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『SQUAD LEADER』(AVALON HILL)シナリオ5「621高地/HILL621」を再戦する【1/2】

 戦術級・東部戦線

 

『SQUAD LEADER』(AVALON HILL)シナリオ5「621高地/HILL621」を再戦しました。今回はソ連軍を担当しました。

 

前回対戦時の記事(ドイツ軍を担当)

 

 

 

初期配置

初期配置のソ連軍は実に48個分隊(ユニット)。当時のソ連軍の歩兵部隊は3個単位での編成だったということなので、そのまま計算すると大隊1個超の規模の兵力はそのまま登場していることになります。

ソ連兵が初期配置場所であるマップ3(手前にある小村落のあるマップ)に左右に大きく並べ配置されます。数が多いためひとつひとつの吟味は十分ではないですが、それでもドイツ軍側から死角になっていたり、また疎林や建物、麦畑などの遮蔽物を利用して移動できることは考慮しています。

ドイツ軍はマップ2(奥側にある丘陵マップ)に近い場所に射界を確保するように左右に展開しています。配置場所は合計4か所。左右に1個ずつのハイスタック。その高さからすると指揮官と2個または3個分隊によるスタック。機関銃やパンツァーファウストを複数保有しているため、かなりの高さになっています。さらにその左右に1~2個分隊が配置されています。

ドイツ軍は、すぐにマップ2へ後退する気はなく、まずはマップ4(開豁地と麦畑が広がる原野)でソ連の大軍を迎え撃つようです。

配置が決まると、シナリオの特別ルールによりまずドイツ軍の各分隊は士気チェックを行う必要があります。敗走してきた兵力という設定なので最初の段階から戦闘不能状態になる部隊がいるということになります。ドイツ軍分隊の士気値は7ですので、2個から3個分隊が戦闘不能になる確率です。ところがこの士気チェックはうまくいき、ソ連軍としては期待外れなことに、戦闘不能状態の分隊は1個のみ、しかも指揮官とスタックしているユニットであったため、回復も早そうです。

初期配置
マップは右手が北側
①: ソ連軍の機関銃火点。左右にはマップ端に沿い、48個分隊が並ぶ
②~④: ドイツ軍のスタック(計8個分隊)

 

戦闘経過

第1ターン

ドイツ軍の指揮官は無線で後方の砲兵陣地へ接触を試みますが、失敗しました。*1

ドイツ軍の増援として75ミリ対戦車砲がハーフトラックに牽引されて登場しますが、右翼の低い方の丘陵を目指すようです。

ソ連軍ターン、ソ連軍の大部分の歩兵が前進を開始します。やみくもに進むのではなく、麦畑や疎林、建物の死角を利用しながらの前進です。まだドイツ軍陣地からは視線が通りにくいため、損害は微々たるものです。

お互いの機関銃陣地から相手の火点に向けた遠距離(500メートル超)での射撃戦がはじまります。ただお互い石造建物にいることから早々損害を与えられるものではありません(と思っていました)。

ドイツ軍は指揮官とのスタックが左右に1個ずつ存在していたのですがつづくターンにかけて、ドイツ軍スタックに対してソ連軍の射撃が続けざまに有効打を与えたのです。いずれもスタックの一部、または指揮官を含め士気チェックに失敗します。ドイツ軍の前面戦闘力が一挙に落ちます。特に左翼前面の疎林の中にいたドイツ軍スタックの指揮官は砲兵支援呼び出し用の無線機を保有していたのですが、無線機を放り出したまま潰走することになります(第2ターン)。*2

第1ターン
前進するソ連軍歩兵。
①: ろくに射撃を行わないうちからソ連軍の機関銃陣地は、ドイツ軍火点からの銃撃により指揮官が士気チェックに失敗し、さらに分隊1個は凶暴化した(赤色ユニット)。
機関銃陣地は予備の分隊が引き継いだ。

 

第2ターン

このターン、両軍に戦車が登場します。ドイツ軍にはⅣ号戦車F2型が4両。ソ連軍にT34/76 6両です。車体の防御力や主砲の威力は同等ですが、ドイツ軍戦車は遠距離の砲戦に強く、ソ連軍の車輌は機動性に優れます。

先に戦場に姿を表したドイツ戦車は麦畑をすすむソ連軍歩兵にオーバーラン攻撃を仕掛けます。有効な対戦車兵器をもたないソ連兵はかろうじてドイツ戦車が近接した時点で、士気チェックに成功した上で走行不能を仕掛ける攻撃を行うのですが、その成功値は数%と低いです。今回のプレイを通して防御射撃時における歩兵から近接した車輌への走行不能の試みに成功したのは1両だけであったように思います。

有効な攻撃ができないソ連兵に対して執拗に行われたオーバーランによりソ連兵に少なくない数の損害がでます。なによりもソ連軍はユニット数に比べ、指揮官ユニットが3個しか登場しないため、戦闘不能になった分隊ユニットを回復する術が限られるのです。指揮官の圧倒的な不足というソ連軍の弱点はこれもまたゲームを通して影響を与え続けます。

オーバーラン攻撃に続き、ドイツ軍の機関銃射撃によりソ連軍の火点の士気チェックにおいて9-1指揮官が士気チェックに失敗します。またその士気チェックの過程で分隊の1個が凶暴化しました。

こうしてドイツ軍・ソ連軍ともお互いの機関銃火点が潰しあったことになります。ソ連軍は隣接ヘックスに置いていた予備の分隊で射撃は継続しました。

が、それよりもあとあとに深刻な影響を与えたのがソ連軍の指揮官不足です。ここで9-1指揮官を失ったことで、もともと3人しかいない指揮官のうち1人が左翼側の後方での士気回復に専念することとなり、左翼前線付近で士気回復を行う指揮官がいなくなったのです。

ダイスの目ひとつで勝負のシーソーが大きくぶれる状態です。

第2ターン:ドイツ軍プレイヤーターン終了時
①:戦闘不能になり無線機や機関銃などの装備を置いたまま後退するドイツ軍スタック
②:戦闘不能となり機関銃などの装備を置いたまま後退するドイツ軍スタック
③:マップ右端より進出したドイツ軍Ⅳ号戦車は、途中麦畑をいくソ連軍歩兵にオーバーラン攻撃をしかけた後、やや後方に下がり続いて登場するT-34/76に備えて集結した
④:石造建物に位置するドイツ軍機関銃陣地だが、貴重な重機関銃が故障した
⑤:対戦車砲は左側の高い丘陵ではなく、右の低い方の丘陵地に現れ、ハーフトラックに牽引された状態で、下からの視線が通らない場所にいったん位置している。ソ連軍戦車が登場した後、下界に視線を通すことができる場所に移動するのだろう。

 

さてソ連軍の戦車ですが、どう展開するかが悩みどころです。懸念はドイツ軍が丘陵の上に備え付けようとしている75ミリ対戦車砲です。ソ連軍は数的有利な状況ではありますが、ダイスの目次第ですぐに崩れてしまうほどのアドバンテージにすぎません。

第2ターン:ソ連軍プレイヤーターン終了時
前の写真の状況と比べるとわかるようにソ連軍はまっすぐに侵攻していきます。
②:狂暴兵ユニットは死を恐れず開豁地をまっすぐにすすんでいます。
①:マップ下方から登場したT34/76はマップ右上方向に展開するドイツ軍戦車に相対するように左下方向に集中しています。

 

第3ターン

ドイツ軍はマップ2の低いほうの丘陵に対戦車砲を下ろすと操作班が移動させ戦場(マップ4)を火制下におきます。さらにソ連軍の機関銃陣地からではこの対戦車砲の位置が射程外にあったため、ソ連軍は戦車からの遠距離射撃(成功値は数%)以外に有効手段を持ちません。やむなく機関銃部隊は機関銃を携え、対戦車砲を射程内に収めるように移動します。

後の話になりますが、この機関銃は対戦車砲の操作班を射程内に収まる位置まで移動した直後の射撃で故障を起こしてしまい、対戦車砲の無力化は先延ばしになります。

結果、ドイツ軍対戦車砲の無力化は、後に増援として登場した親衛赤軍が保有していたブローニングM2による射撃によってようやく達成されます(第7ターン頃)。
それまでの少なくない期間、ソ連軍戦車部隊はマップ4の大部分を射界に収めた75ミリ砲の射界内におかれ、機動ひとつにも制約を受け続けることになるのですが、幸いなことに、この対戦車砲はあまりダイスの目がよくなく、外すか、命中しても効果なし、といった結果を残し続けました。

第3ターン:
ソ連軍歩兵はなおも前進し、左翼はすでにマップ2の丘陵地の麓にまだ達しています。
右翼は石造建物に残っているドイツ軍陣地を用心して少し遅れています。
①③④⑤:ソ連軍のT34/76はドイツ軍の対戦車砲を用心し、対戦車砲から死角にあたる場所に展開しています。
②:ドイツ軍の対戦車砲により撃破されたソ連軍車輌
⑥⑦⑧:展開したドイツ軍Ⅳ号戦車
⑨:ドイツ軍対戦車砲は丘陵地の上からマップ4を広く火制下に置いている

 

第4ターン

ソ連軍の左翼は潰走したドイツ兵を追い、高地の麓にとりつきます。ドイツ軍戦車のオーバーランの波状攻撃を受けていた右翼部隊も左翼に少し遅れる形ですすみます。右翼前面の疎林内で十分に回復できずにいたドイツ軍スタックを攻撃することで実質的に無力化しました。

問題は対戦車戦闘で、ソ連戦車は死角を利用しながら、平野部に展開。
一方平野部にいたドイツ戦車は歩兵の防衛線が実質的に崩れたことから丘陵地(マップ2)へ後退します。

ここまでは初期配置のドイツ軍歩兵はほぼ壊滅し、左翼はそのままの勢いで前進、右翼は最後に残った石造建物内のドイツ軍分隊1個にややてこずりながらも接近に成功しています。

