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「The Lamps are Going Out : World War Ⅰ」(Compass Games)を対戦する(3/3)

第一次世界大戦を扱った戦略級ゲーム「The Lamps are Going Out : World War Ⅰ」を対戦しました。

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1916年春

イベントカードに1916年のものが追加されます。

ドイツ

西部戦線において大攻勢が発起されますが最初の攻撃が失敗に終わった時点で攻撃は中止されました(イベント)。

東部戦線ではモスクワ、ペトログラードに向けて包囲が進んでいます。ソ連軍は毎ターン、生産ポイントの援助を受けることでかろうじて命脈を保っている状態です。

イギリス・フランス・イタリア

ダーダネルス海峡西岸まで進出したイギリス軍は勢いに乗り、海峡を越えてアナトリア地方を攻撃します。

アナトリア地方はトルコ唯一の生産拠点があるエリアにあたるため、ここを占拠されるとトルコは戦争から脱落することになります。

ムスタファ・ケマルによるダイス修正を入れた上で、ダイスによる戦闘結果は、トルコ軍の後退!
ここでトルコ軍は「死守命令」を下し、防御側ユニットの1個を除去することで後退を回避します。除去されたユニットは永久に復帰(再動員)できませんが、亡国の危機の前にはやむを得ない対応でしょう。

「死守命令」は、自国の生産拠点か旗アイコンがあるエリアを防御する際に、選択できます。ユニット1個を永久に除去することで退却の効果を取り消すことができます。

イギリス軍も攻撃を行うことができるユニットがなくなったため、このターンでの攻撃は終了しました。トルコ軍の回復能力からすると、次のターンには止めをさすことができるのではないか、イギリス軍はそう考えていました。

オーストリア・トルコ

フォン・デア・ゴルツが登場(イベント)。これがとんでもなかった。
戦闘解決時に通常のダイス1個ではなく、追加でダイス2個を振ることができる、というもの。「重砲」+「航空優勢」時と同じ効果ということになります。西部戦線でもまだ実現できていないレベルの戦力です。
さらには1回だけの使い切りではなく、ずっと存在し続ける模様*1

この最新兵器より勝った効果を持つ人物は誰かというと、ドイツからトルコに派遣されていた軍事顧問としてスルタンを直接輔弼したらしい・・。

1916年夏

ドイツ

東部戦線では着実に一歩一歩ロシアを締め上げます。

イギリス・フランス・イタリア

トルコに突如現れたスーパーマン的な将軍のため、イギリス軍はトルコ攻略を諦め、ダーダネルス海峡の西岸に戻りました。
塹壕を掘り、トルコ軍に備えた守備部隊を残すと今度はセルビアに移動、オーストリア軍と対峙します。

 

1916年秋

ドイツ

東部戦線、スモレンスク地区でロシア軍の一軍を包囲殲滅します。これによりロシア軍の半分が失われました。

ドイツ軍はそのままモスクワ、ペトログラードを攻撃します。モスクワのロシア軍はペトログラードへ撤退。

ロシア

もはやロシア軍が勢力をもったエリアはペトログラードのみとなりますが、ここに塹壕2個、重砲2個を備え、陸上部隊5個が残っています。塹壕や重砲は使用後に自動的に回復できますが、陸上部隊5個についてはペトログラードに残った生産ポイント分2個と、連合国からの支援による生産ポイントにより回復を図ることで対応をします。

エリアマップの常として、撤退を重ね残った数エリア(今回の場合は1エリア)に非常に濃密な防御部隊が残り、攻撃側が攻めあぐねるというパターンはよく見かけますが本ゲームでも同じ様な状況が現れました。
ドイツ軍プレイヤーはこうした濃密な状態ができないように、ロシア軍を個別に切り離すように試みたということだが、最後にいくらかは残ってしまったといえます。

さらに悪いことにこの濃密な防御エリアのロシア軍に「塹壕」2個、「重砲」2個も残ったことからドイツ軍は、ここに許す限りの「重砲」を集め、虎の子の「突撃歩兵」(ダイスを2回振り直すことができる)を配置し、西部戦線に残した部隊を除きほとんどの手持ち部隊をここに投入することとなります。

 

1916年冬

ドイツ

包囲下においたペトログラードに対する総攻撃を継続します。
重砲群が唸り、ロシア軍の塹壕を潰します。潰し終わったところで歩兵部隊の突撃により1個1個残ったロシア軍陸上ユニットを損耗状態に落としていきます。
ダイスの目が悪い場合は「突撃歩兵」効果によりダイスの振り直しが要請されます。
が、ロシア軍もしぶとく、これで2回目の総攻撃をかわします。

