Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「WunderWaffen」(Aleph Game Studio)を対戦する

「WunderWaffen」は、第二次世界大戦の末期戦を扱った2~4人によるボードゲームです。プレイヤーはイギリス・アメリカ・ソ連とドイツを担当します。連合軍の3国は占領地を増やし政治的地位を上げ、最終的にはベルリンを占領することでポイントを稼ぐ一方、ドイツ軍は連合軍の進攻の邪魔をしつつ、新兵器を開発することでポイントを稼ぐという変わった構造をもった作品になっています。

 

 

連合軍3国が競争をするという意味では「Churchill」(GMT Games)の会議パートを除いた侵攻状況パートを膨らませた内容を想起しましたが、「Churchill」の侵攻状況を表すパラメーターが東部戦線・西部戦線それぞれが直線的に表されていたに対し、本ゲームのそれはベルリンを中心としたエリア式のマップになっているといえばいいでしょうか。
また「Churchill」では互いの戦線に対して直接的な邪魔はできなかったのですが、本作では、お互いに直接的に邪魔をする手段が用意されています。

 

マップ全景。
左手からイギリス、下手からアメリカ、右手からソビエトが占領地を拡大していく。マップの中央やや左上あたりの赤い点がベルリン。
各エリアに書かれた3つのボックスに各勢力は手持ちのチットを配置していくことになる。

 

ここでルール説明をしようと思ったのですがなかなかにややこしく、BONSAI GAMES ONLINEのコラムがわかりやすいかったのでそちらにおまかせします。

 

 

 

感想戦

かなり変わったシステムで四苦八苦したため、写真を撮っていません。

今回は2人プレイだったのですが、これもまた変則的で、イギリス&ソビエト、もうひとりがアメリカ&ドイツを担当します。当方は後者。
そんな相反するような分担でゲームが成り立つのか、という話なのですが、2人用特別ルールとして勝敗は、プレイヤーが担当する2勢力のうちゲーム終了時での獲得ポイントが低いほうの勢力を比べるというのです。

F1のチームではファーストドライバーをサポートするようにセカンドドライバーが動きますが、このゲームでは先を走るファーストドライバーの順位でも、チームとしての成績でもなく、セカンドドライバーのポジションによって勝敗を決めるというところでしょうか。

また基本ルールの中で、各プレイヤーがターン毎に使う3枚のチットのうち1枚は自分以外の勢力の面で使用しなければならないというルールがありますが、2人プレイの場合は、自分が担当する2勢力以外の勢力として使わなければならないという制約になります。

 

3枚のチットのうち1枚は別プレイヤーの勢力のために使うという制約は、ゲーム的な処理でこのゲームにひねりを加えているのは確かですが、技巧的で直感的ではありません。ただ4人プレイだと4人が相互に入り組んで差し合うことになるため、異なる様子になったのかもしれません。

連合国に比べるとドイツのポイント獲得手段が細いように感じました。
ドイツはポイントを稼ぐ方法として新兵器の開発がメインとなっているため間口は広くありません。早々にゲームを組み立てて、地道に得点していく必要がありそうです。
ひとつのゲームの中で使うことができるチットの数は決まっているため、自ずと兵器の研究開発に投入できるポイントはある程度計算できてしまいます。

  • 獲得できそうな研究開発ポイントを計算すること
  • 場に出ている開発兵器カードから何を開発するのがコスパがよいか判断すること
  • エリアが占拠されるとドイツに研究開発ポイントがはいるエリアは連合国にどんどん占拠させて、開発ポイントがドイツにはいってくるように動く。

ドイツが得点力が弱いという点についても4人プレイで連合国3勢力を互いに競わせて、その間にドイツとして得点を稼ぐということなのかもしれません。

 

雑誌ゲームだから仕方ないといえばそうなのかもしれませんが、ルールの細かい適用が説明不足の部分が少なくないように感じました。新機軸が多い作品だけに丁寧な説明が必要だったのではないでしょうか。
またマーカー類も区別がつきにくいなどいまひとつな印象です。

 

(終わり)