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「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦する(2)

インドシナ戦争におけるディエンビエンフーの戦いを、エリアインパルスシステムで描いた「STORM OVER DIEN VIEN PHU」(MMP)を対戦しました。

Storm Over Dien Bien Phu Box Front

 

 

第1ターン

北ベトナム軍を先攻として交互にインパルスを実施し両方がパスをした時点でターンが終了します。

マップ上にはいくつかの重要なエリアがあります。

ひとつは、勝利条件の中で北ベトナム軍の占拠がもとめられているエリアです。マップ上、9エリアあり、北ベトナム軍が勝利するためには、8ターン終了時にこのうち6エリアを占拠している必要があります。
下のマップの中に赤茶色の四角マークを記入したエリアです。飛行場の南東側に固まっていますが、史実においてフランス軍が最後まで籠もった陣地になります。

勝利条件には関係ないものの、占拠することで毎ターンのカードのドロー枚数を増加させることができるエリアがあります。3つのエリアを1セットとして2セットあります。
ゲームのスタート時点では2セット(計6エリア)ともフランス軍が占拠しているため、フランス軍は通常のドロー枚数とは別に2枚をボーナスとして得ることができることにうなります。
このゲームにおけるカードイベントは強力なので、1~2枚ドロー枚数が増えるというのは非常に魅力的です。ベトナム軍は早くにその権利を獲得したいでしょうし、フランス軍にとってもこだわりたい権利でしょう。

マップの中に水色と、オレンジの円を記入したエリアです。水色の円は、マップ北部などにありますが、この北部にある2つの水色円のエリアは史実において緒戦で、ベトナム軍の人海戦術による集中攻撃を受けて陥落した地点になります。

またオレンジの円は滑走路があるエリアで、滑走路エリアについては、ドローできるカードが増やすことができるという性格の他、北ベトナム軍が確保した場合、毎ターンの終了時にフランス軍が実施する補給切れチェックの際にフランス軍にとって不利なペナルティが加算されるようになります。
補給の有無はユニットの回復力に関係するため、包囲下におかれたフランス軍にとって戦闘からの回復ができるかどうかは死活問題になってきます。その意味でも滑走路エリアは重要性が高いと言えます。

 

通常のターンでは、北ベトナム軍は「強襲」を実施するためには実施するユニットがいるエリア内に「塹壕」を設置しておく必要があるのですが、第1ターンの間だけは特別ルールにより「塹壕」無しの状態から「強襲」を行うことが可能です。

このため、第1ターンの北ベトナム軍は可能な限り「強襲」を実施するでしょう。
「強襲」の実施前には、支援砲撃により目標となるエリアにいるフランス軍ユニットにステップロスの損害を与えた上で、実施するのが定石です。
「強襲」では地形効果を無視できます。その上で目標エリアのユニットをすべて除去するか、後退させればそのエリアに前進できます。「強襲」の成否に関わらず、「強襲」を実施したユニットの中から1ユニットが強制的に除去されます。

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マップ上側が北方向です。
本文中にあるように、青色四角が記載されたエリアは勝利条件エリアになります。

オレンジ色と水色の円が記載されたエリアはカードドロー枚数追加ボーナスを得ることができるエリアとなります。それぞれ3つのエリアすべてを獲得することでドロー枚数が+1になるというものです。
またオレンジ色円のエリアは滑走路エリアとなり、ここをベトナム軍が占拠した1エリア毎に毎ターン終了時にフランス軍だけが実施する「補給チェック」において+2のペナルティが課せられます。ベトナム軍にとって終盤のフランス軍を追い詰めるためにぜひとも獲得した修正値となっています。

 

北ベトナム軍はカードのドロー枚数増加につながる2エリアを中心に「強襲」を実施しました。また中央エリアでも滑走路エリアに隣接する場所へ進出します。

対するフランス軍は最終的な防御を考慮し、戦線を下げつつもむやみにエリアを明け渡すのではなく、北方を中心に遅滞行動をとるように移動します。

 

第2ターン

第2ターンのベトナム軍は「塹壕」準備のためのターンとなります。「強襲」のためには攻撃発起点に「塹壕」を構築する必要があり、これには1ターン要するため、必然的に準備が必要となるのです。