「これは落とせるのか?」
包囲軍の陸上ユニットが全て攻撃を行った後、損耗状態を回復させながらドイツ軍は言います。
もはやロシア革命のイベント待ちか?というところ。

イギリス・フランス・イタリア

アメリカの参戦です。
他の中立国とは異なりアメリカの参戦はカード一枚でいきなり決まる訳ではありません。アメリカ参戦ゲージというポイント表があり、複数のイベントカードで増減したポイントが8ポイントに達した時に参戦が決まるのです。
ハーグ条約を遵守していたのに・・」*2とドイツ軍は言ったのですが、この2、3ターンで立て続けに参戦ゲージがあがり、2ターン続けてポイント2ずつ増進したことで急遽、参戦状態となったのでした。

ところがここでアメリカ参戦ルールを見ると、アメリカは全部で3個軍いる陸上部隊ユニットをここから毎ターン1個ずつ動員し、3個目の軍の動員が終わった時点で欧州戦線に部隊を登場させることができる・・とあります。
つまり早くとも欧州戦線にアメリカ兵「サミー」が登場するのは早くとも1917年秋となるのです。確かにそれより前にアメリカ艦隊は大西洋に進出でき、また生産ポイントの援助も行うことができるのですが、
また意外だったのが、アメリカ軍の陸上ユニットを改めて見てみると、3個にすぎなかったことです。

 

欧州派遣軍を削り、バルカン半島戦線のため4個目のイギリス軍がセビリアに派遣されます。オーストリア=ハンガリー側も軍備を進め、重砲が配備されていますが、重砲は海上輸送できないため、イギリスは準備できません。

イタリアとオーストリアとの国境沿いは膠着状態になり、互いに決定打を与えられないままだらだらと戦いが続いています。

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1916年冬のバルカン半島情勢、またイタリアとオーストリア=ハンガリー帝国間の国境付近の状況。オレンジ色のユニットがイギリス・フランス・イタリア軍ですが、小さく国旗が描いてあり、バルカン半島に展開しているのはイギリス軍、伊墺国境に展開しているのがイタリア軍

ロシア・アメリ

「ロシア労働者の不穏」カードが引かれます。すわ、ロシア革命か!?と思われたのですが、ペトログラードに軍隊が配置されていたため、不発に終わります。
最後の1エリアになってからドイツ軍の総攻撃を跳ね返すこと3度目となったロシアの崩壊はもはやロシア革命によるしかないのではないかと言われる中、連合軍からの援助によりロシア軍は意気軒昂としています。

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1916年冬ロシア戦線。ペトログラード包囲が続いています。攻撃をモスクワ地区からに集中させているのは「塹壕」の回復効果を避けるための措置です。2度3度のドイツ軍の総攻撃にも関わらず、ロシア軍は毎回首を切りかけられつつ生き残っています。

 

アメリカ軍はさっそく艦隊を北大西洋に派遣します。1個目の陸上ユニットの動員がはじまります。北海の制海権は、ドイツ艦隊2個に対して、連合国側4個(イギリス3個+アメリカ1個)となり、ちょっとやそっとでなければひっくり返せそうにない状態になりました。

オーストリア=ハンガリー・トルコ

オーストリアは、ロシア軍がペトログラードで包囲されていることをいいことにコーカサスまで進出し、トルコ国境を守っていたロシアの1個軍を包囲除去します。
セルビア国境では来たるべきイギリス主力の連合軍による侵攻に備え、防御を強化しています。

なお大戦期を通して中東・近東地域では、トルコ軍の中東部隊と、イギリスの派遣軍間で小競り合いが継続しています。相手に損害を与えることができればもうけもの。そのターン相手の生産ポイントを1使用させることで主戦場側で使用できるポイント数をへらすことができるのですから。

同様に東アフリカ戦線でもドイツ軍のなんとか言う将帥に率いられたドイツ軍がゲリラ戦術を駆使することでイギリスの植民地軍を翻弄します。こちらも同様に、イギリス軍に損害を与えることを目標にし、活動を続けます。

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1916年冬の西部戦線。大戦期間を通してついぞ大規模な攻勢作戦が発起されずに”偽りの戦争”状態が続いた。残るは「戦車」の登場待ちだが、それで情勢は変わるか?

