大航海時代からフランス革命までの欧州史を扱ったマルチプレイヤーゲーム「EUROPA UNIVERSALIS」(AEGIR GAMES)をプレイしました。これが2回目のプレイとなります。
政治、軍事、外交、科学・技術・文化の発展、宗教、探検*1など様々な要素が組み込まれています。政略結婚、宣戦布告*2などのルールに加えて、ローマ法王と枢機卿*3、十字軍や破門、宗教改革や国教の変更といった宗教に関する要素は特にルールが多く、神聖ローマ帝国*4など、西洋史ファンにとっては興味を引くルールが満載です。その分、プレイヤーができること、管理しなければならないことは多岐にわたります。
前回のプレイ時には、プレイにあたっての課題を挙げていました(詳細は下記にリンクを置いた前回記事をご参照ください)。
目を配る必要がある情報が多い:
勝敗を決定する「プレステージポイント(勝利ポイント)」の獲得には、各勢力ごと、またはプレイヤー全員に対し共通して与えられた課題をクリアする必要があります。これらの課題には「ミッション」、「マイルストーン」、「アイディア」の3つの種類があり、加えて毎ターンクリアしなければならない「イベント」も存在します。これらを表示したカードが、同じタイミングで順に、2枚、4枚、9枚、3枚と合計18枚*5がオープン状態にあり、プレイヤーはこれらのカードの状況・内容に目を配りながらゲームを進める必要があります。
ルールやカードの文章の記述に、アイコンが多用されわかりづらい:
ルールやカードの文章内に絵文字、つまりはアイコンが多用されているため、読み解くにはひとつひとつアイコンリストと照合していく必要があります*6。読み込んでいくとアイコンにも慣れるとは言うものの、似たデザインのアイコンが多いこともあり、初見殺しであることは確実です(アイコンの多用はそれはそれで理由があるようです。詳しくは前記事参照)。
プレイヤーの選択肢が多い:
プレイヤーは各国の君主と家臣の能力、または所持資金に応じて一度のターンに複数のアクションを実行できます。実施できるアクションの種類は多岐にわたり、基本アクションは9種類、統治アクションは3種類、外交アクションは4種類、軍事アクションは4種類あります。プレイヤーはアクションの実施とあわせ、同じターンの中で、前述のイベントの解決やプレステージポイント獲得のためのカード内容の解決を行っていく必要があります。用意されたアクションのバリエーションが多いことは、プレイヤーがとり得るアプローチが様々用意されているということですが、これもゲームシステムへの習熟が必要な要素となっています。
今回、2度目のプレイということで前回よりはまだ見通し良くプレイはできました。相変わらずルールやカードの読み込みにはアイコンリストと首っ引きなのは確かですが、あれをやってこれをやってという手順は考えることができるようになったと感じます。
マーカーが置かれている範囲は今回のプレイ範囲になります。
フランス(青)、スペイン(黄)、ヴェネチア(赤)、オスマン帝国(緑)、マムルーク朝(紫)
プレイ
シナリオは前回と同じ5人シナリオを対戦しました。シナリオによって登場する国は異なり、今回のシナリオは、1444年の地中海を中心としたエリアを舞台にし(中欧・北欧は使用しない)、フランス、スペイン、ヴェネチア、オスマン帝国、マムルーク朝(エジプト)の5勢力が登場します。
担当国をランダムに決め、マムルーク朝を担当しました。
マムルーク朝は名前の通りイスラム教国のひとつで、勢力範囲は現在のエジプトから東はシリア地方までを治め、イラク地方やリビア地方にも影響力を及ぼしている存在です。プレイ開始時の君主は「ザーヒル・ジャクマク(Jaqmaq)」という名のスルタンです。高齢のため通常は2ポイント持っているはずの生命力ポイントが1個に減った状態から開始です。イベントカードなどにより1発で死んでしまうことになります。キャラクターとしての能力は凡庸なため、いっそ新しいスルタンを迎えたようがよさそうです。幸いランダムに引いたカードにより、家臣(アドバイザー)や将軍は優秀な人材が揃ったため、無能なスルタンは惜しくはありません。
マムルーク朝が目指すべき「ミッション」として2点が与えられました*7。
