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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦する(1)

インドシナ戦争におけるディエンビエンフーの戦いを、エリアインパルスシステムで描いた「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦しました。

Storm Over Dien Bien Phu Box Front

 

 

ゲームの紹介

ゲームのスケール

ゲームはディエンビエンフーの戦いが本格的に始まった3月13日にはじまり、陥落した5月7日までの全56日を1ターン=1週間、計8ターンで扱っています。

1ユニットは中隊単位。

マップはフランス軍が籠もったディエンビエンフーの飛行場を中心とした地域が範囲とされており、中央部にフランス軍が補給源とした飛行場、その飛行場北方に設けられたアンヌマリー陣地、ガブリエル陣地(史実では両陣地とも緒戦で陥落している)から、最終的に仏軍が籠もった南方のドミニクやエリアナ、クラウディーヌといった陣地までが範囲となっています。周囲を取り囲むように北ベトナム軍の出撃陣地となったエリアが配置されています。

マップの描き込みがすごくて、航空写真のように実際の壕の様子が伺えるような美麗なものになっています。

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マップの一部拡大図。干割れのように書き込まれているのがフランス軍陣地。ひとつひとつに女性名がつけられていました(白文字)。
マップは描き込みの詳細度に加え、スケール感も想像できそう。

 

ゲームシステムは簡易エリアインパルス?

エリアインパルスシステムですが、簡易エリアインパルスと表現していることもあるようです。
エリアインパルスシステムでは両プレイヤーが相互にエリア毎に活性化(アクティベーション)を実施して、エリア内のユニットを移動や射撃といったアクションを行います。

ひとつのターンの中にインパルスが何回実行できるかについては、通常のエリアインパルスシステムのゲームでは、インパルス内で振られるダイスにより続行か終了かが決まるものが少なくありません。ダイスの結果によって突然、ターンが終了させられますので(インパルスの回数がかさむほど、ターンが終了する確率が高くなる)、プレイヤーは攻撃を起こすタイミングなど突然訪れるターンの終了をにらみながら、ゲームをすすめるという緊張感のある進行が必要となります。

本ゲームの場合、このひとつのターンの中で何回インパルスを実行するかという制限については基本的には”両軍がパスを宣言した”場合に終了となります。
ダイスの目の結果ではなく、お互いがパスするまでということなので、そのターンの中で実施したいことはひと通り実施できることになります(この点について緩いといえるかもしれません)。

カード

f:id:yuishika:20210724001109p:plain ゲームの特徴をもうひとつあげるとすると、カードを用いることです。
カードは両軍それぞれ専用の内容になっており、多くはアクションの途中に用い、基本的に戦闘等を支援するためのイベントが記載されています。

両軍は毎ターン決められた枚数(ターンによって異なる。北ベトナム軍が概して多く、さらにフランス軍は後半になると枚数が減じられていく)までカードをドローします。

北ベトナム軍のカードはカードに記載されたイベントを実施する他、後述する「塹壕」を構築するために用いることもできます。

カードの内容としては、支援砲撃、航空支援(フランス軍のみ)、増援の登場、ダイスの振り直し、タイ人部隊の解散(ベトナム軍のみ)等戦闘に関係するものが少なくなく、カードを用いることで戦闘の行方を左右することがあり、盛り上がります。

戦闘

f:id:yuishika:20210724001928p:plain 通常の攻撃は射撃になります。北ベトナム軍だけは「強襲」という白兵突撃が可能です。
射撃と「強襲」の解決方法は同じで、戦闘結果表を用いないこともありスムーズに進みます。若干ダイス(2D6)に依存する事が大きいため、ダイス振りも白熱しますね。

「強襲」は射撃の一種ではありますが、参加した全攻撃ユニットのうち1ユニットを除去しなければならないというペナルティと引き換えに、北ベトナム軍にとってはなくてはならない攻撃手法となっています。
「強襲」では防御側の地形効果を無視できます。また防御側の全ユニットを除去か後退させると戦闘後前進ができ、そのエリアを占拠できます。
通常の射撃の場合は、防御側のエリアの全ユニットを除去または後退させても、そのエリアの占拠はできないため、次のフランス軍インパルスでフランス軍がそのエリアに対して別のエリアからユニットを送り込むことでエリアを維持され続けてしまうのです。

「強襲」を発起するには条件があり、「強襲」を起こすエリアにレベル3の「塹壕」が設置されていなければならないのです。
ただし第1ターンだけは、「塹壕」の設置無しに「強襲」を発動できます。

これは史実において、3月13日戦闘開始にあたって北ベトナム軍はいきなり人海戦術による近接突撃を実施し戦果をあげるもののベトナム軍側の損害も甚大だったことから、人海戦術による突撃は禁止され、塹壕を掘り、塹壕を用いた攻撃を行う、とする指示がでていたことを背景にしたルールになります。

「強襲」にあたって塹壕設置で必須であること、一方で第1ターンについてのみは「塹壕」無しでの実施を可能とすることといったルールは上記の史実に基づいたものだと推測されます。

このゲームではベトナム軍が攻勢を主導し続け前線が変わっていきますので、ベトナム軍は「強襲」の実施を行った次のターンでは前進した前線のエリアにおいて「塹壕」の設置を行うという2ターンを1セットとして攻勢を続けていくことになるのではないかと思われます。

勝利条件と占領エリアの影響

f:id:yuishika:20210724002329p:plain 勝利条件はマップ内に9箇所ある勝利条件エリアのうち6箇所を北ベトナム軍が占拠することによります。勝利条件エリアは史実においてフランス軍が最終的に立てこもったマップ南部に集中しています。

勝利条件エリアとは別にゲーム内で意識しなければならない特定のエリアがあります。

ひとつはマップ北部にあるフランス軍陣地3箇所、または飛行場の滑走路があるエリア3箇所です。いずれも3箇所を1セットとして占拠している軍は、カードを1枚余分に保有することができます。6箇所とも占拠している場合はカードの保有枚数は2枚増加することになりますので大きいです。

ゲーム冒頭においてこの6エリアはすべてフランス軍占拠下にありますので、北ベトナムは自ずとこの6エリア攻略がフランス軍の弱体化(フランス軍が得ることができるカード枚数が減る)、また自軍の強化(自軍のカード枚数が増える)のため優先すべき事項となります。

飛行場の滑走路がある3エリアについてはさらにフランス軍の補給状況に影響を与え、これもまたフランス軍の回復能力に甚大な影響を与えます(毎ターンにフランス軍だけが行う補給チェックにおいて、飛行場エリアの占拠状況によって悪影響を及ぼし、結果、フランス軍は消耗状態のユニットの回復が一部できなくなる等)。

史実において北ベトナム軍が強力な対空砲部隊を周辺の山々に配置した事に加え、滑走路の占拠と破壊を行ったことにより、フランス軍は物資補給の手段を失います。最後は物資の空中投下により補給を継続しますが、投下された物資のうち相当数が北ベトナム軍の手に渡るなど、フランス軍の士気崩壊を引き起こす要因となります。

 

(つづく)

 

 

B級映画感満載の凄まじい邦題ですが(”空挺要塞”とは何ぞ!?)、オリジナルタイトルは「ディエンビエンフー」ということで同戦を描いたフランス映画です。見た人の感想としては、終始フランス軍の視点で描かれたシリアスな戦争映画とのことなので、邦題で大損しているようです。

エキストラに大動員されたのは本物のベトナム軍で、撮影はそのままディエンビエンフーで行われたということです。
残念ながら日本のTV規格で見ることができるDVDは未発売の模様で、VHS版を探してみる他ないのが残念です(またはリージョンフリーのプレイヤーを入手して・・、といずれにせよ鑑賞は難易度が高そうです。・・と書いていて、秋葉原の地下に古い規格のプレイヤーを探しに行くエピソードを見たことあるなぁ・・、とふと思いだしました。たしか「COWBOY BEBOP」でしたよね?)。
 
 

「SS装甲師団長」(Game Journal)を対戦する(1)

「SS装甲師団長」(Game Journal誌75号)を対戦しました。

かつてアドテクノス社から発売されていた「ドイツ装甲師団長」が改訂された「ドイツ装甲師団長2」(Game Journal)の流れを組む作戦戦術級ゲームです。

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ゲームの概要

プレイヤーはドイツ武装親衛隊装甲師団長として、装甲師団規模の部隊を率い同規模の英米軍と戦うというものです。
両軍はプレイ前にダイスにより、プレイに用いるマップ範囲、マップの方向、初期兵力、砲撃用弾薬量を決めます。さらにチットを引いて作戦目的を決めます。連合軍側を担当する場合は、登場するのが英軍か米軍かもダイスによって決めます。

1ヘックス=750~1500メートル。
1ターン=3時間(8ターンで1日、プレイは最大16ターン)
ユニット規模は小隊~中隊規模。

初期兵力の決定

ゲーム中、もっとも楽しい瞬間かもしれません。
プレイに先立って両軍ともダイスを振って初期兵力を決めます。
ユニットは、車両や砲は装備車両毎にユニットが分かれており、その種類毎に出現頻度が記載された表を見ながらダイスを振っていきます。

ドイツ軍の登場する車両と砲ユニットは、Ⅳ号戦車J型、パンターティーガーティーガーⅡ、Ⅲ号突撃砲(シルエットからG型あたり)、Ⅳ号駆逐戦車、ヤークトパンター、ヤークトティーガー(登場はレア)、ナスホルン、ヴェスペ、フンメル、パンツァーヴェルファー(ロケット砲装備のハーフトラック)、88ミリ高射砲、150ミリ自走歩兵砲、ネーベルヴェルファーロケット砲、ウィルベルヴェント(登場はレア)となっています。
ドイツ軍ユニットは他に、自動車化歩兵中隊、機械化歩兵中隊(ドイツでいうところの装甲擲弾兵でしょうか)、工兵中隊、重火器中隊(射程2の重迫撃砲を装備した部隊です)、偵察小隊(ユニットは装輪装甲車のシルエットが描かれている)があり、これらもそれぞれダイスにより登場ユニット数を決めるのです。