 

アメリカ参戦が見え、トルコは首の皮一枚で命脈を保つことができるようになり、ロシアの降伏が土俵際のふんばりでのびのびとなる中、時間がほどよい程度になったことも受け、ゲーム終了しました。

 

感想戦

ファーストインプレッション

第一次世界大戦の通史をたどることができるゲームでした。

戦闘は簡単でゲームの展開は早いです。

戦闘結果表を用いない戦闘解決や、特殊能力によって起こされる修正が「ダイスを2回振り直し」や「ダイスを1個余分に振って大きい目のほうを採用する」というようにユーロゲームっぽい処理をされているので印象的です。それでも登場する兵器のエッセンスはうまく表現されていたように思います。

 

こうしてAARに起こしてみると様々なイベントが起こっていて波乱万丈なゲーム展開であったかのように見えますが、プレイ感としてはそこまで派手ではなかった印象です。
動かない西部戦線、延々と続く東部戦線とマップ上で起こっていることはあまり代わり映えがせずに、イベントカード等で起こされる状況が背景のようにどんどんと展開していっている様な感覚というのでしょうか、

演劇の舞台に出ている俳優は同じなのですが、「はい、次は1915年夏になりました。」と背景だけが次々と代わっていくような感じ・・、紙芝居を見せられているような感覚というのでしょうか。ターンの展開がサクサクと行く分、そうした印象が強まったのかもしれません。

 

我々はどこで間違えたのか?

デザイナーが意図した方向にゲームがいかなかった理由はわかっています。

西部戦線がうまく機能しなかったというのが理由です。今回のゲームでは西部戦線での戦闘はイベントカードで攻撃が強制された場合を除き、ほぼ発生しませんでした。

1エリアあたり3~4個の陸上部隊、2個の塹壕、複数の重砲ユニット、航空機ユニットと、重厚な戦力が並んだ国境地帯に対して、お互いに相手の戦線を突破できるとは思わず、そういうことであれば攻撃せずに防御に徹しよう、という方針をとったからです。

これにより本来、西部戦線で消費されるべき”生産ポイントが他の戦域で使用されることになり、ドイツ軍はロシアの奥深くまで攻め入り、モスクワを占領したり、ペトログラードを包囲し、ロシア革命を前にロシアの息の根を止めようとせんばかりになっていました。連合軍側もロシアへの援助を惜しまず、それが故にペトログラードは包囲状態の土俵際で延々と戦闘が続くことになっていました。
またイギリス軍はバルカン半島で第2戦線的な戦闘を繰り広げていました。
これらの原資となっていた生産ポイントは本来は西部戦線で消費されることを想定されていたものであったのでしょう。

が、プレイではそうは判断されませんでした。

今回のゲームにおいてドイツ軍プレイヤーは、西部戦線はなかなか動かせない、であれば、西部戦線では無理攻めはせず、先にロシアを屈服させてその後、史実での1918年にならい、その兵力をもって西部戦線で大攻勢をかければよいのではないか。

一方の連合軍(当方)も、西部戦線をそのまま突破するのは難しいため、せめて「塹壕」1個を無視できるようになる「戦車」の登場を待ってから攻勢を考えればよいのではないか。

と考えていたのです。

生産ポイントから考えてみると

アメリカが参戦するまでの期間における両陣営の生産ポイントは見事に拮抗して設定されています。

イギリス(7)+ フランス(4)+ イタリア(1)+ ロシア(4~5)= 16~17

ドイツ(12)+ オーストリア(3)+ トルコ(1)= 16

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丸付き数字は各国の生産ポイント。東西戦線のどちらにどれだけ生産ポイントを投入するのか、戦線の帰趨を決める重要な要素でした。

 

1だけとはいえ数字が小さいドイツ側が不利に見えますが、ドイツには相手方の生産ポイントを減らす手段として、成功値が20~40%と高くはありませんが、連合軍側にはない「Uボート」という手段が付与されています。
また連合軍側が東部戦線に生産ポイントを投入しようとするといったんロシアに援助という形で与えるしかない一方で、ドイツは毎ターン、任意のポイントを自軍内で自由に東西戦線に融通しあうことができる点は有利といえるでしょう。

西部戦線に戦闘は起こり得たのか?

西部戦線で戦闘を起こそうとするイベントが書かれたカードは何枚かあり、実際に強制イベントとして戦闘は起きましたが継続的な戦闘が発生し続けるといった状況にはなりませんでした。
それ以外に西部戦線で戦闘が起きることを促す仕掛けがあったか・・、もしかすると見落としたのかもしれませんが、あまり働かなかったのかな、という印象です。

 

色々書きましたが、色々書けるだけの内容あるゲームだったのも確かです。

古い「The Guns of August」(AH)を引っ張り出してきてみたりしました。

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(おわり)

 

 

 

*1:いや確かにカード上には退場に関する記述はないが、これは良いのか?

*2:ドイツ軍のUボート攻撃には、ハーグ条約遵守状態と無制限攻撃状態とがあります。後者はより多くの損害をイギリスに与えるのですがその反面、アメリカの参戦ゲージを増やす効果もあるのです。ドイツ軍はゲームが始まって以来、ずっとハーグ条約遵守状態としていたのでした。