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「CONQUEST & CONSEQUENCE」(GMT)を対戦する

第二次世界大戦における太平洋戦域・東アジア戦域を扱ったキャンペーンゲーム「CONQUEST & CONSEQUENCE」(GMT)を対戦しました。
評価が高いトラトラこと「Triumph & Tragedy: European Balance of Power 1936-1945」の太平洋戦域版です。1作目のトラトラと同じくプレイヤーは3人になります。太平洋戦域で3人プレイかっ!? と思ったのですが、次の3勢力になります。

 

Conquest and Consequence final box cover art

 

 

ゲーム概説

ゲームのスタートは日中戦争が発生した1936年。1年1ターンですが、1年の間、春フェイズ・夏フェイズ・秋フェイズと3回移動や戦闘を行うタイミングがあります。

 

Conquest and Consequence Map by Charles Kibler

マップは太平洋全域が収められています。日本とアメリカ大陸が近く見えますが、太平洋の中でも色が濃い海域は所要移動力が通常の海域の倍になっていますので見た目ほど近い訳ではありません。
エリアの中でも人口が多い、資源があるといったエリアを獲得することにより、人口ポイントや資源ポイントが増加し、国力増強に繋がります。

 

積み木ユニットです。積み木は手に持った感触がいいですね(いつも言っている)。日本軍:黄色、アメリカ軍:カーキ色、イギリス軍:青、ソ連軍:赤、国民党軍:緑色、共産党軍:紫色です。
相手方からは戦力面は見えませんので、相手が陸上部隊なのか艦隊なのか航空部隊なのかは戦闘にはいるまでわかりません。

 

ユニットと戦闘ルール

ユニットは歩兵(軍団~軍レベル)、戦車(師団?)、海兵隊・陸戦隊(師団レベル?)、航空部隊、艦隊、機動部隊、潜水艦、パルチザンなどに分かれています。海兵隊・陸戦隊は強くはないのですが、補給が切れても自活できるため、島嶼防衛には最適です。また通常の陸上部隊にはできない、敵前上陸が可能です。*1

敵味方のユニットが同一エリアに存在した場合に戦闘が発生しますが、兵種により戦闘解決の順番と相手との相性による修正が定められており、兵種による特徴を表しています。

戦闘解決自体は攻撃を行うユニットの数分のダイスを一斉に振って、決められた目が何個出たかによって相手に与える損害がわかるというものです。豪快なダイス振りが行われることになります。

 

カードプレイ

各ターンの冒頭にはカードプレイがあり、各勢力毎に定められた手札制限枚数になるまで「外交カード」か「技術カード」をドローします。

外交カード」には中立エリアのエリア名が書いてあり、同じカードを3枚集めるとそのエリアを外交的に支配下においたことになります。中国国内の各エリアや、東南アジアの国々などがこうした外交的な争奪の対象となるでしょう。もちろん他プレイヤーの行動を邪魔するようにカードを処理することも可能です。
ゲーム開始時、蘭印は資源に恵まれているにもかかわらず中立エリアに指定されていますので、開戦に先立って外交的に押さえにかかるという作戦があるようです。当然、敵勢力から邪魔はされるでしょう。

「技術カード」では、自国の生産力向上(工場の増設)をはかることもできますし、また同じ種類の技術カードを集めることにより軍事技術の開発を行うことができます。「レーダー」「ソナー」「対空兵器」「爆撃精度」といった技術を開発することにより戦闘解決時に有利になります。
例えば日本軍は素の状態で艦隊戦を行った場合、命中率が連合軍より有利なのですが、「レーダー」を開発されると逆に連合軍のほうが有利になります。
技術開発のひとつとして「核兵器」も登場します。

 

