1944年、第二次世界大戦におけるノルマンディー上陸作戦以降の西部戦線を扱った表題作品を対戦しました。
D-Dayシナリオ全9ターンのうち、今回は第4ターンからになります。
- 第4ターン(1944/7/1-1944/7/10)
- 第5ターン(2024/7/11-2024/7/20)
- 第6ターン(2024/7/21-2024/7/31)
- 第7ターン(2024/8/1-2024/8/10)
- 感想戦
第4ターン(1944/7/1-1944/7/10)
アブラッシュの突破
天候は嵐。
この天候で恩恵を受けるのはドイツ軍です。
単に連合軍が「航空支援」を使えなくなるだけではなく、「エリート」部隊による攻撃の宣言や、一部、連合軍の「航空支援」の範囲外で効果を発揮する支援マーカーがあります。
連合軍プレイヤーターン。
アメリカ軍は、シェルブールとアブラッシュを解放します。
アブラッシュの確保により、ブルターニュ半島への進攻ルートが開きました。
ブルターニュ半島はドイツ軍が薄くしか展開しておらず、勝利条件にも関わるUボート基地や戦略ヘックスである大都市が点在しています。
一方で、イギリス軍の前面にあたる東部方向へはドイツ軍が厚く展開しているため、前進はままなりません。
Tiger戦車による反撃
ドイツ軍プレイヤーターン。
カーンの東方で支援マーカー「Tiger」を擁したドイツ軍が攻撃を実施、戦術結果として「突破」が実施されます。支援マーカー「Tiger」は、連合軍の「航空支援」範囲外という制約はあるものの、使用可能な場合は戦闘力比率が2シフトするという強力なものになっています。
第5ターン(2024/7/11-2024/7/20)
相次ぐ都市の解放とドイツ軍司令官の更迭
天候は荒天。引き続き航空支援には不適な天候が続きます。
シェルブールは進出した工兵部隊の手によって再建され、大港湾として使用できるようになりました。イギリス本土とも海上輸送の許容量が増加します。これにより本土からの増援の来着スピードがあがるでしょう。
アブラッシュの解放により、戦力が引き抜かれ薄い兵力しか展開していない西フランスへ、連合軍が進撃します。サン・マロ、レンヌと戦略ヘックスにあたる大都市が解放されていきます。
ブレストなどのUボート基地、さらにはナントやアンジェといった大都市も攻撃範囲にはいってきます。
相次ぐ戦略ヘックスの失陥によりドイツ軍司令官が更迭されました。
第6ターン(2024/7/21-2024/7/31)
第7ターン(2024/8/1-2024/8/10)
ドラグーン作戦実施
増援として、パットン将軍の「支援マーカー」が到着。カップの中に追加されます。第3軍の司令部ユニットも追加されます。そうパットン第3軍の登場です(ただしこの時点、軍としての兵力は持っていません)。
制限が解除されたため、連合軍は南フランスへの上陸作戦を実施します。ドラグーン作戦です。2か所に自由フランス軍を含む連合軍が空挺降下も伴い上陸しました。大きな抵抗もなく上陸は成功します。
残っていた2ヘックス分の上陸作戦を行う権利を行使して連合軍は南フランスに上陸します。南仏の地中海沿岸のドイツ軍兵力は手薄な中、上図に青字で示したような大都市が存在します。残り2ターンあれば2個程度は確保できそうです。
第7ターン終了時の状況。
シナリオの終わりが見えてきたところですが、時間切れにて協議終了。この時点の状況から勝敗を推測すると、連合軍VSドイツ軍は、3VS1または2VS2といったところでしょうか。
プレイ前に選択していた勝利条件の達成状況を見てみましょう。
- 大港湾都市1か所の占領 → 達成
シェルブールを占拠済 - パリの解放 → 未達
ドイツ軍の重厚な戦線に阻まれ、難しい - フランスとベルギー国内の大都市8か所の解放(除く、パリ、ブリュッセル)
→ 達成の可能性高い
解放済は4か所(カーン、レンヌ、ナント、アンジェ)。
アメリカ軍戦線に近くドイツ軍も手薄なルマン、トゥール、ポワティエは比較的容易に解放できそう。南フランスで後1か所解放できれば達成です(マルセイユ、ニース、ニーム、モンペリエのいずれかを解放)。 - Uボート基地3か所の占領 → 達成の可能性高い
解放済2か所(ブレスト、サン=ナゼール)残り1か所(ロリアン)も残り2ターンで解放の可能性高い
感想戦
プレイ時間
7ターンまでのプレイ時間は6時間30分程度。
冒頭の数ターンはルール確認を実施しながらの進行でしたが、慣れるとかなりサクサクと進行できるようになります。
これ以降は戦場がかなり広い範囲に広がることを考慮したとしても、1ターンあたり1時間弱といった所要時間になるのではないでしょうか。
D-Dayシナリオは1日あれば完遂できそうです。最初の記事に書いていた、キャンペーンゲームの所要時間が15時間から20時間というのも妥当な数値でしょう(キャンペーンは全24ターン)。
ゲームバランス
今回連合軍を担当しましたが、バランスとしてはドイツ軍が厳しいかなという印象を受けました。
ドイツ軍は、「総統の信頼」パラメーターの存在により、連合軍にはない制約が設けられています。とりわけこのパラメータの状況により、損害を受けたユニットの回復を行うことができる補充ポイントが増減する点は厳しいですね。
ドイツ軍は個々の戦力が優勢なユニットはいるものの全般に移動力が小さく、機動性に欠いています。移動力が劣っているのは、連合軍の戦闘爆撃機の空襲があったため日中の移動に不自由をきたしていた史実の反映ですが*1、移動力が小さいことにより連合軍の展開の早さに対応するのが難しくなっているように感じます*2。
補給ルールがシンプルで、これもまた他作品でよくある補給ポイントのような概念もない点は、ドイツ軍もさることながら、連合軍により有利に働いているように感じました。少なくともここまでの展開の中で、連合軍側に(ドイツ軍についても)補給が滞っていて前進がままならないという場面はありませんでした。シェルブールのような大港湾の解放も、イギリス本土からの増援ユニット数に影響するだけなので(シナリオの勝利条件のひとつとして大港湾の解放はあげられている)、なんとしてでも急いで港湾を奪取しなければならないといった時間を迫られるような必然性も弱かったです。
この後の展開では戦場が広がることから補給線を引く際に起点となる司令部ユニットの存在感が増すことになるでしょう。
プレイアビリティ
いくつか書いてきましたがルールは複雑ではなく、プレイアビリティは高い作品です。
1日でシナリオを突っ走ることができると、プレイの満足度も高いです。
師団単位というスケールもあって、大味な展開も想定していたのですが杞憂でした。「支援マーカー」というゲーム的な要素もあり、盛り上がります。
特別なルールを用意されている上陸戦闘はゲーム的ではありますが、十分に盛り上がる構成になっています。
全体を通して、BGGの評点が8.1というのも十分説得力がある内容でした。
(終わり)