Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

2022年上半期(1月~7月)はこんなゲームをした(2/4)戦術級

6月末ごろにアップするつもりで書き始めていたのですが、いつの間にか7月が過ぎ8月になってしまいました。若干遅きに失した感もありますが、記憶が薄れないうちにまとめるところはまとめておきましょう。

 

 

 

 

戦術級

戦術級はあまりプレイできていません。

「LAST HUNDRED YARDS」(GMT)、「FRONT TOWARD ENEMY」(MMP)、「WAR STORM」(COMPASS GAMES他)、「COMBAT!」(COMPASS GAMES)、「OLD SCHOOL TACTICAL」(FLYING PIG GAMES)の追加シナリオ、いずれも積みゲー状態を崩せていないです。
作戦戦術級になるのかもしれませんが、MMP/GAMERS社のTCSシリーズやGTSシリーズの何作かも残っています。
また今季もASLはプレイできていません。モジュールだけは増えているのですけどね。

 

九七式中戦車ツクダホビー

ツクダがシリーズ化していたタンクコンバットシリーズの日本戦車版です。ツクダのデザイナーがどのような評価を下していたのか興味があったのですが、結構、辛辣ですね。日本軍戦車で優れているのは、戦車兵の質だけ。大規模な戦車部隊を投入する戦いがなかったこと、本土決戦の名目で部隊が温存されたことなどから他国でいうところの練度の高い兵が終盤まで残っていたことから、乗員の質だけは世界一と言って良いレベルだったと評価されています。

車輌の性能については、スペックカードからアメリカ戦車との比較を行ったのですが、本土決戦用兵器として実用化されていた三式戦車でも勝負にならなかったです。四式戦車、五式戦車はまぁ机上のファンタジーでしたからね。

 

 

S.F.3.D Original(ホビージャパン

オークションに出るとなかなかの高値で落札されている作品です。もともとはホビージャパン誌に連載されていた未来の地球で発生した傭兵同士の戦争に登場するという設定での架空兵器のジオラマ記事が原作。ゲームは記事に登場する兵器を備えた小規模な部隊同士が戦闘を行う戦術級ゲームになっています。

特徴といえば、戦闘解決などの判定は6面ダイス2個で行うのですが、2個のダイスの目を加算するのではなく、乗算して出てきた数値を使うという点でしょうか。プレイしてみると、ダイスの結果を取り違えるリスクや、確率計算が面倒なことを考慮すれば、わざわざ奇をてらうだけのメリットはなかった印象です。
戦術級といっても戦術級ゲームの最低限のところを抑えた形で、ルールの難易度は低いです。

もともとジオラマ記事から発した作品のため登場する兵器が体系だってなく、小部隊同士の戦闘とはいえ、不完全な兵器しか登場していない。実戦でどう使うんだ?という性能の兵器があったりするし、航空兵器もどうしてそういう仕様なの?という内容だったりする。シナリオも十分練られたとはいえない一本調子のレベルのものが多い印象です。あくまで作品ファンが楽しむというレベルと言って良いかもしれません。

なかなかオークションで見かけることはないのですが、収録された兵器種類が追加されたシリーズ2作目も発売されていました。1作目よりもバランスはよくなっているかもしれませんので、いつか2作目も見てみたいものです。さすがに奇をてらいすぎたと判断されたの、2作目では2D6の乗算による結果判定は廃止され、通常の加算ベースの結果判定になったようです。

 

 

 

BOOTS & SADDLES(GDW/ホビージャパン

GDWが発売しホビージャパンが日本語ライセンス版を発売していた80年代現代戦の戦術級シリーズ「ASSAULT」シリーズの2作目です。

「ASSAULT」シリーズの特徴はなんといってもシナリオで相手側の戦力が不明という状況からはじまり、相手の勢力を探りながら進めていくというところでしょう。
相手の意図がわからないということでいけば「装甲師団長」シリーズ(アドテクノス/ゲームジャーナル)があります。同作の場合は相手の目的(勝利条件)がわからない、さらには戦力も不明という状態でゲームがはじまりますが、本作シリーズの場合は相手の勝利条件はシナリオを選択した時点で判明しています。このあたり、扱っている部隊規模が異なるため、本作で扱う規模の部隊であれば、目的は想定がつくというところでしょうか。

シリーズ2作目からヘリコプターが登場します。現実にたびたび議論になる「戦闘ヘリ無用論」の証明がゲームの中で検証できるかな、と思ったのですが、兵器としての有用性について第三者的な客観評価ができるほどヘリのルールはこなれていないです。ヘリありきで作られたルールですので当然ですね。

対戦時、アメリカ軍を担当したのですが、歩兵主体の小部隊しかなく、またヘリコプターも対空兵器もないという状態だったため、こんな状態でソ連軍側に戦闘ヘリが登場すると手も足も出すことができない!と思い、はったりをこめて陣をはったものです。やがて迫ってきたソ連軍の大梯団と接触、戦闘がはじまりました。顛末は記事を参照してください。

アメリカ軍の主力M1エイブラムスがT80などのソ連主力戦車よりもかなり強いという点を除けば、対戦中、ワクワクドキドキが止められない非常に楽しい作品です。

 

 

 

アップフロントアバロンヒル/ホビージャパン

1980年代に登場したスコードリーダー(アヴァロンヒル)ベースの戦術級ゲームです。当時はプレイする機会はなかったのですが、今回はじめてプレイしてその面白さに気づき、すぐさまオークションでプレミア価格ではあったのですが落札してしまいました。今季プレイしたゲームの中で旧作ながら3本指のうちにはいる一作だと思います(今さらではありますね)。

スコードリーダー以降に発売されてきた戦術級ゲームでもカードドリブンのゲームは少なくはないのですが、本ゲームのようにマップすらも省略してしまった作品は少なくないのではないかと思います。手札から提示され場札となったカードだけで現在の兵士達がおかれた状況、敵との相対的位置関係や場所などを抽象化をはかりつつもうまく取り込んだ力技には感心しました。スコードリーダーやASLプレイヤーであれば本ゲームが省略した地形や地理的な部分も想像ができるのですんなりゲームに入っていけるのですが、こうしたゲーム未経験者がいきなり本ゲームをプレイしたときはどうなんですかね? 

何度も書いていますが願わくばどこかが、本編と続編のエクスパンションも含めて再版してくれますように・・。

 

 

 

アンドーンテッド ノルマンディー プラス(アークライトゲームズ)

ボードゲーム側からウォーゲームへのアプローチとしては全世界規模だったり欧州全域、太平洋全戦域といった大きな枠組みでゲーム化を行う戦略級といったデザインが多いように思います。ゲームシステムのデザインに大胆な省略やモデル化が可能で、マルチプレイなども含めてボードゲーム界の住人の興味を引きやすい仕掛けが作りやすいからでしょう。

そうした中、戦術級と呼ばれるクラスにボードゲーム側からのアプローチの作品が登場した、というのが本作です。

まだ十分に研究ができていませんので、詳細は別記事に書きたいと思います。

 

 

次号は戦略級を取り上げる予定。