Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム、ボードゲーム

「IMPERIAL STRUGGLE」(GMT)を対戦する(1)

18世紀のイギリスとフランスの覇権争いを扱った「IMPERIAL STRUGGLE」(GMT)を対戦しました。2020年に発売され、あちこちでプレイされていた作品です。おくればせながら対戦の機会を得られました。

 

 

 

人気ゲームであるあかしとして、BGG(https://boardgamegeek.com/)のフォーラムの投稿数は1000件を超えています(2022年8月末調べ)。ルールのチェックでもしようか、と眺めるには多すぎる件数です。BGG評点は8.3。BGGの評点は最近発売されるゲームについて、軒並み8点台以上とインフレするので、8点台だからというだけでは手放しに評価することはできないのですが、本ゲームについて言えば、これだけ多数プレイされているにも関わらず、それでもなお高得点を維持できている、ということで逆説的に良ゲーといえるのかもしれません。

プレイに先立って有志による日本語化マニュアルを読み始めたのですが、これがいきなりとっつきにくい。別冊のプレイエイド(リプレイが記述されている)を読めば少しは理解できると思ったのですが、これはこれで「ラジがXXにXXマーカーを置くと、イライザはうめき声をあげます・・・。」とか「ラジはたじろぎます」とか妙にプレイヤー自らの生々しい描写が挟まれていたりして、プレイ内容にさっぱり注意がいかないのです。そういうのは無味乾燥でいいんだよ、と思わずうめき声をあげます。

日本語訳が悪いという訳ではなく、システム自体が少々わかりにくいようです。新しいシステムというのはどうしても説明が難しくなるということでしょうか。

 

補足:

結果としては、”習うより慣れろ”というタイプのゲームでした。ルールブックを読み込んで理解しようとするよりも、プレイ経験がある人が近くにいるのであればインストールしてもらったほうが遥かに早いです。

インストしてくれる人が近くにいない場合は、まずは並べてみるのが早いかな。総合的には決して難易度が高いタイプのゲームではないように感じました。

 

ゲームの背景(ゲーム紹介の抜粋訳、適宜補注)

1697年、太陽王ルイ14世は10年にも及んだ大同盟戦争(1688年-1697年)から解放されたものの、依然として大陸への野望を抱いたままであった。イギリス王ウィリアム3世は、新しい王座に座り、これまでよりも楽に過ごしていた*1。スペインの後継者問題が解決されないままの新世紀は静かなものになるとは思われていなかった。しかしながらフランスもイギリスも、この先、第二次百年戦争と呼ばれるまで争いが継続し、この二つのライバル国同士があらゆる軸で激しく、そして誇らしく競い合うことになるとは予想だにしていなかっただろう。インドからカナダ、カリブ海に至る戦場で、両国の軍隊と艦隊が衝突し、パリのサロンやロンドンの喫茶店で、近代世界の政治と経済が生まれ、ついには社会の根幹を揺るがす革命が起こる。この革命は、血と恐怖で終わるのではなく、民主主義と自由の勝利で終わり、想像を超えた世界の変化をもたらしたかもしれないのだ。

 

このゲームは1697年、スペイン王が後継者を指名するのを両国で戦々恐々と待つところにはじまり、1789年に新しい秩序がバスティーユを崩壊させたところで終了します。フランスとイギリスは、植民地時代の富の基礎を築き、ヨーロッパの他の国々を相手にし、栄光を競い合います。

プレイヤーは平和なターンにおいて、経済的な利益と同盟を築き、イベントカードに表された歴史的な出来事を利用します。プレイヤーは何にリソースを注入するのか(ゲーム内では「投資」とされる)を選択しなければなりませんが、同時に、相手にその機会を与えないようにすることも重要です。戦争ターンでは、各戦場は征服と名声という大きな報酬をもたらしますが、領土の獲得は外交のテーブル(条約)で消えてしまうこともあります。世紀末には、イギリスが日の沈まない帝国を支配することになるのでしょうか?それとも、フランスが太陽王の夢の超大国として、あるいはラファイエットの夢の共和国として、世界の道を照らすのでしょうか?

 

 

 

非常に美しいマップデザイン。しかもハードマップと豪勢なコンポーネントになっている。右上から時計回りに、英仏両国が覇を競い合った欧州、インド、カリブ海、北アメリカのマップになっている。エリア内にある拠点で青色はゲームスタート時のフランス勢力下(影響下)、赤色はイギリス勢力下にあることを表す。
各エリア毎にターン終了時に自国勢力下にある拠点数を比較して、優勢側はVPを得る。黄色は選択ルールで登場するスペイン帝国を表す。
各拠点は、ゲーム中登場する産物の産地などの経済の拠点、または軍事拠点、さらには外交相手となる他国を表す(それぞれ拠点の形、丸とか四角、六角形によって区別)

 

平時ターンと戦争のターン

プレイヤーはイギリス・フランスの指導者になります。

ゲームは1697年から1789年の92年間を全6ターンで扱います。6つのターンは「平時ターン」と呼ばれ、途中に4回の大きな戦争が発生することになっています。

順番に並べると次のようになります。

平時ターンでは「外交」「経済活動」「軍事活動」を行うのですが、第1ターンが終了すると「スペイン継承戦争」が自動的に発生します。回避はできません。戦争は外交や経済活動や軍事活動の結果として起こるのであって、先に発生することが決まる訳ではないのではないかと言われそうですが、これらの4回の戦争は必ず発生し、都度、結果が判定され、領土獲得(平時ターンの活動では領土のやりとりは通常発生しない)、大掛かりな勝利ポイントの獲得などが行なわれることになります。平時ターンではこれらの”予定された”戦争に向けた準備も重要な活動になるでしょう。

戦争結果が判定されると平時ターンである第2ターンが開始されます。

メジャー戦争があるのであればマイナー戦争もあるのではないかということで、イベントカードによって史実で起きたマイナーな戦争が発生することがあります(大北方戦争ポーランド継承戦争など多数!)。ただしこれらのマイナーな戦争はイベントカードによって戦争結果とその影響が処理されるため、”メジャー戦争”のように勝敗そのものから決めていくようなことはありません。

 

国のリソースを「外交」「経済」「軍事」のそれぞれに投入する

「プレイヤーは何にリソースを注入するのかを選択しなければなりません」と書きましたが、対象として「外交」「経済」「軍事」の3領域があります。なおリソースを投入することをゲーム内では「投資」と呼んでいます。

平時ターンの各ターン終了時に、各エリア毎に自勢力影響下にある拠点数がカウントされその数により各エリア毎(「ヨーロッパ」「カリブ海」など)に優劣を決め、VPを得ます。

「外交」では他国を自勢力の友好勢力にしたり、また相手の外交活動を妨害することができます。「外交」の対象となる国家はこの時代、欧州に集中していますので活動の中心はヨーロッパになるでしょう。少数ではありますが、「インド」や「北アメリカ」では現地民の政府、「カリブ海」では海賊国が「外交」の対象として登場します。

軍事的・地政学的に有力な国家と友好状態になることにより、来るべき戦争の際に有利に働くこともあります。

「経済」拠点はその名の通り一次産品の生産を行う拠点です。英仏両国が競う一次産品として「毛皮」「漁業」「たばこ」「砂糖」「綿花」「スパイス」の6種類が登場し、それぞれを生産する拠点が、「北アメリカ」「カリブ海」「インド」の各エリアに地域的な特性の上、点在しています。

各ターンの冒頭に、そのターンの得点対象となる産品がランダムに3種類選択されます。ターン終了時に得点対象となった産品について多くの生産拠点を確保していた側にVPが加算されます(得点対象となった産品毎に優劣が決められ得点される)。

「軍事」拠点として港湾と「要塞」拠点が登場します。港湾は全てのエリアに登場しますが、「要塞」が登場するのはヨーロッパ以外の植民地エリアになります。港湾拠点を抑える存在として「艦隊」ユニットが登場します。

 

ポイントは外交の対象となる拠点(国や領土)は「外交」、経済拠点は「経済」、軍事拠点は「軍事」とそれぞれ自勢力下に置くための手法が異なるのです。よくあるウォーゲームのように、産品の産地を軍事的に占領することでその産品の生産力を獲得できるという構造にはなっていません。3つの投資対象を組み合わせて勢力を伸ばしていくことが必要になります。

各ターンではフランス・イギリスは相互に4回のアクションを実施できます。ここでこのゲームは「投資タイル」というユニークな方法を使います。

ターンの最初に9枚の投資タイルを表向きに並べ、先攻のプレイヤーから好きなタイルを交互にとっていき、その内容を解決、つまり記載されたポイント内でアクションを行うのです。

各投資タイルには、メジャーアクションとマイナーアクションの2種類のポイントが記載されており、続け様に実行できます。ポイントはさきほどの3種類のいずれかのポイントになっています。「外交」施策を行うには「外交」マークがある投資タイルを選ぶ必要があります。

またイベントカードを発動することができることが示されている投資タイルを引くと、プレイヤーはイベントが記載された手札(通常3枚保有)を使ってイベントを発生させることが可能になります。

投資タイルの内容はタイルによって、投資先が異なる。記載されたポイントが異なる。イベントカードの発動など副次的な効果が異なる、ということになります。つまりタイルによって条件がかなりことなりますので、どのタイルから順番に使っていくのかを考える必要があるでしょう。

アクションの先攻・後攻はVPが劣勢にある側が選べることになっています。

先攻をとれば、有利に「投資タイル」を選択することができるでしょう。特に特定の投資領域のタイルが少ない場合や、イベントを発動できるタイルが少ない場合などは、先攻を取ることで先に選択できるというのは大きなアドバンテージになります。

一方で後攻の場合は先攻側の結果を見て最後のアクションを実施できるという強みがあります。各ターンの最後のアクションになる4回目のアクションにおいて、先攻側の行動を見た上で、その直後のポイント計算で得点できないように状況をひっくり返したり、また先攻側に妨害されないアクションを実施できるという点は後攻の強みです。

 

投資タイルのひとつ。上段(メジャーアクション)にあるのは「経済」の投資を表し(お金のシンボル)ポイントは3です。下段(マイナーアクション)は「軍事」のシンボル(当時の手榴弾だそうです)でポイント2。またその右側にある十字マークは手札のイベントカードからイベントを発生させることができることを表しています。
この投資タイルを使うことになると、まずプレイヤーはイベントカードによりイベントを発生させ、その後、メジャーアクション、マイナーアクションをそれぞれのポイント内で発動させることになります。なお借金をすることでその際に消費するポイントを増やして活動することも可能です。

プレイ中のあるターン終了時の投資タイルシートの状況。9枚の投資タイルが公開され、先攻から順に使用するタイルを指定し、アクションを行っていく。相互に4回ずつアクションを実施した後の状況。

 

戦争開始!

