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「太平洋戦争:血戦!!連合艦隊」(BANZAIマガジン)をインストプレイする

BANZAIマガジン12号の付録ゲーム、太平記システムで太平洋戦争を描いたという「太平洋戦争:血戦!!連合艦隊」を対戦した。

インスト込みの1戦だけのプレイのためゲームへの理解は全く不十分であることをご了承いただきたい。

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マップ

マップは西はインド洋、北はアリューシャン列島、南はオーストラリア、西はハワイを含んだ太平洋・インド洋がいくつかのエリアに分割されている。インストをしてもらったDさんの話では、絶妙のエリア分けとのこと。

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美しいマップデザイン。インド洋・北太平洋・オーストラリア沿海などは遠隔地で補給等の問題があるということからかエリア境界がオレンジ色になっており、行き来できるユニット数に制約がある。

 

ユニット

ユニット数は多くない。
日本と連合軍の海軍の提督がユニット化された提督ユニットと、戦力ユニットがある。戦力ユニットは艦船・空母・航空機それぞれのシルエットが描き分けられているのだが、シルエットによる違いはなく、意味があるのは大きく書かれた数値=戦力値のみである。ただし潜水艦だけは戦闘やエリアの支配において専用ルールが用意されている。

提督ユニットは裏表で別の人物が記載されており、日本軍が20人程度、連合軍が20数人程度登場している。山本五十六南雲忠一、近藤信竹、井上成美などなど、連合軍側はキンメル、ニミッツ、ハルゼー、スプルーアンスなどなど(連合軍側の提督は半分くらいしかわからなかった)。中にはマッカーサーが混じっているなど選定基準はよくわからない。
提督の中でも機動部隊を指揮できる提督は別扱いとなっている。南雲忠一、角田覚治、ハルゼー、スプルーアンスフレッチャーあたりが該当する。

提督ユニットは、階級、戦術値(戦闘解決時のダイス修正)、指揮値(戦闘解決時のダイスの数)、支配値(エリア支配の成否の値)を持っている。

第二次世界大戦もののゲームで将軍・提督がユニット化されているゲームはよくあるのだが、本ゲームの違いは、提督ユニット自体も戦力を持っているとして扱われることだ。このため提督ユニットだけでエリアにずんずん進撃していく、という状態がありえることになる。最初、このあたりの感覚は奇異に感じられた。

また中には将帥・提督の名前の代わりに部隊名がはいったユニットもあって、例えば、日本軍の第11航空艦隊(開戦時、台湾あたりに展開していた基地航空隊)、海上護衛隊。また太平洋戦争ならではの特殊なユニットとしてカミカゼなども登場する(模様)。

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連合軍を担当したので連合軍の提督と戦力ユニット。黒の太いワクがある提督(写真ではフレッチャー)は機動部隊を指揮できる提督

 

手順

各ターンの手順はオーソドックス。アクションを交互に実施する。同一エリアに両軍の戦力が存在すると戦闘が発生する、というもの。

  1. 主導権決定・アクション数決定
  2. アクション実施
  3. 戦闘解決
  4. 支配決定
  5. 増援処理

第1ターンは1941年となっているが、南雲機動艦隊による真珠湾強襲は実施済、近藤提督麾下のマレー攻略や、フィリピン攻略は未実施という時点から開始する。
全8ターンで1945年まで。

 

戦闘

基本は”6出ろ”システム。定められた数のダイスを振り、6が出た数分が相手に与えた損害になる。ただしこの時、両軍を指揮する提督の戦術値を見て、差があればその数はダイス修正となる。
例えば、連合軍の提督の戦術値が2で、日本軍が3の場合、差分の1はダイス修正になり、連合軍は6が出たダイス数が相手に与える損害になる一方で、日本軍は5、6が出たダイスの数を数えることができる。

ただこの時、注意が必要なのはそのエリアの中にいる提督の中で最も階級が高い(ユニットにある星の数)提督が指揮をとることになること。

振ることができるダイスの数は、戦力(そのエリアの戦力ユニットの戦力+提督ユニットの数)と、指揮を採る提督の指揮値のいずれか小さいほうの数値分となる。

提督(太平記でいうところの武将)の裏切りや中立する提督の調略といったことはないが、太平記システムそのものの戦闘解決になっている。

 

勝利条件

基本は占拠したエリアのVPの合計によるが、サドンデス条件がある。

 

ゲームの状況

連合軍を担当した。

緒戦、連合軍は提督の数はそこそこいるものの、戦力がほとんどない。ほぼ提督ユニット(提督ユニット単体でも戦力であるのは書いたとおり)だけという状態。
マレー・シンガポールエリアにフィリプス、ドールマン。フィリピンエリアのマッカーサー。残り数人がハワイに展開する。フィリプスはプリンス・オブ・ウェールズに座乗していたイギリス東洋艦隊の司令官で、ドールマンは蘭印に展開していたABDA艦隊の司令官でよかったかな?

第1ターン、何もできないまま日本軍の侵攻を受ける。
フィリピンで早速マッカーサが戦死(マッカーサーは本来は陸軍の将帥だが登場している)。シンガポールでもフィリプスがインド洋に後退。ダイスの目による影響が大きい。

南西太平洋に一部艦隊を進出させるも、どの程度の戦力を差し向けるべきかよくわからない・・。

北太平洋上で日米機動部隊の海戦が発生し・・、といった状況。
その後、早々に連合軍はサドンデス負けを喫してしまった・・。

連合軍側の提督・将帥のみなさん。偉い人(星の数)ほど指揮できる部隊数が多くなったりするが、能力値が高い訳ではないので(例えば、キンメルなど)、優秀な部下(ハルゼーとか)を使いたい場合は、むやみにスタックさせないほうがよかったりするかもしれない。中にはゲーム途中で昇進する人もいて、昇進すると指揮順位などがよくなったりする(ようだ)。

 

感想戦(暫定)

感想を言えるほどやりこんだ訳ではないのでインストを受け、さわりのプレイした第一印象というところで、書く。
周囲では評価が高い。たしかにプレイ時間は短く、システムはシンプルだ。ただ(かなり)クセはある。ゲームの中でヒストリカルな状況を再現することを目指したというよりは、太平洋戦争に材をとり、将帥のユニットを登場させてはいるものの、あくまでゲームとしてのフレーバーにすぎない。
先日記事にした「CONQUEST & CONSEQUENCE」(GMT)もかなりゲーム的なデザインと抽象化がほどこされた太平洋戦争であったが、それでもなお、本ゲームと比べるとまだ、日本がおかれたジレンマを感じることはできた。

提督・将帥中心に描いたというところにも魅力をかんじなかった。太平記システムを持ってきたという事前情報もあまりよくなかったからかもしれない。変な印象がついてしまった。武将ユニットがたくさん登場するというとどうしても「戦国大名」のような武将ユニット集めを連想してしまう。

言ってみればゲームとして自分の趣向として思い入れができる部分がなかったということだろう。

本ゲームが分類される戦略級ゲームは、戦闘そのものをデザインした作戦級ゲームとは異なり、ゲームデザインにかなりバリエーションがある。最近はユーロゲームっぽいデザイン要素が含まれたゲームも少なくない。どうしてもゲームシステムのデザインや抽象化の内容が合う合わないということがでてくるのは仕方ない。

(終わり)