戦時の記事は次のとおりです。

 

 

*1:現実世界を想像するとこうした司令部における部隊配置のミスは、現場のまさに身を挺した献身的な働きで帳消しにされ、誰も責任を問われないのだろうなぁ・・とか思ってしまいます。

「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)をVASSAL対戦する(1)

緊急事態宣言下、オンサイトではなくVASSALを用い、ネット対戦を実施しました。
完全リアルタイムではなく、相互にログファイルのやりとりを行うメール対戦形式です。

「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」のゲーム紹介は次の記事。

また前2回のAARは次のところで紹介しています。

 

Dさんがドイツ軍、当方はソ連軍を担当します。本ゲームの対戦は都合3戦目になります。

 

第1ターン

ドイツ軍の火蓋は中央部への攻撃に始まりました。ソ連軍の薄い防衛線はドイツ軍の強力な攻撃にひとたまりもなく殲滅されていきます。

このゲームの恐ろしいところは攻撃側がその戦闘結果に関わらず(戦闘結果が攻撃側勝利であったとしても)、「先導ユニット」は必ず1ステップロスするというルールにあります。

このペナルティにより、ドイツ軍は戦闘を重ねれば重ねるほど、勝ち続けていたとしても消耗していくことになります。さらにはこのステップロスを被るというペナルティは、通常攻撃の後に特定の条件下で実施されるオーバーランにも適用され、通常攻撃とは別にステップロスを被ることになります。
通常の師団は4個ユニットから構成されることが多いのですが、通常攻撃+オーバーランの攻撃のコンボを実施するだけで2ユニットがステップロス。これが2回続けばその師団を構成する全ユニットがステップロス状態となり、師団スタックは攻撃力を半減させ、いわばスタック全体で衝力を失うことに陥ってしまいます。
さらにドイツ軍はソ連軍に比べて戦力の補充能力が半分~4分の1しかないことから、失った衝力を回復できない、というのが前々回の対戦時のドイツ軍に発生した状況でした。

前回対戦時には、師団単位での攻撃のローテーションを行うことで特定の師団だけが攻撃力を失うことを避けた点、また「戦力の譲渡」というアクションの一種とドイツ軍に認められる「解放ゾーンにおける戦力補充」のルールを組み合わせることにより、補充力の弱さをカバーすることで、ドイツ軍の継戦能力の弱さをカバーし、前線部隊のスタックは戦力を維持し続けることに成功しました。

今回はこうした”戦訓”に則り、ドイツ軍は慎重に部隊まわしを試みているようです。

ソ連軍は開始直後、マップ全体に薄く部隊が展開した状態なので、市街地方面に集結していくのですが、この集結についてもあまり早すぎると、郊外エリアを早期にドイツ軍に明け渡すことになってしまい、もとより機動力があるドイツ軍を自由に移動させる余地を与えることになってしまい、いわばドイツ軍装甲部隊の独擅場になってしまいます。
このためソ連軍はドイツ軍を適度に拘束しつつ遅滞行動を行っていく必要があるのです。まぁその代償として個々のユニットの損害がはねがっていくのは仕方ないでしょう。

 

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第1ターン第4インパルスの終了時の状況です。
ドイツ軍は第24装甲師団から中央部にいる、第71、第295、第389歩兵師団を揃って前進させてきています。ソ連軍の防衛線を強くえぐってくるのはこの後です。

 

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第1ターン第8インパルス終了時の状況です。
中央部でドイツ軍は大きく突出し、ボルガ河畔に到達しています。
ソ連軍の一部のユニットが補給切れ状態に陥っています。

第6インパルスにドイツ軍は兵站チェックのダイスで「補給不足」状態のダイスを出してしまうのですが、第1ターンの特別ルールにより「補給不足」状態への陥落は回避されます。続く第7インパルスにて、「昼」の終了=「夜」の到来を告げるダイスを出したのですが、ここはアドバンテージを用いて「昼」延長を行います。もっとも直後の第8インパルスで再度「昼」終了の結果となったため、次のインパルスから「夜」となったのでした。

エリアインパルスシステムのキモのひとつですが、ひとつのターンの中で両プレイヤーが行動(移動や戦闘など)を行うインパルスと呼ばれるサブターンが設けられています。
このインパルスが何回続くのかは決まってなく、毎インパルスに振られるダイスによりインパルスの終了などが決まるという点があります。
本ゲームの場合は、ドイツ軍が毎インパルス時に振る「兵站チェック」と呼ばれるダイスの目により、

