Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「HELSINKI 1918: GERMAN INTERVENTION IN THE FINISH CIVIL WAR」(U&P GAMES)を対戦する(2/2)

1918年、ロシア革命を受けて発生したフィンランド内戦を扱った「HELSINKI 1918: GERMAN INTERVENTION IN THE FINISH CIVIL WAR」(U&P GAMES)を対戦した。ドイツ軍・白衛軍を担当。

 

 

 

 

4月11日15時~20時

ドイツ軍は赤衛軍の陣地に攻撃を加え進行路を確保。
まだ司令部ユニットと部隊ユニットの連携などが要を得ていない。またドイツ軍のイニシアティブの時のみ時間進行があるという感覚も馴染みにくい印象。
この11日の昼間、6回のイニシアティブ判定があったが、そのうち5回をドイツ軍が取った(ダイスの目がよかった)。

 

11日17時頃

マップ右手側より攻め上がるドイツ軍(黒)。赤衛軍(赤)は陣地ヘックスにより、幹線道路・鉄道を遮断していたが、ドイツ軍の攻撃により、防衛戦に穴が開いた。
ドイツ軍としては、ゲームシステムの性格上、補給線の確保は考慮しなくてよいので、側面や後方を考慮せずもっと大胆に進撃するべきだった

 

11日20時~12日0時頃

夜間ターンになると続けざまに3回連続で赤衛軍がイニシアティブを取った。
夜間ターンの間、戦闘時に攻撃側のダイスにマイナス修正がつくため、攻撃が成功しにくくなる。ドイツ軍は夜間ターンの間、幹線道路と鉄道線以外の小道路を道路ヘックスとして使えなくなるため、移動や指揮範囲の判定で不利になる。ドイツ軍の進撃路は幹線道路と鉄道線に沿ったものにならざるをえない。一方の赤衛軍は最前線の防衛線の生き残り部隊が、小道路を通って市街地に向けて後退していった。

 

12日2時頃(夜間)
写真では薄くてわかりづらいがマップ内に縦横に引かれた小道路をドイツ軍は夜間使えないため、侵攻路は幹線道路・鉄道線に沿ったものにならざるをえない。
夜間の戦闘マイナス修正が効いたのか、幹線道路の途中に位置した赤衛軍の小部隊に対する攻撃が失敗し、ドイツ軍の進撃が一時ストップする。
その後、その赤衛軍のしんがりを除去したところ(写真)

 

12日2時~8時

港湾側から直接上陸を試みるモイラー支隊のダイスの目がそこそこ良くヘルシンキ市街の港側に敵前上陸を行った。ただこれは若干タイミングとしては早すぎたようで、市街戦が本格化して市街がもっと混乱したタイミングで実施されたほうが効果が高かったように思う。その後、モイラー支隊は赤衛軍に押し込まれて全滅してしまう。

 

夜間のうちに1個大隊規模のモイラー支隊が港側に敵前上陸。
地上を行く本隊側も、幹線道路沿いと鉄道線沿いにそれぞれ1個大隊ずつを先鋒にヘルシンキ市街に急ぐ(効率よくアクションポイントを使うため、部隊ユニットの前進と司令部ユニットの前進を交互に行っていく)。

 

8時頃、もうひとつの盤外マップであるティックリラにおいて、赤衛軍部隊を追い払い、鉄道線の結節点を奪取。

そういえばここまで白衛軍のイニシアティブなし。ついでに赤衛軍がイニシアティブを取った際に白衛軍のカードドローを忘れることもしばしば。

 

12日9時~11時頃

ドイツ軍の先鋒は幹線道路沿いにヘルシンキ市街にとりついたものの、数が揃うまで待つ。10時30分頃ようやく白衛軍のイニシアティブが発生(それもカードにより若干発生条件が緩和されたことによるもの)。遊撃隊の発生、続いて白衛軍部隊ユニットを発生させる。

 

12日11時頃
奥に見えるのがモイラー支隊。手前に2個大隊が市街地ヘックスにとりついた。
市街地の中では、白衛軍の1個中隊が登場。

ドイツ軍の右翼は順調なのだが、鉄道線沿いに侵攻した左翼部隊は市街地の手前の丘陵地の防衛をする赤衛軍の排除に手間取り前進できないでいる。
その後も、なぜか鉄道線沿いに侵攻した部隊はダイスの目が良くなく丘陵地を抜けないままで終わり、赤衛軍の最後の1拠点の確保に失敗することになる。


 

12日11時頃~

赤衛軍は白衛軍の遊撃隊ユニットを逮捕し、白衛軍が増えるのを抑えようとする。
ドイツ軍は前面の赤衛軍を戦闘により後退させ、白衛軍との合流を果たす。海岸ヘックスの赤衛軍に対しては「砲艦」カードにより攻撃を実施。

市街地では、ドイツ軍・白衛軍は1ヘックスずつしか移動できないため、攻撃位置につけるだけでも時間を要する。

 

12日11時頃。ドイツ軍右翼2個大隊が前進、赤衛軍を押し込めていく。

 

直後、赤衛軍のイニシアティブが連続して発生。モイラー支隊は海岸に追い詰められ、全滅してしまう。上に書いたように、市街戦がもっと進行してから上陸を行うべきだった

 

