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「ASSAULT」(GDW/Hobby Japan)を対戦する(2/2)

「ASSAULT - Tactical Combat in Europe 1989」(GDW)を対戦しました。
シナリオ1「威力偵察」。
ソ連軍の部隊の侵攻に対し、アメリカ軍は相手の規模や内容がわからないまま迎え撃つというシナリオです。

Copyright © Rodger B. MacGowan, Hobby Japan Ed.

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

中盤(第7~9ターン)

f:id:yuishika:20210923235650p:plain 第3ターン、第5ターンとソ連軍の本隊が続々と盤上に姿を表します。まだ視認下にありませんので全てのユニットは正体を隠すように裏返され、方向を示す矢印マークが表示された状態になっています。

最も早くに突出してきたのはマップ南端(写真手前)の地点「1」付近。
地点「A」の市街地に進出していたM3偵察小隊は、偵察部隊ならではの能力によりソ連軍を視認します。T80、ソ連軍主力の最新鋭戦車です。

M3は躊躇せずここまで温存していたTOWミサイルを放ちます。が、林ヘックスにいたT80 には命中しません。

ミサイルの命中値は10面ダイスで8。つまり8以下の目により命中だが、目標が林ヘックスにいる場合その値は半減される(端数切捨て)。

1発しか装備していない(弾数制限ルールをミサイルのみに適用中)TOWミサイルを放った後はM3の装備は主兵装の25ミリ機関砲しかなく、T80 に抗する術がありません。いさぎよく、当初の予定通り地点「A」の市街地から後退します。

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地点「A」にいるアメリカ軍ユニット(M3偵察小隊)が、地点「1」付近に進出してきたソ連軍ユニットに対してミサイル攻撃を行いますが失敗、その後、地点「A」から後方の市街地に向けて後退します。

 

赤いユニットの奔流が迫ります。

ソ連軍は大きく3つの梯団に分かれてきました。

地点「2」「1」を通り、M3装備の偵察小隊を退け、地点「A」へ進出する北翼集団。

中央の集団は丘陵を横切るように地点「4」に現れます。丘陵地内に点在する林ヘックスによりアメリカ軍から視認されない位置まで進出すると、進撃機会を伺っているようです。
中央集団が進出した丘陵地の麓をいくのが南翼集団。一級国道沿いに市街地「5」付近まで進出します。
さらにマップ南端近い地点「7」付近にも進出してきたユニットがあります。

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明確にアメリカ軍の視認下にはいったのは地点「5」に進出した部隊。

M1エイブラムスの最初の射撃は、地点「E」の稜線に遮蔽下(Cover下)にあった小隊から、地点「5」の市街地付近に姿を表したT80装備の部隊に対して行われました。
ソ連軍第1移動フェイズで移動してきたT80は続く射撃フェイズでは移動直後のため射撃ができません。

距離2,000メートル(8ヘックス)。
互いに相手を視認。1個小隊 4両のM1エイブラムスが一斉に射撃を開始。
命中1回! M1エイブラムスの徹甲弾の貫通力とT80の前面装甲値から貫通判定と損害判定がされ、T80の2戦力段階(2ステップ分=1個ユニット)が吹っ飛びます!

距離2,000でのM1エイブラムスの徹甲弾の命中値は”4”。
10面ダイスで4以下で命中なので命中率40%。
1個小隊(=1ユニット、実際は4両相当)の射撃回数は2回。現在フル戦力(2ステップ)状態のため、2回☓2ステップ=4回のダイスを振ることができる。

M1エイブラムスの徹甲弾の貫通力は距離2,000では”18”。
T80の前面装甲値は”15”。貫通力が装甲値を上回っているためその差が自動的に損害値になる。結果、T80が被った損害値”3”となるが、損害値はそのまま失われる戦力段階となるため、1個ユニット(=2戦力段階)が除去されることになる。

M1エイブラムス(徹甲弾)VS T80では、1回命中値が出ると自動的にT80 1個ユニットが除去されることになる!

続くアメリカ軍プレイヤーターン内の射撃フェイズにおいて、ソ連軍は満を持してT80部隊から反撃を行いますが、・・

T80 からM1エイブラムスに対する命中値はなんと”1”!!
このフェイズでもさらにT80 1個ユニットが失われ、色を失うソ連軍。

距離2,000でのT80 の劣化ウラン弾の命中値は”3”だが、地点「E」のM1エイブラムスが遮蔽下(Cover)にあるため半減(切り捨て)され命中値は”1”となった。命中率10%となり、M1エイブラムス側からの射撃の命中率が40%なのと比べ明らかに分が悪い。

その後も応酬が続き、ソ連軍がかろうじてM1エイブラムス小隊を1ステップロス(2両相当)させた時にはすでに1個中隊規模(4個ユニット 14両相当)のT80が失われていたのです。

北翼のT80 も前進します。
地点「A」市街地まで進出していたT80部隊(この時点ではまだ視認下にないためユニット表示は矢印状態)は地点「B」に向けて稜線をあがったところで、アメリカ軍の地点「D」または「H」にいたM1エイブラムス小隊と相互に視認状態になります。

視界内で一定距離の移動を行ったことで(距離によって異なるが一定のヘックス数を移動した場合)、アメリカ軍による「臨機射撃」の対象となります。

地点「D」のM1エイブラムスからの射撃によりT80 2個ユニットが除去され、ここに南翼のソ連軍の進出は頓挫します。

第8ターンになるとようやくアメリカ軍の増援が到着しはじめました。最初に登場したのは、大隊司令部(M1エイブラムス装備)、またM2ブラッドレーに乗車した機械化歩兵1個中隊だったが、前線までは遠く急ぎ移動中となります。

 

終盤(第10~12ターン )

f:id:yuishika:20210923235620p:plain 地点「F」のM3部隊が地点「7」付近の林に進出したソ連BMPと小競り合いをはじめますが、お互いに装備が乏しく損害を与えることができません。BMPは搭乗させていた歩兵分隊をばらばらとばらまきはじめます。さすがにこの延長で、歩兵により地点「E」などに接近されるとやっかいだなと思いながら地点「E」のM1エイブラムス部隊の引き時を考え始めます。

ここにきてソ連軍の砲兵隊は地点「E」や「F」の前面あたりに煙幕弾をばらまきはじめました。ようやく観測班が活動を開始した様子です。ただ地点「E」そのものに撃ってこないのは、観測班自体がM1エイブラムスの視認下にはいりたくないためのようでした。

アメリカ軍にもマップ外に榴弾砲装備の砲兵部隊の支援が配備されていたのですが、視認下のソ連軍の配置が移動し続けたため、今回のゲーム中、効力射に至った射撃はありませんでした。

ASLやSquad Leaderの盤外射撃といえば砲撃を要請した地点からずれまくるのが定番だったりするが、このゲームにおいてはスケールを考慮してか砲撃要請があった地点に確実に射撃を行ってくれる。

地点「5」付近では何度かT80部隊の突出がありましたが、ことごとく地点「E」のM1エイブラムスによって撃破されていきます。
地点「4」や地点「A」付近に集結しているソ連軍がいつ突出してくるのか、飽和攻撃のような作戦をとられるとユニット数が少ないアメリカ軍は防ぐことができないのではないかなどと考えながら、第1防衛線の撤退タイミングを測っていました。

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地点「4」や「A」周辺に集結したソ連軍がいつ侵攻してくるのか、特に地点「A」から「G」に来られると困るなぁ・・などと考えていた時期。
戦闘は地点「5」と「E」間、または地点「7」と「F」間で発生していた。
地点「E」の前面、「7」と「F」の中間点付近に煙幕弾が展開されている。
なお地点「3」、「C」にいるアメリカ軍部隊はダミーだが、うまく牽制できていると自画自賛

 

せっかく地点「E」付近に煙幕弾を展開したものの、「E」そのものには展開されていなかったため、地点「5」のT-80 部隊群と地点「E」のM1エイブラムスとの射撃が続きますが、命中率の差からT-80の残骸が積み重なっていくのでした。

やがてソ連軍より主力であった戦車1個大隊がほぼ壊滅したと告げられ、投了となりました。

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終了時の状況。
アメリカ軍に増援が多数登場し、逆にソ連軍側に侵攻を開始している。
地点「5」付近のソ連軍1個戦車大隊相当がほぼ除去され、ここにソ連軍の主力が壊滅したこととなった。
地点「4」「A」周辺のユニット群は侵攻開始タイミングを待つソ連軍部隊ではなく、ダミーユニットの山にすぎないことは終了後判明した。

 

感想戦

f:id:yuishika:20210923235713p:plain 今回初プレイだったのですが、敵の意図・勝利条件はわかっていても、規模や編成が全くわからない状態で戦うというシチュエーションはとても新鮮でした。

本文中に書いたとおり、地点「A」や地点「4」周辺に集結していたソ連軍ユニットがいつ進撃を開始するだろうか、と考えていたのですが結果的にほぼすべてダミーでした。てっきり歩兵戦闘車中心だったので、突破を躊躇しているのかと思っていたのです。まんまと釣られました。

これらのユニット群が移動開始した時には、適当なところでアメリカ軍の第一線に置いた部隊を引かないといけないくらいに思っていたのです。

 

結果的には中央部、地点「E」に配置されたM1 1個小隊+中隊司令部だけでソ連軍戦車大隊のほとんど撃破してしまう結果となりました。

ちょうど隣の卓で「Panzer Command」(SPI)をプレイしていたKさんがぽつりと・・

「『AMUBUSH』のエイブラムスは無双だからねぇ・・」

距離2,000キロ相当下で遮蔽下にあったM1エイブラムスと露天のT80とでは相互の命中値が異なりました。
ただソ連軍に勝機がなかったわけではないと思います。
M1エイブラムス小隊が位置した稜線に対して断続的に煙幕弾を撃ち込まれていたら、M1エイブラムスは損害には至らないにしても、その地点からの射撃は難しくなったでしょう。煙幕下から脱して移動したM1エイブラムスはすでに遮蔽下とはみなされませんので、T80 との相互の命中値は1しか異ならなくなります。数が多いソ連軍がそこを狙えば一種の飽和攻撃となりさしものM1エイブラムスも比較的あっさりと戦闘能力を失われたかもしれないのです。増援が前線に到着しはじめる10ターン目あたりまでの間にそこまで詰められていると、もともと薄っぺらい防衛線(7ユニットしかない)しか張れていないアメリカ軍はあっさりと防衛線を破られるか、全体を大幅に後退するしかなくなったかもしれないのです。

 

ゲームの全体の印象としては、とても教科書的だというもの。

大隊クラスの戦術論の本に出てきそうな部隊と地形で、いわば戦術セオリーに沿った作戦を実施できるという印象です。
偵察部隊の役割か重層的な部隊配置など。非常におもしろいものがありました。

例えば、ASLだとダイスの目によって狂暴兵やヒーローが登場したり、突然の走行不能や射撃不能が起こったり一種のイベントが発生するのですが、本ゲームにはそうしたランダム要素はダイスを用いた戦闘結果などを除けば排除されています。

 

ただ残念なのはゲームの性質上、ソロには向かないことかな。

(おわり)

 

 

図解でわかる!戦車のすべて

図解でわかる!戦車のすべて

  • 作者:白石 光
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「ASSAULT」(GDW/Hobby Japan)を対戦する(1/2)

「ASSAULT - Tactical Combat in Europe 1989*1」(GDW)を対戦しました。

Hobby Japanがライセンス版を発売していたシリーズ作品の第1作目にあたります。

1980年代当時懸念されていた米ソ両陣営の激突時を想定した戦術級になります。

Copyright © Rodger B. MacGowan, Hobby Japan Ed.

