Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム、ボードゲーム

「スパイ!」(SPI/TSR)を対戦する

1933年から1939年、第二次世界大戦前夜の欧州を舞台にドイツ、イタリア、ソ連、フランス、イギリスによる諜報と防諜活動を扱った本作を対戦した。本来は5人プレイだが今回4人での対戦となった。

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ゲームシステム

プレイヤーの役割

最大5人。プレイヤーはドイツ、イタリア、ソ連、フランス、イギリスの諜報機関の元締めの役割を担う。配下には4~5ユニットのスパイを抱える(1個のスパイユニットが、スパイ個人なのかチームなのかは不明)。他に国内防諜を担う警察組織を表すユニットが自国国内に展開する。

スパイと警察は国によって枚数が異なり、それぞれ5~7ユニットずつある。能力値として1~5の数値が書いてあり、逮捕や暗殺といった場面で能力値となる。*1

自国内には一定数の「秘密チット(Secret Chit)」が裏返して配置される。中立国にも一部の「秘密チット」が置かれる。これらマップ上に配置された「秘密チット」がスパイ達が獲得を狙う秘密情報ということになる。

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秘密チット:マップ上には一律「SECRET」という面を表にして配置される。裏面はアクションチットのひとつである「発見(Discovery)」を用いなければ見ることができない。
「機動戦術」「神経ガス」「爆撃技術」といったそれっぽいことが書いてあるが、プレイに関係するのは獲得ポイントを表す数値だけである。ただし「Counter Spy」だけは注意が必要で、これを引き当てた場合、情報が得られないばかりか、返り討ちにあってスパイが殉職してしまうことがある。

 

マップ

マップ上には欧州大陸全土、北は北欧、南は北アフリカ、中東、までカバーしている。地図内には主要都市や軍事上の重要拠点が点在し、それぞれ陸路・空路また海路にて接続されている。スパイ天国と呼ばれているジュネーブ、タンジール、イスタンブールといったエリアから、スカパフロー、タラント、ブレスト、オデッサ、ジブラルタといった軍事拠点も揃っている。第二次世界大戦前夜、1930年代のプラハ、ウィーン、ダンチヒストックホルムリスボン、ダブリンと聞いただけでなんとも妖しげな雰囲気があるというものだ。

TSR (SPI) Spies Map

各国首都間は空路で結ばれていて、一見離れている様に見えても近いルートがあったりする。海路も意外と便利。
一方でソ連邦の奥地や中欧付近に行くとルートが限られたり、絶対的な距離が遠いなど移動だけでも大変なことになることもあり注意が必要。
獲得した「秘密チット」は自国の首都に持ち帰ることでポイントにすることができるため、情報を獲得したスパイはすぐに本国に移動しなければならない。敵国内にとどまっているとあっという間にその国の防諜警察に踏み込まれてしまうので、スパイには素早い移動が求められる。

ターン

1ターンは1年で、1933年にはじまり1939年までの全7ターン*2

勝利条件

活動(後述)によって得られたポイントの合計で勝者が決まる。
面白いのは各ターン毎に倍率が定められており、同じ活動結果(例えば、敵国情報の奪取)を得た場合も1933年の場合は倍率2~4倍なのに対し最終ターンの1939年では8~10倍となる*3。戦争により近いタイミングで得られた情報のほうが評価が高いということだ。代わりにターンが進むにつれ得られる情報も少なくなりプレイヤー間の競争も激しくなるのも事実。

ゲームの進め方

各ターン、国ごとの順番は決まっていて、ドイツ・イタリア・ソ連・フランス・イギリスという順番になる。
各ターンでの手順はおおまかに次のような内容になる。

  1. イベントカードの使用*4
  2. 警察の移動・捜査
  3. スパイの移動・アクション
イベントカード

イベントカードは各国それぞれのイベントと共通イベントがプレイ開始時に配られている。毎ターン、各国はイベントを発動するか、または1枚捨札にする必要がある。
イベントには大戦前に発生した事件等が書かれており、その内容によって関係する都市にいるスパイを抱えるプレイヤーに、アクションチット(後述)が配布されたり、若干の資金が配られる。

フィンランドとドイツが相互防衛条約を検討している」
ソ連で新たな粛清が発生」
ハンガリールーマニアを通して枢軸側に接近している」
「フランス艦隊が大西洋で演習」

などなどだ。
ここでのポイントは、イベントとして書かれた内容ではなくカードに記載されている特典部分、特に「アクションチット」を得ることができる点だ。
またイベントカードに記載された都市にスパイユニットが存在しないとその特典を得ることができないし、また他国のスパイがいた場合、その他国スパイも特典を得ることができる。このため各プレイヤーはイベントカードを使う前に、特典を得ることができるエリアに自国スパイを進出させたがる。そう、他国のスパイの移動状況を確認することで、他国が発動するイベントの恩恵に預かることができたりするのだ。

警察

警察は他国スパイに対抗する役割を担っており、自国内では自由に配置・再配置ができ、通常は「秘密チット」がおかれたエリアに配置することになるだろう。また先程書いたとおり自国内に侵入した他国のスパイがまごまごと国内にとどまっているようであれば、捜査に出向くことも可能である。

スパイのアクション

最後のスパイの移動/アクションがこのゲームの要点ということになろう。
アクションは1ターンに10アクション実施できる。

イベントカードを使う、アクションチットを使う、また移動をすると1アクションずつ消費する。移動の場合は線で結ばれた1エリア移動する毎に1アクションとなりひとつのスパイユニットは一度に最大5エリア(=5アクション)移動することができる。