せっかくですので連合軍側装備も記載すると、アメリカ軍は、M4シャーマン、M36ジャクソン(登場はややレア)、M18ヘルキャット、M4A3、M4火炎放射戦車、M10、76ミリ対戦車砲、M7プリースト。イギリス軍はファイアフライクロムウェルチャーチルチャーチルクロコダイル(火炎放射戦車)、チャレンジャー(登場はややレア)、アーチャー、セクストン、17ポンド野砲、25ポンド野砲。また歩兵などはアメリカ軍・イギリス軍ともドイツ軍と同じ種類のものが登場します。

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今回ドイツ軍に登場した皆さん方。
Ⅳ号4個、パンター4個、ティーガー2個、ティーガーⅡ 1個と戦車は充実していたものの、対戦車戦闘を行える自走砲はⅢ号突撃砲 1個だけで、駆逐戦車系はゼロであった。
支援砲兵もヴェスペ 2個、パンツァーヴェルファー 1個とやや貧弱気味であったが、もともとドイツ軍は砲弾量が連合軍の3分の1以下でしかなく、仮に砲兵部隊が増えたとしても1~2斉射するとすぐに砲弾不足に悩むこととなったであろうからまぁこれはよいか。機械化歩兵中隊、自動車化歩兵中隊の数はまぁまぁ。
88ミリ高射砲が2個登場したのはうれしかった(実際、プレイでも大活躍した)。
・・・などなどと、初期兵力のダイスロールで一喜一憂できる訳です。
またコンポーネント的には、アドテクノス版「ドイツ装甲師団長」の車両ユニットが兵種記号であったのに対し、ゲームジャーナル版は装備車両のシルエットの仕様となっている点もうれしい。
なお武装親衛隊らしくユニットの色は黒地に白抜き文字です。

勝利条件となる作戦目的もチットで決まる

プレイ前に両軍ともチットを2枚ずつ引きます。チットには勝利条件となる作戦目的が記載されています。それぞれ相手の作戦目的は秘匿されていますので、プレイ中、それらを推測しながら、また相手に対して欺瞞行動も行うなどしつつ、最終的な条件達成を目指すのです。
作戦目的としては、「突破」「威力偵察」「占領」「消耗」「阻止」があります。出現頻度としては「突破」だけがチット2枚、残りは1枚ずつになっていますので、自分が引いたチットもあわせ相手の行動を読むことになります。

 

ルール概要

ゲーム手順は、ドイツ軍手番ー連合軍手番というオーソドックスなものです。それぞれの手番の内容としては、「準備」ー「準備射撃」ー「移動」ー「機動射撃」ー「完了処理」という内容になっています。

兵器種類により射撃ができるタイミングが異なっており、自走砲は「準備射撃」のみ、戦車は「機動射撃」のみ、歩兵と砲兵器は両方の射撃タイミングで射撃できます(可能であれば、1つのターンで両方の射撃タイミングに射撃することも可能です)。

射撃解決はファイアパワー方式。
火力から目標ユニットの防御力や地形修正等を差し引きした結果毎に、混乱状態になるか、除去するかの結果を得るというものです。

攻撃側と防御側の兵種毎/兵器種類毎の組み合わせにより得意・不得意による修正がはいります。
例えば、対戦車砲が戦車を攻撃する際、歩兵が戦車を攻撃する際などは有利になる修正がつきます。戦車が歩兵を攻撃する際は有利になりますが、戦車や対戦車砲が砲兵器を攻撃する際は効果が薄いということで不利な修正がつくなどです。

作戦級ゲームのようにZoCがあり、ZoCに入る時と出る時に追加コストが必要です。追加コストさえ払うことができれば、敵ZoCから敵ZoCへ直接移動することも可能です。

戦車砲迫撃砲ユニットは射程2を持つ他は通常の戦車・自走砲・歩兵等のユニットは隣接ヘックスに対してしか攻撃を行うことはできません。砲兵器は「砲撃」という支援砲撃を行う場合に種類によっては10ヘックスを超えるような射程での攻撃が可能です。

通常の戦術級ゲームのように敵ユニットの移動の後、臨機射撃や防御射撃といったこちら側の射撃機会がある訳ではないため、市街・森・陣地といった防御地形以外のヘックスにいるユニットについては、敵の「移動」により隣接され、続く「機動射撃」ですぐに攻撃を受ける可能性があるため注意が必要です。
一方で、市街・森・陣地といった地形は防御地形とされ、防御地形にいるユニットを攻撃する場合は、移動後すぐに攻撃ができないことになっており、攻撃機会は次のターンになります。攻撃準備などに時間を要する(または攻撃そのものに時間を要する)ということを表したルールだと思われます。

兵器種類や兵種による有利・不利や得意・不得意といった事柄がルールや戦闘解決のチャート類のあちこちに点在しており、諸兵科を組み合わせて使いこなすことがポイントとなっているようです。

 

プレイ

ダイスにより当方はドイツ軍を担当します。

初期兵力決定のダイスロールに続いて引いたチットにより、当方の作戦目的は「占領」もしくは「阻止」となります。
「占領」はマップ内の市街地ヘックスの過半を占領することが条件となります。「阻止」は敵の作戦目的を妨害することが目的となります。どちらの作戦目的を最終的なゴールとするのかはこの時点ではまだ決める必要はないので、推移を見ながら決めていくことになるでしょう。

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黄色の線が今回用いることとなったマップ範囲を表します。写真上側が北になります。
プレイ開始前にまず、連合軍が左のマップ端(黄色のライン)から進入移動し、次にドイツ軍が右のマップ端から進入移動。第1ターンはこの状態からはじまります。
今回のマップの特徴は、中央に大河(太い青線)により東西に分断されている点。大河は橋(道路)以外の地点で渡河する際は全移動力が必要となるなど、移動にあたっての障害になる地形です。作戦目的によっては、この大河をどうするのかが問題になるところです。
南部では連合軍の部隊の一部は渡河を開始しています。それ以外の部隊も道路沿いに行軍するように並んでいます(こうした行動からも連合軍側の作戦目的を推察するべきだったといったことでしょう)。

ドイツ軍は市街を押さえる事を優先し、北部と南部でそれぞれ市街を押さえています。また中央部にある最も大きな市街部には両軍の偵察部隊がそれぞれ進出しています。

 

茶色のヘックスは高地を表します。
高地の占拠はそこから5ヘックス以内の砲撃観測を可能としますので、支援砲撃を多用する場合は戦闘正面付近の高地の占拠は必須となるでしょう。
ドイツ軍はもとより支援砲撃を行うことができる部隊数が少なかった事、また砲弾量も少なかったことから、自軍が砲撃を行う目的として高地占拠の必要性は薄かったのですが、むしろ連合軍に高地を占拠されることにより支援砲撃の目標になることを嫌い、高地占拠を行いました。

高地への進出は主に足が速い捜索小隊(偵察装甲車装備の部隊)によって行われ、連合軍の進出の機先を制することができたのですが、一方で一部の地点においては突出しすぎて連合軍の戦闘部隊に包囲されはやばやとユニット除去に陥った場所が数箇所生じるなど、初期ターンの損害の一因となったことから、進出先の見極めは重要です。

 

(つづく)

 

 

 

 

「シンガポール攻略戦」(EP/国際通信社)を試す

エポック/国際通信社の「マレー電撃戦」には、ゲーム本編とは異なるルールの「シンガポール攻略戦」が付属しています。
ユニット数は両軍あわせ100ユニットを超え、プレイ時間も2時間~程度要するなど、ミニゲームやおまけゲームと言うには、本格的な内容になっています。

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ルール

ゲームの進行は、移動-戦闘を繰り返すシンプルなものです。装甲移動といった突破戦闘の機構はありませんし、補給源から補給線を引いて・・といった補給ルールはありません*1

登場するユニット種類は、歩兵・砲兵・装甲の3兵種。ユニットに部隊規模、名称や番号などの記載はありませんが、ユニット数から推察すると大隊くらいの単位になるのではないかと思われます。
砲兵は射程を持っており、戦闘比を1シフトする砲兵支援能力があります。
装甲ユニットが戦闘に参加すると戦闘比1シフトする装甲効果が得られます。

特徴的なルールとしてモラルポイントがあります。
両軍とも全体としてモラルポイントを保有しています。
両軍スタート時に保有したポイントから、損害を受ける、拠点の占拠などが発生した場合に都度モラルチェックを行い、失敗した場合にモラルポイントを失っていきます。

モラルポイントの状況によって戦闘などに影響がある訳ではないのですが、最終的な勝利条件に関わってきます。モラルがゼロになった軍はサドンデスで敗北となります。

モラルチェックを引き起こす損害にとしては、ユニット除去やステップロスだけではなく、後退の結果も対象となります。防御側の後退、DRの場合は後退するスタック毎にチェックをするのですが、攻撃側後退、いわゆるARの場合は、後退が発生したユニット毎のチェックとなり、攻撃側が攻撃に失敗した場合のペナルティのほうが重くなっています。

英軍はメイアタックなのですが、日本軍はマストアタックです。

 

