Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

WAR ROOM(NIGHTINGALE GAMES)を対戦する(1)

北半球を中心に世界を俯瞰した円形の巨大なマップが特異な「WAR ROOM」をプレイしました。第二次世界大戦を題材に最大6人(独・伊・日・米・英・ソ)(中国は米国プレイヤーが担当)でプレイする作品ですが、今回は4人プレイとなり(独伊、英米、ソ中、日)、当方は日本軍を担当しました。

コンポーネント

ボックス自体、巨大です。クリスマスツリーでもはいっているようなサイズ感です。

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大きさがわかるように比較できるものがあればよかったですね

コンポーネントは豪勢です。
円形マップはハードコートで複数のマップを組み合わせて円形を作ります。このマップだけでも重いです。
国ごとのユニットやマーカー類は、高級菓子が収められた箱のような表面すべすべのこれまた豪華な箱に個別に収められています。

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国別や兵種別のユニットやマーカーが個別の箱に収められています

国別の箱やマップの端のほうには当時の写真がはいっておりセンスが抜群です。かっこよいです。

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日本軍のボックスアートはこれ。いいですねぇ。ちなみに他の国のボックスアートもそれぞれよかったけど写真は撮るのを忘れてた

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日本軍初期配置

部隊や艦艇を表すユニットはプラスティック製の薄いレゴブロックのようになっていて、コマンダーユニットと呼ばれる最上段につけられた(日本軍の場合、旭日旗がデザインされた)ユニットの下に積み重ねられます。移動はこの積み重ねた単位で行いますが、途中での分離・合併は当然可能です。
四角が陸軍、丸形が空軍、舟形の長方形のユニットが艦艇を表します。それぞれの部隊ユニットは各国共通です。陸軍はさらに歩兵・砲兵・戦車、空軍(航空隊)は戦闘機・爆撃機、艦艇は戦艦・巡洋艦・空母・潜水艦に分けられ、それぞれ色が異なるため、スタックを横から見て色で判断することができます。
なおこのユニットの色は戦闘解決の際に関係することになります。
それぞれのユニットがどの程度の規模を表しているのかのスケール明示されていませんので、感覚的なものですが、陸軍ユニットは2~複数師団の軍団クラス、空軍は航空隊クラス、艦艇は大型艦が2~複数隻といったところでしょうか。

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ちなみに欧州戦域はこんな感じです。地球の裏側なので逆さまなのはご了承ください

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自国の領土はカード化されていて、資源や自国世論に与える影響などが記載され早見表として参照できます。敵陣営と領土のやりとりが発生するとこのカードもやりとりされます

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各国は戦場で一定以上の損害がでたり、領土を失ったりすると国民の士気に影響がでるようになります。こうしたストレスが各国毎に定められた”ストレス耐性”を超えると、厭戦レベルがあがり、自国社会に様々な悪影響が現れることがルール化されています。ちなみに「欲しがりません、勝つまでは」を標榜していた日本のストレス耐性は一番高い数値になっています。イタリアと中国はこの数値が低いため、一定以上の損害が与えられ続けると、戦線を離脱することになるかもしれません。

移動ルール

移動はプロット式で紙に書いた移動命令を、ビッドによって決められた順番に沿って実施します。ビッドは「石油」で行います。このゲームの経済・生産は「石油」「鉄」「その他資源」の3種類の資源で表されています。「資金」や「国力」といった概念はありません。
資源は資源を産するエリアを占拠することにより入手します(連合国の場合、貿易などの手段もあるようですが割愛)。資源は部隊や艦艇の生産、損害を受けた部隊の再編成などの際に必要です。
さて、移動プロット後、各プレイヤーは移動の順番を決めるにあたって「石油」をいくらビッドするかプロットの上、同時に宣言します。ビッドが大きいプレイヤーから移動が可能となります。
自分のスタック/ユニットがいるエリアに敵に進入されると進入してきた側のスタック/ユニット分のスタック/ユニットは束縛(PIN)されて移動ができなくなります。

