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「THE HUNT」(Salt & Pepper Games)を対戦する

ドイツ海軍の装甲艦「アドミラル・グラーフ・シュペー」の通商破壊行と、それを追うイギリス海軍を扱ったボードゲーム「THE HUNT」(Salt & Pepper Games)を対戦しました。

 

 

 

ドイツ軍プレイヤーは「シュペー」号、イギリス軍プレイヤーは「シュペー」号を追う追跡艦隊を表す複数のユニットを扱います。他に、ドイツ軍にはカードイベントで登場する補給艦、イギリス軍は航路上をルールに沿って移動する商船ユニットを操作します。

基本的なゲームシステムはカードドリブンで、カードに記載されたポイントを使ってアクションを実施するか、カードのイベントを発動させます。通常のカードはアクションポイントとイベント実施を選択することになるのですが、カードによっては必須で発生するイベントもあります。

 

 

「シュペー」号は通常の状態では盤上には現れず、ドイツ軍プレイヤーは位置を別に記録していきます。「移動」アクションにより、1~3ヘックス位置を変えていきます(「移動」アクションに費やすポイントによって移動距離が変わる)。商船と同じ海域(ヘックス)に入ったところで「索敵」アクションを実施するとダイスによるチェックを行い、成功すると商船は即撃沈になります。
「シュペー」号は水上偵察機を搭載しており、可動状態にあると「索敵」時の発見率があがるというギミックが用意されています。

 

 

イギリス軍プレイヤーは「移動」アクションにより艦隊を移動させます。「シュペー」号が隠れていそうな海域(ヘックス)で「索敵」アクションを実施、チェックに成功すした場合、ドイツ軍は実際にそのヘックスに「シュペー」号がいるかどうかを回答しなければなりません。

両軍は実施するアクション種類を宣言しなければなりません。
特にドイツ軍は「索敵」アクションを実施した場合、ヘックスを指定しなければならないため、潜伏しているヘックスが露見してしまいます。続けて「移動」アクションを実施することでそのヘックスから離脱してしまうでしょうが、イギリス軍はすぐさま付近の海域に艦隊ユニットを移動させてくるでしょう。
イギリス軍はアクションのひとつである「諜報」を使うと、ドイツ軍は実際に「シュペー」号が存在するヘックスか、隣接するヘックスにマーカーを配置する必要があります。ウソをつくことはできないため「シュペー」号のおおよその位置がわかってしまうのですが、一方でイギリス軍への欺瞞情報として働くかもしれません。

イギリス海軍の艦隊ユニットの「索敵」により、「シュペー」号が発見されると(つまりはイギリス軍の艦隊ユニットと「シュペー」号が同じヘックスに位置していることになります)、海戦が発生します。

「シュペー」号の目標となる商船ユニットは、常にマップ上に2ユニットは存在するように、適宜ランダムに追加されます。商船ユニットには、イギリス本土とブラジル・アルゼンチン・インドといった地名が出発地と目的地として記載されていますので、その内容に沿うようにマップ上を移動します。

 

カードの美麗なイラストも雰囲気を良く伝えてくれます

 

ドイツ海軍プレイヤーは商船の航路に沿い商船ユニットを追いながら、一方でイギリス海軍の複数の追跡艦隊の裏をかくように移動させていく必要があるでしょう。イギリス海軍は、「シュペー」号の位置を推理しながら、見えない艦艇を追っていく必要があります。

カードは1~5ポイントのアクションカードとして使うか、イベントを発動することになりますが、強力なイベントのカードほどポイントも高いため、その使用は悩むことになります。また軍艦同士の海戦になった場合はカードのポイントが攻撃力となるため、海戦に備えて強力なカードを手元に残すのか、または強力なイベントを発動させるのか、はたまたポイントとして使うのか、悩みどころになります。

ドイツ軍プレイヤーは5枚の商船ユニットを撃沈する、イギリス軍プレイヤーは5枚の商船ユニットを無事に目的港まで到着させると勝者になります。

 

感想戦

プレイ時間は小一時間程度、ルールはシンプルにまとめられていますが、プレイは盛り上がります。

今回のプレイではドイツ軍を担当しましたが、複数のイギリス軍艦隊に追われながらも、商船の航路に出没しては撃沈し、すぐに姿をくらますという行動や、イギリス軍の推理の裏をかきながら商船隊に接近していくなどスリリングな場面も多く、白熱しました。
最初は可動状態にあり、高確率で商船の発見に寄与する搭載の水上機もやがて故障し(一度出動すると整備しなければ可動状態にならず、整備のチェックで失敗すると故障状態になる)、後半はなかなか商船を発見できなくなります。
史実の「シュペー」号が母国ドイツに戻ることなく2ヶ月半の航海後に、遠く南米で自沈を余儀なくされた顛末につながる寂寥感を感じます。

今回のプレイでは商船ユニット4個の撃沈に成功するものの、イギリス軍が5個の商船ユニットを目的港に到着させることに成功させました。

軍事テーマのゲームですが、特に軍事知識は必要なく、間口が広いボードゲームになっており好印象な作品です。

(終わり)