Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「RUNEWARS」(FANTASY FLIGHT GAMES)

ファンタジー世界を舞台に、4つの種族(プレイヤー)が竜の紋章(ルーン)を求めて争うマルチプレイヤーゲーム「RUNEWARS」(FANTASY FLIGHT GAMES)を対戦した。

 

 

プレイヤーは領土を広げ都市を攻略していくことで資源を獲得し、より大きな軍勢揃えるのとあわせ、召喚した英雄を使ってクエスト(探索)を行わせていく。
ルーンを獲得するには

  1.  他国の領地を征服することで、領地に保管されているルーンを奪う
  2.  英雄によるクエストの報酬として獲得する
  3.  英雄によるクエストによって得られるアーティファクトを一定数集め、交換する
  4.  ”使命”を達成し、報酬として獲得する

と復数の方法が用意されている(他にもあったかも)。

マップは復数の六角形(ヘックス)で構成された地形を任意に組み合わせるため、毎回異なるマップとなる。

登場するのは、人間族・エルフ族・アンデッド・Uthuk Y'llan(ウサック・ユーラン)*1の4種族。前2種族は”光”のエレメント、後2種族が”闇”のエレメントをもっている*2

プレイ毎にランダムに構成されるマップ、領土拡張を行うウォーゲーム的設定と、英雄ユニットを用いたクエストを平行して実施していく点で以前にプレイした「BATTLEMIST」(FANTASY FLIGHT GAMES)の系譜の連なる作品と言えるだろう。

 

 

「BATTLEMIST」では国土拡張の活動と探索の活動が同じマップ上で実施されているとはいえ、バラバラに進行している印象が強かったが、本作ではこの2種類の活動が関係づけられ融合されているように感じた。
例えば、英雄が探索を行う新しいクエストを得るためには都市を占拠しておかなければならない、個々の英雄が持つ特殊スキルの中に、軍勢に対して影響を与える(軍勢ユニットの除去など)ものが用意されているなどなど、領土拡張パートと探索パートが互いに影響を与えることができるような構造になっていた。

 

マップは復数の六角形のヘックスからなるマップタイルを組み合わせることで生成される。マップには決められた位置に都市が配置される。各勢力は生成されたマップの四隅に(互いに近接しないよう離れた位置に)本拠地タイルを配置することでマップが完成する。

 

各ヘックスにはそこから得ることができる「食料」「木材」「石材」といった資源が記されている。資源は軍勢の召集や各種活動に必要となるため、バランス良く獲得できるように領土を獲得していく必要がある。中でもひとつのヘックスにスタックできるユニット数はその国の「食料」資源の数によって制限されるため、食料を産することができるヘックスの獲得はゲーム序盤のテーマとなるだろう。より強力な軍勢ユニットを生産するためには「石材」資源が必要となるが、得てして「石材」を産するヘックスには、ドラゴンやジャイアントといった強力な中立ユニットが生息しているため、その排除には気を使うことになる。

ユニットはミニチュアで提供される。各勢力の本拠地以外のタイルには中立の勢力として、ビーストマンのような弱いものから前出のドラゴン、ジャイアント級の強力なモンスターが配置される。

本拠地からゲームをスタートするにあたって、近辺のタイルの資源分布状況、都市の位置、また中立ユニットの位置は、展開を左右する重要な要素となる。

写真は初期配置状態。エルフ族(緑色)を担当。マップは山地と海/河に遮られた奥まった場所に本拠地を配置したっため、防御がしやすかった。反面、都市が遠くになってしまい、スタート時点での展開が限定されることになったのは反省点だ。

 

春夏秋冬の4ターンを1年とし6年間、計24ターンとゲームの長さが決められている。
プレイヤーは8種類の命令カードを持ち、各ターンに1枚ずつ使用する。カードは一度使うとその年の間は使用できなくなる。1年(4ターン)でカードの利用はリセットされ、次の春のターンにはまた8枚から選ぶことができるようになる。

命令カードには、「戦略移動」「出撃」「征服」「収穫」「雇用」「都市からの支援」「力の獲得」「防衛」といったものがあるのだが、元の名称(またそれを受けた訳語)が直感的ではなく機能分解も十分ではないなど、正直わかりづらかった。

全プレイヤーは各ターンに使用する命令カードを選ぶと一斉に開示する。命令カードには序列があり、優先度が高いカードを出したプレイヤーから順番に解決することになる。さらにはその年の中でのカードを出す順番によって、各命令カードが持っているボーナス効果を実施できるかどうかが決まるなど、命令カードのプレイは複雑になっており、戦略性が要求される(このあたりも以前の「BATTLEMIST」から発展した部分だろう)。

