Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦する(1)

インドシナ戦争におけるディエンビエンフーの戦いを、エリアインパルスシステムで描いた「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦しました。

Storm Over Dien Bien Phu Box Front

 

 

ゲームの紹介

ゲームのスケール

ゲームはディエンビエンフーの戦いが本格的に始まった3月13日にはじまり、陥落した5月7日までの全56日を1ターン=1週間、計8ターンで扱っています。

1ユニットは中隊単位。
両軍ともほとんどの部隊は歩兵です。フランス軍正規兵は空挺部隊ユニットがありますが、戦闘力は優れますが扱いは歩兵と同等です。
フランス軍には機甲部隊がいます。戦闘力や防御力、移動力いずれも優れていますが、1点弱点があり、マップ内に流れる川について橋があるエリアでしか渡河できないという制約があります。写真等で見る限りたいした川ではないので、この装甲部隊は装輪式の装甲車からなる部隊なのかもしれません。
フランス軍の歩兵の中にはタイの徴募兵(?)が複数いるのですが、北ベトナムのカードのひとつにより士気阻喪して解散する可能性があります。
ディエンビエンフーといえば砲兵が活躍した戦場ですが、両軍とも砲兵はユニット化されている訳ではなく、カードの中で支援砲撃として表されています。相手方が出した支援砲撃カードに対して、手元にある支援砲撃カードを出すことにより、両方の支援砲撃が相殺されるという対砲兵砲撃も表されています。

マップはフランス軍が籠もったディエンビエンフーの飛行場を中心とした地域が範囲とされており、中央部にフランス軍が補給源とした飛行場、その飛行場北方に設けられたアンヌマリー陣地、ガブリエル陣地(史実では両陣地とも緒戦で陥落している)から、最終的に仏軍が籠もった南方のドミニクやエリアナ、クラウディーヌといった陣地までが範囲となっています。周囲を取り囲むように北ベトナム軍の出撃陣地となったエリアが配置されています。

マップの描き込みがすごくて、航空写真のように実際の壕の様子が伺えるような美麗なものになっています。

f:id:yuishika:20210724000130p:plain

f:id:yuishika:20210724225044p:plain

マップの一部拡大図。干割れのように書き込まれているのがフランス軍陣地。ひとつひとつに女性名がつけられていました(白文字)。
マップは描き込みの詳細度に加え、スケール感も想像できそう。

 

ゲームシステムは簡易エリアインパルス?

エリアインパルスシステムですが、簡易エリアインパルスと表現していることもあるようです。
エリアインパルスシステムでは両プレイヤーが相互にエリア毎に活性化(アクティベーション)を実施して、エリア内のユニットを移動や射撃といったアクションを行います。

ひとつのターンの中にインパルスが何回実行できるかについては、通常のエリアインパルスシステムのゲームでは、インパルス内で振られるダイスにより続行か終了かが決まるものが少なくありません。ダイスの結果によって突然、ターンが終了させられますので(インパルスの回数がかさむほど、ターンが終了する確率が高くなる)、プレイヤーは攻撃を起こすタイミングなど突然訪れるターンの終了をにらみながら、ゲームをすすめるという緊張感のある進行が必要となります。

本ゲームの場合、このひとつのターンの中で何回インパルスを実行するかという制限については基本的には”両軍がパスを宣言した”場合に終了となります。
ダイスの目の結果ではなく、お互いがパスするまでということなので、そのターンの中で実施したいことはひと通り実施できることになります(この点について緩いといえるかもしれません)。

カード

f:id:yuishika:20210724001109p:plain ゲームの特徴をもうひとつあげるとすると、カードを用いることです。
カードは両軍それぞれ専用の内容になっており、多くはアクションの途中に用い、基本的に戦闘等を支援するためのイベントが記載されています。

両軍は毎ターン決められた枚数(ターンによって異なる。北ベトナム軍が概して多く、さらにフランス軍は後半になると枚数が減じられていく)までカードをドローします。

北ベトナム軍のカードはカードに記載されたイベントを実施する他、後述する「塹壕」を構築するために用いることもできます。

カードの内容としては、支援砲撃、航空支援(フランス軍のみ)、増援の登場、ダイスの振り直し、タイ人部隊の解散(ベトナム軍のみ)等戦闘に関係するものが少なくなく、カードを用いることで戦闘の行方を左右することがあり、盛り上がります。

戦闘

f:id:yuishika:20210724001928p:plain 通常の攻撃は射撃になります。北ベトナム軍だけは「強襲」という白兵突撃が可能です。
射撃と「強襲」の解決方法は同じで、戦闘結果表を用いないこともありスムーズに進みます。若干ダイス(2D6)に依存する事が大きいため、ダイス振りも白熱しますね。

