Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

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『ミリタリー・クラシックス 81号』を読む

 

2023年春号と少々古いですが、書いそびれていた号を最近入手して読んだところ非常に面白かったので、記事にしています。『ミリタリー・クラシックス』らしい濃密な内容で、ウォーゲーマー視点でも読み応えがありました。 

 

 

第1特集:ドイツ突撃砲と突撃戦車 

第1特集は、ドイツ軍の突撃砲と突撃戦車。さまざまな車台に多様な火砲を搭載した自走砲の開発史から技術的発展、編成・戦術といった運用面、戦史の中での活動が詳細に解説されています。 

特に、Ⅲ号戦車の車台を基盤にしたⅢ突撃砲は、ミリタリーファンにはお馴染みなばかりか、サブカル領域へも露出が少なくなく、アニメ『ガールズ&パンツァー』で主役級の装備として登場、また宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』でもミリタリーファンが見ればこれはⅢ号突撃砲じゃね?(しかも短砲身型というマニアックな選択)という装甲車両がトルメキアに登場します。余談ですが原作コミックにはこの装甲車両では登場せずアニメ版で初登場だった訳ですが、初見の映画館で驚いた覚えがあります・・。ミリクラ本誌の中でこうしたサブカル領域のことが書かれている訳ではないです 。

なお今回の記事で、Ⅳ号駆逐戦車とⅣ号突撃砲が別物とはじめてわかりました。

 

ウォーゲーマー(特に戦術級好き)にとってはⅢ号突撃砲は欠かせない存在でしょう。 
最近プレイしたGMT Gamesの『Fighting Formations』でも、ドイツ軍の主力装甲車両として登場し、アメリカ軍やソ連軍の戦車と互角以上に渡り合う姿が印象的でした。

本特集では、Ⅲ号・Ⅳ号突撃砲に加え、榴弾砲を搭載した市街戦用途の突撃砲(例:突撃榴弾砲)についても詳しく紹介。戦術・戦法の解説は特に良く、『Advanced Squad Leader(ASL)』などのウォーゲームにそのまま応用できそうな実践的な内容が満載でした。図版も豊富でビジュアル面でも満足度が高いです。 

Ⅲ突の話ばかり書いていますが、記事はそれ以外の車両も等しく紹介していますし、むしろそちらが面白かったです(Ⅲ突は別号では単体で特集されていますしね)。

 

『Fighting Formation』(GMT GAMES)に主力として登場するⅢ号突撃砲G型。固定砲であることの弱点を除けばアメリカ軍のM4よりわずかだが凌駕する性能。

『GIRLS & PANZER』に登場するⅢ号突撃砲。主人公チームの乗る車両よりも強力なのでゲーム内では載せ替えるのが順当?

ASLでは今回紹介されているほとんどの車両が登場していると思われるので割愛(というか面倒だったので省略)

 

 

第2特集:九九式双発軽爆撃機 

第2特集は、日本陸軍が運用した九九式双発軽爆撃機を取り上げています。個人的にはこの特集が本号のハイライトでした。こちらを紹介したくて記事にしています。 
日本陸軍爆撃機は地味な印象があり、中国大陸での運用が主というイメージが強かったのですが、この特集を読んでその認識が変わりました。 

九九式双発軽爆は、陸軍航空隊の活動範囲で広く活躍していたことがわかり、戦争中期以降の二型では急降下爆撃が可能な仕様に改良されていた点に驚きました。記事では、ドイツのJu-88に似た汎用性を持つ機体として紹介されており、性能面でも他国の同クラス機(特にイギリスのブリストルブレニム)と比較しても遜色ないことが強調されています。ブレニム自体が突出した性能を持つ機体ではないものの、九九式も中庸ながら堅実な設計だったようです。運用例や技術的特徴の解説は、新たな発見がある内容でした。
搭乗乗員の数や役割分担の話や防御用の機銃(機首、操縦席後席、機体後方の3か所)の話などはミリクラならではの詳細さをもって説明されないとなかなか見えてこない話です。*1

 

ウォーゲームでの登場 

九九式双発軽爆に興味を持ったので、ウォーゲームでの登場を調べてみました。以下は主なゲームでの確認結果です: 

  • Wing Leaderシリーズ(GMT Games):拡張版の『Wing Leader: Eagles』に登場。 
  • Wild Blue Yonderシリーズ(GMT Games):シリーズ作の『IMPERIAL EAGLES』に収録。陸軍機の中では機数は最も多く登場とかなんとか・・。
  • Air Forceシリーズ(Avalon Hill):登場なし

 

『Wing Leader: Eagles』に収録された、九九式双発軽爆撃機(Ki-48)が登場するシナリオ。イギリス海軍の太平洋艦隊に対する特攻機として登場と、残念なシチュエーション。対抗はシーファイアヘルキャット、コルセアということなので逃れられる気がしない・・

 

これらのゲームで本機種を試してみたいと思うほど、特集記事は機体の魅力を紹介していました。

 

総評 

2つの特集記事は本誌の手慣れた構成で、技術的な解説にはじまり、戦術論や運用、また戦績や、他国の類似兵器との比較など多方面からの分析があり、すぐに参考にできる資料的な価値も高い内容でした。 

(終わり) 

 

*1:特攻用で運用する場合は、乗員1名であった、という話など