MMP社「BAPTISM BY FIRE」の対戦です。
ゲームはMMP社「BAPTISM BY FIRE」。副題にカセリーヌ峠の戦いとあるように、1943年2月から3月にかけての北アフリカ戦線チュニジアが舞台です。
このゲーム、MMP社が発売しているゲームシリーズの中で、BCS(Battalion Combat Series)のシリーズ2作目にあたります。1ヘックス=1キロ(ゲームによって異なり、本作では1ヘックス=1.6キロ)、1ユニット=大隊規模となっています。
選んだシナリオは「5.3 Mid Campaign」です。
「春の風」作戦冒頭、歴戦の枢軸軍はアメリカ軍第1機甲師団の戦闘団を圧倒し、結果としてアメリカ軍は相当の装備を失いカセリーヌ峠の北側まで撤退します。
枢軸軍はここで作戦目標の意見相違から足踏み状態となり、あらためて作戦目標の決裁を得て攻勢を再開したところからはじまるゲームになります。
以下は本ゲームのマップ(フルサイズ2枚)と今回のゲーム内での両軍の侵攻路を表したものです。
第1ターン(1943年2月19日)
天候はいきなりの雨。雨季は終了しているのですが、3分の1の確率で雨になります。
雨になると航空支援はなくなり、また各陸上部隊の移動は最大でも半分になるなど攻勢初期においてはけっこう痛手です。
ロンメルの督戦対象は第21装甲師団。
第10装甲師団はもとより、第21装甲師団についても連合軍の前線からはかなりはなれていたところからスタートになることと、”雨”の影響でこのターン内で前線にはたどりつけません。
唯一活動を行ったのは、いち早くカセリーヌ峠の近くまで進出していたカンペグルッペ”DAK”(以後、KG DAK)です。
KG DAKは、連合軍がカセリーヌ峠に埋設した地雷原を地道に啓開します。
連合軍はこのシナリオの前の段階で大損害を受けている戦闘団を中心に疲労度の回復に努めます(雨のため移動力半減状態で動くよりは、疲労度を回復したほうが得策と判断した模様)。
第2ターン(1943年2月20日)
天候は晴れ。さらに枢軸軍はダイスの結果、航空支援を最大値の6攻撃力得ます。
ロンメルの督戦対象は第21装甲師団。
中央戦線(カセリーヌ峠周辺)
カセリーヌ峠、連合軍の陣地に対してKG DAK、第21装甲師団配下の2個のKG(Kanpfgrupe)が攻撃を開始します。
準備砲撃の後、豊富な航空支援を得て峠の防衛線をすぐに突破、そのまま幹線道路沿いに進撃する部隊はアメリカ軍部隊を文字とおり蹴散らします。アメリカ軍は弱く、後方に回り込んだ先頭集団はそのままアメリカ軍戦闘団の司令部ユニットや補給段列ユニットを襲い、後退させることにより戦闘団の活動状態を麻痺状態に追い込みます。さらには後方から急行してきたアメリカ軍の増援のフォーメーションも退けたほどです。
ロンメルの督戦がはいった第21装甲師団の各KGばかりか、KG DAKも好調で第2活性化まで成功します。しかもKG DAKはかなり戦闘を行ったにもかかわらず、疲労度増加チェックもパスするなど絶好調、第21装甲師団を上回る進撃を見せます。
当初は第21装甲師団を先頭にしてKG DAKは側面防御も含めた配置を考えていたのですが、ここで両方の部隊ともうまく行き過ぎたところがありますね。またKG DAKはダイスの目も良く疲労度の蓄積を回避できていたのですが、第21装甲師団のほうは行動した分、疲労度があがっていたことが気になっていました。
東部戦線(第10装甲師団前面:Sbiba方面)
第10装甲師団は配下の3個KGのうち、2個を幹線道路を経由して正面から、1個を未舗装道路経由(補給状態が悪いためSUNAF判定(部隊活動判定)の際に悪影響がある)で側面から進撃させます。
ここでもアメリカ軍は強くはなかったのですが、門番のようにSbiba前面の左右に配備されたイギリス近衛旅団の2個歩兵大隊が、手厚く対戦車砲大隊2個の支援を受け守備しており、これらを排除しなければ枢軸軍は前進できない状態になっていました。
第3ターンまでかけ、波状攻撃の末、ようやくSibibaへの道を啓開します
表面上はあまり変わらないように見えて支援の有無など、アメリカ軍とイギリス軍とで粘り強さに違いが出ているのが興味深いです。
西部戦線(Thelepte、Bou Chebka方面)
勝利条件の選択の結果、ロンメルの推す西方突破案が採用されていた場合は重要な地域になったのでしょうが、今回は守備的な北方攻勢が攻勢目標となったため、主攻軸から外れる地域です。
連合軍側は自由フランス軍の1個師団が守備をしており、枢軸側はイタリア軍のチェンタウロ戦車師団を配置しています。
KG DAKの補給線がここの幹線道路を通っているため、守備をなくしてがら空きにもできずに1個師団を守備に置いている状態です。非常にもったいないです。
手持ち無沙汰に、イタリア軍の戦車大隊を前進させ、山間に位置した自由フランス軍に攻撃を仕掛けます。
相手には対戦車部隊がいないため一方的な「直接射撃(Attack by Fire)」での解決となり、サイの目が飛び抜けて良く、イタリア軍2個戦車大隊の攻撃により、自由フランス軍の1個歩兵大隊が除去となります。
