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「銀河帝国の興亡」(国際通信社/エポック)を対戦する(2/2)

かつてのSF少年少女たちがこぞってワクワクしてしまう、80年代アニメ、映画、小説を元ネタとしている小道具・大道具・設定などが集められた”ごった煮”マルチゲーム「銀河帝国の興亡」プレイ紹介です。

前記事ではすっかりスルーしてしまっていましたが、アイザック・アシモフの同名小説「銀河帝国の興亡」と本作は直接関係は無いと思っていました。ただ考えてみると、銀河帝国衰退後に銀河中に勃興した星間国家の争いという設定そのものが、アシモフの小説のバックグラウンドと同じといえば同じですね。

 

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プレイ

初期配置

4人プレイです。
まず担当する星間国家を決めます。一部の「勝利条件カード」やイベントカードで特定の国家固有のものがあるなど、国家毎に若干の性格づけがあるようですが、大きな差ではありませんので、気にせずに当方は青色カウンターの「ジアール星系連合」を選びます。

他に次のような星間国家が登場しました。

  • 赤色: デリタス共和国連邦機構
  • 黄色: ガルディス王国
  • 緑色: ゴルゴン帝国

 

母星の位置も制約はありません。座っている座席から手近なところの星域をひとつ選びます。
前記事に書いた通り、ワープ航法の発展により移動距離の制約はないため、どこへでも好きな量の艦艇・艦隊を送り込むことができるのです。

複数の星域が集まって宙域となっているのですが、勝利条件などで宙域を意識した内容のものがあります。ただこれもスタート時でとやかくいうものではないでしょう。

各プレイヤーが母星として選んだ星域以外、つまり中立状態の星域には「生産値マーカー」が裏返しで配置されます。生産値マーカーには基本1~5の数値が記載されており、マップ上に印字された数値に足した数値がその星域の生産値となります。なお母星に選ばれた星域は自動的に生産値「10」として扱われます。

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初期配置状態。各国の勢力範囲はまだ母星のある星域のみに限定されている

 

初期配置として開発カードが5枚、生産ポイント40ポイント、さらに艦艇ユニットの中からランダムに9ユニットを受領します。この中から生産ポイントを使って好きな艦艇を建造するのです。建造しなかったユニットのうち3ユニットまでは手元にリザーブすることができます。
最初は探索メインになること、予算もないことから建造費用が安いDD(駆逐艦)やCL(巡洋艦)を建造します。

大事な事を書き忘れていました。「勝利条件カード」を引いて勝利条件を確認します。
「ジアール星系連合」の勝利条件は、「聖なる星がある宙域のすべての星域を支配すること」になりました。
中立星域に裏向きに配置された「生産値マーカー」の中に「聖なる星」を示すものがあるのです。スタート時点では「聖なる星」の位置はわかりません。まずは同星の探索からはじめなければならないということでしょう。

「聖なる星」が何を指すのか、これはやはり「地球」でしょうね。
幼い頃に旅立った生まれ故郷「地球」を探して銀河を放浪する「デュマレスト」が探す星にして、銀河系中に勢力を伸ばす宿敵サイクランがその存在を隠す惑星。
または「銀河英雄伝説」では、他の惑星国家連合から討滅され、かつての人類発祥の地という伝承が残る惑星として地球が登場し、狂信性を持った宗教団体地球教の聖地とされていたりします。

最初に配られる5枚の「開発カード」はうち4枚が「超兵器カード」で、1枚が「貿易カード」でした。「超兵器カード」の開発コストはかなり高く初期段階でおいそれと払えるレベルではありません。装備できる(ミサイル等の兵器は艦艇や要塞に搭載することになっているものがある)艦艇・要塞もないため見送りです。1枚ある「貿易カード」は捨てることが不可能なカードであるため発動させなければ、いつまでも手元に残り続けます。早めにいずれかの国家と同盟し、使うに越したことはありません。

