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「Golan '73」(GMT)を対戦する(2/2)

GMT GamesのFast Action Battle シリーズから第四次中東戦争ゴラン高原における戦いを扱った「Golan '73」を対戦しました。

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yuishika.hatenablog.com

 

 

第1戦(シリア軍担当)

初期配置

ダイスによりMさんがイスラエル軍、当方がシリア軍を担当しました。
ヒストリカルシナリオではシリア軍の配置は決まっています。
一方のイスラエル軍は停戦ライン上に配置される警備部隊(Strong Point)11駒についてダミー3駒を含め、部隊ユニットが機甲/歩兵、兵力(ステップ数)、また兵員の質(一部エリート兵)を混ぜて配置します。
特にダミーユニットは、シリア軍に攻撃を起こさせ「リソース」の使用を吸引させることができれば大成功です。

第1ターン(シリア軍ターン)

第1ターンのシリア軍プレイヤーターンは移動が終わった状態、前線のエリアでイスラエル軍の警備部隊と接敵した状態で開始します。接敵状態のエリアでは戦闘が起きます。シリア軍は豊富な「リソース」をふんだんに投入し、次々とイスラエル軍の警備部隊ユニットを除去していきます。得点エリア6ヶ所のうち2ヶ所を占拠し順調です。

第1ターン(イスラエル軍ターン)

シリア軍工兵が停戦ライン上にイスラエル軍が設けていた戦車壕に次々と架橋していきます。これによりシリア軍占領地域からイスラエル占領地への補給線がつながるようになり、シリア軍は奥のエリアへの侵攻が可能となります。

イスラエル軍は前線に配置されている2個の機甲旅団の各部隊の位置を調整するだけで反撃は行いません。

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写真の右手が北になります。
番号をつけたエリアが得点エリア。シリア軍がサドンデス勝利をおさめるには7得点以上が必要。

 

第2ターン(シリア軍)

史実において開戦が14時だったということを受けてか、第2ターンは同じ10月6日の夜間ターンになります。夜間ターンではシリア軍は移動範囲を制約を受け、また両軍とも攻撃においてマイナス修正をうけることになります。

ふんだんな「リソース」にあかせてシリア軍は攻勢を続行します。
得点エリアであるヘルモン山の占拠に必要となる麓のエリアを攻撃しようとしたところ、イスラエル軍がイベントチットを引き、そのエリアにいたシリア軍のモロッコ兵部隊の戦意を喪失させます*1。やむなくシリア軍は別のエリアにいた歩兵連隊をヘルモン山麓のエリアまで移動させ、攻撃続行、これによりヘルモン山へと続くルートが占拠でき、次のターンには攻撃できるようになります。

「涙の谷」(Tel Abu-Nida:~の丘という意)エリアの西方にあるエリア「Kuneitra:クネイトラ」は地形効果が高い上に、エリート戦車部隊が守備していたため1ターンでは落とせません。戦闘は翌日に続きます。

ja.wikipedia.org

クネイトラはいわくつきのエリアのようですが、ゲーム内においては、特に得点エリアなどに指定されているわけではないです。ゴラン高原を扱った別のゲームによっては町が描かれている場合もあります。

 

目覚ましい戦果をあげたのはナファク南西部。
守備のイスラエル軍機甲旅団の一部の部隊を後退させ、シリア軍が得点エリアであるナファクに続く街道に進出します。ナファクとの間にさえぎるイスラエル軍部隊はありません。

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第2ターン(イスラエル

ナファクの危機に本国で動員された機甲旅団が不完全状態のまま戦場に投入され、シリア軍先鋒とナファクとの間に割って入ります。イスラエル軍部隊の逐次投入が始まったのです。

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写真では見切れていますが、上方にヨルダン川が南北に流れており、それを超えるとイスラエル本国になります。動員された部隊はすぐに前線に投入されます。

 

第3~4ターン

ナファク南方で、シリア軍は損耗を受けた部隊を下げ、フル装備の部隊によりイスラエル軍増援に攻撃を掛けますが失敗します。
クネイトラの占領、またヘルモン山、南方の得点エリアの確保などを行いますが、シリア軍の攻勢の勢いはここまででした。

イスラエル軍は毎ターン到着する増援により防御を固めます。
シリア軍にとっての好機は二度と訪れなかったのです。

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第5ターン~

イスラエル軍は増援部隊により得点エリアであるナファクや涙の谷を固めてしまいます。シリア軍はこの中央戦線で攻撃を再興しようにも、中央線戦の部隊はなにかしらのステップロスを受けている中、スタック制限(1エリアあたり2ユニット)下では、イスラエル軍を上回る火力を集めることができないことは明白でした。

最後のチャンスと、南方の得点エリア(写真からは見切れている)を目指し、南方での突破を図りますが、ここでもイスラエル軍の増援にはばまれ、1ターン内での奪取が難しいと判明した時点で、次ターンにはサドンデス条件に引っかかることが必至となり、シリア軍は投了します。

