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「The Korean War」(Compass Games)を対戦する【3戦目】(1/3)

朝鮮戦争の開戦から仁川上陸作戦までを扱っているエポック/サンセットゲームズの「The Korean War」は然り、OCS「KOREA」、また最近プレイを重ねているCompass Games「The Korean War」のいずれも1950年6月末の開戦からはじめると仁川上陸作戦が行われた1950年9月の前までの釜山包囲戦で力尽きてゲームを終了させていることが多い。

せっかくユニットやマップが用意されている訳なので、1950年10月以降の国連軍が38度線を超えて北進していく戦いや、10月末に山間から躍り出た中共軍をいつかは見たいものだと思っていた。

ということで「The Korean War」を上級ゲームルールを取り入れて、目指せ北進、いざ中共軍ということで1950年9月を超えた戦いに挑戦してみることにした。

対戦相手Dさんの希望で国連軍を担当、当方は北朝鮮軍を担当した。
Dさんが国連軍を担当したのには理由があり、上級ルールで取り入れられている「国際緊張」を意図的に高めることで、核戦争や第三次世界大戦が起こしてしまおう、というさながらタイ・ボンバ*1のゲームのようなことを画策していた!?

 

本ゲームのルール紹介と第1戦目のAAR

第2戦目AAR

 

 

上級ルール

本ゲームの上級ルールは国際情勢を取り入れた内容になっている。
上級ルールとはいっても、マップ上のユニットで表現される作戦レベルでは、これまでプレイしてきた基本ルールは変わらない。
基本ルールを用いたシナリオでは増援は予め用意されたスケジュールに沿って登場するのだが、上級ルールではこれらが可変になるという・・。実際の導入効果はおいおい説明していく。

上級ルールで国連軍プレイヤーは、「国連軍の介入レベル」「アメリカ軍の動員レベル」「国連軍の交戦レベル」といったパラメーターを操作することができる。

「介入レベル」また「動員レベル」はまさに増援内容やスケジュールに影響する。
「交戦レベル」は国連軍空軍の攻撃可能範囲に制約を設けるかという内容になる。マッカーサーが主張していたように、38度線を超えて北朝鮮領内や中国本土に対する戦略爆撃を許容するのか、または局地的な航空支援に止めるのかというパラメーターになる。

こうしたパラメーターから算出される紛争値に沿い、ダイスにより「国際的緊張レベル」が判定される。
これらのパラメーターは悪化する方向にしか変化しない不可逆な数値になっている。
「交戦レベル」が最高レベルに達すると国連軍は核兵器を使用できるようになる。
また「国際的緊張レベル」が最高レベルになると、第三次世界大戦が発生しゲームは終了する。

 

国連軍側だけではなく北朝鮮軍側もバリエーションがある。
ひとつにはあるターンに至ると中共軍による台湾侵攻を宣言できる。これにより中共軍が介入した際の兵力は減るものの、アメリカ軍の増援も減ることになる。
また北朝鮮中共軍やソヴィエト軍に対して介入を要求できる。中共軍の介入には、限定介入と全面介入があり投入戦力は異なる。

もちろんこうした中共軍やソヴィエト軍の介入は「国際的緊張レベル」の判定時に大きく影響してくる。

 

第1ターン(1950年6月)

6月25日*2、国境に集結した十数個の北朝鮮軍歩兵師団は一斉に38度線を超え南下しはじめた。一部の歩兵師団にはT34を装備した戦車大隊が随伴していた。
国境近くに駐屯していた韓国軍は有効な対戦車兵器どころか、重火器を持たなかったことから北朝鮮軍戦車を止めることはできずに潰走していった。

 

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フルマップ4枚で描かれる朝鮮半島の全貌。地理的感覚の参考に主要都市の位置を記した。黄色ユニットは北朝鮮軍。水色ユニットは韓国軍。

 

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開戦時の38度線付近の両軍配置。黄色ユニットと水色ユニットとの間がおおよそ38度線になる。

 

史実では開戦3日後にソウルは陥落しているが、ゲーム内では第1ターン内に陥落したことになる。ソウル攻略に最も近い位置にいるのは、議政府方面から進撃する北朝鮮軍の2個歩兵師団と2個戦車大隊による2つのスタックが該当する。これらの師団が、経路上に存在する韓国軍3個歩兵連隊を除去した上で、ソウルを直接攻撃する位置に付き、ソウル防衛の1個歩兵連隊を除去することができれば戦闘後前進によりソウル入城が可能となる。決して不可能なシチュエーションではないのがこのゲームの再現性の高さといえる。感覚的には成功率3分の2の3乗くらいの確率で成功するのではないかと思う。ざっくり成功率20~30%くらいか。

 

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議政府方面の北朝鮮軍は第1ターンのみ出動できる北朝鮮空軍の航空支援*3を得て、国境守備の1個歩兵連隊を除去後、街道沿いの2個歩兵連隊を除去することで、ソウルへの進撃路を開けた。その後、戦車大隊を伴った歩兵師団がソウルに突進し、ソウル防衛隊を除去、戦闘後前進により占拠した。写真は開幕冒頭、ソウル入城記念の図。

 

第1ターンから第2ターンの国連軍は活性化可能なユニット数を決める判定表も、特別な欄を使用する。ダイスの結果によっては活性化可能数がゼロとなったり、すべてのユニットが活性化しないうちに強制的にターンが終了する場合もあるなど、不確実性が高い状況で活動をしなければならないというハンディを負っている。

 

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第1ターン終了時の状況。
ソウル陥落後の北朝鮮軍のダイスの目は良い目もあればいまいちのものもあった。
開城で韓国軍連隊は踏みとどまり、平壌からの増援の歩兵師団の足を止めた。東海岸日本海側)では北朝鮮軍歩兵師団が南下した。

 

(つづく)

 

 

 

*1:多数のファンを持つ著名なゲームデザイナー。’80年代に、1943年の東部戦線をテーマにした「燃え上がる猛虎」を発表、ゲームデザイナーとしてデビューする。その後、様々なボードシミュレーションゲーム雑誌でゲームデザインを手がけ、1989年には独自のボードシミュレーションゲーム&戦史誌である「コマンドマガジン」を創刊する。現在は、「コマンドマガジン」の編集責任者兼経営者として活躍している。

*2:第1ターン第2インパルスよりゲームはスタートする。

*3:北朝鮮軍は開戦時イリューシンIl-10やアントノフAn-2など航空機211機を擁していた