マップ

シンガポール島全体が含まれています。日本軍はゲームスタート時にはマレー半島側に配置されており、ジョホール水道を渡渉(ウィキによればゴムボート等を利用したとあります)し、シンガポール島側に上陸する必要があります。上陸戦にあたっては不利な戦闘比が強制され、また日本軍の運搬能力の制約から1ターンに上陸することができるユニット数の制約があります(特に装甲・砲兵部隊は装備を渡渉させるには歩兵部隊の数倍の運搬ポイントを消費する必要があります)。

島内では南部に位置する市街部の他、数箇所の要塞エリア、また島中央部には地形効果が高いジャングルや高地が点在しています。ジャングル等はスタック制限が厳しいのですが両軍とも同じ制約を受けるため、これらもまた攻撃を続けなければならない日本軍に不利に働きます。

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第1ターン(1942年2月8日)

初期配置において英軍は全軍の半分のユニットは海岸線上に配置するように指定されています。さらに島の北半部のジョホール水道に面した海岸線ヘックスは自軍ユニットを配置するか、ZoCが効果を及ぼすように配置することになっているため、基本的には1ヘックスおき間隔で配置することになり、スタックはほぼできません。
海岸線ヘックスには配置された部隊ユニットとほぼ同数のダミーユニットが裏返しになった状態で配置されることから、日本軍側から見ると、上陸可能な海岸線をみっちりと英軍ユニットにより埋められた状態から始まります。

残りの英軍ユニットもそれぞれ海岸近くの内陸部、さらにシンガポール市街に配置するように指定されており、海岸部と同じく裏返し配置されます。

日本軍は、マレー半島側に自由に配置します。
プレイでは史実と同様、シンガポール島北西部海岸から北部の道路橋(橋は落とされているため利用はできない)にかけて上陸することになりました。

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上陸地点は余計な隣接ヘックスが生じないようなヘックスを選んで行われ、高い戦闘力比率を保つことができたことから、ほとんどのポイントで英軍を撃滅または後退させることに成功します。*2

緒戦においてモラルポイントを下落させたのは、もっぱら英軍となりました。

英軍ターンでは海岸線に配置された部隊は内陸に後退し、地形効果を得られるヘックスを中心にスタックを組み、戦線を張ります。また日本軍の上陸がなかった東海岸の部隊や内陸の部隊を中心に配置転換が行われました。

 

 

第2ターン(1942年2月9日)

日本軍は侵攻し英軍の戦線を攻撃します。
スタックが構成された上に地形効果が高いヘックスに拠った英軍部隊を攻撃するため、部隊を集める訳ですが、マストアタックの制約により一部の隣接する英軍に対しては戦闘力比率が高くない攻撃も挟んでいく必要があります。
またどんなに戦力を集めたとしても、地形効果が高い地形に対する攻撃を行う際には比率が大きく下がってしまうため、日本軍の圧倒的な戦力差による力押しとばかりにいかない場面が随所に出現するのです。

第2ターン、内陸部に下がりジャングルや高地、また北部の要塞ヘックスなどの地形効果が高いヘックスを中心に戦線を張った英軍に日本軍の進撃はゆっくりしたものになってしまいます。 

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第3~5ターン(1942年2月10日~12日)

地形に依った英軍の抵抗は頑強でこのまま耐え抜くのではないかとさえ思える中、日本軍の地道な攻撃で一歩ずつ有利な地勢を得ることでようやく状況を打開します。一部では英軍部隊の包囲殲滅にも成功し、ここにきて英軍は内陸防御第一線の防衛線を捨て、占拠されればモラルチェックを伴う拠点(町や水源ヘックス)を含む第二線へと後退しました。

日本軍は戦力が強力な分、攻撃の自由度が高いようにも見えるのですが、マストアタックによる制約に苦しみ続けます。
英軍の粘り強い(いやらしい、とも言う)防御により、マストアタックによって強制される攻撃のため、日本軍もARによるモラルチェックによりポイントを失うなど出血していきます。

 

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第6ターン(1942年2月13日)

全8ターンの中、6ターンに至り、日本軍の戦線はシンガポールにはほど遠く、占拠すれば英軍のモラルチェックが発生する拠点ヘックスもひとつも占領に至っていない状況です。ここに至り、残り3ターンの中でシンガポール市街の占拠はかなりハードルが高い状況と見ました。

しかしながら破局も迎えたのは英軍のほうでした。
中央戦線で連続して英軍は部隊を失い、ダイス修正を受けたモラルチェックの結果、つるべ落としのようにモラルポイントを失い、ついにゼロとなったことによりここに降伏します。*3

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感想戦

全編を通してモラルチェックが両軍を縛っています。
基本英軍は防御側ですので、後退やステップロス、除去によってポイントを失っていくのはわかります。

攻撃側である日本軍も自軍のモラルポイントを気にしながら攻撃を続けなければならないという状況に置かれます。攻略を急ぎ、出血を伴う強攻を続けた当時の日本軍の状況をうまく表しているよに感じました。

 

冒頭に書いた通り、防御側が後退した場合(DRの場合)は、後退するスタック毎に1回のモラルチェックなのですが、攻撃側が後退した場合(ARの場合)は、後退するユニット毎にチェックを行う必要があります。
加えて日本軍はマストアタックになっています。
日本軍は勝利するためにはシンガポール市街を1ヘックスでも占拠することか、英軍のモラルポイントをゼロにする必要があるため遮二無二に攻撃を仕掛けていく必要がありますが、マストアタックであるため、戦闘力比率が低い攻撃もあわせて実施していかなければなりません。

戦闘結果表は、やや攻撃側に辛い仕様になっていることもあいまって、日本軍は一定程度損害(ARが出てモラルチェックが引き起こされ、モラルを失う)が出ることを覚悟する必要があるのです。

戦線が内陸部に至った際に英軍はうまく地形を利用することにより日本軍を阻む戦線を張ることができます。戦力に優れる日本軍にだんだんと押される状況には変わりないのですが、いやらしく日本軍に出血を強いる防御を継続することはできます。
今回は十分考慮できなかったのですが、初期配置時点から日本軍の攻撃がある位置を想定しながら水際防御を張ることも可能な印象も受けました。

ゲームバランスを語ることができるほどやりこんだ訳では全くないのですが、こうして少し触っただけでも、対照的な両軍の状況がうまくゲームの中に仕込まれているように感じます。派手な要素はないゲームですが、しっかりと作られバランスがとられているように感じました。佳作ゲームと言ってよいのではないでしょうか。

 

 

 

シンガポール攻略

 

 

*1:日本軍は補給不足に悩まされており、シンガポール島内で日本軍の砲兵ユニットが砲撃支援を行った場合、一度除去されて次のターンにマレー半島に登場するというルールはあります。

*2:今回英軍の水際防御の配置はやや機械的に行ったことから、日本軍の攻撃ポイントにダミーユニットがあたるなどした。日本軍の攻撃しそうなポイントについては意識的に実体部隊を配置する必要があるだろう。

*3:モラルチェックで失うポイントは標準では1ずつなのですが、その際の保有ポイントが低くなるに連れ、チェックの際にダイス修正が施されることにより1度に失うポイント数が2~3になっていきます。

2021年こんなゲームをした(上半期編)

早いもので2021年も半年が過ぎました。

年明け以来、出勤した回数よりもゲーム会に行った回数のほうが多いという今日このごろですが、それぞれのゲームの印象が薄れないうちにということで、今年度上半期にプレイしたゲームの印象を書きます。

 

 

 

作戦級

KOREA -FORGOTTEN WAR-(MultiManPub)

OCSの1作。朝鮮戦争の最初の1年間(休戦協定が始まるまで)を扱った作品。開戦直後を扱ったシナリオと、釜山包囲戦を扱ったシナリオの2回プレイしました。
まだまだOCSのルールを踏まえた戦い方を習得するのに精一杯で、作戦を語れるほどにはなっていませんが、面白かったです。

 

Blitzskrieg Legend (MultiManPub)

1940年の西部戦線を扱ったOCSの1作。GWにビッグゲームをやろう会として、4人でプレイしました。ドイツ軍北部方面を担当。

担当区域の正面はベルギーでした。例えば、AH『第三帝国』でのベルギーは、一撃で突破されるような弱小国ですし、ASLに登場するベルギー軍も単なる連合国側中小国として弱いユニットにすぎません。ところがOCSのスケールでのベルギーは、エバンエマール要塞があったり、国土を縦横に横切る運河があるため侵攻するドイツ軍はそれらの障害物をひとつひとつ攻略・クリアしていく必要があるのです。
ベルギーの降伏までの史実の日数から換算すると、ドイツ軍は開戦から6ターン以内にベルギーを蹂躙させる必要があるのですが、ベルギー攻略のためにはきっちりとした作戦計画が必要なことがよーく理解できました。漫然と戦うだけでは決して落ちないでしょう。

ドイツ軍を2人で担当しましたが、ユニット数などの物量から、単に手間というだけではなく管理能力という点でもドイツ軍担当としてもう1名は必要ではないかという話になりました。ビッグゲームおそるべしです。

 

STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-(LAST STAND GAMES)

エリアインパルスシステムでスターリングラードの戦いを描いた作品です。1ユニット=連隊単位、1ターン=4日とすることで、往年の「TURNING POINT STALINGRAD」(アバロンヒル)よりもプレイしやすくなり、1日あれば通常ゲーム(5ターン)を最後までプレイできるようになっています。

2021年上半期もっともやりこんだゲームになりました。特にルールに両者ともルールに習熟した後にGW中に実施したVASAALl対戦はかなり白熱したものになりました。
どちらの軍を担当しても、いつ自軍が破綻するのではないかというギリギリのところで戦い続けなければならず、最初から最後までキリキリと胸が痛くなるプレイ感覚はかなりつらいですが、この”つらさ”がクセになる?