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投了時点の両軍の状況。
シリア軍は南方で得点エリアを目指し攻撃を見せますが、1ターン内でエリアの確保は難しいと判断され投了します。
イスラエル軍前線も一部弱小の部隊で支えられている部分がありましたが、ブロック駒なので相手戦力はわからないんですよねぇ・・。
中央部分に突出しているイスラエル軍部隊(円で囲っている部分)は、完全戦力(火力4)でエリートでかつ機甲部隊という強力な部隊、こんなのとは戦えない・・。
中央部のシリア軍主力はいずれもなにかしらの損害を被っており、衝力を失っています。シリア軍は補充兵力が少ないため、失ったステップを回復するには工夫が必要。いずれにせよ戦線は膠着状態に陥っていました。

 

第2戦(イスラエル軍担当)

時間が余ったので2回戦を行いました(1回戦の所要時間は4時間程度でした)。
攻守の担当を変え、今度はイスラエルを担当。

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初期配置の様子をイスラエル軍側から見た図。
イスラエル軍はこの時点、たくさんユニットが並んでいるように見えますが、いずれも弱小のステップ1~2のユニットばかりです。
ちなみにマップ手前に左右に流れている川がヨルダン川。シリア軍が作戦計画の際に作戦開始2日目夕刻には到達したいとしていたエリアになります。ゲームでもシリア軍がここを占拠すると3点と大量得点が可能となるエリアになります。
ブノット・ヤコブ」という名称は往年のTACTICS誌4号に付属したミニゲームのタイトルとなった橋になります。こんなところにあったんだ!と数十年ぶりの発見です。

 

第2戦についてはあまり写真を残していないため簡単に・・。
緒戦は、当方がシリア軍を担当した時よりも計画的に、ダミーはダミーと推測しながら、イスラエル軍の警備部隊を排除。戦車壕への架橋や地雷原除去も計画的に進行させ、順調に得点エリアを確保します。
その後、第1戦と同じように、第2ターンから第3ターンにかけてやはり、ナファクの南方でイスラエル軍の戦線に穴ができ、シリア軍につけこまれそうになりますが、増援の投入により穴は塞がれます。

その後、南方で大きくシリア軍は前進しますが、こちらもイスラエル軍の機甲旅団の増援により叩かれ、シリア軍戦線は後退します。イスラエル軍の集中攻撃により南部戦線のシリア軍は停戦ラインの西側からほぼ追い出された状態で1戦目と同じく最低得点を満たせずサドンデスで終了しました(所要時間3時間)。

 

感想戦

シリア軍は止まったら負け?

相互に1戦ずつ担当したところで、シリア軍は厳しいのではないの、という点でMさんと意見が一致しました。
今回、1戦目、2戦目ともシリア軍の戦況は同じ様な展開をたどっています。
3ターン目あたりで一瞬、突破のチャンスを掴みかけるのですがいずれもイスラエル軍の増援部隊に穴を塞がれたり、その後、突出した部隊がイスラエル軍の反撃を受け、押し返されたりしています。その後、得点エリア4ヶ所は確保するもののそれ以上の確保ができず、除去ユニットの得失点差により最低得点を確保できずにサドンデス負けを喫するのです。

また1戦目で痛感したのは、補充能力が劣るシリア軍は前線主力のステップロス損害を十分に回復できないため、火力が減少した状態に陥り、しかも1エリア2ユニットというスタック制限のため、火力の上限を伸ばせない状態で、完全戦力状態かつフルスタック状況のイスラエル軍精鋭とあたらなければならなくなるのです。ランチェスターの法則よろしく、完全戦力状態と火力減少状態との部隊との射撃戦の結果は自明で、突破やエリアの占拠など期待できないことになります。

しかもシリア軍は最低得点を確保できなければサドンデスで終了してしまうという縛りも負っています。得点エリア5ヶ所目になる、「ナファク」や「涙の谷」を占拠するためにはどうするのか?

少なくともシリア軍は常に戦場の主導権を握り、イスラエル軍を右往左往させるくらいに攻撃手を繰り出し続けなければならないのでしょう。しかもそのチャンスは2ターン目か3ターン目まで。イスラエル軍の増援の到着が本格化する前に決めなければなりません。
戦線の膠着はイスラエル軍に有利に働き、シリア軍は得することないです(なぜならば後になればなるほどイスラエルの増援が到着するし、「リソース」の利用可能量も増大する)。
今回あまり発生しなかった突破移動・突破戦闘を行うため、予備ユニットの指定や、スペシャルアビリティ(チットによって得られる特殊能力のひとつ)を駆使していく必要があるのではないかと想像はするのですが、それがシリア軍の勝利に直結するかはよくわかりません。少なくともルールの習熟は必要でしょう。

 

初期の攻勢をしのげば楽になるイスラエル軍

ゲーム当初こそ部隊数の少なさから若干苦労するのですが、増援が到着しはじめる3ターン目以降、ターン数を重ねるごとにイスラエル軍は楽になっていきます。部隊ユニット自体の増援もさることながら、ステップロスした部隊の補充戦力も来るため、戦線の強化が容易なのです。

毎ターンのように精鋭機甲旅団が到着するようになった時の全能感は快感ですぜ。

 

プレイ前はもっと豪快な戦線の移動などが発生するのかと思っていましたが、そういうゲームではなかったです。
ここまで書いたとおりゲームバランスは決して良いとは言えない印象を受けましたが、ブロック駒ゲーム特有の感触や、適度な数のユニット数、初級者向けを装いその実、考えさせる場面が少なくないというゲームデザインなど、やりこみ要素はあるように感じました。
また機会があれば試してみたいゲームです。

 

 

