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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

2022年下半期(8月~12月)はこんなゲームをした + 2022年個人的ベストゲーム

一時は、年末年始も仕事かと覚悟していた2022年の年の瀬だったが、予定で詰まるはずであったカレンダーが諸事情によりすっきりクリアになった。ただ残念ながら前倒しで冬休みを取れるほどではないため、仕事納めは例年通りになりそう。
忙しかった割にはゲームはプレイしていて、11月から12月は毎週のようにどこかでゲームをしていた。とはいえ、上半期に比べるとプレイしたゲームの数は半分程度になった。
忙しさに比例して増えたのが購入ゲームの数。忙しいのだから心のバランスのために買ってもしょうがないよね、と言い訳しつつ、際限なくなってしまった。入手したはよいものの箱さえ開けていないものも少なくない。正月休みの楽しみということにしておこう。

さて、恒例の「こんなゲームをした」記事だが、上半期分をまとめた時期が遅かったので、下半期分の対象となった作品数は多くはない(プレイした作品数も減っているしね)。

 

 

本記事は2022年アドベントカレンダーに参加しています。

 

 

上半期分の記事はこちら

 

 

 

戦術級

■ THE LAST HUNDRED YARDS

歩兵戦闘が主体の分隊スケールの戦術級。
テーマもスケールもほぼASLと同じなのだがASLよりはルールはシンプルでシナリオも小ぶりなものが多い。結果、プレイアビリティが高いのは良い。
自分の視界内で敵ユニットが移動や射撃、回復といったアクションを行った時にリアクションとしてアクションを行うことができるというリアクションシステムは面白いのだが、プレイ中の思考は追いついていないように思う。どうしてもASLと同じようなターン毎に表裏の攻防を交代で実施するIGoYouGoの発想にとらわれてしまっているのだ。その意味でまだ本作のシステムの神髄には触れていないのだろう。

 

 


作戦級

■ NAGASHINO 1575 SHIZUGATAKE 1583

戦国時代テーマのフランス製作品。共通的な基本システムの元、様々な合戦を描くシリーズの1作目。マップはエリアマップ。ユニットは槍足軽・弓足軽・鉄砲足軽・騎馬武者などと分かれていて作戦戦術級的な雰囲気も漂わせているのだが・・。

外国人視点での戦国時代テーマの作品ということで期待したのだが、結果としていまひとつかなと思ったのは大きく2点。
複数の兵科が同一戦闘に参加した場合、諸兵科連合効果が得られるのだが、トランプで役をそろえるような数合わせになっていて、それぞれの兵種が複合的に参加しているという必然性が感じられない。ゲーム的なテクニックとしてしか扱われていない点。

2点目はシナリオとしての作り。
本作は長篠の戦い賤ヶ岳の戦いの2マップが用意されているが、シナリオの設定(勝利条件など)が緩いため、結局、勝利ポイントの関係から、城/砦を落とせばいいのではないの?という構成にしかなっていないように感じた。

武田軍は眼前に陣をひいた織田・徳川軍の主力を攻撃するのではなく、後方で包囲している長篠城を落とすのに注力したほうが獲得できる勝利ポイントが大きい。そもそも防御を固めた織田・徳川軍の陣地に対して史実同様の騎兵突撃を行う必然性は全くない。武田軍が長篠城攻略を狙うのであれば、織田・徳川軍はむしろ馬柵の後ろにこもった防御を行うのではなく武田軍の攻城の阻止を狙って積極攻勢に出るべきということになる。これって長篠の戦いか?となる。

第2作で「関ヶ原」を取り上げるということらしいので、どう取り扱うのか見てみたい気はする。黒田家の鉄砲隊と福島家の槍隊に井伊家の騎馬武者が同一エリアにいるから、諸兵科連合効果でプラス修正だ!と言われても納得感は薄いんじゃないかなぁ(想像)。

 


                                      

戦略級

■ FLASHPOINT SHOUTH CHINA SEA

南シナ海・東南アジア各国を舞台に現在進行形のシチュエーションをゲーム化したもの。安倍晋三はじめ周辺各国首脳陣のカードもあるなど、まさに旬と言ってもよい。その分、陳腐化も早いかもしれない?
ゲームでは緊張関係は最悪の関係の一歩手前までしかなく、それ以上悪化はしないのだが、現実にはそういうストッパーはあるのか?
プレイ時間が1時間強とコンパクトなのも魅力。

