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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「EUROPA UNIVERSALIS」(AEGIR GAMES)を対戦する(2/2)

 

大航海時代からフランス革命までの欧州史を扱ったマルチプレイヤーゲーム「EUROPA UNIVERSALIS」(AEGIR GAMES)を対戦しました。

 

 

 

オリジナルのボードゲーム版は1993年にリリースされた作品です。今見るとユニットはウォーゲーム調の紙ユニットで、マップもかなり細かいエリアマップになっていていかにもオールドファッションなゲームに見えます。ボードゲーム調にリファインされコンポーネントが一新されたのは正解ですね。

 

ゲームのほうは前記事に書いたように次のような点が気になりました。
端的にプレイヤーは高度にゲームを理解することが求められる、といったところでしょうか。こうしたプレイヤーを複数名集めるとなると、マルチプレイのゲームとしてはなかなかハードルが高いようにも見えます。

  • プレイヤーがプレイ中に認識しておく情報(ルール以外で、展開された各種の場札など)がやたらと多い
  • ルールやカードが象形文字だらけで読みにくい
  • アクションの選択やそれらがもたらす結果、用意されたルールをどのように使うのかわかりづらい

 

BGGのフォーラムを見てもゲームへの賛辞ばかり並んでいるところを見ると、習熟すれば素晴らしいゲーム体験ができる作品だと思われます。今回は地中海だけに限定されたシナリオでしたが、時代がくだった他のシナリオにも挑戦してみたいところです。

 

プレイではランダムに担当勢力を決め、スペインを担当しました。
イベリア半島内のレコンキスタ、またアラゴン王国との関係を抱えています。アメリカ大陸は今回対象外のため、「探検」アクションは発生していませんが、大航海時代に乗り出そうという頃合いでしょう。

 

スペインのプレイヤーシートです。右上の丸いマーカーが置かれているパートで税収、右下のキューブが置かれた緑・青・赤のボックスに置かれたキューブがそれぞれ統治・外交・軍事に関する君主のパワーを示しています。

スペインの最初の君主は能力値が低いため、統治や外交のキューブが1個ずつしかありません。このためアクションの発起回数が他勢力に比べて少なくならざるをえないくなります。能力値を上げるに、アドバイザー(顧問)を招き入れ(コストがかかります)、能力を補強してあげたほうがよいでしょう(または優秀ではない君主が早く死んで代替わりするように祈りましょう)。

君主や将軍、顧問といった人物はイベントカード、または戦場などで死亡することがあり、その場合、継承が発生します。

 

スペインの国情。
ジブラルタがあるエリア(アンダルシア)はイスラム教が主教となっているため、支配はしているものの、常に叛乱等のリスクを抱えています。地中海に面したバルセロナがあるエリア(アラゴン)は現時点、スペインの影響はあるものの(キューブがおかれている)、支配は及んでいません。
スペインのミッションでは、この2つのエリアを支配、または属国化が求められていました。

ちなみにイベリア半島における15世紀のレコンキスタを扱った作品としては次のようなものがあります。

 

 

 

前記事で紹介した各種の場札が並んでいます。手前右手側が「マイルストーン」左手側に「アイディア」、マップの奥に「イベント」、さらに各プレイヤーの手元に「ミッション」といった各種カードが配置されます。これらのカードに記載された条件・内容をクリアすることによって得点できるため、内容に気を配っておく必要があります。

 

全景。
オスマン・トルコ国内で中小勢力の征伐(コンスタンティノープル包囲戦ですね)が発生していたものの、それ以外のエリアで対外戦争などは発生していません。

軍隊には陸上勢力として、歩兵・騎兵・砲兵が登場し、専用ダイスによって解決されます。砲兵は「アイディア」で大砲が技術開発されてはじめて使えるようになります。

ローマがあるエリアに黄色のキューブ(スペイン)があり、スペインの影響が及んでいるのですが、ローマ法王絡みのようです。ローマ法王枢機卿の中から選出され、独自の権力を持っている(「十字軍」や「破門」など)のですが、枢機卿は周辺国家から輩出されます。このあたりのルールは今回十分に使いこなせていないです。

 

プレイ中も議論になったのがベネチア(赤色)の国家戦略です。
ベネチアは領土が少ないため収入は少ないのですが、地中海貿易を手広く行っていることにより、「貿易」アクションを起こすことで収入を得ることができます。ところが本ゲームの「貿易」アクションは専用カードによって結果を判定するため、大儲けできる可能性もある代わりに、全く収入にならない場合もあるなど、収入基盤として安定していません。
史実ではベネチアは、地中海貿易で財を成す一方で、コンスタンティノープル防衛戦などでも一役買うなど、キリスト教イスラム教の前線でもありました。
今回のシナリオの主役はベネチアだったのかもしれません。

 

(終わり)

 

 

いろいろ調べているうちに本作への誤解がありました。改めて追記しました。