1ヘックス=250メートル、1ユニット=1個小隊(半個小隊規模のものもあり)と往年の、「Panzer Blitzs」「Panzer Leader」(以降、PB/PL)と同スケール、また1ターン=5分です。

本作が発売されていた当時は、「SQUAD LEADER」はプレイしていましたが、このクラスの戦術級には食手が伸びませんでした。
という訳で今回、四半世紀以上ぶりにプレイする機会を得ました。

「ASSAULT」の共通ルールは第2作「ブーツアンドサドルズ」で改訂されていることをツイッターで指摘を受けたので、今回のプレイはこの改訂版ルールに準拠して実施しました。ルールブックは改訂版を用いましたが、チャート類は「ASSAULT」のものを用いたため、一部混在した部分があったかもしれません。

 

 

ルール概要

f:id:yuishika:20210923235620p:plain 特徴的な部分を紹介します。

  • シーケンスはオーソドックスな交替制

    ソ連軍移動 ー 射撃(両軍とも可/同時解決)ー ソ連軍第2移動
    ー米軍移動 ー 射撃(両軍とも可/同時解決)ー 米軍第2移動

    攻撃タイミングとしては他に「臨機射撃」や「近接突撃」があります。

  • 司令部による指揮ルール
    本ゲームのルールの特徴のひとつです。詳細な指揮ルールが用意されています。
    中隊以上の部隊には司令部ユニットが用意されています。
    各司令部ユニットは能力値(指揮ポイント:CP)を持っており、その能力値はシナリオ開始時にダイスによって決めます。
    CPにより、配下ユニットの「モード変更」「戦闘モード時の移動」などを行います。射撃自体にはCPは不要ですが、戦闘モードへの変更や戦闘モードのままでの移動にはCPが必要ですので戦闘実施時には司令部ユニットの近く(視認下)に配置するのが合理的です(多くのCPを消費すれば司令部ユニット視認範囲外でも行動を行うことは可能)。
  • ユニットには「移動モード」と「戦闘モード」があります。
    両モードには一長一短があり、モード変更にはCPが必要です。
  • ユニットに向きがあります。
    車輛には前面装甲値と側面装甲値があります。
  • 視認ルール
    本ゲームの特徴的なルールのひとつです。
    相手ユニットに視認されるまで両軍ユニットは裏返し、矢印のみが表示された面を向けます。部隊編成によってはダミーが相応に混ざっている可能性があります。
    視認前のユニットには攻撃はできません。
    視認にはチェックが必要で、距離・地形・部隊の種類(車輛と歩兵とでは車輛のほうが発見されやすい等)によって成功値が変わってきます。
    視認チェックを行うユニットが偵察部隊の場合、ボーナスが付きます。視認前の敵ユニットに攻撃ができないことなどとあわせ、偵察部隊の有用性がゲーム内で表現されています。
  • 射撃には「通常射撃」「対装甲射撃」「間接射撃」があります。
    「対装甲射撃」の解決には、「命中判定」ー「貫通判定」ー「損失判定」といったステップを踏みます。
  • 各シナリオの両軍に登場する部隊はチットによって決めます。
    シナリオは3種類用意されているのですが、その中で両軍の編成は6パターンずつ用意されています。組み合わせとして36パターンあることになります。強力な部隊編成の場合もあれば、変わった編成、または貧弱な編成も混じっています。編成毎の差は勝利ポイントの掛け目として調整されています。例えば、強力な編成の場合は掛け目を低く設定されている等です。
    相手がどのチットを引いたのかはプレイの最後まで明かされませんので、プレイ中、相手の部隊規模や編成は不明のまま進行します。

 

プレイ前

f:id:yuishika:20210923235650p:plain プレイ前に念入りにルールを確認しました。
本ゲームの場合、プレイ冒頭の部隊編成のチット引き、司令部能力値の判定から、プレイ中の視認チェックなど相手に秘匿した形で進められる処理が少なくありません。お互いに処理内容の理解が一致していることを確認しました。

また戦術級といえばつきものの、地形に伴うLOSの考え方についても認識合わせを行っています。LOSが通る通らないはプレイ中の判断にも影響するところですので、予め認識合わせをしておくに越すことはないでしょう。

今回のプレイにあたっては、選択ルールのうちミサイルだけは搭載弾薬数に制限があることとしました。M2ブラッドレーやBMPがばかすかミサイルを連射するのは非現実的ではないかなという判断です。
ミサイル以外の通常の砲について弾数制限のルールは採用していません。

 

作戦計画

f:id:yuishika:20210923235713p:plain 選んだシナリオはシナリオ1「威力偵察」。

ダイスにより、当方はアメリカ軍を担当。Yさんがソ連軍を担当しました。

東西に横長のマップで、東端から侵入してきたソ連軍部隊が西端からの突破をはかり、アメリカ軍が阻止するというシナリオです。
勝利ポイントには突破成功または完全阻止による得点、突破ユニット数、撃破ユニット数による得点が計算されます。

全18ターンなので現実時間で1時間半の戦闘(5分x18=90分)に該当します。

問題のチット引きでしたが、けっこう強力な編成をひくことができました(戦力パターン=「4」)。
1個大隊規模のM1エイブラムス装備の戦車大隊(3個中隊編成)に、1個中隊規模の機械化歩兵、迫撃砲小隊、偵察小隊という編成です。

ただしプレイ開始時に手元にあるのは、このうち1個戦車中隊+偵察小隊のみ。ユニット数でいくとM1エイブラムスが4ユニット(3個小隊+司令部チーム)、M-3騎兵戦車が3ユニットにすぎません。残りは増援として8ターン後に登場することになります。

 

マップは細長く縦深があること、中央に丘陵地帯をおいた起伏のある地形のため、複数の防衛線を予め想定し、損害を与えつつも戦線の維持には固執せずに段階的に後退する遅滞戦闘を構想しました。

増援兵力がかなり強力なこともあり、中盤から終盤にかけての防衛線の設定は増援にまかせるとして、初期部隊についてはマップ中央部でのラインと、ソ連軍が来襲する前に前進することで確保する丘陵地帯を軸とした前進陣地を第1ラインとしました。

またソ連軍部隊に比べ米軍部隊はユニット数が少ないと想定されるため、M-1エイブラムスを用いた長距離攻撃をメインとし、第1ラインでの防衛は相手の出方次第では早々に捨てることも想定していました。

 

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米軍は中央部より左側に配置、ソ連軍はマップ右端より登場し、左端に向けて突破を図る。今回増援が比較的充実していたため、初期配置部隊は後方の防衛線の事は考えずに正面に兵力を集中した。
なお実際のプレイにおいてはアメリカ軍のユニットはすべて裏向きの矢印が表示された面を表にした状態で配置される(写真内での矢印ユニットはダミーマーカーを表す)。

 

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アメリカ軍の作戦想定

アメリカ軍の想定第1防衛戦は右側の黄色点線のラインとした。
主力のM1 2個小隊と中隊司令部チーム(半個小隊規模)は、「D」「E」がある丘陵地に位置させ、M3小隊を「A」「B」「F」に配置する。これによりソ連軍がどのルートをたどったとしても捕捉できると想定した。

特に「E」点については、中央の国道を邴原できる制高点にあたるため、いち早く確保することが必要とされる。ソ連軍の出鼻をくじいた上で、損害を広げないうちに第2防衛線に後退することを想定した。
またM3については防御も弱いため、敵部隊の当たり具合によってはすぐに後退する。「C」点の市街ヘックスにはダミーを進出させる。同様に「A」「B」「F」の各M3小隊の前方にもダミーを進出させ、撹乱させる。
第2防衛線には予備部隊として「J」地点にM11個小隊を後置する。

 

初期ターン(第1~6ターン)

f:id:yuishika:20210923235743p:plain ソ連軍の先鋒が進出してきますが意外に数は多くはありません。
前哨戦は「A」対「1」、また「B」対「3」の間で開始されます。いずれも偵察車輛のため相手に有効な打撃を与えることができないでいましたが、数度の射撃の応酬の果てに、武装に優れるM3装備のアメリカ軍偵察小隊により、ソ連軍の偵察小隊はいずれも撃破された。

M3はM2ブラッドレー歩兵戦闘車から乗車歩兵を減らし代わりに予備弾薬を多く搭載していると言われる。武装はM2ブラッドレーと同じで主武装が25ミリ機関砲、またTOW対戦車ミサイルを搭載している。
ゲーム内ではM3のミサイル積載数は1発となっている(実際は2発)。

ソ連軍側の偵察小隊が装備する車輛は、BMP-2とBRDM-2。
BMP-2(ゲーム内ではBMP-B)は、歩兵戦闘車BMP-1の改良型。主武装は30ミリ機関砲、対戦車ミサイルランチャー。
BRDM-2装甲偵察哨戒車の主武装は機関銃(14.5ミリ)。

アメリカ軍偵察小隊も、ソ連軍偵察小隊も、搭載のミサイルを使うのは主力戦車が姿を現してからということで使用を控えたことにより、両軍とも機関砲の打ち合いというこにとになったのでした。

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上のマップ図と左右が逆なので注意されたい。

 

なおソ連軍が陣する丘陵地には林や住居地がなどが点在しているため、M1エイブラムス小隊が位置する「E」地点付近からソ連軍の「3」や「4」の地点などは視認できない状態でした。