第4ターン終了時:
マップ上方からドイツ軍の突撃工兵の一群が増援として到着(⑪)、さっそく突出していた左翼のソ連兵と戦闘を開始し、撃ち勝つ(⑦)
戦車戦でもソ連軍は分が悪く、ドイツ軍戦車(⑬・⑭)、対戦車砲(⑮)との射撃戦の結果、1両撃破するものの(⑨)、前ターン含め3両を失う(②・③・⑥)。
ドイツ軍には増援で3両の戦車・突撃砲が登場している(⑩・⑫)。
⑧:ドイツ軍Ⅳ号戦車との白兵戦を行う狂暴兵ユニット。

 

(つづく)

 

*1:今回の戦いにおいてドイツ軍は120ミリと150ミリという最大級の砲兵支援の権利を獲得していたのですが、前半は無線機を保持した指揮官が斃れ、後半も無線接触や視認失敗が相次ぎ、思うほどの効果はありませんでした。ただ1回あたると効果は絶大でソ連軍1個小隊(3個分隊)が除去といった効果がありました。

*2:補足:このあたりの経緯は記憶がはっきりしないのですが、ドイツ軍の③にいた歩兵分隊が戦闘不能になったことにより、④の石造建物にいたドイツ軍指揮官が③歩兵の回復のため移動したところを、ソ連軍機関銃により戦闘不能になったのかもしれません。いずれにせよドイツ軍の②スタック(無線機持ち)、③の両方がこの前後で戦闘不能になったのは確かです。

『Baltic Empires』(GMT Games)を対戦する【2/2】

マルチプレイ

 

『Baltic Empires』(GMT Games)は、16世紀から18世紀にかけてのバルト海沿海の5大国を対象にしたマルチプレイのゲームです。今回、5人シナリオを対戦しました。

 

 

 

プレイ報告

5人用キャンペーン「北方戦争」を行いました。

 

担当国と勝利条件の検討

デンマーク=ノルウェー以外はランダムに担当国を決めました。当方の担当はロシアです。

勝利条件としては「貿易の独占」「文化的覇権」「国家目標」のいずれかの達成が求められます。

「貿易の独占」については、地理的にロシアの封地に隣接しているリガはともかく、ハンブルクはもちろんダンツィヒまで進出するのは難しいでしょう。

「文化的覇権」についても、ロシアはこの3分野いずれにおいてもポイントにマイナス修正を被っているため、他国とヘゲモニーポイントで競い、さらに3分野すべてで勝利するのは無理があります。

「国家目標」は5つの州の占領なのですが、目標とされた州のうち、スタート時点ですでにモスクワ、イングリア、スモレンスクの3箇所は確保済のため、残っているのはキエフとリガの2か所に絞られているというのは非常によいシチュエーションです。

消去法で「国家目標」のみが現実的に達成な勝利条件といえるでしょう。

 

ロシアの特色

他にロシアを特色付ける要素としては、以下のようなものがあります。

皇帝による直接政治

皇帝の直接政治が実現しているため、国内で貴族と国王が争っている国(例:ポーランド)に比べると余計なコストを要しません。また宗教についてもほぼギリシャ正教で統一されているため、国家と被支配エリアの宗教が異なることによる悪影響もうまく避けられています。

国土の広さ

工房/生産地を建設可能なエリアが多く、潜在的な成長余地が大きいのが強みです。ただし留意点として、穀物(大麦など)や亜麻のような一次産物の生産量が多いため、余剰の生産物は海上貿易を通してうまくさばいて他の産物に替えるか、資金化しておく必要があります。ターンの終わりに手元に残った余剰産物は廃棄されるため、手元に残らないように処理していく必要があります。

低廉な軍事コスト

もともとロシアは軍備コスト(徴兵コスト・維持コスト)が低いのですが、今回は途中でコスト低減効果を持つDP(Dramatis Personae:史実の人物を表すカード)を廷臣に加えたことで、コストはさらに安くなっていました。一方、隣国にしてライバルであるポーランドは軍備費用が高いという特徴があります。

練度不十分な軍隊

ロシア兵は練度が不足しているとされ、戦闘結果判定の際に他国であれば損害を与えられる戦闘結果についても、ロシア軍の場合はノーカウントにされてしまいます。発生率にすると約16%(1/6の確率)ですので馬鹿にはできない数字です。
逆に隣国にしてライバルであるポーランドは騎兵が精強であることで知られており、戦闘時に敵へ命中させた際(相手に要塞がない場合)、そのうち1つが2ヒット扱いになるという特性を持っています。
実際、今回のプレイでも、序盤近く、数を頼んでキエフのあるエリアになだれ込んだロシア軍は、ポーランド騎兵によって殲滅させられました。

 

ロシアをめぐる外的状況

地理的状況を見ると、国家目標で求められている5つの州のうち、3つまではすでに支配下にあり、残るはリガ・キエフの2か所になっています。しかも2か所ともロシアの支配エリアに隣接しているのです!

ところが、キエフはポーランドの国家目標と被っており、リガはさらにポーランドに加えスウェーデンもその支配を狙っています。なんなら「貿易の独占」の勝利条件達成の条件としては、すべての勢力の目標でもあるのです。

そうしたキエフやリガに無策のまま進出した日には、周辺国家からの集中攻撃を受けることは必至でしょう。

他勢力プレイヤーからの指摘ですが、ロシアは東側に国が登場しないことから後背地を気にすることなく活動できる点が良いということです。『戦国大名』や『信長の野望』でいうところの島津氏ポジションですね。

ともあれまずは内政への注力です。都市や工房/生産地を建設することで、商業と産業の振興に努めます。

 

プレイ開始と序盤

ロシアは初期状態で資金が若干多いです。さらに「借りることができるものは借りておけ!」とばかりに借金まで行い(ただし借入額には制約あり)、初期勢力の充実を図ります。

あわせて低廉な軍備コストを頼んで軍備増強に走ります。コストが高い他国に先駆けて兵力(陸上兵力)の充実を図ります。海上戦力も構築できるのですが、初期段階でデンマーク=ノルウェーが海上戦力の充実に努めていたことから、装備は早々に諦めました。後講釈ではありますが、海上戦力を持っていると海上輸送が可能となり、海岸線沿いでの機動力が格段に上がります。確かに海戦が発生したとすると、海軍戦力が充実した国家にはかなわないのですが、局地的には保有してもよかったかなという印象です。

スタート時の状況:南北逆向きになっています
ロシア(緑色)、スウェーデン(青色)、デンマーク=ノルウェー(赤色)、ポーランド=リトアニア(茶色)、プロイセン(灰色)
丸いマーカーは支配マーカー
黒い四角のマーカーは都市。北ドイツあたりに数多いのですが、ロシアやポーランドには数が少ないのが明らかです。
各国色の四角ユニットが軍隊ユニット

 

キエフ侵攻とポーランドの有翼騎兵

さて幾ターンか後、ロシアはキエフに攻め入ります。すかさずキエフ防衛に駆けつけたのは、ポーランドが誇る有翼騎兵です。

ポーランドの「有翼騎兵(Winged Hussars/フサリア)」は、16〜17世紀の近世ヨーロッパで最強と評された重騎兵であり、ポーランド=リトアニアの軍事的黄金期を象徴する存在とされています。雇用・維持コストは高いのですが、強力な打撃力を誇ります。

さらにその有翼騎兵を率いていたのが、カール12世でした。なぜスウェーデンの国王がポーランドに!?というところですが、DP雇用において史実上の出身国は関係ありません。本来の所属国以外の国で使ってもペナルティが生じることはありません。ナポレオン戦争末期を扱った『Congress of Wien』(GMT Games)でも他国のキャラクターを登用することはできたのですが、その能力を十分発揮できないなど制約が施されていました。そうした作品に比べると本作のDPはあっけらかんとしているといえるかもしれません。

有翼騎兵の戦闘効果に加え、カール12世の戦闘効果のダブルコンボにより、ロシアの侵攻軍はあっさりと除去されてしまいます。

 

もともと一種の強行偵察のような規模の侵攻であったこと、兵力の雇用・維持コストが安いためすぐに回復できることなどから、敗退したこと自体は惜しくありません。むしろ、ロシア軍の弱兵ペナルティと、カール12世がポーランドにいる間はポーランドへの侵攻は無理だと悟ったことのほうが大きかったかもしれません。

ポーランド、スウェーデン、ロシアの3国に隣接しながら緩衝エリアのようになっていたリガに対しては、暗黙の了解のようにいずれの国も侵攻しません。

有翼騎兵(Winged Hussars/フサリア)

史実では、ポーランド=リトアニアに16世紀初頭に軽騎兵として登場し、16世紀後半〜17世紀に重装化して「有翼騎兵」として完成した。鞍や背中に猛禽類の羽根を装着し、敵の士気を挫く心理効果を狙った。敵のパイクよりも長い4~5m級の超長槍を装備し、密集隊形での突撃を戦術とした。一度の突撃で槍が折れるため、従者が予備を多数携行したという。火器の発達や戦術の変化、また国家の衰退により役割が縮小し18世紀後半に解散した。

 

中盤から終盤へ

ゲームはターン数が最初から決まっており、ターン終了までにいずれかの国が勝利条件を達成したかどうかで決着します。

ロシアは対外的には膨大な兵力を抱えたまま内政の充実に努め、やがて国内は開発しつくすほどになります。対ポーランドについては、国内に「要塞」を建設することで、有翼騎兵を含むポーランド騎兵の効果を発揮させないようにすることに努めます。

デンマーク=ノルウェーは海軍戦力の充実に努め、制海権をがっちりと掴んでいます。制海権を握ることで、北海からバルト海沿岸のいずれの陸上エリアにも素早く陸上兵力を送ることができる状況です。

ブランデンブルク=プロイセンはもともと2エリアという弱小状態で、かつポーランドの属国として開始するのですが、ここまで属国の解消は行わず(属国の解消はプロイセン側からだけ宣言できるという片務契約になっています)、北ドイツ付近の中立エリアを併呑することで急激に国力を伸ばしつつあります。