「強襲」は射撃の一種ではありますが、参加した全攻撃ユニットのうち1ユニットを除去しなければならないというペナルティと引き換えに、北ベトナム軍にとってはなくてはならない攻撃手法となっています。
「強襲」では防御側の地形効果を無視できます。また防御側の全ユニットを除去か後退させると戦闘後前進ができ、そのエリアを占拠できます。
通常の射撃の場合は、防御側のエリアの全ユニットを除去または後退させても、そのエリアの占拠はできないため、次のフランス軍インパルスでフランス軍がそのエリアに対して別のエリアからユニットを送り込むことでエリアを維持され続けてしまうのです。

「強襲」を発起するには条件があり、「強襲」を起こすエリアにレベル3の「塹壕」が設置されていなければならないのです。
ただし第1ターンだけは、「塹壕」の設置無しに「強襲」を発動できます。

これは史実において、3月13日戦闘開始にあたって北ベトナム軍はいきなり人海戦術による近接突撃を実施し戦果をあげるもののベトナム軍側の損害も甚大だったことから、人海戦術による突撃は禁止され、塹壕を掘り、塹壕を用いた攻撃を行う、とする指示がでていたことを背景にしたルールになります。

「強襲」にあたって塹壕設置で必須であること、一方で第1ターンについてのみは「塹壕」無しでの実施を可能とすることといったルールは上記の史実に基づいたものだと推測されます。

このゲームではベトナム軍が攻勢を主導し続け前線が変わっていきますので、ベトナム軍は「強襲」の実施を行った次のターンでは前進した前線のエリアにおいて「塹壕」の設置を行うという2ターンを1セットとして攻勢を続けていくことになるのではないかと思われます。

勝利条件と占領エリアの影響

f:id:yuishika:20210724002329p:plain 勝利条件はマップ内に9箇所ある勝利条件エリアのうち6箇所を北ベトナム軍が占拠することによります。勝利条件エリアは史実においてフランス軍が最終的に立てこもったマップ南部に集中しています。

勝利条件エリアとは別にゲーム内で意識しなければならない特定のエリアがあります。

ひとつはマップ北部にあるフランス軍陣地3箇所、または飛行場の滑走路があるエリア3箇所です。いずれも3箇所を1セットとして占拠している軍は、カードを1枚余分に保有することができます。6箇所とも占拠している場合はカードの保有枚数は2枚増加することになりますので大きいです。

ゲーム冒頭においてこの6エリアはすべてフランス軍占拠下にありますので、北ベトナムは自ずとこの6エリア攻略がフランス軍の弱体化(フランス軍が得ることができるカード枚数が減る)、また自軍の強化(自軍のカード枚数が増える)のため優先すべき事項となります。

飛行場の滑走路がある3エリアについてはさらにフランス軍の補給状況に影響を与え、これもまたフランス軍の回復能力に甚大な影響を与えます(毎ターンにフランス軍だけが行う補給チェックにおいて、飛行場エリアの占拠状況によって悪影響を及ぼし、結果、フランス軍は消耗状態のユニットの回復が一部できなくなる等)。

史実において北ベトナム軍が強力な対空砲部隊を周辺の山々に配置した事に加え、滑走路の占拠と破壊を行ったことにより、フランス軍は物資補給の手段を失います。最後は物資の空中投下により補給を継続しますが、投下された物資のうち相当数が北ベトナム軍の手に渡るなど、フランス軍の士気崩壊を引き起こす要因となります。

 

(つづく)

 

 

B級映画感満載の凄まじい邦題ですが(”空挺要塞”とは何ぞ!?)、オリジナルタイトルは「ディエンビエンフー」ということで同戦を描いたフランス映画です。見た人の感想としては、終始フランス軍の視点で描かれたシリアスな戦争映画とのことなので、邦題で大損しているようです。

エキストラに大動員されたのは本物のベトナム軍で、撮影はそのままディエンビエンフーで行われたということです。
残念ながら日本のTV規格で見ることができるDVDは未発売の模様で、VHS版を探してみる他ないのが残念です(またはリージョンフリーのプレイヤーを入手して・・、といずれにせよ鑑賞は難易度が高そうです。・・と書いていて、秋葉原の地下に古い規格のプレイヤーを探しに行くエピソードを見たことあるなぁ・・、とふと思いだしました。たしか「COWBOY BEBOP」でしたよね?)。