 

GOLAN'73(GMT

第四次中東戦争におけるゴラン高原の戦いを扱った積み木ゲームです。
両方の軍をそれぞれ1回ずつ担当しましたが、これってシリア軍が勝つのはかなり難しいのでは?

シリア軍による奇襲の衝撃から立ち直り、イスラエル軍側に増援が到着する段階になると戦線が膠着するため、シリア軍が戦況をひっくり返すのは非常に難しいです。シリア軍としては奇襲直後の数ターン内にどこまで有利な状況に持っていくのかにかかっているように感じますが、そこまでの時間的余裕がある訳ではないです。
さらに途中からはサドンデスに引っかからないようにするだけで精一杯となります。実際、2戦ともシリア軍のサドンデス負けでした。

各部隊の主力部分は積み木ユニット、それ以外の支援部隊などは紙チットで提供されます。紙チットの扱いが独特です。積み木ゲームならではの雰囲気はとてもよいです。また1ゲーム半日弱というプレイ時間もよいため、印象は悪くありません。


GUADALAJARA(MultiManPub)

MMP社のスタンダードコンバットシリーズの1作。基本ルールはシンプルなのですが、個別ルールの段階で基本部分も含めかなり手が加えられています。よって、ルールブックを読む時には個別ルールのほうを丁寧に読みこむ必要があります。
OCSもそうですがルールが基本ルール+個別ルールという二重構造になっているゲームの場合、後から参照する際が面倒とか、ルールの一覧性に欠ける点が少々面倒ところがあるのですが、本ゲームの場合、特にそうでした。とは言ってもルールの総量はそれほど多い訳ではないです。

スペイン市民戦争の中での1戦。
スケベ心を出したムッソリーニが送り出したイタリア遠征軍がマドリッドに向けて大進撃をするが、共和党軍に迎撃されるという戦いです。
年明け早々からソロプレイすると宣言してからやるやる詐欺になっていました(で、いまだにゲームは終了していません)。
多数の豆戦車を装備したイタリア軍機甲部隊のへっぽこぶり(1ターン毎に1回走行不能チェックを行わなければならない。道路ヘックスしか行けない!)がわかります。この戦いの戦訓から、ドイツ軍は装甲部隊による電撃戦を構想し、フランス軍は戦車に失望したため戦車を歩兵支援にしか使わないとした逸話は好き。

 

MONTY'S GAMBLE(MultiManPub)

エリアインパルスシステムによりマーケット・ガーデン作戦を扱ったゲームです。空挺作戦開始から4日後(4ターン後)までにイギリス第30軍団は、アルンヘムまで行き着く必要があります。だがアルンヘムまでの道のりは遠く、途中の橋が落とされたり、また道すがらの横合いからドイツ軍の援軍による邪魔がはいったりします。

4ターン+最初の特別ターンというリミットの中で絶妙に配されたエリアを突破していくには、ゲームシステムへの熟知と効率良い部隊運用が肝要です。1回とて、”遊び”の余裕はありません。その点、連合軍のほうが難易度が高いように感じました。

再プレイしたいゲームのひとつです。 

 

Hell's Highway(Victory Games)

マーケット・ガーデン作戦を扱った作戦戦術級のゲームです。1ユニット=中隊~大隊。1ターンは昼間6時間、夜間12時間で1日を3ターンで描いた。1ヘックス=1250メートル。
兵種だけで12種類に分かれ、「行軍モード」「戦闘モード」というモード、強さにより3段階に分けられたZoC、また攻撃方法も「直接射撃」と「間接射撃」と複雑に仕組まれたシステムが面白い反面、諸兵科連合を使いこなしたゲーム内での戦術、またゲームシステムへの熟知、さらにマップの研究が必要なゲームでした。

戦術級好きとしては研究したいゲームのひとつです。

 

戦術級

FRONT TOWARD ENEMY(MultiManPub)

ベトナム戦争を扱った戦術級ゲームです。歩兵はチーム(班)、車輌やヘリは1機単位です。ヘリボーンで降下展開して、ベトコンが潜むとされる村やジャングルを掃討する、というベトナム戦争ものの映画のシーンが再現できます。

登場する兵器の種類を限定するなど全体に戦術級ゲームにありがちなルールの複雑化を避けている点は良いです。まぁ複雑な戦術級と言えばASLがあるため、差別化要素ということなのかもしれません。10分の1の確率でなんらかのイベント(多くはアクシデント)が起こる可能性があるなど、ゲーム的な演出も仕込まれています。

まだ1シナリオしかプレイしていないため、再戦が望まれるゲームです。

 

'65(Flying Pig Games)

ベトナム戦争の扱ったカードドリブンベースの戦術級ゲームです。

こちらも登場ユニットのバリエーションを狭め、さらにマップには高度がないなど戦術級で引っかかりそうな要素を排除していた点が印象的です。「FRONT TOWARD ENEMY」よりさらに平易なルールになっていました。

カードドリブンを採用しているウォーゲームのよい点は選択肢の範囲が自分の手札の範囲内に限定される点だと考えます。その点、初心者にも取り組みやすいのではないかと思います。

ゲーム中でとり得る作戦のバリエーションは狭いかもしれませんが、手軽に戦術級の面白さを味わうことができる点は良いですね。

 

戦略級

何をもって戦略級と言うのかはありますが、国家クラスの勢力同士の争い全体を扱った作品ということで次の作品を分類しています。 

NEVSKY(GMT

一部では2020年に出版されたゲームの中でももっとも特異で面白いとも聞くゲームです。題材はチュートン騎士団によるロシア侵攻という(詳しくは記事参照)超マイナーな題材です。題名のネフスキーはこの時のロシア側の英雄です。ただしその事績はロシアにしか伝わっていない・・というよくわからない、お察ししましょう、といった感じの人物です。

ルール自体の分量が過度に多いという訳ではないのですが、ゲームシステムの構造が複雑で、ルール内の何がどのように作用しているのかというインプットに対するフィードバック部分がわかりづらく、一度プレイした程度では、なかなかコツを見出すことが難しかった点が印象的です。

 

FOR THE PEOPLE(GMT

カードドリブンにより南北戦争全期間を扱った定番ゲームです。
戦線を広げないという鉄則の元、自分のゲーム歴上、南北戦争には手をだしていなかったのですが、イタリア軍につられてギリシャに侵攻をすることになったドイツ軍よろしくふっと、南北戦争テーマの戦略級として定評のある本ゲームを入手してしまったのでした。
南北戦争の戦史も詳しくないまま南軍を担当しましたが、外港を奪われ、河川沿いに侵攻されて国土を蹂躙されてしまう南軍の姿は、航空宇宙軍に反撃され壊滅していく外惑星連合軍のようでせつなかったです。

 

TONKIN(LEGION WARGAMES)

フランスとベトナム北ベトナム)による第1次インドシナ戦争を扱った戦略級ゲームです。正規軍クラスのフランス軍と、ゲリラ戦主体の北ベトナム軍という構図を想像したのですが、ゲームは北ベトナム軍による第1次攻勢の時期からはじまるという、想像とは全く異なる展開を見せるのでした。
ルールがかなり独特で、一見通常のウォーゲームと同じ立て付けなのですが、読み込んでいくと、根幹にかかるような事項も含め、適用を間違えたルールがぽろぽろ発見され、それらを適用すると、プレイ時とはかなり異なる様相を示しそうなことがわかってきました。その意味でも本作は再戦が待ち望まれるゲームです。

 

THE PURE LAND(GMT

COINシステムで応仁の乱と当時の混沌とした日本を描こうとする意欲作。テストプレイ版をプレイしました。決して色物ではなく、むしろ室町時代末期の混沌とした世情をよくぞここまで描いてくれたんだという驚きが大きいゲームでした。製品版の登場が待ち望まれます。

 

総括

こうして並べてみると再戦をしたいゲームがたくさんあり、なんとも時間がないことが残念です。
上半期でのベスト1を選べというと、やりこんだ分だけ「STARLINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」かな。次点は「THE PURE LAND」。
ただ上にも書いた通り、いずれのゲームも良かったですよ。

 

”浄土”という名のゲーム「The Pure Land: Ōnin War in Muromachi Japan, 1465-1477」(GMT)をテストプレイ対戦する

COINシステムを用いて応仁の乱を描くという話題のゲーム「The Pure Land: Onin War in Muromachi Japan, 1465-1477」のテスト版を対戦しました。

デザイナーはミュンヘン在のJoe Dewhurstさんという日本史に通暁されている方です。

応仁の乱と言えば戦国時代の端緒となった動乱であり、11年も続いたという日本史を語る上で外せない事件にも関わらず、日本人でも説明が難しいこの複雑な戦乱が、どのようにゲームに落とし込まれているのか非常に興味深いところです。
「浄土」というタイトルもまた意味深です。

注意!