スウェーデン、ポーランド、ロシアの3国は、それぞれ軍事力を上げながらも大きな衝突には至っていません。

途中、スウェーデンはあるDPの効果を用いてポーランドからカール12世を自国に呼び寄せます。しかしその直後、その強力な軍事的才覚を恐れた別の国のDPの効果により、カール12世は除去されてしまいました。

 

終盤

誰が一番勝利条件の達成に近いかで他の国から集中攻撃を受けることはよくありますが、本作でもそれが起こります。

またさして広くないマップ上に5つの勢力が緩衝エリアもなくひしめき合っているため、どこかで起こった戦争が別のところでの争いを引き起こすといった相互作用が複雑に発生し、思わぬ影響を与えていくことになります。

口火を切ったのは、デンマーク=ノルウェーによるスウェーデン本国への侵攻です。ただしデンマーク側も主力兵力を国外に置きっぱなしにするリスクは避け、1ターンで帰還します。

その後、プロイセンプレイヤーからDP効果により勝利条件達成が近いことが宣言されると、すかさずデンマーク=ノルウェーがその妨害に入ります。

ロシアは、スウェーデンがデンマーク=ノルウェーとの戦争に入りカール12世が本国へ帰国した直後、空白地帯であったリガへ侵攻し、占領します。

終盤、デンマーク=ノルウェーのスウェーデン本国侵攻の影響でスウェーデン軍が手薄にしたリガに対し、ロシアが進出。ポーランドは阻止しようと隣接エリアに軍を集めます。

 

続けてロシアは、もうひとつの国家目標であるキエフに向けて侵攻し占領するものの(支配が確定するまでは1ターン超を要するため、この時点では勝利条件は未達成)、すかさず反撃に参加したポーランド=リトアニア軍によって撃退されてしまいます。そのままポーランドはキエフエリアから北方向にロシア国内へ侵攻を開始しますが、広大なロシアの領地の中では多少のエリアの失陥も痛痒にも感じず、またポーランド側もメリットがないことから軍を引いていきました。

この時点でプロイセンのDPを用いた勝利条件達成は潰され、3分野のヘゲモニーは、商業プロイセン、産業ポーランド、軍事ロシアの3国で分け合う形となっていました。

このまま終了すると「勢力均衡」の条件(前記事参照)が達成され、プロイセンの勝利となるところでしたが、ロシアが保有していたDPの効果により、ヘゲモニーの数が引き分けの場合はロシアが勝利するということが判明します。

そこで、ロシアを軍事ヘゲモニーから引きずり下ろすための作戦が展開されました。つまりは、ロシアの軍事力に大損害を与えることでヘゲモニーを失わせようというものです。ポーランド軍は自国の国家目標でもあるスモレンスクに侵入し、スウェーデンはリガに軍を送りました。

スモレンスクではロシア軍は要塞の効果によりポーランドの有翼騎兵の効果を封殺し、損害を抑えました。リガにおいても同様にスウェーデンの攻撃をしのいだロシアは、終了時点で軍事ヘゲモニーを維持し、そのまま勝者となりました。

終了時の状況
デンマーク=ノルウェー(赤色)がユトランド半島(デンマークがある半島)から南下している点、リガ周辺にロシアとスウェーデンが進出しているのが目立つくらいで、5勢力の国境線はスタート時とほとんど変わっていません。

感想戦

プレイ時間は5~6時間を要していますが、プレイ感は重くありません。訳がわからないとか、取り扱いの議論で進行が滞るといったことも少なかったように思います。

国ごとの詳細な事情や史実に起因する事象が、基本的にプレイヤーカードやDPの効果としてまとめられていることから、システム全体の構造を見通しやすいためでしょうか。

構造がわかりやすいシステムである一方、貴族支配と直接王権支配の違い、宗教の違いによる治世の難しさ、産業と貿易といった要素もしっかりと組み込まれている点に感心しました。正直に言うと、今回、直接的な王政と貴族支配による違いというものをはじめてはっきりと”腹落ち”しました。日本史における荘園や国司、地頭といった制度の変遷もこうしたゲームを通してであればもっと直感的に理解できるようになるかも、思います。

 

話を戻すと、58枚あるDPは性能が千差万別で、かなりピーキーなものも含まれているため注意が必要でした。序盤で猛威を振るって各国の好戦性をかなり弱めてしまったカール12世や、ロシアやプロイセンの勝利条件を左右するような効果を持つDPなど、注意深く使い方を考えなければ見落としてしまう効果も少なくありません。

ただ全般に馴染みが薄い人物が少なくなかったのも事実です。

毎ターンのDPの購入順を決めることができる「産業ヘゲモニー」の獲得には関心が集まります。産業ヘゲモニーを持ったプレイヤーはDPの購入の優先順位を扱うため、ヘゲモニー国プレイヤーは他プレイヤーから”袖の下”を受け取ってもいました(こうした交渉を行うこと自体、ルールで認められています)。

DPの重要性、どのDPを購入するのかの重要性が高い一方で、上に書いたように産業ヘゲモニーの重要度があがり、他の2つのヘゲモニー(商業、軍事)とのバランスが崩れているようにも思えました。

少なくとも次回プレイする場合、DPの分析、つまりどのDPの効果が高い、見逃せないといった点は不可欠でしょう。

 

今回、ゲーム後半、各国は都市はもちろん工房/生産地の開発をしつくしてしまい、産品を表すマーカー自体が不足するようになっていました。もしかするとゲームとしては、ここまで産業発達が成熟する前の段階で交戦を行うことが想定されていたのかもしれません。

 

ただ、マルチプレイヤーゲームの場合、他国との戦争によって自国の資源や資金を食い潰し、侵略国や被害国ともに勢力を落とす原因になるため、避けるに越したことはありません。本作も例外ではなく、進んで戦争を起こすには相応の準備が求められます。

言ってみれば、産品マーカーの不足は、今回の参加者がいずれも、デザイナーの想定以上に戦争を忌避した結果なのかもしれません。

 

バルト海沿岸を中心とした観点で描かれた西洋史という日本人にはなじみのない視点でのプレイは新鮮でした。ポーランドやスウェーデンが強国であった歴史、ロシアの勃興、プロイセンが東方領土にこだわる理由など歴史的因縁の片鱗に触ることができたのではないかと考えます。

複雑な歴史要素はDPの能力やDPが起こすイベントに寄せられているため、もっとDPの内容を理解したらさらに歴史ゲームとしての深みが味わえたのかもしれません。

(終わり)

 

 

 

欧州史全体を扱う作品は少なくないのですが、バルト海沿岸の勢力争いとなると辺境感があり、なかなか馴染みがないんですよね。

 

『Baltic Empires』(GMT Games)を対戦する【1/2】

マルチプレイ

 

『Baltic Empires』(GMT Games)は、16世紀から18世紀にかけてのバルト海沿海の5大国を対象にしたマルチプレイのゲームです。今回、5人シナリオを対戦しました。

 

 

 

ゲームの紹介

登場する国は、ポーランド=リトアニア、スウェーデン、デンマーク=ノルウェー*1、ブランデンブルク=プロイセン*2、ロシアになります。例えばこの時期のスウェーデンのように単独ではそこそこ知られていても、バルト海沿海の勢力という、日本人の西洋史観の中ではあまり触れてこなかった観点でもあり、新鮮です。

 

マップ

バルト海を中心に西はデンマークが位置するユトランド半島、東はモスクワ、北はスカンジナビア半島、南はキエフや北ドイツが含まれています。

マップはエリア制。
各エリアには都市や工房/生産地、また交易所などの建設できる場所が示されています。こうした施設は商業や産業のパラメーターに直結するため、整備していくことが必須となります。
住民が信奉する宗教についてもエリア毎に決まっています。ゲーム中、登場するのはカソリック、プロテスタント、ギリシャ正教の3宗教です。
エリアを支配している国の宗教とエリアで指定された宗教が異なる場合、そのエリアで建設などを行う際のコストが高くなります。

 

非常に美しいデザインが施されたマップ
ただゲームで用いるアイコンとフレーバーのイラストが混在していて、慣れるまで混同したり、見落としがち

 

国の状況を表すパラメーター

各国の勢力は、次の3つの分野で評価されます。

  • 商業: 自勢力内の「都市」「関税所」の数
  • 産業: 自勢力内の「工房/生産地」の数
  • 軍事: 軍事ユニットの数

これに各国毎に設定された修正値と、登用している人物カード(DP:Dramatis Personae ドラマを動かす人)による修正が施されます。
さらにこの3分野については、ラウンドの終わり(決算フェーズ)にそれぞれポイントトップの国を決め、これを「ヘゲモニー」を獲得している状態と表現しています(例:軍事ヘゲモニー)。

ヘゲモニーを獲得している場合の特典として、各ラウンドのそれぞれのヘゲモニーが関係する手順(フェーズ)における、プレイヤーの処理順序をヘゲモニー国プレイヤーが指定できます。(例: 産業ヘゲモニーを獲得したポーランドプレイヤーは、生産フェーズの処理順序を決めることができます)。

生産フェーズの処理順序は、場に出されているDPカードの購入順序となるため、ゲーム中、注目されることが多いです。とりわけ能力が高いDPが場に出されている場面では、産業のヘゲモニーを持っているプレイヤーに対して処理順序の交渉がはじまることもしばしばです(資金が動くことも)。

また3つの分野のヘゲモニーを独占したプレイヤーはサドンデス勝利が可能となります(文化的覇権)。

 

勝利条件

勝利条件は次のいずれかになります(以下は標準ルールの場合の条件です)

  • 貿易の独占: マップ上の3つの関税所(リガ・ダンツィヒ・ハンブルク)のうち、2か所以上の支配
  • 文化的覇権: 3つの分野のヘゲモニーを獲得する
  • 国家の野望: 各国に設けられた勝利条件の達成(歴史的・地政学的なエリアの獲得が多い)
  • 勢力均衡: プロイセンのみが対象で、ラウンド終了時点で他のいずれの国も勝利しておらず、かつプロイセンが自国の開始エリアを支配し、ポーランドへの属国状態を解消している場合に成立します

 

マルチプレイのゲームでよくあることですがいずれかの国が勝利条件の達成が近くなると、他の勢力が協力して邪魔をしてくることはよくあることです(マルチプレイヤーゲームあるあるの状況)。

