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「OPERATION TYPHOON」(SPI/IED(国際通信社))を対戦する【2/3】背景・1日目

IED(国際通信社)より再販されたビッグゲーム「OPERATION TYPHOON」を2日間・4人で対戦しました*1
1日目はルール確認+練習プレイ、2日目に向けての準備を実施し、2日目に対戦本番という段取りです。

 

 

 

 

 

ゲームの背景

ゲームタイトルになっている「タイフーン作戦」は、モスクワ攻略を目指し、1941年9月末にドイツ軍が発動した攻勢作戦です。破竹の勢いで侵攻したドイツ軍もこの頃にはかつての勢いはなくなっています。戦力の減少と補給の不足により、11月初頭で攻勢限界に達し、いったん進攻が停止します。
その時点で第2装甲軍グデーリアンはモスクワ攻略の好機はすでに去った、と判断しますが、11月15日に再び攻勢が再開されました。

本ゲームはこの11月15日に再開された攻勢を扱っています。

キャンペーンシナリオは11月15日から11月30日の16ターン(1ターン=1日)ですが、さらに15ターンの拡張キャンペーンシナリオが用意されています。
キャンペーンシナリオはドイツ軍の前進が再び止まった時期までを扱い、拡張キャンペーンではその後始まったソ連軍の反撃をカバーしています。

ドイツ軍の動員数が百数十万万人(資料によって異なる)、ソ連軍も同数以上を動員していたあります。

 

 

1日目

担当は希望があった1名を決め、残りをくじびきで決めます。

■ ドイツ軍: yagi会長、大久保氏

ソ連軍: 提督氏、当方

ドイツ軍は、会長が南側の第2装甲軍と第4軍、大久保氏が第3・4装甲軍を担当します。

ソ連軍は南側を提督氏、北側を当方が担当します。南北の分担ラインはモスクワ南側あたりに設定していたのですが、その後の展開により調整しつつ進行させています。

 

初期配置

初期配置は史実配置を採用(写真参照)。
ソ連軍の全てのユニットと、ドイツ軍の司令部以外のユニットの配置が決まっています。ドイツ軍の司令部ユニットは、前線の部隊ユニットへの補給線の起点となり、その設定長に制限があるため、攻勢を行う地点の近くに配置する必要があります。

写真の奥側に並んだ灰色のユニットがドイツ軍*2、手前の赤色のユニットがソ連軍です。ドイツ軍は師団単位・軍団単位で固まり、またスタックしているのですが、前線のソ連軍はほとんどが1ヘックス空け、1ユニットずつスタックなしの状態で並んでいます。
モスクワの外周部や後背地にソ連軍ユニットの赤色ユニットによるスタックがいくつか並んでいますが、戦略予備のユニットになります。毎ターンのダイス判定の結果に基づき少しずつ戦線へ投入されます。ソ連軍プレイヤーの心の支えです。

ドイツ軍は、補給状況がよくないことを反映して、前記事で紹介したルールに基づき、各軍に割り振る補給ポイント、さらにその中で補給状態にできる軍団数が限定されます。

初期配置(史実配置)
以降、マップ左手が南、右手が北になります。

 

今回のマップを南北(縦に長いほう)のヘックス数を数えると116ヘックス*3、1ヘックス=4.2キロのスケールで計算すると487キロとなります。
東京から直線距離で487キロというと姫路を超えて、相生市あたりまでにあたります。モスクワを巡る戦いだけで、日本本土の本州を横切るどころか、1/3を縦走する規模の戦線での戦闘とサイズ感に頭がバグりますね*4

マップに話を戻すと、都市は勝利ポイント獲得の対象となります。中でも史実でも争奪の鍵となったトゥーラは10VPとされ、残りの都市は5VPです。史実でクリンは陥落しますが、トゥーラはドイツ軍に包囲されますが陥落には至っていません。

 

天候の話

各ターンの最初に「天候チェック」「地表の状態チェック」と2回ダイスを振ります。

ドイツ軍にとっての最良の組み合わせは、天候が「晴天」、地表が「凍結」の組み合わせです。
凍結した大地は地上部隊の必要移動力が下がり機動力を増すことになります。晴天では航空支援がフル出動できるという訳です。

ロシア軍にとっての最良の状況は「積雪」がはじまることです。「積雪」状態では、「耐寒性」が「不良」の部隊の移動力と戦闘力が半分になります。ドイツ軍の全てのユニット、ソ連軍の一部のユニットは「耐寒性」が「不良」なので、ドイツ軍の進撃はとたんにストップがかかることになるでしょう。
ただ「積雪」状態になるのは天候が「降雪」で、地表の状態が「凍結」になるパターンとなり、発生確率は1/12と小さいです。結局、今回のプレイ2日間を通して、「降雪」が出たのは1-2回で、「積雪」に至ったことはありませんでした。

また他のゲームで地表の状態が「泥濘」の場合のペナルティが大きくドイツ軍の行動を妨げるなど影響が大きかったことから、ソ連軍担当としては、本作についても「泥濘」状態になった際の悪影響を期待したのですが、本ゲームでの「泥濘」は地表状態が「普通」のものと差異はほとんどなく、ドイツ軍のストッパーになりえませんでした。

 