軍勢ユニットを中心としたプレイとは別に英雄ユニットを使ったプレイが進行する。

ゲーム中、十数人の英雄が登場するが、それぞれに異なるデザインの専用のミニチュアユニットが用意されている。英雄にはエレメント、能力値の他、それぞれ異なる特殊能力を持っている。
各勢力は最大3人の英雄を雇用し、活動を行わせることができる。
軍勢ユニットが英雄を攻撃したり妨害するといったことはできないが、英雄の中には軍勢ユニット側に影響を与える特殊能力を持つものもいる。
英雄は基本クエストを受け、クエストの解決のため、マップ上を移動することになる。英雄同士は決闘を行うこともある。

 

軍勢ユニットは歩兵、弓兵、騎兵などを基本として各勢力毎に特色ある兵種が用意されている。それぞれに戦闘解決の優先順位や特殊能力が定められている。
戦闘解決はカードによって行われ、素早さなどによって決められた戦闘解決の優先順位に従い相手に与えた損害を判定していく。
これには別途用意された戦術カードなども活用されていく。

また中立ユニットとして登場するモンスターは基本敵対関係にあるが、外交判定やカード効果によって味方にすることができたり、都市によってはモンスターを動員することができる。

 

ほとんどの空きヘックスがなくなり、ゲームは中盤にさしかかった。復数のドラゴンユニットを含んだ中立モンスタ(クリーム色)はひとつのヘックスに押し込められている。各勢力は、エルフ族(緑色)、人間族(青)、ウサック・ユーラン(赤)、アンデッド(紫)。
エルフ族は唯一の都市を、アンデッドの魔法(カードイベント)によって廃墟にさせられたところ。

 

都市を失ったエルフ族は、アンデッドの都市を占拠するべく、なだれ込み勝利する。ただそれはルーンの争奪とは関係はなく、両勢力とも不毛な消耗に陥った。

 

今回プレイの終盤。
人間族(青色)とウサック・ユーラン(赤色)は大軍を集めるが戦闘には突入しなかった。領土の争奪ではなく、英雄の探索とアーティファクトの収集といった非軍事活動によりルーンを収集した人間族が勝利した。

 

感想戦

基本的なルールのみを追っていったが他にも各プレイヤー(勢力)には目的カードによりルーンを集める以外の”使命”が指定されたり、英雄の訓練、各ターンの冒頭に実施されるイベントや、各プレイヤーが任意に実行できる戦術カードなど復数の要素が詰め込まれている。上に書いたアクションカード周りの煩雑さも相まって、ゲーム全体としてはちらかった印象はある。そうした”ちらかり具合”はすっきり整理してしまうと、ゲームとして単純になりすぎるのかもしれない。

戦闘はミニチュア効果もあり、十分に楽しめた。

今回、自拠点の防御を優先してしまい奥まった地形にしたことでスタートでの都市の確保が遅れ、さらには唯一の都市を破壊されてしまった。都市がなければ英雄はクエストを受けることができなくなり、クエストの達成やアーティファクトの獲得もできなくなる、ということでルーンの獲得手段が塞がれてしまった。

スタート時点でより開放的に都市の獲得を行うこと、そのためには本拠地の構築は重要な初期要素となる。

また軍事ではどうしても消耗戦になるため、リソースの有効活用のためには相争う要素が少ない英雄ユニットを使った探索により比重をかけた活動が必要なのだろうと思う。

 

 

*1:神話といってよい時代に力と魂を交換し堕落した悪魔と忠誠を誓った民族。イナゴのように土地を冒し進路上のすべてを破壊した。人々はこの悪魔の大群に対して同盟を結び対抗し、闇の世界に追い返したが、千年の時を経て戻ってきた(FANTASY FLIGHT GAMESのHPより抜粋)英語で書かれたファンタジー小説の造語でよくあることだが、読み方がわからない。ここでは有志による日本語マニュアルの読み方からとった。

*2:エレメントによる差や違いはゲーム中に問題とされる機会は少ない。気付いたところでは英雄ユニットの属性との一致/不一致により余計に支出が必要となるカードイベントがあったくらいだ(”光”のエレメントを持つ種族が、”闇”のエレメントを持つ英雄を召喚できないといった制約はない)