1枚は国の安定度を上げ、周囲のノンプレイヤーの国家に良い影響を与えるといった趣旨のものでした。もう1枚はインドとの香料貿易を独占するように海域や陸路を単独で押さえるというもの。前者は統治アクションにより安定度を上げることで対応できそうです。後者についてインドとの交易路はマムルーク朝が押さえているため、他プレイヤーから邪魔されそうにありません。いずれも他国と相争うような内容ではないですね。平和主義でいきましょう。
マップ全体を見渡すと、コンスタンティノープルはオスマン帝国の包囲化にあります。キプロス島・ロードス島はヴェネチアの支配下にありますが、東地中海はオスマン帝国とマムルーク朝の両イスラム国家に制海権を奪われています。スペインはイベリア半島内にアラゴン王国やレコンキスタ問題を抱えています。フランスもプロヴァンスやブルゴーニュ、アキテーヌなどに諸外国の領有地を抱え国内統一ができている状態ではありません。
他勢力が国内または差し迫った海外問題を抱えているのに対し、マムルーク朝は特に問題を抱えている訳ではないようです。
同じイスラム教国家として、オスマン帝国とは協力関係を取ることにし、ヴェネチアの支配下にあるロードス島とキプロスを分け合う密約を交わします。
第1ターン
このゲームのシーケンスの特徴として、全てのプレイヤーが1枚ずつイベントカードを実行しなければ、ターンが終了しないという点があります。終了しない間は、プレイヤーはアクションを実施することになるのですが、全てのプレイヤーがイベントカードをどこかのタイミングで実行するまで、ぐるぐると何度も手番が回ってくることになります。
どのタイミングでイベントカードを実施するかは駆け引きになります。イベントカードによって引き起こされるイベントの内容は悪いものが少なくありません。イベントカードは3枚オープンになっており、処理されるごとに1枚追加でオープンされていきます。オープンになっているカードの内容が良いものであれば、いち早くそのカードを実行してその特典に預かるところですが、あまりよろしくないイベントのカードが並んでいた場合は、自分にとってなるだけ影響が少ないイベントを実行させるか、まだ開かれてなくこれから開かれるカードを待つといったことが考えられます。
スペインとフランスは国内の反対勢力を力でねじ伏せるように動きます。オスマン帝国はコンスタンティノープルへの包囲攻撃です。ヴェネチアは外交アクションのひとつである「貿易アクション」を実施します。
「貿易」は軍事と並んでこのゲームでの重要なアクションのひとつです。実施すると「貿易カード」を引き、カードに示された地域・海域に自勢力の「商人ユニット」が存在する場合(移動させることも可)、収入を得られるというものです。徴税以外で資金を獲得する重要な手段になっています。
我がマムルーク朝は手札にあった「革命的な発明」というカードを利用して、コストを抑え、アイディアカードの中から「大砲の発明」を獲得します。これにより、「歩兵」と「騎兵」しかなかった陸上ユニットとして「大砲」を生産できるようになり、さらに無料で1ユニット確保できます。「大砲ユニット」が存在する軍隊は戦闘の際に有利に働き、また「大砲の発明」カードは枚数が限られているため、持たない軍隊に対してかなりのアドバンテージになるでしょう。
2周目では、すぐにイベントカードを実行しました。無害系のイベントであったため、他プレイヤーに先を越されないうちに発動させます。その後、3週目と4週目は「貿易アクション」を実施し、小金を得ます。大砲ユニットや他国よりも家臣や将軍を多く抱えているため、維持費が必要です。
その間、スペインが発動したイベントにより、我がスルタンは死亡し、能力的にはさらに凡庸ですが、若いスルタンが跡を継ぎました。君主+家臣の「統治」「外交」「軍事」の能力値は次のターンからの実行できるアクションの数に直接的に影響するため、非常に重要です。現在は君主の能力値をカバーするだけの有能な家臣がいるため、能力値の低下の心配はありません。
コンスタンティノープルが陥落し、東ローマ帝国は滅亡します。フランスではプロヴァンス地方がフランス王の支配下に収まります。
今回は年末のイベントがあったため1ターンのみで終了しました。前半に書いた通り、ゲームへの見通しが良くなってきたため、構造が理解できるようになりました。参加するプレイヤーが前半に書いた課題に対応できるようになると、なかなかに楽しいプレイになりそうな予感がします。
第1ターン終了時の状況。勢力図としてはほぼ変動はありません。
(終わり)