 

開始

各ターンのプレイ順はチットによって決まります。

外交フェイズでさっそくゴルゴン帝国(緑)とデリタス連邦(赤)が同盟を締結。我がジアール連合(青)もデリタス連邦(赤)と同盟を締結、「貿易カード」を使い貿易関係を発効させます。

続いてイベントフェイズ。ダイスにより1d6により「1」の目が出るとイベントが発生、イベント表で内容を確定させるというものです。イベント表はバッドイベントが全体の2/3といったところでしょうか。イベントを発生したプレイヤーだけに影響するものばかりではなく、銀河全体に影響する、ランダムに星域を選択するというものもあります。

イベントのひとつ「超彗星の激突」ではランダムに1星域を選び、その星域に存在した艦隊は全滅する。ただしその艦隊が攻撃を行ってかなりの大損害を彗星に対して与えることができれば回避できる、というもの。「白色彗星」ですね!

他にも面白そうなタイトルで選ぶと、「宇宙海賊」「宇宙蛮族の大移動」「太古遺跡の発見」「皇帝死去」などなどあります。「宇宙蛮族」という言葉から感じる強烈な違和感!

移動はプロット式。行動計画フェイズに、移動したい先の国家か、それ以外(中立国)をマーカーで選びます。プロット式とはいいながらも行動は行きたい(=攻めたい?)先の国家のマーカーを選ぶだけなので簡単です。
このときに、使いたいカードもセットします。例えば開発をしたい「超兵器カード」は手札から、場に裏返してだして開発費用を支払うことで、以降使いたいときに使用コストを払うことで発動させることができるようになります。

実行フェイズで順番にプロットしたマーカーを表にして行動を行います。
最初のプロット先は「中立国」。まずは誰の支配下にもない星域に進出して領土確保です。
はじめていずれかの勢力が進出した「中立」星域では、「中立艦隊」の発生をチェックします。何も発生しなければそのまま支配下におくことができますが、発生すると戦闘に勝利しなけば支配できないことになります。「中立艦隊」の発生確率は星域に依って異なりますが、1/6~1/2となっています。
いざ中立艦隊が発生するとその発生する艦隊の規模を決める方法は無慈悲です。プレイヤーが建造できる艦艇ユニットをランダムに引くのと同じ方法で、中立艦隊はダイスで決められるランダムな枚数分登場します。大戦艦や巨大空母も当たり前のように中立艦隊側に登場することになるのです。建造費1桁台の艦艇を作るだけで精一杯の初期の艦隊でかなうはずもありません。
よって、最初の探索は全滅覚悟で小艦艇だけで行うべきでしょう。

 

「聖なる星」発見!

最初の数ターンは自分の母星がある宙域の探索、手近な中立星域へ探索艦隊を出し、何もなければそのまま支配下に置くという活動がメインになります。

「聖なる星」は意外にも早いタイミングで発見されました。同盟相手のデリタス連邦の母星がある宙域の一惑星だったのです。
「聖なる星がある宙域の星域をすべて支配すること」ということはデリタス連邦を滅ぼすことが必要になるのではないか・・。発見されたは良いものの、我がジアール連合にはかなり分が悪い状況です。

どことも同盟関係を結んでいないガルディス王国の一探索艦隊は「重力星雲」を発見しますが、小艦艇だけで編成された艦隊は星雲の強烈な重力場から脱出できずに全滅します。また別の探索艦隊は「惑星生命体」を発見し、アメーバ生命体を発生させ、こちらはアメーバ生命体に飲み込まれます(戦闘を行うことになる)。

デリタス連邦は、イベントで「好景気」を2回立て続けに出します。ボーナス収入が発生するというものですが、その規模が他のプレイヤーの数ターン分の規模とあって、いっきょに財政規模を拡大させました。その巨大な財政を用いて強烈な規模の艦隊が編成されたようです。
一方でジアール連合との「貿易」ではジアール連合側有利な条件の「貿易カード」により赤字を重ね、たまりかねたデリタス連邦はジアール連合との「同盟」関係を破棄し、貿易関係を絶ちます。