12日午後

赤衛軍の拠点はヘルシンキ市街内に5か所あるが、中心部にあるTooloの拠点(旗マークがある)を占拠した。
その後、右翼部隊は時間をかけて(1ヘックスずつしか移動できないため)、左手側に展開し、2個目の拠点((Kuruunuhaka)を確保した。

赤衛軍も黙っている訳ではなく反攻を行い、Kuruunuhaka南側の部隊が海岸沿いに追い詰められる。
また白衛軍の次の部隊ユニットが召集され、それに対して赤衛軍が白衛軍の遊撃隊の逮捕を行うなどせめぎあいが続く

 

ドイツ軍右翼部隊によりTooloの拠点を占拠。

2個目の拠点(Kruunuhaka)を確保

赤衛軍の反攻により一部の部隊が海岸に追い詰められる(後に全滅)。

12日19時~13日日中

夜間の戦闘では攻撃側のダイスにマイナス修正がつくため戦闘は行わず、代わりに後方に取り残してきた部隊をアクションコマンドの「再編成」により市街地前の丘陵で前進が頓挫していた左翼に集結させようとしていた。
ところが、12日の夜間になる直前、赤衛軍の反撃によりKuruunuhakaで部隊が包囲され、さらには拠点Tooloも奪取されるという事態になり、まずは目の前の火の粉を振り払う必要がでてきた。

夜間のうちにTooloの拠点を再奪取。その後、3か所目、4か所目の拠点を奪取したが、左翼からの侵攻が必要であった5か所目の攻略が果たせず、赤衛軍の辛勝となった。

 

夜のうちに集結した大隊を先頭に3か所の目の拠点を奪取

 

Tooloにいた部隊を投入して4か所目を占拠

 

感想戦

従来のウォーゲームの手法ではないまとめ方?

ゲームシステムは最初とまどったが、細かで煩雑なルールが多数ある類のシステムではないため、慣れるとかなりスムーズに進んだ。へたにリアリティにこだわる(戦術級だけに特に)のではなく、プレイアビリティを重視、またそのまとめ方も従来のウォーゲーム的な手法によるのではない、省略・まとめ方をしていて好感がもてた。

マップデザインは上品で、ヘックスは採用しているものの大型のヘックスで木駒も並べることができるなど、ミニチュア感もあり見栄えがする作品だった。

こうしたデザインの方向性はボードゲーム界隈の人たちを呼び込めないかなと思う。

 

ボードゲーム界隈の人たちがプレイするウォーゲーム的な作品として(浅薄な知識であげると)、「WAR ROOM」とかの戦略級、「アンドーンテッド」シリーズ、「メモワール」シリーズとかがある戦術級があるのに対し、作戦級の作品はあまり思い浮かばない。
確かにウォーゲーム入門用として「ドイツ戦車軍団」といった定番作品はあるが、ちっちゃな紙ユニットで数値やら兵種記号やらいろいろ書いてあるし、ZOCとか、戦闘結果表とか旧来の手法の上でデザインされており、初めてウォーゲームをする人に対して、じゃあこのあたり入門用だからと紹介するのが40年近く前にデザインされた作品というのも寂しいなと思う*1

もちろん今回の作品がいきなり入門用、紹介用として使えるかというと、コンポーネントは優れているもののマップは広いし、ルールも紹介用とするにはまだまだレベルは高いかな、とは思う。

 

翻って、上記のような可能性さえ感じられる一方で本作、旧来のウォーゲーマーにとっても十二分に楽しめる作品だった。
ルールの件は述べた通り、前半の流動的な戦線。市街戦にはいってからの展開など、バリエーションがある一方、ゲームシステム固有の変なテクニックにはしることもなかった(白衛軍のアクションなどは少々考慮は必要だが)。

 

勢力

白衛軍はイニシアティブを取りにくい分、赤衛軍がイニシアティブを取った際にはカードをドローすることができるのだが、ゲーム冒頭、このカードドローを忘れていた。ダイスの目もあってなかなか登場できなかった。
イニシアティブを取りにくい分、白衛軍はこのカードの枚数が他の2勢力よりも多く、またバリエーションに富んでいる。
カードイベントを使うことでイニシアティブを取るやすくし、またさらにカードイベントによりアクション数を増やす・・と白衛軍は数少ない機会を最大限に膨らますような動き方をするべきなのだろう。

 

ドイツ軍のアクション時のみ時間が進むというシステムはやや奇妙だったが、独特の雰囲気を与えていた。決められた時間(13日の日没まで)に定められた拠点を奪う必要があるため、終盤、時間との競争になる。ドイツ軍はアクションを起こすと時間が進むため、一手一手詰将棋のように手順を考える必要がある。
ドイツ軍は今回モイラー支隊による敵前上陸タイミングが早すぎたことは書いた。
ドイツ軍の盤外マップ(モイラー支隊、ティックリラ)は、先にティックリラを占拠し、赤衛軍のモラルを落とし(大して落ちないが)、その後、モイラー支隊を敵前上陸タイミイングを計るという順番で対応するべきなのだろう。

 

(おわり)

 

 

 

 

 

 

 

*1:「ドイツ戦車軍団」はいまだにプレイされている傑作ですし、個人的にも「ハリコフ」など珠玉の作品と思っています。