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「The Korean War」(Compass Games)を対戦する【2戦目】(1/2)

千葉会で「The Korean War」(Compass Games)を対戦しました。

 

ルールなどのゲーム紹介は次の記事を参照ください。

前回対戦時のAARはこちら

 

はじめに

扱ったのはシナリオ1。開戦から仁川上陸の直前までを扱ったシナリオです。ターンとしては第1ターン第2インパルスに始まり、第4ターン第1インパルスに終わります。

勝利条件はシナリオ終了時に国連軍(韓国軍)が支配下においている都市によるポイントと、国連軍の部隊のうちマップ上に出動していない部隊数を加算したポイントによります。国連軍は増援として到着する部隊をより多く手元に留めることによって勝利することができるというものです。

ダイスの目によって当方が北朝鮮軍。Tさんが国連軍を担当しました。

 

第1ターンと第2ターンについては様々な特別ルールが設定されています。

開戦直後の北朝鮮軍による攻勢を再現するため補給については第1~2ターンについて一定の補給が自動的に付与されている状態になります。

北朝鮮軍ユニットは師団単位となっており、国連軍と異なり分割はできません。
有名な戦車大隊は通常の部隊ユニットではなく、アセットと呼ばれる形で4個ユニット(4個大隊)が提供されます。アセットは単体では攻撃できず、いずれかの歩兵師団にスタックした形で攻撃に参加します。

戦車大隊が参加する戦闘の場合は、通常の戦闘解決を行う前に、装甲戦闘解決を行います。戦車大隊が持つ装甲戦闘力と、攻撃を受ける側の対戦車値との比率から専用の戦闘結果表を用い解決されます。装甲戦闘解決の結果は続けて行われる通常の戦闘結果判定に用いるダイス修正値として作用します(装甲戦闘結果で攻撃が失敗した場合は、戦車大隊のステップロスが生じます)。
エポック/サンセットゲームズ(以降、EPC/SSG)の「KOREAN WAR」ほど極端ではないですが、対戦車戦闘能力が低かった当時の韓国軍の状況を表すようなルールになっています。

一方の韓国軍は連隊単位です。38度線を中心に南部まで広く展開しています。
まだこの時点、アメリカ軍をはじめとする国連軍は登場しません。
なお第1ターンだけは北朝鮮軍に航空支援が登場します。2ターン目からは国連軍に続々と航空支援が登場し、以降、北朝鮮軍が制空権を取ることはありません。

 

第1ターン(1950年6月)

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開戦時の状況。初期配置は固定(写真は前回対戦時のもの)。
オレンジ色は北朝鮮軍、主力は歩兵師団単位。1ヘックスのスタック制限は1個師団。一部の歩兵師団はアセットと呼ばれる戦車大隊とスタック中(アセットはスタック制限の中ではカウントしません)。水色のユニットが韓国軍。連隊単位。

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第1ターン終了時。
西海岸側から順に表すと、開城から侵攻した2個師団は国境の歩兵連隊の除去に成功し、ソウルに迫っています。
議政府からの侵攻と足並みが揃わなかったため、無理にソウルに攻め入らず、手前にいる歩兵連隊を攻撃します。

議政府から侵攻した2個師団は、妨害する韓国軍の2個の歩兵連隊に対して、1個目の連隊は除去に成功するものの、2個目の除去に失敗したことから、第1ターン内でのソウル接近は断念せざるをえなくなりました。

 

第2ターン(1950年7月)

このターンより1ターン内にアクティブフェイズが2回、また各ユニットは3活性化ポイント全てを使えるようになります。

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議政府付近で前ターンから残っていた韓国軍歩兵連隊を撃破、ソウルへの道を戦車大隊を先頭にした北朝鮮軍歩兵師団が突進。そのままソウル守備の歩兵連隊を蹴散らした(後退させた)後、そのままソウルに入城しました。

 

複数のユニットを組み合わせて順番に活性化させ移動・攻撃を行っていく。波状的に攻撃を行うことで、敵戦線に突破口を開く。続いて別のユニットが開かれた口から戦線を突破、または突破口の拡大を行っていくということが実現できるゲームシステムになっています。ユニットの活性化の順番を決め、思ったように動いたときの快感。やや独特なゲームシステムなのですが、こうした快感がこのゲームの印象を良くしています。

 