今回の記事内容は、ルールブック等と照らし合わせて書いた内容ではないため、正確ではない部分も多分に含まれています。

また写真のコンポーネントもテストプレイ用に提供されたマップやカード内容の他のユニット・駒類は他のゲームからの転用ですので、製品版のものとは異なります。

 

 

COINシステム

今回、ベースとなったゲームシステムとしてCOINシステムが用いられている。

COINシステムは従来のウォーゲームが描いてきた正規軍同士の戦闘や戦争ではなく、体制VS反体制、正規軍VSゲリラ・テロといった不均衡な戦争をマルチプレイヤー、特徴的なカードドリブンシステム、エリアマップといったスタイルで扱ってきたシリーズだ*1。このブログでもこれまでいくつかのCOINシステムのゲームを扱ってきた。基本システムについてはそちらの記事を参照してほしい。

COINシステムの過去記事 *2

 

「The Pure Land」の基本システム

プレイヤー勢力

プレイヤーが操作する勢力は全4勢力。「細川氏」「山名氏」「地侍」「一向一揆」となる。

体制勢力 ー「細川氏」「山名氏」

COINゲームに登場するプレイヤー勢力は体制側か反体制側かに分類されるが、このゲームにおける体制側(COIN側)は「細川氏」と「山名氏」が該当する。

細川、山名は足利将軍家を中心とする幕府体制を支持する勢力なのだが、応仁の乱における東軍・西軍それぞれの総大将として両者は敵対関係にある。

反体制勢力 ー「地侍

今回もっともユニークな存在は「地侍」だ。

地侍」と「一向一揆」は反体制派であるが、ゲーム内ではその名称が示している在郷の武士階級だけを単純にあらわしている訳ではないようで、地侍」が行使できるコマンドや能力、またプレイ中のイベントを見ると、農民としての性格、商人としての性格も仮託されていることがうかがえる。

地侍」は全国から年貢(ゲーム内ではリソースを呼ばれる)を集めるが、その国(例えば、“近江”、“播磨”などの旧国によりマップは分割されている)を「細川氏」か「山名氏」が“支配”している場合は、リソースを上納する。「細川氏」「山名氏」はその上納されたリソースが収入となる。

各国の生産力や“足軽”の動員力はその国に配置された農民ユニットの数に依存するが、農民ユニットの追加は「地侍」だけが行うことができる。

各国を支配する「細川氏」や「山名氏」は自国に配置された農民ユニットが増加すると国力や動員力が増えるというメリットがある一方、“一揆”が発生するとその国の農民ユニットはすべて“一揆”ユニットに変貌するため、手放しでは喜べない。

農民を増やすのと同様、“一揆”を発生させることができるのは「地侍」だけである*3

細川氏」「山名氏」のような武家が各国に城を構築できるのと同様に、「地侍」は国に“町”を構築できる。“町”があると「地侍」は、手元の年貢(リソース)を“富(Wealth)”に変更することができる。

地侍」の勝利条件のパラメーターのひとつには“富(Wealth)”の蓄積があるため、町をつくって“富(Wealth)”を蓄積することは重要な行動となる。

支配層である武士に収奪されない富を蓄積していくというのは、商人としての立ち振舞いと思われる。*4

反体制勢力 ー「一向一揆

最後の「一向一揆」はその名の通り反体制の宗教組織である。登場する「僧兵」の扱いは他のCOINゲームにおけるゲリラ勢力を基本としている。

一向一揆」勢力が足場のない国に進出する際はまず“念仏マーカー”を置く。民衆の厭世観を高揚させるといったところだろうか。次に、僧兵ユニットが配置される。僧兵ユニットは、通常は“潜伏状態”で配置され、“潜伏状態”の間は体制側の軍勢などに攻撃されない。が、一度、叛乱、本ゲームの場合は「一向一揆」が起きると“顕在化”状態となり、兵力として扱われる。

一向一揆」はその根拠地として、「寺院」を建立することができる。

 

 

マップとエリア

マップの収録範囲は、北は越中、美濃、尾張を結ぶラインが北端、南は筑前が南端。近畿、中国、四国はすべて収録されているという範囲。基本は旧国単位の国に分割されている(伊賀、飛騨といった小国は捨象されている)。

COINゲームとしてはエリア数が多く、また細長い。端から端まで通常の移動コマンドだけでは移動がままならないことを受けてか、「細川氏」「山名氏」には海上輸送という手段が提供されている。

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「支持」と「支配」

COINゲームシステムにならい、各国には「支持」と「支配」というふたつのパラメーターが用意されている。

「支持」は足利将軍家を頂点とする室町幕府に対する“支持”状況を表す。

「支配」は「細川氏」か「山名氏」のいずれかの支配下にあるか、または支配されていない状態かを表す。

ノンプレイヤー守護大名の登場

さらにこのゲームにはノンプレイヤー勢力として各国を領地とする守護大名*5が登場しており、それぞれの守護大名が、「細川氏」「山名氏」のいずれに忠誠を誓っているのか(または中立か)がパラメーターになっている。この守護大名の「忠誠」のパラメーターは、各大名の領国の「支持」や「支配」の状況に関わらず独立して動くため、マップ上の各国の状況を表す3つ目のパラメーターとして機能し、応仁の乱当時の混沌とした支配状況が表現される。

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有力守護大名クラスのノンプレイヤー勢力が、「細川氏」(青色)と山名氏(赤色)のどちらに忠誠を向けているかを示している。この「忠誠」状況は、カードイベントや、コマンド、または戦闘結果などにより左右される。

細川氏」「山名氏」とも自分に忠誠を向けている守護大名の領地からのみ徴兵(足軽の募集)を行うことができるため、軍事力の拡大のためには彼ら守護大名の忠誠状況は重要な要素となる。

 

例えば、加賀の国はノンプレイヤー守護大名のひとりである富樫氏の領地だが、すでに「一向一揆」勢力が幅を効かせているため、「細川氏」「山名氏」のいずれも勢力下に置くことができずに無秩序状態にある。加賀の国では、幕府に対する「支持」も失われている。富樫氏は「細川氏」(東軍)支持であるため、「細川氏」はここから徴兵をすることができるが、「支配」はないため年貢を徴求することはできない(「地侍」は加賀から収穫した米を上納する必要がなくなるため、そのまま収入とすることができる)。

美作の国は「細川氏」支持の赤松氏の領地だが、隣接する「山名氏」が兵力を送り込んでいるため「山名氏」支配下にある。「地侍」は美作から収穫した米の一部を支配している「山名氏」に上納しなければならない。が、「山名氏」が美作から徴兵するためには、赤松氏の忠誠を、「細川氏」からひきはがし、「山名氏」支配にしなければならない。

京都は特別なエリア

マップの中で京都だけは特別なエリアとして扱われる。

京都に軍勢を駐屯させることができるが、「収穫期(Harvest)」(中締め)を超えて駐屯させるには費用を支払わなければならない。京都を「支配」していることは幕府中枢を握っていることを表し、イベントによって、守護大名たちの「忠誠」が、京都を支配している側(「細川氏」か「山名氏」)にシフトするものがある。

このため「細川氏」「山名氏」両勢力にとっては京都の支配は優先すべき目標となる。こうした仕掛けにより、不毛で収入がなく、軍隊が駐屯するためには逆に費用が必要な京都を舞台にした戦闘が、実際史実でもあったように度々、発生することとなる。

また京都で負けた側がいったん領国や勢力圏内に退いて再編した上で京都に攻め上るという、状況を再現することとなる。

守護大名の「忠誠」というパラメーターを導入した意味は、史実における京都や位置づけや、軍事的にはずば抜けた力を持っていなかった足利将軍家や幕府を最後まで細川氏や山名氏が担いだという中世日本の独特の政治的ヒエラルキーを表現することにあったのかもしれない、とも思った。

なお本ゲームにおいて天皇の姿はほぼ見えない(もしかするとゲーム中、見ていないカードイベントとして登場したのかもしれないが、今回のリプレイ中では見えなかった)。

 

勝利条件

COINゲームの常として各勢力はそれぞれ異なる複数のパラメーターが勝利条件として指定されている。これにより同じ体制派・反体制派であったとしても最終的は相争う必要が生じるなど、利害の一致・不一致といった情勢を表現していることが多い。

細川氏」の勝利条件は、体制(この場合、幕府)を“支持”する国の国力合計を一定基準以上にすること。もうひとつのパラメーターは、「細川氏」に忠誠を捧げる守護大名の領国の国力合計を一定基準以上にすることである。

一方、同じ体制派の「山名氏」の勝利条件は、ひとつは「細川氏」の1番目の基準と同じく、体制を“支持”する国の国力合計を一定基準以上にすること。もうひとつは、「山名氏」が“支配”する国の国力合計を一定基準以上にすることになる。

細川氏」「山名氏」の両勢力は幕府を維持する方向では一致している。このため「地侍」や「一向一揆」の討伐を行う国の“支持”状況を守ろうとする。一方で、「細川氏」は守護大名からの忠誠を得ることができるように動く一方で、「山名氏」は守護大名の忠誠よりも自分の兵力・城などにより他勢力を圧倒する力を誇示し続けるということになる。

室町幕府の中で将軍に次ぐ地位は「管領」となり幕政を統括していたが、管領に就くことができる家格は決まっていて、細川氏、斯波氏、畠山氏のみとなっていた。一方の山名氏は、侍所のトップである所司につける家格で、こちらは赤松氏、一色氏、京極氏、山名氏が交代で務めていた。

こうした差が細川氏・山名氏の間の勝利条件の差として表現されているのかもしれない。

 

地侍」の勝利条件のひとつは前述の、「富(Wealth)」になる。もうひとつは反体制側勢力ということから、体制を支持しないという反体制の国の国力合計となる。

いわば幕府からの支配を逃れ、町を興し、「富(Wealth)」を蓄えるということになると、有力商人によって自治が行われた“堺”あたりを想起する。もっとも「地侍」が本来指している在郷の武士階層ということを思うと、守護大名に代わって領国にいた守護代をはじめとする、後の戦国期に差し掛かる中で下剋上を頻発させた武士層ということなのかもしれない。

 

一向一揆」の勝利条件はひとつは「地侍」と同じく、幕府を支持しない国の国力合計だが、もうひとつがわからない(未確認)。

 

軍事

兵力としては正規軍である「武士団」クラスと、徴募された「足軽」「農民兵」クラスの2種類が存在する。

細川氏」「山名氏」、また数は少ないながら「地侍」は「武士団ユニットを保持できる。「足軽」は領国(支配国ではない)の農民から徴募され、「足軽」が徴募されると一定割合で農民ユニットが減少する。農民がいない領国では「足軽」の徴募が実施できないことになる。また「収穫期(Harvest)」(中締め)の際に、「足軽」の半分は帰農し、今度は逆に農民が増加することになる。

