ファンタジー世界を舞台にしたマルチプレイヤーゲーム「RUNEWARS」に、拡張キット「BANNERS OF WAR」を追加し、対戦しました。
オリジナルの「RUNEWARS」の対戦は次の記事で紹介しています。
「BANNERS OF WAR」では、基本となるゲームのシーケンスや、命令カードを用いたゲームシステムをオリジナルから継承しています。
ゲーム内でプレイヤーは、軍勢を召喚して都市や領地を広げていくウォーゲームパートと、マップ上を自由に動き回って与えられたクエストをこなしていく英雄ユニットによるクエストパートを同時に進行させます。
マップ上から収集したり、種族に与えられた使命やクエストの報酬などで獲得できる「竜の紋章(ルーン)」を一定数獲得*1することで勝敗が決まります。
本作拡張キットでは、プレイヤーが操作する種族は4種類のままで増えてはいませんが、各種族が軍勢として召喚できる魔獣の種類、イベント、各種カード、英雄などがかなりの分量で追加されています。
前作ではウォーゲームパートとクエストパートがお互いに影響を与えることが少なく遊離しているようにも感じられたのですが、英雄ユニットをウォーゲームパートの軍勢の司令官に任命できるようになるなど改善がはかられています。
もともとボリュームたっぷりだったコンテンツがさらにもりもりに強化された印象です。ゲームシステムに慣れ、全体感が掴めたことにより、前回記事ではコンテンツが多すぎてとっちらかったようだと書いていたのですが、この印象もかなり薄まりました。
もとよりルール難易度は高くないため、コンテンツ量さえクリアできれば(多くはオプション扱いのため、採否は選択できます)、完成度の高いゲームになっているように感じます。
前作の対戦時ではエルフ族を担当したのですが、本拠地に近い都市がひとつしかない中、他種族が発動した魔法(戦術カード)により都市を荒廃させられてしまいました。都市がない場合、一部のリソースの補充ができなくなり行動が著しく制約されることから、他種族から都市を奪取するべく、不毛な消耗戦に突入してしまいます。エルフ族が戦争にかまけている中、勝利したのは英雄ユニットによりアイテムを収集した種族でした。このゲームでは軍勢同士の衝突による戦争は必ずしも勝利への近道にはならない、という教訓を残したのでした。
果たして今回、どのような展開を見せたでしょうか。
今回のゲームの最終盤、タイルで構成されたマップ上にみっちりとミニチュアのモンスターユニットが並ぶことになった。人間族(青)、エルフ族(緑)、今回担当したアンデッド族(紫)、Uthuk Y'llan(ウサック・ユーラン)(赤)の4種類のプレイヤー勢力の軍勢の他、中立モンスター(クリーム色)、マップ上の自由に動き回ることができる各勢力の英雄ユニット(灰色)になっている。
ルールでは6年全24ターンで終了となっているところを、時間制約があることを全員がコロっと失念し、ゲームが10年分くらい続いたため、これだけの密集度になってしまった。
まずはマップを作り本拠地を選ぶ
プレイ開始前の準備段階で、各プレイヤーには1~4個の六角形からなるマップタイルが配られ、接続ルールに沿いマップを形作ります。これによりプレイ毎に地形がことなることになります。
六角形の各タイルには隣接するタイルへの移動を制限する地形(山地や川や海)がはいっているものがあります*2。都市があるタイルと、都市以外の地形ではそこを支配することにより得られるリソース(食料・木材・鉱石)とその量、さらに生息する中立ユニットが示されます。
食料・木材・鉱石の3つの資源はリソースメーターと言うギミックで管理され、軍勢の規模や徴兵、都市の強化や城塞の建設、豊作・凶作などのイベントなどにより上下します。