4大メジャー戦争はさらに複数の戦域をもっています。主戦場だったり植民地側で派生的に発生した戦闘(戦争)を表しています。

例えば最初に発動する「オーストリア継承戦争」には「中央ヨーロッパ」「ジョージ王戦争」「第一次カナティック戦争」「ジャコバイトの叛乱」という4つの戦域があります(下写真参照)。

4大メジャー戦争はそれぞれに専用のシートが用意されており、初期配置または平時ターン中の「軍事」への投資に応じて配置される戦争タイルを配置し、また対象となるエリア、戦力計算に用いる戦力(「ボーナス戦力」と表記)、勝利差に応じた得点計算表などが表示されています。

 

戦争が発生するのは必然なので戦争前の「平時ターン」のうちに、「ボーナス戦力」を確保していく、または戦争タイルを追加的に配置していくことが必要となります。

戦争タイルには史実で登場した将軍や政治家、またはイベントなどが得点化されており、ランダムに引くことになります。

戦争解決時にはそれまで裏を向けていた戦争タイルを同時に開示し、戦力ポイントを計算することになります。「ボーナス戦力」はマップ上から読み取ることができるとはいえ、ターンの中で刻々と状況が変化しますし、またシート上に配置される「戦争タイル」は修正値が大きい(有名な将軍の場合、1枚で「+3」)上に、解決まで相手がどのようなタイルを配置したのかわからないため、かなりギャンブル的で白熱します。

 

オーストリア継承戦争の解決に用いられるシート(ゲームオリジナルはもちろん英文だが、写真は有志が公開している和訳版)。4つの戦域が含まれ、戦域毎に戦力を比較して勝敗が決せられる。
写真はタイルを全て表に向け、戦争結果を決定した後の状態。
配置されている六角形のマーカーが、戦争タイル。戦争タイルは初期状態で配置されるものもあるが、「平時ターン」内で、「軍事」への投資を行うことで追加的に配置される。

 

重層的に組み込まれた仕掛けの数々

「平時ターン」で行う「投資」、また戦争解決を中心に説明をしてきましたが、それらだけでもかなりの紙数を費やしてしまいました。これ以外にも様々な要素が重層的に組み込まれていて飽かせない仕掛けが施されています。

  • かなり強力な特殊能力を及ぼす「閣僚カード」の存在
  • 特定の拠点を影響下におくことで獲得する「優位性タイル」
  • 両国財政を苦しめる「負債」、「負債限度」とペナルティ
  • 地政学的要素を加える「征服ライン」

など研究の余地があるルールがまだ多数存在します。ただルールとして散らかっている印象はなく、システム的に用意されているので理解はしやすい印象を受けました。
またイベントカード、閣僚カード、戦争タイルとして登場する政治家・将軍、また優位性タイルで扱われる歴史的事件・状況など、歴史を知れば知るほど深掘りができそうな要素が多数詰め込まれています。

 

左手のほうからカードスタンドに立てられているのが発動前のイベントカード、右手に見えるシートの左上が、「優位性タイル」、その下の少しだけ顔をのぞかせているのが「閣僚カード」になります。「優位性タイル」と「閣僚カード」の特殊能力は自分のアクション中であれば発動できます。

 

 

勝利ポイント

各ターン終了時、また戦争終了時に勝利ポイントの精算がなされます。
15点をスタート点として、0点以下になるとイギリス、30点以上がフランスの勝利となります。ゲーム途中でサドンデスになる場合も少なくないようです。

  • エリア毎の影響下にある拠点数の比較により得られるポイント(平時)
  • 指定された産品についての生産拠点数の比較により得られるポイント(平時)
  • 戦争時に戦域毎の結果により得られる(失う)ポイント(戦時)
  • そのほか、イベント等で得られる(失う)ポイント など

 

次回はリプレイを紹介する予定です。

(つづく)

 

 

 

 

*1:オランダ総督の家系に生まれたウィリアム3世は、ルイ14世のオランダへの侵略を他国との同盟などにより度々防ぎプロテスタントの英雄となる。その後、イギリス王族に連なるメアリーと結婚するが、いろいろあってメアリーの父であるイギリス国王ジェームズ2世を追放し、自らが国王に就任、またメアリーを女王(メアリー2世)とすることでイングランドの共同統治者となる。1694年にメアリー2世天然痘で没し、以後はウィリアム3世の単独統治となる。2人の間には子供がいなかったので、イングランド王位の継承者はメアリーの妹アンと決まっていた。メアリーは背が高く大柄で、背の低いウィレム3世とは似合いの夫婦ではなかった。夫婦仲は良くなく、ウィレム3世には別に愛人がおり、同性愛的傾向もあったが、メアリーに敬意を払うことだけは忘れなかった。

「EUROPE DIVIDED」(PHALANX)を対戦する(2/2)

ソ連邦崩壊後の1992年から2019年の欧州の国際情勢を扱ったカードドリブンによる2人用ゲーム「EUROPE DIVIDED」(PHALANX)を対戦した。
重いテーマの作品だが、適度にボードゲーム的な仕様を施されている。プレイ時間は3時間強といったところだろうか。

 

Europe Divided, PHALANX, 2019 — front cover (image provided by the publisher)

 


 

 

 

2ターンごとに解決されるヘッドラインカード

勝敗はゲーム終了時に勝利ポイントを比べることで決められる。
勝利ポイントは、「ヘッドラインカード」に記載があるイベント条件をクリアすることでカード毎に定められた得点(1~4点)を得るか、ゲーム終了時に支配状態にある「紛争エリア」のエリア数(1エリア=1点)による得点がメインになる。
配点からもわかるように、「ヘッドラインカード」に登場するイベント条件をクリアすることで得ることができる得点が大きいため、ヘッドラインカードの成立を目指すのが効率的だ。

ヘッドラインカードでは、ゲームが扱っているソ連邦崩壊後の欧州で発生した、もしくは発生し得た様々な国際的・政治的な事件が扱われる。
題名を拾うと、「欧州移民クライシス」「コソボ紛争」「モルドバ暴動」「ウクライナ騒乱」「オセチア紛争」「バラ革命」「ドンバス戦争」「ボスニア戦争」「グルジア内戦」「ナゴルノ・カラバノフ紛争」「ビロード離婚」「オレンジ革命」「ジーンズ革命」・・・といった名前が並ぶ(全部で40枚)。
決して国際ニュースに疎い訳ではなかったが、発生した国は想像できても、その発生時期や前後関係、また内容までうまく説明できないテーマが少なくない。30年の間に欧州諸国ではかくも様々な歴史的事件が発生していたといったところだろう。

話を戻すと、ヘッドラインカードにはどちらの勢力のイベントなのか、事件のあらましと発生条件、またその事件を発生させた際に得られる得点、一部のカードには事件が発生した際に新たに発生する影響などが記載されている。
オレンジ革命」の発生条件は、ウクライナにおいてEUの影響度がロシアの影響度を上回っていること。この充足すると西欧諸国側が1点得点する。「ドンバス戦争」の発生条件は、ロシアが軍隊ユニット2個をウクライナに送り込んでいること。条件が満たされるとロシアは2点を得る、といった感じだ。
得点が大きいカードの場合は、成立しなければならない条件が複数設定されており、達成が難しくなる。

 

両プレイヤーはあらかじめ複数のヘッドラインカードを手札としている。それぞれ手札の中から1枚を自ら選んでオープン状態で配置する。ヘッドラインカードは常に両勢力として2枚がオープン状態で表示されることになる。
オープン状態のヘッドラインカードは2ターンに1回のペースで特定のターンに設定されているタイミングとその手順で条件の充足が判定され「解決」される。カードの条件が充足できていれば記載された得点を得ることができる。条件の充足未充足に関わらずオープンされていたカードは捨てられ、次のカードがオープンされることになる。

ヘッドラインカードは両勢力のカードを混ぜた状態で配布されるので、手札には自分が得点できるカードと相手が得点できるカードが混在した状態になる。カードの引きが悪いと、自勢力のカードはなく相手側カードばかりという状態もありえなくはない。
自勢力が得点できるヘッドラインカードはその条件を充足できるようなタイミングでオープンし、逆に相手勢力向けのカードは相手が得点できないようなタイミングや状況で「解決」されるようにカードを処理していかなければならない。配られるカード枚数は限定的ですので、相手勢力のヘッドラインカードを手元にとどめて置き続けることはできないようになっている。

 

ゲームの展開

ゲームは、2つの時代、1992年から2008年までをピリオド1「新しい世界秩序」と2009年から2019年までのピリオド2「新冷戦」に分けられ、それぞれ10ターンずつ、合計20ターンから構成されている。ピリオド1終了時にそれまでの得点計算やカードの入れ替えなどが行われるが、ゲームとしてはピリオド1と2は別のシナリオというわけではなく、キャンペーンゲームとして続けてプレイされる。

 