フランス軍は北部エリアは引き気味です。機甲部隊などの防御力が高いユニットは早々と南部の勝利条件エリアに移動させます(機甲部隊は橋があるエリアでしか渡河できないため、橋があるエリアをベトナム軍が占拠してしまう前に渡河させてしまうという意図もあったようです)。

ベトナム軍は北部から戦線を南下させるのとは別に意図的に両側面の部隊を南下させ、フランス軍の接敵しているエリアを増やすように動きます。こうすることでフランス軍は正面だけではなく、側面や内側のエリアにも相応のユニットを配置しつづけなければならないようにしていたです。*1

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第2ターン終了時の状況(写真左手側が北方向)
ベトナム軍はいくつかのエリアで塹壕を準備し次のターンでの「強襲」実施を企図しています。

第3ターン

フランス軍が撤退したエリアへ進出したベトナム軍はそのまま滑走路北端のエリアを占拠。一方で、中央部分で強襲をしかけるも侵攻はかないませんでした。フランス軍も精鋭の空挺部隊を防御に投入しています。
このターン終了時のフランス軍の「補給チェック」において、滑走路の1エリアを占拠されたこともあり、失敗。1エリア分が強制的に補給切れとなり、戦闘後のステップロスした状態から回復できなくなります。

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第4~5ターン

ベトナム軍は滑走路エリア全3エリアのうち2エリア占拠に至るものの、最後の南端のエリアをせめあぐねます。フランス軍陣地を大きくは包囲はしているものの、射撃戦だけでは有効な損害を与えることができない状態に陥っており、きちんと「塹壕」構築から「強襲」の実施を行う必要がでてきています。

フランス軍エリアはひとつのエリアに存在するユニット数が多くなってきたことから、損害吸収力も増していることもあり、ベトナム軍とってやっかいな状態になっています。

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第4ターンの状況(写真左手側が北方向)
ベトナム軍がフランス軍を包囲した状態になっていますが、ひとつのエリア毎のユニット数が多くなっていることから、損害を与えづらい状況に陥っています。

 

第6ターン

カードイベントによりフランス軍の増援が最南端に到着します。史実では飛行場から離れた位置にあった陣地にいた部隊が転進してきたというイベントになります。

滑走路がある最南端のエリアに対してベトナム軍は再三射撃を実施しフランス軍ユニットの後退や除去を試みますが、フランス軍はユニットがいなくなる度に、他のエリアから1~2個中隊が補充することで、しぶとく保持し続けます。
ベトナム軍は「強襲」を使って強引に奪いにいかないと、こうしたフランス軍の防衛策を止められないのです。「強襲」を行うには事前に「塹壕」を準備しなければならず、スピードが求められるベトナム軍の足枷となっていくのです。

ベトナム軍はエリア17に部隊を1個連隊規模(9個中隊)の部隊を集め、南に隣接するエリア22への「強襲」を企図します。
フランス軍は「支援砲撃」のカードによりエリア17の「塹壕」を潰そうとしますが、ベトナム軍はすかさず対砲兵砲撃(ベトナム軍側からも「支援砲撃」のカードを出すことで、フランス軍の「支援砲撃」効果を打ち消すことができる、カウンターとなります)によりフランス軍の企図を潰します。

ベトナム軍の「強襲」は成功し、ここでベトナム軍の勝利条件エリアの確保数は条件の6エリアに対して4エリアになります。
あわせてその南側のエリアも陥落し、滑走路南端のエリアのフランス軍中隊は孤立することになります。

が、ここでベトナム軍は慢心からちょんぼをしてしまい、フランス軍に包囲を一端を破られる結果となります。この破綻を回復するには2ターンでは無理との判断からゲーム投了、終了となりました。

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6ターン戦況図(部隊配置は省略し、エリア占拠状況のみを表示)
強襲が発生した2個エリアが主戦場となりました。他にも滑走路南端をはじめ、フランス軍陣地の南側で両軍間で射撃の応酬が発生しています。
この時点で、ベトナム軍が確保した勝利条件エリアは4つとなるため、本ターンの残りを含め3ターンのうちに2エリアを占拠すればよいところまで来ました。

 

感想戦

ゲームはベトナム軍が主導的に進行します。ある程度漫然と攻撃していても一定の戦果をあげることができるでしょう。ゲームは全8ターンなのですが、勝利条件を満たすためにはけっこう時間がなく、効率よくフランスを軍を追い詰めていく必要があります。