 

今回担当したロシアのプレイヤーカード

 

ゲームシーケンス

  1. 収入フェーズ: 都市から税収、工房/生産地から物資を得る
  2. 海上交易フェーズ: 国内で消費しきれない余剰産物を貿易によって資金や輸入品に替える*3
  3. 財政フェーズ: 資金の借入と返済を行う、軍隊の維持費支払い
  4. 生産フェーズ: 場に出ているDPの購入、都市・工房/生産地の建設、軍備の増強
  5. 戦争フェーズ: 艦隊の移動、艦隊の戦闘、陸軍の移動、陸軍の戦闘
  6. 決算フェーズ: ヘゲモニーの更新、サドンデス判定

 

ドラマを動かす人々(DP:Dramatis Personae)

ゲームには58枚ものDPと呼ばれるキャラクターカードが登場します。
各カードには登場国の政治家・軍人・宗教家など歴史を彩った人物が描かれています。
DPは毎ラウンドの生産フェーズのタイミングで、場に5枚並べられ、そこから順番が早いプレイヤーから所定の雇用料を支払うことで入手し、自分の陣営に加えることができます。国王を含め他国のキャラクターも陣営に加えることができます。*4

DPにはその人物を踏まえた様々な効果が設けられています。
効果にはカードの利用を宣言した際に1回のみ効果を与えるスポット的効果だったり、カードを陣営に加えている間、効果が持続するものとがふくまれています。

 

カール12世(在位1697‐1718)
今回のプレイでは強烈な強さで猛威を奮ったことから他国の羨望と同時にヘイトを買い、最後はDPを排除するイベントを持つ別のDPによる効果で強制排除された。
このカードの効果としては、カール12世自身を表す騎兵ユニットがマップ上に登場する。その騎兵ユニットで攻撃を行う場合、先撃ち(通常は同時解決)となる。保有する勢力の軍事+3、商業-2と強烈(軍事にしろ、マイナス数値にしろここまで大きな修正値をもったDPは珍しい。内容は異なるが、ピョートル大帝くらいか?)

 

軍事・戦争

陸上ユニットとして歩兵・騎兵・要塞、海上ユニットとして戦列艦が登場します。
その他に一部のDPについては保有している間、指揮官として陸上・海上ユニットが登場するものもあります。
各国が保有できる部隊数、新設時の必要コスト、維持コストはそれぞれ国情にあわせて差がつけられています。
また同じ兵種であっても国によって、またはDPの効果によって特殊な効果が与えられているものがあります。
戦闘判定は、歩兵・騎兵・要塞・艦隊それぞれ専用に用意されたダイスによって判定します。

 

プレイ終盤の状況
南北逆になっているので注意

 

 

付録:歴史的背景


(つづく)

 

 

 

*1:連合王国を形成していた。のちにノルウェーはデンマークの属州となっています

*2:ブランデンブルク選帝侯国+プロイセン公国の同君連合

*3:各種支払いが発生する生産フェーズで支払いを行うにあたっては資金か産物を用いることができます。産物を用いる場合、支払い毎に同じ種類の産物を複数用いて支払うことはできません。例えば大麦マーカー複数を同時に支払いに用いることはできません。ポーランドやロシアのように農業が盛んな勢力の場合、大麦・亜麻のような農業による産物を大量に産するのですが、海上交易フェーズであらかじめ他の産物に変えておかなければ(または分散した支払いを行うか)、効率よく支払いに充当させることができません。そのラウンド内で使いきれなかった産物は破棄されます。
多用な産業を興した勢力と大国とはいえ産業が偏った勢力の特色を表すことができるこの処理はシンプルですが、上手い処理ですね。
ちなみに海が近いデンマーク=ノルウェーは魚を大量に産することができるなど、勢力による違いもしっかり描かれています

*4:この点については、DPはカードに名前を記された本人だけではなく、考え方を共有する周囲の人々や後継者も含めた概念という説明をされています。これによりゲームの舞台である百数十年にわたって登場し続けたとしても矛盾がない説明となっています。うまい説明です。

『商人と海賊』Merchants & Marauders(Z-Man Games)を対戦する

 ボードゲーム・マルチプレイ 


『商人と海賊』Merchants & Marauders(Z-Man Games)は、カリブ海を舞台にひとりの船長となり、船を駆り、名声の獲得を目指す、マルチプレイヤーの作品です。

面白いのは全員海賊になるのかというとそういうことはなく、自分の"生き方"は自由に選ぶことができる点です。海賊行為を行ってもよいし、せっせと積荷を運ぶ交易を行う商人でもよい、はたまた港で受けることができるミッションをこなす冒険家として活動することも可能です。もちろん同時にこれらをこなすことも不可能ではありません。なお各国海軍の船や、他の海賊船はNPCとして登場します。

 

 

 

 

ゲームの紹介

勝利条件

栄光ポイントを10ポイント獲得します。栄光ポイントは以下で得られます。

  • 戦闘の勝利
  • 交易での成功(収益)
  • 海賊行為での成功(収益)
  • ミッションの達成
  • 噂の真偽を突き止める
  • 大型船の建造(購入)
  • 隠し金貨の蓄積

栄光ポイントはプレイ中、プレイヤー毎のプレイヤーボード上で確認できますが、最後の「隠し金貨」だけは名称の通りプレイ中は秘匿され、ゲーム終了時に初めて明かされます(ゲームには隠し金貨を他プレイヤーから隠すため、宝箱を模した箱状のギミックが用意されています)。

カードをたてかけている茶色の箱が「隠し金貨」をいれる”箱”。
「隠し金貨」は各プレイヤーの母港か、特定の港にいる時のみ蓄積できます。「隠し金貨」とすることで、いくら蓄積されているのかを他プレイヤーから隠すことができるという点の他、仮に他プレイヤーや海賊からの襲撃に敗北しても略奪されないというメリットがあります。
なお後ろに写っているダイスは、5・6の目の部分がドクロ印になっている本作の特別仕様になっています

 

キャラクターと船

プレイヤーは船長カードをランダムにドローし、その後、スタート時に選ぶことができる2種類の船のいずれかを選びます。船長カードには4つのパラメーター(操船術ー捜索ー統率力ー影響力)があります。

  • 操船術:船の操作。海戦の際に影響
  • 捜索:海域で他の船を見つける、「噂」による財宝の発見などの成否に影響
  • 統率力:白兵戦時の修正、船員募集の成否に影響
  • 影響力:ミッション関係、噂の収集などに影響

船は最初に選択できる小型船(機動性が高く海戦時に有利なスループ船か、積載力に優れるフリュート船)から、最終的に購入できる大型船まで複数種類あり、これもまたサイズや耐久性、機動性、積荷、船員数、武装などのパラメーターがあります。改装によって性能を向上させる各種装備や特殊武器を備えることも可能です。

各プレイヤーに与えられるプレイヤーカード。諸情報がまとまっており使いやすいです。左上の顔がはいったカードが今回の船長カードです。
左下が船のカードで、資金がたまると購入することができるようになる、大型クラスの「戦列艦」になっています。「戦列艦」は、積荷容量が標準的(Cargo:3)で、機動性はありません(Manueverability:2)。それ以外のパラメーターは最高値になっています。右下の重ねられたカードが現在の「積荷」(砂糖など)。

船長カードの右横の旗マーカー(スペイン、イングランド)が現在、この船長が両国の「賞金首」になっていることを表しています。

 

各ターンのアクション

1回の手番中、各プレイヤーは3つのアクションを実施できます。アクションとしては、

  • 移動する(1アクションで1エリア)
  • 港に入港する/出港する
  • 港で活動する

の3点。

さらに港の活動には複数あり、1回のアクションの中で複数実施することができます。

  • 積荷を売る
  • 積荷を買う
  • 船を作る(古い船を売る)
  • 船を修理する
  • 船を改装する・特殊武器を取り付ける
  • 船員を募集する
  • 噂を収集する
  • ミッションを受ける

マップ上、各海域にはひとつずつ港があります。ただ実際は目的地の港は数エリア先にあるので、そこまで移動していくことになるでしょう。

例えば1ターンの中での活動は次のようになります。

  • 1アクション目:港の活動として積荷を買い船倉をいっぱいにして、あわせて噂やミッションを収集
  • 2アクション目:出港
  • 3アクション目:1エリア移動

 

マップ全景(今回のプレイ終了時の状況)。上方向が南になっている。
国旗がデザインされたサーフボードのような型紙の上に乗っている船は各国艦隊。
赤・青・黄・緑の船が各プレイヤーの船。当方は赤色を担当。

各エリアには港があり、登場する勢力のいずれかの勢力圏にあることがわかります。
なおイベントとして登場する国同士が戦争状態にはいったり、嵐が発生したりします。戦争期間中は当事国を母国とするプレイヤーは相手国の港には入港できなくなります。嵐はけっこう頻繁に発生し、出港できなくなったり、航行中の船は損害を受けることがあります。

 

交易

カカオ、ラム酒、香辛料、木材といった8種類の積荷があり、それらを港で買い、港で売ります。港で購入する際には積荷を自由に選ぶことができる訳ではなく、積荷カードをドローしてその中から選ぶことになります。積荷は基本、買うときも売るときも1枚あたり同じ3金なので、そのまま買って、売るだけならなんら儲けはでないことになります。

積荷を買う際、積荷カードのドロー時に同じ種類の積荷カードを複数枚ドローすることで、ボリュームディスカウントということになり、購入価格を下げることができます。または各港には需要が高い積荷がランダムに指定されているため、需要が高い積荷をその港で売ることで高く買ってもらうことができます(通常価格の倍の価格になるので大儲けできます)。こうして差額を確保できるように活動していくことになります。

 

海賊行為

商船マーカーが配置されている海域(エリア)で海賊行為の実施を宣言し、船長キャラカードの「捜索」値を用いて商船を発見すると、発見した商船を襲うことができます。商船にはそれぞれ国籍があり、国籍を見て見逃すことも可能ですが、襲撃を実行するとその国から「賞金首」として指定されます。