初期状態でロシアは弱体だ。軍事力は西欧諸国側の約半分、資金は4分の1にすぎない。アドバンテージは前述したアクションカードデッキの身軽さくらいだろうか。一方の西欧諸国側は資金も軍事力もロシアを圧倒している。ただし軍隊ユニットは西欧諸国各国に1ユニットずつばらばらに配置されており「競合エリア」まで距離があるため、ロシアに比べると軍隊投入に時間を要する。ロシアと異なり、NATOEUという2つの要素をすすめていかないといけないというのも手間かもしれない。

資金は、「競合エリア」の各国に対して最初の影響度を与える際に必要になる。最初の進出の足がかりを作るためにそれなりに資本投下が必要といったところだろう。いったん影響度を「1」としたエリアに対して影響度を高める際にはアクションカードは必要となるが、追加資金は不要。

資金を得る際もアクションカードが必要だが、得ることができる資金量はカードによって異なる。西欧諸国のカードはこの点、ロシアとの経済力の差を表し、1回で得る資金量が大きいカードが少なくない。特にドイツ、フランス、イギリスといった主要国の資金確保量はロシアの同種のカードを圧倒している。
資金量が少ないことがロシアのアクションの足かせになる。

 

ゲーム開始時、またピリオド2の開始時にアドバンテージカードと呼ばれる一種のボーナスまたは切り札となるカードが両勢力に一定枚数ランダムに与えられている。アドバンテージカードを用いることで、自勢力を助けるイベントを起こすか、資金をボーナスとして獲得する、またはゲームの最後まで使わずに残すことによって得点を得るかの3種類の効果がある。
ゲーム後半になると活動内容に対して資金が枯渇しがちなので、一種のへそくりのように資金の獲得手段としてアドバンテージカードを使うこともあるが、内容として面白いのはイベントとして使う場合だろう。

西欧諸国側のアドバンテージカードを使うことで発生させることができるイベントで目を引くのは「アメリカ大統領の訪問」「アメリカの援助」といったアメリカが関係するイベントだ。
このゲームの中でアメリカの影は全くない。欧州に駐留しているアメリカ軍自体が登場していないのだが、アドバンテージカードのイベントとして登場しているというわけだ。アドバンテージカード自体が、できれば使用せずにおきたいカードであり、さらにイベントで引き当てる確率は低いことを考えると、ゲーム中におけるアメリカの存在感の低さは、デザイナーの世界観が伺えて興味深い。

ロシア側のアドバンテージカードによるイベントとしては、西側諸国のうち1国を強制的に脱落させる、「EU離脱」があるが、全体に軍事色が強いものが多い。

 

各ターンの先手後手を巡る争い

各ターンにおける先手後手の順番はイニシアティブ値の比較により決まる。
イニシアティブ値は各アクションカードに記載があるのだが、より効果が大きいカードのイニシアティブ値は大きく、逆に効果が限定的(発動できるアクションのバリエーションが少ない、またはその威力が小さい)なカードの値は小さくなっています。ことさら「競合エリア」の国(エリア)を獲得することでデッキに加えられる副作用が大きいカードも概してイニシアティブ値は小さい。

両プレイヤーはそのターンに使う2枚のアクションカードを決め、2枚のカードに記載されているイニシアティブ値の合計値を同時に宣言することで、ターンの先手後手を決める。イニシアティブ値の合計が大きい方が先手になる。効果が大きいカードを使おうとすると自ずと先手になることが多くなる。

 

ここで問題になるのが、ヘッドラインカードの「解決」が行われるターンでのプレイの順番だ。「解決」が行われるターンでの手番は必ず後手のほうが有利なのは明白だ。先手側があるヘッドラインカードの実現条件を充足した状態にしていたとしても、後手側が後からその条件を崩すようなアクションを行うことで簡単に邪魔をすることができるためだ。こうした事情からヘッドラインカードの「解決」が行う2ターンに1回のターンでは、お互いにイニシアティブ値が小さいカードを出すことで後手を取ろうとする動きが多く発生する。

 

ポーランドとバルト諸国への影響度を高めていた西側諸国に対抗するように突如(まだロシアに対し公開していないヘッドラインがあったため、事前にポーランドとバルト諸国に対して工作を開始していたのだ)、ロシアがポーランドへの工作に割って入ってくる。
先のアゼルバイジャンの失敗を繰り返さないため、西側諸国はバルト諸国とポーランドへの影響度を「6」まであげ、ロシアの軍事介入を防ぐため、両国に軍隊ユニットを進駐させた。

 

ロシアが介入の理由は公開されたヘッドラインカードの内容により判明した。
ロシアが公開したヘッドラインカードは「ノードストリーム」。ウクライナ紛争で有名になったロシアからドイツまでの天然ガスパイプラインだ。獲得できるポイントは「3」。結構大きい。ポイントを獲得する条件(赤いカードの左肩部分に記述がある)は、ポーランドとバルト諸国においてEUより大きな影響力を持つことだ。
一方西側諸国が開示したヘッドラインは、欧州移民クライシス(European Migrant Crisis)。得点は「4」と大きく、得点条件はチェコスロバキアポーランドハンガリーにおいてEUの影響度がロシアを上回っていることだ(緑色のカードの左肩に条件が記述されている)。

 

ロシアはバルト諸国とポーランドに西側諸国の軍隊が進駐し、EUの影響度が「6」とされたことで、両国のエリアでの影響度で西側諸国を逆転することができないと考え、「ノードストリーム」による得点を諦める。
代わりに今度は西側諸国の「欧州移民クライシス」の成立を妨害することとした。
ロシアはヘッドラインカードの解決判定を行うターンのイニシアティブ決定において、西欧諸国よりも低いイニシアティブ値のカードを組み合わせることで、「後攻」をとった。
西側諸国はチェコ・スロバキアへの影響度「4」まで高めるが、ハンガリーにおいて「後攻」のロシアはハンガリーの影響度を「3」にあげることに成功する。ハンガリーでの影響度が、ロシアがEUを上回ったことにより、「欧州移民クライシス」の条件達成はできず、西欧諸国はカードによる得点獲得に失敗した。

 

ゲーム最終盤。
コーカサス地方では再び紛争が起き扮装に介入したEUアゼルバイジャンの隣国アルメニアの支配値を「6」とする。ロシアとの軍隊ユニットのやりとりの後、最終的にトルコ経由で西欧諸国の軍隊ユニットがアルメニアに進出した。

ウクライナはロシアが優勢、モルドバは西欧諸国が押さえた。
ポーランドはロシアの執念の工作によりついにはロシア優勢となり、トドメとしてロシアは軍隊を進出させた。ロシアはハンガリーにも軍事進出を果たした。

ポーランドハンガリーの帰趨は、ヘッドラインカードの条件判定を行うこのターンのイニシアティブ決定に大きく依存していた。結果、イニシアティブ値が小さいカードを出すことができたロシアが後攻をとり、西欧諸国が固めていた支配値をひっくり返したのだ。

フランスに丸い王冠のようなマーカーが載せられているが、これはフランスがロシアがアドバンテージカードにより発動させたイベント「EU離脱」によりEUを抜けたことを表す。「EU離脱」が起きるとその国のアクションカードは抜かれる。フランスのアクションカードはドイツ、イギリスと並んで強力なため西欧諸国にとっては痛いかもしれない。

 

感想戦

戦略級ゲームというよりもテイストはボードゲーム寄りになっている。
得点源のヘッドラインカードについては、手札からカードを場に公開していく順番はコントロールできるものの手札自体の構成はランダムにドローされるため、ドローしたカードの良し悪しがその後の展開に大きく影響する。ドローした手札が、相手勢力側のカードばかりであった場合、得点が難しくなるのだ。

アクションカードをエリア(国)と関連づけている点もボードゲーム寄りの処理だろう。シミュレーションとして見た場合、国とアクションカードをひもつけることでどういうことを表しているのだろう、という腹落ちが難しい要素だった。

このゲーム、ゲーム的な判断、つまりはアクションカードやヘッドラインカードに記述された数値や満たすべき条件だけを見て、パズルを解くように、ゲームを進行させるのであればはるかに早い時間で処理することはできるだろう。

ただし、そうした早解きプレイによりゲームを消費してしまうにはもったいないゲームだと思う。確かにあちこちに抽象化と単純化、ゲーム的な処理が施されているが、本ゲームが与えてくれる視点は貴重なものだと考える。冒頭に書いたような欧州現代史30年をたどるという点に、西欧諸国対ロシアという対立構造や両勢力間のせめぎあいの様相、なんとなく見過ごしてきた例えば旧ソ連邦諸国の内戦やロシア軍の介入と言ったニュースなどへの理解がすすむ。

 

(了)

 

 

 

 

 

「EUROPE DIVIDED」(PHALANX)を対戦する(1/2)

ソ連邦崩壊後の1992年から2019年の欧州の国際情勢を扱ったカードドリブンによる2人用ゲーム「EUROPE DIVIDED」(PHALANX)を対戦した。発売されたのは2020年。2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻が発生した直後、発売元のPHALANX社がFacebook上で変に製品のPRを行なってしまい、顰蹙をかってしまったらしい*1

ソ連邦の崩壊から30年、一時はG8として先進国首脳会議にまでロシアが出席していたりしたので見過ごしてきたが、旧東欧・中欧から旧ソ連邦においてはずっと鬱々と暗闘が続いていたということのようだ。日々のニュースの中で見過ごしてきた欧州情勢を俯瞰できるゲームと言える。

冷戦期を扱ったゲームとして「トワイライトストラグル」(GMT)や「ラビリンス」(GMT)があるが、これらのゲームとは異なった切り口で西欧諸国とロシアとの暗闘を扱った。なによりもアメリカの扱いが興味深い(後述)。

 

Europe Divided, PHALANX, 2019 — front cover (image provided by the publisher)

 

 

 

ゲームの紹介

プレイヤーは、EU(欧州連合)とNATO北大西洋条約機構)の両方を扱う西欧諸国か、ロシアを担当する。

欧州全体をカバーしているマップ上の国々は3種類にグルーピングされている。1番目のグループは1995年時点でEUNATOに加盟していた西欧諸国、2番目はロシア、そして西欧諸国とロシアの2大勢力の中間に位置する東欧・中欧旧ソ連邦諸国が3番目のグループだ。3番目のグループの国々は「競合エリア」と呼ばれ、本ゲームにおいて争奪対象となるエリアとなる。具体的には、ポーランドチェコスロバキアハンガリー、西部バルカン諸国(旧ユーゴスラビア諸国)、東部バルカン諸国(ルーマニアブルガリア)、バルト三国ベラルーシウクライナモルドバジョージアアルメニアアゼルバイジャンの12エリアになり、プレイヤーが操る2大勢力は「競合エリア」に属する国々への影響度を高め支配することで得点することができる。

 

マップはロシアから欧州全体までを含み、国ごとにエリアが分かれているが(一部復数国で1エリア、またロシアは1国が復数エリアに分かれている)、両勢力の勢力争いが起こるのは、西側諸国と、ロシアとの間にある「競合エリア」と呼ばれる国々となる。
西側、またはロシアのエリアに置かれている青いマーカーは西側諸国、赤いマーカーはロシアの軍隊を表す軍隊ユニットとなる。かなり抽象化された軍隊だが、「競合エリア」の影響度を妨害するため、または防御するために重要な役割を与えられている。
(なお競合エリアに属する国々の自国軍のようなものは登場しない)。

 

何をするゲームなのか?

