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「LIBERTY ROADS」(HEXASIM)を対戦する【2戦目】【1/2】

 

『LIBERTY ROADS』(HEXASIM)を対戦しました。今回も連合軍を担当し、前回同様プレイ感は好印象でしたが、ゲームへの理解が大きく変わりました。一言で言えば、「甘く見ていました」。

前回のプレイでは、ドイツ軍がヒトラー総統の信任状態を常に意識し、防御だけでなく積極的な攻撃を求められるのに対し、連合軍にはそのような明確な「縛り」がないと感じていました。補給ルールも比較的シンプルで、ノルマンディー戦や西部戦線をテーマにしたゲームでよく見られる補給に関する制約も少ない印象でした。しかし、今回のプレイで連合軍にも独自の「縛り」が存在することが明らかになり、その見方が一変しました。

以上、システム紹介と前回対戦時の内容

 

 

 

連合軍の二つの制約

連合軍の戦略的な制約は、主に以下の二つの要素に集約されます。

1. 「PLUTO」システムの存在

  「PLUTO」は連合軍が実際にイギリス本土からフランスまで海底を通して設置した燃料供給ラインの名称です。本作では通常の補給ルールとは別に連合軍にだけロジスティクスルールとしてこの実在のパイプラインから名をとったルールが適用されます。

PLUTOカウンター」は、連合軍の上陸成功後、ドイツ軍ユニットの存在にも構わず設置することができます。連合軍が航空支援などの強力な「戦術チット」を使用する際には、「PLUTOカウンター」から一定距離(3ヘックス)内に位置する必要があります。序盤は戦場が限定されているため問題ありませんが、戦線が拡大していくにつれ、「PLUTO」カウンターを戦線に追随して移動させないと、連合軍は戦闘支援を効果的に活用できなくなります。
問題は「PLUTO」カウンターの移動は簡単ではない点です。通常のユニットのように自由に動かせず、1ヘックス移動させるだけで(なるべく戦闘に使いたい)貴重な「支援チット」を消費します。カバー範囲も限られており、戦線拡大に伴い主攻軸をどこに置くかの判断が求められます。

2. 港湾の確保と修復

連合軍の補給源はイギリス本土にあり、前線の部隊は港湾を通じて補給を受けます。上陸後、複数の港湾を確保する必要がありますが、特にキャパシティの大きい「大港湾」は占領だけでは不十分で、工兵ユニットによる修復作業(ダイスチェックが必要)が必要です。この作業を怠ると、「支援チット」の利用可能数が制限され、戦闘能力に直結します。

 

連合軍の戦略的連鎖

連合軍が戦線を拡大し、勝利を目指すためには以下の流れが不可欠です:

  • 港湾の占領と修復(工兵部隊が必要)→「支援チット」の数の確保
  • PLUTO」カウンターの前線追随→「支援チット」の前線での利用可能化
  • 「支援チット」の消費→「PLUTO」カウンターの移動

この連鎖を効率的に進めるには、数ターン先を見据えた緻密な計画が求められます。例えば、港湾占領した後でイギリス本土から工兵部隊を呼び寄せると部隊の到着まで修復が遅れます。このため、事前に工兵ユニットを上陸させておく必要があります。また、戦線の移動速度に合わせて「PLUTO」カウンターを適切に配置しなければ、せっかくの前進も支援不足で停滞シかねません(ドイツ軍による反撃の機会を与えることになってしまいます)。

 

プレイでの気づき

今回のプレイでは、戦線拡大のタイミング(史実のアブラッシュやファレーズでの突破に相当)で「PLUTO」カウンターの移動が十分に追いつかず、前線部隊が航空支援の効果範囲外におかれてしまいました。これにより、ドイツ軍がセーヌ河沿いに展開した戦線を突破することはおろか、ドイツ軍の反攻を許し、総統信任を維持するための攻撃の機会を与えてしまいました。
前回プレイでは、戦線拡大時にイギリス軍の前面にドイツ軍が残っていたため、「PLUTO」カウンターの移動が不要で、この制約が顕在化しなかったのです。

 

