1939年9月、ポーランド海軍潜水艦「オジェウ(Orzet)」号のバルト海からの脱出行を扱った表題ゲームを、Dragoonさんと対戦した。
戦争を題材にしているためウォーゲームとは言えるが、潜水艦戦のシミュレーションではなく、テイストはボードゲームだ。
ゲームの背景
1939年9月1日、ドイツとの戦争の勃発によりバルト海に出撃したポーランド海軍潜水艦「オジェウ」号は機雷敷設や待ち伏せなどの活動を行うが、船長の病気と機器の故障のため中立状態にあったエストニアのタリンに寄港する。船長を下船させたところでエストニアが「オジェウ」号の武装解除を要請してきたため、副長に率いられた「オジェウ」号は夜陰に紛れタリンを脱出、デンマーク海峡を超えて北海を目指した・・。
展開として宮崎駿が好きそうなシチュエーションにも見えますね。
ゲーム内容
「オジェウ」号を操作するプレイヤーと脱出行を阻むドイツ軍の2プレイヤー。
マップはバルト海を表し、出発地となるタリンは右下の赤い縁取りのあるヘックス箇所、ゴールとなるデンマーク海峡は、左上の赤い斜線部分が該当する。
両プレイヤーとも毎ターン4つのアクションを実施できるが、実施できるアクションはそれぞれの専用ダイスで出た目によって決まる。ダイスは4回まで振り直しができるので、ある程度は実施したいアクションを選定できる。
最初に「オジェウ」号プレイヤーが4つのアクションをダイスの結果によって決め、その後、ドイツ軍プレイヤーが同様に専用ダイスで4つのアクションを決める。
両方のアクションが決済したところで「オジェウ」号プレイヤーが4つのアクションを好きな順番で実施し、その後、ドイツ軍プレイヤーが同様に4つのアクションを好きな順番で実施する。
双方のアクションが実施されたところで「オジェウ」号の航路が確定し、「オジェウ」号の3Dユニットの位置を変えると1ターン終了となる。
ターン数に制限はなく、「オジェウ」号がデンマーク海峡に達すれば「オジェウ」号プレイヤーの勝ち、後述する「航路マーカー(本物)」すべて(6枚)が除去された状態になるとドイツ軍プレイヤーの勝ちとなる。
「オジェウ」号の3Dユニットと、アクションを決定するための専用ダイス。赤色は「オジェウ」号プレイヤーが用いるもの。これとは別にドイツ軍プレイヤー用の白色ダイスが4個ある。いずれも品が良く、コンポーネントとして好感がもてるつくり。
「オジェウ」号が実施できるアクションは3種類
- 航路の設定
航路マーカーを設定する(航路マーカーは下記写真の「A」と記された丸いマーカー)。航路マーカーには本物6枚とダミー6枚がある。「A」と記された面を表にして配置されるが、ドイツ軍側の「探索」によりめくられる。
本物の航路マーカーには潜水艦が描いてある。
本物の潜水艦マーカーは本物の機雷マーカーと同じ場所に配置された場合と、ドイツ軍から「攻撃」を受けた場合に永久に除去される。 - ブレイクコンタクト
ドイツ軍の哨戒艇マーカーを1つ取り除く(探索を振り払うということらしい)。 - 浮上する
ドイツ軍から取り除かれた航路マーカーダミーを1個取り戻す。
「オジェウ」号の3Dユニットの位置から連続して「航路マーカー」が配置された状態(「オジェウ」号プレイヤーの手番が終わった状態)。航路の先はドイツ軍の「哨戒艇マーカー」と「機雷マーカー」で塞がれている。
この写真はプレイをはじめて初期の頃に撮られたものなので、あまり良い展開ではありません。
ドイツ軍がとり得るアクションは4種類
- 機雷敷設
機雷マーカー(上記写真で六角形で赤い斜線がはいったマーカー)を2個設置する。機雷マーカーには本物4個、ダミー4個がある。機雷はいったん設置すると設置場所の変更はできない。
機雷マーカーが設置しているヘックスに対して、「航路マーカー」の設置をすると、すぐにその機雷が本物かダミーかが明かされる。本物の機雷で、航路マーカー側も本物のマーカーであればその航路マーカー(潜水艦が描いてある)は永久に除去される。 - 哨戒艇の出撃
哨戒艇2隻を出撃できる。または除去された(「オジェウ」号のブレイクコンタクトによって)哨戒艇1隻を出撃できる状態に戻す。 - サーチ(探索)
マップ上に設置された「航路マーカー」1枚をめくることができる。めくった「航路マーカー」がダミーだった場合、直ぐに除去される(除去されたダミーの航路マーカーは「オジェウ」号の「浮上」アクションで取り戻すことができる)。 - デストロイ(攻撃)
「サーチ(探索)」によってめくられた「航路マーカー」が本物であった場合、攻撃を行うことできる。「航路マーカー(本物)」は永久に取り除かれる。 - 濃霧
これはアクションではないが、ドイツ軍のダイスにはこれがあり、1アクション分、行動を行えなくなる可能性がある。
「オジェウ」号が配置する「航路マーカー」は連続した並びになっておく必要があり、また並びの途中が「探索」によってダミーとばれた場合、「攻撃」によって「航路マーカー(本物)」が取り除かれ、連続性が失われると、そのさきの航路マーカーの並びは破棄される。
逆に「航路マーカー」の並びがターン終了時まで生き残った場合、その「航路マーカー」が仮にダミーであったとしても、その並びの先まで「オジェウ」号は到達したとみなされ、「オジェウ」号の3Dユニットの位置を海峡側にすすめることができる。
両プレイヤー用のプレイヤースクリーン。お互いダミーマーカーを駆使することになるため手元を隠すためのもの
「航路マーカー」の列は1本である場合、出発点に近い場所を「探索」されてしまい、ダミーであったとしても本物であったとしても狙い撃ちされてしまう。連続性が失われたとしてその先の並びを除去されてしまう可能性もある。
このため「航路マーカー」の設置は複数本行うことになる。
相手が選んだアクションを見て実際のアクションを実施できるため、例えば「オジェウ」号プレイヤーはドイツ軍のアクションに「攻撃」アクションがなかった場合、そのターン、本物の「航路マーカー」が発見されても除去される懸念がないことになる。堂々と、本物「航路マーカー」で航路を形成できる。
「オジェウ」プレイヤーが、本物/ダミー取り混ぜて複数を航路を形成し、それに対してドイツ軍は、「機雷」と「哨戒艇」で航路の設定を妨害しつつ、「探索」で「航路マーカー」をめくり、ダミーであれば除去、本物であれば「攻撃」を行うことになる。
「機雷」は航路を塞ぐ手段だが、いったん設置すると移動できない。除去するには「オジェウ」プレイヤーが「航路マーカー」をその上に配置する必要がある。
「哨戒艇」は「ブレイクコンタクト」で除去できる。
感想戦
都合2回プレイ。1回のプレイ時間は馴れるが30分以下になるだろう(ボックスには20分とある)。両プレイヤーのアクションと相互作用について会得するとかなりスムーズにプレイできるようになる。
相手のアクションがお互いに筒抜けという、本来の潜水艦戦とは本質的なところでの相違している点は気にならないではないが、潜水艦戦に材をとったゲームとして良いと思う。コンポーネントが全体に良い点も評価。
2回とも「オジェウ」号側が勝利したので、ドイツ軍の勝ち方は研究の余地ありかも。
(終わり)