余談:史実におけるシリア軍の敗因について・・

シリア軍は圧倒的な兵力差に奇襲というタイミングにより戦闘を始めたにも関わらず、空前の負け戦を演じてしまいます。このゲームが描いているゴラン高原の戦いの前半だけでも、開戦時の装備戦車の台数、1220輌対177輌だったのが、そのほとんどの戦車を失うハメになってしまっています。
ただなぜそれほどの損害が出たのか、なぜシリア軍は負けたのかという分析自体があまり見かけないように思います。

装備戦車もT55とT62に対する、パットンとセンチュリオンです。T55はともなくT62は最新の滑空砲を装備するなど決して劣っているとは思えません。また一部の資料には記載があったのですが、当時のイスラエル戦車は数台に1台程度サーチライトを装備しているだけで夜戦装備においてシリア戦車に劣っていたという記述もあることなど決して、装備兵器が劣っていた訳ではないようなのですよね。
乗員の練度や士気の差も原因のひとつでしょうが、それだけでしょうか?

ちょっとこのあたりの書籍でも読むかな。 

 

ゴラン高原を扱ったゲームについて(TACTICSの付録を中心に)

ゴラン高原の戦いは往年の雑誌「TACTICS」でも付録ゲームとして2回取り上げられています。
1回目は隔月刊誌時代の第4号に付属したミニゲーム「ブノット・ヤコブ橋」。
マップの範囲としてはゴラン高原の全体をカバーしています。
2回目はSPI社が発売していたモダンバトルシリーズの作品「Golan」を付録化したものになります。

いずれもちはや会でリプレイ記事がありましたのでリンクをつけておきます。

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chiharakai2005.at.webry.info

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chiharakai2005.at.webry.info

 

 

ゴラン高原の風/テル・アヴィヴは雨だった
 
地図で見るイスラエルハンドブック

地図で見るイスラエルハンドブック

 

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*1:史実でも、モロッコ兵部隊は早々と戦意喪失し、シリア軍の足をひっぱっている

「Golan '73」(GMT)を対戦する(1/2)

GMT GamesのFast Action Battle シリーズから「Golan '73」を対戦した。コマンドマガジン135号で本ゲームの紹介記事を書かれているMさんにお相手いただいた。

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Fast Action Battleシリーズとは

同シリーズは「The Bulge」、「Sicily」と発売され、本作は3作目となる。現在4作目にあたる「Crusader」がGMT Games社のHP上でP500の中の1作として予告・プレオーダーを受け付けている(なかなか発売されていないという話もあるようだが・・)。

1ユニットが連隊から師団単位になっており、木製のブロック駒を使う。マップはエリア方式。1ターンは1日から数日(Golan'73では1日*1)。ブロックの数は多くはなく、本ゲームでは両軍あわせて60駒少々となる(ゲーム内ではブロック駒以外にも、砲兵、工兵などの支援部隊を表す紙製ユニットの部隊駒が別途登場する。後述)。
難易度は初級、プレイ時間は4~5時間とされている。

www.gmtgames.com

 

Golan '73について

第4次中東戦争における激戦地のひとつゴラン高原におけるシリア軍とイスラエル軍の戦いを扱う。

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マップはエリア方式。精緻に描かれた地図と落ち着いたカラーリングの美しいマップ。
地形の違いは、エリア番号を表す数字を囲む形によって表されている(丸、四角、六角形、三角と順に地形効果が高くなる)。直感的にはわかりづらい・・。
ブロック駒は緑色がシリア軍、青色がイスラエル軍を表す。せっかくのマップデザインなので、カラーリングが原色系なのが少々そぐわない気がしないでもない。

戦闘は両軍が同一エリア内に位置した際に発生するが、ゲームは10月6日、シリア軍が停戦協定ラインを超えてイスラエル軍監視エリアに侵入したところ(侵攻による最初の移動を終了させた時点)から始まり、第1ターンについては移動フェイズをスキップして戦闘フェイズから開始することになる。

 

ゲームの手順はオーソドックスなターン制。

移動フェイズに予備ユニットとして指定されたユニットは、相手プレイヤーターン途中に挟まれるリアクションフェイズでの移動や戦闘、または自分のプレイヤーターンの後半に置かれた突破移動・戦闘が可能となるため、戦線の突破にはその活用は必須。

また「リソース」と呼ばれる紙ユニットで表される部隊の存在もユニーク。ブロック駒による部隊とは別に、準備砲撃を行う砲兵部隊、航空支援を行う航空部隊、また戦車壕への架橋や地雷原除去などで必須となる工兵部隊、攻撃力の増強や損害の吸収に使える独立系の歩兵部隊や機甲部隊といった補助部隊を表している。

「リソース」は各ターンに両軍決められた数をランダムに引き、そのターン中に種類に応じたタイミングで使うことができるようになる。使用された「リソース」はランダムプールに戻される(使わなければ手元に残したまま次ターンに持ち越すことも可能)。

各ターンに得られる支援砲撃や航空支援の攻撃力をダイスを振らせてランダムに決めるゲームがあるが、それをチット化したと言うことができるかもしれない。

さらにこの「リソース」には、イベントチップや、プレイヤーに+αの恩恵をもたらす特殊能力のチットも混じっているため、毎ターンの「リソース」の”引き”はゲームに影響を与える。

 