「農民兵」は一揆が発生した際にその国の農民ユニットが成り代わるもの。

一向一揆」の持つ兵力としては「僧兵」があるが、これは前に紹介した通りである。

 

なお武将ユニットなどは登場しない。そういったキャラクターゲームではない。

 

感想戦

戦国期を題材にしたエポック/サンセットゲームズの「戦国大名」に代表される国盗りゲームが支配階層の戦国大名といった武家勢力同士の争いとして描いていたのに対し、本ゲームは、応仁の乱を単なる”東軍”勢力対”西軍”勢力という構図に納めず、「地侍」「一向一揆」として扱われている勢力を加えることで社会的階層を超え、立体的に描いているように思う。

最初、「地侍」や「一向一揆」がプレイヤー勢力だと聞いた時に、全国規模での横の連帯か?と思ったものだが、実際プレイしてみると、この社会階層代表、といった表現が自然にゲームシステムに組み込まれていたのには感心した。

また「地侍」が名前が示す階級だけを表しているのではなく、多面的な役割を仮託されているという点は記事内で書いた通りである。

これらの様々な要素が、まさに応仁の乱の時代の混沌とした雰囲気をうまく表しているように思った。

戦国期を題材にしたゲームの多くが自分の勢力がある領国を中心とした戦闘、ある種、固定的な戦線での戦闘になることが多いのに対し、本ゲームシステムの中では、京を中心に地方へと流動的に戦闘が発生する点もよかった。戦闘の発生箇所が流動的に成る点は、戦国期というよりも鎌倉末期~南北朝期や源平合戦期に親和性が高いかも。

 

ここまで大胆なゲーム的解釈がなされている一方で、「京都桜祭」への参加がかなわなければ切腹、一騎打ちに負けたら切腹といった類のヘンテコルールは皆無であったことも書いておきたい。

今回はほとんど紹介していないが、COINゲームのキモの一つであるカードイベントでも、おかしなものはなく、リサーチが行き届いている点が伺えた。

繰り返しになるが、社会情勢も含めた大胆なゲーム的解釈はうならされた。

 

※ AARを書こうとしていたのですがなかなか難しいことがわかりましたので今回はここまで。製品版などをプレイした際にまた報告したいと思います。

 

 

 

 

*1:COINシステムをによるゲームの中には2人プレイヤーの作品もあるので、マルチプレイヤーは必須条件ではない

*2:

※ 「FALLING SKY」の続きの記事を書いてなかった・・。
 「FIRE IN THE LAKE」も・・

*3:農民ユニットは「地侍」が追加することができるが、その国で「細川氏」「山名氏」プレイヤーが徴兵を行った場合や、飢饉が発生すると減る。「収穫期(Harvest)」(中締め)の中で、足軽は帰農するため、今度は農民が増える。

*4:デザイナーのDewhurstさんがdiscordで語っているところを見ると、「地侍」の紹介として堺の自治都市の話があがっていました。

*5:守護大名はゲーム開始時に11勢力が登場し、カードイベントにより2勢力が追加される。初期に登場するのは北畠氏、畠山氏、一色氏、土岐氏、斯波氏、足利氏、富樫氏、河野氏大内氏、赤松氏、武田氏(安芸武田氏)。「細川氏」「山名氏」もこうした守護大名のひとつであり、それぞれ自国領地を有している。

守護大名のひとつとして登場する足利氏は、近江と大和に勢力を有する大名として登場する。将軍家そのものではなく、足利一族諸家を表しているといったところだろうか。近江の源氏と言えば佐々木氏(京極・六角など)、大和は筒井氏があるが、佐々木氏はこのノンプレイヤー勢力には入っていない。カードに佐々木氏をテーマにしたカードが登場する。結局のところこの足利氏がどれを指しているものなのかはいまひとつ不明。

なお追加になる2勢力は守護大名ではなく、北のマップ外に登場する「関東公方」と、同じく南のマップ外から登場する「”南朝”勢力」(!)である。

「HELL'S HIGHWAY」(VICTORY GAMES)を対戦する(2)

マーケットガーデン作戦を扱った往年の名作「HELL'S HIGHWAY」(VICTORY GAMES)を対戦しました。

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手元の資料によると第30軍団の車列を護る第101空挺師団の兵士とのこと

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

AAR

部屋の照明が映り込む関係で写真の出来がよくなく、またインスト含んだお試しプレイということで説明は散発的な点をご了承ください。

当方はドイツ軍を担当しました。

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登場する、アイントホーフェンナイメーヘン、アルンヘムの位置関係は上図の青丸の通りです。

 

 

第1ターン~(1944年9月17日)

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連合軍が空挺降下を行った直後(降下判定は未済の状態)

降下判定の結果は一時的な混乱(1ターン後には復帰する)かステップロス。ステップロスは複数の悪要因が重なった状態で、さらに運が悪かった場合のみ発生するため発生率は高くはない。*1

空挺部隊は落下傘兵とグライダー降下兵に分かれている。グライダー部隊は平坦な地形ではないと降下の成功率が落ちるなどの制約がある一方で軽車両・歩兵装備を超える装備を運搬可能になっている。

ナイメーヘンの周囲には水色のドイツ軍ユニットが散在しているように見えるが、多くは敵ユニットの移動を止める足止めにしかならない”守備隊”ユニットや移動できない高射砲ユニットでしかない。

ここで注目は、ナイメーヘンからアルンヘム周辺の地形。濃い緑色のヘックスは森林、赤茶色ヘックスは荒地だが、問題は黄緑色の「破砕地(BREAK)」*2と表現されている地形。ぱっと見、かなりの面積を占めているのがわかるのだが、森林・荒地・破砕地とも機械化ユニットが進入するためには「移動モード」の状態で、道路を使って進入することしかできない。「戦闘モード」になると道路を使うことができなくなるため、つまるところ、戦車・自走砲・装甲車などの部隊は、これらの3種類の地形では戦闘を行うことができないということになる。
なお装甲擲弾兵、自動車化歩兵・機械化歩兵系のユニットは、車輌から下車した状態「戦闘モード」となると、これらの地形への移動は可能となり、戦闘も可能だ。

ナイメーヘンからアルンヘムでの大部分での地形で戦車・自走砲・装甲車類が使えないとするとどこで使うかというと、市街地だ。これらの車輌は市街地ヘックスでは無類の強さを誇ることとなる。

マップ上、黒いサークル①に示した部隊は、第9SS装甲師団捜索大隊。映画「遠すぎた橋」で描かれた有名シーン、この一部がアルンヘム橋を強行突破しようとしてイギリス第1空挺師団第1パラシュート旅団第2大隊に迎撃された。

マップ上の②の部隊は、第16SS装甲擲弾訓練予備大隊。イギリス第1空挺師団(レッドデビルの通称にならいユニットが赤!)の降下地点からアルンヘムに向かう幹線道路を妨害するような場所に位置していることがわかる。史実でも緒戦において激戦となった。

 

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開始直後のマップ西端付近

ベージュ色のユニットはイギリス軍第30軍団だが、「行軍モード」でスタックできないため写真に写っていない部隊がまだ多数存在する。

第30軍団の登場エリア付近にドイツ軍の中隊から大隊規模の部隊がばらばらと存在しており、陣地・塹壕の中にいるのだが、連合軍空軍機の容赦のない対地支援により続々と損害を受けるが、足止めにはなっている。

 

第4ターン~(1944年9月18日)

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アルンヘム周辺

矢印のマーカーは「行軍モード」を表す。なお矢印の向きは関係ない。
ドイツ軍の増援が陸続と登場し、市街に突入したイギリス軍空挺部隊と対峙している。アルンヘムの市街地郊外にはいくつかの高地があり、拠点として争奪の対象となっている。
前述の破砕地や森林といった地形のため、歩兵ユニットもいったん「行軍モード」で前線近くまで移動し、「戦闘モード」に変換する必要がある状態。道路が渋滞している。また装甲部隊ユニットがどうにも使いづらく通行の邪魔にさえなっている。

 

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ナイメーヘン周辺

第82空挺師団がマップ左端からくるドイツ軍増援が登場する道筋を塞いでいるため、複雑で通行しづらい地形もあいまってドイツ軍の反撃が抑え込まれている状態。
なお右手側の第82空挺師団の一部部隊は、運河に架かる橋がことごとく落ちているため(ダイスによる橋梁爆破の結果)、左手の本隊側から補給線を引けない状態になっている。

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アイントホーフェン付近

第30軍団はドイツ軍の陣地をひとつひとつ踏み潰しながら前進している。
「機械化突破移動」という2次移動ルールがあり、成功すると「移動モード」で連なっている部隊ユニットは数珠つなぎのまま道路を前進できる。これを使うと、道を塞いでいたドイツ軍陣地の除去により、ZoCなどにより次にストップが必要なポイントまで、第30軍団の大縦隊が大きく前進する。第30軍団の先頭集団はアイントホーフェン付近まで接近した。

第101空挺師団は付近のドイツ軍密度が小さいことを良いことにかなり手広く、付近のポイントを抑えにかかっている。

 

第7ターン(1944年9月19日)

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アルンヘム周辺

ドイツ軍の第9SS装甲師団、第10SS装甲師団の各部隊が攻撃にあたっている。そうした中、イギリス第1空挺師団の1部隊がアルンヘム橋を渡り西岸に達した。

 

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ナイメーヘン付近

ドイツ軍の第1降下猟兵軍の部隊が集結して、ドイツ領内からナイメーヘン南方から進出を図るが、アメリカ第82空挺師団の巧妙な部隊配置により阻まれている状況。不用意に平地ヘックスに進出したドイツ軍部隊がアメリカ軍砲兵隊の防御射撃を受け損害を受けている。

