Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム、ボードゲーム

「銀河帝国の興亡」(国際通信社/エポック)を対戦する(1/2)

国際通信社より30数年ぶりに再販されるとたちどころに売り切れ、先ごろ重版がかかったと聞く、表題ゲームを対戦しました。最大6人プレイ。プレイヤーは星間国家を築き、相争います。
ゲームがデザインされた1980年代までのSFアニメ、映画、コミック、小説などなど当時のSF少年少女たちが目にしたであろう様々な要素が詰め込まれた”ごった煮”感が魅力のマルチプレイゲームです。

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マップは比較的コンパクト。国際通信社再販版のコンポーネントは素晴らしく、厚みがあるユニットは使いやすい。ただカードがミニユーロサイズでやや薄目の紙質なので、厚めのスリーブに入れて使うのがよいでしょう。

 

ゲームの紹介

プレイヤーは星間国家を担当。

宇宙空間を表したマップ上に、36の星域が、11の宙域に分けられて表示されています。各星域には固有の生産値が記載されていますが、いずれかの勢力が初めて星域に侵入した際に、初期配置時においてランダムにセットされている「生産値マーカー」が表にされ、記載された生産値が加算されます。このためマップ上の星域の様相はプレイ毎に変わることになります。

プレイヤーは開始時にひとつの星域を母星として開始します。
ワープ航法が確立しており、距離に制限がないため、マップ上のどこの星域からであってもマップ上のどこへでも移動できます。このため初期状態でマップ上のどこがスタート点であったとしても有利不利といった差は発生しないことになります。

インペリウム」(国際通信社/GDW)や「銀河英雄伝説」の世界では、ワープ可能距離やワープ可能ポイントに制約があるため、宇宙空間にチョークポイントが存在することになりました。本ゲームの宇宙とでは根本的なところで世界の成り立ちが異なることになります。イゼルローン回廊はこの世界には存在しえないのです。

戦略・政略もののマルチプレイゲームにありがちなマップ上のスタートの場所や隣接するプレイヤーからくる制約といった関係から解放されています。

「生産値マーカー」の中には、ブラックホール、ホワイトホール、知性をもった惑星、超重力恒星、リングワールド(!)、宇宙気流、暗黒星雲・・などもあります。当然これらが登場した際はイベントが発生することになります。

知性をもった惑星は「惑星ソラリス」ですね。

リングワールドはそのまま、ラリー・ニーヴンの小説タイトル。

 

バリエーションがある勝利条件

このゲームは「勝利条件」「同盟と貿易」「超兵器カード」といった特徴的なルールを持っています。

各プレイヤーの勝利条件はドローした勝利条件カードによって決まり、他のプレイヤーは誰かプレイヤーが勝利条件の達成を宣言するまでお互いの勝利条件を知りません。
さらに、勝利条件は、単純に「宇宙を征服する」とか「●●を滅亡させる」といった領土拡張や征服を志向した条件ばかりではありません。

様々な勝利条件が用意された結果、自分が引いた勝利条件について、スタート時において条件の達成が不可能になるパターンや、ゲーム途中に複合的な事情から条件が満たせない、という如何ともし難い状況になることもありえます。その場合は早々とそのプレイヤーはドロップアウトをすることになります・・。
後でも書きますがこのゲーム、様々な要素を取り入れた結果、ゲームとして破綻をしているような状況(決してゲームシステムが破綻しているということではなく)が生じることがあります。こうした、ある種ほころびというか穴も含めて楽しむゲームなのだと考えます。

 

同盟と貿易ルール

多くの戦略級のマルチプレイヤーゲームと同じくこのゲームでも同盟関係があります。同盟を宣言して発効すると互いの星域に艦隊を送り込んだり、艦隊や特殊兵器の取引が可能となったりします。中でもユニークなのが「貿易」です。

「貿易」は「貿易カード」を使うことで同盟関係にある国家間で行います。手元に「貿易カード」がある場合、同盟国を相手に貿易を宣言すると発効します。「貿易カード」は表にさらして手札から、デスク上に移動します。
以降、毎ターン、貿易を宣言された国家相手にダイスを振り、「貿易カード」上に表記された条件に従い、相手国、また自国の資金が増えたり減ったりします。いわゆる貿易黒字や赤字が発生するのです。
「貿易カード」に表記された条件はカードによって異なり、両国が比較的対等な条件であるものもあれば、不平等な条件のものも存在します(極端な貿易黒字や赤字がでるような内容)。
不平等とだからといって「同盟」状態の破棄等がなければ勝手に貿易をやめることはできません。