戦闘はファイアパワー方式。火力分の個数のダイスを振り成功値以下の数値が出ると相手に損害(ステップロス)を与える。成功値は部隊の質(ベテラン/一般/新兵)の差、陣地や地形効果、航空支援効果、装甲効果等により補正される。

戦闘は両軍のユニットが同じエリアに存在した際に発生する(はじめて同じエリアになったタイミングでは必ず戦闘は発生、前のプレイヤーターンより継続している場合は任意)。

両方のプレイヤーは手持ちの「リソース」からその戦闘の支援に使う「リソース」を選ぶ。一度の戦闘に適用できる「リソース」の数は上限があるが、一度戦闘支援を行った「リソース」は使用したことになり、ランダムプールに戻されることから、そのターンの中で各「リソース」をそれぞれの戦闘に割り当てるかが、考えどころであり、またプレイヤー間の駆け引きになる。

思い出して欲しい、このゲームで敵の部隊ユニットはブロック駒のため、戦力を見ることができない(”情報収集”など相手ユニットを見ることができる能力は登場するが、通常は見ることができない)。相手のブロック駒ユニットの戦力を推測しながら自分の戦力を見比べ、「リソース」をどう投入して戦力のテコ入れを行うのか・・。

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GMT Games Golan'73 PlayBook より
自分が保有する「リソース」の状態を整理するために用意されたテーブルと「リソース」の例

 

各ターンで得られる「リソース」の量は各プレイヤー毎に決められている。シリア軍は最初から多くの「リソース」を利用できる他、序盤多くの「リソース」を得られるが、先細りしていく。一方のイスラエル軍は後からその量が増えてくる。

勝利条件は特定エリアの占領、またブロック駒ユニットの除去などによって得られるポイントによる。AARで記述するが、両軍とも途中のサドンデス条件が厳しい。

 

ゴラン高原の戦いについて(第四次中東戦争

世界的には「ヨム・キプール戦争」と呼ばれる第四次中東戦争は、ユダヤ暦で最も神聖な日とされる「ヨム・キプールの日(贖罪の日)」であった1973年10月6日に、エジプト軍とシリア軍がそれぞれイスラエル軍を奇襲したことにより始まった。戦闘はアメリカやソ連の介入の懸念が高まった最中に発効した停戦により同年10月24日に終結するまで続いた。

本ゲームがとりあげているゴラン高原シナイ半島とあわせ激戦地となった地域で、シナイ半島ではエジプト軍、ゴラン高原ではシリア軍がアラブ側の主力となり、イスラエル軍と戦った。

f:id:yuishika:20210221085130p:plaineconomist.comより引用
ゴラン高原がどこにあるかというと上図がわかりやすい。

東西の幅が30キロもないようなので自動車化された部隊であればひとまたぎに見える。高原の北辺にはゲーム内でも要地となっているヘルモン山がある。ちなみにヘルモン山は北イスラエルで唯一のスキー場として観光案内が紹介されている。麓には十字軍時代の廃城の遺跡がある模様。

「hermon mountain」の画像検索結果

シリア軍は前線に3個歩兵師団を置き、各師団は機甲1個旅団が増強されていた。さらに後方には2個機甲師団が控えていた。展開兵力の合計は8万人、戦車1500両、砲1000門だった*2。装備戦車はT55とT62。

作戦計画では北翼の第7師団が停戦ラインを超え侵攻、その後中央から南翼に布陣した第5師団、第9師団が突破、開戦2日目夕刻までにはヨルダン川西岸に達する(=ゴラン高原を横断する)計画であったという。

対するイスラエル軍は停戦ライン上の警備部隊の他、2個機甲旅団が主力であり、兵力3000人、戦車180両、砲60門の規模であった。装備戦車はM60パットン、センチュリオン

A map of the fighting on the Golan Heights (USMA Department of History/Wikimedia)

Wikipedia(English)より

10月6日14時、シリア軍の前衛は空爆と準備砲撃の後、停戦ライン("パープルライン")を超え進撃を開始。同じタイミングでイスラエル軍の観測所があったヘルモン山空挺部隊が降下占領する。*3

シリア軍の攻撃にイスラエル軍は不意を突かれる形となり、数と勢いにおいて圧倒的に劣勢な状況にも関わらず奮戦した。イスラエル軍は動員が完了した部隊から逐次投入を行いシリア軍の攻撃をしのぎ続ける。

シリア軍北翼を担った第7師団は休戦ラインを超えた後、西進しクネイトラ峡谷(=通称「涙の谷」?)でハルダウンしたイスラエル軍戦車の迎撃を受ける。シリア軍は6日から9日にかけ攻撃を続け、イスラエル軍の第7機甲旅団を壊滅寸前まで追い詰めるが、イスラエル軍が増援を得たことでシリア軍側が後退をはじめることとなった。*4

中央・南部の戦線を担ったシリア軍第5・第9歩兵師団の攻撃に対し、防衛側のイスラエル軍第188機甲旅団は戦闘正面が広すぎたこともあり比較的容易に突破され、7日には後方のナファク基地にまでシリア軍が突入する事態となる。ただここでもイスラエル軍は増援を逐次投入していき、最後にはシリア軍を押し返す。

イスラエル軍は8日に南翼で増援として投入された2個師団により本格的に反撃を開始。10日までにシリア軍をゴラン高原から追い出した。
11日、イスラエル軍は北翼よりシリア領への逆侵攻を開始する。 

