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「SS装甲師団長」(Game Journal)を対戦する(1)

「SS装甲師団長」(Game Journal誌75号)を対戦しました。

かつてアドテクノス社から発売されていた「ドイツ装甲師団長」が改訂された「ドイツ装甲師団長2」(Game Journal)の流れを組む作戦戦術級ゲームです。

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ゲームの概要

プレイヤーはドイツ武装親衛隊装甲師団長として、装甲師団規模の部隊を率い同規模の英米軍と戦うというものです。
両軍はプレイ前にダイスにより、プレイに用いるマップ範囲、マップの方向、初期兵力、砲撃用弾薬量を決めます。さらにチットを引いて作戦目的を決めます。連合軍側を担当する場合は、登場するのが英軍か米軍かもダイスによって決めます。

1ヘックス=750~1500メートル。
1ターン=3時間(8ターンで1日、プレイは最大16ターン)
ユニット規模は小隊~中隊規模。

初期兵力の決定

ゲーム中、もっとも楽しい瞬間かもしれません。
プレイに先立って両軍ともダイスを振って初期兵力を決めます。
ユニットは、車両や砲は装備車両毎にユニットが分かれており、その種類毎に出現頻度が記載された表を見ながらダイスを振っていきます。

ドイツ軍の登場する車両と砲ユニットは、Ⅳ号戦車J型、パンターティーガーティーガーⅡ、Ⅲ号突撃砲(シルエットからG型あたり)、Ⅳ号駆逐戦車、ヤークトパンター、ヤークトティーガー(登場はレア)、ナスホルン、ヴェスペ、フンメル、パンツァーヴェルファー(ロケット砲装備のハーフトラック)、88ミリ高射砲、150ミリ自走歩兵砲、ネーベルヴェルファーロケット砲、ウィルベルヴェント(登場はレア)となっています。
ドイツ軍ユニットは他に、自動車化歩兵中隊、機械化歩兵中隊(ドイツでいうところの装甲擲弾兵でしょうか)、工兵中隊、重火器中隊(射程2の重迫撃砲を装備した部隊です)、偵察小隊(ユニットは装輪装甲車のシルエットが描かれている)があり、これらもそれぞれダイスにより登場ユニット数を決めるのです。

せっかくですので連合軍側装備も記載すると、アメリカ軍は、M4シャーマン、M36ジャクソン(登場はややレア)、M18ヘルキャット、M4A3、M4火炎放射戦車、M10、76ミリ対戦車砲、M7プリースト。イギリス軍はファイアフライクロムウェルチャーチルチャーチルクロコダイル(火炎放射戦車)、チャレンジャー(登場はややレア)、アーチャー、セクストン、17ポンド野砲、25ポンド野砲。また歩兵などはアメリカ軍・イギリス軍ともドイツ軍と同じ種類のものが登場します。

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今回ドイツ軍に登場した皆さん方。
Ⅳ号4個、パンター4個、ティーガー2個、ティーガーⅡ 1個と戦車は充実していたものの、対戦車戦闘を行える自走砲はⅢ号突撃砲 1個だけで、駆逐戦車系はゼロであった。
支援砲兵もヴェスペ 2個、パンツァーヴェルファー 1個とやや貧弱気味であったが、もともとドイツ軍は砲弾量が連合軍の3分の1以下でしかなく、仮に砲兵部隊が増えたとしても1~2斉射するとすぐに砲弾不足に悩むこととなったであろうからまぁこれはよいか。機械化歩兵中隊、自動車化歩兵中隊の数はまぁまぁ。
88ミリ高射砲が2個登場したのはうれしかった(実際、プレイでも大活躍した)。
・・・などなどと、初期兵力のダイスロールで一喜一憂できる訳です。
またコンポーネント的には、アドテクノス版「ドイツ装甲師団長」の車両ユニットが兵種記号であったのに対し、ゲームジャーナル版は装備車両のシルエットの仕様となっている点もうれしい。
なお武装親衛隊らしくユニットの色は黒地に白抜き文字です。

勝利条件となる作戦目的もチットで決まる

プレイ前に両軍ともチットを2枚ずつ引きます。チットには勝利条件となる作戦目的が記載されています。それぞれ相手の作戦目的は秘匿されていますので、プレイ中、それらを推測しながら、また相手に対して欺瞞行動も行うなどしつつ、最終的な条件達成を目指すのです。
作戦目的としては、「突破」「威力偵察」「占領」「消耗」「阻止」があります。出現頻度としては「突破」だけがチット2枚、残りは1枚ずつになっていますので、自分が引いたチットもあわせ相手の行動を読むことになります。

 

ルール概要

ゲーム手順は、ドイツ軍手番ー連合軍手番というオーソドックスなものです。それぞれの手番の内容としては、「準備」ー「準備射撃」ー「移動」ー「機動射撃」ー「完了処理」という内容になっています。

