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「The Korean War」(Compass Games)を対戦する[1戦目](2/2)リプレイ

「The Korean War」(Compass Games)を対戦しました。
ダイスの目により、当方は国連軍、Dさんが北朝鮮軍を担当しました。

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「National Geographic」より

 

選んだシナリオはシナリオ5「敗北を勝利へ:Defeat into Victory」。
1950年6月にはじまり同年10月(第5ターン)までを期間とします。
史実に照らせば、第4ターンの後半(第2アクティブフェイズ)に国連軍による仁川上陸が行われ、そのままソウル奪還。第5ターンには38度線を越えた国連軍は北上を続け平壌を占領します。ところが同じ第5ターン後半にあたるい第2アクティブフェイズには今度は中国「義勇兵」が中朝国境を越えて南下してくる*1といういわばシーソーゲームのようなシナリオです。

今回、両プレイヤーとも初めてということで国際情勢を扱った上級ルールは不使用としました。

 

ゲームシステムの紹介は次の記事

 

 

プレイ

1950年6月(第1ターン)

北朝鮮軍は波状的な攻撃によりソウルに迫るも、韓国軍も善戦する

史実では開戦日は6月25日で、3日後の6月28日にはソウルが陥落しています。本ゲームのスケールでいうと、第1ターンでソウル陥落まで行ったということになります。

開戦が月末近くであったということから、第1ターン(1950年6月)は通常2回実施されるアクティブフェイズが1回だけに限定されます。さらにはアクティブフェイズの中で活性化されたユニットは通常は活性化ポイントを3ポイント持つのですが、第1ターンだけは2ポイントになります。

史実通りである必要はないのですが、第1ターン内でのソウル占領はひとつの目安になりそうです。

第1ターンと第2ターンは特別ルールが用意されています。
ひとつは通常の補給ルールを適用しないというルールです。これは今後、補給確保に苦しむ北朝鮮軍にとって有利なルールとなり、補給所からの距離を気にせずに攻勢作戦を続けることができることになります。

もうひとつは開戦時の奇襲効果により国連軍(韓国軍)は、ひとつのユニットも活性化できないまま北朝鮮軍側にイニシアティブを渡さざるを得なくなる場合がでてきます。
これは由々しき事態で、北朝鮮軍の侵攻に対して、なんらのリアクションも行うことができないまま、相手に手番を渡すことになり、場合によっては、”ずっと北朝鮮のターン”状態になります。

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開戦時の両軍配置。本ゲームにおいて初期配置は全て決まっており自由配置の余地はありません。韓国軍(水色)のユニットは連隊規模(2-1-2または1-1-1:攻撃力-対戦車力-防御力)であるのに対し、北朝鮮軍(黄橙色)は師団規模(12-3-7)。この時点で戦車大隊(8-2:装甲戦闘力-対戦車力)が3個、いくつかの師団ユニットにスタックする形で展開しています。

 

このゲームで用いるダイスは10面ダイス1個。
これが結構くせ者で、ダイスの目による結果の振れ幅が大きい印象です。
ゲームを通して、両プレイヤーとも”満を持した”ダイス振りがいともたやすく想定外の方向に振れてしまうことがゲーム中、たびたび発生することになります。

 

第1ターン内にソウルを陥落させるにはいかに多くのユニットをソウルに隣接する位置まで進出させ、”隣接したユニットはそのユニットが活性化済であったとしても、攻撃に参加することができる”というルールを用いて一斉に攻撃を行うことを目指すのです。

その意味で、議政府からソウルへ続く街道沿いに侵攻する北朝鮮軍2個歩兵師団とそれぞれ随伴した戦車大隊による攻撃は成功する必要がありました。

まず隣接しあった2個歩兵師団のうち一個が活性化され、1活性化ポイントを使い、通常攻撃を宣言。隣接した韓国軍歩兵連隊に対する攻撃を行います。北朝鮮軍は攻撃する歩兵師団の隣にいる歩兵師団と戦車大隊も攻撃に参加させることができるため、2個歩兵師団により攻撃となります。
結果は韓国軍歩兵連隊の除去。すぐさま戦闘後前進により1ヘックス前進。続いて残る1活性化ポイントを使って続いて隣接した韓国軍歩兵連隊1個に対し、通常攻撃を宣言します。