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初期配置状態。
画面右手が北側になる。2色のユニットが並んでいる間あたりで左右に走っている太めのラインが休戦ラインでありイスラエル軍は戦車壕を設けた。シリア軍は侵攻開始に伴い車両通行を容易にするため、ここに戦車橋を架けていく(ゲーム内でも工兵部隊の重要な役割として戦車壕への架橋がある)。
ヘルモン山イスラエルの観測所があった場所でシリア軍は空挺部隊により占拠する。ナファクと涙の谷はいずれも激戦地で両軍の戦車が多数撃破された場所。*5
ゲームではこの3ヶ所はいずれも得点エリア(赤と黄色の星印が表記)になっているため、シリア軍は必然的にここを目指して侵攻する必要がある。
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ウィキペディアより
2010年に撮影された「涙の谷」の風景。南北2キロ、東西1.2キロの窪地地帯。シリア軍第7師団はこの地域の突破を図ったが、その攻撃はことごとく失敗する。 

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戦車壕と擱座(?)して放棄されたシリア軍戦車。奥に橋桁が外れた戦車橋と横転した車両が見える。

 

(つづく)

 

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

第1次中東戦争からの戦史、装備兵器の紹介、戦術ドクトリン、主要人物伝と盛りだくさんの内容なのでひとつひとつの記事の記述は多くはない。全体感を得るには良い感じ。

 

ヨムキプール戦争全史

ヨムキプール戦争全史

 
中東戦争全史 (学研M文庫)
 

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*1:ただし第1ターン・第2ターンは変則的な構成になっている。後述

*2:このあたりの数値は参照する資料によって異なる。

*3:もともと航空支援を前提としていたイスラエル軍は砲兵部隊が少ない編成であったが、シナイ半島でも猛威を奮ったアラブ側のSAM部隊により航空部隊による近接航空支援を封じられたことに加え、ヘルモン山の観測所を失った事により砲兵隊は効力を減退させてしまう。

*4:この前日にシリア軍の先鋒を担った師団の師団長が戦死したこと、イスラエル軍の少数の増援戦車を実体以上の数の増援と見誤った事などが原因にある模様。

*5:蛇足だが英文ウィキの第四次中東戦争の記事では「涙の谷」という言い方はせず、地名からクネイトラ峡谷という言い方をしている。このあたりの日本人との情緒との違いかな?(なお英文ウィキにも涙の谷の項目は別途ある)

「GUADALAJARA」(MMP)を試す(2/3)ゲームの紹介

スペイン内戦を題材にした作戦級ゲーム、MMP社のStandard Combat シリーズから、「GUADALAJARA」を試してみた。

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国際旅団の兵士写真。ファシズムからスペインを守るという大義名分のもと世界中から義勇兵として参加してきた男たち。国別出身者ごとに大隊が編成されたことから、このゲームの中でも国際旅団のユニットは国別に国旗があしらわれたデザインになっている。
イタリア人義勇兵で構成されたガルバルディ大隊は、グアダラハラの戦いでイタリア遠征軍相手に勝利した際に、ムッソリーニが派遣したイタリア正規軍の兵士たちに共和国軍に加わるように誘ったという。
ちなみに国際旅団に参加した日本人が戦死者1名の他数人はいたと伝わっているが詳細は不明。戦前日本から遠く欧州で義勇兵になるというのは留学・遊学などで現地に渡っている人たちだけではないかなと思うと、非常にレア。
集まった義勇兵の純粋な思いとはうらはらに国際旅団自体の実態はソ連の傀儡組織と言われており、戦争が進むにつれその正体を現し、最後のほうは共和国でもその存在を持て余したという。
NHKの傑作ドキュメンタリー「映像の世紀」の中では、国際旅団に参加した兵士たちはパスポートをとりあげられていたため、部隊の解散後、母国に帰るに帰れなくなったと一節触れられていたが、フランコ政権下のスペインでどうしたのだろう、と思うと暗澹としてしまう。

 

スタンダードコンバットシリーズ(SCS)の紹介

スタンダードコンバットシリーズは、簡単な共通ルールをベースに「経験者から初心者まで、素早く覚えることができ、シンプルにプレイを楽しむことができる」とうたい様々な戦場を扱ってきた連作ゲーム。ウォーゲーム経験者であれば標準的な(クラシカルともいう)ウォーゲームのルールのからアレンジされている部分だけを確認すればすぐにプレイできる。ルールブック冒頭から「ルールをざっと読んだら、何よりユニットを並べて楽しんで欲しい」と書いてある。
デザイナーズノートでも、「夕方にビールとプレッツェルを片手に、じゃあやろうか、的なノリではじめることができる気楽なゲーム」だ、と言っている。

特徴的なルールとしてはZOCの制約が弱い点がある。敵ZOCに入る際に+2移動力を消費するが、その追加移動力を消費できれば敵ZOCから敵ZOCへの移動も可能である。また戦闘結果による後退時の敵ZOCの影響、補給線に与える影響なども通常のゲーム感覚とは異なる。

最もユニークな点は、戦闘力比を計算する際の計算方法だ。通常のゲームのように戦闘比率の計算時の端数処理が防御側に有利になるように切り下げまたは切り上げを行うのではなく、四捨五入を行う。正確にいうと、攻撃側の数字と防御側の数字を比べて小さい方の数字でもう一方の数字を割った後、四捨五入を行うことになる。
この計算方法自体は、同じMMP社からリリースされているOCS(オペレーションコンバットシリーズ)でも採用されている。*1

