Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

2022年上半期(1月~7月)はこんなゲームをした(1/4)作戦級

6月末ごろにアップするつもりで書き始めていたのですが、いつの間にか7月が過ぎ8月になってしまいました。若干遅きに失した感もありますが、記憶が薄れないうちにまとめるところはまとめておきましょう。

 

 

作戦級

Ney vs. Wellington: The Battle of Qatre Bras(SPI)

ワーテルローの戦いの戦いをテーマにした実質的に戦術級ゲームといえる「Wellington's Victory」(SPI)のルールを用い、カトラブラの戦いを扱ったゲーム。「Wellington's Victory」の対戦を臨み、システムの習得のため正月休みからVASAAL対戦を始めました。

部隊の方向はもちろん縦隊・横隊・方陣といった隊形と隊形変換はもちろんの事、砲兵隊は第一線に配置しなければならないこと、騎兵突撃への備えなど様々考えないと部隊運用ができないことを実感できます。ゲームを通してナポレオン時代の部隊運用、戦場での戦術を覚えていくような感覚を味わうことができるゲームです。

ルールが共通といいつつ細かな点(かなり重要な点も含め)で異なる、VASAALの初期配置情報が間違えている(オランダ軍尖兵部隊が展開されていない)といったトラブルにまみえつつ、ゲームを進めたが正月休みの終了とともに中断状態(大変申し訳無い)。ゲームは非常に面白いです。ナポレオン時代の戦術論も含め、ゲーム中、ワクワクします。今季ベスト3作品を選ぶとすると次点のNo.4といったところでしょうか。

なお当初の目論見であった、「Wellington's Victory」は未だプレイできていません。

 

 

Granada: Last Stand of the Moors - 1482-1492(Compass Games)

「SEKIGAHARA」(GMT GAMES)をリスペクトしたというゲームシステムで、15世紀スペインのレコンキスタをテーマにした”積み木”ゲーム。”積み木”ゲームの常で、ユニット(駒)の感触はとても好きです。

氏族毎に活性化するシステムなのですがカードのめぐり合わせによって氏族毎の活性化可否が決まってしまうため、戦闘時の不確実性が高いのが気になりました。いくら軍勢ユニットを集結させても、その時点で手札がそろっていなければ活性化できないのです。中世の封建領主の戦争なんてそんなものだ、ということなのかもしれませんが、「NEVSKY」に登場する領主たちのほうがまだ言うことを聞いてくれたぞ。
もう1点、城塞があるポイントに敵が侵攻してきた場合、味方ユニットが2ユニットの場合は籠城することができるのですが、3ユニット以上存在する場合は野戦になるというのも引っかかりがある縛りでした。3ユニットであれば、2ユニット籠城で1ユニット撤退でもいいじゃないか。敵との戦力差が大きい場合に野戦を強制されるというシステムに、なんらかの意図が込められていたのか、知りたいところです。

バランスもキリスト教国側が有利に思えました。上に書いた戦闘システムのようにゲーム性重視を志向しているのであればなおのこと、ゲームバランスは気になったところです。

 

 

STORM OVER THE DIEN BIEN PHU(Multi Man Publishing)

2回目。エリアインパルスシステムでディエンビエンフーの戦いの戦いを扱った作品。
プレイアビリティが高く、半日強あれば1プレイを完了できる手軽さも魅力です。

エリアインパルスシステムを採用したゲームは精神にキリキリくるタイプのもの(例えば、「STARLINGRAD - VERDUN ON THE VOLGA」のように自分の手番がいつ終了するかわからない類のシステム)もありますが、幸い本ゲームはそこまで厳しくはないです。その分、気軽に手軽に取り組むことができます。バランスも良く(若干、北ベトナム軍が厳しい?)、最後までスリルあるゲーム展開ができます。オススメゲームです

 

 

The World Undone: 1914 Galicia (Comflict Simulations)

第一次世界大戦の冒頭、中欧オーストリアハンガリー帝国とロシアとの間で起こった戦いを扱った。第一次世界大戦時の東部戦線というとドイツが大逆転をかましタンネンベルクの戦いが有名なのですが、タンネンベルクが東部戦線のそのまた北辺にあたる東プロイセンが舞台だったのに対し、本作が扱っているのは、南辺とでもいうのでしょうか。今のポーランドオーストリアハンガリーあたりとの国境で争われた戦いです。
それでもこの方面だけで方やロシア軍120万人とハンガリーオーストリア帝国軍95万人とで争われた、という桁違いの規模での戦いを扱っています。