両勢力はアクションカードを利用して「競合エリア」に属する国々に対するアクションを実施する。アクションカードにより実施できるアクションには次のようなものがある。

 

  1. 対象エリアに対して影響を及ぼす(影響度を1とする)[別途、資金が必要]
  2. 対象エリアにおける影響度を増加させる(最大6まで)
  3. 収入を得る
  4. 軍隊ユニットを生産する[別途、資金が必要]
  5. 軍隊ユニットを移動する[1エリアを超える移動の場合は資金が必要]

 

影響度は「競合エリア」内の国(エリア)ごとに設定されたパラメータで、ゲームでは3色のダイスによって表される。青色ダイスはNATO、黄色はEU、赤色はロシアと、それぞれの影響度を表す。影響度の最大値は「6」となり、いずれかの勢力がその影響力を「6」とした時点でそのエリアを支配したことになる。

NATOの影響度とEUの影響度は別に設定されている。現実でもNATOEUの加盟国は微妙に一致してなく、その違いは西欧諸国の中でも各国の立ち位置に影響している。後述するヘッドラインカードの処理やイベントによってはNATOEUが区別されているので、西欧諸国プレイヤーは各エリアへのアクションによる活動を行う際、NATOEUの二重に管理し増強していく必要がある。

 

エリアにおいて、先にどちらかの勢力の影響度が最大値6に達すると、相手勢力は影響度を6にあげることはできなくなる。
相手勢力の影響度が最大値に達した国(エリア)に対しては、影響度を下げる手段として軍事行動が有効になる。相手勢力の影響度が6に達した国(エリア)に対して軍隊ユニットを進出させると、影響度は6から5に下げられる(代償としてその軍隊ユニットは除去される)。相手勢力の影響度が5に下がったところですかさず自勢力の影響度を6にあげると、相手勢力はその国(エリア)において影響度を6にあげることが難しくなる。取り返すためには今度は相手勢力側が軍隊ユニットを用いて同じことを実施していく必要がある。結果、相手勢力はその国(エリア)に対する支配を失ったことになる。

ゲームでの軍隊ユニットの存在はかなり抽象化されているが、外交活動とは異なるもう一つの手段として位置づけられている。相手勢力の影響度を下げる手段、または相手に逆のことをされないようにするための抑止の手段として使われる。両勢力の軍隊ユニットが同じエリアに進出した際には自動的に同じ数ずつの軍隊ユニットを除去することになる。軍事衝突か!となるのですが、現実には西欧とロシアの直接的な軍事衝突は発生していないので、相互に示威行為を行なった挙げ句、止揚した状態とでもいうのではないかということだろう。

ともあれ、軍隊ユニットを用いることにより、軍事侵攻のような直接的な軍事行動もあれば軍事的に圧力をかけるといった行為も含め、抽象化しつつゲームに取り込まれていると言ってよい。
NATO加盟(西欧諸国側のNATOの影響度が最大値になった)を目指したウクライナに対して、ロシアは軍事侵攻を行うことでウクライナに対するNATOの影響度を1下げた、といった状況を再現することができる。

 

ゲーム序盤、NATOポーランド、バルト諸国からモルドバウクライナに薄く影響度を広げている。手番が限られるため、順番や効率性を考えながら影響度操作を行う必要があるだろう。あの手番を無駄に使わなければ、と後から後悔することはよくある。

政治暗闘が起こったのは黒海の東側、ジョージアアゼルバイジャンアルメニアといった旧ソ連から独立した諸国であった。
アゼルバイジャンで相互に影響度をあげていったEUとロシア。EU(黄色のダイス=5)に対して、ロシアは軍隊を送り込み、影響度を最高値の「6」とする。いったんいずれかの勢力が影響度を「6」としたエリアに対しては、相手側(この場合、EU)は「6」にあげることはできなくなる。影響度が「6」になると、軍隊を投入するか、イベントカードの効果によらなければ影響度を下げることができなくなる。

ロシアはそのまま軍隊を駐留させることにより、西側諸国の軍隊の侵入を牽制する。仮にアゼルバイジャンに西側諸国が軍隊を投入すると、双方の軍隊ユニットは除去される。双方の軍隊ユニットがいなくなったアゼルバイジャンに対して軍隊ユニットを生産して送り込むまでの所要時間を考慮すると、本国からアゼルバイジャンまでの距離が圧倒的に近いロシアが時間としても、コストとしても(軍隊ユニットを長距離移動させるには特別なコストが必要となる)圧倒的に有利だ。西側諸国はアゼルバイジャンに対して手も足も出なくなったといえるかもしれない。ロシアは用心してジョージアにも軍隊を投入し、影響度をあげる。こうして、アゼルバイジャン紛争はロシアの勝利で終わった。*2

 

非対称な両勢力のアクションカードデッキ

西欧プレイヤーとロシアプレイヤーのアクションカードのデッキは両勢力の特徴を表し対照的なものになっている。両勢力の初期状態のデッキは西欧プレイヤーが13枚、ロシアプレイヤーが7枚。アクションカードは毎ターン2枚ずつ使用し、手札には最大4枚とめおかれるので、初期デッキが7枚しかないロシアは西欧諸国に比べかなり頻繁にカードが一巡することになる。それだけカードが読みやすくコントロールしやすいといえる。

西欧諸国側のデッキには経済力をはじめ強力なカードが多いという特徴があるが、枚数が多く、カードカウンティングは行いにくい。

デザイナーによるとデッキの性能差は経済力に優れている一方官僚主義的で決断が遅い西側諸国と、決断・行動が早く軍事的行動を起こしやすいロシアを表したとのことだ。

アクションカードのデッキには、プレイが進み「競合エリア」でエリアの支配を獲得するとそのエリアの特性にあわせたアクションカードが追加されていく。「競合エリア」の支配により追加されるカードは概して性能は高くなく、獲得したエリアの特性にあわせた特別なアクション、エフェクトやリアクションが付随していることが少なくない。アクションはカードを使った側が実施できる特殊なアクションを指すが、エフェクトはカードを使った側、リアクションはカードを使われた側に発生する副作用を表す。

例えば西欧プレイヤーが「バルト諸国」を支配下に置くことで獲得するカードを用いてNATOが関係するアクションを実施した場合、ロシア側のリアクションとして、ロシア国内やカリーニングラードエリアに軍隊ユニットが無コストで発生するという副作用がでてくる。

ロシアが「ベラルーシ」を支配した後でデッキに追加されるカードを使ってベラルーシで軍隊ユニットを生産すると、自動的に発生するエフェクトとして「バルト諸国」のエリアにおいて、ロシアへの恐怖からロシアの影響度の数値が1自動的に上昇する。ところがこれには副作用があり、リアクションとして西欧諸国はこれまた自動的に軍隊ユニット1個を「バルト諸国」に移動させることができる。隣国に対して影響度を1上げることができたのに対して、その隣国に相手勢力の軍隊ユニットが移転配置されるということでこのエフェクト・リアクションの内容はロシアからするとやや歩が悪いようにも見える。

 

副作用が大きいカードはなかなか使い所が難しいが、一方で使っていかなければ手元のカードが回っていかないので、使わざるを得なくなるというジレンマに陥る。初期状態では身軽だったロシアのデッキもゲーム後半になると中途半端なカードが増えてきて、アドバンテージであった身軽さを失っていく。

アクションカードデッキの処理のデザインはいかにもゲームっぽい処理になるが、中盤終盤とゲームが進む中で、プレイヤーの行動に変化を与えていく要素として働く。

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

*1:問題となったメッセージは削除済なのでどのようなものだったのかはよくわからない

*2:ちょっとこのあたりのやりとりの印象は囲碁を思わせた。

「THE SHORES OF TRIPOLI」(FORT CIRCLE GAMES)を対戦する

ゲーム会で時間が空いたので「THE SHORES OF TRIPOLI」(FORT CIRCLE GAMES)を対戦した。19世紀初頭、私掠船により地中海を荒らし回っていた北アフリカ諸国(リビアチュニジア、モロッコ等)に対して、業を煮やしたアメリカ海軍/海兵隊が艦隊を動員し、無法の輩に膺懲を加えるという作品。

ウォーゲームではなくボードゲーム由来の作品だが、短時間にプレイできる良ゲームであった。

 

 

 