第1戦ーソ連軍を担当

トラトラ初プレイだったのもあってソ連軍を希望しました。
本ゲームにおけるソ連軍は満州の北側にマップ端に張り付くようにテリトリーを持っています。それ以外に中国共産党を操作しますが、共産党軍は1936年時点では中国北西部の西安に拠点を持つだけの弱小勢力に過ぎません。
共産党軍の他国にはない特徴としてパルチザン八路軍?)を 発生させることができます。パルチザンは日本軍の占領地に発生するため、日本軍は中国国内の占領エリアについていくらかの守備隊を張り付かせておかなければならないことになります。

開始直後の様子。中国大陸は揚子江以南に国民党軍(緑色)の大軍、満州付近から朝鮮に日本軍(黄色) が駐留。共産党軍(紫色)は西安に細々と軍を張る。

 

日本軍は共産党軍の本拠地を襲い、ほとんどを駆逐している。共産党軍は華中にパルチザンを湧かせているが(Pマークがはいった紙マーカー)、占拠するエリアをもたないためジリ貧状態になった。
この後、日本軍は中国奥地からこのゲームにおけるソ連軍の本拠地であるノヴォシビルスクを襲ったが、これはさすがに退けた。代わりにウラジオストックを占拠するという北進策をとった。

 

第2戦ー日本軍を担当

日中戦争開戦

日本軍はゲームバランスとしては良くないのですが、3勢力の中では最も楽しい、と聞き及び、担当することにしました。

スタート直後、日本軍の主力は本土と満州、小規模な軍隊が台湾・いくらかの南洋の信託統治領にいるだけです。国民党軍とは開戦した状態にあります。

ゲームスタートとともに関東軍主力は揚子江を超えました。
上海事変か盧溝橋事変を受けた日中戦争の開始といったところでしょう。優勢な航空隊、また海上に展開した機動部隊や戦艦を擁した艦隊の支援を受け、日本軍は国民党軍を退けます。*2
中国大陸では人口ポイントは獲得できるのですが、資源ポイントの獲得は難しいです。史実と同様、いずれかのタイミングで日本軍は南進策を取らざるをえないのです。ただ大陸の部隊はがっぷりと中国軍と四つに組んでいる状態。なかなか戦力を割くのは難しいのもまた事実です。
もうひとつのポイントはいつ米英と開戦するか、になります。最初の攻撃のみは真珠湾攻撃を受けた奇襲ルールはあるのですが、いざ開戦となると戦線が一挙に広がる訳ですから、それなりの覚悟が必要でしょう。
日本軍はこうして史実と同じようなジレンマを抱えることになります。

日米開戦、即艦隊決戦!

緊張状態のまま1941年秋を迎えますが開戦には至りません。日本軍は支那派遣軍の一部の抽出し、南方派遣のため台湾に集結させています。本当はもっと兵力を集めたかったのですが、叶いませんでした。アメリカ軍の大艦隊が日本近海、硫黄島の内側まで接近しようしていたため、艦隊の整備が急務となったのです。

ゲーム開始当初時点で、日本軍は優秀な見張員を抱えているということで艦隊戦においてアメリカ海軍とくらべて有利な修正を得ることができます。ところがアメリカ軍がレーダー開発に成功するとこの日本軍のアドバンテージは失われることは既述したとおりです。
目の前に現れたアメリカ海軍はレーダー開発済でした。日本軍はカードドローを技術カードに集中しレーダー開発を試みます。技術開発は同じカードを2枚獲得することで開発を宣言できるというものです。日本軍はすでに1枚のレーダー技術カードを保有していたため、もう1枚のカードが必要という状態でした。仮に日本軍がレーダー開発に成功した場合、ふたたび日本艦隊はアメリカ艦隊に比べてアドバンテージを得ることができます。

日本軍によるレーダー技術開発とアメリカからの宣戦布告は同時でした。アメリカ海軍は日本本土に展開する日本の連合艦隊に艦隊戦を挑みます。艦艇(艦隊・機動部隊)の数はほぼ同数、日本は本土から出撃する基地航空隊の分アドバンテージがありました。そこへレーダー開発の成功です。日本軍は有利なダイス修正もあり、ほとんど損害を受けることなくアメリカ太平洋艦隊の侵攻軍を全滅させます。

本ゲームのゲームシステムはユニットの数分、ダイスを振り、一定の数字以上の数字がでると相手ユニットのステップをへらすことができるというシステムです。こうしたシステムの特徴として最初は同数で戦闘を始めた軍隊の場合も一度どちらかに形勢が傾き始めると劣った側は急速に勢いを失うのです。

南方作戦!