 

(つづく)

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

*1:GDWのオリジナル版はサブタイトルが、”Tactical Combat in Europe 1985"と日本版と異なるんですよね。内容が異なるのかは現時点不明。

「STARGARD SOLSTICE(ゾンネンヴェンデ作戦)」(3CG)を対戦する

1945年1月~2月、ポメラニア地方のスタルガルト(Stargard)、シュチェチン(Szczecin)付近で行われた戦闘を扱った表題ゲームを対戦しました。

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1ユニット=大隊~連隊単位

チットドリブン制で、軍団毎に活性化を実施し移動や戦闘を行います。

題材はドイツ軍の最終盤に実施された攻勢作戦のひとつです。
序盤、ドイツ軍の攻勢にはじまります。当初、ソ連軍の対応は鈍いのですが、ゲームが進行するにつれ増援を得て、活性化も活発になっていくなど主導権を取り返していくというのが想定される展開です。

結果から言えばソ連軍を担当し、惨敗しました。
ドイツ軍から主導権を取り戻せないまま主力を失ってしまいました。ドイツ軍は途中、主力の2個軍団のうちの1個軍団を総統命令で転出させられるという(この主力1個軍団の転出はイベントとして発生するが、確率的にはほとんどの場合発生する)事態になるのですが、機動防御によりソ連軍の反撃の芽をへし折り続けます。

チットドリブン特有のクセはありますが、良いゲームでした。

またマップ、ユニットともコンポーネントがきれいです(最近のゲームはコンポーネントがきれいなものが多いですね)。箱絵の一斉射撃しているトラック搭載のカチューシャロケットのイラストも良いですね。

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フルマップ1枚。両軍の初期配置状態。両軍とも東西に翼を張っていて壮観。作戦級ファンとしてはこういう布陣を見るだけでワクワクする。
手前の赤色・茶色系のユニットがソ連軍。奥側の黒色・青灰色系のユニットがドイツ軍。黄色ユニットがおかれた場所は、勝利条件に関わる勝利ポイントが付与された都市・町を表す。
写真では、マップ手前が南・奥側が北になる。ソ連軍は南側から北に攻め上げている状態。マップ左奥にある大きな青色のエリアがオデール河やそれに連なる湖だが、マップから見切れている位置、すぐ北にはバルト海がある。
 

ゲームシステム

チットドリブンシステムです。
両軍の軍団名が記入されたチットをいれたカップの中から、1枚ずつチットを引きます。引かれたチットに記載された軍団が活性化し、活動が終わると次のチットが引かれます。両軍はターン毎に活性化できる軍団の数が決まっているため、その数に達するとそれ以上、そのターンは活動を行うことはできません。
またチットの引かれる順番はランダムになりますので、片方のプレイヤーのチットが連続して引かれたり、望んだタイミングで引かれない、一部の軍団は毎回動かないといったことが発生します。

 

ターンによって引くことができるチット枚数をコントロールすることで、ゲームに史実に即したドラマ性を与えています。最初ドイツ軍のチット枚数は多く活発に活動できます。一方のソ連軍は使うことができるチットの枚数は限定的ですが、ターンが進むにつれ枚数は増加していき、ある時点でチット枚数の多寡はドイツ軍と逆転することになります。

ドイツ軍は活性化できる軍団が指定されていないワイルドカードのようなチットを使うことができます。ソ連軍にもあるのはあるのですが、枚数は少ないです。ドイツ軍のほうがより柔軟に指揮を行うことができたという、指揮レベルでの違いを表しているものです。
このワイルドカードのようなチットを含めると、ひとつの軍団が1ターンの中で複数回、活性化することも可能です。
まさにゲーム展開はチットドローによって彩られるといってよいでしょう。

 

戦闘システムは通常の移動-戦闘のオーソドックスな手順と、メイアタックのシステムになっています。二次移動・二次攻撃はシステム化されていません。
敵ZOCへの侵入時と脱出時に+αな移動力を消費する必要があります。この+αなペナルティ移動力を支払うことができるのであれば、敵ZOCから敵ZOCへの直接移動が可能となります。移動力はドイツ軍ユニットのほうが優れるため、通常のZOCゲームではできないような動きができ、ソ連軍を翻弄するでしょう。

 

ゲームの展開

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ソ連軍左翼(西部)戦線。初期ターン。弱体化したドイツ軍(灰色ユニット)が守る町を、ソ連軍親衛戦車軍団(赤色ユニット)が迫る。ただソ連軍の軍団は複数の軍団が重

なり合うように左右に広がって展開しているため、各軍団司令部の指揮範囲のコントロールが面倒。
装甲車輛を装備した部隊のユニットは主力車輛のシルエットがデザインされていてきれい。ドイツ軍にはパンターヘッツァーに混じってティーゲルⅡがいたりする。一方のソ連軍にはT34系やJS系に混じってレンドリースっぽい車輛も。

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ソ連軍右翼(東部)戦線。両軍薄く展開している。このあたりに配置されたソ連軍の軍団は初期ではなかなか活性化しないため扱いが難しい。

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中央戦線。中央で目立つ黒地に白抜き文字は言わずもがな武装親衛隊(SS)の2軍団。兵種記号が青く塗られているユニットと赤く塗られているところで区別する。
この後、両軍団は南下(写真手前方面に移動)していく。

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中央戦線。SS装甲軍団2個の攻撃にソ連軍は手前に押し込められつつある様子。この直後、SS装甲軍団の1個は総統の命令により転進することを余儀なくされるというイベントが発生(一定ターン内でゲームからの脱出が求められる。満たせない場合はベナルティが課せられる)、ソ連軍はその戦線に開いた穴を・・とか虫の良いことを考えるが・・。

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ソ連軍投了間近な状態。ドイツ軍の黒色のSSユニットが半減しているのは1個軍団がごっそりと転進させられたため。
ソ連軍に援軍は集まっているものの、戦力の集中が不十分。ドイツ軍は勝利ポイントを得る町はがっちりと守備に転じ、どうしようも動かし様がなくなったと判断し、投了を宣した。

 

感想戦

チットドリブンシステムはチットを引くということから来るランダム性と、チットの枚数や性格付けを行うことでゲームの流れにデザイナーによる恣意的な演出を施すことができるといった特徴がある一方、いくつかの弱点があるように思います。この点は以前にプレイした「耳川の戦い」(国際通信社コマンドマガジン付録)のプレイ時にも感じましたがゲームが進むにつれ1枚のチットにより動かすことができるユニットが少なくなっていき、相手に与える衝力が小さくなっていく。もちろんチットドリブンではない通常のゲームでも、後半になると部隊数が少なくなっていくため全軍での攻撃力が失われていくのですが、チットドリブンの場合は一度に移動や戦闘ができるユニットがそのチットが活性化できる範囲に限定されるため、攻撃力の減衰がより顕著に現れるように感じます。隣の軍団にはまだ十分なユニットがいるのだが、チットで活性化できる範囲を越えて共同での攻撃はできないので(複数軍団を同時に活性化できるチットを含めているゲームもある)、自前の軍団だけで攻撃をおこなわなければならない。だが、もはや自前の軍団配下には十分なユニットがない、ということが起こり得ます。

ゲームスタート時点では均衡していた両軍の戦力がある時点でバランスを崩し始めると、通常のゲームに比べチットドリブンのほうが減衰スピードは顕著になるような印象です。

今回のプレイで何が起こったかというと、ドイツ軍は前半の活発に活動できる間に、逆に反応が鈍いソ連軍の各軍団の主力である最大戦力である戦車連隊・大隊のユニットを集中的に攻撃したこと。もちろんここにソ連軍が戦線の後退を含めた柔軟な対応ができなかったこともあり、ソ連軍は各軍団に数ユニットある最精鋭の虎の子部隊を失っていくことになりました。
いざソ連軍が反攻を行う段階になっても各軍団は最大戦力ユニットを失ったこともあり、チット1枚の活性化の中で活性化できる戦力に限界が生じ、ドイツ軍に対して十分な反撃をできなくなってしまったのです。

もちろん現実においても軍団の指揮範囲を越えた部隊を用いた共同攻撃は難しいんだよとか、ゲーム的にはチットドリブンの特性を踏まえた上で行動するべきだという話はあるのでしょうが、まぁここにひとつの戦訓を得た訳です。

 

「PETIT WARGAMES SHOP 小さなウォーゲーム屋での本ゲームの紹介では、「両軍に勝利するチャンス、あるいは敗北するリスクが潜んでおり、」とあるのですが、まさにそのとおりだと思います。

ドイツ軍は前半比較的活発に行動できる反面、主力となる2軍団以外の部隊は貧弱です。しかも2個の主力軍団のうちのひとつは前半にランダムに発生するイベントにより強制的に退場させられます(総統命令による転進)。ランダムとはいいながらも、ゲーム内でその転進命令が出ない確率は36分の1ということなので、タイミングは別にしてほぼ実施が予想されるイベントということができそうです。
主力の転進後、残る1個軍団でどう戦っていくのか・・。ドイツ軍にとって良い材料のひとつは航空支援が厚い事です。この時期、あまりにも急速な戦線の進展によりソ連軍は航空部隊の再配置・前線飛行場の整備等が追いつかず十分な航空部隊を地上支援に回せなかったという事情の一方で、ドイツ軍は急速に詰まった戦線により航空支援を多く集めることができるようになっていたというのです。

一方のソ連軍は冒頭、不意を討たれたようで活性化は限定的です。ただしこれはターンを追う毎に拡大していく。また毎ターンの増援も強力です。一つ問題があるとすると活性化単位であるそれぞれの軍団が散らばりすぎているところがあること。
チットを引いて活性化する際、活性化することができるユニットはその軍団司令部ユニットの指揮範囲内にあるユニットのみです。ソ連軍は初期配置や増援としての登場位置が同じ軍団であっても離れているものもあるなど、一部行動に足枷をはめられたようなところがあります。

ゲーム端緒においてはドイツ軍の勢いを止めることは難しいと割り切って、柔軟に戦線を後退させるなりしておけばよかった。
実はソ連軍には各都市についていつまでに占拠することという占領期限がペナルティ付きで用意されています。期限は史実における占領時期にあわせて設定されているのですが、ついつい強気の強硬策にはしってしまいました。

 

ゾンネンヴェルデ作戦

例によって日本語ウィキはありませんので英文ウィキから*1

 

 

 

