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「ワイマール:民主主義の戦い」(ホビージャパン)を対戦する(1/2)ゲームの紹介

「ワイマール:民主主義の戦い」(ホビージャパン)を対戦しました。
第一次世界大戦の敗戦国ドイツに樹立されたワイマール憲法下の共和国を舞台に、主要政党を操るというマルチプレイの政治ゲームです。

 

写真は日本語版ではなくオリジナル版

 

 

ゲームの紹介

プレイヤーは4人、当時の主要政党として、ドイツ社会民主党中道左派政党)、中央党(保守政党)、ドイツ共産党(左派政党)、ドイツ国民人民党(右派政党)のいずれかを担当します*1
ナチスこと国民社会主義ドイツ労働者党(右派政党)はノンプレイヤー勢力として登場し、プレイヤーが操作する政党のアクションやイベントの結果として、政治や社会への影響を増していく存在という扱いです*2
ゲームは1918年11月のドイツ革命で第一次世界大戦終結した直後から始まり、ヒトラーが首相に就任しナチスが政権を奪取した1933年までの14年を扱っています。全6ターンですので1ターンは2.5年弱といったところでしょうか*3
 

マップ全景。
右上にある半円形に椅子が並んだ場所に政党駒が並び支持状況を表す。
その真下にある大きな十字が「世論トラック」。
マップの左上はドイツの主要都市が並び、それぞれに地方での政党支持状況を表すため、政党駒を配置するボックスが用意されている。都市では、プレイヤー政党のアクションの結果、「デモ」「ストライキ」「暴動」などが発生し、「貧困」や「社会不安」(まれに「繁栄」といった良いステータスもある)といったマーカーが配置される。
下辺部分では、外交状態のステータス(シルクハット形のマーカー)や、経済状況(工場形のマーカー)のステータスを表す
 

ゲームのシーケンス

基本的なゲームシステムはカードドリブンです。
ターン内のシーケンスは次の手順で進行します。
 
  1. 共和国フェイズ
  2. 政策フェイズ
  3. 衝動フェイズ*4
  4. 政治フェイズ
 
「共和国フェイズ」ではターン毎の必須のイベントが発生します。
「政策フェイズ」では各党はそのターンの政策を選び「政策カード」を提示します。
「衝動フェイズ」はこのゲームシーケンスの中心にあたり、ここで各プレイヤーは5枚+αのアクションカードを手札として入手し、順番にカードを1枚ずつ解決します。各プレイヤーが手札をすべて使いきったところでフェイズは終了します。
「政治フェイズ」では、勝利ポイントや支持状況など精算を行います。
 
政治をテーマにしたゲームならではの手続きとして、ターン中のアクションやイベントの結果として、政党駒という支持状況を表すユニットが増減します。最終的にはマップ右上の国会エリアにある24マスの中に収まるように各党のユニットが調整され、それがターンの活動の結果としての政党支持状況となります。
支持状況の結果によって政権交代が起きる可能性があります。
24マスの過半数に政党駒が置かれるとその政党は単独で政権政党となります。過半数に届かないが最も多くの議席を獲得した政党は第2位以下の政党と連立を呼びかけ、連立政権とすることもできます。主義主張に隔たりがあるため政党によって組むことができない組み合わせもあります。結果、どの政党とも連立できない場合や、連立したとしても合計の議席数が過半数に達しない場合などは、少数与党の状態となり政治は不安定化します*5

政策フェイズ・・・政策の決定
各政党は独自の目標(政策/理念)を持ち、その達成のために様々な手段を講じることになります。各党には「政策カード」がそれぞれ4枚くばられており、毎ターンの「政策フェイズ」にて、このうちの1枚を選びます。選ばれた政策はそのターンにおける党の活動方針や目標として扱われます。
「政策カード」の内容は党によって異なり、選んだカードによっては、デッキへカードが追加されたり、各党が保有する準軍事組織のユニットが増強されたりします。
なお「政策カード」は捨て札などにはならず、使いまわしをしますので、何度も同じ政策が登場することになります。
選んだ「政策カード」によりそのターンの活動がある程度定まることからも、ゲームに慣れていないプレイヤーへのよいガイダンスにもなるでしょう。
 
