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「SMOLENSK」(MMP)を対戦する(2/2)

MMP社の作戦級ゲーム「OCS」(OPERATIONAL COMBAT SERIES)の中の一作で、独ソ戦初期の中央軍集団における戦いを扱った表題ゲームを4人対戦しました。

 

 

 

作戦計画

ソ連軍の北部戦線を担当。
エリアは、モスクワ街道を含む北側となりました。

勝敗は勝利ポイントの対象の都市・町の確保数によって決まりますが、シナリオ5では独ソとも確保中の町に加え追加1箇所の争奪によって決まるというシビアなものになることが予想されました。

担当する北部戦線でドイツ占領状態の勝利ポイントの対象の町というと、スモレンスクかドゥホフンチーナしかありません。スモレンスクにはドイツ軍の強力な航空基地と守備隊が配置されていますので、現実的な目標は後者ということになるでしょう。
そのいっぽう担当エリア内でドイツの攻略対象となりえるソ連軍確保下の勝利ポイント対象の町となると少なくありません。モスクワ街道沿いのヤールツェヴォ、サフォノヴァ、街道北側のジャルコフスキー、ベールイも対象です。むしろ町の奪取よりも奪取されないように防御を考慮すべき状態であることがわかります。

シナリオ5の初期配置状態と作戦想定。ソ連軍(黄土色)、NKVD(赤)、ドイツ軍(明灰色)、武装親衛隊(黒)。
史実では、このシナリオ期間中にソ連軍が南部戦線のエリニャの町を奪取したことを考慮すると、モスクワ街道沿いのヤールツェヴォを持久しつつ、エリニャ攻略を支援するために一定のドイツ軍を誘引するため北部戦線での攻勢を実施。目標はドゥホフンチーナというところでしょう。

 

ジャルコフスキーからドゥホフンチーナ付近まで鉄道が敷設されている点はポイントです。OCSのでは補給ルートとして鉄道は道路よりも高く評価されています。補給エリアは司令部を中心に展開することができるため、鉄道沿いに司令部ユニットを前進させることで補給エリアは前進し、前線の押し上げにつながります。

掛け声だけは威勢良かったソ連軍北部戦線の将軍氏ですが、よくよくマップを見てみると、ジャルコフスキーからドゥホフンチーナの途中にはドイツ軍の精鋭装甲師団1個が位置しています。ベールイからドゥホフンチーナへのルートは一見開いているように見えますが、ドゥホフンチーナに厚いドイツ軍スタックが置かれています(マップ写真ではスタックが高すぎるので4つに分けられて置かれている)。さらにドゥホフンチーナ後方には「予備(Reserve)」マーカーが置かれた、これまたドイツ軍の装甲師団1個が控えているのです。予備に指定されたスタックは、ソ連軍が動くとするとすぐさま前線に駆けつけることができるでしょう。

ジャルコフスキーからより西方の町/村であるデミドフやヴェリジへ迂回するという策はドイツ軍の守備も薄いため良策に見えますが(上記、マップの赤点線のルート)、ソ連軍の補給能力からジャルコフスキーから進出すると、ちょうどデミドフやヴェリジのところまで補給線を伸ばすのがせいぜいで、それ以上の延伸ができないのです。このためこの迂回ルートは助攻にはなっても主攻にはなりえません。

なによりもソ連軍の最大の問題は、主力である歩兵師団の多く、また戦車師団/連隊のほとんどのAR値が0や1、良くて2、ごくたまに3がいる状態なのです。このためいかに兵力を集中させたとしても、AR値が4や5であるドイツ軍に攻撃を仕掛けた場合、OCS特有の「奇襲効果」がかなりの高確率で発動し、大きく戦力比を悪化させた形での攻撃、自滅的な攻撃を強いられる懸念が高いのです。