歴史的背景

アメリカ独立戦争末期から間もない、まだ若い国家であったアメリカ合衆国の商業船はバルバリア海岸(ベルベル人の海岸、今のモロッコアルジェリアチュニジアリビアを指す)の海賊の格好の餌食になっていた。1801年、就任したばかりのジェファーソン大統領は、この脅威に終止符を打つべく、地中海に「監視艦隊」を派遣した。ジブラルタルに到着した戦隊は、トリポリの海賊がすでに宣戦布告していることを知った。

 

ゲームの紹介

プレイヤーは私掠船を操る海賊側と、取り締まるために派遣されたアメリカ艦隊を担当する。1ターン=1年で、1801~1806の全6ターン、さらに各ターンは春夏秋冬の4つのフェイズからなるのでアクションを行う機会は4回ということになる。

アクションは全てカードで起動されるカードドリブンシステムを採用している。カードに記載されたイベントを起こすことでユニットの操作を行うことになる。

海賊は根拠地となっている港から出港し、海賊行為を行う。ダイスにより成功すれば財宝を獲得する。一定の財宝を獲得すると海賊側の勝利となる。
アメリカ艦隊が港を封鎖すると、海賊は封鎖艦隊との海戦を行なわなければ外洋に出ることがかなわなくなる。
ただし封鎖にも損害が出ることがある。旅順港を封鎖した東郷艦隊が2隻の戦艦を失ったのと同様、イベントカードにより艦を失ったり損傷を受けたりする。

戦闘は戦闘力の分のダイスを振ることで決める、いわゆる「6出ろ」システムだ(戦闘力の数分のダイスを振り、「6」が出た個数分の損害を与える。実際はもう少しひねったルールになっている)。

船には3本マストの「戦列艦フリゲートと、「砲艦」がある。アメリカ艦隊の主力は堂々とした「戦列艦」で補助的に「砲艦」が参加する。海賊側は逆にフリゲート級は貴重でほとんどは「砲艦」クラスとなる。
海戦で損傷を受けた「戦列艦」はいったん戦域を離れ、修理のため次のターン(翌年)まで帰ってこない。損害が嵩むと撃沈されてしまう。「戦列艦」の補充は1年に1隻ときまっているが(イベントカードで登場する場合もある)、砲艦は自由に建造できる。

 

ハードマップは抽象化されているが、北アフリカ海岸を表す。オレンジや赤色の円は海賊が根拠地とする港、その周囲に薄い水色の円は海域を封鎖閉塞

するために艦隊が出動した際のエリアだ。
アメリカ海軍の根拠地は青色の円で、左がマルタ島、右がジブラルタル港を表す。

手前にある黄色と青色の積み木ユニットは軍艦を表す(帆船だ)。

 

帆船ユニットのアップ。青色がアメリカ海軍、黄色は支援として封鎖に参加したスウェーデン海軍を表す(スウェーデン艦はイベントで登場し、また別のイベントで帰還してしまう場合もある)。3本マストの船は「フリゲート/戦列艦」。1本マストの小型の船は、封鎖作戦には参加できないが戦闘には参加することができる砲艦(スプーナー級)。生産や修復に時間が必要となるフリゲート/戦列艦と異なり、補充が容易であるため、損害吸収鑑として使うことになる。

 

美しいデザインのイベントカード。各カードに記載された絵画も美しい。

 

アメリカ海軍の勝利条件は2種類あるのいずれかの達成となる。海賊の本拠地であるトリポリを占拠するか、アルジェ・タンジュ・チュニスと海賊の根拠地となっている各港を平定した上で、本拠地トリポリから海賊のフリゲート/戦列艦をなくすこと(海賊側は戦列艦を2隻擁する)。前者の場合は、トリポリだけを相手にすればよいが、トリポリには守備隊がおり、艦隊が抱える海兵隊だけでは戦力的に不足することからエジプトから軍勢を呼び寄せる必要がある。陸上部隊もアクションカードで移動させる必要がある。後者の場合は、陸上部隊の登場は不要なものの北アフリカの海賊の拠点各港から海賊船を無くしてしまう必要がある(ようだ)。
どちらの勝利条件を選ぶかもまたカードによるため、自由は効かない。いずれの勝利条件の場合も、一定ターン以降でなければ有効ではないため、ゲーム開始後、即ゲーム終了とはならない仕掛けになっている。

 

初期配置の状態(たぶん)。
ジブラルタに到着したアメリカ艦隊を待っていたのは海賊の2隻の砲艦(赤色ユニット)。海賊の本拠地であるトリポリには海賊の砲艦が集結しているのがわかる。
マップ右上になるターントラック上におかれた「戦列艦」は毎年新規投入される増援ではあるが、損害もそこそこ出るので決してアメリカ軍有利という訳ではない。
写真では見切れているが、左手のほうにはエジプトがあり、現地の陸上部隊を移動させトリポリに攻め寄せることはできる(ただしターンとしては後のほうになる)。

 

 

感想戦

アメリカ軍を担当。

アクションはカードによるためが限定される。何をやればよいのかわからなくなるという場面は少なくないように思う。

トリポリ以外の港の私掠船を追い払い、トリポリ港自体は艦隊により封鎖をした。
途中、私掠船側のイベントにより船を失ったり、来援したスウェーデン艦隊が帰還したりする。トリポリ以外に私掠船が湧いてそれらを討伐するといったことが続く。

勝利条件は保有しているカードによって選ぶことができるが、各港から私掠船を追い払う必要がある(ただし陸上戦闘は不要)勝利条件ではなく、本拠地のトリポリ自体を占拠する条件を選ぶ。
最終ターン、全艦隊と全海兵隊、さらにエジプトからの現地軍部隊をトリポリに突入させた。

マップやルールが適度に抽象化され、行動もカードのアクションで縛られるため選択肢がある程度限定される。決して悪いわけではなくその分、ゲームの難易度やバランスが調整され、初めてでもスムーズにプレイできた印象。

なんでもアメリカ艦隊側には必勝法があったらしいのだが、ルール追加により封じられた模様だ。ともあれ、美しいコンポーネントと、短時間に遊ぶことができる良好なプレイアビリティはよかった。

(了)

 

 

 

 

 

「SWORD OF ROME」(GMT)を対戦する【2戦目】

ローマがイタリア半島を統一する100年間を扱った「SWORD OF ROME」(GMT)を対戦した。つい春先にプレイしたゲームだが、今回はエキスパンションキットを追加した5人プレイとなった。

登場する国家は、ローマ、エルトリア&サムニウム、ギリシャ植民地、ガリア人、それにカルタゴが追加された5勢力だ。

 

Sword of Rome - Front Box Cover - Second Deluxe Edition

 

ゲーム内容については前回記事を参照されたい。

 


第1ターン

くじ引きにより前回と同じくガリア人を担当。

前回の教訓により「ガリア人は土地に固執せず、占領はしない、略奪に徹する」ことにする。

ガリア人が国境(勢力)を接しているのはエルトリアだけだ。自然、略奪の対象はエルトリアのエリアとなる。

ZOCなどがあるゲームではないため、敵対する勢力の軍勢がいない限り、移動は可能だ。足を伸ばしてローマやサムニウムのエリアに攻め入ることはできるが、相手勢力により退路を絶たれる懸念があるためそこまでの無理はしない。

略奪が成功したエリアはそのエリアを支配している勢力が回復するまでは荒廃したままのため、無尽蔵には略奪はできない。

ひとつのエリアを略奪に成功すると、隣のエリアに移動してそこでまた略奪を行う。焼畑農業的に略奪地域を転々することになる。我ながらひどい民族である。

下手に都市を攻略してそこの守備に兵力をすりつぶすくらいなら、略奪を繰り返すことによりポイントを稼ぐ(ガリア人だけは略奪によりVPを獲得できる)ことに徹したほうがよさそうだ。

エルトリアはローマと同盟、ギリシャは宿敵であるはずのカルタゴと結び後顧の憂いを取り除いた。ガリアは後にローマと結んだ。こうして中央ではローマ、ギリシャ、サムニウムが争いはじめた。

同盟は各ターンの自分のイニングに締結を宣言できる。各ターンの最後に同盟の破棄を宣言するフェイズがあり、そのタイミングで破棄する分にはペナルティはないが、ターン途中に同盟破棄を行うとペナルティを喰らう。

 

初期配置状態。北から「ガリア人」(カウンターは青色)、「エルトリア」(クリーム色)、「ローマ」(赤)、「サムニウム」(緑)、「ギリシャ植民地」(水色)、「カルタゴ」(紫)となる。

赤色のローマのユニットの近くにあるオレンジ色のユニットはノンプレイヤーの都市国家。国家名は前記事のどこかに書いたと思う。彼らも「遠ガリア」と同様に、別プレイヤーのイベントカードにより操作することは可能だが(ローマの邪魔をする)、前回同様、はやばやとローマに占拠され滅亡してしまう。

 

第2ターン

他勢力が起こしたカードイベントによりアルプス山脈を超えて「遠ガリア」(今のフランスを根拠地としたガリア人)が北イタリアに侵入してくる。ガリア人がエルトリアに対して行ったように、1エリア移動しては次のエリア、と連続して略奪する略奪行をはじめる。

 

アルプス山脈を超えて肥沃な北イタリアの平原に侵入してきた「遠ガリア」(カウンターは灰色)。エルトリアとの勢力境に展開していた「ガリア人」の主力を急ぎ北上させた。「遠ガリア」のカウンター、またエルトリアに置かれた丸形の蛇の紋章がはいったマーカーは略奪跡を示している。

その後、「遠ガリア」はカードイベントによりゲーム期間内は復活できない程度に撃滅させられる。

 

一つのターンは5回のイニングに分かれているため、手元にアクションを行うカードがあるかぎり5回のアクションを実施できる。

ガリア人はエルトリアとの境から取って返し、「遠ガリア」と戦闘を行った。戦闘において野蛮なガリア人に恐れをなして相手兵力が後退するというカード等を用い、「遠ガリア」勢力を全滅させる。本来はローマやエルトリアとの戦闘に使おうとしていたカードで、「遠ガリア」に使うには少々もったいないカードだったのだが、結果的には早く撃退できたことになった。