ポメラニア

舞台となったポメラニア地方はベルリンからみると北東。今回のゲームの舞台となるシチュチェンは北東150キロの距離にあたります。東京から北東に150キロだと日立市あたりになると思えば、ソ連軍は目と鼻の先に来ている、ということになるでしょう。

このポメラニア地方、現在はポーランド西部に位置します。歴史的に大ドイツの植民がされてきた地方ですが、幾多の変遷をたどって今にいたっています。

  1. 1871年ドイツ帝国建国時はドイツ領でした。
  2. 第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約において建国されたポーランドに割譲されます。
  3. 第二次世界大戦開始後、1939年にドイツに占領され、ドイツはドイツ系住民による投票などを行いドイツ領であることを宣言します(が、戦時中であったため、連合国には無視されます)。
  4. 第二次世界大戦後のポツダム会談で宣言されたポツダム協定において ポーランド領とされ、さらにポーランド領・ソ連領とされた地域に住むドイツ人はすべてドイツ領まで追放されます(ドイツ人追放)。この時生まれたドイツ難民の数は一説には1400万人になるといいます。
  5. 戦後、西ドイツはポメラニアを含む「旧ドイツ東部領土」がソ連ないしはポーランドの占領下に置かれているという見解を取っていました。
  6. ベルリンの壁崩壊をきっかけとした東西ドイツ統一の動きの中で、時の首相、ヘルムート・コールポツダム協定で制定たれたオーデル=ナイセ線の承認へと動き、国内勢力の猛烈な反発を招いたものの、1990年東西ドイツの統一が達成されると、オーデル=ナイセ線の東領域に対する全ての請求を放棄します。これによりオーデル=ナイセ線は、正式な条約として確定します。1990年11月14日にドイツ・ポーランド間で国境条約が締結され、国境が正式承認されることになります。

長々と引用したのは戦後処理の話を初めて知ったため。今どきは学校の地理や現代史の中で触れるのかな?それにしてもこのドイツの領土放棄の話って、日本ではあまり引用されませんよね?終戦前に占領された地と、終戦後の火事場泥棒的なやり方で奪われた地の違いということでしょうか。

さて蛇足な情報ですが、犬種のひとつであるポメラニアンポメラニアが原産だそうです。

 (おわり)

 

 

*1:歴史・戦史・兵器の記事について日本語版には記事がなく、英語や他言語に記事があるということはよくあるが、中文版はあることがけっこう多い。それだけ記事を書いてくれる人がいるということなのだろうが、素直によいなと思う。

「Advanced Squad Leader Starter Kit Bonus Pack #2」(MMP)を入手する

Advanced Squad Leader Starter Kit(以降、ASLSK)シリーズの表題シナリオ集が出ましたので売り切れになる前に入手しました。

新マップ2枚(i、j)、シナリオ8本収録。

シナリオは多岐に渡り、アメリカ軍・イギリス軍・ノルウェー軍・ソ連軍・中国軍の連合軍と、大日本帝国陸軍・同海軍(陸戦隊)・ドイツ軍の枢軸軍との間に起こった、オスロからナイメーヘンからマニラまでのアジアと欧州を舞台にした、時代としては1937年から1945年までをカバーしている、とのこと。

上半分の全面を麦畑で覆われたようなマップがマップi、市街地マップがマップjとなっている。

 

シナリオS82 Four Hours More

1938年3月、支那事変、徐州会戦に先立つ時期に行われた戦いを描く。古い城壁に囲まれた街を守る中国軍に対して、日本軍(第10師団)が攻撃を行う。
両軍とも歩兵主体(日本軍は連隊砲装備)。両軍とも分隊数が多いです。

※ シナリオカードにかかれている地名は綴間違いのような感じがします(またはGoogle Mapにも収録されていないような古い地名か)

 

シナリオS83 Off To Oslo

1940年4月、ノルウェー バールム

ドイツ軍によるノルウェー侵攻時の戦い。
動員されたノルウェー軍歩兵部隊が守る拠点をドイツ軍歩兵部隊が攻撃します。
両軍とも歩兵ユニット+支援火器のみが登場します。

 

シナリオS84 Unsufficient Resolve

1941年8月、ソ連 クラピヴィンスキー

独ソ戦初期です。モスクワを目指して進撃するドイツ軍に対する防衛戦です。
場所は照合できませんでしたが、スモレンスクに続く途上のようですのでモスクワ攻略ということになるのでしょう。

ソ連軍が守る村にドイツ軍の戦車を擁した歩兵部隊が攻撃します。
ソ連軍はHIP配置。対戦車砲を擁します。途中でBT-7、KV-1の増援が来ます。

ドイツ軍は歩兵部隊+Ⅲ号戦車、Ⅱ号戦車複数台
戦車戦必至のシナリオです。

 

シナリオS85 Tiger's Roar

1943年1月、ソ連 

ドイツ軍北方軍集団によるレニングラード包囲に対してソ連軍が解囲を目指して行った「イスクラ作戦」を扱います。あまり見かけない舞台ですね。
戦車に支援されたソ連軍部隊が盤端からの突破を目指します。

ソ連軍にT34/76、ドイツ軍にティーガーⅠ、Ⅲ号戦車等が登場。
この作戦の後、レニングラードは少しだけ補給線が届くようになったとのことです(完全解囲は翌年にずれ込む)。

 

シナリオS86 Going Command

1944年6月、オクトヴィル、フランス
ノルマンディー作戦の直後のシェルブール付近における戦闘です。
市街地マップを用いて、ドイツ軍の2線級歩兵部隊が守備する市街地を、イギリス軍コマンドとアメリカ軍歩兵が攻撃するというシナリオです。両軍とも歩兵のみ登場します。分隊数も少なく、マップも限定的な小規模なシナリオです。

 

シナリオS87 Straight And Fast

1944年9月、ナイメーヘン、オランダ
マーケットガーデン作戦におけるナイメーヘン付近の戦闘を扱っています。
ドイツ軍武装親衛隊が守備するエリアを、アメリカ軍第101空挺師団の部隊と、イギリス第30軍団の部隊が攻撃するという大きめのシナリオです。

ドイツ軍には88ミリ高射砲の他、対戦車砲、機関砲が登場。対する連合軍側はイギリス軍に、シャーマン・ファイアフライ他複数のタイプのM4が登場します。

 

シナリオS88 The Down Payment

1944年12月、Gey、ドイツ

ヒュトゲンヴァルトの戦い。
ドイツ軍歩兵部隊が守備するエリアをアメリカ軍が占拠するというシナリオ。
ドイツ軍は国民擲弾兵部隊ということで2線級部隊、かつ武装も支援火器のみと貧弱。一方のアメリカ軍は歩兵主体ながら、M4も登場します。
ドイツ軍が弱体にも関わらず、7ターンと長めのシナリオになっているためけっこう陰惨な戦闘になりそうな予感。

 

シナリオS89 Havoc At The Hospital

1945年2月、マニラ、ルソン島、フィリピン
マニラ市街戦です。市街地マップを使います。
日本軍は駐留の特別陸戦隊を基幹にフィリピン付近で沈没した各種軍艦(武蔵、熊野、最上、木曽、鈴谷、他駆逐艦等多数)の乗員から編成された「マニラ海軍防衛隊」です。支援火器を多数装備していますが、部隊数自体は多くはありません。
一方のアメリカ軍は歩兵を主体に戦車も登場します。

ちょうどプレオーダーが進行中のヒストリカルASL「Sword and Fire : Manila」の先駆けとなるシナリオといったところでしょうか。

 

感想

ざっとシナリオカードを中心にななめ読みで紹介しました。
注目は日本軍シナリオが2本はいっていることですかね。他にも、両軍に戦車が登場するため戦車戦必至のシナリオや、ティーガーⅠやKV1など重戦車クラスも登場している点も注目ですかね。イギリス軍とアメリカ軍の両方が登場するシナリオというのも目新しく感じました。

目下、ASLやASLSKの対戦予定はありませんが、こうしてカードを見ていくだけでもプレイしたくなります。

 

 

「HEART OF DARKNESS(闇の奥)」(LEGION WARGAMES)を対戦する(2/2)

19世紀なかば暗黒大陸と呼ばれていたアフリカ大陸探検を題材にした「HEART OF DARKNESS」(LEGION WARGAMES)を対戦しました。(第2回/全2回)
Box cover

 

 

 

 

yuishika.hatenablog.com

 

ある探検家の記録(承前)

ペストの村

長い探索行の中で我々は度々アクシデントに襲われた。
「道に迷う」「渇き」「嵐」・・、そして「マラリア」。
高熱に侵された我々は所持していた最後の「キニーネ」を投入する。これ以上、体力が落ちると運搬すら支障をきたし始めると判断したのだ。
「道に迷う」と余計な時間を費やすことになり、探索を諦めざるを得なくなる。特に「砂漠」での迷子は影響が大きい。
食糧については当初余計に持ち込んだこともあり、他チームが”米びつの底を覗き込みながら”の探索を続けていたことからすると、我々は余裕があった。

イベントはかなり頻繁に発生する。簡易マップの各探索を行う回において移動前に1回、移動後に1回、計2回、イベントのチットを引くことになるため、簡易マップ上の探索を完了するまでに、あわせると10回以上はイベントチットを引くタイミングがある。
もちろんイベントチットの中には各種発見なども含まれるのだが、一方で多くのアクシデントも発生する。

コバルト鉱山を発見する。
ポーターが一部脱走。この程度の損害はやむをえまい。我々は荷物を分配しなおし、再び出発する。

我々は「噂」の存在を耳にする。「噂」の話を聞くために村に立ち寄る。ここで友好度が高くなければ人々は口を閉ざし、「噂」は探検家の前から消え去ってしまう。
もとより西洋人に対する敵対心が高いエリアだ。
贈り物の効果か幸運にも「噂」の話を聞くことができた。場所が特定される。そこに何かがある。

地図上で発見された「村」や「国」に訪問した際の友好チェックにおいて、贈り物は限定的ながら修正効果がある。この時は結構分が悪い状況であったが、村人たちは口を開いてくれた。

体力が落ちている中なので我々は他の目標をあきらめ「噂」の場所に移動する。

「噂」に伴う対応はこのゲームの中のクライマックスといってもよいかもしれない。
探検家は簡易マップでの探索中に「噂」をひきあてると、近くの「村」や「国」に話を聞きに行くことになる。もちろんそのような海千山千の話には乗らずに確実にDPを稼ぐことができる活動に専念することもありだろう。
「村」や「国」の人々の友好度が高い場合のみ、彼らは口を開き、「噂」の場所を特定する。そこからさらに「噂」の場所に移動することになる。この時点、「噂」の内容は不明のままだ。
苦難の末(この一連の行動は制約がある行動回数の中でこなさなければペナルティになっていく)、「噂」の場所にたどり着いてはじめてチットがひかれ、「噂」の内容が開陳される。