他にはオーバーラン攻撃、「移動」「戦闘」を行った後にさらに一部のユニットに認められている「突破移動」といったルールもあるが、複雑なものではない。

「GUADALAJARA」の紹介

マドリッドを奪取し、スペイン内戦を速やかに終結させることを最終目的として、イタリア正規軍からなる遠征軍(CTV)がグアダラハラに向けて開始した作戦を描いた。共和国軍の予想外の厳しい抵抗により作戦は失敗に終わり、ナショナリスト派は首都占領を諦め、勝利を宣言するために国全体を占領するという長い道のりを歩まざるを得なくなった。

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実際の地図にゲームの範囲をあてはめると上図のようになる(地図上の青い四角の枠、ただし精緻な範囲ではないので目安)。

ムッソリーニ率いるイタリア遠征軍やフランコ将軍率いるナショナリスト軍はゲームマップの右側(北東方面)より侵攻を開始し、ゲームマップを右から左に走る幹線道路を突破し、グアダラハラ(緑の蛍光ペンで示した町)を目指す。グアダラハラの先には、首都マドリッドがあるという位置関係だ。地図を見てわかる通り、ゲームタイトルになっている戦いの名称となったグアダラハラの町は、ゲームマップ上には登場しない。

マドリッドからグアダラハラの町までの距離は約50キロ。
東京から北東方面に50キロの距離と言えば、茨城県牛久あたりになる。ゲームスタート時のイタリア遠征軍・ナショナリスト軍の前線はグアダラハラから北東に50キロ程度のラインになる。牛久から北東50キロを言えば、水戸あたりだろうか。
例えると、水戸から侵攻してきたイタリア軍ナショナリスト軍に対して、牛久の少し先あたりで共和国軍が迎撃したという戦いといえるかもしれない。 

1ターン=1日
1ヘックス=1キロ
1ユニット=中隊~大隊(主力は大隊規模)

シナリオは4種類
ナショナリスト派の侵攻にはじまり共和国軍の反撃までの11日間を扱うキャンペーンゲームから、戦役の一部だけを扱うショートシナリオあわせて4シナリオが用意されている。

ユニット数は多くはないが、スペイン内戦の複雑な内情を反映して主義主張や出身母体毎に編成された部隊は多彩でそれぞれの出自毎に色分けされているためユニットがカラフル。
ナショナリスト派は、ナショナリスト軍(Spanish Nationalist Army)、ファランヘ党軍(ファランジスト/Falangist)、カルロス主義派軍(カルロス民兵:Carlism)、イタリア遠征軍、イタリア義勇兵

共和国側は、人民共和国軍、共産党軍、無政府主義者軍(イベリア・アナーキスト連盟:CNT・FAI)、国際旅団などなど。

 

「GUADALAJARA」専用ルール

専用ルールがけっこうしっかりと用意されている。基本ルールだけであれば難易度は初級クラスだが、専用ルールを適用すると中級クラスに足がかかるといった印象(OCSが中級の上だとすると、本ゲームは10段階の4とか?)

ルール量も多く、煩雑であったため、専用ルール部分は自家製和訳を作るハメになってしまった(ソロをするぞ!と宣言してから時間を要したのはこれが理由。読む分にはいいが、プレイ中などに後からルールを参照する際に、標準ルールと専用ルールが別個になっているのは、記述箇所を探したり、細かい適用条件や、ダイスの目の修正値などを探すのが面倒だったりする)。

 

専用ルールの中でも目を引くのは、戦車、装甲ユニットに関するルール。
デザインノート言うところの「・・・未発達な戦術や隊形、低い機械的信頼性、貧弱な装甲と武装、経験不足な乗員・・」といった事を背景に、”残念な”ルールが用意されている。
対戦車戦闘に不慣れだったり、有効な対戦車兵器を保有していなかった当時の軍隊を表すため、装甲ユニットが参加する戦闘にダイスの目修正がつく一方で、無限軌道を装備しているクセに不整地走行が苦手で道路上にいない場合は機動力を十分に発揮できなかったり、戦闘に参加後には特別に故障チェックを行う必要があったり(修理は可能)といったルールが並ぶ。装甲車両を有する部隊は通常の歩兵のような戦闘ユニットと異なり、戦闘力/攻撃力を持たず、歩兵ユニット等と(必ず)いっしょに戦闘に参加することでダイス修正を行うことができるという存在として扱われる。単独で戦闘を起こすことはできない。

このゲームに登場する戦車の大部分は、イタリア軍が持ち込んだC.V.33(後にL3と改名)になるが、ゲーム内でも表現されているように、弱武装・弱装甲・前方のみの射界など実戦において問題が多い車体であった。 

「CV33 ガルパン」の画像検索結果

ja.wikipedia.org

 

 

 

他にも追加されるルールとしては、航空支援(直協支援/水平爆撃/交通妨害)、砲撃支援、火炎放射器装備部隊、部隊の再編、突破部隊の指定、トラック輸送、また国別、軍隊別のルールも用意されている。特にイタリア軍は異郷の地への遠征軍ということもあり有数の戦力を誇りながらも様々な制約が課せられている。