都市はマップ上に6か所(他にイベントで登場する都市がひとつ)存在するのですが、通常の資源タイルでは得られない、中立ユニットの雇用、戦術カード、影響力、使命カードなどが得られるため、最低1か所は確保する必要があるでしょう。
中央のマップに続いて、互いに一定の間隔になるように本拠地タイルを設置する場所が決められます。都市の位置、近くのタイルから得られる資源の状況などから位置をスタート地点になる本拠地を選びます。
プレイヤーは種族を決め、初期配置として与えられる英雄ユニットをランダムに配られ、他に達成することで報酬(ルーンであることが多い)を得られる「使命」などが決められます。
食料・木材・鉱石の資源量を表すリソースメーター。
メーターの右側には、アンデッド種族が召喚できる、骸骨弓兵・ネクロマンサー・ヴァンパイア・骸骨戦士・暗黒騎士・ジャイアントワーム*3が描かれている*4。種族により召喚できる魔獣の種類は異なり、各魔獣種類毎に飛行や高速移動の可否、戦闘解決時の優先順位や威力、発動できる特殊能力など細かに設定されている。
手前の2枚のカードとグレーのミニチュアは、初期配置でランダムに選ばれた、英雄になる。英雄ユニットは全部で20体以上登場するが、一体ごとに戦闘力・敏捷性・知力のパラメーターと写真にも写っている特殊能力が定められている。イラストに準じたミニチュアが用意されている。
上に書いたように、手持ちの英雄のうち一体は軍勢を率いる司令官として任命できることになった。
英雄ユニットは他プレイヤー勢力の支配下にあるタイルを含め、どこにでも入ることができ、カードで指定されたクエストを解決するように活動することが多い。
プレイに先立ってマップタイルを組み合わせて作られたマップと、担当したアンデッド族の本拠地(手前の暗い色の3タイルがアンデッド族の本拠地タイル)。
他プレイヤーの軍勢が本拠地までに踏み込むことはないと思われるので、防御を考慮するよりも、都市の位置や近くのタイルで得られる資源種類を見ながら選ぶのがよいだろう。
3種類の資源のうち鉱石は最も得にくいため、本拠地を選ぶ際には注意が必要。鉱石がなければ強力な魔獣の召喚や、要塞の建設・強化などができない。鉱石を算出するタイルには、ドラゴンやジャイアントといった強力な中立モンスターが生息するため、支配するためにはこれらの中立モンスターを排除する必要がある。
命令カード
ゲームは春夏秋冬の4つのターンで1年を表します。プレイヤーは異なる内容の9枚の命令カード*5をもっており、ターン毎に命令カードの1枚を選び、一斉に開示します。命令種類やプレイヤーが保有する影響マーカーの数などによって決められる順番で命令カードによるアクションを実施します。
命令カードにはそれぞれボーナス効果も設定されており、ボーナス効果を発動することで、通常のアクションとは別にもう1アクションを実施できることになります(追加で実施できるアクション内容は命令カード種類に応じて定められている)。通常アクションだけでは2ターンを費やすところを1ターンのうちに完了させることにもなるため、ボーナス効果を発動させるようにカードを出していく必要があるのです。
さらに、9種類の命令カードは春夏秋冬の4つのターンのいずれかに出すと、次の春ターンまで使用済状態となり、同じカードを1年のうちに2回使うことはできなくなっています。
ボーナス効果を発動させるためにカードを使う順番を決めること、また1年で同じカードを使えないことから、命令カードの繰り回しはプレイ上、大変重要なポイントとなっています。
戦闘
中立ユニット含め、種族のユニットが同じタイル上にはいると戦闘になります。中立ユニット含め、各種族が保有する魔獣種類は異なり、それぞれ特殊能力を持っていることから、戦闘はエキサイティングなものになります。
魔獣は1から6までの行動順が示されており、相互に行動順に沿い攻撃を実施します。判定はカードにより、相手に与えた損害、または後退の強制、特殊能力の発動などが判定されます*6。