そこは・・ペストに侵された村であった。
黒い発疹に全身を覆われた人々。我々には汚染された井戸の代わりとなる水と、水を運んでいた革袋を置いていくことくらいしかできなかった。

「噂」の中身は様々、古今のアフリカを舞台にした創作に登場するものが登場するなど読んでいるだけでも楽しい。
冒頭で予告したデザイナーのKangerも「噂」の中のひとつに登場する。どのような登場かは、見てのお楽しみ。

ちなみにこの回は”我々”が発見した「ペスト」以外に、2プレイヤーはそれぞれ「Lost Eden」と「野人」(もろター○ン)を発生させていた。

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プレイ最終盤の状況。左手上側のアンゴラから出発した”我々”(赤ライン)と、右手のモザンビークから出発した新聞社の探検隊(緑ライン)の踏破行路が南アフリカ奥地で近接した状況。ひとつのエリアに2つの水系の河川が登場することはないため、河川沿いに移動している限り両者のルートが交錯することはない。
探索が終わったエリアには多数のマーカーが置かれているが、明らかになった地勢、河川の状況の他、景観・植物相・歴史遺物・王国等の発見されたものを示している。
いわずもがな、支配を競うゲームではないので支配マーカーのようなものはない。

 

ゲームはここで時間切れもあり終了。
リプレイ中、登場しなかったが科学者をパトロンとし、エジプトを起点とした探検家チームが、ナイル源流近くに広大なジャングル地帯を発見し、さらに博物学的発見を連発したことにより独走状態にあった(50DPまで残り数ポイントまできていた)。一方の、”我々”や新聞記者スポンサーの探検家チームはその半分程度のポイントになっていた。

今回のプレイでは適用を漏らしていたのだが、プレイヤーの独走を妨害するルールがあったことをプレイ後、気づいた(「謙虚さ」)。
またそれ以外に、「嫉妬」というやや強烈な、これもまたプレイヤーの独走を妨げるルールがあったりする(狂気系)。

終了時にDP以外の要素による修正を加えて勝敗を決する。

 

感想戦

探検というある種、淡々と進みがちなプロセスを、幾多のマーカーやチットプルによってゲームとして昇華させている点は感心しました。確かにイベントやアイテムとの組み合わせによってチェックのダイス振りや、その修正など複雑に組み合わされていて、なれるまでけっこうルールブック、またはプレイエイドといったりきたりする面はあります。
限られたリソースをコントロールしながらゴールに向かっていく。決して楽な道はありません。

ところどころ覗かせる暗い闇が魅力的

他の探検ゲームに「正気度」の概念があるのかわかりませんが、この「正気度」の存在」がゲームに暗い色調を与えていてなかなかに魅力的に見えます。今回はそこまでの狂気に至ることはなかったのですが、時折登場する「正気度」が絡むイベントやマリファナの存在、逃亡するポーター、雇用人たちの叛乱などなど暗い淵がところどころに仕掛けられているのです。旅を続けているうちにいかに健康的な行動を行っていても、だんだんと健康とともに正気度が損なわれていく展開に震えました。
最大のイベントであるはずの「噂」の正体についても、プレイヤーに利益をもたらすものよりもむしろ不利益をもたらすようなイベントのほうが多いようにも思うのですが、それでもマップ上に「噂」が登場した際には、追っかけずにはいられなくなります。まさに「闇の奥」の世界といったところでしょうか。

プレイヤー間の競争要素は弱い

より多くのDPを得たプレイヤーが勝利者となるわけですが、プレイ中、プレイヤー間の競争要素はさほど多くはありません。自分のスポンサーにより獲得を目指しているモノ(例えば今回の”我々”あれば、鉱山)を他のプレイヤーが獲得するとペナルティで”我々”はDPが失います。が、他プレイヤーを追い落とすために相手のペナルティを引き起こすような活動を積極的に行うにはゲームはランダム性が高く、こうした活動は効率的でありません。他プレイヤーのDPを積極的に下げるような活動は用意されていないのです(前述、「謙虚さ」「嫉妬」以外)。自分のDPを高めるように活動を行ったほうがよほど効率的に加点できます。
探検家同士の直接的な戦闘や、アイテムの奪い合いや、相手の持ち物を強奪するといったことはルールにはありません。そういう類の冒険ではないということなのでしょう。

チット運に左右される要素が大きく、作戦・戦略要素は弱い

探検家がいくエリアの地勢から河の流れ、探索で出会うイベントから場所、そのほか様々な事柄のほとんどはマーカーやチット引きによって決まります。マーカーやチット引きはたしかに多少、関連性はあるものの、ランダム性が高いため、「これを実現するたに、これをしよう」とか、「なにをするためにはこれをまずやると・・」といった作戦・戦略といったものがあまり成り立たないシステムになっています。
出発前の準備段階でどのアイテムを持っていくのかというのは多少作戦といえば作戦ですが、アレを捨ててこれを持って、というほど究極の選択が発生する訳でもないです。

全体としてはチット運に左右される要素が少なくないように感じます。

 

今回は3人プレイでしたが、いつかはフル人数である5人プレイまで試してみたいものです。マーカーやチットの数に限りがある以上、人数が増えればその引き方や確率なども変わってくるため、ゲームは違う様相を示すのかもしれません。

(完)

 

 

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「HEART OF DARKNESS(闇の奥)」(LEGION WARGAMES)を対戦する(1/2)

19世紀なかば暗黒大陸と呼ばれていたアフリカ大陸探検を題材にした「HEART OF DARKNESS」(LEGION WARGAMES)を対戦しました。
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ゲームデザイナーは先日プレイした「TONKIN」等のKim Kanger。
さて今回もKim Kangerデザインゲーム名物のアレはあるのでしょうか?

 

タイトルになっている「HEART OF DARKNESS」は、イギリスの小説家ジョゼフ・コンラッドの「闇の奥」の原題です。同作は当時コンゴ河一帯にあったベルギーの植民地コンゴ自由国を舞台に、西洋植民地主義の暗い側面を描写した作品ということですが、日本では、同作を翻案したフランシス・コッポラ監督「地獄の黙示録」(原題:Apocalypse Now)の原作として目にすることのほうが多いように思います。
この原作ですが、単に題名を借りてきたというだけではなく、本ゲームのバックボーンになっているように感じます。

 

 

ゲームの概要

プレイヤーは5人まで。各プレイヤーはスポンサーから委嘱された調査を行うためにアフリカ大陸に足を踏み入れた探検家です。

探検家たちは大陸で新たな発見をしたり、珍しいイベントに遭遇した際にドラマポイント(以降、DP)を得ることができます。DPの数はその内容や、特定のアイテムを所持していた場合、または各探検家のスポンサーによる委嘱内容によって異なるのですが、最終的には50ポイントに達したプレイヤーが勝者となります。1回の発見で得られるDPは1~5ポイント程度ですので大きくはありません。
プレイではこうした発見やイベントをいくつも積み重ねていくことで勝利条件ポイントの達成を目指すことになります。一部の珍しいイベントについては10DP近いものもあるようですが、出会うのは非常に稀でしょう。探検家自らが死亡したり、気が触れたりした場合もDPを獲得できます(数値は大きくはないところを見ると決して珍しい事ではなかったということでしょうか)。

マップはフルサイズでアフリカ大陸全体を写した白地図マップが目を引きます。白地図上のアフリカ大陸は細かいエリアに分割されています。
そのうち海岸沿いにある5ヶ所のエリアは地形等がカラーで表示されており、文明化された西洋人の拠点があることを表しています。プレイヤーが扱う探検家たちはこの5ヶ所のエリアのいずれかから出発することになります。
文明化されたエリア以外はエリアを分ける境界線以外は白地図状態です。一部のエリアは”想定される地勢”のシンボルがはいっていますが、ほんとうにそのような地勢(砂漠・ジャングル・サバンナ・平地)なのかは実際足を踏み入れなければ判明しません。

各プレイヤーには自分のチームのステータスを表示するプレイヤーシートが与えられるのですが、その一部に探索用のミニマップが記載されています。

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プレイヤーシート。ポーターや護衛兵の人数、運搬力、食糧、自分の健康度といった各種パラメーターが表示される。問題の探索用ミニマップはMatrixと表示がある、5☓4の赤茶色のマス目状の部分。各エリアの中の探索はこのミニマップ上で解決される。

 

ある探検家の記録

旅の準備と出発

我々のスポンサーとなった投資家からの委嘱内容は鉱山探査であった。

中央アフリカアンゴラにてガイド、ポーター、護衛兵を雇い、キャラバンの総勢は20名を数えた。食糧や現地人への贈り物、弾薬・薬品といった消耗品、冒険に必要な様々な道具類を準備する。
食糧は探索中の狩猟や釣りなどで確保することも可能であるが、あらかじめ多めに持ち込むことにした。他の荷物の分量が減ることになるが、食糧の不足は雇用人たちの士気にも直結している。士気が低下したキャラバンは崩壊し最悪のケースでは雇用人の叛乱も想定しておかなければならないのだ。
他に道具として、釣り竿・つるはし・ライフル・ピストル・望遠鏡・キニーネマリファナ・聖書・測量機器を選び、さらに水系沿いに遡行するためカヌーをしたてた。

プレイヤー5人に対してスポンサーは5種類用意されている。それぞれ目的が異なる。スポンサーの目的に合致した発見等を行うと得ることができるDPにボーナスがつけられる。
なおスポンサーが影響するのはDPのボーナス部分のみで、初期配置時の各探検家の初期値やアイテムなどに差はない。

道具の選択はかなり重要で、それによって各種のイベント(多くはアクシデント)への対応時の修正や回避がなされる。ただ持ち込むことができる数に限りがあるため、何を選ぶのかは重要な要素となる。

 

コンゴ河遡行

複数のカヌーに分乗した我々は現地最大の河川であるコンゴ河をさかのぼることにした。
アンゴラを外れるとすぐに地図に記載されていることは極端に少なくなりほぼ白地図状態となる。記載事項があったとしても、その信ぴょう性も高くはない。事実、アンゴラステップ地帯を抜けた我々はすぐに渺渺とした砂漠地帯にあたることとなった。
分岐したコンゴ河の支流の源流を確認した後、我々の小船団は嵐に遭遇し、少なくない食糧を失うこととなった。嵐の影響は地上を行く際よりも水上にいた場合のほうが大きい。