 


■ ALMORAVID

「NEVSKY」のシステムを用いて描かれたレコンキスタ封建制臣従システムと厳格な補給システムはそのまま。厳しさは従来のままのはずだが、酷寒のロシアに比べると南国?のイベリア半島が舞台なので、気分的に楽な印象。本作は再戦も予定。

 

 

■ PUNIC WAR

3回にわたったポエニ戦争をコンパクトにまとめた。
スキピオハンニバルといったキャラ(他にもいるよ)、アルプス越えや戦象といったエッセンスも含め、ゲーム内に取り込まれていることに感心。
制海権の重要性や、逆説的にはカルタゴが滅んだ訳が理解できる。

 

 

■ IMPERIAL STRUGGLE

評判に違わず完成度が高い傑作。
ゲーム的に処理されていても非常に考えられている。馴れてくるとバランスの問題など見えてくるという話も聞くが、それまでにも十分に楽しめるのではないか。ということでこちらも再戦していきたいところ。

 


■ WAR FOR AMERICA

アメリカ独立戦争テーマのキャンペーンゲーム。独立戦争での様々な事象を表すために様々なルールが用意されているのだが、基本となる部分はオーソドックス。どちらかというと独立戦争に詳しく、「こんなところまでルール化したのか!」と驚きながらプレイするような作品かもしれない。独立戦争初心者にはちょっとつらい・・(カタルシスを得ることができるポイントを見出しにくい印象)。

 

 

 

その他ボードゲーム

■ 1989

「トワイライトストラグル」のシステムを用い、1980年代後半の東欧に舞台を限定した作品。カードによって発生させるイベントやポイントによってマップ内に配置されたエリアを支配していく、エリアマジョリティシステム。プレイヤーは民主化をめざす改革派か、現在の政体を維持する保守派を担当する。
舞台が限定されている分、ひとつの国がさらに複数のエリアに細分化されている。細分化されたのは地理的なエリアというよりは社会階層の要素が強く、各国の社会階層(エリート支配層、知識人階層、労働者、農民、キリスト教関係者、学生)に分かれていて、各階層での支持をとりつけていく形にアレンジされている。
「トワイライトストラグル」とのもうひとつの違いは、「権力闘争」のシステム。カードの中にドローしたそのターンの中で必ず発動させなければならないカードはいっており、そのカードが発動するとそこから「権力闘争」として別に用意されたカードを用いて、判定のためのゲームがはじまる。改革派が「権力闘争」に勝利すると政権が覆り民主化政権が樹立する。失敗するとそのまま政体が維持される。
強力なイベントがある点、決算カードの入り具合など運の要素が強い印象はあるが、システムもこなれていてよい作品になっている。

 

 

 

 

■ NEW WORLD

南北アメリカの植民地開拓を扱ったマルチプレイヤーズゲーム。母国との往還途中に次々と沈む船、原住民との戦いや疫病にばたばたと人が死んでいく。もちろん他国との戦闘でも死んでいく、と過酷な新大陸開拓が描かれる。マップが広くない分、プレイヤー同士の争いもシビアで酷いことになる。

 


■ エルドリッチホラー

クトゥルフテーマの協力型マルチプレイヤーズゲーム。1920年代を舞台に世界各国で開かれるゲートとそこからの魔物を退治して回るという協力型ゲーム。緻密なシナリオ構成や各種カードのつくりは、ゲームマスタがいないTRPGのようで面白い。

 

 

■ BATTLEMIST

ファンタジー世界の種族を率い国を大きくしつつ、冒険者によるクエストを行っていくというマルチプレイヤーズゲーム。

 

 

 

まとめ

今年プレイして面白かったものは、新旧入り交じっていますが、次のようなところです。※ 本記事に紹介がなければ、上半期のまとめ記事の中で扱っています。

Ney VS Wellington

UP FRONT

IMPERIAL STRUGGLE

エルドリッチホラー

 

今後やり込みたい作品は上記に加えて次の3作

FROM SALERNO TO ROME

OCSシリーズの作品

ALMORAVID

 

今年1戦もしていないですが来年はASLにも復帰したいところです。
あと前振り記事だけ書いて実プレイに未だ至っていない「JOHN CARTER WARLOAD OF MARS」という作品もある・・。