ガリア人は手持ちのカードを毎ターン全て捨てなければならないという特別ルールがあるため、良いカードを手元に置いておくことができない。

 

第3ターン

シチリア島の西半分と北アフリカカルタゴ、またスペインを勢力圏に持つ海洋国家カルタゴシチリア島の東半分を抑えているギリシャ植民地と同盟を結んだことにより、軍勢を他の地域へ転用できるようになった。

カルタゴは10戦力(フルスタック)分の海上輸送能力を持ち、港湾マークがある都市に上陸させることができるという、特異な能力を持つ。

そのカルタゴがエルトリアの港湾のひとつに侵攻、エルトリアに隣接して略奪を重ねることでVPを伸ばしていたガリア人を抑えるよ、ということでエルトリアと同盟を結んだ。

 

エルトリア(カウンターはクリーム色)のすぐ南のエリアに上陸してきたカルタゴ(紫)に注目。
カルタゴはたくみにエルトリアを盾にしつつ、ガリアと戦闘を繰り返した。
ガリアは防御を行いつつ、小部隊を繰り出し略奪を行う。

 

第4~5ターン

全6ターンのゲーム(オプションで延長すると全10ターンになる)の中盤の展開は混沌としていたため点描となる。

カルタゴはエルトリアの港湾から抜け出し、ローマの一都市をいったんは占拠するがその後、引いていった。

本ゲームの戦闘は3D6のためダイスの目によるブレが大きい。戦闘は保守的に守るのが大崩れしないコツだと思う。

ガリアはようやく戦闘力「3」のリーダー「ブレンヌス」を登場させた。主力をブレンヌス配下に置き、少数戦力による略奪部隊を組成すると南へ略奪行に行かせる。討伐され全滅してもよい部隊だ。

業を煮やしたローマやエルトリアがフル戦力の軍団を派遣し、ガリア人の拠点を攻撃してくるが、ダイスの目が走ったことで撃退に成功する。2回、3回と戦闘に勝利することで、略奪品を奪うことになり、VP獲得する

他の勢力はVP獲得は基本、都市を占拠することで得る。都市の場所と数は限られており、都市を失うとペナルティになることから、VPはゼロサムになる。唯一、略奪によってVPを得るケルト人だけはゼロサムにならずにVPを得ることができる。また戦闘に勝利することで略奪品を獲得し、その略奪品をVPをにしていくことができるという点でも他の勢力とは異なる。

 

南方ではギリシャとローマのまさに血みどろの戦争が続いた。ローマは虎の子の独裁官(デクテーター)を登場させるが、ギリシャのダイスが冴え、ローマのダイスが走らなかったことから複数回の決戦でローマはことごとくギリシャに負けてしまう。

史実ではガリア人のブレンヌスによるローマ侵入に対抗するため「独裁官」が登場し、これを退けるのだが、ゲームでは1回1ターンの間のみ登場させることができる。

終盤、シチリア島東部の都市メッセナで反乱が起きる。メッセナを支配していたギリシャはローマとの戦争にかかりきりであったため南方へ戦力を送ることができなかった。代わりにギリシャと同盟関係にあったカルタゴがこれを鎮圧、同盟関係を壊すことなくギリシャの一都市を占拠してしまう、という波乱が起きる。

 

カルタゴが去った中央やや北イタリア。
ガリア人に、戦闘力「3」を誇るリーダー「ブレンヌス」がようやく登場。
青色ユニットがある場所はいずれもガリア人の拠点となるVP都市。

第6ターン

最終ターン、VPはカルタゴガリア人が伯仲した状態にあり、ゼロサムにより、ギリシャは中位、ローマ、エルトリア&サムニウムは停滞していた。

カルタゴギリシャとの同盟を破棄し、シチリア島東部を占拠し、さらには半島の先に侵攻する。

ローマは最後の力を振り絞りギリシャとの戦闘に及ぶが打撃を与えるには至らない。

ガリア人はカルタゴとの1VPを埋めるため、最後、ローマの都市に侵攻、ダイスの目に掛けるが、攻略には失敗した。

 

 

最終ターンの最終盤の状況。

ガリア人の一スタックはローマの都市に侵攻し、包囲・略奪を試みるがダイスの目はよくなかった(成功確率はそこそこあった)。

 

感想戦

細長い半島では逃げ場も迂回路もない。また各勢力間には緩衝地帯になるようなエリアもないため、アクションを起こせば即戦闘という過酷な状況からはじまる。この点、「戦国大名」なんかよりもずっとシビアだ。北進するか南に行くかの判断だけでガラリと状況が異なる。

今回ガリア人を担当したが、ガリア人はイベントで発生する「遠ガリア」を除き、後背を心配することなく、また領土も縦深があるため比較的ラクに感じた。動員能力が高く、回復力がある点も魅力だ。他勢力とのゼロサムに陥らない勝利条件も良い。

カルタゴは絶えずスペイン植民地を配慮しておくという必要はあるが、10戦力をどこの港湾にも送り込むことができるという海上輸送能力はどの勢力にもない特異な能力のため強力だ。

残る3勢力は書いた通り、かなりシビアな判断を要求される。

 

 

 

ギリシャを担当されたザハさんのブログです。冷静にルールや各勢力を分析されています。


 

 

(了)

 

 

 

「JOHN CARTER WARLOAD OF MARS」(SPI)を対戦する【準備編】(1)- 「ジョン・カーター」を観る!

数年越しに対戦企画が進んでいるゲームがある。

旧SPI社が発売していた表題のゲームだ。原作は、エドガー・ライス・バロウズによるSF冒険ファンタジー小説だが、執筆されたのは1911年、雑誌連載が1912年、アメリカのSF小説史の中でも古典と言って良い作品だ。
ゲームシステムやゲーム内容はおいおい紹介するとして、今回はその原作小説の映画化作品「ジョン・カーター」(2012年)の話をしたい。

原作のストーリーは次のようなものだ。

主人公のジョン・カーター南北戦争の南軍大尉(日本で言うところの維新の志士と同年代ということになる)。退役後、アリゾナ州の荒地で、金鉱の探索中にアメリカ先住民に襲われる。追い詰められた洞窟の奥でガスのため昏倒するのだが、目が覚めるとそこはバルス-ムと呼ばれる火星だった・・。

ジョン・カーターが降り立った火星は乱世の時代、四本の腕を持ち獰猛な戦闘民族の緑色人、地球人とそっくりの容姿で科学文明を持ち都市国家を営む赤色人(後の作品で他にも色々と種族が登場するが)がそれぞれ復数の国家・部族に分かれ相争う世界であった。持ち前の剣技に、火星の重力が地球より弱いことによる驚異的なジャンプ能力をはじめとする運動能力、友情に厚く、信義を重んじるという快男児ジョン・カーターが活躍する冒険活劇というのが「火星シリーズ」と呼ばれる作品となっていく。今で言う異世界転生ならぬ異世界転移もののハシリと言って良いかもしれない。

 

SPI社からかつて発売されていたゲームのボックスアート。嫌いではないです。

 

監督はピクサーのアニメ映画「ファインディング・ニモ」(2003年)のアンドリュー・スタントン。本作が実写映画での監督・脚本デビュー作だった。
監督自身が原作ファンで、映画化権を持っていたディズニーに映画を撮らせてくれ、と懇願していたところ、「ファインディング・ニモ」他の成功によりお鉢が回ってきたらしい。

 

ところが、結果から言うと本作は北米での興行に失敗し、興行収入(ビデオなどの二次収入は除外)では当時、史上最大の赤字を出した映画といわれた。次のウィキの記事を見ても”史上最大”という部分は今も変わっていないようだ。

 

続編の構想があったようだが、もはや絶望的だろう。

本作については以前から見てみたいと思ってはいたものの、アマゾンプライムにはなかなか登場せず、しびれを切らして今回レンタル料を払ってまで見たという次第だ。

 

ジョン・カーター の映画情報 - Yahoo!映画

 


「滅びゆく惑星」と映画ではあまり触れられていない修飾を入れたり、「地球」のシーンで憂いを帯びさせたりと無味乾燥にならないようにバイアスをかけることに努力の跡が見て取れる予告編です(裏を返せば火星のシーンが無味乾燥風なのです)。

 

 

 

感想

アマゾンプライムのレンタルは視聴を始めてから48時間有効。貧乏くさいが1回といわずに何回か見てみようくらいの勢いで見始めたはいいものの、結局、1回だけで終わってしまった。理由は推して知るべしと言わず、今から書く。

 

原作ファンとして何がダメだったのか、映画の感想を書いてみようと思う。

ダメに感じた理由を5つまとめてみた。最初の2点は映画として見た時、残りの3点は原作ファンとしての視点からの印象だ。

 

1.長くて冗長

異世界を描いた長大な映画というと思い出すのはトールキン原作の「指輪物語」を映画化して大成功を収めた「ロード・オブ・ザ・リング」3部作がある。同作の監督と共同脚本を担当したピーター・ジャクソンが原作愛のあまり、たっぷりの予算で手抜きをせずに壮大な架空の物語世界を構築して見応えがあった。

もしかすると原作愛が強い「ジョン・カーター」の監督の頭には「ロード・オブ・ザ・リング」の成功事例があったのかもしれない。

上映時間2時間超の134分。別に長いから悪いのではなくテンポが悪い。特に気になったのは冒頭部から延々20分も「地球」でのストーリーが続くことだ。

叔父のジョン・カーターが失踪したという知らせを受けた甥のエドガー・ライス・バロウズジョン・カーターの邸宅を訪ね、そこで彼の手記を見つける。
元南軍大尉だったジョン・カーター南北戦争後、金鉱の探索の途中、「黄金の洞窟」の伝説を聞いて回るのだが、北軍の騎兵隊に絡まれ囚われる。

