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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「HEART OF DARKNESS(闇の奥)」(LEGION WARGAMES)を対戦する(1/2)

19世紀なかば暗黒大陸と呼ばれていたアフリカ大陸探検を題材にした「HEART OF DARKNESS」(LEGION WARGAMES)を対戦しました。
Box cover

ゲームデザイナーは先日プレイした「TONKIN」等のKim Kanger。
さて今回もKim Kangerデザインゲーム名物のアレはあるのでしょうか?

 

タイトルになっている「HEART OF DARKNESS」は、イギリスの小説家ジョゼフ・コンラッドの「闇の奥」の原題です。同作は当時コンゴ河一帯にあったベルギーの植民地コンゴ自由国を舞台に、西洋植民地主義の暗い側面を描写した作品ということですが、日本では、同作を翻案したフランシス・コッポラ監督「地獄の黙示録」(原題:Apocalypse Now)の原作として目にすることのほうが多いように思います。
この原作ですが、単に題名を借りてきたというだけではなく、本ゲームのバックボーンになっているように感じます。

 

 

ゲームの概要

プレイヤーは5人まで。各プレイヤーはスポンサーから委嘱された調査を行うためにアフリカ大陸に足を踏み入れた探検家です。

探検家たちは大陸で新たな発見をしたり、珍しいイベントに遭遇した際にドラマポイント(以降、DP)を得ることができます。DPの数はその内容や、特定のアイテムを所持していた場合、または各探検家のスポンサーによる委嘱内容によって異なるのですが、最終的には50ポイントに達したプレイヤーが勝者となります。1回の発見で得られるDPは1~5ポイント程度ですので大きくはありません。
プレイではこうした発見やイベントをいくつも積み重ねていくことで勝利条件ポイントの達成を目指すことになります。一部の珍しいイベントについては10DP近いものもあるようですが、出会うのは非常に稀でしょう。探検家自らが死亡したり、気が触れたりした場合もDPを獲得できます(数値は大きくはないところを見ると決して珍しい事ではなかったということでしょうか)。

マップはフルサイズでアフリカ大陸全体を写した白地図マップが目を引きます。白地図上のアフリカ大陸は細かいエリアに分割されています。
そのうち海岸沿いにある5ヶ所のエリアは地形等がカラーで表示されており、文明化された西洋人の拠点があることを表しています。プレイヤーが扱う探検家たちはこの5ヶ所のエリアのいずれかから出発することになります。
文明化されたエリア以外はエリアを分ける境界線以外は白地図状態です。一部のエリアは”想定される地勢”のシンボルがはいっていますが、ほんとうにそのような地勢(砂漠・ジャングル・サバンナ・平地)なのかは実際足を踏み入れなければ判明しません。

各プレイヤーには自分のチームのステータスを表示するプレイヤーシートが与えられるのですが、その一部に探索用のミニマップが記載されています。

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プレイヤーシート。ポーターや護衛兵の人数、運搬力、食糧、自分の健康度といった各種パラメーターが表示される。問題の探索用ミニマップはMatrixと表示がある、5☓4の赤茶色のマス目状の部分。各エリアの中の探索はこのミニマップ上で解決される。

 

ある探検家の記録

旅の準備と出発

我々のスポンサーとなった投資家からの委嘱内容は鉱山探査であった。

中央アフリカアンゴラにてガイド、ポーター、護衛兵を雇い、キャラバンの総勢は20名を数えた。食糧や現地人への贈り物、弾薬・薬品といった消耗品、冒険に必要な様々な道具類を準備する。
食糧は探索中の狩猟や釣りなどで確保することも可能であるが、あらかじめ多めに持ち込むことにした。他の荷物の分量が減ることになるが、食糧の不足は雇用人たちの士気にも直結している。士気が低下したキャラバンは崩壊し最悪のケースでは雇用人の叛乱も想定しておかなければならないのだ。
他に道具として、釣り竿・つるはし・ライフル・ピストル・望遠鏡・キニーネマリファナ・聖書・測量機器を選び、さらに水系沿いに遡行するためカヌーをしたてた。

プレイヤー5人に対してスポンサーは5種類用意されている。それぞれ目的が異なる。スポンサーの目的に合致した発見等を行うと得ることができるDPにボーナスがつけられる。
なおスポンサーが影響するのはDPのボーナス部分のみで、初期配置時の各探検家の初期値やアイテムなどに差はない。