ポイント:奇襲ルール

OCSの陸上戦闘は戦力比による戦闘解決表で解決するのですが、直前に必ず奇襲チェックを行います。
奇襲チェックでは、攻撃側と防御側のAR値が修正値となり2D6により判定を行います。攻撃側奇襲だけではなく、結果によっては防御側奇襲と判定される場合があり、奇襲に成功すると、1D6の結果の数分、戦力比による戦闘解決表のコラムが攻撃側有利、または防御側有利な方向にシフトされます。
攻撃側のソ連軍スタック内のユニットの最高AR値が1、防御側のドイツ軍スタックのAR値が5であった場合、奇襲チェックの修正値は1ー5=△4。
この状態で奇襲チェックを行うと、ソ連軍の奇襲成功率=0%、ドイツ軍の奇襲成功率=83%(2D6で9以下)。奇襲成功の奇跡を信じるよりも、逆襲に遭うリスクを心配するに余りあるような悪い確率です。

防御側の奇襲が成功(=逆襲される)すると、1D6分、戦闘解決表のレートが悪い方にシフトされ、さらにはさきほどのAR値の差額が地形修正などとともに適用されるのです。

ソ連軍が考慮するべきもうひとつの要素は、ソ連軍の主力である歩兵師団の足の遅さでしょう。戦闘力を犠牲にして移動モードに変換することでであれば幾分は解消されるとはいえ、戦闘モードの際の移動力は1~3といった数値です。さきほどベールイからドゥホフンチーナへのルートは開いていると書きましたが、ソ連軍の歩兵師団の移動力では、柔軟な機動は難しいでしょう。

 

1941年8月8日~同年8月18日

先攻はシナリオの指定によりソ連軍。

モスクワ街道沿いのヤールツェヴォはモスクワ街道沿いでスモレンスクの正面にあたる町。ドイツ軍の攻撃が集中することは必定であるため、守備を固めます。ただしOCSの常としてひとつのヘックスのスタック値を高めるように動くのは避けたほうがよいです。砲撃や爆撃といった攻撃では、スタック値によってダイス修正が適用されるため、高スタック状態のヘックスは簡単に損害を受けることになります。今までプレイしたOCSでも高スタック値のヘックスへの砲爆撃に何度泣いたことでしょう。

ポイント:砲爆撃

高スタック値のヘックスは砲爆撃の目標になりやすい。高スタックのソ連軍ヘックスはマップ全体の空を徘徊する強力なルフトヴァッフェの目標になるぞ!

北部戦線ではソ連軍はドイツ軍前線に近いところで展開するものの攻勢はとても行える状態ではありません。

歩兵師団や戦車師団といった正面戦力は数は揃っていても内実が寂しいソ連軍ですが、砲兵旅団の数はドイツ軍の砲兵部隊の数を上回る勢いで存在します。
さらには不思議とソ連軍の補給ポイントは積極的に砲撃を実施できるほどには潤沢なので後々の攻勢作戦のために補給ポイントを残したとしてもまだ砲撃に充当できるだけのポイントが供給されます。これは撃つしかない!

砲兵部隊による砲撃によって相手ユニットに損害を与えることは難しいのですが、「DG(混乱)」状態にさせることは難しいことではありません。特に、攻撃を実施しようとしている相手ユニットに対して「リアクションフェイズ」に砲撃を行い、「DG」状態に陥らせ、攻撃の出鼻をくじくのは常套手段になるでしょう。

ただし「DG」マーカーは相手プレイヤーターンの終了時に除去されてしまうため、砲撃を行うタイミングは考えたほうがよいです。せっかく補給ポイントを使ってまで砲撃を実施したにもかかわらず、一時的に「DG」状態にするだけで、すぐに回復されてしまうようではポイントの使い損になってしまいます。

ポイント:砲兵ユニット

相手の移動や攻撃準備に対応して砲撃を行うことができるようにするために砲兵ユニットを「リザーブ」状態にしておくのは定石。ただし射程内に敵スタックがいるから、とむやみに砲撃をしてもすぐに回復されてしまうことが少なくないので砲撃のタイミングは要注意。
攻撃態勢にはいったスタックに対して砲撃を行うのがベストタイミング。

 