アクションチット

アクションチットはまさにスパイの活動そのものだ。プレイヤーは最大8枚のチットを保持することができ、自分のアクションの途中や敵国プレイヤーのアクションの途中で使用を宣言できる。逆にアクションチットがなければ行動ができなくなる。目の前にかっこうの情報や敵国スパイがあったとしても手を出せなくなるのだ。

アクションチットには複数の種類があり、さらに対抗手段も用意されているなど関係性が複雑。アクションチットの発動にはアクションポイントの消費とあわせ、定められた資金が必要。例えば、次のようなアクションがある。

  • 発見(Discovery):最もお世話になるチット。マップ上の「秘密チット」があるエリアに移動することで中身を見る(獲得)することができる。「秘密チット」を獲得したスパイはそのまま自国の首都に移動することで情報を持ち帰ったことになりポイントを獲得できる。
  • カバー(Cover):他国スパイによる情報獲得を妨害する
  • 暗殺(Sanction):他国スパイを暗殺する
  • 偽造文書(Paper):警察の捜査を無条件に逃れることができる
  • ダブルクロス(Double Cross):「暗殺」へ逆襲する

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プレイ

いずれのメンバーも実質初プレイということで最初の数ターンはお試し状態。当方はフランスを担当。後から評価するとフランスは当然のことながらドイツ・イタリアと隣接しており、両国から比較的情報を得やすい地理的位置にあることになる。ソ連に対しては北欧や北海経由で移動、中欧へはジュネーブ経由で移動し浸透することになる。

「秘密チット」を本国首都に持ち帰った際のボーナスが大きい(資金20,000£、アクションチット2枚)ことがわかると、序盤、警察が存在しないため邪魔するものがいな中立国にある「秘密チット」が次々と狙われていく。

前述した通り、初期のターンで獲得するよりは後年のターンで獲得したほうが倍率が段違いなのは確かだが、獲得するべき「秘密チット」を他国に獲得されるよりは、と、中立国内に配置された「秘密チット」はすぐに姿を消した。

そのうち、他国内で警察ユニットでがっちり守られた「秘密チット」については、「偽造文書(Paper)」アクションチットを使うことで警察の捜査を逃れることが判明すると、国内へも遠慮なく侵入していくようになる。もちろん中には引いた「秘密チット」が「カウンタスパイ」であったため情報としての価値がないばかりか、逆襲されたりも発生。

ターンが進むにつれ対警察への対抗手段の他、他国スパイへの対抗手段なども理解されはじめると、「暗殺」を試みたりも発生。

中立国で各国のスパイが移動する毎に、イベントカード(チット)による報酬があるかか、と東奔西走することになった。

我がフランスはアクションチットで、「秘密チット」を得るための最重要なチットといえる「発見(Discover)」を中盤切らしてしまったことで思う様に活動ができなかった。
「アクションチット」の獲得のためには「イベントカード(チット)」でイベントをお越し、関係都市にスパイを配置することで恩恵を得ることで「アクションチット」を獲得することになるが、その手順を確立できた頃には終盤に至っていた。

ドイツが出したイベントカードにより第二次世界大戦の開戦が1年前倒しになり、1938年が最終ターンとなりゲームは終了した。
最終盤になると各国が自国内にある「秘密チット」もあらかた獲得され尽くしてしまい、「暗殺」によってスパイ同士の殺し合いがあちこちで発生するなど凄惨な状況となった。

ゲームはコンスタントに情報を獲得していたソ連が勝利した。

 

感想戦

雰囲気は嫌いではない。第二次世界大戦前の欧州を舞台にしたゲームというだけでワクワクするところはある。
ルールは日本語版が出版された割には日本語訳はいまいちということでプレイにあたってもオリジナルの英語マニュアルを適宜参照しながらのプレイとなった。

「アクションチット」の関係性が若干複雑なので、チット毎にできることできないこと、効果や対抗手段などがうまくまとめたプレイエイドが必要と感じた。

「イベントカード」にはそれっぽいイベントが記載されているのだが、結局、見るのはそれから来る恩恵の部分だけになってしまうこと。「秘密チット」も同様に情報の中身とはいいつつ、プレイの最中はチット内に記載された数値(情報の価値)だけが取り沙汰されてしまうことになり、ゲームが機械的にながされてしまう嫌いがある。
シチュエーションを楽しむためにはせっかく設定された諸々の情報を楽しむべきではあった。

手探り状態ではじまったプレイで、ルールの適用ミスもいくつかありプレイ途中で修正された。

「アクションチット」をいかに揃えるかが一つのポイントだと思われるため、初期ターンのうちは「イベントカード」の有効活用、後半、獲得ポイントの倍率があがったところでの対応など、ゲーム全体を見通したプレイの組み立てが必要なのだろうと思う。

 

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開始直後の状態。各国また中立国に「秘密チット」(SECRETと表記)が配置されている。陸路・空路のコネクションにより移動がしやすい場所・しにくい場所があるため、初期配置の段階でしっかり位置を決めておくべきであった。

 

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各国スパイは一種の安全地帯となっている中欧・北欧・スペインなどに集まっている。

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終了時(1938年)の状態

 

 

(終わり)

 

 

 

 

*1:スパイについての能力値毎の枚数は各国同じのようだが、警察ユニットについては、有名なゲシュタポやNKVDの存在を反映してか一部の国では能力値が高いユニットの割合が高い模様だ。

*2:イベントカードの中には史実よりも早く第二次世界大戦が勃発するというものもあり、このイベントが発動した場合は1938年が最終ターンとなる

*3:倍率は各国によるバランス調整にもなっている

*4:今回使用したTSR/SPI版はイベント”チット”だが、ホビージャパンの日本語版ではカードとなっている