源流の発見は、DPの対象となる。ただ源流が発見されると、その河をそれ以上遡行できなくなることになる。そこまでに分岐点があった場合は分岐点に戻り、異なる支流を遡行していくことも可能である。またはカヌーを捨て、徒歩により探索を続けることになる

嵐の直後、我々が訪れた村では、贈り物が効果を奏したのか住人は非常に友好的で食糧を分けてくれ、嵐で失った分は取り戻すことができた。
中央アフリカ周辺はアフリカ大陸内でもとりわけ奴隷商人の活動が活発であったこともあり、白人に対する原住民の感情がよくない。このエリアで友好的な村に遭遇しえたことは非常に幸運であった。友好度が低い村に遭遇した場合、逆にこちらが襲撃を受け、キャラバンのメンバーを失うこともある。

幸運ばかりではなく、道中は悪い事のほうが起こりやすい。
ある場所で我々は現地民の呪物を発見する。呪詛を込められた大量の呪物は明らかに常軌を逸しており、この地は我々の価値観が通じない世界であることを実感させる出来事であった

イベントで登場する「禁忌(タブー)」に触れた場合、「正気度」が下がる。
旅のイベントの中では「正気度」を下げるものも少なくない。改善するすべもあるのはあるのだが、頻度からすると旅を続ける中で「正気度」はだんだんと落ちてくる。「健康度」とあわせ、探索行は探検家の健康や体力とあわせ精神も蝕んでいく。

好戦的な部族の襲撃を受けた際、うまく退けることができた。また砂漠地帯の織り成す景観の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあった。残念ながら我々は記録画家の同行も画材の持ち込みもしてなかったため、文字として記録にとどめただけであったが、地図には記載されることとなる。

「景観」は美しい地形等を表し、発見されると発見者はDPを得ることができ、白地図マップ上にマーカーが配置される。

我々は河川沿いに遡行をしながら時々、狩猟にて食糧と、現地民への贈り物となる革などを得ていたが、それ以上の大きな発見などはなかった。

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アンゴラを策源地とした我々はコンゴ河を遡上しはじめる。
発見された植物、景観、水源池、また河の分岐はそれぞれ白地図上に記録(マーカーが置かれる)される。
サファリスーツで銃を抱えた人物が書かれた黄色のユニットが、この探検家チームを表す

 

失われた都市と消えた噂

砂漠地帯を超えると荒涼とした草原地帯となった。
道すがら我々は放棄されかなりの年月がたった様子の「失われた都市」の廃墟を見る。かつては高度な文明が存在したことも伺えるのだったが、いまは住む人はいない。
我々は「噂」の存在を聞く。何の「噂」かそれさえはっきりしない。訪れた村にて訊ねるが、誰もが口を閉ざしていて、「噂」の存在すら疑わしい状態となり、やがて消えてしまった。

イベントで「噂」が登場すると探検マップ上の村や王国に配置することになるが、彼らが友好的でなければ内容の確認はできない。真偽を確かめることもできないまま「噂」は立ち消えることになる。

コンゴ河はここで大きく湾曲し、我々の予想を裏切り東の内陸部ではなく、その上流は南部から流れてきていることがわかる。小船団も南部に舳先を向けた。
アフリカは猖獗の地、マラリアの恐怖は我々も逃れることができなかった。マラリアにより体力を失う。

イベントで「マラリア」が出ると罹患チェックを行うのだが、マラリアの場合、体力があるほうが罹患しやすい。体力の衰えは、行動力の減少につながり、探索マップ上の活動時間が短くなるというペナルティにつながっていく。

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赤茶色の5☓4のマス目状の部分が探索を行う抽象的なマップになっている。そのエリアに何が存在するか(存在しそうか)はひいてきたマーカーで表される。
探検家はこの上を移動しながら対象と接触したり発見したりすることになる。
探検家の位置が変わる度に、視界範囲や内容が変わっていく(マーカーを引きなおす)。接近してみると存在しなかったり、見失ったりするわけだ。

探検家は闇雲に動けばよいのではなく、時間制限があり、定められた回数以内に一番下の行の真ん中にあるマス目にたどりつかなければならない。活動回数は健康度が関係する。決められた回数内にゴールにたどりつけられない場合は、余計な食糧を消費することになる。

 

空白地帯

南へ向かった我々を待っていたのはまたもや「砂漠」であった。
「鉱山」のひとつも発見していない我々はこの頃になると、スポンサーから矢の催促を受けるようになっていた。だが、出ないものは出ないのである。

ちょうどこの頃、東アフリカから探索にはいっていた別の探検隊は南東部のエリアでいくつもの鉱山を発見していたのだが、彼らは地道な投資開発物件を探すのが目的ではなく、探検記を書きたい新聞記者であったことは皮肉なものである。

イベントチットの中で、「鉱山」チット自体は数は少なくはないものの、イベントとして引かれた瞬間に、それが配置できる空きスペースがあることなどが理由で、配置されずに流されることも頻発する。

「投資家」をスポンサーとするプレイヤー(今回は" 我々”)が鉱山を発見すると、通常のDPの他、ボーナスDPも獲得できることは説明したが、逆に他のプレイヤーが鉱山を発見すると、発見したプレイヤーは鉱山発見DPを獲得できるのだが、同時に”我々”は先に発見できなかったということでペナルティとしてDPを失う・・・。

これまでも好戦的部族の襲撃を受けることは度々あったが、このときはじめて我々が損害を受け兵士の一人を失ってしまう

ゲーム内で兵は「アスカリ」と記載されているが、これは、アラビア語スワヒリ語の「兵士」の意味である。

ここで訪れた砂漠地帯は空白地帯であった。みるべき文物はなかったと言って良い。

 

マラリアの猛威

新たな地勢にはいり我々はコンゴ河の源流のひとつとなっている巨大な湖を発見した。またその周辺の山も含め、白地図上に記載されることになるであろう。

その頃、我々を悩ませていたのは度重なるマラリアの罹患で、体力を奪われること複数回。本国から持ち込んだ貴重なキニーネを使うものの完全回復には至らなかった。

長い探索行(この時、4ターン目)により疲弊していたのは我々だけではなく、同じ時期、探検を実施していたグループでもその内容・条件は異なるものの、疲弊していたと言えるだろう。
鉱山発見を連発していた新聞記者のグループは、どこでどういう恨みを買ったのかはわからないが、好戦的な部族の執拗な襲撃(もしかするとそれぞれ別の部族による襲撃だったのかもしれないが)をかなりの頻度で受け、10人程度のポーターを連れて行ったにも関わらず、残るはポーター2人となり、補充もできないまま食糧や贈り物の運搬能力を失うこととになっていた。当然、食糧の運搬ができないまま残ったメンバー各自で保有する分以上の食糧・贈り物を持ち得ない状態にまで窮していた。

ポーターや護衛兵は最初の策源地を出発する段階で人数を揃え、そのは探索マップ上に登場する「宣教師」が関係する以外は人数の追加は難しくなる。追加が成功しても1~2人といった小規模な規模だ。探検行の中では様々な理由で人身は失われていくのだが、ここまでの急激な減少になるとなかなか対応が難しくなるようだ。

我々はこの地でようやく鉱山を発見するに至る。鉄鉱石であった。

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アンゴラを出た我々はまず北側(右手)の砂漠を越え、いったんは東の草原エリアにはいるものの、そこでコンゴ河が湾曲したことから、南下(左手方向)する。その砂漠地帯は不毛の地で何の発見もないまま、河の流れのままに南へと河を上っていくこととなった。

 

(つづく)

 

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦する(2)

インドシナ戦争におけるディエンビエンフーの戦いを、エリアインパルスシステムで描いた「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦しました。

Storm Over Dien Bien Phu Box Front

 

 

第1ターン

北ベトナム軍を先攻として交互にインパルスを実施し両方がパスをした時点でターンが終了します。

マップ上にはいくつかの重要なエリアがあります。

ひとつは、勝利条件の中で北ベトナム軍の占拠がもとめられているエリアです。マップ上、9エリアあり、北ベトナム軍が勝利するためには、8ターン終了時にこのうち6エリアを占拠している必要があります。
下のマップの中に赤茶色の四角マークを記入したエリアです。飛行場の南東側に固まっていますが、史実においてフランス軍が最後まで籠もった陣地になります。

勝利条件には関係ないものの、占拠することで毎ターンのカードのドロー枚数を増加させることができるエリアがあります。3つのエリアを1セットとして2セットあります。
ゲームのスタート時点では2セット(計6エリア)ともフランス軍が占拠しているため、フランス軍は通常のドロー枚数とは別に2枚をボーナスとして得ることができることにうなります。
このゲームにおけるカードイベントは強力なので、1~2枚ドロー枚数が増えるというのは非常に魅力的です。ベトナム軍は早くにその権利を獲得したいでしょうし、フランス軍にとってもこだわりたい権利でしょう。

マップの中に水色と、オレンジの円を記入したエリアです。水色の円は、マップ北部などにありますが、この北部にある2つの水色円のエリアは史実において緒戦で、ベトナム軍の人海戦術による集中攻撃を受けて陥落した地点になります。

またオレンジの円は滑走路があるエリアで、滑走路エリアについては、ドローできるカードが増やすことができるという性格の他、北ベトナム軍が確保した場合、毎ターンの終了時にフランス軍が実施する補給切れチェックの際にフランス軍にとって不利なペナルティが加算されるようになります。
補給の有無はユニットの回復力に関係するため、包囲下におかれたフランス軍にとって戦闘からの回復ができるかどうかは死活問題になってきます。その意味でも滑走路エリアは重要性が高いと言えます。

 

通常のターンでは、北ベトナム軍は「強襲」を実施するためには実施するユニットがいるエリア内に「塹壕」を設置しておく必要があるのですが、第1ターンの間だけは特別ルールにより「塹壕」無しの状態から「強襲」を行うことが可能です。

このため、第1ターンの北ベトナム軍は可能な限り「強襲」を実施するでしょう。
「強襲」の実施前には、支援砲撃により目標となるエリアにいるフランス軍ユニットにステップロスの損害を与えた上で、実施するのが定石です。
「強襲」では地形効果を無視できます。その上で目標エリアのユニットをすべて除去するか、後退させればそのエリアに前進できます。「強襲」の成否に関わらず、「強襲」を実施したユニットの中から1ユニットが強制的に除去されます。