今回担当したドイツ共産党の場合、4枚の「政策カード」のうち2枚は穏健な協調路線の内容だったのですが、残り2枚は強硬なアクションをともなう(代わりにデッキへのカード追加や準軍事組織ユニットの追加を伴う)内容になっていました。追加になるカードは強力なのですが、一方で地道に点を稼ぐ内容ではないので、穏健路線から過激路線、またはその逆のタイミングは判断を要するところかもしれません。

衝動フェイズ・・・各種アクションの実施
衝動フェイズで使うカードには2種類あるのですが、いずれの種類のカードにもアクションポイントとイベントが書かれています。
アクションカードの種類のひとつは、アクションポイントの使用に加えて、記載されたイベントは必ず発生する「タイムラインカード」*6です。「タイムラインカード」は各プレイヤー共通で、登場するイベントはシリアスな種類、つまりはあまり発生させたくない種類の内容が多いように感じました。
もう一種類は、「政党カード」で、カードに記載されたアクションポイントを使うか、イベントを発生するかのどちらかを選びます。「政党カード」は担当する政党によって個別のデッキが用意されています。
各ターン、プレイヤーは「タイムラインカード」を2枚、「政党カード」を3枚+α配られ、そのターンの中ですべてのカードを使い切る必要があります。必ずイベントの発生が伴い、あまりうれしくないイベントが多い「タイムラインカード」をどのタイミングで使うのかは悩みどころになるでしょう。
 
カードに書かれたアクションポイントを使う対象は2種類あります。ひとつは、政治レベルの争いとして討論を行うことで、もうひとつは、各都市でなんらかの活動、アクションを起こすことです。
 
衝動フェイズにおけるアクション①・・・政治レベルの争い

マップの右側に用意された世論トラックという十字型のグラフ上に、吹き出しの形をしたそれぞれ論点を表すマーカーを置いて状況を表します。
論点には、経済・メディア・治安・外交・貧困などの常設のテーマから、イベント等で臨時に発生する論点もあります*7。プレイヤーはカードに表記されているアクションポイント(カードにより1~5点)を使うことで、論点マーカーの位置を上下左右に移動させることができます。衝動フェイズの終了時に論点マーカーが自分の陣営の色が塗られたエリア内に存在するとその論点について自分の政党に有利に決着させたことになり、論点のテーマによって、各種の特典を得たり、民衆からの支持を得ることができます。 

例えば「貧困」という論点について議論した結果、自分の政党のエリアに持ち込むと、マップ上にある「貧困」マーカーを1枚取り除くか、議会で1議席得ることができます。政権政党の場合は前者、野党の場合は後者を選ぶのではないでしょうか。
「外交」の論点を獲得した場合は、「外交アクション」を実施するか、1勝利ポイントを得ることができます。なお、「外交アクション」は政権政党のみが実施できます。

 

衝動フェイズにおけるアクション②・・・街頭レベルの争い

主要都市での支持基盤の確保マップの左側はベルリンをはじめドイツの主要都市11か所が描かれています。
それぞれの都市には影響力を表す政党駒を置くボックスが2~5個用意され、各党がどれだけ影響を与えているかを表します(=支持されているかどうか)。

アクション種類により必要ポイントは異なるのですが、アクションカードに記載しているポイント(論点マーカーの移動に使うポイントと同じもの)を使い、アクションを発動させます。

実施できるアクションは政党毎に異なり、例えば、ストライキ・デモ・暴動・政変といった反政府的な行動も用意され、一部の政党はそれぞれが有していた準軍事組織の動員も可能になっています*8

政権側は反政府の準軍事組織に対抗するために、警察や軍隊を動員し、デモや暴動などへの対抗アクションを行うことになります。

 

ドイツ共産党のプレイヤーのプレイエイド。アクションポイントを使うアクション内容がまとめられている。発生させたアクションは基本、ダイス1個または2個によって成功チェックが行われる。
本作はこうしたエイドが充実しており、マップ上に記載されたガイダンスも含め、スムーズなプレイを助けてれて好印象。
余談だがドイツ共産党のカラーがピンクなのは、ローザ・ルクセンブルクの名前由来?

