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「Nagashino 1575 & Shizugatake 1583」(SERIOUS HISTORICAL GAMES)を対戦する(2/2)

SERIOUS HISTORICAL GAMESによる表題ゲームを対戦した。

 

 

 

yuishika.hatenablog.com

 

 

 

長篠 1575

旗印は、黄色が織田軍、銀色は徳川軍、赤色は武田軍となっている。織田・徳川連合軍はマップ左側の川沿いに位置し、マップ右側に武田軍に包囲された長篠城が位置する。

勝利条件はゲーム終了時に長篠城を確保している側に20VP、あとはユニット削除によるポイントとなる。大名10VP、大将5VP、侍クラス2VP、足軽1VP。

織田・徳川連合軍を担当した。

 

 

史実では武田軍はマップ左の織田・徳川軍の馬防柵*1に殺到し壊滅する訳だが、ゲームの中で同じ轍を踏む必要はない。実際、織田・徳川連合軍の防衛線のエリアは、諸兵科連合効果を得ることができるようにユニットが配置されている。一方の武田軍は騎馬中心の編成であるため、鉄砲による防御射撃への対抗力が弱いこと、中間ユニットの数が少ないため戦闘結果判定時にマイナス修正を被る状態になっている*2
攻撃を行う際には、織田・徳川連合軍の戦線に沿った川が邪魔するため、騎馬突撃修正も得ることはできない。騎乗の侍は強力だが、織田・徳川連合軍を攻撃しようとその前面に出ると相応の損害を得ることは確実であった。

武田軍はマップ左側の野戦での攻勢をあきらめ、長篠城を包囲した部隊による強攻策を取った。結果、ピンゾロを2連続で出すなど最悪のダイス運により大損害を受けた。

 

織田・徳川連合軍は、武田軍が寄せてこない以上、こちらから寄せる理由もない。武田軍が陣取る林エリアの前に下手に飛び出したとことで、騎馬突撃の目標とされることは必至。
長篠城を確保している以上、損害を抑制していけばよい訳なので、ここは積極的に攻勢に出るのではなく、攻防中立姿勢から防御姿勢を継続すればよいと判断した。

ただそれでは面白くないので、マップ下側の武田軍の戦線が切れているあたりを、織田信忠の軍団で前進させてみてみようと考えた(織田信忠の軍は、増援のひとつとして登場する)。あわよくば、長篠城まで突出して長篠城への攻撃をそらすこともできるかもしれない(城エリアはスタック制限が厳しいため、信忠軍が入城することはできない)。

 

ターンを数回すことができたため、ここでいったんゲームを切り上げた。

 

賤ヶ岳 1583

長篠に比べると登場するユニットは少ない。
史実では政治的な多数派工作が続く中、対峙が続くのだが、本ゲームは秀吉が大垣城から「美濃大返し」を行い、柴田側の佐久間盛政の軍を襲った6月11日未明からはじまる。

柴田軍を担当。

 

マップ左側にあるのが余呉湖、右側は琵琶湖。
佐久間盛政の軍(柴田側)は余呉湖の東側(マップ上方)に位置している。マップ上方から秀吉軍の先鋒が到着したところからシナリオははじまる。余呉湖の西側(マップ左下)からは前田利家の軍(柴田側)、琵琶湖からは丹羽長秀の軍(秀吉側)がそれぞれ、ダイスの目により登場する。またやや遅れて、これもダイス判定によりマップ上方から秀吉軍の本隊の大部隊が登場する。
マップ右側で1エリアだけ茶色の部分が賤ヶ岳砦、その下の山中に位置しているのが、柴田勝家の軍となる。

 

勝利条件は、長篠と同じく、城(砦)を確保している側が20VP、それ以外はユニット除去によるポイントとなる。
柴田勝家の軍が、賤ヶ岳砦にとりついているが、地形効果が厳しいため単純に攻撃しても攻城側の損害が嵩む可能性が高い。

 

「美濃大返し」で突出してきた秀吉軍先鋒は、湖畔をいく佐久間盛政軍の側背を攻撃する。騎馬突撃のボーナスを利用することで佐久間軍は損害を受けるが、すぐさま諸兵科連合効果を使いつつ反撃を行った。秀吉軍先鋒を秀吉ユニット1ユニットを残すまで討ち果たすが、秀吉側の騎馬武者の騎馬突撃を再三受けることで相応に損害を得てしまっていた。

この時点でダイス判定によりマップ右側に丹羽長秀の軍が上陸、また秀吉軍本隊がマップ上方に登場した。柴田側の増援は前田利家軍の少数にとどまり、この時点でマップ上の戦力比で秀吉軍に圧倒されたため、投了した。

