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「SS装甲師団長」(Game Journal)を対戦する(2)

「SS装甲師団長」(Game Journal誌75号)を対戦しました。

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yuishika.hatenablog.com

 

 

第0ターン

参加兵力が決まったところで両軍の総兵力は、連合軍が67ユニット、ドイツ軍が49個でした。*1
初期配置は独特のルールで行われます。
第1ターン開始前に、先に連合軍、続いてドイツ軍がそれぞれの登場するマップ端から進入し、移動力いっぱいまで使うことができ、移動した場所が第1ターンの開始位置になるのです。

 

ドイツ軍は、司令部ユニットが師団司令部の他、3つの戦闘団(カンペグルッペ)司令部と、合計4ユニットが配属になったため、全軍を4つに分割しました。
マップ上の市街地は3箇所ありますので、北と南の市街地に1グループずつ。中央の大きな市街地攻略用に1グループ、さらに機動防御&予備として1グループです。

北と南のグループには、88ミリ高射砲、重迫撃砲中隊に幾分かの自動車化歩兵、さらに装甲戦力としてパンターを1個、Ⅳ号戦車。中央のグループは激戦が予想されるため装甲戦力を多めに配置します。機動防御&予備は打撃部隊として、重戦車を集中配備、さらにヴェスペとロケット砲の支援砲撃部隊を配置しました。

 

対するアメリカ軍は大きく3つの梯団に分かれ、1個梯団が北側、2個梯団が中央から南部に侵入してきます。

この時点で中央の市街地にはアメリカ軍の前衛の偵察部隊ユニット、ドイツ軍も同じく偵察部隊ユニットを進出させます。

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第1ターン開始時の状況(第0ターン終了時)

 

第1~3ターン

連合軍が中央から南部にかけて兵力を集中したのは理由があって、大河を渡河した状態でドイツ軍と戦闘に入ることができるからでした。河川越えの攻撃を避けるため北の市街地経由での侵攻は避けたのです。
ドイツ軍は強力な連合軍の支援砲撃の観測拠点になることを恐れ、付近の高地を偵察部隊によって押さえます。ただ偵察部隊は弱体であるため、単に突出しただけですぐに駆逐された箇所が少なくありませんでした。闇雲に占領するのではなく、慎重を期すべきところでした。

 

北部の状況

連合軍はドイツ軍の支援砲撃を恐れ高地を遠巻きにします(高地から5ヘックス以内が観測範囲になる)。

中央部の状況

中央部市街地ではまず両軍の偵察部隊が戦端を開き、その後、ドイツ軍の中央部隊ややや遅れて打撃部隊(重戦車のため移動力が小さい)が進出、市街地の大半と、市街地南部にある高地を占拠します。
連合軍は中央梯団を使い、中央の市街地南部から進出してきます。

南部の状況

ドイツ軍は南部の市街地から中央部の市街地へと続く、森の西側を通る街道沿いに一部の部隊を北上させようとしますが、連合軍の中央梯団と南梯団の圧力の中で孤立することを恐れ、進出をあきらめます。
このエリアは(下記、マップのクリーム色のエリア付近)防御地形もなく、非常に守りづらいことはわかっていましたので、後から振り返るともっと本腰をいれて防御を考慮すべきでした。

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第1~3ターン概況。本文中に書いた通り、ドイツ軍のクリーム色エリアがウィークポイントでした。

 

前哨戦は、アメリカ軍の前面に位置したいくつかの高地拠点、さらに中央の市街地で発生します。

連合軍は榴弾砲(M7プリースト)より支援砲撃を開始、また航空支援のダイスにyほり、ヤーボも出撃してきます。

 

第4~5ターン

ゲームシステム上、火力ー防御力が一定以上あれば撃破(ユニット除去)の可能性が高くなりますが、平凡な数値の場合は相手を後退させる結果にしかなりません。ユニットを除去する最も有効な手段は、平凡な話なのですが、ZoCで囲んで退却を不可能にして除去するというアレでした。

我がドイツ軍はこの”囲んでボンが有効”という真理にたどりつくまでに数ターンを要してしまいます。

ここは作戦級か!という状況の中、ドイツ軍の重戦車軍団だけは、連合軍のユニットの性能を圧倒しているため、退却ではなく、一発撃破(ユニット除去)を狙えるのです。
ユニットの戦闘力-防御力-移動力という性能値について、連合軍の主力は、シャーマン(3-3-5)、ファイアフライ (4-3-5)、M-10 (4-2-6)なのに対し、ドイツ軍はⅣ号戦車(5-5-5)、Ⅲ号突撃砲(5-4-5)、パンター(6-6-6)。数は少ないと言えども中央戦線に集中投入されていたティーゲルⅠ(7-7-4)、ティーゲルⅡ(8-8-4)と圧倒的です。
平野で撃ち合うとドイツ軍戦車は負ける気がしませんし、シャーマンクラス相手では一発撃破が頻繁にでます。
対する連合軍は、支援砲撃やヤーボで混乱させ、囲んでポン作戦を行っていきます。

f:id:yuishika:20210725173504j:plain中央部の状況です。南部から連合軍の中央梯団の機甲部隊が多く進出し、市街地南部にあるドイツ軍が占拠している高地(六角形に+1の印字があるマーカーがある場所)を奉包囲します。地道に囲んでポン作戦を継続的に実施され、後退不可により部隊は除去されます。
市街地南部の平野ではドイツ軍重戦車部隊が火を吹き、連合軍の機甲部隊に打撃を与え続けていますが、きちんと包囲できている訳ではないので、一発で除去できた場合を除けばなかなか損害に至っていないです。
市街地内でも戦闘が続いていますが、市街戦はあまり効率的な戦い方できないため、膠着状態になっています(最後はドイツ軍の装甲部隊が押し切った)。装甲部隊を市街戦に投入するのはあまり得策とは言えないでしょう。