「賞金首」にされると当該国の支配する港には原則入港できなくなり、その国の海軍の船が攻撃してきます(各国海軍の船はイベントカードで登場します)。さらには賞金目当てで他プレイヤーから攻撃される可能性もあるなど、デメリットも少なくありません。

 

戦闘

海の上で2つの異なる勢力(プレイヤー同士、各国海軍、NPC海賊など)がかちあった際に、発見(「捜索」スキルで成否判定)されると戦闘に陥る場合があります。戦闘方法には「砲撃」と「乗り込み(白兵戦)」の2種類があります。

戦闘に参加する各プレイヤーはアクションを選び(砲撃 or 乗り込み or 逃亡)、その後、両方の船長の「操船術」と船の「機動性」を用いたダイス判定を行い、勝った側のプレイヤーが選んだアクションが実施されます。

砲撃は船が装備する大砲の数、乗り込みの際は乗船している船員の数が影響を与えます。

船には船体、マスト、兵装、船員、積荷など複数のパラメーターがあり、砲弾の命中箇所によって損害を受けます。勝利した側は相手から積荷等を奪うことができます。

 

プレイ記録

船長と船

最初に船長となるキャラクターカードをドローします。

船団などの標的の発見に用いる「捜索」のパラメーターが「1」と最低値で、ミッションの獲得や噂の収集などの交渉に用いる「影響力」が最高値。カードが早々に「お前は海賊向きではない」と告げてきたようで、早々に海賊は断念することにしました。

 

次に船を選びますが、最初に選ぶことができるのは2種類の小型船のいずれかで、機動性が高く海戦時に有利なスループ船か、積載力に優れるフリュート船となります。

順当に考えれば後者ということになるでしょうが、「海賊」というタイトルを冠した作品で海賊をやらないのはどうなの?ということでスループ船を選びましたが、他の3人は積載量が多いフリュート船を選んでいました。

 

スループ船は機動力に優れるとある!と書いてあるのですが、よくよく見ると、マップ上で1回のアクションで移動できる距離はいずれの船も1エリアだけと決まっています。ではスループ船が優れる「機動力」とは何ぞ?と調べると、海戦の際に相手の気勢を制して回り込んだりできるという性能らしく、俊足で海を駆けるというよりは、戦うときにものを言うタイプの機動力だったようです。

 

選んだ以上はしょうがない、とスタート点になる母港に船を置きます(母港はキャラクター毎に決まっています)。母国はスペイン、母港はカリブ海の南側に位置するカルタヘナです(現コロンビアに位置します)。

 

最初は交易とミッションから

最初のターン、港アクションで積荷を購入します。つづいて酒場で噂を獲得します。

この船長の場合、「影響力」が最高値だけに失敗する可能性は薄いところです*1

 

各港には需要が高い産品が表示されています。ちょうど港で購入した木材が隣のエリアにある港での需要が高い状況でした。さらにはその港に出現したミッションもちょうど解決できる状況にある。幸先の良さに、2アクション目で港を出ると、3アクション目で隣の海域へ移動・・と、まっとうな商人+冒険家としての道をあゆみはじめました。

 

ただこの時点、いかんせんスループ船は積荷の容量がフリュート船の半分しかないため、交易勝負では最初からフリュート船を選んだプレイヤーには勝てないと考え、ミッションの解決に注力します。ミッションや噂を探して解決して、積荷の交易は二の次です。

  • どこぞの総督が邸宅を建て替えるため、木材の需要が高い・・
  • 行方不明になった船の捜索・・

などなど、港々に転がる小さな依頼を拾い集めていきます。

 

オランダの私掠船になる

やがてオランダ領のSt. Maarten(シント・マールテン)(現在はオランダ王国を構成する自治国)という港で、オランダの私掠船を求めているというミッションが現れ、その受諾に成功しました。

さていよいよタイトルを体現する海賊行為を実践するときが来ました。シント・マールテン出港後、意気揚々と商船を探すとあっさりと発見。しかも母国スペイン船籍の船団でしたが、もはや躊躇はありません。私掠状を盾に襲撃をかけ、まんまと成功をおさめます。

 

スペインとイギリスの賞金首になる

私掠船としての成功報酬を受けとると、そのまま海賊稼業にずぶずぶと身を投じることとなりました。

勢いに乗りスペイン船に続き、イギリス船を襲ったことであっという間に両国の「賞金首」に指定されてしまいます。

この頃には両国の海軍の艦隊もマップ上に登場していましたが(イベントカードで登場)、エリアが遠いので当初は気にすることはありませんでした。

船長の特殊能力によりスペイン艦隊については移動方向を変えることができるとありました。スペイン艦隊に接近されても逃れる術になりそうです。
結局のところその能力を使うことはありませんでしたが、いずれにせよ、海軍の追っ手は脅威にはなりませんでした。

 

むしろ、両国の支配下にある港湾に入港できないことのほうがよほど厄介でした。自由に港湾へ入港できないということは、交易を行う港が限定されるということです。ミッションや噂を獲得するため入港する港も、当然限られてきます。

「賞金首」を解除するにはイベントカードの登場を待つほかなく、その可能性は薄い。となると海賊行為は、派手さの割に、生き方の選択の幅をむしろ狭める結果にしかならないのだと、身をもって理解しました。

百歩譲って、スペインやイギリスといった大国の船団だけは襲ってはいけなかったのでしょう。せめて、ポルトガルやフランス船にしておけばよかったところです・・。

 

ともあれ、そこそこに栄光ポイントも8割方蓄積していたところで、別プレイヤーが隠し金貨を含めて10ポイントに到達。あと一歩及ばず、そこでゲーム終了となりました。

 

感想戦

自由度の高さは評価

プレイヤーとしての活動方針の自由度が高い点は素直に評価したいところです。交易、ミッションの解決、海賊行為と、生き方を自分で選んでいける自由度は確かに高く、それがこのゲームの一番の魅力でしょう。

ただ、まっとうな商人としてプレイしていたプレイヤーからは、商人稼業だけでは栄光ポイントが稼ぎにくいという声も上がりました。

 

一方で海賊稼業については、「賞金首」に指定されると入港できる港が制限されることに閉口させられました。「賞金首」の解除は一部のイベントで可能とはあるものの、なかなか実現しない印象です。

今回のプレイでは思わずスペインとイギリスという二大国を敵に回してしまいましたが、これは失敗だったと言わざるを得ません。「賞金首」になるのであれば、スペインやイギリスといった大国は避けるべきで、そうした国を敵に回すと入港できる港が著しく制約されてしまいます。

となると、無理に大国を狙わず、交易で堅実に稼ぐ商人業とミッション解決を主軸に据え、時にNPCの海賊を討伐して栄光ポイントを稼ぐ、というあたりが現実的なプレイスタイルなのかもしれません。

 

ゲームとして収束性重視?

ゲームとしての収束はやや早く感じました。今回もストーリー上はもう一展開あってもおかしくないタイミングでゲームが終了してしまった印象があります。長時間プレイに陥らないよう、意図的に収束を早める設計にしているのでしょう。

プレイヤー間のインタラクションはやや薄いとも感じました。互いに邪魔をしたりされたりという駆け引きの要素が少なく、「賞金首」になったプレイヤーを追って討伐することは可能なものの、誰かが「賞金首」にでもならない限り、そうした敵対関係は生まれにくいところです。仮に「賞金首」のプレイヤーがいたとしても、1アクションで移動できる距離は1エリアのみで、船や船長の性能にもそれほど差がないため、遠く離れた海域まで追いかけて討伐するモチベーションはなかなか湧いてきません。

 

船のバリエーションは?

船のバリエーションは6種類用意されていますが、各クラスの性能差はさほど大きくありません。中型船クラスを選ぶ積極的な理由が見当たらず、最初の小型船の次はいきなり大型船クラスへ、という流れになりやすいように思います。

大型船の中でも戦列艦を選ぶメリットは薄く(当方は選んでしまいましたが)、結局は船倉が大きく大量の船荷を積むことで交易による収益を狙える船(ガレオン船)を選ぶのが正解という印象でした。

船をカスタマイズするための装備や特殊武器も一応用意されていますが、性能差が小さいうえ武器を使う機会自体も限られているため、あえて資金を投じて整備する意義はあまり感じられませんでした。

なおルールブックを読む前は、ゆくゆくは複数の船を操る海賊船団の頭領といったことも想像していたのですが、プレイヤーが操る船は最後まで1隻のみです。

 

海賊ゲーム、海洋アクションとしての爽快感が・・

戦闘ルールは機動により気勢を制しつつ砲撃戦、白兵戦と展開するということでけっこうがんばってルール化されていました。残念なことにこの正式戦闘ルールを使う場面は意図的に作っていかなければ発生しないように感じられたことです。

孫子も言っているとおり、積極的に戦争・戦闘を行わないことがこうしたマルチプレイゲームの鉄則だというのはわかるのですが、なかなかもったいないところです。

 

1アクションで移動できる距離が1エリアに限られている点も、カリブ海を縦横に駆け巡るという爽快感を薄めています。良くも悪くもちまちまとした移動になり、大海原を股にかけているという実感は正直あまり得られませんでした。

 

各港に設定された特別ルールや、船長ごとの特殊能力、ミッションや噂、栄光カード(ボーナスカード)の内容など、細部の作り込み自体は凝っています。ただプレイ中はこれらをつい忘れがちになってしまうのが惜しいところでした。本来はここをこそ楽しむべきゲームだったのかもしれません。

 

どちらかというと

タイトルは『商人と海賊』であり、商人としての生き方も選べることを示しているのでしょうが、この題名だけを見て「海賊行為を存分に楽しむゲーム」だと思って手に取ると、実際のプレイ感とのギャップに戸惑うかもしれません。

(終わり)

 

 

 

大宇宙と海原という違いはありますが、1隻の船を駆って大冒険に身を乗り出すという点では共通性が高い作品です。もっとも本作のほうは海賊行為などはありません。今回作品との違いとしては、港(宇宙港)を発展させることで他プレイヤーから使用料を得るようにするというインタラクションがあります。