ここで戦闘結果によりこの歩兵連隊を除去できていれば、議政府からソウルへの街道にはさえぎるものはなくなりますので、1個残っている活性化していない歩兵師団は邪魔されることなくソウルへ隣接する位置まで進出したことでしょう。
だが結果は除去に至らず・・。
ソウルへの道は拓かれず、2個目の歩兵師団は仕方なくこの踏みとどまった韓国軍歩兵連隊ユニットを攻撃、除去とします。

最初似攻撃を行った歩兵師団による、2度目の戦闘は、北朝鮮軍歩兵師団戦闘力12、対する韓国軍歩兵連隊2という状況からするとオッズは6対1。しかもこの歩兵師団は戦車大隊も随伴していたため、通常戦闘の前に、装甲戦闘を行うことで有利なダイス修正を行うこともできました。
韓国軍歩兵連隊を除去する可能性は十二分にありました。

その後も、(北朝鮮軍的には)思ったように侵攻できずにソウルの1ターン目陥落は成せませんでした。一方の韓国軍は、着実に連隊ユニットが除去されていたことには違いはありません。

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開城方面から侵攻した北朝鮮軍歩兵師団はソウルに近いところまで侵攻を成功させますが、議政府方面からの2個師団は韓国軍の激しい抵抗に逢い、ソウルにたどり着けませんでした。
代わりに春州方面から1個師団が大きく進出中。また開城付近には後方の平壌からの増援の師団が進んできています。

 

韓国軍は防衛のための連隊を集結させるのが手一杯。ソウルも次のターンに陥落するのは必至の情勢のため、どこまでソウルに固執するのか、またソウル陥落後の防衛線をどこに引くのか決めかね、中途半端な部隊展開になっています。

なお赤いチップは仁川とソウルが占拠することで勝利ポイントをカウントする対象都市であることを示しています(占拠中の毎ターン加算していく)。

 

1950年7月(第2ターン)

ソウル陥落、漢江を突破されると拠って立つ地形はない

南進を開始した北朝鮮軍約10個師団中、8個がソウル周辺に集結しています。
EPC/SSG版と異なり中央部の山地や東海岸は移動がしづらいためどうしても主力は半島西側の平地を中心に侵攻していくことになります。

7月、北朝鮮軍はあっさりとソウルを攻略し、兵力に劣る韓国軍の戦線を破ると一斉に漢江を渡河します。

韓国軍は次々と連隊ユニットを除去され、大田と忠州を結ぶラインあたりまで下がらなければ、北朝鮮軍の勢いを止める地形がないまま平地が続きます。防衛戦をどこにひくべきか・・。
このターン、日本に駐留していたアメリカ軍第24歩兵師団が増援として登場しますが、この配置も悩むところです。
連隊単位に分割して防衛線の補強を行うのか、打撃部隊として後方に下げて使うべきか・・。逡巡の挙げ句、師団毎大田まで進出するというなんとも中途半端な配置になっています。

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このターンはまだ韓国軍もそこそこユニット数があるのでなんとかなったのですが、この後も少しずつに兵力を失っていきます。
アメリカ軍の本格的な派兵第1弾として日本に駐留していた第24歩兵師団が派遣されてきます。アメリカ軍(国連軍)の海上輸送能力は限定されており、1ターンに1個師団相当の兵力しか輸送できません。またアメリカ軍も北朝鮮軍と同じく師団単位で登場するのですが、連隊単位に分割することも可能です。またアメリカ軍には急遽派遣された状態の部隊と、重装備が充足した完全戦力状態のユニットの2種類があります。完全戦力状態ユニットになるためには時間を要します。

 

1950年8月(第3ターン)

第3ターンになると国連軍の増援兵力が急増します。
史実と同様に逆上陸作戦を計画することも可能になってきます。

国連軍には上陸作戦能力という数値が付与されており、それを使って上陸作戦を行うことができるのです。上陸場所はある程度は決まっており、仁川を中心とした黄海に面した西海岸地方。または日本海側の東海岸のいくつかのポイント。

