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【蔵出し】『解放者:共和制ローマの終焉 Liberatores: The Conspiracy to Liberate Rome』を対戦する

 

注意!

プレイ済みですが記事にしていなかった作品を【蔵出し】として紹介します。ルールを十分に把握できていないものや、消化不良のプレイも含まれていますので、そうした前提で雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。

 

台湾のMoaideas Game Designによる正体隠匿型ボードゲーム『解放者:共和制ローマの終焉』を対戦しました。

 

ゲームの背景

本作の舞台は共和制ローマ末期。ガリア遠征で勝利を収めたユリウス・カエサルが絶大な権力を握り、元老院と丁々発止の政治的駆け引きを繰り広げていた時代です。
プレイヤーは元老院議員となり、それぞれ異なる政治的立場から権力闘争に参加することになります。
プレイ人数: 3~6人(推奨は5~6人)
ゲームの性質上、人数が多いほうがより面白く遊べる作品です。

 

ゲームシステムの概要

正体隠匿システム

ゲーム開始時に配られる「正体カード」により、各プレイヤーは以下の3つの陣営に分かれます。この正体はゲーム終了まで秘匿され、疑心暗鬼の中でゲームが進行します。

6人プレイの場合の陣営構成:
  • 共和主義者(3人)
    カエサルの権力増大に危機感を抱く伝統的元老院派閥。ローマ市民からの支持を集め、カエサルを失脚させることが勝利条件です。
  • 間者(1人)
    カエサルの忠実な信奉者で、元老院に潜入したスパイ的存在。他勢力の妨害工作を行い、最終的にカエサルへの市民支持を最大化することを目指します。
  • 対抗者(ライバル)(2人)
    カエサルの失脚を望む点では共和主義者と同じですが、真の目的は自らがカエサルに取って代わり権力を掌握すること。独自の野心を持つ第三勢力です。

ゲームボードと得点システム

プレイボードには左右に伸びる得点トラックが配置されており、これが元老院内の政治的勢力図を表現しています。トラックの位置により、カエサル支持派が優勢なのか、それとも共和主義支持派(ゲーム内では「解放者」と呼ばれる)が優勢なのかが一目で分かるようになっています。

 

 

市民カードとアクション選択

市民カードは山札として用意され、常に場に3枚が公開されています。手番プレイヤーはこれらのカードを使って以下のいずれかのアクションを実行します。

  1. 推挙アクション
    場の市民カード1枚をカエサルに推挙する(収入を得られる)
  2. 買収アクション
    場の市民カード1枚を資金を支払って買収し、共和主義側(解放者側)につかせる
  3. 雇用アクション
    場の市民カード1枚を自分の個人デッキに加える

影響力システムと特殊能力

各市民カードには「影響力ポイント」が記載されており、カエサル側または解放者側に配置されたカードのポイント合計が、それぞれの勢力の支持状況としてゲームボード上に反映されます。
カードには多様な特殊能力やイベント効果が設定されており、定められたタイミングで発動させることができます。

プレイヤーシートと市民カード
市民カードの効果は様々あるのだが、ヒストリカルなものはなくゲーム的な内容になっている

 

ジレンマ要素:面従腹背の関係性

本作の仕掛けとして、共和主義側に市民を買収するには資金が必要ですが、その主な収入源はカエサルに市民を推挙した場合にえられる報奨金に限られます(他に市民カードの特殊能力やイベントによる収入も存在)。
このため、「共和主義者」プレイヤーは共和主義側の支持を拡大するためには、皮肉にもカエサルに市民を推挙して資金を得るという面従腹背の行動を取らざるを得ません。この経済的ジレンマが正体を隠す助けとなり、ゲームに深みを与えています。

史実の人物の登場

ゲーム終盤には、マルクス・アントニウスマルクス・ブルータスといった史実上の重要人物が市民カードとして登場します。

ゲームの終了と勝利条件

市民カードの操作を7ラウンド実施後、ゲームは終了します。

勝利判定:
  • カエサル支持が多い場合 → 「間者」プレイヤーの勝利
  • 解放者側支持が多い場合 → さらに「共和主義者」と「対抗者」のそれぞれの個人支持ポイントを比較し、より多くの支持を集めたプレイヤーが勝利

 

プレイ後の感想

テーマ性とゲームメカニクスの乖離

ローマを舞台にした政治ゲームという題材は魅力的に聞こえますが、実際のゲームシステムは派閥への支持を集めるという仕組みがユーロゲーム的なメカニズムの中に抽象化されています。そのため、実際の古代ローマの政治抗争からはかなり離れた印象を受けました。
歴史的なフレーバーは存在するもののそれさえもかなり限定的で、ゲームプレイ自体に歴史的リアリティを感じることは難しく、テーマとメカニクスの融合という点では物足りなさが残ります。

ゲームメカニクスの評価

ゲーム性に着目すると、市民カードを用いたデッキビルド要素が中心となっています。カード個別の具体性はあるものの、シミュレーション的な要素は皆無です。そのため、プレイ中に「一体何のゲームをしているのだろう?」という感覚に陥る瞬間がありました。
カードの効果も様々用意されている分、かなり複雑で、ゲーム展開や勝利への道筋が読みづらく、その分、難易度は高めの印象です。

リプレイ性と習熟度

もちろん、繰り返しプレイすることで参加者全員が習熟すれば、より戦略的で面白い展開が生まれる可能性はあります。しかし、6人ものプレイヤーを集めて繰り返し遊び込むほどの魅力があるかというと、やや疑問が残るというのが正直な感想です。

翻訳の問題?

今回記事を書くにあたり日本語ルールブックを参照しました(プレイ当日はインストラクションを受けてプレイ)が、訳語がしっくりこない箇所がいくつか見受けられました。
本作のオリジナルは台湾製ですが、もしかすると原作にあったヒストリカルな雰囲気や表現のニュアンスが、翻訳の過程で損なわれているのではないかという印象を受けました(用語や表現を歴史用語に寄せていない印象)。

 

(終わり)

 

 

 

共和制ローマの政争劇といえば、コレ!といった作品。オリジナルは1990年頃でその後再販された。プレイヤーは共和制ローマ元老院の派閥を率いる政治家として活動する。通常は政争を続ける元老(プレイヤー)たちも、共和国の国難(対外戦争)にあたっては一致団結する必要があるという熱い展開を見せます。

 

カエサルが登場するウォーゲーム。ガリア戦記に描かれたアレシア包囲戦を扱った作品

 

カエサルによるガリア遠征を反ローマのガリア人種族、親ローマのガリア人種族、さらにゲルマン人種族の4勢力の争いとして描いたマルチプレイヤーゲーム