 

 

 

 

*1:例:こうした成否チェックの際、パラメーター数値と同じ数の6面ダイスを振ります。各ダイスの数値の5・6が成功値となりますが、この場合1個でも5・6が出れば成功となります。成功確率は約80%超です

『War of 1812』(Columbia Games)を対戦する【追加情報あり】

作戦級

 

クラシック音楽ファンに「1812年」と言うと、チャイコフスキーね、と返される訳ですが、ウォーゲーマーに同じことを質問するとどうなるでしょうか。

BGGから作品タイトルに1812の数字が入っている作品を選び、その題材をカウントしてみました。雑な調査なのでお遊び程度に見てください。

「BGGで"1812"をカウントしてみた!」

作品タイトルに1812という数字が入っている全作品:73作品

<内訳>

  • ナポレオンのロシア遠征を題材にした作品:32作品
  • 米英戦争を題材にした作品:34作品
  • フランス対イギリスの半島戦争を題材にした作品:5作品
  • その他(不明):2作品

予想以上に米英戦争を題材にした作品が多く、驚く結果になりました。

 

さて、今回プレイしたのはその米英戦争を扱ったクラシックな作品『War of 1812』(Columbia Games)です。

 

 

 

 

2026/08/13 追加情報

オプションルールとして移動にあたって「プロットー移動」ルールが提供されているのですが、同ルールを導入することで大変面白くなるという情報をいただきました。

 

ゲームの紹介

初版の発売は1973年。Columbia Games得意の積み木ユニット、ポイント・トゥ・ポイント(P2P)のマップ、基本ルールも同社の積み木ゲームシステムに沿った内容です。

マップには米英戦争で主戦場となった五大湖付近が取り上げられています。現在のカナダとアメリカの国境付近、五大湖のエリー湖・オンタリオ湖全体を含んで、西はデトロイトあたり、東はモントリオールからケベックあたりまでを収録した細長いマップになっています。

実際、デトロイトからケベックまでは直線距離で1,100キロ程度あるそうです。これは東京から熊本・鹿児島まではいる距離にあたり、想像以上に広いエリアであることがわかります。さながら、エリー湖・オンタリオ湖あたりは瀬戸内海といったところでしょうか。実はもっと狭い領域を想像していたのですが、かなり広いです。艦隊を運用するだけのことはあります。

 

マップと登場勢力

登場するのはアメリカ軍とイギリス軍で、両軍には陸上兵力のほか、湖上艦隊が登場します。正規軍のほか、アメリカ軍側には民兵部隊(国境を超え相手領土に入る際にチェックが発生)、イギリス軍側には実際にイギリス側についたインディアン部隊が登場します。

1年は10ターンで構成され、うち最後の1ターンが冬季ターンにあたります。戦争が続いた期間を考慮して3年分収録されているため、合計30ターンというボリュームになっています。ただし、1ターンに移動や戦闘を行えるのはポイント1か所にあるスタックだけになりますので、ゲームはかなり早く進行します

マップ全景(左側のエリー湖の西側が見切れています)。
写真上方が北方向になります。

初期配置を行った状態。赤がイギリス軍、青がアメリカ軍です。
配置はそれぞれの国境内で自由に行うことができますが、各町には収容力の制限があるため1か所に戦力を集中させるといったことはできません。

 

基本システム

シーケンスは、プレイヤーごとに以下の手順を実施します。

  • 海軍フェーズ(艦隊ユニット建造、艦隊ユニット移動)
  • 陸軍フェーズ(陸軍ユニット移動)
  • 戦闘フェーズ(海戦の解決、陸戦の解決)※海戦は同時、陸戦は防御側先攻で交互に攻撃

登場する兵種は歩兵・騎兵・砲兵です。湖上艦隊を用いた輸送や上陸攻撃も実施可能で、艦隊同士の海戦もあります。騎兵を除き、陸上部隊の移動はかなり限定的、かつ1ターンに活動できるのが1スタックのみなこともあり、動きはかなり制約されます。湖上艦隊を使った輸送を多用したほうがよいのかもしれませんが、湖上艦隊も3つの湖それぞれに存在し、湖間を相互に移動できるわけではありません。

戦闘は、戦闘に参加したユニットの戦闘力分の個数のダイスを振って、「6」が出た数の損害を与える、いわゆる「6出ろシステム」です。陸戦の場合、防御側が先に攻撃を実施し損害を与えることができるため、防御側優位になっています。

特徴的なルールとして冬季ターンがあり、各町には収容力が定められています。冬季ターンに収容力を超えた戦力を保持していた場合、自国内の町であっても損耗を被ります。このため冬季ターンが近づくと、よほどのことがない限り、集中させていた戦力を分散させなければなりませんし、敵国内の町を占拠中の場合は特に注意を要します(敵国の町の収容力を超えて戦力を置いていた場合、損耗の程度が厳しくなります)。特に陸軍ユニットは各ターン1地点でしか移動を起こせないため、収容力オーバー状態の地点が複数存在する場合は計画的に移動をしておかなければ大変なことになるので注意が必要です。

増援や補充ポイントは各年決まっており、その中でやりくりする必要があります。

 

勝利条件

勝敗は以下の内容でVPをそれぞれ計算し、10VP以上の差をつけた側が勝利します。

  • 占領した敵の町のポイント(地点によって異なる:1〜3VP)
  • 除去した陸上ユニット(1VP)
  • 制海権を確保した湖(湖ごとに2VP、マップ内で3つの湖がある)

ルールは英文ルールで4ページに過ぎないため、難しくはありません。特にColumbia Gamesの積み木経験者であれば基本部分は同じなのでなおのこと容易でしょう。もちろん細かい点は確認が必要と思われます。なお、流通している日本語マニュアルは第1版のものですが、英文の最新版は3版になっているので注意が必要です(勝敗判定の細部などは版によって扱いが異なる可能性があります)。

 

プレイ:アメリカ軍を担当

米英戦争がどのような展開をたどったのかは正直よく知りません。スタート時点で両軍のユニット数は拮抗しているため、どこかを押すために戦力を集中すると、他の地域の戦力が薄くなるのではないかというジレンマを抱えます。
もちろんゲームが進むにつれ増援が到着しますので、戦力配置の不均衡はだんだんとでてきます。
ところがマップは東西に長く、自在に兵力移動ができない(1ターンに移動を起こせるのは1つの地点のユニットのみ、かつ移動力は限定的)、戦略移動や再配置ルールもないこともあり、通常移動の中で不均衡解消がなかなか苦労します。こうしたこともあり、両軍とも不均衡を避けるようなムーブも発生します。*1

 

1年目

よくわからないまま、3つの湖の中でもっとも東側(モントリオールなどイギリス軍の本拠地側)のシャンプレーン湖周辺の兵を集め、北上を始めますが、防御側先撃ちの原則により、イギリス軍の逆襲にあいます。一度戦力の均衡が崩れると、年の途中での増援などはなく、また移動が限定的なこともあり他地方からのユニットの移動もままならないまま、押されることになりました。

冬季ターンに入り冬営のためイギリス軍が引いたので小康状態を得ますが、アメリカ軍はこの地方の海軍基地を失い、そのままシャンプレーン湖の支配を失います。

 

2年目

増援を得ると、中央のオンタリオ湖周辺で両軍は軍勢を集めます。両軍とも建艦競争に入り、オンタリオ湖艦隊が次々と増強されていきました。一番西にあたるエリー湖では、イギリス軍が戦力を集めなかったこともあり、この方面はアメリカ軍が優勢に展開します。イギリス軍のエリー湖艦隊を撃滅すると、軍港も奪いました。

そうこうするうちに冬が近くなり、軍勢を集中させていたオンタリオ湖周辺を中心に、冬営に備えた兵力の分散(町の規模に応じた部隊数しか収容できない)を図らなければなりません。

 

3年目

イギリス軍はシャンプレーン湖周辺で南下を図りますが、アメリカ軍は損害を恐れ後退します。その分の兵力は中央のオンタリオ湖周辺に展開し、逆にここでは北上を開始しました。アメリカ軍を構成する部隊の一部は民兵で、民兵は国境を超えて進撃する際にダイスチェックが発生します(失敗すると、その民兵ユニットは国境を超えての遠征に参加しなくなります)。

いったんは国境を超えたアメリカ軍ですが、イギリス軍も兵力を集中してきたことから、民兵分の兵力を加えるため国内まで退却し、進撃してきたイギリス軍との決戦に至ります。最強の兵団(戦闘力4)を集中していたイギリス軍はアメリカ軍の防御先撃ちにも耐え、アメリカ軍の陣容を突き崩しました。最後は退却を決めたアメリカ軍への追撃(追撃ルールの適用を誤っていましたが)によりアメリカ軍は壊滅的な被害を受けました。

結果、6VPイギリス軍がポイントで優勢だったのですが、勝利判定では10VP以下の場合は引き分けということになりました。


なお、この「引き分け」判定については別の方からの情報でも、本作は引き分けの範囲が広すぎて引き分けにしかならない、という意見をいただきました。

 

3年目の終盤。オンタリオ湖岸周辺へ戦力が集中されます。

 

決戦後の状況(ゲーム終了時)。
個々の戦闘においていったん劣勢になるとなかなか逆転は難しくなるようです。最後は後退を選ぶのですが、追撃戦の中でアメリカ軍主力は壊滅しました。
左のほうに部隊ユニットが残っているのですが、移動力の制限のため、主力との合流ができなかったユニット群です。プレイ中、こうした”移動のままならなさ”に悩まされ続けます。

 

ゲーム終了時。エリー湖周辺。このあたりはアメリカ軍が優先状況でした。

 

感想戦

プレイアビリティはとても高いです。30ターンもあるのですが、実プレイ時間は2時間程度でした。ルール難易度が高くないのは書いたとおりです。

ゲーム展開としては、1エリアずつの移動で移動力も限定的なため、艦隊での輸送ができるとはいえそれはそれで手間がかかります。冬営ルールのため、せっかく集中させた兵力もいったん解消しなければならず、戦闘は防御側先撃ちによる防御側優位でダイス運の要素もやや大きく、一度崩れるとランチェスターの法則よろしく逆転がなかなか難しい、という展開になりやすいゲームのように感じられました。