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マップ上側が北方向です。
本文中にあるように、青色四角が記載されたエリアは勝利条件エリアになります。

オレンジ色と水色の円が記載されたエリアはカードドロー枚数追加ボーナスを得ることができるエリアとなります。それぞれ3つのエリアすべてを獲得することでドロー枚数が+1になるというものです。
またオレンジ色円のエリアは滑走路エリアとなり、ここをベトナム軍が占拠した1エリア毎に毎ターン終了時にフランス軍だけが実施する「補給チェック」において+2のペナルティが課せられます。ベトナム軍にとって終盤のフランス軍を追い詰めるためにぜひとも獲得した修正値となっています。

 

北ベトナム軍はカードのドロー枚数増加につながる2エリアを中心に「強襲」を実施しました。また中央エリアでも滑走路エリアに隣接する場所へ進出します。

対するフランス軍は最終的な防御を考慮し、戦線を下げつつもむやみにエリアを明け渡すのではなく、北方を中心に遅滞行動をとるように移動します。

 

第2ターン

第2ターンのベトナム軍は「塹壕」準備のためのターンとなります。「強襲」のためには攻撃発起点に「塹壕」を構築する必要があり、これには1ターン要するため、必然的に準備が必要となるのです。

フランス軍は北部エリアは引き気味です。機甲部隊などの防御力が高いユニットは早々と南部の勝利条件エリアに移動させます(機甲部隊は橋があるエリアでしか渡河できないため、橋があるエリアをベトナム軍が占拠してしまう前に渡河させてしまうという意図もあったようです)。

ベトナム軍は北部から戦線を南下させるのとは別に意図的に両側面の部隊を南下させ、フランス軍の接敵しているエリアを増やすように動きます。こうすることでフランス軍は正面だけではなく、側面や内側のエリアにも相応のユニットを配置しつづけなければならないようにしていたです。*1

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第2ターン終了時の状況(写真左手側が北方向)
ベトナム軍はいくつかのエリアで塹壕を準備し次のターンでの「強襲」実施を企図しています。

第3ターン

フランス軍が撤退したエリアへ進出したベトナム軍はそのまま滑走路北端のエリアを占拠。一方で、中央部分で強襲をしかけるも侵攻はかないませんでした。フランス軍も精鋭の空挺部隊を防御に投入しています。
このターン終了時のフランス軍の「補給チェック」において、滑走路の1エリアを占拠されたこともあり、失敗。1エリア分が強制的に補給切れとなり、戦闘後のステップロスした状態から回復できなくなります。

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第4~5ターン

ベトナム軍は滑走路エリア全3エリアのうち2エリア占拠に至るものの、最後の南端のエリアをせめあぐねます。フランス軍陣地を大きくは包囲はしているものの、射撃戦だけでは有効な損害を与えることができない状態に陥っており、きちんと「塹壕」構築から「強襲」の実施を行う必要がでてきています。

フランス軍エリアはひとつのエリアに存在するユニット数が多くなってきたことから、損害吸収力も増していることもあり、ベトナム軍とってやっかいな状態になっています。

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第4ターンの状況(写真左手側が北方向)
ベトナム軍がフランス軍を包囲した状態になっていますが、ひとつのエリア毎のユニット数が多くなっていることから、損害を与えづらい状況に陥っています。

 

第6ターン

カードイベントによりフランス軍の増援が最南端に到着します。史実では飛行場から離れた位置にあった陣地にいた部隊が転進してきたというイベントになります。

滑走路がある最南端のエリアに対してベトナム軍は再三射撃を実施しフランス軍ユニットの後退や除去を試みますが、フランス軍はユニットがいなくなる度に、他のエリアから1~2個中隊が補充することで、しぶとく保持し続けます。
ベトナム軍は「強襲」を使って強引に奪いにいかないと、こうしたフランス軍の防衛策を止められないのです。「強襲」を行うには事前に「塹壕」を準備しなければならず、スピードが求められるベトナム軍の足枷となっていくのです。

ベトナム軍はエリア17に部隊を1個連隊規模(9個中隊)の部隊を集め、南に隣接するエリア22への「強襲」を企図します。
フランス軍は「支援砲撃」のカードによりエリア17の「塹壕」を潰そうとしますが、ベトナム軍はすかさず対砲兵砲撃(ベトナム軍側からも「支援砲撃」のカードを出すことで、フランス軍の「支援砲撃」効果を打ち消すことができる、カウンターとなります)によりフランス軍の企図を潰します。

ベトナム軍の「強襲」は成功し、ここでベトナム軍の勝利条件エリアの確保数は条件の6エリアに対して4エリアになります。
あわせてその南側のエリアも陥落し、滑走路南端のエリアのフランス軍中隊は孤立することになります。

が、ここでベトナム軍は慢心からちょんぼをしてしまい、フランス軍に包囲を一端を破られる結果となります。この破綻を回復するには2ターンでは無理との判断からゲーム投了、終了となりました。

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6ターン戦況図(部隊配置は省略し、エリア占拠状況のみを表示)
強襲が発生した2個エリアが主戦場となりました。他にも滑走路南端をはじめ、フランス軍陣地の南側で両軍間で射撃の応酬が発生しています。
この時点で、ベトナム軍が確保した勝利条件エリアは4つとなるため、本ターンの残りを含め3ターンのうちに2エリアを占拠すればよいところまで来ました。

 

感想戦

ゲームはベトナム軍が主導的に進行します。ある程度漫然と攻撃していても一定の戦果をあげることができるでしょう。ゲームは全8ターンなのですが、勝利条件を満たすためにはけっこう時間がなく、効率よくフランスを軍を追い詰めていく必要があります。

通常の「射撃」では相手を後退させたとしても、戦闘後に前進してエリアを占拠することはできないため、続くインパルスにフランス軍が別のエリアから補充してしまえば、占拠はかないません。フランス軍が犠牲になることを覚悟で攻撃目標となっているエリアに1ユニットずつ送り込み始めると、ベトナム軍はいたずらに時間を空費させられてしまいます。

ベトナム軍としてはフランス軍のこうした遅滞行動を回避するには、戦闘後に目標エリアに前進することが可能な「強襲」を仕掛けるしかないのですが、「強襲」を実施するには攻撃を発起するエリアに「塹壕」を設置しなければなりません。
このためベトナム軍は、1ターンで「塹壕」を掘り、次のターンで「強襲」を実施するという2ターンからなる攻撃パターンを繰り返していく必要があるのです。ゲームは全8ターンしかありませんので、計画的にこうしたパターンを構築していく必要があります。

また、エリアインパルスシステムの性格として、ゲームの終盤、防御側が占拠しているエリアの数が減少するにつれ、ひとつのエリア毎の防御側ユニットの数が増加することで、ひとつひとつのエリアを攻略することが格段に難しくなっていく傾向があります。
対抗するためには攻撃側もユニット密度をあげて攻撃力を高めていく必要があるのですが、結果として戦闘結果を判定するダイスの一振りの重要度が格段にあがってくるのです(一種のインフレ状態ですね)。
本ゲームでは、防御側の防御力はそのエリアに存在する防御側ユニットの防御力の総和ではなく、エリア内の防御ユニットの中で最大の防御力を持つユニットの数値を用いるということで、この終盤の攻防のインフレを回避しようとしているのですが、それでもひとつのエリアに存在するユニット数が増えているため、損害を受け入れることができる余地が増えるためそれだけ攻略が難しくなってきます。

ベトナム軍はこうした後半の傾向を読みながら、計画的に攻略を進めていく必要があるでしょう。簡単に後退されないように、努めてフランス軍ユニットの除去ができるようにすることも必要でしょう。

 

フランス軍にはベトナム軍にある「強襲」はできませんので逆襲するにしても基本は「射撃」をベースにしたものになります。
ベトナム軍が「塹壕」を作ることは「強襲」のサインになりますので、「支援砲撃」カード等を利用して「塹壕」を潰すべきでしょう。もちろんベトナム軍から「支援砲撃」カードを出されると「塹壕」潰しの砲撃が邪魔されることになることから、ベトナム軍に先に「支援砲撃」カードを使わせるというカード運用のテクも必要かもしれません。

今回のプレイ中もあったようにベトナム軍が「射撃」を行ってきたのであれば、射撃済のベトナム軍に対して「射撃」をすることでユニット除去を試みることもありです。ただしフランス軍は毎ターンの「補給切れチェック」には注意です。補給切れエリアはベトナム軍が指定できますし、また補給切れを指定されたエリア内のユニットはステップロス状態から回復できませんので、対抗力が著しく衰えた状態になってしまいます。

フランス軍ベトナム軍の攻撃機会を使わせるか機会を潰すことで、前進をさせないという遅滞行動をとっていくことになるでしょう。
また最終的には勝利条件エリアのうち最低4エリアを確保することで勝利となりますので、最初からエリアを守り切るように部隊配置を考慮していく必要があるでしょう。ベトナム軍と同様、フランス軍も先を見通した行動が必要となる訳です。

 

両軍ともゲーム全体を見渡した行動が必要となるのですが、凝り固まった定石がある訳でもなく、ある程度漫然とプレイしても楽しくことができるでしょう。

ルール難易度も高くなく、プレイ時間も半日~1日で最後までいきつくことができます。それでいてスリリングなゲーム展開は非常に魅力的です。まさにゲーム会の対戦にもってこいではないでしょうか。

残念なのは現在、入手が難しいことでしょうか。

(完)

 

 

 

*1:北ベトナム軍が配置されたマップの側面など一部のエリアについてフランス軍が占拠できないエリアが存在します。いわば史実におけるベトナム軍の出撃拠点となった山岳地帯を表したルールでしょうが、ベトナム軍はこの”安全地帯”の存在により後の憂いなく前進できます。

「SS装甲師団長」(Game Journal)を対戦する(2)

「SS装甲師団長」(Game Journal誌75号)を対戦しました。

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yuishika.hatenablog.com

 

 

第0ターン

参加兵力が決まったところで両軍の総兵力は、連合軍が67ユニット、ドイツ軍が49個でした。*1
初期配置は独特のルールで行われます。
第1ターン開始前に、先に連合軍、続いてドイツ軍がそれぞれの登場するマップ端から進入し、移動力いっぱいまで使うことができ、移動した場所が第1ターンの開始位置になるのです。

 