  • 兵站チェックの結果 >その時のインパルス数 : 次のインパルスにそのまま進む
  • 兵站チェックの結果 = その時のインパルス数: ドイツ軍は「補給不足」となり、次のターンより攻勢活動が行えなくなる
  • 兵站チェックの結果 < その時のインパルス数: 次のインパルスより「夜」になる(すでに「夜」だった場合、ターンが終了する)

 

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第1ターン第13インパルス終了時(第1ターン終了時)の状況。

第9インパルスから「夜」となったのですが、戦線はあまり動いていません。ソ連軍は強力な増援部隊である第1親衛狙撃師団がボルガ河を渡河してきます(渡河チェックが必要です)。

本来はこうした打撃部隊は集中運用するべきなのでしょうが、余裕がないソ連軍は戦線の弱点となっているエリアに分散して配置します。ドイツ軍の突出によって露呈した戦線の弱点を塞ぎ、部隊の整理と一部陣地構築を行います。
ドイツ軍は進撃を止め、「戦力の譲渡」によりステップロスした戦力を、予備部隊のステップをあてがうことで穴埋めを繰り返します。

写真の上側と右側のマップ外にいくつかのドイツ軍ユニットが配置されていますが、これらは作戦予備として後置されている装甲部隊などです。第2ターン、彼らが重要な役割を果たしていくことになります。

(つづく)

 

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

スターリングラード再び ー 「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)を対戦する(2戦目)

「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)を再戦しました。

 

 

ルール等の紹介と、前回のAARは次の記事を参照ください。

yuishika.hatenablog.com

yuishika.hatenablog.com

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見覚えのある絵柄ですが(レニングラードなんとかとか・・)スターリングラードの南駅(第二ステーションのことかな?)付近の第24装甲師団の兵士だそうです。

 

 

結論

全5ターンのシナリオをプレイし、4ターンに差し掛かったところまでに要した時間は5時間強といったところ。1ターン=1時間半くらいでしょうか。利用した施設の時間制限の関係で途中打ち切りとなったのですが、1日あればシナリオ完走できそうです。*1
ユニットを連隊単位、1ターン=4日間というスケールにしたことにより、ユニット数も多くはなく、取り組みやすいサイズ感になっています。
ゲームバランスも悪くありません。最後まで勝敗はもつれ込みます。ドイツ・ソ連の両方をプレイしてみた印象として両サイドともキリキリとした焦燥感の中でプレイすることになりスリリングです。

ユニットスケールを大きくし、ユニット数を少なくしたことによりプレイアビリティが上がっている点は書いた通りですが、一方で攻め口がパズルっぽくなっている印象はあります。エリアマップの宿命なのかもしれません。

戦闘結果においてダイスの結果による振れ幅が大きい点と「アドバンテージ」ルールの存在は、シミュレーション性よりもゲーム性重視のデザインという印象を受けます。

攻撃を失敗した際の攻撃側のペナルティが大きいシステム(攻撃に参加したユニットは全て1ステップロスする)のため、攻撃側はより失敗が少ないように防御側との戦闘力差をとった上で攻撃を行う必要があります。ところがゲーム後半になると、ソ連軍は得点エリア(ほとんどは防御効果が高い市街地エリア)に戦力を集中させ、さらに「陣地」を構築し、「瓦礫」の効果もあり防御力が非常に高い状態でこもってしまいます。ドイツ軍はそのようなエリアでも攻撃を継続していかなければならないのですが、防御効果が高いため十分な戦闘力差がないまま攻撃しなければならない場面が増えてきます。ダイスの結果による振れ幅が大きい戦闘システムもあって、ドイツ軍は攻撃の失敗が一大事故につながりかねません。保険として「アドバンテージ」を用意するわけですが、「アドバンテージ」がソ連軍の手にある間は、ドイツ軍は攻撃を控えてしまうようになるのです。

このように「アドバンテージ」の有無が特にゲーム後半の流れを左右してしまうのは少々気になるところでした。

ゲーム性重視とは言うものの、ヒストリカル性がないがしろにされている訳ではなく、スターリングラード戦における両軍の抱えたジレンマは十二分に感じられます。良いゲームだと思います。

 

対戦記録

2021年4月3日10時~16時30分

前野地域センター(東京都板橋区

Dragoonさん

 

第1ターン

第1~4インパルス(昼)

ドイツ軍の最初の攻勢はスターリングラード市街南部をうかがった第24装甲師団、第29、第94歩兵師団の3個師団の攻撃より始まった。

スターリングラード市街外縁部に展開していたソ連軍部隊を撃破後、オーバーランにて市街地に突入。続くインパルスにはボルガ河畔の「食糧サイト」にまで進出した。並進した第29歩兵師団も同様に戦闘を重ね、河畔の「10月25日製材所」エリアに進出する。