回想でジョン・カーターにはかつて妻と子がいたというシーンが挟まれる。

騎兵隊の元を脱走し将校の馬を奪って逃げるジョン・カーターと追う騎兵隊の前に武装した先住民の騎馬隊現れ、両者が撃ち合いになって・・

というストーリーが20分あまり続く。やや古めかしい19世紀の服装もあり、何の映画を見ているのだろうという印象で、早くもこの段階で退屈になってしまった。

原作では元軍人の冒険家で快男児という半ばステレオタイプに描かれる主人公の造形に深みをもたせるために延々と「地球」でのストーリーを描いたことは想像がつく。

彼は権力に阿らず(騎兵隊に囚われ尋問を受けても屈しない)、敵味方問わず公平であり人道優先で(撃ち合いの中で負傷した騎兵隊の将校を自ら助けようとする)、かつて事故?(戦争?)で妻子を亡くすという影を抱えている(これは原作にない設定)、口は軽いほうではなく皮肉屋でも、絶体絶命の状況下でジョークを飛ばすような性格ではない(ハリウッドの冒険映画の主人公によくある性格ではない)。

せっかく時間をかけて人物像を膨らませて描いたにもかかわらず、火星に行ってからのジョン・カーターの行動原理がきちんと裏付けられているかというといまひとつな印象なのだ。全体に主人公の個性は希薄に感じられた。
同じタイミングでアマゾンプライムビデオに登録された「インディージョーンズ」1、2作目を見たのだが、開幕数分視聴者を引き込んでしまうインディージョーンズと比べるとなんとも主人公が立っていない。

 

2.既視感がある造形/新味がない

火星の荒地で目を覚ましたジョン・カーターは最初に緑色人のサーク族に囚われるが、火星が地球より重力が弱いことを生かした驚異的な身体能力は緑色人たちを驚嘆させる。彼らは強いものが好きなのだ。ジョン・カーターがいくつかの活躍をみせることで信頼を得ていく過程は原作にも忠実だ。

火星の風景は荒涼とした砂漠と荒地で描かれる。容赦のない太陽がさす砂漠地帯というと砂の惑星こと「デューン」やスターウォーズに登場する砂漠の惑星「タトウィーン」を彷彿とさせる。いずれも太陽がカッと照りつける系統の砂漠だ。

後述するように原作小説の火星は荒れた地表が続く惑星なのだが、古い文明の跡がどこかしこに残る滅びゆく惑星として描かれている。どうも情緒の置き場所が異なるようだ。

ジョン・カーターがはじめて出会う火星のクリーチャーである緑色人の造形は見事だ。身長3〜4メートルの超長身。形状は人間型、痩せているが強靭な筋肉の肉体に4本の腕を持つ。戦闘シーンで4本の腕を駆使して戦う様子など原作のイメージ通りで素晴らしかった。

ただこの緑色人の印象はどこかしら既視感がある。映画「アバター」(2009年)に登場する先住民ナヴィに印象が似ているのだ。

ジョン・カーター(2D・字幕版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえてX

映画アバターは年齢制限したほうがいい!感想とネタバレ

上段: 「ジョン・カーター」より緑色人。後ろの髭面の男がジョン・カーター
下段: 「アバター」より。顔の造形とか印象が似ていませんか?

 

やや横道にそれるが本作に登場する火星のクリーチャーはいずれも素晴らしく、力がはいっていた。獰猛な火星犬、後にジョン・カーターの忠実な番犬となるウーラのブサ可愛らしさ。ジョン・カーターと緑色人のタルス・タルカスが闘技場で戦うことになる巨大な大白猿。火星の8本足の馬など。

 

海に浮かんだ船がそのまま空中に浮かんだ飛空艇というアイディアは例えばファイナルファンタジーのシリーズ作品では不可欠の移動方法だ。またスターウォーズでもまた飛空艇にあたるセールバージという船が登場していた。

こうした飛空艇のアイディアの端緒のひとつとして、もしかしたら火星シリーズがあるかもしれないのだが、映画の中ではどうにも既視感が拭えなかった。

本作の飛行艇はふわふわした羽がたくさんついたようなデザインだったが、個人的な好みで言えば、もっと無骨に「スターウォーズ」のセールバージのように鉄甲船がそのまま宙に浮いたようなデザインのほうがよかったように感じた。

How do things fly in John Carter? - Science Fiction & Fantasy Stack Exchange

Flying ship! | Final fantasy xii, Final fantasy, Sky images

上段:「ジョン・カーター」より砂漠の上での飛空艇同士の戦闘
中段:「ファイナルファンタジー」より飛空艇
下段:「スターウォーズ」シリーズよりセールバージ

 

まとめると、緑色人の造形、飛行艇の造形などどうにも既視感があり新味を感じられなかった。登場するならするでもっと魅力的な乗り物であると描写すればよいものの、どうにもその魅力は伝わらなかったといわざるをえない。「天空の城ラピュタ」のタイガーモス号のように、この飛空船に乗ってみたい!と思わせるような魂は全く感じられなかった。

 

3.ストーリーを歪める

原作でジョン・カーターは緑色人に囚われた赤色人の都市国家のひとつヘリウムの王女デジャーソリスに出会い、彼女を救おうと奮闘するのだが、その相手はヘリウムに敵対する赤色人の都市国家ゾガンダだ。本作でもゾガンダは登場しゾガンダの皇子はデジャ-ソリスとの政略結婚を望む。ところがここに原作には登場しないスキンヘッドの神官グループが真の黒幕として登場する。彼らは姿を自由に変え、しかも(理由はわからないが)バルス-ム(火星)の滅亡を目指している・・。

映画後半ジョン・カーターはゾガンダの皇子と戦うだけではなく、この姿を変えることができることから神出鬼没のマタイ・シャンとその一味との争いを行うことになる。これがなんとも面白くないのだ。

 

Atteignez les 17 objectifs de développement durable grâce à John Carter de  Mars • Le Coaching des Héros

バルス-ムの滅亡を画策するスキンヘッド集団とその長?マタイ・シャン(Matai Shang)。原作には登場していないし、わざわざ自分たちの住む世界の滅亡をなぜ目指しているのか不明(映画中で語られているのかもしれないが、その行動原理はよくわからなかった。英語のウィキを見ても目標は不明とか書いてあるぞ!・・宇宙を旅し時を超越する種族・・云々とはある)

手前の毛皮をまとった男は、原作でジョン・カーターの敵役になるゾガンダの皇子サブ・サン(Sab Than)。映画ではゾガンダの族長となっているが、いずれにせよ、本作のヒロイン デジャ-・ソリスとの政略結婚を望んでいる。

 

このマタイ・シャンをわざわざ登場させる必要性がよくわからなかった。

ストーリーを単純化するために勧善懲悪の悪役を作る必要があったのか?と勘ぐりたくなるような設定なのだ。とはいえ、マタイ・シャンが登場したからといってストーリーが単純になったような印象は受けず、設定自体が不可思議な印象を受けた。

 

バルス-ム自体が滅亡に瀕しているという設定は原作からあるものだが、滅亡に瀕している理由は映画のように滅亡を画策している一味がいるからではなく、惑星自体が黄昏期を迎えつつあるという、「火星シリーズ」(本作原作シリーズ全体を指す)全体を通してバックボーンとしてある設定だ。この設定のため、シリーズ作品は独得の憂いを帯びるのだが、映画にはそのような「奥ゆかしさ」は微塵もない。

原作では、紫色の夜空、夜を照らす2つの月、月を背景に飛ぶ飛空艇の艦隊、地平線を目指しての飛行、かつて滅びた古代都市の遺構など情緒のある描写が随所にあるのだが、映画はどこまでいっても砂漠・荒地と明るいカッと照りつける系の太陽の世界だ。

ネタバレになってしまうが原作のラストで主人公は火星の空気を作り出す空気製造工場の不調を知りその対応の途中で地球に転移して戻ってしまうのだが、映画ではマタイ・シャンの力によって戻されることになっている。

 

4.原作にあるカタルシスがすっかり抜け落ちた

原作のジョン・カーターは剣技の達人、重力の違いからくる地球人の身体能力を生かした能力、勇敢、友情に厚く、信義を重んじるという人物として描かれている。原作では単身異世界にやってきた主人公がこうしたキャラクターから信頼や友情を勝ち得、仲間を増やし、やがてヒロインと出会い・・、ライバルと戦い、最後は勝利を収めるというストーリーで、その時々にカタルシスを得る場面が登場する。

映画でも主人公のキャタクター造形は原作と変わっているところはない。ただ原作にあったカタルシスを得る場面は十分に得られていない。

緑色人のタルス・タルカスとお互いの実力を認め合い、無二の親友となること。

緑色人の娘でジョン・カーターの世話をしたソラは実はタルス・タルカスの実の娘であることがわかること(若干、浪花節めいて語られるのだが)

この2つについては映画でも描かれてはいる。

ヒロイン デジャ-・ソリスとの馴れ初めや展開は、デジャ-・ソリス自体のキャタクターがかなり原作から変わっているため別物と言って良い。

またクライマックスのカタルシスは前述のマタイ・シャンのため全く異なるものとなった。

 

5.なによりもデジャー・ソリスが魅力的ではない(というか、それじゃない!)

原作のジョン・カーターは19世紀的な価値観・道徳観念を持った人物であり、女性は絶えず守るべき存在であるように描かれている。

映画では女性への扱いが現代的に描かれているのはなんともちぐはぐに見える。後述するように、ヒロインのデジャ-ソリスを現代的な女性として描いていることもあって、せっかく19世紀の「地球」の開拓時代のストーリーをふくらませることで描いたジョン・カーターの人物像が、ボケてしまっているように感じた。本作での女性(名前が出てくる女性キャラは緑色人のソラ以外では、ヒロインのデジャ-・ソリスしかないのだが)は共に戦う存在として描かれている。

 

原作シリーズを唯一無二のものにしていたヒロイン デジャ-・ソリスのキャラが全く異なるものになった点は避けて通れない。端的に言うと、「コナン・ザ・グレート」のヴァレリアさんですか?というくらいの筋肉隆々の王女様になりあそばされた訳だ。

原作が書かれた時代との違いと言ってしまえばそれまでだが、こういうのもポリコレの一種なんですかね・・。

少なくとも武部本一郎のイラストで馴染んだ日本の原作ファンには総スカンをくらったことは想像に難くない。

 

HD wallpaper: Movie, John Carter, Dejah Thoris, Lynn Collins, Taylor Kitsch  | Wallpaper Flare

デジャ-・ソリスさんとジョン・カーターです。

 

ジョン・カーター2 ウーラの大冒険 | 観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!