ジアール連合は、母星がある宙域の平定に乗り出したもののダイス運に恵まれず、4星域中、3星域で中立勢力を呼び出してしまうという状況に陥ります。いずれもそこそこの規模の艦隊を擁しているため、平定するだけでも大変です。「戦国大名」(サンセットゲーム/エポック)のように中立勢力を調略するということはできず、ただ攻め滅ぼす必要があるのです。

 

「超兵器」発動!

5ターン、6ターンと回を重ねるとどこの星間国家にも属していない中立星域はほとんどなくなります。いよいよ本格的衝突のタイミングです。

我がジアール連合はわずかに残る中立星域がある宙域に進出します。その宙域が中立状態で残っていた訳は、中立勢力が湧きやすい星域だったからです。中立勢力の発生チェック。失敗!、そこですかさず我がジアール連合ははじめて「超兵器」を発動させます。

「生体中枢コンピュータ『アンドロメダ』」!!
効果:自分が振ったダイスの目を自由に±1する

なによりも結果を見てから発動を宣言できる、という素晴らしい性能。銀河に誇るコンピュータの効果が、ダイスの目修正という点はおかしくもありますが、中立艦隊の発生は阻止されます。

 

浄化を!

終局は突然訪れました。
ゴルゴン帝国の艦隊が出動し、ある中立星域に対して「対星域戦闘」(艦隊戦後、敵対する星域に対して実施する対惑星戦)を実施、超兵器「ノバ弾」を発動させ、その星域の生産値を「0」にします。
その時点、他のプレイヤーはゴルゴン帝国の意図を把握していませんでした。
続くターン、ゴルゴン帝国は別の宙域でも同様の対惑星戦を実施し、その星域の生産値を「0」にした後、勝利条件の到達を宣言します。

ゴルゴン帝国の勝利条件は、「浄化せよ 2宙域のすべての星域の生産力を低下させ0の状態を保つこと」。生産力「0」の星域が多く存在する宙域を選び、2宙域で”浄化”させたということでした。

ちなみに、
ガルディス王国はある勢力を壊滅させる、というもの。デリタス連邦は、「聖なる星とその宙域を破壊せよ」というものでした。特にデリタス連邦について言えば、聖なる星と同じ宙域に母星があったため、同じ宙域のその他の星域の生産値を下げる(=自国の生産力を下げる)というジレンマを抱えた条件だったようです。

今回、結局のところ小規模な小競り合いや一方的な状況の艦隊戦は発生したものの、大規模艦隊同士の戦いは発生せずに終わりました。

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終了時の状況。
最後にノヴァ弾を発射してゲームを終了させたゴルゴン帝国の艦隊は、マップの「銀河帝国の興亡」というロゴの上あたりに遊弋しています。

 

感想戦

冒頭に書いた通り非常に楽しめました。
キャラゲームなどではないので元ネタを知らなくても十分に楽しめる点は言っておきます。ここまで書いてきたとおり元ネタ探しをするのも楽しいです。

コロニー落としっぽい超兵器もありますし(これについては元ネタはむしろレンズマンかも)、紹介した以外にもワクワクするアイテムやギミックやイベントが多数あります。「クローン皇帝」とか「私掠船団」とか「リングワールド」とか・・。ただ不思議と巨大ロボット系はリアルロボット含め、避けているところは面白いなと思います。

主に勝利条件についてですが組み合わせ上、どうなの?といった状況になる点はゲームとして壊れていると言えなくもありません。ただしゲームシステム自体に問題がある訳ではないので、そうした要素も含めて楽しむゲームということだと思います。

最後に、コンポーネントが素晴らしい点も触れておきたいです。

(終わり)