第1ターン

天候は「曇天」。曇天下での航空支援は「晴天」時の半分になります。

特別ルールでドイツ軍の補給状態の制約があります。
特に最南翼を担う第2装甲軍グデーリアン)は第3ターンまで補給切れ状態として扱われることから*5、4ターン毎に割り振る補給の配分は、北翼の2つの装甲軍(第3装甲軍(ラインハルト)と第4装甲軍(ヘフナー))を中心に割り振られました。

 

写真は第1ターン終了時。
ドイツ軍の移動‐戦闘後、後攻のソ連軍が戦線を引き直した後の状態です。

 

写真右手(北翼)の第3装甲軍・第4装甲軍の戦線が前進しているのがわかります*6。移動の容易性、補給線の確保の点から、ドイツ軍の攻撃は道路沿いに実施されます。
特にクリンやモスクワにつながる道路を中心に第4装甲軍の有力な装甲師団・自動車化歩兵師団などが集中しています。

前記事で紹介したとおり戦闘システムはクラシカルなマストアタックシステムです。自然、戦い方はオーソドックスなテクニックを使ったものになります。
戦闘結果により防御側ユニットを後退させ、戦闘後前進を実施、隣接する隣の防御側ユニットの退路を塞ぎ、その戦闘結果により防御側後退の結果を出し、除去するという、いわゆる「囲んでポン」です。第2移動や突破移動のような、特別な移動・戦闘はありませんので、囲む技は戦闘結果による戦闘後前進に頼ることになります。
このあたりは、作戦級の鬼と呼ばれる大久保氏の見事なさばきで第4装甲軍の主力前面を中心にソ連軍のユニットが続々と除去されていき、ぽっかりと戦線に穴が空きました。結果のでこぼこは、アントライドにより引いたチットにより、予想外の戦力値を引いた部隊もあれば、逆に戦力1という最低戦力値しか出せなかった部隊もあるためです。チットの内訳としては、後者のほうが確率は高いです。

ソ連軍は、戦闘で後退となるのはやむを得ないため、後退したとしても隣のユニットが囲まれないように前線を引くことが鉄則です。ただ、今回の1戦目ではそれが徹底されていませんでした。
開けられた穴を塞ぐため、ソ連軍は周囲の部隊を集め、安全に前線を設定できる程度にまで前線を下げます。

 

第2ターン

天候は「降雪」。航空支援は両軍とも使えなくなります。地表は「通常」だったため「積雪」には至りません。

ドイツ軍は道路沿いに主力の装甲師団を突進させ攻撃します。同一師団効果、戦車効果(相手に戦車がいない場合)、航空支援(天候が晴天または曇天の場合のみ)と積み上げ、戦闘力比率をシフトさせて攻撃します。

南翼では第2装甲軍が、トゥーラは放置し、先頭の装甲師団は補給切れの状態ながらソ連軍の南翼を回り込もうと機動します(補給切れの場合、移動力は半分)。

 

第2ターン終了時。ソ連軍が戦線を後退させた状態です。

第3ターン

翌日の準備のためこの日はこのターンが最終ターンとなりました。

クリンは陥落には至っていませんが、包囲されようとしており、その周辺のユニットがことごとく除去されていることから、大きく戦線に穴が開いた状態になっています。
ドイツ軍の侵攻の速さに対して、うまく後退ができなかったと判断されます。

写真にはでていませんが、南翼の第2装甲軍についても、ソ連軍の南翼を迂回して回り込もうといするところまできていました。

 

第3ターン終了時
クリン周辺に赤いユニットがいなくなっています。西への道路の途中にかろうじてソ連軍ユニットがいますので、次のターンでの突破はないでしょうが、急ぎ戦線を引かなければ破綻するでしょう。

 

感想戦

マップが広大なのですが、ユニット数はそこまで多くはありません*7。プレイヤーが2対2というのも、手が空く人がでないという意味でちょうど良い感じでした。

ルールがクラシカルなマストアタックのシステムですのでいまさらながら、ある種なつかしいプレイ感です。第2移動、リアクション移動、機甲移動やオーバーランなどの派手な仕掛けはないため、その分、戦闘のテクニックはオーソドックスな作戦級ゲームのテクを地道にこなしていくことになります。対抗する防御側についても、戦線の張り方など同じですね。
今回はそうした基本を忘れたところでプレイしてしまいました。ソ連軍は後退が遅くドイツ軍の攻撃に絡め取られて多くの除去ユニットを出してしまいました。もっと大胆に後退し、メリハリの効いた戦線を引くことにしようと考えました。

(つづく) 次回は2日目のプレイを書く予定です。

 

 

 

 

タイフーン作戦【完全版】

 

 

 

 

*1:前の記事で、「800個のユニット」と書きましたが、そのうち部隊を表すものは400個弱になります。残り400個は主に「アントライド」システムの戦力値の判定に用いるマーカーになります

*2:数ユニットの登場ですが、武装親衛隊は黒色になっています。

*3:目視で数えましたが、間違えていたらごめんなさい。

*4:クリンとトゥーラの直線距離でもGoogle Mapで調べると250キロほどになります

*5:それ以外の軍についても全軍または一部の主力が第1ターン補給切れとされています

*6:赤色の破線が初期状態での前線、橙色のラインがドイツ軍の進出線です

*7:一部のOCSゲームのように戦線に沿いびっちりとスタックとユニットが並ぶようなことにはなりません