 

政治フェイズ

プレイヤーが手札すべてを使用してしまうと衝動フェイズは終了し、そのターンの活動内容の精算を行う政治フェイズが開始されます。政治フェイズではそのターンの活動内容が総括され、勝利ポイントの獲得、支持状況、経済状況、外交、各都市やドイツ国全体の状況が変動します。

 

勝敗の決定

ゲームの勝敗は勝利ポイントの獲得数によるのですが、勝利ポイントの獲得方法は政党によって異なります

例えば、共産党は最終的には共産革命を目指している一方、右派政党とは犬猿の仲なので、都市にある「評議会(ソビエト」の数、また右派政党が起こす「政権」マーカーがマップ上に存在しないということで得点します。

中央党は、保守政党として共産革命を防ぎつつ、社会の安定を目指すことから、マップ上に「社会不安」マーカーが2か所以下の状態になっていること、また「評議会(ソビエト」が存在しないことの2つの条件が満たされている場合、それぞれで得点できます。

 

いくつかの条件下ではサドンデスが発生します。サドンデスが発生する場合としては

  • インフレ、経済封鎖、社会の不安定化といったドイツ国全体に関係する「脅威」が一定レベルに達すると、無政府状態に陥り、全プレイヤーは敗者になります。その時点での勝利ポイントで勝敗を決します。
  • ドイツ共産党(左派)か、ドイツ国民人民党(右派)が単独過半数議席を確保すると、共和国を転覆したとして、その政党が勝利します。
  • 共産党が都市に合計4か所の都市に「評議会(ソビエト)」マーカーを設置した場合、または国民人民党が合計4か所の都市に「政権」マーカーを設置した場合、共和国を転覆したとして、その政党がサドンデス勝利します*9
  • ナチス党の影響度合いが一定レベルを超えると、その時点でサドンデスとなり、全プレイヤーは敗者になります。ナチスによって政権が奪取され、民主主義が敗北したということになります。

こうしたサドンデスは発生しやすく、特にドイツ国の「脅威」については、政権政党になったプレイヤーは特にゲームの初期段階、反政府的な行動をとる政党への対応にかまけるのではなく、「脅威」にも十分に注意する必要があるでしょう(政権政党としての責任とも言えます)。

(つづく)

 

 

 

 

 

 

*1:( )内の分類は筆者が勝手に行ったものなので正確な描写ではないかもしれません。

*2:ナチス党の影響度は専用のマーカーで管理します

*3:ルールブックではターンではなく、ラウンドと呼んでいます

*4:原文(impulse?)を直訳したのでしょうが、変なので意訳してもよかったのではないでしょうかね

*5:後に述べるドイツ国が抱える「脅威」のひとつとして、「少数与党」というマーカーが用意されています

*6:和訳では「時系列カード」となっています

*7:イベント等から発生する論点を含め23種類の論点があります

*8:この時代の反政府運動は激しく、反政府系の政党を中心に武装した運動員、つまり準軍事組織を保有していました。歴史的にはナチス党が抱えていた突撃隊が有名ですがゲームでは、左派政党であるドイツ共産党は「赤色戦線戦士同盟」、中道左派政党のドイツ社会民主党は「黒赤金国旗団」、右派政党「ドイツ国家人民党」が複数の組織を、準軍事組織として「動員」(アクションの一種)することができます。

*9:両方について、ベルリンが対象の場合はベルリン+2か所の任意の都市に配置すると条件を満たす