道具の選択はかなり重要で、それによって各種のイベント(多くはアクシデント)への対応時の修正や回避がなされる。ただ持ち込むことができる数に限りがあるため、何を選ぶのかは重要な要素となる。

 

コンゴ河遡行

複数のカヌーに分乗した我々は現地最大の河川であるコンゴ河をさかのぼることにした。
アンゴラを外れるとすぐに地図に記載されていることは極端に少なくなりほぼ白地図状態となる。記載事項があったとしても、その信ぴょう性も高くはない。事実、アンゴラステップ地帯を抜けた我々はすぐに渺渺とした砂漠地帯にあたることとなった。
分岐したコンゴ河の支流の源流を確認した後、我々の小船団は嵐に遭遇し、少なくない食糧を失うこととなった。嵐の影響は地上を行く際よりも水上にいた場合のほうが大きい。

源流の発見は、DPの対象となる。ただ源流が発見されると、その河をそれ以上遡行できなくなることになる。そこまでに分岐点があった場合は分岐点に戻り、異なる支流を遡行していくことも可能である。またはカヌーを捨て、徒歩により探索を続けることになる

嵐の直後、我々が訪れた村では、贈り物が効果を奏したのか住人は非常に友好的で食糧を分けてくれ、嵐で失った分は取り戻すことができた。
中央アフリカ周辺はアフリカ大陸内でもとりわけ奴隷商人の活動が活発であったこともあり、白人に対する原住民の感情がよくない。このエリアで友好的な村に遭遇しえたことは非常に幸運であった。友好度が低い村に遭遇した場合、逆にこちらが襲撃を受け、キャラバンのメンバーを失うこともある。

幸運ばかりではなく、道中は悪い事のほうが起こりやすい。
ある場所で我々は現地民の呪物を発見する。呪詛を込められた大量の呪物は明らかに常軌を逸しており、この地は我々の価値観が通じない世界であることを実感させる出来事であった

イベントで登場する「禁忌(タブー)」に触れた場合、「正気度」が下がる。
旅のイベントの中では「正気度」を下げるものも少なくない。改善するすべもあるのはあるのだが、頻度からすると旅を続ける中で「正気度」はだんだんと落ちてくる。「健康度」とあわせ、探索行は探検家の健康や体力とあわせ精神も蝕んでいく。

好戦的な部族の襲撃を受けた際、うまく退けることができた。また砂漠地帯の織り成す景観の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあった。残念ながら我々は記録画家の同行も画材の持ち込みもしてなかったため、文字として記録にとどめただけであったが、地図には記載されることとなる。

「景観」は美しい地形等を表し、発見されると発見者はDPを得ることができ、白地図マップ上にマーカーが配置される。

我々は河川沿いに遡行をしながら時々、狩猟にて食糧と、現地民への贈り物となる革などを得ていたが、それ以上の大きな発見などはなかった。

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アンゴラを策源地とした我々はコンゴ河を遡上しはじめる。
発見された植物、景観、水源池、また河の分岐はそれぞれ白地図上に記録(マーカーが置かれる)される。
サファリスーツで銃を抱えた人物が書かれた黄色のユニットが、この探検家チームを表す

 

失われた都市と消えた噂

砂漠地帯を超えると荒涼とした草原地帯となった。
道すがら我々は放棄されかなりの年月がたった様子の「失われた都市」の廃墟を見る。かつては高度な文明が存在したことも伺えるのだったが、いまは住む人はいない。
我々は「噂」の存在を聞く。何の「噂」かそれさえはっきりしない。訪れた村にて訊ねるが、誰もが口を閉ざしていて、「噂」の存在すら疑わしい状態となり、やがて消えてしまった。

イベントで「噂」が登場すると探検マップ上の村や王国に配置することになるが、彼らが友好的でなければ内容の確認はできない。真偽を確かめることもできないまま「噂」は立ち消えることになる。

コンゴ河はここで大きく湾曲し、我々の予想を裏切り東の内陸部ではなく、その上流は南部から流れてきていることがわかる。小船団も南部に舳先を向けた。
アフリカは猖獗の地、マラリアの恐怖は我々も逃れることができなかった。マラリアにより体力を失う。