オーバーラン

オーバーランは、攻撃の結果発生した損害を防御側がステップロスや後退・ユニット除去により吸収できない場合、そのエリアを蹂躙して隣接エリアまで移動できるという突破戦闘の一種。
オーバーランによる移動先のエリアに敵ユニットが存在する場合、そのまま戦闘を行うことができる。この際、最初の戦闘の際に用いた砲撃支援や航空支援をそのまま継続して使用できるという点がユニーク。新たに別の砲撃支援や航空支援のマーカーを消費することなく、2度目の戦闘が可能となる。

攻撃側からすると砲撃マーカー、航空支援マーカー含めて同一ターンに2回目の戦闘を行うことができるといううれしい仕様になっている。

ただ欠点もあり、1回の戦闘ごとに攻撃側の先導ユニットは戦闘結果によらず必ずステップロスするという仕様から、攻撃側は一挙に2ステップを失うことになる。

ドイツ軍は強力だが攻撃を漫然と実施していると前線に配置された精鋭師団のスタック(ドイツ軍の多くの師団はちょうど4ユニットで構成されていることが多い)はステップロスしたユニットの塊となってしまい、継戦にあたっての衝力を失うのとあわせ、損害吸収力も低下させてしまうことになる(全てのユニットは2ステップからなっているためステップロス状態では、一撃で除去となりかねない)。

 

ソ連軍はドイツ軍の進出にあわせ、全線に広く薄く展開した部隊を集結させはじめた。郊外の平地は地形防御効果も薄く、ソ連軍の弱い歩兵連隊ユニット程度の戦力展開ではやられ損という判断から市街のほうへ後退させたのだ。

 

冒頭からドイツ軍が躍進した南部方面だが、先の話をするとその後は終盤まで膠着することになる。
「食糧サイロ」に進出した第24装甲師団は後方の連絡線を厄されることを懸念したことにより後退し、ソ連軍が夜間インパルス中に、この一帯に虎の子の第13親衛狙撃兵師団(ソ連軍の最強師団)を展開したことから対峙状態のままとなった。「製材所」エリアは両軍とも増援(ユニットの追加やステップロスしたユニットの完全戦力への回復)を繰り返したこともあり戦闘状態が継続し、その決着はゲーム終盤まで持ち越されることとなった。

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第1ターン 1~4インパルス。市街地南部地区に対し、ドイツ軍は装甲1個師団を含む3個師団で突入、そのままボルガ河畔のエリアに達するが、ソ連軍の激しい抵抗を受けた。過度な損耗をおそれたドイツ軍は受けた損耗分の補充を待つことにし、攻勢を緩めたことからこの地区における決着は終盤までもつれこんだ。

 

第5~7インパルス(昼)

ドイツ軍の主攻軸は戦線中央に移った。郊外に展開していたソ連軍歩兵連隊ユニットが市街地まで後退していたため、ドイツ軍の各部隊はさしたる抵抗をうけないまま、外縁部を抜け、ソ連軍部隊が展開する市街地に突入する。

移動ルール

敵ユニットに隣接していないエリアであれば、必要移動力は1エリア=1MPだが、敵ユニットに隣接しているエリアの場合は、1エリア=2MPとなる。隣接エリアであっても相手に対して余計に移動力を消費させることができることを考えると、ソ連軍は早々と外縁部から撤収し戦力集中を図るのではなく、しばらくドイツ軍の前進を抑えつつ後退するといった遅滞行動をとったほうがよかったのかもしれない。

 第6インパルスのドイツ軍によるダイスチェックにて”夜”インパルスが到来するが、ドイツ軍は「アドバンテージ」を使用して”夜”の到来を中止させた。

兵站チェックと「夜間インパルス」の到来

ドイツ軍インパルスにおいて最初に振られた2D6のダイスの目が、現在のインパルス数よりも小さい場合、「昼インパルス」は終了し、次のインパルスから「夜間インパルス」になる。「夜間インパルス」になるとドイツ軍は航空支援を使用できなくなり、ソ連軍には移動や攻撃を行う際のボーナスが与えられるなどマップ上の主役が交代する感があり、その到来タイミングはゲーム行方に大きく影響する。詳細は前記事を参照。

アドバンテージ

アドバンテージマーカーは、ダイスの目が悪かった際の打ち消しや悪状況の減殺する機能として働く。ドイツ軍にとっては特に次の2点が重要。

  • 戦闘解決時の悪い結果を減殺できる(本稿冒頭の「結論」欄で紹介した効果)
  • 昼/夜の延長

 アドバンテージは使用しなければ自動的に相手に渡るタイミングがある。「昼インパルス」から「夜間インパルス」に変わるタイミングでは自動的にドイツ軍からソ連軍にアドバンテージの所有が変わるため、ドイツ軍は「昼間インパルス」の間にアドバンテージを使っておくのがよい。