各プレイヤーは毎ターン「開発カード」という一種のイベントカードをドローするのですが、「貿易カード」は「開発カード」の中の一種になります。
「開発カード」は手元に残すことができるカード枚数に制約があるため、回転を良くするためには早め早めに使っていく必要があります。
通常は不要となったカードは捨札をすることができるのですが、「貿易カード」だけは捨札をすることができません。「貿易カード」を手元カードから外したい場合は、同盟国相手に「貿易」を宣言するしかないのです。

「貿易カード」を捨てる事ができないという制約のためにプレイヤーは誰かと同盟を結ばざるを得なくなり、一度結んだ同盟の中で発効した貿易協定は同盟がなくなるまでたとえ内容が不平等であっても毎ターン続けざるを得ないという仕掛けになっています。

「同盟」関係が単なる軍事同盟や不可侵条約といったものではなく、どちらかが望めば通商条約となり、さらにはそこに不平等な条約(状態)が存在することができる、というなかなかにユニークなルールです。

 

超兵器カード

「超兵器」はさきほど紹介した毎ターン、各プレイヤーが1枚ずつドローする「開発カード」の中に相当枚数分はいっています。「開発カード」は最大5枚まで保持できますので、その中に相当枚数の「超兵器カード」が含まれることになります。
「超兵器」が特定の勢力だけが持ち得るラッキーカードではなく、いずれの勢力もなんらかの「超兵器」を装備している可能性がある、という状況です。

「超兵器」はカードとして保有するだけでは使用できず、使用のためにはまず開発コストを払って開発状態(手持ちではなくデスク上に伏せて配置)にしておき、ここぞというときには使用コストを支払うことで発動することができます。

ただ難点はご想像の通り開発コストも使用コストもそれなりにかかります。
「開発カード」の中にはレベルアップを行うカードがあり「超兵器カード」とあわせて開発すると「超兵器」の威力を増大させることができます。

さてこの「超兵器」、元ネタを想像するだけでも楽しい、まさに”ごった煮”の最たるものになっています。いくつか紹介すると、

まだまだたくさんあり、カードを眺めているだけでも楽しいです。
「超兵器」も”ごった煮”状態のため、ゲームを”ぶっこわし”やすい要素なのはご想像の通りです。

 

艦隊と艦隊戦

最後に艦隊。
開発コストがやすい駆逐艦巡洋艦重巡洋艦から、建造費がインフレ化した艦艇や要塞が登場します。「空母」、「戦艦」、「大型空母」「大型戦艦」、次に「巨大空母」「巨大戦艦」、さらに「超巨大空母」「超巨大戦艦」と建造費用も戦闘力も段違いな規模のユニットが登場します。
艦艇の他、移動できずに星系の軌道上に配置される「要塞」があります。こちらも「大型要塞」「巨大要塞」「超巨大要塞」とインフレ化しています。
さらに楽しいのは、クラスは同じでもユニットによって微妙に性能差があることです。

建造は毎ターン、3つの艦艇ユニットをランダムに引き、必要な建造資金を支払うことで装備できます。面白いのは今は建造できなくても後々(資金ができたところで)建造するということで、3個ユニットまで手元にリザーブできます。

戦闘はファイアーパワー方式。艦艇の戦闘力が小さいものからインフレ化した桁違いのものまで存在するため、戦闘結果表もインフレ気味です。派手に飛びます。
戦闘では相手側が全滅するまで攻撃を交互に繰り返します。空母など艦載機を搭載した艦が戦闘に参加している場合は、一番最初の攻撃だけは艦載機で攻撃を行うことできるというアドバンテージがあります。

 

次回はプレイ内容を紹介したいと思います。

(つづく)

 

 

レンズマンは2作目の「グレーレンズマン」あたりまでめっちゃ面白いのでオススメです。1930年代に書かれた作品なので少し道具立てが古臭いのは目をつむってね。

1作目が検索ででてこないのでこちらを紹介するけど、宇宙モノのTRPGのネタ取りにも使えるので良いですよ

高千穂遙の原作でもよいけど何かリバイバルしていたみたいなので(ちなみにこのコミック版は未読です)。

ボックスアートの女性二人はこのあたりが元ネタかなと思いつつ。

哲学的すぎて本ゲームと雰囲気そぐわないけど、銀河だと色々存在してもよいよね。「銀河鉄道999」にも本作が元ネタのエピソードがあったような。

言わずと知れた・・作品。本ゲームではワープを無限大移動可能と設定した時点で、この作品とは相容れないのですが、それでもゲーム中に登場する「要塞」ユニットとか多分に影響されているんじゃないかな、と思います。

本ゲームの超巨大戦艦ってやっぱり白色彗星帝国の中から登場したヤツを意識してますよね!他にも「戦闘空母」や超兵器として登場する兵器が複数あったりヤマトの影響大です。