今回担当したアンデッド族の場合、行動順が最も早いのは「骸骨弓兵」。遅いのは「暗黒騎士」と「ジャイアントワーム」でした。概して巨体で強力な魔獣ほど行動順は遅いのですが、かなり強力です。
特殊能力については例えば「ネクロマンサー」の場合、発動すると戦闘に2体の「骸骨戦士」を呼び出すことができるという内容で、他の魔獣についても一種類毎に決められています。
実は今回のプレイではプレイヤー勢力同士の戦闘は発生しませんでした。むやみに戦闘にはいると資源を食いつぶし、他の勢力を利するだけになる点を前回プレイ時の教訓としたからでしょう。またオリジナル含め本作の勝利条件は、領土や都市を増やすことではなく、「竜の紋章」を獲得することにあり、戦争を起こしただけでは紋章を得ることができないという点もあります。
英雄
英雄ユニットは初期配置時に2体配られ、その後は命令カードによって追加的に雇用することができます。英雄ユニットは通常、クエストの実現に向けて動くことが多いです。クエストでは地図上のある地点が指定され、そこでなんらかのことを実施することで成功すれば報酬が得られます。
英雄同士は一騎打ちも可能です。他のプレイヤーの英雄のクエスト実施の邪魔をする、または実はこのパターンが多いのですが、クエストに成功して報酬を携えて自勢力の本拠地に帰ろうとする、英雄に一騎打ちを挑むことで勝利すればその報酬を横取りすることができるのです。報酬の内容はランダムに選ばれますが、かなりの割合で「竜の紋章」であるため、ルーン集めには実は有効な手段であったりします*7。
今回、当方が雇った英雄は5体ほどあったのですが、うち1体はクエストで竜が生息する山地にはいったのですが、判定に失敗したころから竜に見つかって食い殺されてしまいました。もう1体はクエストに成功し報酬を携えて母国に戻ろうとしたところを他勢力の英雄ユニット2体に襲われ、敗死してしまいます。
プレイの展開
ルールでは6年全24ターンと規定されていたのですが、プレイ途中、全員ともコロッと忘れてしまい10年程度はターンが進んでしまいました。
軍勢を使った征服活動ではあまり勝利に寄与しないことは、前回プレイの経験でわかっていたため、各勢力は、ひととおりの都市と領地の分割ができた後は、冒頭の写真に写したように、軍勢ユニットが多数動員された状態で均衡状態に陥ってしまいます。
代わって「竜の紋章」争奪は英雄ユニットによるクエストの実施や、各勢力が秘密裏に受けている「使命」の達成に依存することになりました。
今回時間制約もありうまく適用されなかったのですが、いずれかのプレイヤーが6個の「竜の紋章」の獲得を宣言すると、ゲームはそこから1年続き、それが終わった段階での紋章の個数で勝敗を決めるというルールが新設されました。誰かが紋章の獲得を宣言した段階で他の3プレイヤーが、その宣言プレイヤーを一斉に攻撃することは必至なのは想像に難く有りません。
つまりは均衡状態に陥りやすいことも踏まえて、わざとこうした波乱を起こすルールが追加されたのかもしれません。
(終わり)
*1:6個獲得すると勝利
*2:山地があるタイルの辺にはプラスティック製の3Dの模型が配置されます
*3:脚を持たない、細長い蛇のようなドラゴンの一種。ドラゴンのような顔を持ち、地べたを這うヘビのようなものが多いが、例外的にはそれに鳥の羽が着いたような姿をしていることもある。狂暴で人間に有害であり、およそ全長の3分の2ぐらいの牙を持つ口から猛毒や炎を吐き、長い身体で巻き付いて締め付ける。
*4:オリジナルでは召喚できる魔獣は各種族4種類だったが、拡張キットにより2種類追加された
*5:オリジナルでは8種類。拡張キットで1種類追加された
*6:特殊能力は資源を使うことで強化することができるなど、各種族毎に奥が深い設定が用意されています