開戦とともに台湾・沖縄・本土にいた部隊はフィリピン、蘭印、マレーシア、シンガポールに攻め込みます。小笠原沖の海戦へ艦隊ユニットが供出させられていたため、南房侵攻を行う日本軍の輸送艦隊は丸裸同然の姿で東シナ海を南下します。幸い、アメリカ・イギリス軍側も艦隊を集結していたことから、妨害を受けることなく、日本軍の陸上部隊が上陸していきます。日本軍の数は少ないのですが、米英軍の数はさらに少ないため、空白地帯に等しいエリアの占拠に成功していきます。このあたり、くしくも史実と同じような状態です。
マレーシア、シンガポールにてイギリス軍を退け、小規模なイギリス東洋艦隊も全滅させます。
蘭印には敵軍はなく難なく資源エリアを確保します。フィリピンにはアメリカ軍の反撃部隊が上陸してきたのですが、日本の南遣艦隊によって海域封鎖により補給切れ陥落します。

再び現れるアメリカ太平洋艦隊

その頃になると日本の生産力がアメリカと拮抗するようになりました。ところがアメリカ軍はその前に2セット目の大艦隊を組織し、再び日本近海に押し寄せたのです。日本海軍は前回の艦隊決戦時の損害をようやく回復しようとしたところ。アメリカ軍の回復の早さに舌を巻いたのでした・・。いざ第二次小笠原沖海戦か!

というところで、それまで高みの見物を決め込んでいたソ連が「平和の恩恵*3」によるポイントを積み重ねることによってサドンデス勝利を宣言したのでした。

 

第2戦終盤。
日本軍は中国大陸を離れ東南アジアの主な資源エリアを確保。アメリカ海軍の大艦隊を太平洋上に迎え撃ち、1回目はワンサイドに近い大勝利を収め、新たに艦隊が送り込まれたところ。
この時点で日本軍の生産力はアメリカ軍を上回っていたため、この艦隊決戦の結果次第では大きくゲームが傾くところであった。
が、勝者は日米が戦闘を続けているうちに中国大陸奥地を南北に縦走、さらに「外交」によりベトナムを占拠したソ連だった。

 

感想戦

ゲーム性、プレイアビリティの点で素晴らしいゲームだと思います。1~2度経験したくらいでは味わいつくせない深みと作戦研究の余地があると思います。他にプレイするゲームがなければじっくりと取り組みたいと思わせるそういうゲームです。

ヒストリカル性重視であれば、いろいろ気になる点はあるかもしれません。第一、3勢力による対立構造というのはけっこう歪んでいるように感じます。歪められて遠近感が壊されるようなマップもあります。もっとも、日本にとってやはり重要地域は中国で、南西太平洋なんかに攻め込む必要性はなかったのではないかと気づかせてくれる点は(ありがちですが)、良いですね。なにしろソロモンやニューギニアには資源や人口ポイントを得られるようなエリアはないため、攻め込む理由はないのです。それでも史実の日本軍がそこに勢力圏を広げたということからその理由を探ることで、逆に太平洋戦争の本質に迫ることができるかもしれません。
また機会があれば取り組みたいゲームですが、すぐに、というまではないかな。

 

(おわり)

 

*1:日本の特別陸戦隊が強くないのは当然なのですが、強くないアメリ海兵隊というのは新鮮でした。

*2:このあたりまだ戦闘システムに慣れていないこともあり、効率がよい部隊運用や、戦闘処理ができていない。

*3:戦争状態にはいることなくターンを過ごした勢力は「平和の恩恵」ということでポイントを得ることができます。