 

コンポーネントの事

武者や足軽のイラストがあしらわれたユニットは美しい。軍団の区別が家紋で行うしかなくわかりづらい。混戦状態になった場合、活性化時に見落としがでることが容易に想像できる。

大名・大将ユニットにかかれている名前が、氏ではなく名前のほうで書かれているので、ピンときにくい。さすがに織田信長武田勝頼、秀吉や家康クラスのメジャーなキャラは良くても、Tadatsuguとか、SadamasaとかMorimasaとか言われても、ピンとこないぞ(答えは、酒井忠次、奥平貞昌、佐久間盛政)。ユニットには名しか記載されていないため、それぞれのユニットの氏はルールブックを見るしかない。

またこれは完全に好みの問題だが、武田勢の大将クラスがほどんど一族衆(武田信廉武田信豊(つづりがNobuyotoと間違えている)、武田信実・・)になっていて、山県とか馬場とか内藤とかが登場しないのはやや寂しい。

 

マップは独得のデザインでよいのだが、高度差がわかりづらい。高度は地形効果修正の対象となることもあり、マップ内の要地を見極めるためにも直感的にわかるようにしてほしかった。

 

シナリオとルールについて

城(砦)を保持するだけで20VPを獲得できるのだが、城の奪取はなかなかに難しい。一方で、ユニット除去だけで20VPを獲得するのはかなり難しいのではないか。例えば侍・馬廻衆だけで20VPを獲得するためには相手より10ユニット多く、除去をさせなければならない。これはかなりハードルが高いように見える。相手のユニットのかなりの割合を除去させなければならないのだ。そう考えると、長篠にしろ、賤ヶ岳にしろゲームとしては成り立っていないように見える。

長篠のパートで説明したが、織田・徳川連合軍の防衛線は強力で、単純に武田軍が騎馬隊を突撃させてもかなりの損害を受ける可能性が高い。運がよければかろうじて防衛戦の一角を崩すことができるかもしれない。ただ、あえて攻撃を発動させる理由はないように見える。

賤ヶ岳についても秀吉軍の本隊が到着した時点で秀吉軍と柴田軍間の戦力差は圧倒的にになるため、もともと城(砦)を保有していない柴田軍にとってはとうてい勝ち目がある状態ではなくなる。

いずれのシナリオも作戦上の観点でできる工夫は限られる。マップ上で機動戦を行うことができる訳ではなく、自然、ゲームの展開は両軍が戦力を集中させた殴り合いとなる。

 

作戦面での旨味がない分、戦術面での部隊運用が面白いかというとこちらも厳しい。
諸兵科連合効果を得るために登場する「弓」足軽の存在や、「中間」の有無により発生する戦闘修正はどうなの?という印象だ。

これが異世界ファンタジー世界のゲームや西洋史や中国史のゲームであれば納得できたのかもしれないが、戦国テーマだけに目は厳しくなる。
諸兵科連合効果を得るために、前線の各エリアに万遍なく、「鉄砲」と「槍」と「弓」の各ユニットを分散、侍や馬廻衆がいるエリアの後方には中間ユニットを配置して、といったムーブを行うことが、いかにもゲーム的で必然性や説得力・納得感が弱く、それが故に作業となってしまう印象なのだ。

 

作戦級観点ではゲームバランスでも、史実再現性においても問題があり旨味を感じにくく、戦術級観点ではゲームシステムに束縛された不自然なムーブを行わざるをえないという、いずれの観点においてもゲームのカタルシスを得るポイントが違うように感じた。

今回いずれのシナリオも最後までプレイした訳ではなく、また戦闘のシーケンスも不明瞭な点もあるため、今後やり込んでいくことで違う印象になる可能性はある。
機会があればプレイしてもよいゲームだ。

 

戦国時代もので諸兵科連合効果をうまく取り込んだ作品として、「幸村外伝」があるように思う。「鉄砲」と「槍」と「騎馬」の各ユニットはそれぞれに特徴があり、それらの特徴を踏まえて配置しなければ、戦線を維持できないし、効率的に攻撃を行うことができなくなる仕掛けになっている。自然に前線に3種類のユニットを分散して配置することになり、諸兵科連合の状態となる。

 


(おわり)

 

 

 

*1:マップ上に馬防柵の絵は描いてあるが、馬防柵自身の地形効果や、陣地構築といったルールはない

*2:前記事で紹介した、侍と馬廻衆ユニットは中間ユニットが同一か隣接するエリアにいない場合、戦闘解決において「-1」の修正を得るというもの