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「ギリシャ内戦 THE GREEK CIVIL WAR 1947-49」(国際通信社/Decision Games)を対戦する(2/2)

コマンドマガジン165号に収録の「ギリシャ内戦」を対戦プレイしました。

 

 

今回のAARはあまり面白みがあるものではありません。個々のルールがどのようにプレイに影響を与えるかについて議論をしながら、試行錯誤も含めプレイした経緯もあるためプレイ方針(戦略や作戦と言わない)が定まらずに進めたところがあるためです。

 

 

 

第1戦

反政府勢力(ゲリラ)を担当。
赤色ユニットがゲリラ、青色が政府軍(正規軍)、白色が警察部隊だ。
ゲリラ側は初期配置ユニットの数と種類は決まっているものの、配置は自由。一方の政府軍側はダイスで決まる対ゲリラ政策により制約がある。判定結果は「広域防御」という最も一般的な政策となった。名前の通り、都市・農村部エリアに広く部隊を配置する必要がある(それ以外に遠隔地というグルーピングのエリアがあるが、ここは配置の対象ではない)。

 

初期配置状態。両プレイヤーとも定見がある訳ではないため、配置に裏付けがある訳ではない。

 

前記事に書いた、1対1未満のオッズでも戦闘結果表の「1対1未満」という列を使うことで攻撃を行うことができ、さらには「市民行動表」というデモや工作による活動を表した表を用いることで、1/3の確率で本来は圧倒的に有利なハズの防御側のユニットを1ステップロスさせるという手法を用い、ゲリラ側は、政府軍側の正規軍師団に攻撃を行った。2・3個の師団が1ステップロスすることでユニットごと除去された。

ただし残る2/3の確率で攻撃を行ったゲリラ部隊は除去されるため、ユニット数としては2倍~3倍のゲリラユニットが除去されることとなった。

第3ターン、先攻をとった政府軍は初期配置部隊以降、初めてとなる動員を行い、数を減らした状態のゲリラ部隊を一斉に攻撃し、除去していった。
つづくゲリラ側のプレイヤーターンの動員フェイズ。ゲリラ側がユニットを動員しようとすると動員条件から、「ゲリラ部隊」の動員ができない状態になっていたことが判明した。ゲリラ側の主力である「ゲリラ部隊」が全く動員できないということであればゲーム続行は無理と、そのままゲームはそのまま終了した*1。翌年の作付けに必要な”種籾”も全てなくなってしまいどうしようもなくなったようなものだ。

第1戦により両陣営は戦訓を得た。

  1. 政府軍側は、安易に正規軍師団ユニットを配置しない。ゲリラ部隊による捨て身の攻撃により損害を被る懸念がある。師団は旅団に分割して配置するべき。
  2. ゲリラ側は、ゲリラ部隊の動員のためゲリラ部隊を常に配置しておく必要がある。政府軍が移動・攻撃ができない、国外のエリアに配置するのが最適だ。”種籾”は除去されない場所(国外エリア)で保管する。

 

第2戦

同じくゲリラ側を担当。

第1ターン、政府軍は師団をすぐに旅団に分割し、攻撃を受けた際の損害範囲を限定した。

ゲリラ側は「ゲリラ部隊」を国外エリアに移動し「ゲリラ部隊」を動員できるように常にユニットが配置した状態とした。「カドレ部隊」は浸透移動(オープン状態の政府軍が配置されたエリアでも自由に移動できる)を使い、政府軍の部隊をすり抜け、政府軍がいないエリアに進出する。その他のエリアも、オープン状態のままでは容易に攻撃を受けるため、可能な限り「潜伏」状態にする。

 

政府軍は収入となる政治ポイントが小さいエリアからは部隊を引き上げ、戦力を集中させる(引き上げたエリアはペナルティが必要となる)。
戦力を集中したエリアでゲリラへの攻撃を行い相当のゲリラユニットを除去させる。

ゲリラ側は、浸透移動が可能な「カレド部隊」を大量に動員し、空いたエリアに進出する。政府軍勢の妨害や攻撃がなかったエリアでは「闘争戦線」を動員、「闘争戦線」が存在するエリアには「ゲリラ部隊」を動員、と段階的に勢力拡張を試みる。

政府軍の攻撃(掃討)により大量のゲリラ側ユニットの除去されるのに対し、ゲリラ側は「カレド部隊」の浸透移動により空きエリアを確保することで政治ポイントの獲得し、獲得した政治ポイントを用いての、大量の動員、という動きが何度も現出した。

 

第2戦途中の状況。ゲリラ側は大量の「カレド部隊」(赤地に黄色の帯のユニット)を動員し、南部や空いているエリアに進出させる。ギリシャ北部のエリアには、隣国側エリアで動員された「ゲリラ部隊」が侵攻している様子が見える。

 

戦闘を重ねるにつれ政府軍ユニットの中には、戦闘結果としてレベルアップに成功するユニットが増えてくる。

・・というところでゲーム終了。第7ターンあたりまでプレイしたが、内容があまり代わり映えしない。政治ポイントを利用して大量に動員されたゲリラ側ユニットがあちこちに進出する傍ら、政府軍の攻撃により相応のユニットも除去される、という繰り返し、が見えてきたためだ。