まとめ

『LIBERTY ROADS』では、ドイツ軍だけでなく連合軍にも独自の「縛り」が存在すると言えます。ドイツ軍の信任維持とは異なる形で、連合軍は「PLUTO」システムと港湾管理を通じて、複数ターンにわたる長期的な計画を求められます。この構造は、キャンペーンゲームを通じて真価を発揮するでしょう。特に、「PLUTO」カウンターの移動タイミングをいかに素早く、適切に判断するかが勝敗を分ける鍵だと感じました。

 

対戦記

マップ全景。左手が北。
初期配置は指定。部隊ユニットは師団単位。ユニットデザインもそうだが、マップが美しい。

 

第1ターン(1944年6月上旬)

前回記事では「次回プレイには他の上陸地点も考慮したい」と書いたのですが、今回も消去法で史実と同様に、また前回と同じノルマンディー地方を上陸地点に選ぶことになりました。

  上陸可能なユニット数、イギリス本土からのエア・カバーの状況(空挺降下を実施できる)、選択できる「D-Dayチット」の数、ドイツ軍の海岸防御状況などを判断すると、結果的にそうなっちゃうんですよね。

 

コタンタン半島の付け根の湿地帯に降下したアメリカ第82空挺師団は降下チェックの結果、失敗し全滅した。空挺部隊の降下作戦は1/3~1/2の確率で部隊ユニットごと全滅してしまうことを考慮すると、残る2個師団(アメリカ第101空挺師団、イギリス第1空挺旅団)が成功したのは妥当なところといえるだろう。

 

3か所の海岸ヘックスに第1次上陸部隊に指定された各2個師団で合計6個師団が上陸を試みます。

  本作のケレン味ある演出として、連合軍には「D-Dayチット」、ドイツ軍には「大西洋の壁チット」と呼ばれる上陸戦闘時にのみ使用する特別なチットが用意されています。それぞれ上陸戦闘解決時に特別な効果や相手のチットの効果を打ち消す能力があり、連合軍は選択することができ、ドイツ軍はランダムドローとなります。相手が選んだチットとの相性があるため、当たり外れがあり、選ばれた/ドローされたチットが開示される瞬間は盛り上がります。

  連合軍は手堅く、戦闘解決時の戦力比率のシフトを実施できる「艦砲射撃」「航空支援」は3か所いずれについても選択し、残りは”色物系”の「レンジャー*1」や「特殊工作戦車*2」などを選びました。対するドイツ軍はランダムドローなためあたりはずれがあります。例えば「ブンカー(Bunker)」は連合軍の「艦砲射撃」の効果を打ち消し、「高射砲」であれば「航空支援」が無効になるといった関係性です。

結果的に第一次上陸は多少の損害を伴うものの成功し、戦車師団を含む9個師団がさらに第二次上陸としてノルマンディーに進出しました。

アメリカ軍が上陸した2つの海岸はドイツ軍の抵抗も少なかったこともあり、展開に成功しますが、カーンの前面に上陸したイギリス軍は強力なドイツ軍の抵抗にあうことになります。

第1ターン終了時
連合軍の東翼側のイギリス軍の前面には強力な装甲師団が集結中。
カーンには名高い「装甲教導師団(パンツァーレイヤー)」が入城することで、防御を固めた。

 

(つづく)

 

 

 

 

*1:レンジャーはアメリカ軍用の特殊部隊、対してイギリス軍用には「コマンド」というチットが用意されている(こだわるなぁ)。効果は同じで上陸戦闘解決時のダイスの目+1なので賑やかし程度の内容。これらに対抗するドイツ軍のチットとして「地雷原」が用意されている

*2:イギリス軍が装備したじゅうたん戦車とか地雷原除去用の回転鎖をもった戦車とかそういう変わり種戦車装備を表す。効果としては戦闘解決時に+2のダイス修正というもの。これも英米でチットが別に用意されていて、こちらはイギリス軍用、アメリカ軍用には「水陸両用戦車チット」が同じ効果を持つ。ドイツ軍側での対抗するチットとしては「ヘッジホッグ(海岸障害物)チット」がある