イベントで「マラリア」が出ると罹患チェックを行うのだが、マラリアの場合、体力があるほうが罹患しやすい。体力の衰えは、行動力の減少につながり、探索マップ上の活動時間が短くなるというペナルティにつながっていく。

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赤茶色の5☓4のマス目状の部分が探索を行う抽象的なマップになっている。そのエリアに何が存在するか(存在しそうか)はひいてきたマーカーで表される。
探検家はこの上を移動しながら対象と接触したり発見したりすることになる。
探検家の位置が変わる度に、視界範囲や内容が変わっていく(マーカーを引きなおす)。接近してみると存在しなかったり、見失ったりするわけだ。

探検家は闇雲に動けばよいのではなく、時間制限があり、定められた回数以内に一番下の行の真ん中にあるマス目にたどりつかなければならない。活動回数は健康度が関係する。決められた回数内にゴールにたどりつけられない場合は、余計な食糧を消費することになる。

 

空白地帯

南へ向かった我々を待っていたのはまたもや「砂漠」であった。
「鉱山」のひとつも発見していない我々はこの頃になると、スポンサーから矢の催促を受けるようになっていた。だが、出ないものは出ないのである。

ちょうどこの頃、東アフリカから探索にはいっていた別の探検隊は南東部のエリアでいくつもの鉱山を発見していたのだが、彼らは地道な投資開発物件を探すのが目的ではなく、探検記を書きたい新聞記者であったことは皮肉なものである。

イベントチットの中で、「鉱山」チット自体は数は少なくはないものの、イベントとして引かれた瞬間に、それが配置できる空きスペースがあることなどが理由で、配置されずに流されることも頻発する。

「投資家」をスポンサーとするプレイヤー(今回は" 我々”)が鉱山を発見すると、通常のDPの他、ボーナスDPも獲得できることは説明したが、逆に他のプレイヤーが鉱山を発見すると、発見したプレイヤーは鉱山発見DPを獲得できるのだが、同時に”我々”は先に発見できなかったということでペナルティとしてDPを失う・・・。

これまでも好戦的部族の襲撃を受けることは度々あったが、このときはじめて我々が損害を受け兵士の一人を失ってしまう

ゲーム内で兵は「アスカリ」と記載されているが、これは、アラビア語スワヒリ語の「兵士」の意味である。

ここで訪れた砂漠地帯は空白地帯であった。みるべき文物はなかったと言って良い。

 

マラリアの猛威

新たな地勢にはいり我々はコンゴ河の源流のひとつとなっている巨大な湖を発見した。またその周辺の山も含め、白地図上に記載されることになるであろう。

その頃、我々を悩ませていたのは度重なるマラリアの罹患で、体力を奪われること複数回。本国から持ち込んだ貴重なキニーネを使うものの完全回復には至らなかった。

長い探索行(この時、4ターン目)により疲弊していたのは我々だけではなく、同じ時期、探検を実施していたグループでもその内容・条件は異なるものの、疲弊していたと言えるだろう。
鉱山発見を連発していた新聞記者のグループは、どこでどういう恨みを買ったのかはわからないが、好戦的な部族の執拗な襲撃(もしかするとそれぞれ別の部族による襲撃だったのかもしれないが)をかなりの頻度で受け、10人程度のポーターを連れて行ったにも関わらず、残るはポーター2人となり、補充もできないまま食糧や贈り物の運搬能力を失うこととになっていた。当然、食糧の運搬ができないまま残ったメンバー各自で保有する分以上の食糧・贈り物を持ち得ない状態にまで窮していた。

ポーターや護衛兵は最初の策源地を出発する段階で人数を揃え、そのは探索マップ上に登場する「宣教師」が関係する以外は人数の追加は難しくなる。追加が成功しても1~2人といった小規模な規模だ。探検行の中では様々な理由で人身は失われていくのだが、ここまでの急激な減少になるとなかなか対応が難しくなるようだ。

我々はこの地でようやく鉱山を発見するに至る。鉄鉱石であった。

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アンゴラを出た我々はまず北側(右手)の砂漠を越え、いったんは東の草原エリアにはいるものの、そこでコンゴ河が湾曲したことから、南下(左手方向)する。その砂漠地帯は不毛の地で何の発見もないまま、河の流れのままに南へと河を上っていくこととなった。

 

(つづく)

 

 

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