政府軍の中にはレベルアップをするものや、ゲリラ側も国外で戦力を蓄えるなどの動きは出てきていたものの、次の局面に至るにはまだ時間を擁するように思えたこと。それまでは繰り返しの作業が見えたためだ。

 

振り返るといくつかのルールの適用間違いを起こしている。

  • インフラボックスで「潜伏」中のユニットは、攻撃を行うことはできない
  • ゲリラ側の「カドレ部隊」は「市民活動表」「ゲリラ活動表」の両方を使った攻撃では損害を受けない。オープン状態の「カドレ部隊」は「武力衝突表」で攻撃を受けるが、「潜伏」状態の「カドレ部隊」を攻撃できるのは、政府軍側の「LOK部隊」(対ゲリラ部隊)のみだ(なお、この時点で政府軍側は自由に「LOK部隊」を「動員」できない)。

確認が必要なルールもある。

 

感想戦

歴史シミュレーションゲームをプレイする楽しみとして、おおざっぱに2点あるとすると、1点目は、ゲーム性に強いデザインのゲームであれば、戦略・作戦・戦術を考えつつプレイを繰り返すことで内容を突き詰め、洗練させ、ゲームとして対戦者といわば知の対決ができる点。2点目は歴史性・ヒストリカル性を重視したデザインのゲームの場合、当時の指導者や指揮官がおかれた状況を追体験できる点、と考えます。

本ゲームについて1点目の観点で評価すると、確かに多少のプレイ上のテクニックはあっても作戦や戦術やまして戦略といえるレベルのものはなかなか見出しづらい印象でした。大量に動員をかけて大量に除去され、たまたま残ったユニットがレベルアップしたり、エリアに拠点を作ってという偶然性に頼るところが大きい印象で、そこに作戦がはいる余地を見出しづらかったと言えます。対戦プレイの2戦目において早々にプレイを中断したのは、このまま続けてもプレイ内容は向上しないのではないかと意見が一致したからと言えます。2戦目の終盤、確かに部隊が強化され、シチュエーションに変化の兆しは伺えましたが、それでもそのスピードはゆっくり過ぎました。

2点目について言うと、題材こそ魅力的に見えながら、プレイを通して両勢力の指導者層がおかれた状況や課題、ジレンマは見出しづらかったです。トルーマンスターリンのルールなどヒストリカルなイベントに基づくルールは用意されていましたが、ゲームの中で両プレイヤーが担当する各勢力がおかれた状況は見えにくかったといえます。
ギリシャを舞台にしたという点も、自由に移動できるユニットの存在により、各エリアが単なる記号になってしまい、そこに地理的なストーリーなどもはいる余地はありませんでした。たまたまそこで戦闘が起こったということは言えてもそれ以上にはならなかったです。
極論すれば様々な要素がフレーバーで終わっているとでも言うのでしょうか。

1点目・2点目ともプレイを通してなんらかのストーリー性が見出しづらい点も気になりました。快感を得る場所がないのです。

 

非対称戦争、対ゲリラ戦を扱ったゲームの代表作としてGMT社のCOINシリーズがありますが、COINシリーズの場合、カードドリブンのカードによりヒストリカルなイベントの再現が可能なこと、各勢力はそれぞれ長所短所が明確でまたジレンマを抱えていることなど場の設定・状況の設定が明確で、プレイをしていてもストーリーを想像でき、それがプレイを通しての快感となるように考えます。

 

もちろんボックス売りの独立したゲームと雑誌付録(本ゲームはDecision Gamesの「Modern War」付録)を比べるのは酷だというのはよくわかります。改善を図るとすると、1点目のゲーム性の改善のほうが容易に見えました。ルールをきっちりと把握し、両プレイヤーとも十分にその使用法まで理解した状態でプレイするともう少し印象は変わるかな?

(了)

 

過去にプレイしたCOINシリーズから

 

 

 

 

 

 

*1:「ゲリラ部隊」の「動員」のためには同じエリアに「闘争戦線」か「ゲリラ部隊」のいずれかのユニットが存在する必要があったが、政府軍側の攻撃により全てのユニットが除去された状態になっていた。「闘争戦線」は「カドレ部隊」がいるエリアで動員可能になるが、「ゲリラ部隊」を動員するまでに数ターンが必要ということになることが判明した。

*2:ルールに関する要確認事項

  • インフラボックスに配置するということは自動的に「潜伏」状態にあるという理解でよいか。インフラボックスに配置した状態で「オープン」状態というステータスはありえるのか?
  • 空爆」ユニットは一度「動員」すると、毎ターン自動的に使用することができるのか。または使用する毎に、「動員」のための政治ポイントを消費する必要があるか。
  • アテネテッサロニキの都市エリアは、通常のエリアと同様に、インフラボックスにはいらないという状況もありえるか。
  • 「闘争戦線」の移動について・・16.3.1に、同じエリアであれば「オープン」状態と「潜伏」状態の間を移動することができる、とあるが、13.1には、「オープン」状態のユニットが更に移動力「1」を使いインフラボックスにユニットを移動させること、とある。「闘争戦線」はこのインフラボックスの出入りに必要な移動力が不要という理解でよいか?