鉄道以外はほぼ徒歩でしかない歩兵部隊の足は非常に遅く、突破戦闘がほぼ起こり得ない状況です。その上、ルールの適用を間違えてただでさえ動かない戦線がさらに動かなくなるというハプニングもあり、再戦が待ち望まれる作品でもあります。

 

 

SMOLENSK(Multi Man Publishing)【OCSシリーズ】

昨年に続き5月のGWはOCS多人数プレイに挑戦しました。扱ったのは本作。独ソ戦初期中央軍集団による進撃を扱った作品です。マップの中央あたりにスモレンスクが位置しており、復数収録されているシナリオによりドイツ軍のスモレンスク占領までのものから、占領後のものまで様々あります。比較的方向性が見えやすいシナリオとして、スモレンスク占領後からはじまるものを選定しています。

ここまでOCSシリーズのゲームを繰り返してきたため、さすがにOCSならではのコツやクセのようなものは身につけつつありますよ。例えば、予備を配置する、同じヘックスに多数のユニットをスタックさせるの危険・などなど。今回は担当したソ連軍側も補給が潤沢に供給されたため、作戦展開としては楽だった印象。

そろそろOCS入門レベルから段階を進めて、作戦研究とかもっとやって対戦に挑むべきですよね、と痛感したプレイでもありました(次回への誓い)。

 

 

WHITE EAGLE DEFIANT Polant 1939(Hollandspiele)

1939年9月のドイツ軍によるポーランド侵攻を扱ったPnP作品。
ピアトゥピアでマップのところどころに、侵攻速度の調整のためか守備隊の防御力が数倍になる要塞扱いの都市がところどころに配されています。
復数のルートから侵攻を開始したドイツ軍部隊は、要塞都市にルートを塞がれるため、ひとつひとつ排除していくのです。うまく戦闘比を確保できるように配置して戦闘を行います。戦闘結果表がシンプルな分、ダイス結果に左右される要素が多いように感じました。作戦要素は少ないため、ダイスゲームになっていました。
その割にはBGGの評価レートが高いのは最近の作品だからでしょうか(7.8)。

 

 

TOLLING OF THE BELL(3CG)

1945年3月東部戦線はハンガリー春の目覚め作戦を扱った作品。前作の「STARGARD SLSTICE」もそうでしたが、最近のゲームらしくマップとユニットデザインなどのコンポーネントがとても良いのが特徴です。特にユニット駒の紙が厚くて、高スタックが密集しているところでも扱いやすいのは非常に良かったです。

ルールとしては典型的な作戦級でチットドリブン、記事にも書きましたがルールの端々に目が行き届いていて迷いそうな部分や作戦級ゲームで陥りがちな誤解などについてもきちんと説明がさなれているなど、配慮されているところが好印象でした。

史実と同様に泥濘でドイツ軍の進撃は滞るのですが、やっと晴れた!と思ったら、同じく泥濘にとらわれていたソ連軍側も同じように泥濘のくびきから解放されて、反撃を開始するという。さらにはドイツ軍は他戦線の崩壊(中央軍集団)を受けて、主力クラスが大量に引き抜かれるというイベントが必ず発生します。まさにドイツ軍がおかれたシチュエーションそのものですが、苦しいです(ゲームバランスが悪いという訳ではないですよ)。

まとまりがよくプレイアビリティも高く、高く評価します

 

 

FROM SALERNO TO ROME(Dissimula Edizioni)

おとなしめのボックスデザインからはうかがい知ることができない斬新なシステムを搭載したゲームです。テーマはイタリア本島における戦い。今季プレイしたゲームの中で可能性も含め3本指にはいる作品です

記事中でも何度も触れている通り、相手の手番中に相手ユニットが移動している最中に、「そこで、臨機砲撃」と、まるで戦術級ゲームのような砲撃を行うことになります。また相手の移動フェイズ中にも、スタック単位で移動が終わったタイミングで、こちらの部隊によるリアクション移動や、予備部隊の移動を宣言できるなど、相手のプレイヤーターン中でも気を抜くことができないシステムになっています。

まだまだ使いこなすには至っていませんが、これらのシステムをうまく使えるようになった際は、格闘ゲームのコンボ技が決まったときの快感に近いかも。

今後ともプレイしてみたい作品です。

 

 

(次回は戦術級を予定)

 

 

過去分記事です