 

プレイ

キャンペーンシナリオを選んだ。

勝利条件はポイント制。地図内にかなりの数の村があるのだが、重要度が高い村には点数がついており(1~5ポイント)、占領した村のポイントの合算で比較する。
30ポイントでドロー、46ポイントを超えるとナショナリスト派の勝利だ。
史実に照らせばナショナリスト党は前半進撃し、後半共和国軍の反撃にあうことを考えると、前半戦でどれだけ多くの村を占拠できるかにかかっているということだろう。村の平均ポイントが2~3ポイントだとすると、目安として10を超える村々を占領していく必要があるということだろうか。

初期配置

初期配置位置は一線部隊は、連隊単位でおおよそ決まっており、指定されたヘックスから1~5ヘックス以内に配置というパターンが多い。マップは欧州内ということもあって、かなり多くの道路や鉄道が走っている。

専用ルールにより補給ルートとして道路ヘックスから大きく外れることができないため、進行ルートは道路を中心としたものにならざるを得ない。
戦車は上記のとおり様々制約を設けられており、移動においても不整地走行が苦手という性能にすぎないため(もとより、トラックなどの装輪/自動車化ユニットは不整地走行は苦手)、進行ルートは道路・鉄道に沿ったものにならざるを得ないことになる。

 

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*1:なぜ切り上げ・切り下げではなく四捨五入かという理由もデザイナーズノートに記述があるが、なかなか頷ける理由であった。

「KOREA -Forgotten War-」OCS(MMP)を対戦する (2/2)

朝鮮戦争を扱ったOCSの中の一作「KOREA -Foggoten War-」を対戦しました。取り上げたのは開戦から最初の3ヶ月を扱ったシナリオです。1950年6月25日、北朝鮮軍は全軍で38度線を超え、侵攻を開始します。

OCS Korea second edition box cover

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

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第2ターン/北朝鮮

毎ターン両プレイヤーはダイスを振りイニシアティブを決めます。
今回大きな目を出したのは国連軍でしたが、国連軍は後攻を選びます。

天候は良好。航空機も出撃できます。
ただ開戦時、韓国軍は観測機や練習機しか保有していなかったため、実質航空戦力はありませんでした。一方の北朝鮮軍にはソ連からの譲られたレシプロの戦闘機Yakや、襲撃機Il-2(イリューシン2)があわせて200機ばかりあったといいます。いずれも第二次世界大戦中は東部戦線で名を馳せた名機です。

 

西部戦線/ソウル・仁川方面

北朝鮮軍は南下しソウル前面に押し寄せます。中でも2個戦車大隊はソウル東方で漢江を渡河し、ソウル南方で鉄道を塞ぎ、ソウルに集結していた韓国軍を包囲しかかります。

韓国軍は仁川を補給源として使うことができるため、ソウル-仁川の連絡線を確保できれば*1 後方を遮断されたとしても籠城を決め込むことが可能です。ただ最大の問題は、北朝鮮軍がソウルを包囲したまま主力を南下させた場合に対抗できるだけの部隊が戦線にないのです。
北朝鮮軍による迂回包囲は予想できたことですが、前のターンでの戦力集中が裏目に出ました。

中央戦線/春川・洪川方面

春川を落とした北朝鮮軍は南下し、そのまま洪川を攻撃します。

戦闘ユニットは攻撃を行う際に必要な「SP」を消費するためには、司令部ユニット固有の支給範囲内に位置する必要があります。
裏を返せば司令部ユニットの位置からその司令部ユニットの支給範囲(=指揮範囲)内にあるヘックスが、戦闘ユニットにとって最大到達点になるのです。
司令部ユニットが前線に近ければ近いほど、戦闘ユニットは遠くまで到達することができます(当然、戦闘ユニットは、見合うだけの移動力を持っている必要があります)。

現時点、侵攻側である北朝鮮軍は、司令部ユニットを安全にどこまで進出できるかを測り、さらにその支給範囲内でどこまで戦闘ユニットを進出できるかを測ります。

韓国軍にとって、北朝鮮軍がどこまで来るのかは最大の問題です。

 

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第2ターン/国連軍

中央方面/ソウル・仁川方面

仮にソウル籠城とした場合も正面の北朝鮮軍を押し止めるだけの戦力はなく、戦線を突破されるのは時間の問題であると予想し、国連軍はソウル放棄を決定します。
ちょうど日本の熊本から仁川経由で到着したばかりのアメリカ陸軍第24師団スミス支隊(大隊規模)と韓国軍の1個連隊を殿としてソウル市街ヘックスに残し、主力はソウル南方に進出していた北朝鮮軍戦車のうち1ユニットに攻撃を集中させます。ソウルに補給物資(SP)を残しても北朝鮮に鹵獲されるだけですので、全力で攻撃します。

砲兵部隊の猛烈な砲撃の後、ここまで防御一辺倒だった韓国軍がはじめて攻勢を行います。北朝鮮の戦車大隊1個を除去し、ソウル包囲網の一端をこじ開けたのでした。

スミス支隊(Task Force Smith)は北朝鮮軍の侵攻後はじめて半島に派遣されたアメリカ軍部隊。九州に駐屯していた第24師団の所属。兵力は2個中隊規模で空輸の関係で無反動砲や迫撃砲などの大隊所属砲兵器の携行は半分に減らされた(このあたり、アメリカ軍のガダルカナル島への上陸に即応して派遣された一木支隊にも事情が通じる印象)。