通常の「射撃」では相手を後退させたとしても、戦闘後に前進してエリアを占拠することはできないため、続くインパルスにフランス軍が別のエリアから補充してしまえば、占拠はかないません。フランス軍が犠牲になることを覚悟で攻撃目標となっているエリアに1ユニットずつ送り込み始めると、ベトナム軍はいたずらに時間を空費させられてしまいます。

ベトナム軍としてはフランス軍のこうした遅滞行動を回避するには、戦闘後に目標エリアに前進することが可能な「強襲」を仕掛けるしかないのですが、「強襲」を実施するには攻撃を発起するエリアに「塹壕」を設置しなければなりません。
このためベトナム軍は、1ターンで「塹壕」を掘り、次のターンで「強襲」を実施するという2ターンからなる攻撃パターンを繰り返していく必要があるのです。ゲームは全8ターンしかありませんので、計画的にこうしたパターンを構築していく必要があります。

また、エリアインパルスシステムの性格として、ゲームの終盤、防御側が占拠しているエリアの数が減少するにつれ、ひとつのエリア毎の防御側ユニットの数が増加することで、ひとつひとつのエリアを攻略することが格段に難しくなっていく傾向があります。
対抗するためには攻撃側もユニット密度をあげて攻撃力を高めていく必要があるのですが、結果として戦闘結果を判定するダイスの一振りの重要度が格段にあがってくるのです(一種のインフレ状態ですね)。
本ゲームでは、防御側の防御力はそのエリアに存在する防御側ユニットの防御力の総和ではなく、エリア内の防御ユニットの中で最大の防御力を持つユニットの数値を用いるということで、この終盤の攻防のインフレを回避しようとしているのですが、それでもひとつのエリアに存在するユニット数が増えているため、損害を受け入れることができる余地が増えるためそれだけ攻略が難しくなってきます。

ベトナム軍はこうした後半の傾向を読みながら、計画的に攻略を進めていく必要があるでしょう。簡単に後退されないように、努めてフランス軍ユニットの除去ができるようにすることも必要でしょう。

 

フランス軍にはベトナム軍にある「強襲」はできませんので逆襲するにしても基本は「射撃」をベースにしたものになります。
ベトナム軍が「塹壕」を作ることは「強襲」のサインになりますので、「支援砲撃」カード等を利用して「塹壕」を潰すべきでしょう。もちろんベトナム軍から「支援砲撃」カードを出されると「塹壕」潰しの砲撃が邪魔されることになることから、ベトナム軍に先に「支援砲撃」カードを使わせるというカード運用のテクも必要かもしれません。

今回のプレイ中もあったようにベトナム軍が「射撃」を行ってきたのであれば、射撃済のベトナム軍に対して「射撃」をすることでユニット除去を試みることもありです。ただしフランス軍は毎ターンの「補給切れチェック」には注意です。補給切れエリアはベトナム軍が指定できますし、また補給切れを指定されたエリア内のユニットはステップロス状態から回復できませんので、対抗力が著しく衰えた状態になってしまいます。

フランス軍ベトナム軍の攻撃機会を使わせるか機会を潰すことで、前進をさせないという遅滞行動をとっていくことになるでしょう。
また最終的には勝利条件エリアのうち最低4エリアを確保することで勝利となりますので、最初からエリアを守り切るように部隊配置を考慮していく必要があるでしょう。ベトナム軍と同様、フランス軍も先を見通した行動が必要となる訳です。

 

両軍ともゲーム全体を見渡した行動が必要となるのですが、凝り固まった定石がある訳でもなく、ある程度漫然とプレイしても楽しくことができるでしょう。

ルール難易度も高くなく、プレイ時間も半日~1日で最後までいきつくことができます。それでいてスリリングなゲーム展開は非常に魅力的です。まさにゲーム会の対戦にもってこいではないでしょうか。

残念なのは現在、入手が難しいことでしょうか。

(完)

 

 

 

*1:北ベトナム軍が配置されたマップの側面など一部のエリアについてフランス軍が占拠できないエリアが存在します。いわば史実におけるベトナム軍の出撃拠点となった山岳地帯を表したルールでしょうが、ベトナム軍はこの”安全地帯”の存在により後の憂いなく前進できます。