おまけ:火星犬ウーラは忠犬の名の通り、主人公にどこまでもついていく非常に忠実で勇敢に描いてあって好印象

 

(終わり)

ゲームの準備(和訳とか)の記事は続く予定です。

2022年上半期(1月~7月)はこんなゲームをした(4/4)ボードゲーム

今回はボードゲームの残りです。強烈なゲームが登場しました。

 

 

 

 

 

ボードゲーム(つづき)

RISE OF TOTALITARIANISM(4Dados)

第一次世界大戦終了後の1920年代からナチスが政権を取るまでのイタリア・ドイツを中心にした欧州の政治情勢を「社会民主主義」「共産主義」「全体主義」の3つの政治勢力の争いとして構成したという力技の作品です。

今季3本指にはいる作品。最初にプレイした時には1ターンで5時間要し疲労困憊になったという曰く付き。

2回目をプレイしてゲームは回るようにはなったのですが、次回は各勢力がそれぞれどのようにプレイしていくのか(そもそもゲームバランスはどうか)といったところを試してみたい。

 

 

 

 

 

BORDER STATES(Shakos)

南北戦争がテーマなのですが、中立州を味方陣営に引き込むための活動をゲーム化した、という異色作。南北戦争の会戦や活躍した将帥の知識があればより楽しめるかな。

 

 

 

金星の商人(アバロンヒル

VENUSとVENICEの違いというダジャレでつけられたタイトルはゲームの内容にあまり関係ないようですが(ゲーム内に金星は登場しない)、こういったネーミングも珍しいですよね。
前記事で紹介した「SPACE CORP」がハードSFだった(特に前半)のに対すると、本作はスペースオペラ風。記事内では他プレイヤーの邪魔や足の引っ張り合い要素は少ない、と書いたのですが、アークライトゲームズから販売された新版のルールでは邪魔要素も追加された模様です(ルールを熟読していないので詳細不明)。

 


 

THE SHORES OF TRIPOLI(FORT CIRCLE GAMES)

最近のボードゲームらしくコンポーネントがきれいです。こういうのはゲームしたい欲を刺激させてくれます。題材は超マイナーなアメリ海兵隊による海賊討伐というもの。しかも時代的にはナポレオン時代なんですね。

 

 

 

感想戦

紹介したゲーム合計28個。タイミングが悪く記事にしていないゲームがあと数個あったのですが、こちらは下半期のほうの記事に回しましょう。ちなみに我が家で最もプレイされたゲームは「AZUL」です。

上半期のベスト3は途中途中にも紹介していますが次の3本+αです。

作戦級に良作が多かったのと、ボードゲーム領域から戦争や外交テーマへアプローチされた作品にデザインやコンポーネントのユニークさもあり見るべきものがあったように思います。

空戦や海戦ものは全くプレイできていないです。下半期はもっと戦術級もやりたいところです。

(了)

 

 

 

 

2022年上半期(1月~7月)はこんなゲームをした(3/4)戦略級・その他ボードゲーム

戦略級ゲームなのか、ボードゲームなのかの判別が難しいゲームがいくつかありましたが、戦闘ルールに凝っている、ゲーム内での競争要素が戦闘によって決まるなどウォーゲーム要素が強いものを前者、ウォーゲーム要素が弱い、または起源はボードゲーム寄りのものを後者として整理しています。

 

 

 

 

戦略級

こうして並べてみるとマルチプレイヤーゲームが多いです。

銀河帝国の興亡(国際通信社/エポック)

エポック社から販売されていた幻のマルチプレイヤーゲームです。再販版の増刷も予定されているようですが、手にいれて損はない作品だと思います。「推し」ゲームです。デザインされた80年代アニメ・映画・SF作品にネタ元とするイベント、秘密兵器、設定が詰め込まれています。各プレイヤーの勝利条件はカードをドローして決めるのですが、状況次第では勝利条件として成り立たない組み合わせになることもあります。

 

 

SWORD OF ROME(GMT GAMES)

共和制ローマによるイタリア半島統一の100年間を扱ったマルチプレイヤーゲームです。標準ゲームでは4人、追加モジュールにより5人プレイになります。ゲームスタート時ですでに各勢力は隣接しており(緩衝地帯はほぼないのです)、細長い半島の中で南北に各勢力が団子状態で並んでいるため、各勢力とも、北側の隣接勢力に対抗するのか、南側に対応するのかうまく立ち回る必要があります。終始、シビアな争いになります。戦略眼に加え、交渉力も試されるかもしれません。

 


 

CONQUEST & CONSEQUENCE(GMT GAMES)

第二次世界大戦の欧州戦域について3人プレイ、積み木ゲームとして評価が高い、「Triumph & Tragedy: European Balance of Power 1936-1945」の太平洋戦域版です。日本、アメリカ&中国国民党ソ連&中国共産党という3グループに分かれることになります。純粋シミュレーションというよりは様式化されたゲーム世界ではありますが、独特の面白さはあります。
ゲームスタート時(1936年)には中国大陸に主力をおいた日本軍が南方攻略を行なわざるをえなくなる状況変化はうまいなとおもいましたが、ゲーム全体として史実のような展開になるかというと?な感じがしました。

 

 

7 Ages(Australian Design Group)

2回目の対戦。紀元前4000年から人類史をたどることができるというマルチプレイヤーゲームです。展開は史実とはかけはなれたものになりますが、登場する文明はいずれも歴史上に登場したものばかりなので、様々な地域の歴史を知るという知的好奇心が満たされる作品です。

個人的には今回のプレイは巧にはやり失敗してしまいました。

 

 

 

太平洋戦争: 血戦!!連合艦隊BANZAIマガジン)

太平記システムを採用して太平洋戦争(海軍中心)を描こうという野心作です。原典である「太平記」では北朝南朝の武将が登場するところが、日米の提督が並ぶということになります。

 

 

 

ギリシャ内戦(国際通信社/Decision Games)

コマンドマガジンの付録ゲーム。第二次世界大戦直後のギリシャ内戦を扱った異色作。直近でプレイした一作です。独得のゲームシステムは字面では決して難解ではないのですが、ゲームとしてプレイするには少々ガイドがあればよかったな、という印象です。細かいところを言うと確認したいルールも少なくありません。
まだまだプレイが足りない点があるように思いますので、機会があれば再挑戦してみます。

 


 

ボードゲーム(前半)

若干短いので次号でとりあげようとしていたボードゲーム類の一部を掲載します。

 

HEART OF DARKNESS(闇の奥)(LEGION WAR GAMES)

対戦は2回目です。前回とは人を変えてプレイしました。

アフリカ探検もの。プレイヤー同士は名声ポイントを競うという意味では競争者ですが、プレイ途中でお互いに干渉する要素やイベントはほぼありません。
プレイヤーが操る冒険家に体力の他、正気度を表すパラメーターが用意されていたり(正気度がゼロになると精神障害を起こすプレイ終了になります)、特別イベントとして発生するイベントの数々などゲームの背後に漂う暗い雰囲気が魅力的だったりします。

 

 

 

ORP Oizet(Instytut Pamieci Narodowej)

1939年9月ドイツとポーランドが開戦した際にポーランドの潜水艦がバルト海のドイツ軍の哨戒網をくぐり抜け、大西洋に脱出するまでを扱った作品です。シミュレーションゲームというより、ボードゲームにあたりますが、ボードや、潜水艦を表すユニットなどコンポーネントがとても良いのが印象的です。プレイ時間が短いため、空いた時間にプレイできるのも良いです。

 


 

SPIES!(SPI/TSR

80年代に発売されていたマルチプレイの旧作ゲームです。

欧州を舞台にプレイヤーは各国のスパイと同時に防諜組織を操ります。各国内にある重要な情報を獲得し、国外まで持ち出す。さらに自国に持ち帰ってはじめてポイントになります。戦前の欧州主要都市は陸路・空路・海路で結ばれており、いかに最適なルートを選ぶのかというのもポイントになるようです。

コンポーネントをリファインすれば、比較的容易に最近のボードゲームとしても通用しそうな印象を受けました。

 

 

 

 

EUROPE DIVIDED(PHALANX GAMES)

ソ連邦崩壊から2019年までの欧州史を西側欧州諸国とロシアとの争いとして扱った作品です。カードデッキをはじめカードの扱いや所々のルールやその処理など、ボードゲーム寄りの作品ではありますが、冷戦終了後の現代欧州史を振り返ることができる作品です。

 

 

 

SPACECORP: 2025-2300AD(GMT GAMES)

宇宙開拓会社を率いて、委託された宇宙開拓を進めつつ、技術開発・資源開発などなどを進めていくというゲームです。内惑星開拓時代、外惑星開拓時代、さらには恒星間航行時代と3つのステージがあり、それぞれマップやカードも一新されていくという内容になっています。それでいて半日強あればこうした時代を駆け抜けることができるというスピーディーな展開も良いです。その代わりといってはなんですが、内惑星ステージ、外惑星ステージの際にあった「センス・オブ・ワンダー」の雰囲気がゲーム後半になると急激に失われ、ゲームになってしまうのは残念でした。

とは言ってもゲームスタート時にある「センス・オブ・ワンダー」の雰囲気は非常に魅力的です。コンポーネント(特にマップ)の美しさも印象的でした。

 


(つづく)