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「REBEL FURY」(GMT Games)を対戦する(1/2)

南北戦争での複数の戦闘を扱った作戦級ゲーム「REBEL FURY」を対戦しました。ゲームはチカマウガ、チャタヌーガ、ウィルダネス、スポットシルバニア、チャンセラーズビル、フレデリックスバーグという6種類のシナリオ(あわせて複数のマップ)が含まれています。
BGGでの説明では難易度は高くないと記載されていますが、作戦級としてはけっこう特徴的なシステムになっています。

 

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ゲームシステムの紹介

スケール

1ターン=12時間

1ヘックス=0.8キロ

ユニットは師団が基本。
指揮官レベルのユニット(名前入り)がHQユニットとして登場します。
兵種は歩兵と騎兵の2種類。砲兵は砲撃支援や重砲支援として表現されています。
変わったところで、分遣隊(Detachment)という師団から分離されるユニットが登場します(この扱いも変わっています)。

 

ZOCとZOI

 司令部ユニット、師団ユニットには機動モードと戦闘モードがあります。

師団ユニットはユニットが存在するヘックスの周囲6ヘックスに影響を及ぼす「ZOC:Zone of Control(支配地域)」のさらにもう1ヘックス外側をZOCを取り巻くように、「ZOI:Zone of Influence(影響地域)」というエリアが設定されています*1

敵ZOIにはいった師団ユニットは強制停止+戦闘モードへ変換、移動は可能ですが戦闘モードなので移動力は1になり、戦闘モードから機動モードへの変換は次ターンまで不可能なため、フェイズの残りは移動力1で活動することになります*2
敵ZOCにはいった師団ユニットは強制停止+移動不可となります。

戦闘は基本的にはMay Attack(攻撃は任意)ですが、要塞や塹壕などの一部の地形に隣接している場合、Must Attack(攻撃は必須)となります。

ユニットは兵士の隊列を真上から見たアングルで描かれユニットの正面や側面などが関係しそうなデザインになっているのですが、ユニットに向きはありません。

スタックは禁止です。移動途中・戦闘結果による退却時など活動の途中であっても禁止です(師団の移動や戦闘にあたって、けっこうな制約になります)。

 

ゲームの手順

各ターンは次のフェイズに分かれています。

  1. コマンドフェイズ (共通)
  2. 組織フェイズ   (共通)
  3. 移動フェイズ   (師団毎に交互に活性化)
  4. 戦闘フェイズ   (師団毎に交互に活性化)
  5. 終了フェイズ   (共通)

コマンド、組織、終了の各フェイズは両軍共通です。

移動フェイズと戦闘フェイズは両プレイヤーが師団単位に交互に活性化させることで実施します。

移動させるユニットがないプレイヤーはパスを宣言します。パスはハードパスですので一度パスを実施するとフェイズの終了まで再開はできません。
パスが宣言された時点で、パスを行った側ではないプレイヤーはダイスを振り、移動フェイズの残りで移動アクションを実施できる回数を決め、その回数の中で移動を実施します。

 戦闘フェイズでは、戦闘を1個師団ずつ交互に実施していくことになります。どちらかがパスをするまで続け、パスが宣言された時点でダイスによりそのターン中に実施できる戦闘の回数が決められます。

 

移動ルール

移動フェイズでは両方の軍が1個師団ずつ活性化することを説明しましたが、本作がユニークなのは次の点です。

師団ユニットはひとつのターンの間に何度でも移動を実施することができます。同じ師団ユニットが連続的に移動を実施しても構いません。

移動力は、機動モード時に歩兵4、騎兵6です。戦闘モード時はいずれも移動力1となります。延長行軍(Extended March)を使うことにより移動力は2倍になります。

回数としては無制限に移動を実施できますが、司令部ユニットの指揮範囲から離れることはできない、という制約があるため移動可能な範囲には制約があります*3。また敵ZOCにはいったユニットは活性化できなくなるため、それ以上移動を実施することはできなくなります*4

 

戦闘ルール

戦闘も移動と同様に、同じフェイズの中で、師団ユニットは何度でも攻撃を実施することができます。攻撃を行う対象のユニットが同一であっても、連続的に実施することも許容されています。

 オーバーラン、騎兵突撃のような特殊な攻撃は用意されていません。
面白いのは騎兵師団は歩兵師団に攻撃できないとしている点です。騎兵師団は、敵の騎兵師団か司令部ユニットを攻撃できるだけになっています。歩兵が持つ火力の増強により、ナポレオン時代にはまだ見られたような騎兵突撃は意味を失ったことを表しているのでしょう。

