Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「Ukraine'43」(GMT Games)を対戦する【2/2】

「死ぬまでにプレイしておきたい / プレイしておけ」という作品リストがあるそうで、その一作「Ukraine'43」(GMT Games)を対戦しました。

前の記事では、第1ターン最初のソ連軍の攻撃によりドイツ軍の戦線が、ハリコフ北方で大きく突破されたところまでを紹介していました。今回はその続きになります。

※ 前記事で「スミ Sumy」と書いていた都市は、ウィキペディアによると「スームィ」と日本語表示されていますので変更します。現在進行中のウクライナ戦争にてまたスームィは戦場となったようです。

 

 

 

 

プレイ

戦況(第1ターン:ソ連軍プレイヤーターン終了時)

前記事で紹介した状況

ソ連軍プレイヤーターン終了時

「ハリコフ北方戦区」でソ連軍は3個所でドイツ軍戦線を突破しました。スームィ北方で歩兵師団を潰走させた戦車師団が前進しスームィを占領。これにともないスームィの東方に配置されていた2個歩兵師団が包囲下に陥っています(紫色の円で2ヘックス分を囲った部分)。
黄色円は、反撃のために後置されているドイツ軍の精鋭装甲師団です。

※ スームィ= スミ(写真内)

 

ソ連軍プレイヤーターン終了時の全景です。
赤矢印部分がソ連軍が前進してきた箇所を示しています。
やはり「ハリコフ北方戦区」の3箇所、特にスームィ北方の突破が大きいですね。

 

第1ターン:ドイツ軍プレイヤーターン

直前のプレイヤーターンでのソ連軍の突破(上図の橙色の爆発印ならびに矢印)を受け、ドイツ軍は「ハリコフ北方戦区」でスームィ周辺での戦線の穴を防ぐために部隊をかき集めます。反撃用兵力としてハリコフ周辺に後置されていた虎の子の装甲師団のいくつかも戦線の穴埋めに投入さざるを得なくなります(上図の緑矢印)。
かき集めた師団だけでは数が十分ではありません。師団ユニット間の距離が通常よりも広くなっています(通常は1ヘックス間を置いた2ヘックス毎に配置するところを、2ヘックスの間隙をおいた3ヘックス単位でユニットが配置された戦線になっています)。これは非常に脆い状態です。

さらに一重の戦線では同様に突破された後の対処ができないため、イジューム屈曲部などの南部戦線に位置したいくつかの装甲師団も鉄道輸送も利用し移動します。

破られた戦線への手当に目処がたったところで、残った装甲師団とハリコフに配置されていたタイガーⅠ装備の重戦車大隊、さらに歩兵師団を集め限定的ながら反撃を行いました(水色矢印線による移動と赤色枠の爆発印)。

 

スームィを中心としたハリコフ北西部でソ連軍は大きく前線を押し出し、ドイツ軍は戦線を後退させています(上図の水色線)。水色の円内は、ソ連軍部隊により包囲されたドイツ軍師団です。

 

第2ターン:ソ連軍プレイヤーターン

ソ連軍プレイヤーターンのソ連軍が移動を終了した時点の状況です。攻撃箇所(橙色の爆発印)へ攻撃を行う部隊集結しています。

第2ターンのソ連軍は前ターンで前進したポイントを中心に攻勢を継続します。
ハリコフ北方戦区のスームィ南方では、前ターンで装甲師団などにより張られた薄い戦線が目標とされ、複数箇所で攻撃が発起されています。

 

戦闘結果判定を実施し、戦闘後前進・突破前進(赤矢印)を行った「ハリコフ北方戦区」のソ連軍の状況です。
前記事に書いたとおり、戦闘後前進・突破前進のルールは凶悪です。戦線が突破されるのはいたしかたないにしても、突破したソ連軍師団が前後左右に移動を行うことで、ドイツ軍の薄い戦線がギザギザに切り裂かれています。

 

「イジューム屈曲部」以南の状況。
戦線が破れているポイントが何箇所かでています。

 

第2ターン:ドイツ軍プレイヤーターン

ハリコフ北西部で突破したソ連軍の先鋒は、サームィ南部付近で1個装甲師団を含む3個師団を包囲し、南下し、ポルタヴァに迫る状態です。ただこれは裏を返せば、先鋒部分は補給線を引けないリスクも抱えています(この時はかろうじて補給線を確保できました)。
ドイツ軍はハリコフ前面の戦線を縮小し、”大穴”を塞ごうとしますが突破された全線にわたってカバーできるほど機動力を持った部隊が存在しません。

これ以上の対応はできないと判断され、投了しました。

 

ハリコフ以南も戦線の後退と縮小による部隊捻出によって戦線の穴を塞ごうとしています。「イジューム屈曲部」の西側は”混乱状態”ある歩兵師団も並べてようやく戦線を構築できているレベルです。

 

感想戦

何度も書いているように、ドイツ軍は初期配置状態で最初のソ連軍の攻撃を受けた段階で戦線に大穴が空いてしまいました。当然、ソ連軍の初期配置を工夫したDさんの作戦勝ちではありますが、ドイツ軍としてはコントロールの仕様がない状況です。

「死ぬまでにやっておけ」というくらいに評判の良い作品ですので、こうした事態は、本作がゲームバランスが悪いということを示しているのではなく、裏を返して、ドイツ軍はこのくらいの大穴が開くことを前提に、その後のユニットをさばいていかなければならないということなのだと理解しました。

プレイ中、Dさんとは、ドイツ軍を率いたマンシュタインが受けていたであろう重圧とそれに耐えた胆力に感嘆しました。

という訳で本作は再戦を予定しています(7月以降)。

(おわり)