ただ現実的には、上陸後の橋頭堡にそれなりの兵力を張り付けることを考えると、早めに陸上側の部隊と連絡を取ることができる場所のほうが良いでしょう。戦線から遠く離れた、例えば半島の北側に上陸させても、陸上からの補給線を通じることが難しく戦線の拡大に難航が予想されます。
消去法的に考えると結局のところ上陸後、ソウルも近い仁川付近が最有力、奇襲&裏技的に、東海岸側で北朝鮮軍の補給源のひとつである元山(ウォンサン)付近に上陸するというくらいでしょうか。

 

国連軍は来る再上陸作戦用に部隊を温存させつつ、風雲急を告げる釜山防衛のためにも部隊を割かなければなりません。
北朝鮮軍の度重なる攻撃で、韓国軍の歩兵連隊ユニットのほとんどが除去され、国連軍の増援も十分ではないため、ユニット上に並ぶ駒数が非常に少ない・・という状態に陥っています。

 

ただ一方でこのターンから両軍とも補給集積所の指定からはじまる一連の補給ルールが適用されるようになります。
国連軍側は補給源として釜山1ヶ所を指定すれば十分に事足りるのですが、北朝鮮軍は戦線が東西南北に長いため物資集積所を1ヶ所に集中すると端のほうまで補給線が届きません。では2ヶ所に分離して設置すればよいかというと、物資集積所を分離して設置すると1ヶ所毎の規模が小さくなることから、補給物資を受け取ることができる成功値が低くなります。補給線を戦線の端まで届かせようと物資集積所を分割するべきなのか、欲張りなことはせずに攻勢を起こすポイント近くに大きな集積所を置き、補給線が届かない場所はいったん諦めるか。

さらに北朝鮮軍を悩ませるのは第2ターン、第3ターンと大量に登場する国連軍の航空ユニットによる妨害活動です。
前記事に書いたとおり航空ユニットには2通りの使い方があり、ひとつは戦闘解決時に直接ダイス修正を行うことができる対地攻撃支援、もうひとつが補給へ交通の妨害です。
補給活動においてこの後者が問題で、エリア単位に投入された航空ユニットにより物資集積所に配置される補給ポイントを決めるダイスに対して、妨害活動としてより低い結果しか出ないようにする修正が行われます。
ただでさえ、物資集積所の分割・集合で悩み、かつ補給線が届かない部隊が出ようとする北朝鮮軍にとってこの国連軍の航空ユニットによる補給妨害は多大な影響を与えるのです。ダイスの目の結果、その物資集積所に全く物資が届かない、または大攻勢を行うだけの物資が届かないということになれば北朝鮮軍の攻撃構想はとたんに崩れてしまうのです。

補給線が引けない、または補給線は届いていてもその物資集積所に補給物資が届かない場合、ユニットの攻撃力と防御力は1/2になります(移動力はかわらない)。

 

補給ルールの適用は国連軍も同じなのですが、北朝鮮軍には航空戦力はなく制空権は国連軍が一手に握っていること、またこの時期には釜山に物資集積所を集中させても国連軍の全前線にいるユニットに補給線をつなぐことができるのです(それだけ戦線が後退し、釜山に近づいている、とも言えます)。
まさに「内線の利」の状態になっているのです。

奇襲効果が続いた第1ターン、第2ターンからすると、通常の補給ルールが適用されはじめる第3ターンは最初のターニングポイントとも言えるのかもしれません。

 

このターン、すでに韓国軍の歩兵連隊ユニットのほとんどが除去され、国連軍は少しずつ海上輸送で釜山に上陸しはじめた国連軍によらざるを得なくなっています。ユニット数の減少から、戦線を張ることはもはや無理で、点と線を守るだけになっていました。
それに対して北朝鮮軍はまだ失ったユニットもない状態。

ここで椿事が発生します。
国連軍の”点と線”からなる防衛戦の穴から大邸への侵攻ルートを見つけた北朝鮮軍歩兵師団1個が長駆して突出、そのまま大邸を占領するのですが、すかさず国連軍は海上輸送で到着したばかりのアメリカ軍歩兵師団を投入。ふんだんな装甲戦力、航空支援も投入することで全滅させてしまいます。

補給が十分ではない北朝鮮軍、部隊ユニットが全然足りない国連軍という両軍にやや手詰まり感が出る中、時間切れ終了しました。

 

 

(おわり)

 

 

 

 

 

 

 

*1:史実では10月25日に中国「義勇兵」と国連軍は初衝突します。