 

第6ターン

南部の状況

連合軍の南梯団が前進し、ドイツ軍のグループCが守る南の市街地ヘックスに総攻撃をかけてきますが、市街地に陣取ったドイツ軍戦闘団Dにより手ひどい反撃を喰らいます。88ミリ高射砲部隊の他、複数の装甲部隊や重迫撃砲中隊などが配置されていたのです。
本ゲームには隠匿配置や相手プレイヤーのスタックの中身を見ることができないといった秘匿ルールはないため、攻撃前に内容を”偵察”しておくべきだったかもしれません。

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中央部の状況

市街地南部を中心に機甲部隊同士の戦闘が続きます。ドイツ軍もなけなしの支援砲撃用弾薬を全量突っ込み、進出するアメリカ軍の対戦車自走砲部隊(M-36など)を退けます。
M-36ジャクソンはオープントップ型の全周砲塔を持つ自走砲で90ミリ砲を搭載しているため、砲威力においては今回のゲームでは連合軍最強の車輌だったのですが、支援砲撃により再三後退させられ、最後はティーガーにより仕留められていました。
対平地での射撃戦においてドイツ軍戦車は圧倒的です。連合軍の機甲部隊を次々と屠っていきます。
対する連合軍も、支援砲撃を断続的に実施、また対戦車砲部隊を前線まで前進させての砲撃と、いやらしい攻撃を続けます。
ドイツ軍は大河の対岸側から遠距離で支援砲撃を行ってくる連合軍自走砲部隊に歯がゆい思いをしています。対岸で彼らを急襲できる部隊がいれば・・。

市街戦の中で連合軍は火炎放射器搭載M4クロコダイル(3-2-5)という珍しい車輌を装備した部隊を投入しますが、あっさりドイツ軍の装甲部隊に撃破されていました(火炎放射器は地形効果を無視できるという特殊能力を持っている)。

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北部の状況

大河西岸にある高地に構築された陣地(六角形印に+2の数値表記があるマーカーの場所)に籠もったドイツ軍歩兵2個中隊がしぶとく戦闘を続けます。
連合軍にとってこの北部戦線は助攻にすぎませんので無理攻めはしません。ドイツ軍もこうした連合軍の意図を読み取って、北部の守備部隊の一部はもっと早い段階で他戦線に振り向けるべきでした。

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第7~8ターン

南部の状況

北部戦線は助攻という控えめな攻め、中央戦線は市街地を周辺と市街地で一進一退の状況が継続している中、連合軍は南部戦線で突破を図ってきます。市街地正面からの攻撃に失敗したため、巧妙に市街地のワキを抜けた進攻路をとったのです。

第8ターンに至り、一定数のユニットがマップ東端より脱出したことにより連合軍が勝利条件を満たし、ゲーム終了です。

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南方で連合軍がドイツ軍拠点のワキをすり抜けるように後方(マップ右側)に進出しているのがわかります。ドイツ軍はここに来て、南方に部隊を振り向けますが、タイミングは遅すぎました。拠点防御に固執しすぎたのです。

  

感想戦

一言で言うと、「箱庭的」アプローチのゲームだと思いました。

スケールとしては、「PANZER BLITZS」/「PANZER LEADER」(アバロンヒル)や、「装甲擲弾兵」(エポック/国際通信社)のいわゆる戦術級ゲームよりひとまわり大きなスケールで描かれた作品です。
1ヘックスが750~1500メートルとされたことにより、通常のユニット同士の戦闘は隣接ヘックス同士で行われます。「PANZER BLITZS」/「PANZER LEADER」や「装甲擲弾兵」のように各ユニットが射程を持っていて、複数ヘックス離れた位置から射撃をしあうような場面は、本ゲームにはありません。*2
このためゲームシステムとしては作戦級に寄せていて、各ユニットはZoC(支配地域)を持っていて、攻撃によって敵を撃破(除去)するよりも、ZoCで囲んだ目標ユニットを、防御側撤退(DR)の結果から後退不可につき除去という、多くの作戦級ゲームで見られるような、いわゆる「挟んでポン!」が有効なのです。

作戦級をベースにしながらも、このゲームに登場する部隊ユニットは歩兵を除き、車輌名や兵器名が記載されていて、プレイ前に所属する部隊数をダイスの目によって決める・・という。このあたりのコレクター的興味・関心を興させる点も”箱庭的”という印象です。

色々御託を並べていますが楽しめなかった訳では全くなく、大いに楽しめました。前の記事に書いたようにダイスにより組成される自軍部隊、1ユニット=中隊規模ということから来る身の丈感や、戦術の教科書に出てくるような作戦を実践できるゲームシステム。また、相手の作戦意図をうかがいつつ、こちらの作戦目的の達成のために動いていく。不均等な兵力を、諸兵科連合の原則の中で組み合わせつつ、機動を行っていく・・。

プレイ中、このゲームは買いだ、とずっと考えていました。まぁ、もう2、3回くらいプレイしてそれでも気が変わらなければ買ってしまうだろうな。

 

(完)

 

 

 

*1:一部の勝利条件では全ユニット数のうちどれだけの割合のユニットを撃破、または脱出といった数が条件になるものがあるため、相互にユニット数は通知されます。

*2:一部の砲兵器(対戦車砲など)、また支援砲撃を行うことができる砲兵器や自走砲は射程を持っています。