 

アドバンテージを使ってまで「昼インパルス」の延長を試みたのだが、その直後の第7インパルスにて再度ダイスチェックにて”夜”の到来結果が出たため、ここで「昼インパルス」は終わりを告げた。
ドイツ軍第71歩兵師団はママエフクルガンの麓まで到達するものの”夜”が先に到来したため同エリアへの進出は諦めざるを得なかった。

ママエフクルガンの価値とボルガ河渡河チェック

ママエフクルガンはスターリングラードの制高点にあたる。ここを占拠すると夜間にボルガ河を超えてくるソ連軍の渡河移動の際に必ず発生する”渡河チェック”にあたってソ連軍は不利なダイス修正を被ることとなる。
ソ連軍の増援は夜間ターンにのみボルガ河を超えてくるため、この”渡河チェック”は必須となる。

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第1ターン 第5~7インパルス
スターリングラード中央部には3個歩兵師団と複数個の装甲連隊が進撃した。ソ連軍が戦力集中のため予め後退していたためドイツ軍は容易に市街に取り付くことになった。

 

第8~10インパルス(夜間)

夜間インパルスの主役はソ連軍だ。夜間はドイツ軍のスツーカも出撃できないため、ソ連軍は増援をボルガ河を渡河させてスターリングラード市街に送り込むことができる。ただしやはりドイツ軍の砲撃が継続している状況のため、渡河にあたっては渡河チェックが必要となる。

第1ターンに登場するソ連軍の第13親衛狙撃兵師団は1万人規模の精鋭部隊で史実でもスターリングラード戦初期に投入されている。ゲーム中を通してソ連軍ユニットの中でも最強の戦闘力を有するのと、第1~3ターンの期間中においてソ連軍の中で唯一「ストームグループ」の使用が認められている部隊でもある。

ストームグループ

ストームグループはソ連軍が発動させることができる攻撃方法で、夜間ターンに市街地か森林エリアにおける攻撃にあたって戦闘解決のダイスの目に1D6の結果分を加算させることができる。効果をとってみれば、昼間におけるドイツ軍の航空支援と同じ効果といえる。ただし第1~3ターンまではソ連軍の中でも第13親衛狙撃兵師団の3ユニットのみが使用できるという制約がある。

前回プレイ時には全ユニットステップロスした状態のドイツ軍歩兵師団のフルスタック(4ユニット)に対して、この「ストームグループ」による攻撃が実施され、1個師団全て除去されるという戦果を上げている。損害の大きさにおののいたドイツ軍は市街地から損耗状態のユニットを引き上げるなど動揺が走った。

 

第13親衛狙撃兵師団はドイツ軍に占拠された「食糧サイロ」エリアの北方のエリア(中央ステーション付近)に上陸し、そのまま食糧サイロエリアに向かい進撃する。
精鋭とはいえ損耗が重なっていたドイツ軍第24装甲師団は後背に回られるのをおそれ、つぶしあいになって損害を重ねることを嫌い「食糧サイロ」エリアから退き、そのままソ連軍との対峙状態にはいった。

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第1ターン夜間インパルス(第8~10インパルス)
第13親衛狙撃兵師団はボルガ河を渡河し、第2ステーション付近からドイツ軍の後方に進出。食糧サイトを占拠していたドイツ軍第24装甲師団が後退したところで両勢力は衝突した。

第2ターン

第2ターン、ドイツ軍第71歩兵師団は主力が後退したことで手薄となっていた「ママエフクルガン」を突破し、ボルガ河畔まで進撃した。

ドイツ軍のボルガ河畔エリアに向けての攻撃が進行し、一方でソ連軍は戦力の集約と、集約したエリアでは「陣地」構築が行われていった。

第2ターンの昼間インパルスは、早々とドイツ軍が「兵站チェック」において「一時停止」の ダイスを出してしまい、攻勢活動がとれないままに夜間インパルスに突入。
夜間インパルスにおいてソ連軍も攻勢活動はとらなかったことから、大きな戦線の動きにはつながらなかった。