ゲーム中、どちらかの一方的な展開になることもないため、ある種安心して、酒でも飲みながら、気軽にプレイするような作品とでもいうのでしょうか。「知らない戦争を、軽い手触りのゲームで体感してみる」という、たまにはこういう一戦もいいものだと思わせてくれる作品でした。

(終わり)

 

 

今回作品と同様に米英戦争の五大湖・カナダ国境戦線を扱った作品です。
海戦ルールはじめ、各種ルールも詳しく、本格的に米英戦争に触れるにはこちら。

 

ナポレオンがロシアから撤退してきた後の1813年からを扱うマルチプレイの作品です。
イギリスはイベリア半島でフランス軍と対峙状態にありますが、一方でアメリカ大陸で米英戦争を継続しており、米英戦争の継続状況により戦力を貼り付けて置かなければならないという状況にあります。
米英戦争を間接的ですが、グローバルベースの戦略レベルで扱っているともいえるのではないでしょうか。

*1:2年8ヶ月も戦争をしていたそうですので、1ターン(約1ヶ月相当)に1スタックしか移動できないとか、戦略移動や再配置のルールがないというのはどうなの?という印象はあります。

『Castelnuovo 1539』(Draco Ideas)を対戦する【2/2】

 中世・作戦級

 

16世紀、モンテネグロ。スペイン守備隊が守るカスティルヌオーヴァを包囲したオスマントルコとの戦いを扱った『Castelnuovo 1539: Come whenever you dare!』(Draco Ideas)を対戦した。

 

 

 

 

プレイ報告

2戦目:オスマントルコを担当

総じて1戦目と似た展開となった。

海岸沿いに上陸したオスマントルコ軍は艦砲射撃と、設置した塹壕に据えた火砲による「砲撃」で城壁を壊すと、そこから城内へ侵入していった。

スペイン軍はただ守っているだけではジリ貧から逃れられない。最強ユニットである銃兵(相手側に騎兵が参加しない戦闘では先撃ち、さらに+1のダイス修正)を集中運用することで、オスマントルコ軍の気勢を削いでいく戦術を取った。

 

オスマントルコ軍の侵攻は、北方からの増援を投入するのを忘れてしまうほど順調に進んだ。結果、1戦目と同様にあっさりと陥落した。

 

3戦目:オスマントルコを担当

スペイン軍はどうすれば勝てるか。

スペイン軍が有利な戦闘を起こし、オスマントルコにユニット除去の損害を与え続けることだ。

ここでスペイン軍がとった戦術は、銃兵3ユニット+指揮修正ありの指揮官ユニットによるキラースタックを用い、「夜襲」カードによる攻撃を行うことだった。
「夜襲」カードの効果により先攻して攻撃を実施し、さらにダイス修正の合計+4により、ダイスを振ることなく相手に損害を与えることができる。フル戦力状態の銃兵ユニット3個スタックにより、相手に与える損害は9ポイントとなる。これならオスマントルコ軍がフル戦力状態であったとしても、2個ユニットの除去が見込める。

3戦目のプレイでは、スペイン軍によるこの「夜襲」カードを用いた攻撃の成功に加え、オスマントルコ軍のやや性急すぎた攻撃が失敗したこともあり、スペイン軍がVPを獲得し勝利した。

スペイン軍は「反撃」カードと「逆襲」カードを最大限利用し、オスマントルコ軍に着実に損害を与えつつけた。
上図の左上に展開されているのが、スペイン軍の「銃兵」ユニットと指揮官からなるキラースタック。

 

感想戦

この3戦で得られた戦訓を両軍が知ったところこそが、デザイナーが意図したスタート地点なのだろう。

スペイン軍の戦術

  • 戦闘修正(敵に騎兵がいない場合は先撃ち)がある「銃兵」ユニットの有効利用
  • 「夜襲」カードによる、離れた位置にいるオスマントルコ軍スタックを目標とした攻撃+先制攻撃
  • 手札を早く回すことによる「夜襲」カードの獲得(全36枚中、2枚のみ)

 

一方、オスマントルコ軍が取り得る戦術は次のようなところではないか。

オスマントルコ軍の戦術

  • 「銃兵」への対抗:
    「銃兵」へ対抗するための「騎兵」ユニットの活用(「騎兵」ユニットが存在するスタックに対して「銃兵」は先制攻撃の権利を失い、逆に「騎兵」が先制攻撃可能となる)。スペイン軍が「銃兵」の集中運用を行うのであれば、オスマントルコは諸兵科運用で対抗する
  • 「夜襲」の回避:
    「夜襲」カードによるスペイン軍の行動範囲(2エリア)内に安易に立ち入らない。スペイン軍スタックに接近する場合は、前進+塹壕設置を行うことで防御値を得る
  • 手札処理のスピードアップ、「民間人」カードの有効活用:
    オスマントルコ軍も同様に手札の回転を早める。「民間人」カードを使えば、3エリア必要なVPエリアのうち1つを確実に確保できる。かつスペイン軍が戦力を集中させたタイミングで使うのが最も効果的なので、使用タイミングは慎重に見極めたい
  • 拙攻の回避:
    拙速な攻撃は行わない。陣地前進主義で城壁への接近にあたっては「塹壕」を構築し、火砲を前進させる。防御値が0の平地に部隊を残さない。進撃スピードは落ちるが、オスマントルコには無限の時間と増援が与えられている

 

以上のように、3戦を経て、デザイナーが意図した状況には達したのではないかと思う。もちろんこれはスタート地点であり、両軍ともこうした認識を踏まえてどう運用していくかという段階に入っていくのだろう。

いずれにせよ、こうした考察ができるという点だけでも、本作が良い作品であることがわかる。プレイ時間が短いため数をこなすことができ、そのぶんフィードバックを重ねやすい。

 

補足:

ゲーム中、議論になった点が何点かあります。

堡塁マーカーの数、使い方

正:堡塁マーカー(”く”の字のマーカー)の配置は2個1組で扱う。初期配置の堡塁4個とはマーカー4個ではなく、2個一組で4か所に設置する

砲兵の射線のルール、最短距離の解釈

正:「攻撃側から目標まで最小のエリア数で辿れるルートを選びます。」

補足: 「射線」とあったので戦術級ゲームのようにLOSを引くように誤解していました。

日本語マニュアルの誤訳について

「反撃」カードの説明部分に誤訳があるようです。

 

⇒ 【2026/8/2 補足】 修正いただきました。

 

(終わり)

 

 

『別冊昭和のBANZAIマガジン(第四帝国) 』(ボンサイゲームズ)を読む

 

しばらく前からボンサイゲームズの新作予告に紛れ込んでいた"謎の雑誌"が、着弾しました。

予告段階では付属ゲーム「第四帝国」のほうが主役の座を張っていた印象でしたが、フタを開けてみれば主役の座をかっさらったのは雑誌本体のほう。
「お前は俺か?」(通称:おまおれ)案件が誌面のあちこちに埋め込まれており、同世代のウォーゲーマーとしては共感してしまう場面が多い一冊でした。レギュラー版「BANZAIマガジン」よりページ数は控えめですが、紙質は上質で、保存版といった趣です。

 

全編を貫くキーワードは1985年(昭和60年)。

歴戦のウォーゲーマー諸氏が第1次ウォーゲームブームの記憶を語り尽くす内容です。ともすれば思い出語りの陶酔の沼に足を踏み外しかねない際どいラインを、ギリギリで踏みとどまりながら歩いている感じが逆に生々しく、当時この沼にはまった人間には"わかりみ"が深すぎて心臓に悪い内容でした。

 

ざっと振り返ると――

窪田氏の記事にある
「当時の子どもの小遣いでこれらを揃えるのは夢のまた夢でしたから、...渇望に苦しめられたものです」
「平凡な学生で、繰り返す日常に閉塞感を感じる日々でした」のくだりは、当時の悶々とした気持ちをそのまま言語化してくれていて、素直に共感してしまいました。

 

鶴田氏の記事で紹介された作品はどれも好物揃いで、とりわけ「真昼の決闘」(アバロンヒル)やダンバイン諸作は今なお現役でワクワクできます。アニメゲームへの好き嫌いにまつわるエピソードには、当時たしかにあった謎の派閥意識まで思い出されてしまい、少し胸がざわつきました。

 

倉元氏の記事では、ちょうど1985年に月刊化された「TACTICS」(24号)の付録「Battle for Germany」が紹介されていましたが、実は当方もつい最近同作を引っ張り出して遊び直したばかり。感想がそのまま答え合わせをしているような気分になりました。「TACTICS」24号はそれを手にしたときの感動やワクワク感とともに、一生モノです。

また、「当時のウォーゲームカタログでご飯3杯いける」という意見には全面同意しかありません。

 

堀場氏記事の冒頭「中二の魂、百まで」。かなり言い換えられていますが、本質は変わりません。少し言い直すなら「思春期に好きになったものは、その人の核になる」――ということで自分の核を確認できました。

 

ちなみに、大人のクロスレビューの元ネタになったファミ通「クロスレビュー」の開始は、念のため確認したところ1986年10月号かららしいです。

 

三橋氏が紹介された「コブラ」はプレイした経験はありませんが、もちろんコミックは好きです。アニメ版のOP・EDはいずれもつい先日なくなられた大野雄二の傑作です(あ、ゲームとは違う話ですね)。

 

掉尾を翻訳記事「ゲームでナチスを『プレイ』するということ」で締めることで、単なる昭和懐古の同人誌ノリに、きちんと一線を引いているのが上手いところ。おかげで最後まで読み終えたとき、「懐かしかった」だけでなく「ちゃんと締まった」という満足感が残る一冊でした。

今回は雑誌本誌内容に感銘を受け、その勢いのまま書いていますので、付録ゲームのプレイ報告はまた別の機会に。

(おわり)

 

 

 

 

 

 

『Castelnuovo 1539』(Draco Ideas)を対戦する【1/2】

 中世・作戦級

 