基本はMay Attackですが敵ユニットが存在する一部の地形に隣接している場合はMust Attackとして扱われます。

戦闘の場合、戦闘の結果として、敵ユニットを除去や退却させたことにより、隣接する敵ユニットがいなくなる(または隣接する敵ユニットを攻撃できなくなる)といった理由が攻撃の実施回数無制限とするルールの決着がついたということでしょう。

戦闘解決手順は特徴的です。

  1. 攻撃を行うユニット、防御するユニットそれぞれについて「Battle Rating(戦闘評価値)」を決めます(最小値1、最大値10)
  2. 攻撃側・防御側はそれぞれの「Battle Rating」を元に10面ダイス1個をふり、判定表に基づいて攻撃側・防御側それぞれについて「Tactical Position (戦術的ポジション)」を決めます。結果は、悪い結果からSD/D/S/SA の4種類
  3. 攻撃側・防御側の「Tactical Position」が横軸・縦軸に配置された、「Attack Result Table」を見て、両方の結果から交差したマス目にある結果が戦闘結果になります

1.の「Battle Rating(戦闘評価値)」は、攻撃側・防御側双方いずれの師団ユニットでもいずれも「1」が基本値となり、次のような修正を施していき、加減算の結果が「Battle Rating」になります。

  • 砲兵支援(攻撃側・防御側双方)
  • 地形修正(防御側のみ)
  • 司令部の指揮修正(攻撃側・防御側双方)
  • 部隊士気値(攻撃側・防御側双方)
  • 攻撃支援(攻撃にあたって隣接する部隊がいた場合)(攻撃側のみ)
  • 同一軍団/師団効果(攻撃側・防御側双方)

2.の「Tactical Position (戦術的ポジション)」の結果は攻撃側・防御側それぞれについて戦闘結果の評価を行う内容になっています。

  • SA:Significant Advantage(著しく有利)
  • A:Advantage(有利)
  • D:Disadvantage(不利)
  • SD:Significant Disadvantage(著しく不利)

3.により判定される戦闘結果には次のものがあります。

  • 反撃:Counterattack
  • 後退
  • 潰走:Blown
  • 突破:Breakthrough
  • 災害的な損害:Disaster

中でも珍しいところでは潰走と訳している「Blown」と、災害的な損害と訳している「Disaster」でしょうか。

「Blown」となった場合、部隊ユニットはいったん除去されますが、2ターン後に戻ってきます。さながら兵士が混乱潰走しその収拾に1昼夜要するといったところでしょうか。なお「Blown」による除去とは別に部隊がプレイに戻ってくることがない「Eliminate」(完全除去)という処理があります。

「Disaster」は攻撃側だけに発生する戦闘結果で、攻撃したユニットは除去(Eliminate)され、その攻撃を支援したユニットは潰走(Blown)扱いになります。同様に「Breakthrough」は防御側だけに発生する結果で、「Disaster」と対になったような損害が防御側に発生します。

 

ルールが面白いので長々と紹介しましたが、他にも司令部の扱いや、冒頭のほうに登場した「分遣部隊(Detachment)」の扱いなどユニークなルールが点在しています。
英文自体はクリアなのですが、大事なことがちょろっと書いてあったりするので、できれば読み込むか日本語訳を用意したいところです。
実際のゲームにあたっては慣れるとスムーズにすすむ印象です。

今回はルール紹介だけでいっぱいになってしまいましたのでプレイの紹介以降は次回にします。

 

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

*1:ZOIは尖兵が展開しているエリアという説明

*2:戦闘モードから機動モードへの変更は次のターンの組織フェイズかつ敵のZOI/ZOC以外のヘックスにいる場合、可能です

*3:移動開始時に司令部ユニットの指揮範囲外にいるユニットについては、司令部ユニットに近づくような方向にしか移動できないという制約があります

*4:パスを一度宣言すると移動フェイズの残りで何もできなくなるため、すでに移動する必要がなくなったプレイヤーも移動が可能なユニットを使って、わざと無意味な移動を繰り返すことは十分に考えられます。こうした行いについて回数の制限(19回!まで)が設けられています。ただこのあたりの整理はルールとしてスマートではないように感じられました。なおこの移動回数制限ルールは解釈違いの可能性もあります