兵站上の理由による「一時停止」

ドイツ軍インパルスの最中に最初に振られるダイス2D6の目を「兵站チェック」といい、その値がその時のインパルス数より小さい場合、「昼」または「夜間」が終了することは説明したが、2D6の目の値がインパルス数と同じ値の場合、ドイツ軍は「一時停止」状態となり、次のインパルスから攻勢活動を行えなくなる。
「一時停止」状態の解除には、次のインパルス以降に同じようにインパルス数と同じダイスの目を出すか、ターンが終了することが必要となる。
特に前者なんてほぼ無理じゃない?という条件であるため、この時も、第6インパルスに「一時停止」状態となったドイツ軍は、その後、インパルス数と同じダイスの目を出すことができずに、ターン終了まで攻勢活動はできなくなっった。

 

第3ターン以降

ドイツ軍はいくつかの河岸エリアを占拠し、ソ連軍は防御力が高い市街地エリアに戦力を集中させた。ソ連軍は、ボルガ河を渡ってふんだんに送られてくる補充兵によりステップロスを回復させ、「陣地構築」を行った。戦闘が行われた市街地の多くでは「瓦礫」が発生するが、「瓦礫」や「陣地」はドイツ軍の航空支援の効果を減殺させる上に加えて防御効果があるため、そこに籠もるソ連軍の防御力を強化させることとなった。

 

ソ連軍が籠もる河畔の市街地を攻撃するドイツ軍は先導ユニットに強力な装甲連隊を置いたとしても戦闘力差がほとんど発生しない事態となっていく。勝敗はダイスの目勝負となり、攻撃側は攻撃失敗時のペナルティ(攻撃に参加した全ユニットがステップロスする)を恐れ、「アドバンテージ」を保有している時にしか攻撃ができなくなってしまった。 

 

それでもドイツ軍はソ連軍の防御が弱いところを穿つように攻撃を続けた。

やがてあちこちの河畔のエリアへドイツ軍は進出し、ボルガ河畔に追い詰められたソ連軍は分断されていった。
特にママエフクルガンを経由しての進出、中央駅を迂回した進出により、スターリングラード市の中心部は大きくドイツ軍の占拠下におかれることとなった。

この頃になると、ソ連軍が占拠したエリアはいずれもフルスタック状態となりスタック制限から、ソ連軍はボルガ河を超えて援軍を送れなくなってしまうというおかしな事態になった。もっとも援軍を送れる余地があったとしても、ママエフクルガンを失い、河畔エリアの半分近くを失った状態では渡河チェックでのペナルティが大きくなっていたことは疑いない。

河畔の戦闘のひとつでは、ドイツ軍が航空支援のダイスを含め戦闘結果のダイスの目で3個のダイスすべて6という目を出したことで、そのエリアのソ連フルスタックは事実上、吹き飛ばされるという事態も起こっている。

 

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第4ターン途中の状況(VASAALにて再現)。ドイツ軍がソ連軍の防御が少しでも弱いところを攻撃していったことで、ソ連軍は河畔に追い詰められ分断されていった。残ったエリアはフルスタック状態で「陣地」と「瓦礫」により強力な防御効果を持つ要塞と化していた。これにはさしもの強力なドイツ軍も攻撃を躊躇し、「アドバンテージ」による救済を助けに攻撃を仕掛ける状態になっていた。
一方でソ連軍はフルスタック状態となったため、これ以上の増援はスタックオーバーとなるためままならず、また河畔エリアの多くを占拠されたため、渡河チェックにもかなりのペナルティを要する状態となっていた。

 

時間の関係で4ターンに差し掛かったところで終了となった。この時点でドイツ軍のVPは6。第5ターン終了時にドイツ軍が10VP以上獲得するとドイツ軍の作戦的勝利、9VP未満はソ連軍の作戦的勝利となる。

実質あと2ターンがフルに近い状態に残っており、2エリア占拠すればドイツ軍の勝利(3エリア占拠だとサドンデス勝利の条件を満たす)。

第4ターンにドイツ軍は大規模な増援を得ているため第5ターンにはそれらの部隊も含め、総攻撃を仕掛けることが可能そうだ。一方のソ連軍も同様に増援を得ているのだが、占拠していエリアの制約のため部隊を送り込むことができないという事態になっているのは述べたとおり。

全体の趨勢ではドイツ軍有利な状況といえるのではないか。ただ夜インパルスの到来をチェックする「兵站チェック」で思わぬ値を出すなど、ダイスの目に左右されるのも事実。最後まで予断を許さない。

(了) 

 

 

 本ゲームと同じデザイナーによるエリア・インパルスシステムを用いた「伊江島1945」が収録された号です。いつか挑戦してみたい作品です。本誌のほうもエリア・インパルスシステムの歴史を紹介する記事など、参考になる号です。

 

*1:キャンペーンゲームは全10ターン。シナリオとしてはキャンペーンを2つに分割してそれぞれ5ターンずつのものが2本用意されています。