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開城から進出してきた歩兵師団によってソウル南部の地点から、漢江はあっさりと渡河されてしまいます。漢江を守備していた歩兵連隊が除去されるとさえぎるもののない平地が広がっています。北朝鮮軍の歩兵師団は作戦移動・戦略移動を駆使して平野を南下突進したのです。

EPC/SSG版もそうだったのですが、ソウルとその南方を走る漢江を突破されるとあとは平地が広がっているためなかなか拠って立つ地形がありません。史実ではその平地部分でも何度か進出してきたアメリカ軍部隊と北朝鮮部隊とが衝突したりしているのですが、ゲーム内ではこの平地部分で遅滞行動を起こすことはなかなか難しいように感じます。

ソウルから忠州に続く街道途中で北朝鮮歩兵師団に接触している枯れ草色のユニットはアメリカ軍の中でもいち早く日本から駆けつけた「スミス支隊」(史実では大隊規模)です。スミス支隊には特別ルールまで用意されているのですが、急いで空輸されたため重装備や対戦装備をほとんど持たずに出動したことから戦闘力は0、防御力1という最低戦力の部隊になっています。
またこのターンが終了すると強制除去されるという特別ルールが用意されています。さながらガダルカナル島アメリ海兵隊上陸の報を受け急遽派遣された一木支隊といったところでしょうか。

東海岸では西部戦線の後退を受け、孤立することを恐れた韓国軍守備隊が後退、それにともない北朝鮮軍歩兵師団も前進します。

 

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続くインパルスで北朝鮮軍の先鋒はさらに前進します。1個師団は大田を守備する韓国軍に接触、もう1個師団は大田を越え、さらに南下します。
韓国軍の動きが鈍いうちに広範囲に動き複数の侵攻路をとろうとしたのです。

韓国軍は反撃は行わず、地形が険しくなるラインに沿って戦線を整理しはじめます。

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北朝鮮軍の右翼(黄海側)の前進はさらに進み、半島の南端に達しようとするところまで進出しています。国連軍の増援が到着する前に、戦線が展開される前により大きく広く展開することで韓国防衛戦の弱い部分を突こうとしたのです。

主力の攻撃ラインは、大田から永同・金泉と通って大邸に達するライン。大邸を超えると釜山は目と鼻の先になるのです。当然のことながらこの主攻ラインは韓国軍・国連軍の部隊が数珠つなぎのように並び始めたことから、北朝鮮軍は大きく左右の両手を広げて、弱いところを突くように機動したのでした。

北朝鮮軍の左翼(日本海側)も同様に大きく手を広げようとしているのですが、残念ながらこの地域は山岳地帯のため移動がしにくく、また防御にも適しているという地形のためあまり積極的に機動戦を仕掛けるわけにもいきません。

また海岸ヘックスでの守備や攻撃にあたっては、海上を遊弋する国連軍艦隊のち艦砲射撃の恰好の的になってしまうのです(砲撃の攻撃を受けてしまう)。

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国連軍は次々と釜山に部隊を上陸させると前線に送り込みはじめます。
そうした急な進撃が続く中、事故が発生します。
盈徳に進出したアメリカ軍2個連隊が単体で突出しすぎていたのです。すぐさま北朝鮮軍の1個師団が韓国軍との間に割り込み、さらにもうひとつの新鋭の歩兵師団が海岸側から回り込むことで包囲が完成します。
この2個連隊を除ければ、海岸沿いに浦項までもう一息です。浦項と釜山は直接鉄道でつながっています。まさに盈徳の突破により、国連軍戦線の裏側に出ることになるのです。
オッズは北朝鮮18対アメリカ6の3:1。悪くはありません。

が、ここでダイスは無情の攻撃側後退!
盈徳突破作戦は失敗し、アメリカ軍は次のインパルスにすぐに増援を送り込んだことから、この東海岸戦線での前進は頓挫してしまいました。

 

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北朝鮮軍戦線後方の街ヘックスに置かれた小豆色のマーカーは北朝鮮軍の占領マーカー。また韓国軍戦線沿いにおかれた紺色のマーカーは陣地マーカーです。
そう、国連軍は洛東江(安東あたりから西に流れその後、まっすぐ南下し馬山まで流れる河)沿いに部隊を展開し、陣地構築をはじめます。北朝鮮軍は部隊を集結させるもののさらにオッズを高めるために後続の増援の到着を待ちます。先鋒の展開は早すぎ主力の到着が遅れたのと、さきほどの盈徳攻略の失敗が尾を引いています。

 

(つづく)

 

 

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