第2ターンあたりの状況。
包囲されるヤールツェヴォのソ連軍と、ドゥホフンチーナ周辺の強力なドイツ装甲師団の状況。
後からの振り返りとして、ドイツ軍が前面戦力を強制的にキエフ攻略中の南方軍集団に転用するために除去される前のこのタイミングまでに、損害を顧みずにモスクワ街道北側の平原を装甲師団を中核とした部隊で強引に突破するべきだったのではないかという意見が出ていました(たとえば点線矢印部分)。南側は地形が複雑で森林などもあるため、突破戦闘を行うのはココではないかということですね。

それを考えると、ソ連軍も点で守るのではなく、スタックは崩して面で守るべしということでしょう。ソ連軍の戦車師団の姿もありますが、残念ながらAR=0の急遽錬成された部隊ですので、防御にはまだ使えても精鋭のドイツ軍への攻撃には使えません。

 

南部戦線の状況
ロスラヴリやクルィチャウといった付近にもソ連軍ユニットが出没しており、ドイツ軍は歩兵師団を連隊単位に分割することで戦線を形成している。
エリニャはドイツ軍の占領下にあったが、見方によっては突出部となっており、エリニャ突出部の南辺はソ連軍の攻撃にさらされる状態にあったといえる。
とはいえ、強力なドイツ軍兵力がロスラヴリに終結していた。

 

1941年8月19日~

このターン、ドイツ軍は前線の部隊の半分強が引き抜かれます。総統命令により、引き抜かれた精鋭装甲軍団キエフ包囲戦に投入されることになったのです。これにともないソ連軍も相当数のユニットが抜かれるのですが、すでに除去されたユニットも除去されるユニットの数にいれることができるので、初期状態からほとんどのユニットが生き残っていたドイツ軍ほどの惨状にはならずにすんでいます。いずれにせよこれまでソ連軍の前進を阻んでいたドイツ軍装甲師団のあちこちがいなくなったのでした。

 

アングルが変わっているが北部戦線。
ジャルコフスキーからドゥホフンチーナ間の鉄路上にいた装甲師団、ドゥホフンチーナの後方で待機していた装甲師団などが転進している。
包囲されていたヤールツェヴォの包囲部隊も薄くなっている。

 

終局

結局、2日間をかけて8ターン(’ゲーム内日数にて28日間)進みました。
北部戦線は当初の想定通り町ヘックス1個の奪取に向け進行し、ドゥホフンチーナの周囲には達することができた。ただこの後、攻撃を続けたとしてもドゥホフンチーナを陥落させるまではもうひと押しが足りない印象です。

OCSは作戦級ゲームとしては若干クセがある印象を受けていますが、それでも今、じっくりと取り組むことができるルールが共通化されたシリーズ作品として魅力的です。今回のゲームを通して、ルールの理解不足を痛感しながらじっくりと取り組みたいと強く思いました。という訳で、プレイは終わったのですが、シリーズ共通ルールを読み返しています。(まぁ、昨年はじめにMMP社のデッドストックセールで買い込んだ未開封OCSがいくつもあるのも事情ですが)

 

今回対戦の最終局面。
師団を連隊単位に展開できるドイツ軍に対し、ソ連軍はそんな器用な部隊運用はできないため、師団単位で展開するしかない。この曲面ではソ連軍はスタックを崩し、ドゥホフンチーナを大きく包囲するように展開しようとしている。が、この状態のままで町の陥落まで行くには戦力が足りないだろう。戦力を引き抜かれてもドイツ軍の守りは堅かった。
南部戦線ではエリニャを攻撃しようとするが、なかなかうまくいかない状態にあった。
AR=5(ARの最高値)をもったドイツ軍の自動車化歩兵連隊数個が暴れまわり、ソ連軍前線を混乱に陥らせていた。AR値の差が3や4もあると、なかなか相手を留めることすらできない。

(終わり)

 

 

第三装甲集団は今回の戦域ではモスクワ街道より北側を進んだ。南側をすすんだグデーリアンとの仲はあまりよろしくなかった模様。