ドイツ軍は、司令部ユニットが師団司令部の他、3つの戦闘団(カンペグルッペ)司令部と、合計4ユニットが配属になったため、全軍を4つに分割しました。
マップ上の市街地は3箇所ありますので、北と南の市街地に1グループずつ。中央の大きな市街地攻略用に1グループ、さらに機動防御&予備として1グループです。

北と南のグループには、88ミリ高射砲、重迫撃砲中隊に幾分かの自動車化歩兵、さらに装甲戦力としてパンターを1個、Ⅳ号戦車。中央のグループは激戦が予想されるため装甲戦力を多めに配置します。機動防御&予備は打撃部隊として、重戦車を集中配備、さらにヴェスペとロケット砲の支援砲撃部隊を配置しました。

 

対するアメリカ軍は大きく3つの梯団に分かれ、1個梯団が北側、2個梯団が中央から南部に侵入してきます。

この時点で中央の市街地にはアメリカ軍の前衛の偵察部隊ユニット、ドイツ軍も同じく偵察部隊ユニットを進出させます。

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第1ターン開始時の状況(第0ターン終了時)

 

第1~3ターン

連合軍が中央から南部にかけて兵力を集中したのは理由があって、大河を渡河した状態でドイツ軍と戦闘に入ることができるからでした。河川越えの攻撃を避けるため北の市街地経由での侵攻は避けたのです。
ドイツ軍は強力な連合軍の支援砲撃の観測拠点になることを恐れ、付近の高地を偵察部隊によって押さえます。ただ偵察部隊は弱体であるため、単に突出しただけですぐに駆逐された箇所が少なくありませんでした。闇雲に占領するのではなく、慎重を期すべきところでした。

 

北部の状況

連合軍はドイツ軍の支援砲撃を恐れ高地を遠巻きにします(高地から5ヘックス以内が観測範囲になる)。

中央部の状況

中央部市街地ではまず両軍の偵察部隊が戦端を開き、その後、ドイツ軍の中央部隊ややや遅れて打撃部隊(重戦車のため移動力が小さい)が進出、市街地の大半と、市街地南部にある高地を占拠します。
連合軍は中央梯団を使い、中央の市街地南部から進出してきます。

南部の状況

ドイツ軍は南部の市街地から中央部の市街地へと続く、森の西側を通る街道沿いに一部の部隊を北上させようとしますが、連合軍の中央梯団と南梯団の圧力の中で孤立することを恐れ、進出をあきらめます。
このエリアは(下記、マップのクリーム色のエリア付近)防御地形もなく、非常に守りづらいことはわかっていましたので、後から振り返るともっと本腰をいれて防御を考慮すべきでした。

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第1~3ターン概況。本文中に書いた通り、ドイツ軍のクリーム色エリアがウィークポイントでした。

 

前哨戦は、アメリカ軍の前面に位置したいくつかの高地拠点、さらに中央の市街地で発生します。

連合軍は榴弾砲(M7プリースト)より支援砲撃を開始、また航空支援のダイスにyほり、ヤーボも出撃してきます。

 

第4~5ターン

ゲームシステム上、火力ー防御力が一定以上あれば撃破(ユニット除去)の可能性が高くなりますが、平凡な数値の場合は相手を後退させる結果にしかなりません。ユニットを除去する最も有効な手段は、平凡な話なのですが、ZoCで囲んで退却を不可能にして除去するというアレでした。

我がドイツ軍はこの”囲んでボンが有効”という真理にたどりつくまでに数ターンを要してしまいます。

ここは作戦級か!という状況の中、ドイツ軍の重戦車軍団だけは、連合軍のユニットの性能を圧倒しているため、退却ではなく、一発撃破(ユニット除去)を狙えるのです。
ユニットの戦闘力-防御力-移動力という性能値について、連合軍の主力は、シャーマン(3-3-5)、ファイアフライ (4-3-5)、M-10 (4-2-6)なのに対し、ドイツ軍はⅣ号戦車(5-5-5)、Ⅲ号突撃砲(5-4-5)、パンター(6-6-6)。数は少ないと言えども中央戦線に集中投入されていたティーゲルⅠ(7-7-4)、ティーゲルⅡ(8-8-4)と圧倒的です。
平野で撃ち合うとドイツ軍戦車は負ける気がしませんし、シャーマンクラス相手では一発撃破が頻繁にでます。
対する連合軍は、支援砲撃やヤーボで混乱させ、囲んでポン作戦を行っていきます。

f:id:yuishika:20210725173504j:plain中央部の状況です。南部から連合軍の中央梯団の機甲部隊が多く進出し、市街地南部にあるドイツ軍が占拠している高地(六角形に+1の印字があるマーカーがある場所)を奉包囲します。地道に囲んでポン作戦を継続的に実施され、後退不可により部隊は除去されます。
市街地南部の平野ではドイツ軍重戦車部隊が火を吹き、連合軍の機甲部隊に打撃を与え続けていますが、きちんと包囲できている訳ではないので、一発で除去できた場合を除けばなかなか損害に至っていないです。
市街地内でも戦闘が続いていますが、市街戦はあまり効率的な戦い方できないため、膠着状態になっています(最後はドイツ軍の装甲部隊が押し切った)。装甲部隊を市街戦に投入するのはあまり得策とは言えないでしょう。

 

第6ターン

南部の状況

連合軍の南梯団が前進し、ドイツ軍のグループCが守る南の市街地ヘックスに総攻撃をかけてきますが、市街地に陣取ったドイツ軍戦闘団Dにより手ひどい反撃を喰らいます。88ミリ高射砲部隊の他、複数の装甲部隊や重迫撃砲中隊などが配置されていたのです。
本ゲームには隠匿配置や相手プレイヤーのスタックの中身を見ることができないといった秘匿ルールはないため、攻撃前に内容を”偵察”しておくべきだったかもしれません。

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中央部の状況

市街地南部を中心に機甲部隊同士の戦闘が続きます。ドイツ軍もなけなしの支援砲撃用弾薬を全量突っ込み、進出するアメリカ軍の対戦車自走砲部隊(M-36など)を退けます。
M-36ジャクソンはオープントップ型の全周砲塔を持つ自走砲で90ミリ砲を搭載しているため、砲威力においては今回のゲームでは連合軍最強の車輌だったのですが、支援砲撃により再三後退させられ、最後はティーガーにより仕留められていました。
対平地での射撃戦においてドイツ軍戦車は圧倒的です。連合軍の機甲部隊を次々と屠っていきます。
対する連合軍も、支援砲撃を断続的に実施、また対戦車砲部隊を前線まで前進させての砲撃と、いやらしい攻撃を続けます。
ドイツ軍は大河の対岸側から遠距離で支援砲撃を行ってくる連合軍自走砲部隊に歯がゆい思いをしています。対岸で彼らを急襲できる部隊がいれば・・。

市街戦の中で連合軍は火炎放射器搭載M4クロコダイル(3-2-5)という珍しい車輌を装備した部隊を投入しますが、あっさりドイツ軍の装甲部隊に撃破されていました(火炎放射器は地形効果を無視できるという特殊能力を持っている)。

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北部の状況

大河西岸にある高地に構築された陣地(六角形印に+2の数値表記があるマーカーの場所)に籠もったドイツ軍歩兵2個中隊がしぶとく戦闘を続けます。
連合軍にとってこの北部戦線は助攻にすぎませんので無理攻めはしません。ドイツ軍もこうした連合軍の意図を読み取って、北部の守備部隊の一部はもっと早い段階で他戦線に振り向けるべきでした。

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第7~8ターン

南部の状況

北部戦線は助攻という控えめな攻め、中央戦線は市街地を周辺と市街地で一進一退の状況が継続している中、連合軍は南部戦線で突破を図ってきます。市街地正面からの攻撃に失敗したため、巧妙に市街地のワキを抜けた進攻路をとったのです。

第8ターンに至り、一定数のユニットがマップ東端より脱出したことにより連合軍が勝利条件を満たし、ゲーム終了です。

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南方で連合軍がドイツ軍拠点のワキをすり抜けるように後方(マップ右側)に進出しているのがわかります。ドイツ軍はここに来て、南方に部隊を振り向けますが、タイミングは遅すぎました。拠点防御に固執しすぎたのです。

  

感想戦

一言で言うと、「箱庭的」アプローチのゲームだと思いました。

スケールとしては、「PANZER BLITZS」/「PANZER LEADER」(アバロンヒル)や、「装甲擲弾兵」(エポック/国際通信社)のいわゆる戦術級ゲームよりひとまわり大きなスケールで描かれた作品です。
1ヘックスが750~1500メートルとされたことにより、通常のユニット同士の戦闘は隣接ヘックス同士で行われます。「PANZER BLITZS」/「PANZER LEADER」や「装甲擲弾兵」のように各ユニットが射程を持っていて、複数ヘックス離れた位置から射撃をしあうような場面は、本ゲームにはありません。*2
このためゲームシステムとしては作戦級に寄せていて、各ユニットはZoC(支配地域)を持っていて、攻撃によって敵を撃破(除去)するよりも、ZoCで囲んだ目標ユニットを、防御側撤退(DR)の結果から後退不可につき除去という、多くの作戦級ゲームで見られるような、いわゆる「挟んでポン!」が有効なのです。

作戦級をベースにしながらも、このゲームに登場する部隊ユニットは歩兵を除き、車輌名や兵器名が記載されていて、プレイ前に所属する部隊数をダイスの目によって決める・・という。このあたりのコレクター的興味・関心を興させる点も”箱庭的”という印象です。

色々御託を並べていますが楽しめなかった訳では全くなく、大いに楽しめました。前の記事に書いたようにダイスにより組成される自軍部隊、1ユニット=中隊規模ということから来る身の丈感や、戦術の教科書に出てくるような作戦を実践できるゲームシステム。また、相手の作戦意図をうかがいつつ、こちらの作戦目的の達成のために動いていく。不均等な兵力を、諸兵科連合の原則の中で組み合わせつつ、機動を行っていく・・。

プレイ中、このゲームは買いだ、とずっと考えていました。まぁ、もう2、3回くらいプレイしてそれでも気が変わらなければ買ってしまうだろうな。

 

(完)

 

 

 

*1:一部の勝利条件では全ユニット数のうちどれだけの割合のユニットを撃破、または脱出といった数が条件になるものがあるため、相互にユニット数は通知されます。

*2:一部の砲兵器(対戦車砲など)、また支援砲撃を行うことができる砲兵器や自走砲は射程を持っています。