 

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アイントホーフェン付近

ドイツ軍守備隊は、第30軍団の大軍の中に完全に呑まれてしまっている。かろうじて市街地の有利な防御効果により生き残って入るが、除去は時間の問題であろう。
この後、アイントホーフェンを突破すると、第30軍団は第101空挺師団との合流が可能となり、かなり前進をすることになるだろう。

 

ここで時間切れでプレイ終了しました。
この日のプレイ時間は5時間強で7ターン(降下3日目)まで到達できましたので、想定よりもかなりハイペースだったように思います。

 

感想

対戦していただいた方によれば「慣れると連合軍有利、初心者同士だとドイツ軍有利」なのだそうです。

ゲーム開始時点、空挺降下が行われ第30軍団の侵攻が始まった時点で盤面各所のイニシアティブをとっているのは連合軍です。ドイツ軍の多くは増援として五月雨式に登場します。第30軍団の侵攻路は基本、中央の幹線道路になるため、慣れた連合軍プレイヤーであれば、先読みしてポイントになる地点や高地のヘックスやドイツ軍の増援登場箇所を、付近に降下している空挺部隊ユニットを用いて要領よく抑えることで盤面をコントロールしやすいということなのでしょう。逆に慣れていないプレイヤーが連合軍を担当すると、先読みができないということではないでしょうか。

もちろんデザイナーもそのあたりは承知していることなので、橋梁の爆破というランダムイベント(連合軍ユニットが未占領の橋梁・フェリーに隣接すると発生。*3)をいれること、幹線道路の通行を妨げ、支線道路を含めた代替を考えさせるなどで、展開を流動的にしようとはしています。

 

戦闘解決方法や地形によって運用に適したユニットの差がかなりあること。もっと言えばナイメーヘンより以東アルンヘム周辺にかけて戦車・自走砲などの装軌式車輌装備の部隊の運用が地形としてかなり制限されることはドイツ軍にとってフラストレーションになるし、また地形毎の運用を想定した部隊展開を行う必要があること、戦闘システムを駆使した攻撃を行うなど、うまくプレイするためには細かなテクニックやノウハウを身に着けなければならない点は少々気にはなりました。

部隊規模が中隊~大隊と小さく、兵種種類も細かく分かれ性格づけされている点は非常に好みなのですが、実プレイにおいては、ドイツ軍側では多くの部隊が増援として五月雨式に登場するため、諸兵科連合を考慮しながら(楽しみながら)部隊運用を行うほどの余裕はなく、連合軍側も空挺師団はほぼ歩兵(一部、ジープなどの軽車両を持った部隊は降下する)、第30軍団は大軍すぎて兵種の違いなどを気にせずに大挙して侵攻できるということで、こちらはこちらで兵種の組み合わせの妙を楽しむまでには至らない印象です。

いろいろ書いてはいますが、手頃なサイズ感で作戦戦術級として楽しむことができる点は非常に面白かったです。

(了)

 

 

*1:今回のプレイではステップロスが発生したユニットは1ユニットのみであったと思う。

*2:ウィキペディアによれば、オランダ特有の湿地帯で道路は台状になっている地形とのこと。

*3:大河川・小河川・運河とかなりの数の橋梁が登場します。橋梁ユニットが足りないくらいです。

「HELL'S HIGHWAY」(VICTORY GAMES)を対戦する(1)

マーケットガーデン作戦を扱った往年の名作「HELL'S HIGHWAY」(VICTORY GAMES)を対戦しました。
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ルールの概要

f:id:yuishika:20210606224202j:plain ユニット=大隊規模

1ターン= 昼間 6時間、夜間 12時間 

1ヘックス=1250メートル

各ユニットは「行軍モード」と「戦闘モード」を持つ。

機械化ユニットは道路上にいる場合のみ「行軍モード」に変換できるが、「行軍モード」の際の移動力は無制限と破格のボーナスを得ることができるようになっている。「移動モード」の際は部隊が縦列状態になっていることを表しており、「行軍モード」同士のユニットはスタックできない、追い越しができないなど、イギリス第30軍団がひきおこした大渋滞を表現するため、様々な制約が設けられている。
また「移動モード」のユニットは基本敵ユニットのZoCに進入できず、また戦闘を行うことができない。

「戦闘モード」は部隊が戦闘状態になり展開した状態になっていることを表す。当然、戦闘を行うことができるのだが、道路を用いた移動を行うことができなくなる。

このゲームで戦車ユニットは移動で進入できない地形が少なくなく、道路以外の手段(つまり「移動モード」になっているということになる)では進入できないということが多々生じる。戦車ユニットが、道路以外では進入することができないヘックスにいたタイミングで敵ユニットに隣接した場合、非常に苦しい状況になることになる。

ZoC(支配地域)は「強」「弱」「無」の3段階になっている。これは重装備の有無により区別され、周囲の敵ユニットに対する移動制約の程度が異なってくる

 

攻撃には「直接射撃」と「間接射撃」がある。「直接射撃」は近接した状態での攻撃を表し「間接射撃」より威力が高い一方、攻撃を行うユニットの周辺の防御側のユニットから攻撃に先立って「防御射撃」を受ける可能性がある。
一方の「間接射撃」は離れた位置からの砲撃や攻撃を表しており威力は落ちるが、「防御射撃」を受けないという利点がある。

 

各ターンにある移動フェイズの後、戦闘フェイズとなりここでは、「手番プレイヤーの射撃宣言」ー「非手番プレイヤーの防御射撃実施」ー「手番プレイヤーの射撃実施」という手順で処理が進む。

非手番プレイヤーの「防御射撃」は、手番プレイヤーの射撃を宣言したユニットにしか行うことができない。また手番プレイヤーは前の射撃の結果を見て次の射撃を行うユニットを選ぶことができるため、どの順番で射撃が行われ、非手番プレイヤーは防御射撃ができるユニットをどこまで温存するかといった駆け引きが発生する。

さらに手番プレイヤーは、本命の攻撃目標に対する射撃を行う前に、周囲にいる非手番プレイヤーのスタックなどに対して別のユニットにより、「間接射撃」を行い沈黙させてから、本命の攻撃を行う、といった部隊繰り回しのテクが必要となる(「間接射撃」を用いることにより、防御射撃を受けることがなくなる等)。

 

必要移動力、攻撃を受けた際の地形効果を表した地形効果表が複雑

地上ユニットは地形効果表上、兵種が12種類に分けられておりさらにそれぞれ戦闘モード時と行軍モード時に分かれ、移動関係については、進入できる地形、できない地形、また必要移動力が定められている。さらに敵ユニットに隣接している場合のZoC種類(「強」「弱」「無」)毎の許容される事、制約がある事がある。

攻撃を受けた場合の地形修正についても、上記の12種類の兵種が戦闘モードと移動モードに分けられ、さらに受けた攻撃種類が直接攻撃の場合、間接射撃の場合とで修正値が異なる。

 

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戦闘解決はファイアパワー方式

各ユニットの防御力というパラメーターはないが、先の地形効果表の中で、兵種・地形・モードさらに攻撃種類によって細かく修正値が設定されているため、それらの設定値の中にユニットの特性にあわせた防御力のファクターは考慮されているということだろう。

さらには高地からの射撃・高地への射撃、防御陣地への射撃、相手が装甲ユニットは攻撃側の対戦車能力の有無、戦闘工兵による修正など細かな修正値が用意されている。

 

ここまで書いたように個々のルールは複雑ではないのだが、各ルールやパラメータが組み合わされて、実際のプレイの中で運用されるととたんに複雑に作用し合うというのがこのゲームの特徴。 

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マップ全景。イギリス第30軍団は、マップ左側から進入し右側(東)に突破を図る。
マップ左側の青い丸印から順に、アメリカ第101空挺師団が降下したアイントホーフェン、第82空挺師団が降下したナイメーヘン、さらにイギリス第1空挺師団が降下したアルンヘムとなる。

マップ内にある赤い実線が幹線道路。それ以外に黒い筋のようなのが2線級道路。地図上の南北(写真の上下方向)に何本も大河川・小河川・運河が走っており、それぞれ細かく橋梁が存在する。また一部の河川には渡し船(フェリー)が使える船着き場がある。橋梁にしても、船着き場にしても連合軍が接近するとドイツ軍は爆破を試みることができる。

 

(つづく)

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

 ミリタリー・クラシックスの最新号(2021年6月号)の第2特集ではくしくも「マーケット・ガーデン作戦」がとりあげられている。個々の戦闘の詳細は多くはないが、1944年の西部戦線の状況から始まる概況、両軍の使用した兵器や人物などをフィーチャーした記事は入門版として面白い。

戦史の知識がないと何が起こっているのかさっぱりわからない、という話も聞く映画ですが、逆に詳しい人が見ると、実際のエピソードに基づいた場面がかなり描かれているらしいです。

アマプラで冒頭のノルマンディー作戦のエピソードだけを見てそのままになっていたら、いつの間にかアマプラ無料作から無くなっていて、マーケットガーデンまでたどりついていないです。

「TONKIN -The First Indochina War-」(LEGION WARGAMES)を対戦する(2)クセのあるルールに苦闘する話

ベトナムによるフランスからの独立戦争である第一次インドシナ戦争を扱った「TONKIN -The First Indochina War-」(LEGION WARGAMES)を対戦しました。

yuishika.hatenablog.com

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今回のプレイでは重要なルールの取り違えなどがありましたのであくまでご参考程度で・・

 

AAR

フランス軍を担当。
ゲームの初期段階ではまだベトミン勢力は弱く、勢力を集め始めるところからシナリオはスタートするものだと勝手に考えていましたが、全くの逆でした。
シナリオがスタートする1950年10月時点で、ベトミン総司令部は各地の部隊に「各戦線に出撃し、敵の攻撃を粉砕せよ」と総攻撃命令を発しています。いわばクライマックスからはじまるゲームだったのです。

ベトミンは史実と同様に、北東部の中越国境近くにあるフランス軍拠点、カオバンからランソンにかけてを狙っていました。

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初期配置状態

赤色系のユニットがベトミン。青系か白系ユニットがフランス軍
点在している白いユニットはフランス軍の陣地であり補給源になるヘックス。
赤系のユニットがハノイや海側の平地周辺にも点在しているがこれはティオドアンと呼ばれるベトミンの民兵ユニット(1-9)。個々のユニットでは最弱だが、補充兵となるし集結するとそれなりにはなるので煩わしい。さらに言うとティオドアンは自給自足、現地調達ができるということなのか補給を考慮する必要がないためどこにでも存在できる!