まぁもっともイタリア軍側も、仮にその山間の陣地を抜けて連合軍の補給線を脅かすような進撃ができるほどの戦力も気力もないことからこの場はこれ以上の進展はないでしょう。
第3ターン(1943年2月21日)
天候は晴れ、双方航空支援を決め、補充を受け取ります。
ロンメルの督戦対象は第21装甲師団です。
中央戦線(カセリーヌ峠周辺)
主戦場はカセリーヌ峠を遥かに越え、北方のThalaに近づいています。Thalaは攻勢目標が西方突破の場合も北方攻勢の場合も両方の場合においても占拠によるポイントを得られる重要な拠点です。
第21装甲師団とKG DAKの進撃は好調で、前述した通り当初、側面支援をやらせようとしていたKG DAKの全力を投入したくなるほど最前線の進撃は続いたのでした。
この時点でこれらの部隊の側面がアメリカ軍の横撃にあうことも考慮していたのですが、① アメリカ軍のSNAFU判定や第2活性化判定において早々良い結果が出るものではない。アメリカ軍が攻撃してくるにしても1ターン後ではないか、② アメリカ軍の増援が登場する山間部は幹線道路がないため補給などの面でペナルティがあり行動の自由が制約されるのではないか、といった楽観的な思いから側面防御ではなく、前進を選んだのでした。このあたりの感覚はゲームシステムへの馴れとして、つかめてくるのでしょうが、それがなかったことによる判断ミスというところでしょうか。
3ターン終了間際、アメリカ軍の2個戦闘団が西側の山間部を越え、活性化関係のダイスで良い目が連発したこともあり、急侵攻を行ってきた。その先頭集団は、第21装甲師団やKG DAKの補給線が通る幹線道路を数カ所にわたった占拠します。
アメリカ軍が侵攻してきた後方には88ミリ対戦車砲を備えた部隊などを残していたのですが、88ミリ砲はトラック移動の部隊には有効でも、徒歩で接近する部隊には効果がありませんでした。
次のターン、枢軸軍が反撃するにしても、補給線を絶たれ行動の制約を受ける中、前線の部隊を取って返し、また、幹線道路を占拠する複数個のアメリカ軍歩兵大隊ユニット(それぞれ6ステップ)を排除するのは非常に難しいと判断し、ここで投了としました。
感想
絶好調の進撃途中に横撃をくらって、一転あっさりと敗北してしまいました。
部隊活動のチェック(SNAFU判定)から、第2活性化までの判定の中で部隊がどのように動くのか、や複数の戦闘方法を選択しながら進めていく戦闘など独特のゲーム内容が理解できただけ良しとしましょう。
ゲームシステムへの慣れは必要ですが、戦闘時に戦闘方式を選択しながら進めていく戦術級要素などもある点が面白いです。また異なるフォーメーション間での補給線の重複や担当エリアの重複でペナルティがあったり、戦闘後前進時の混乱など、複数の部隊が活動する中で起こり得る障害までルール化している点もユニークです。部隊数が少ない、本ゲームレベルでこうなのですから、バルジ作戦を扱った「LAST BLITZKRIEG」などどうなることやらと思わざるを得ません。いつか挑戦してみたいものです。
その前にシリーズ第3作になる「BRAZEN CHARIOTS: BATTLES FOR TOBRUK,1941」の対戦をTさんと約して終了となりました。
(おしまい)
千葉会、対戦。
— yuishikani (@yuishikani1) 2020年9月19日
MMP "BAPTISM BY FIRE" Scenario 5.3 Mid Campaign.
ドイツ軍(黄色)&イタリア軍(青緑)が、カセリーヌの町を越えて峠道を守るアメリカ軍(緑色)に向けて進撃する図。#ウォーゲーム #MultiManPub pic.twitter.com/eVeX2nIzH1
第2ターン(1943/02/20)終了時、峠道の突破は成り、ドイツアフリカ軍団は大きく北方への進出路を確保する。
— yuishikani (@yuishikani1) 2020年9月19日
アメリカ軍は脆かった。 pic.twitter.com/0EJGFCDchV
カセリーヌ峠から東側、山向こうの戦線。
— yuishikani (@yuishikani1) 2020年9月19日
独第10装甲師団(黄土色)の攻撃にイギリス軍(赤&エンジ色)が対戦車砲を並べて頑強に抵抗する。中央に(わかりづらいが)、ティガーⅠを装備した第501重戦車大隊がおり、その先にイギリス軍の複数の戦車大隊が反撃のタイミングをはかっている。 pic.twitter.com/yqqpz4bF5k
第3ターン(1943/02/21)も大きく(マップ上端近くまで)突破前進をはかったドイツアフリカ軍団だが、同日遅くにアメリカ軍第1師団他が横合いから突出し、補給線を寸断され、早々に攻撃の継続を断念した。
— yuishikani (@yuishikani1) 2020年9月19日
まぁアメリカ軍の攻撃はあと一巡後だろうと慢心したのが敗因です。 pic.twitter.com/XvRh0dLabR