7月5日、水原南方の烏山にて北朝鮮軍の先鋒と不期遭遇戦となった。T-34/85に対し無反動砲もバズーカー砲もあまり有効ではなく突破され、歩兵部隊に迂回包囲されそうになったことから、兵員の1/3近くを失いつつ後退した。

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中央戦線/洪川方面

両翼から迂回してきた北朝鮮軍を避けるように後退しつつ反撃。初期の戦力をほぼ維持したままで後退できているので良しとしましょう。

第3ターン/国連軍

このターン、イニシアティブは国連軍がとりました。イニシアティブをとったプレイヤーは先攻/後攻を選ぶことができるのですが、今ターンは先攻をとります。
ここは選択の余地はなく、前のターンでこじ開けたソウル包囲網から可能な限り多くのユニットを包囲網の外へ逃がすのです。

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第3ターン/北朝鮮

ソウル陥落。
スミス支隊も最後までソウル市街にて抵抗したが壊滅(除去)されます。周辺に残っていた韓国軍の残余ユニットもあらかた掃討され、北朝鮮軍の本隊は漢江を超え、南侵の道をとります。

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第4ターン

先攻は国連軍。
国連軍にとっては、北朝鮮軍がソウルと漢江を超えた後、地形としては防御に適した地形は少なく、どこに拠って守るべきなのか迷います。北朝鮮軍に補給物資を消費させるため攻撃をさせては少しずつ後退するのが理想だと思われますので、そのような防御地点を複数箇所、想定しおくべきなのでしょう。

このターン前後あたりからアメリカ軍の増援が本格的に配備されるようになります。ところがこの増援も日本から輸送してくるには、「SP」を輸送するために使っているインフラを使う必要があります。つまり、増援を運べばその分、「SP」の輸送が減るのです。またこのターンから輸送機が配備され、海上輸送に加え、空輸による輸送が本格化します。空軍も登場します。

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この頃になると北朝鮮軍は初期のターンでやったような補給ポイント使い放題というような正面攻撃ではなく、例えば戦車大隊の機動性を生かした迂回による連絡線の切断と包囲といった動きを多くとるようになってきました。
こうなると部隊数や機動力に劣る国連軍、こと現在の主力である韓国軍は弱いです。ユニットの配置、位置取りが重要になってきますが、ZOCで敵ユニットの移動を留めることができない点が問題になってきます。

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今回は時間切れにより第4ターン終了にてエンドとなりました。
マップを見返すと、韓国軍とアメリカ軍増援(まだ1~2個連隊程度)が天安に集結しつつありますが、一方で北朝鮮軍の先鋒は天安の東方、忠州との間の連絡線を遮断する地点まで進出し、一挙に勝利条件都市の大田を伺いそうな勢いです。

以前にプレイした「KOREAN WAR」(エポック/サンセットゲームズ)のプレイ感覚と比較すると、ソウルが落ちたとはいえ国連軍側は戦力を温存したまま、撤退できた印象です。北朝鮮軍は歩兵部隊の損害は少ないものの、先のソウル包囲突破において4個しかない虎の子(再編できない)戦車大隊の1個を失っています。北朝鮮軍がこの後も多用するであろう迂回包囲作戦を遂行していくためには、移動力に優れた戦車大隊の損失は大きいと言えるかもしれません。
また北朝鮮軍にとってのボトルネックは「SP」になるかもしれません。ここまでのような消費はできなくなる可能性が高いのです。今後は攻勢作戦を発起する前に休止状態が必要なことになるのかもしれません。

 

感想

非常に面白いゲームでした。
両プレイヤーともOCS初ゲームだったのですが、指導監修のYさんのおかげで大外れすることなく進行させることができました。

今回は4ターンとほんの少しかじっただけですが、ゲームシステムとしても、またそれを用いた戦場としても研究しがいのあるゲームと感じました。

 

戦闘正面は広くなく、ユニット数も多くない戦場のため作戦がたてやすく、それでいて劇的な展開を見せるという点で、朝鮮戦争はよい題材だと思います。

いかにして北朝鮮は2ターンでソウルを落とすのか?(落とせるのか?)
その後の侵攻計画。史実を同じ様に釜山占拠を目指すべきなのか?
(今回のシナリオの北朝鮮軍の勝利条件では、ソウルと大田を占領した段階で持久にはいるという手は有効か??)

一方の韓国軍は、少ない兵力でいかに守るのか?
理想的な遅滞行動をどうとっていくのか・・。
史実では釜山円陣まで追い込まれた国連軍は、仁川に逆上陸を敢行することで大逆転を図るわけですが、戦況次第とはいえ、作戦選択をフリーハンドで与えられた場合、どのような防衛計画・反抗計画を立て得るのか・・。挑戦しがいのあるテーマだと思います。

またOCSの補給ルール、戦闘ルールの習熟は必須でしょう。
再戦したいゲームとなりました。

 

 

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*1:OCSにおける、ZOCと補給線のルールとして、味方ユニットが存在するヘックスは補給線の確認において、敵ZOCの効果を打ち消すことができます。韓国軍はソウル-仁川の間に1本のラインを作れれば、北朝鮮軍ユニットのZOCにはいっていても補給線は通じていると判定されることになります。