最初の主戦場となったのは、マップ右上、中越国境付近のフランス軍拠点ランソンからカオバンに至るルート。2つの拠点間のルートを遮るように赤いベトミンユニットと黒のベトミン陣地が見える。

 

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初期配置状態のアップ。紅河デルタ地帯においてもフランス軍は拠点を抑えているだけで、他はベトミンが跋扈しているのがわかる。
説明をしていなかったが、ベトミンプレイヤーはフランス軍スタックの中身を見ることができるが、フランス軍プレイヤーはベトミンのスタックの中身を確認することができない。この後、北東部に集結してきたベトミン部隊のスタックは、ティオドアン民兵ユニットのスタックと思っていたのが、実は訓練された正規軍ユニット(6-9)だったのは攻撃がはじまってはじめてわかった事だった。

 

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第1ターン(1950年10月)

ベトミンは紅河デルタ地帯(平地)に点在していたティオドアン(1-9)を一斉に荒地やジャングルの中に引き上げさせた。ジャングルでは優位に立てるベトミンも、平地ではフランス軍による強力なオーバーランを食らうことを懸念したのだ。

フランス軍ラオス奥地まで広がるフランス軍拠点に十分な補給ができていないことに気づき、一部拠点からの撤退、また一部は航空輸送にてSDユニットを送り込んだ。
この時点では東北地方におけるベトミンの意図を把握できていなかった。

 

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第2ターン(1950年11月)

ベトミンはジャングルの中での優位な移動力と、ジャングルヘックスに対してフランス軍ユニットのZoCが及ばないことを利用した「ダブル移動」とを最大限活用してあっという間にランソン周辺に部隊を集結させた。
通常の作戦級ゲームと同じ様に戦線があるものと想定していたが、ジャングルに対してZoC効果がないフランス軍には戦線はなく、後方として手薄になっていたランソンをベトミンが包囲してきたのだ。
しかも包囲に参加した部隊はティオドアンとは大きく異る最強クラスの正規部隊(6-9)であった。
ベトミンによる数度の攻撃の後、ランソンは陥落し初期配置状態により集積されていたフランス軍のSDが失われた。

 

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第4~5ターン(1950年12月~1951年1月)

ランソンの失陥により以北にいたフランス軍部隊はカオバンに逃げ込む。
補給線を絶たれているため、カオバンの部隊に対しては空輸-空中投下により補給が行われた。
ジャングル地帯にあってはフランス軍は道路以外ではほぼ移動できない一方で、ジャングルの中でも素早く移動することが可能なベトミンと機動力が違いすぎた。

ランソンの失陥によりフランス軍は以南の海岸地帯まで大きく防衛線を下げざるを得なかった。

 

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第6~7ターン(1951年2月~3月)

東北地帯をほぼ抑えたベトミンが次に狙ったのがハノイ西部の山岳地帯にあるギアン(Nghia Lo)からナサン(Na san)にかけての地帯。東北地帯と同じ様にフランス軍が苦手とする荒地やジャングルに覆われた地域だ。
また東北地帯と異なりこちらはフランス軍自体が手薄であった・・。

ここにきてベトミンはオペレーションのひとつである「道路破壊」を多用してフランス軍の増援の移動を妨げ、また補給線を切ってきた。フランス軍も「道路補修」と戦線の整理を行うが追いつかない・・。

数度の戦闘後、ギアン、続いてナサンを失いフランス軍が投了した。

 

史実考証

1950年9月、ベトミン総司令部は総攻撃の発動を宣言し、それまでのゲリラ戦主体、時折正規軍による攻撃という戦闘スタイルから、正規軍主体の作戦に変えていきます。最初の激戦地となったのは今回のAARでも戦闘が発生した、北東部になります。

北東部のフランス軍拠点カオバンは中越国境に最も近い拠点としてフランスによるベトナム再占領以来保持されていましたが、ランソンからカオバンに至る補給路はたびたびベトミンの待ち伏せ攻撃を受け、1950年にはその補給は空輸に頼るようになっていました。
同年9月にはフランス軍はカオバンの維持を諦め、10月にかけてカオバン駐留部隊の撤退を始めます。撤退の支援のため数個大隊の精鋭落下傘部隊を送り込みますが、撤退部隊とともにベトミン軍に包囲攻撃され、作戦に参加した6000人の兵士と民間人のうち脱出が成功し撤退できたのは700人のみであったとされています。

カオバンでの敗北に続き、同じ10月中にはパニック状態の中でランソンが放棄されます。

フランス本国はこうした拠点の失陥と全滅に近い敗北に驚き、第二次大戦における名将と言われていたラトル将軍をベトナムに赴任させます。ラトル将軍はフランス軍の防衛線を大きく後退させ、立て直しを図りました。

ベトミンは各所で攻勢に出て、1950年末時点でフランス軍の戦線はハノイ・ハイフォン・ナムデン三角地帯にまで押し込められます。

なお今回のプレイでも戦闘が行われたナサンは、南北を結ぶ重要な交通路にある拠点として両軍によって数年に渡り、取った取られたを繰り返した場所です。史実でも一度撤退したフランス軍が取り返し、さらにベトミンがそれを攻撃するということがこの後繰り返されているようです。

 

感想戦

かなりクセがあるゲームシステムです。

ウォーゲームの常識で理解しようとすると見落としがち、ミスリードしがちなルールがあります。
確かにルールに書いてなければその制限や条件はないというのが正しいルールブックの読み方ですが、書いてなければ常識的に解釈しようとしますよね・・。間違えやすいところなので逆に注意してほしかったなぁ・・。

と何のことを言っているのかというと、下記の「取り違えたルールの例」にリストアップした1と2のルールです。

2についてはたしかに作戦フェイズ中に活動を行ったユニットは、同じ作戦フェイズ中にそれ以上の活動を行えないという文言はルール上、一言も書いてないです。また活動を実施したユニットに乗せる「活動済」のようなマーカーがなかったことも事実です(ただしこの手のマーカーがないゲームも少なくないですよね)。
正解は、”同一の作戦フェイズ内において作戦ポイントがある限り、同じユニット(またはヘックス)が何度もオペレーションを実施することが可能”でした。

1について、「1ターンに使用済にできるSD(物資集積所)ユニットは1個のみ」というルールは完全な見落としです。OCSにおけるSP(補給ポイント)ユニットのイメージがあったため、攻撃を行いたい場所がマップ上に複数か所あるとすると、それぞれの場所でそれぞれ近くにもってきたSDユニットを”使用”するのかと思っていました。ましてOCSのSPユニットと異なり、本ゲームのSDユニットの効果範囲は3ヘックスとかなり極小な範囲でしか効果がないこと、また1ターンに1~2個しかSDユニットの補充がないことから、1度作戦行動を起こすと、数ターンに渡って補給がたまるのを待つということが必要なのかと解釈していたのです。

プレイ後にルールブックを再度読み直して気づき、そういう解釈であっているの?と思い、BGGのフォーラムでの記事を探してデザイナーのKim Kangerが回答しているのを見てようやく納得した次第です。

実相は攻撃を行う箇所を渡り歩くように、ひとつのSDユニットが移動していく、ということのようです。このSDユニットって何なの?と思うと、若干滑稽な印象がないではないです。 (が、この解釈はまた新たな疑問を生んでおり(リスト6)、現在確認中です)。

 

・・と、何かとクセのあるルールがあちこちに複雑に組み込まれていて、デザイナーの意図がどのように表されているのか、非常に興味深いゲームと言えるのではないでしょうか。
他にもいろいろ言いたいこともあったのですが、いったんはここまで。

 

再戦候補のゲームのひとつです。

 

ご参考:今回のプレイで取り違えたり見落としたルールの例:

  1. 適用間違い: 
    1ターンに「使用済」にできるSD(物資集積所)ユニットは1個のみ
  2. 適用間違い: 
    作戦ポイントがある限り、同じターンの中で同一ユニット/ヘックスが何度もオペレーションを実施することができる
  3. 適用漏れ:
    戦闘終了後、戦闘に参加した両軍のユニットは「混乱(DR)チェック」を実施しなければならない(適用を漏らしがちなルール)
  4. 明確化:
    陣地(Trench)構築を実施した際はすぐに「使用済」のSDユニットを除去する(SDユニットと、Trenchユニット3個を交換するイメージ
  5. 明確化:
    オペレーションの種類により「使用済」となるSDユニットとの間で求められる位置関係が異なる(「攻撃」「砲撃」以外はSDユニットの場所に関わらず発動可能 等)
  6. 確認中:
    トラック輸送の仕様について現在BGGにて確認中。想定の通りだとするとまた印象が変わる可能性があります。

  

(了)