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「コレヒドール 1945」(国際通信社)を対戦する(2/2)

エリアインパルスシステムにより末期フィリピン戦におけるコレヒドール島の戦いを扱った「コレヒドール 1945」(国際通信社)を対戦した。日本軍を担当。

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初期配置

日本軍は初期状態で地上にはトーチカのみが配置され、部隊ユニットはすべて地下壕を表す隠匿ボックスから開始する。

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第1ターン

昼間フェイズ

アメリカ軍の初手は島中央部にある飛行場エリアへの空挺降下となっている。*1
降下判定が行われ、運が悪いと部隊に損害が出たり、ターン内はそれ以上行動ができない状態(行動済)となる。

 

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日本軍にとってはやっかいなのは降下後、行動済とならず表向きのままとなった部隊で、その後のインパルスで移動や戦闘などの行動を行うことができる。

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空挺兵の一部隊が降下した飛行場と上陸部隊が上陸する海浜エリアとをつなぐエリアに進出(上記、赤破線矢印)。
日本兵が展開しないうちにエリアの確保のため飛行場周囲のエリアを占拠しはじめる。

海浜エリアは島で唯一揚陸ができるエリア*2に次々と揚陸部隊が上陸しはじめる。上陸チェック時には隣接するエリアに機関銃ユニットが存在すると成功チェックのダイスの目に修正を施すことができる。機関銃ユニットは同様に空挺降下を行う空挺兵ユニットに対しても対空射撃により成功チェックを悪化させるなどゲーム中、非常に有力なユニットとして扱われている。

海浜エリア近くに機関銃部隊を集中した結果、上陸部隊のチェックの失敗が多くなり、上陸できなかったり、活動済に陥る部隊が続出する。これはこのまま夜間ターンに海浜エリアに浸透し、バンザイ突撃(夜間斬り込み)ができるのではないかと目論んだ。

 

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島中央の飛行場エリアと上陸部隊が揚がった海浜エリアをつなぐ回廊のようなエリアをアメリカ軍に取られたのが痛く、日本軍はこれ以上のアメリカ軍の展開を防ぐべく派手に部隊を展開している。が、これは地下壕に留め置かれた予備部隊が少なくなることでもあった。

 

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アメリカ軍はある程度インパルスが進むと「アドバンテージ」を使用し、「インパルストラックのリセット」を宣言する。これによりそこまで活動済であった両軍ユニットはすべて活動未済の状態に戻る。いやらしいのは砲撃を実施できる砲兵隊も戻ることだ。さすがに空爆と艦砲射撃が活動未済に戻ることはないのだが、それでもここまで攻撃を実施してきたアメリカ軍部隊がまた再度攻撃を実施するというのは、ショックが大きい。日本軍は有効な手を打ちにくいのだ。

その後、”もう1回ずつ”攻撃を行ったところで、おおよそ行動が終わったところで夜間フェイズに移行する。

 

夜間フェイズ

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日本軍は一日目の上陸作戦で行動済の部隊が積重なっている海浜エリアのアメリカ軍に対して周囲の複数のエリアから連続して、浸透・斬り込み作戦を実行する。まさに水際撃滅の夜襲だ。二日目になるとまた新たな上陸部隊が登場することを想定すると、このターンが最初で最後の機会かもしれないのだ。

アメリカ軍も予め攻撃を見越して部隊を厚めに配置していたこと、個々のユニットの戦闘力ではアメリカ軍が優位であることなどから、勇戦の結果、日本軍の連続的な斬り込み作戦は失敗した。日本兵達は多大な損害を与えたものの、アメリカ軍を押し返すまでには至らず、また元の陣地に戻っていった。

 

第2ターン

昼間フェイズになると後続の空挺部隊と上陸部隊が姿を表し、アメリカ軍の強化が図られる。地上に姿を表した日本軍は空爆と艦砲射撃の恰好の目標となり、スタックが集中しているエリアを中心に、執拗に攻撃を受ける。

いくつかのエリアで戦闘が起き、孤立した日本軍部隊は押し包むようアメリカ軍に追われ除去されていく。

飛行場のアメリカ軍部隊は北方に進出する。アメリカ軍は日本軍の弱い箇所を中心に勢力範囲を広げ、島内の日本軍はその占拠エリアを分断されていく。
飛行場エリアと上陸部隊がいる海浜エリアが繋がったことにより、部隊の相互移動が可能となり、アメリカ軍は島中央部に対して協力な装甲部隊などを送り込み始める。

このターンでもまたアメリカ軍は、アドバンテージにより「インパルストラックのリセット」を宣言。2周目の攻撃が実施される。

夜間フェイズにはいくつかのエリアで浸透・斬り込みを実施し、さらに一部ではアメリカ軍を押し返すことにも成功するが、複数のアメリカ軍部隊がスタックしたエリアに対しては戦闘力差を考え、ほとんど手も足もでない。

 

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飛行場エリアから北方(写真下方向)に進出したアメリカ軍部隊は猛攻撃により、島北端エリアを奪取。これにより日本軍は勢力範囲が実質3分割されてしまった。
夜間ターンに海浜エリア付近の部隊が連絡をとろうとするが、強力なアメリカ軍部隊により阻止された。

 

第3~第4ターン

アメリカ軍は北方の孤立気味の日本軍へ集中攻撃を開始する。日本軍に押し止めるだけの力はなく、包囲され数度の攻撃に晒され続ける。

つづく第4ターン、包囲され次々と部隊を失った被包囲エリアの部隊は最後、爆薬を使って自分の身とともにアメリカ軍数個を道連れにした。*3

ここでアメリカ軍に対抗する術がないと、投了。

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第3ターン終了時。
北方(写真下方向)側で山間で包囲された日本軍部隊。第4ターンも彼らへの攻撃は続き、最後は爆破攻撃で最期を遂げた。
分断された日本軍に強力なアメリカ軍を押し戻す力はないと投了。

 

感想戦

日本軍の戦い方は研究の余地がある。アメリカ軍の進出を抑えるため薄く展開してしまったが、もとより戦闘力に劣る日本軍がアメリカ軍に対抗するためには戦力の浅薄化は得策ではない。
また今回、まんまとアメリカ軍による戦力分断作戦に乗ってしまったが戦力を分断しすぎるのも得策ではないだろう。
戦後、アメリカ軍プレイヤーにより海浜エリア近くに有力な日本軍ユニットを釘付けにできたのはよかったといった趣旨の意見をもらっていることからも、日本軍はどこでどのように戦うのかをはっきり見定めることが重要と見た。

比較的短時間で終わらせることができるゲームでもあり、また機会があれば挑戦したい。

(おわり)

 

 

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*1:史実ではこれが日本軍の裏を完全にかくことになり、奇襲状態となったという。ゲーム内でも奇襲効果を反映したルールが用意されている。

*2:1942年に日本軍がこの島を攻撃した際もここから上陸した。

*3:選択ルール。ゲーム中、2回のみエリアを爆破することができる。史実では最後の攻撃とばかりに準備をするが誤って地下壕の中で爆破してしまい、数百名の日本兵がそれにより失われたという。