タイムスケールは明示されていないのですが、1ターンが3ヶ月から半年くらいではないかという印象です。
各国は1ターン(1回のプロット)に可能なアクション数の上限があります。イタリアと中国は6アクション、他の国は9アクションとなっています。
スタック単位にこのアクションを使うことになり、もともと陸海空で同一エリアにいるとしてもスタックは別扱いですので、9アクションは決して多くはなく、全世界に部隊がちらばるアメリカ、イギリス。部隊規模は小さいといえど、ビルマから太平洋の隅々までに部隊がちらばる日本などは常にアクションの数は行動の制約になります。

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「石油」ビッドによって決まった移動順。日本軍は石油を惜しみビッドを行わなかったため最後のほうの手番になってしまっています

戦闘ルール

移動フェイズ終了後に同一エリアに敵味方が存在した場合に戦闘が発生します。
移動フェイズはプロットによる1回だけでリアクション移動などはありませんので、プロット時点で読みに失敗すると、相手を捕捉できずに空振ったり、逆に奇襲状態になったりといったことがあちこちで発生します。陸続きの欧州戦域はそれでもまだ戦線らしきものが存在し、また陸軍ユニットは基本隣接エリアにしか移動できないため、”読み”がしやすいのですが、2エリア移動できる海軍部隊などは、けっこう大変です(ここでもアクション数の制約から、全てのスタックを移動できないという点もあります)。

陸海空の各ユニットについては各国ごとの性能差・兵の質・技術力の差といったことは全くありません。
独ソの戦車部隊と日本軍の戦車部隊は同じ強さです。日本軍の航空部隊が強いとか、中国軍やイタリア軍の歩兵はすぐ逃げるといったこともありません。どの国のユニットも数が同じであれば同じ強さであらわされます。

戦闘は戦闘が発生したエリアに存在する両軍の全ユニットを専用のシート上に並べて解決されます。
兵種毎に定められた攻撃力をすべて合算した数ぶんの専用十二面ダイスを振ります。一度の戦闘で最大30個のダイスを振ることができます。このダイスの各面は数字ではなく、色が表記されており(黄・緑・赤・青・黒・白)、色ごとに集計された数が、相手に与えた損害のステップ数になります。 
以上からもわかるように通常のウォーゲームにあるような戦闘結果表のようなものは存在しません。
実際はこれに、対空戦闘や対地・対艦戦闘などによる修正、防御モードと攻勢モードによる変化などのルールが加わりますが、専用シートの上で全て図示されていますので、スムーズに解決することができるようになっています。

生産

生産は資源を用い、工場のイラストがあるエリアで実施できます。日本の場合は日本本土エリアと、華北/北京エリアが対象です。
兵種により定められた資源を消費することにより生産を行い、次ターンには登場させることができます。歩兵も航空母艦も同じです。航空部隊についても資源さえ投入すれば生産できます。

資源については前述のように資源を算出するエリアを占拠していると自動的に入手できます。最も大事な「石油」について言えば、日本はボルネオ、スマトラといったエリアから入手できます。

初期設定

写真は初期配置時のものですが、お気づきかもしませんが日本軍が南方に展開しています。そう、本ゲームの第1ターンスタートは1942年なのです。
フランスは脱落し、独ソ戦は始まっており、日米は開戦した状態で始まります。日本がいつ参戦するのか、北進か南進なのか、ドイツは対ソ戦をはじめるのか、イギリス上陸を試みるのか、アメリカはいつ参戦するのかといった難しい開戦時・参戦時の難しいタイミングが終わったところではじまります。
これによって、太平洋戦争劈頭の日本軍の爆発的な進撃を特殊ルールで再現する必要もなく、独ソ戦開始やアメリカの参戦ポイントに関する特別ルールも特に設けられていません。日ソ中立条約破棄についてはペナルティが定められており、国民士気が一挙に6ポイント下落します(日本は国民士気が7ポイント下落すると、厭戦レベルが1レベル悪化する)。
日本軍の配置を見ると、ゲーム開始時にすでに、南方はすべて占拠済でニューギニアに陸軍部隊が進出しています。部隊配置はないもののマーシャル諸島ギルバート諸島も日本軍占領下にあります。
史実と比較すると、日本軍が最大進出点に達したあたりかな、といった印象です。

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ルール自体はそれほど難しいものではありません。この時も当方も含め、その場でインストを受けてプレイを行うことができました。
プレイの内容は次回にて紹介します。

 

 

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