16世紀、モンテネグロ。スペイン守備隊が守るカスティルヌオーヴァを包囲したオスマントルコとの戦いを扱った『Castelnuovo 1539: Come whenever you dare!』(Draco Ideas)を対戦した。

 

 

 

 

ゲームシステムの紹介

基本的なシステムはカードドリブン、さらに積み木ユニット、エリアマップという作品になっている。

鮮やかで美麗なハードマップもさることながら、本作でひときわ目を引くのは、積み木として登場する幾種類ものマーカー類だろう。マップ上で市街地をぐるりと囲むように配置される城壁マーカーは城壁頭部のジグザグした胸壁を模している。横から見た大砲の形はいわずもがな砲兵隊を表す。稲妻形の形状のマーカーは包囲側が設置した塹壕を表す。射撃や砲撃を受けた際の影響を減らすためとられていた形状を模したものだ。「く」の字型のマーカーはスペイン軍が城壁の外に設定した陣地(堡塁)を表す。馬防柵などのその他の防御施設や障害物については、まとめて通常のキューブで表される。

複数種類の積み木がマーカーとして扱われています。赤と緑というカラーリングも好みです。赤はスペイン軍、緑はオスマントルコ軍を表します。

 


カード

カードデッキは両軍それぞれ独自のものになっている。「移動」「戦闘」といった基本的なものから「砲撃」「反撃」「誤爆」「夜襲」といった特殊な効果を持ったアクションまで、ゲーム中で実施するアクションはカードによって起こされる。

特徴的なところを紹介すると、両軍に登場する「砲撃」カードが挙げられる。オスマントルコはスペイン側の「城壁」マーカーを除去しなければ城壁で囲まれたエリアに侵入できないため、まず「砲撃」によって「城壁」を破壊する必要がある。

兵力で劣るスペイン軍が頼みとするのは、全36枚のデッキのうち2枚含まれている「夜襲」だ。オスマントルコに先制して攻撃ができ、さらにその際の戦闘解決にダイス修正を得ることができるというものだ。後述するが、指揮官修正やスペイン軍だけに登場する銃兵による修正を組み合わせることで、確実に大打撃を与えることが可能となる。一度その威力を味わった後、オスマントルコはより慎重な行動を取ることになるであろうことは想像に難くない。

局面によって最適なカードが異なってくること、カードによって強弱の差が大きいこともあり、両軍とも手札は積極的に使い、使用するものがない(少ない)場合はさっさと捨てる。「休息」アクションを宣言することでそのターン攻撃を行うことはできなくなるが、手札を一掃、全て捨てることができる。
くわえてトルコ軍がこれを行うと、現在マップ上に存在する歩兵と騎兵については損害ステップをフル状態まで回復できる(イェニチェリユニットと、騎兵と歩兵ユニットですでに除去された分は対象外)。

 

ユニット種類

兵種は両軍それぞれ3種類に分かれており、オスマントルコは歩兵(アザル)・騎兵・イェニチェリ(エリート歩兵扱い)、スペイン軍は槍兵(パイク兵)・銃兵・騎兵の3種である。

本的には移動して敵ユニットと同じエリアに位置した際に戦闘になるが、その際の戦闘解決の順番は兵種によって定められている。これが本作の戦闘システムのポイントだ。

力で著しく劣るスペインが勝利に近づくためにも、オスマントルコ側が失策で躓かないためにも、この兵種ごとの処理順序を理解することが欠かせない。

 

特異な勝利条件

本作には、通常のゲームではほぼ必ず設定されている条件が2つ設定されていない。ひとつは時間、もうひとつは包囲側であるオスマントルコ軍の補充だ。本作にはターンの制限がなく、両軍のどちらかが定められた勝利条件を達成するまで続けられる。

またオスマントルコ軍の3兵種のうち、それぞれ全軍の1/3ずつを占める歩兵(アザル)と騎兵の損害は、ユニットそのものが除去されていない限り何度でも回復可能、無制限に補充されるといってよい。唯一、エリート歩兵の位置づけであるイェニチェリだけはこの補充が効かない。

史実においてこの戦いは、守備側のスペイン兵がほぼ全滅している。このことを踏まえ、ゲームにおける勝利条件は次の通りだ。オスマントルコ側は、マップ内、カスティルヌオーヴァの城壁内エリアのうち指定された3つのエリアを支配することで勝利する。一方、スペイン側は、オスマントルコに一定の損害を与えることで勝利する。具体的には、オスマントルコ軍について

  1. 除去された将軍マーカーの個数
  2. 除去されたオスマントルコ軍部隊ユニットの個数
  3. 「強襲」ラウンドの発動回数

の合計値が12を超えるとスペイン軍の勝利となる。オスマントルコは毎ターンはじまる前に攻撃の強さを表すラウンドを選ぶことができる*1

ここから見えてくるのは、オスマントルコ軍には時間制約がないという点だ。増援の到着や兵力の配備を待ち、十分に準備を整えたうえで、拙攻に走ることなく自軍ユニットの除去を抑えつつ攻略を進めていくことができる。

一方のスペイン軍は、中途半端な攻撃や反撃ではオスマントルコ軍に一時的な損害を与えることはできても、その損害分はイェニチェリを除いて補充されてしまう可能性が高い。損害としてカウントするには、ユニット自体を除去する程度まで攻撃を行う必要がある。

とはいえ、時間をかけるとスペイン軍がデッキを回転させ、強力な「夜襲」を何度も実施できるようになる点には注意したい。

その際、兵種による戦闘解決順の差(先撃ちができる、かつダイス修正が大きな処理を行う等)への配慮も欠かせない。スペイン軍にはほとんど補充が望めないため、半ば無尽蔵に補充が入るオスマントルコ軍とは地力の差が出てしまう。オスマントルコ軍にとって、時間をかけすぎるのはご法度と言えるだろう。


歴史的背景

1539年7月、3,500人規模のスペイン守備隊が、54,000人以上とされるトルコ兵からなる巨大なオスマン軍に対し、モンテネグロのカスティルヌオーヴァ(現在のヘルツェグ・ノヴィ)で対峙した。この包囲戦は、オスマン帝国とハプスブルクが地中海の支配権を巡る争いの一環として行われたものだ。22日間に及ぶ塹壕戦、トルコ海軍を交えた小競り合い・攻撃・砲撃が続いた末、1539年8月7日、最後のスペイン守備隊が力尽き、包囲戦は終結した。

 

プレイ

1回戦目:スペイン軍を担当

スペイン軍初期配置

城壁マーカーに囲まれた市街地と、城壁の外に「く」の字型の堡塁マーカーを置いた陣地がある。高度が高いエリアに大砲マーカーを配置することで周囲への射撃を可能とした(火砲の射程は最大3エリア)。

 

第1~2ターン

第1ターン、第2ターンと続けて艦隊に乗ったオスマントルコ軍が登場し、海岸に上陸した。また「砲撃」カードを用いることで、城壁に向かって艦隊から「砲撃」を行うことができる。市街地をはさむように東西海岸にオスマントルコ軍が上陸し、さっそく「塹壕」(緑色のイナズマ形のマーカー)を配置した。

 

第3~4ターン

海岸側からは艦砲射撃を交え、城壁を破壊したエリアから市街地内部に入り込んでいく。オスマントルコは前進し新たなエリアを確保するとすかさず「塹壕」を設置し、防御力を高めた。このターンから市街地北側(手前側)の丘陵地帯からオスマントルコの歩兵や騎兵が現れた。

 

第4ターン以降

オスマントルコは海岸から少しずつ増援を追加しながら、占領地を拡大していった。手札内容が悪い場合は固執せず、「休息」アクションを宣言し、全手札の交換とあわせ歩兵などの損害を回復させた。

スペイン軍も「夜襲」や「反撃」カードを使うが、オスマントルコに与える損害は一時的なものにとどまった。兵力の希薄化を嫌い、スペイン軍はオスマントルコ軍の勝利条件である3つのVPエリアに兵を集約した。

 

終盤

この時点でオスマントルコはVPエリア3か所のうち2か所を占拠している。スペイン軍は最後のVPエリアの前面に兵を集め、最後の抵抗を試みようとするが、ここでオスマントルコ軍は「民間人」カードを使用する。
任意のエリアを自軍の支配下に置くことができ、スペイン軍はそのエリアに出入りできなくなるというものだ(スペイン支配下の市街地エリアの中で緑色の積み木がおかれているのが「民間人」を表すマーカー)。オスマントルコは、残ったVPエリアそのものをこのエリアとして指定した。これで3つのVPエリアの支配に成功し、ゲームは終了した。

 

補足

「民間人」カードは山札を使い切り、捨て札を山札とした時、つまりカードが2巡目になった際に追加される。オスマントルコが手札の回転を早くしていた理由のひとつに、このカードの出現を待っていたこともあったかもしれない。

本作のような包囲戦を扱った作品の場合、プレイの終盤、包囲される側は自分のエリアが少なくなるにつれ、狭いエリアに兵力が集中することによって逆に守りやすくなることが往々にして発生する。「民間人」カードはこうした包囲戦ゲームの弊害を回避しているともいえる。

 

(つづく)

 

 

 

包囲戦を扱った作品は少なくない。
第2次世界大戦で都市部を包囲した戦いというだけでも、スターリングラード、レニングラード、ブダペスト、マニラ、ベルリンといずれも格好のゲームの題材となっている。

ここでは本作にあわせて古代~中世における包囲戦を扱った作品を紹介する。

紀元1世紀の中東が舞台。ローマ帝国軍によるエルサレム包囲戦を扱う。

「強襲システム」の採用により規模からするとプレイアビリティが高く、スムーズかつドラマティックに展開する。

 

『ガリア戦記』で有名なカエサルによるアレシア包囲を扱った作品。
雑誌付録ゲームらしく比較的コンパクトにプレイできる。

 

*1:「攻囲ラウンド」は通常攻撃で手札枚数は4枚となるが、「強襲ラウンド」の場合、手札枚数は7枚となる。手札が増えた分、アクションを実施できる回数が増えることになる。