兵器種類により射撃ができるタイミングが異なっており、自走砲は「準備射撃」のみ、戦車は「機動射撃」のみ、歩兵と砲兵器は両方の射撃タイミングで射撃できます(可能であれば、1つのターンで両方の射撃タイミングに射撃することも可能です)。

射撃解決はファイアパワー方式。
火力から目標ユニットの防御力や地形修正等を差し引きした結果毎に、混乱状態になるか、除去するかの結果を得るというものです。

攻撃側と防御側の兵種毎/兵器種類毎の組み合わせにより得意・不得意による修正がはいります。
例えば、対戦車砲が戦車を攻撃する際、歩兵が戦車を攻撃する際などは有利になる修正がつきます。戦車が歩兵を攻撃する際は有利になりますが、戦車や対戦車砲が砲兵器を攻撃する際は効果が薄いということで不利な修正がつくなどです。

作戦級ゲームのようにZoCがあり、ZoCに入る時と出る時に追加コストが必要です。追加コストさえ払うことができれば、敵ZoCから敵ZoCへ直接移動することも可能です。

戦車砲迫撃砲ユニットは射程2を持つ他は通常の戦車・自走砲・歩兵等のユニットは隣接ヘックスに対してしか攻撃を行うことはできません。砲兵器は「砲撃」という支援砲撃を行う場合に種類によっては10ヘックスを超えるような射程での攻撃が可能です。

通常の戦術級ゲームのように敵ユニットの移動の後、臨機射撃や防御射撃といったこちら側の射撃機会がある訳ではないため、市街・森・陣地といった防御地形以外のヘックスにいるユニットについては、敵の「移動」により隣接され、続く「機動射撃」ですぐに攻撃を受ける可能性があるため注意が必要です。
一方で、市街・森・陣地といった地形は防御地形とされ、防御地形にいるユニットを攻撃する場合は、移動後すぐに攻撃ができないことになっており、攻撃機会は次のターンになります。攻撃準備などに時間を要する(または攻撃そのものに時間を要する)ということを表したルールだと思われます。

兵器種類や兵種による有利・不利や得意・不得意といった事柄がルールや戦闘解決のチャート類のあちこちに点在しており、諸兵科を組み合わせて使いこなすことがポイントとなっているようです。

 

プレイ

ダイスにより当方はドイツ軍を担当します。

初期兵力決定のダイスロールに続いて引いたチットにより、当方の作戦目的は「占領」もしくは「阻止」となります。
「占領」はマップ内の市街地ヘックスの過半を占領することが条件となります。「阻止」は敵の作戦目的を妨害することが目的となります。どちらの作戦目的を最終的なゴールとするのかはこの時点ではまだ決める必要はないので、推移を見ながら決めていくことになるでしょう。

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黄色の線が今回用いることとなったマップ範囲を表します。写真上側が北になります。
プレイ開始前にまず、連合軍が左のマップ端(黄色のライン)から進入移動し、次にドイツ軍が右のマップ端から進入移動。第1ターンはこの状態からはじまります。
今回のマップの特徴は、中央に大河(太い青線)により東西に分断されている点。大河は橋(道路)以外の地点で渡河する際は全移動力が必要となるなど、移動にあたっての障害になる地形です。作戦目的によっては、この大河をどうするのかが問題になるところです。
南部では連合軍の部隊の一部は渡河を開始しています。それ以外の部隊も道路沿いに行軍するように並んでいます(こうした行動からも連合軍側の作戦目的を推察するべきだったといったことでしょう)。

ドイツ軍は市街を押さえる事を優先し、北部と南部でそれぞれ市街を押さえています。また中央部にある最も大きな市街部には両軍の偵察部隊がそれぞれ進出しています。

 

茶色のヘックスは高地を表します。
高地の占拠はそこから5ヘックス以内の砲撃観測を可能としますので、支援砲撃を多用する場合は戦闘正面付近の高地の占拠は必須となるでしょう。
ドイツ軍はもとより支援砲撃を行うことができる部隊数が少なかった事、また砲弾量も少なかったことから、自軍が砲撃を行う目的として高地占拠の必要性は薄かったのですが、むしろ連合軍に高地を占拠されることにより支援砲撃の目標になることを嫌い、高地占拠を行いました。

高地への進出は主に足が速い捜索小隊(偵察装甲車装備の部隊)によって行われ、連合軍の進出の機先を制することができたのですが、一方で一部の地点においては突出しすぎて連合軍の戦闘部隊に包囲されはやばやとユニット除去に陥った場所が数箇所生じるなど、初期ターンの損害の一因となったことから、進出先の見極めは重要です。

 

(つづく)