Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム/歴史ゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム/歴史ゲーム/ボードゲーム

「戦車戦」(HJ)を試す

このところドラマの記事ばかり書いていてそろそろゲームを取り上げたいなと思っているところ、6月以降のゲーム会に向けて準備している2つのゲームがいずれも難物でして、なかなか記事化できないので、急遽本作をとりあげることにしました。

ホビージャパンオリジナルゲームの第1弾だったと思われる「戦車戦」です。初期まだ隔月刊時代のタクテクスにはたくさん広告が出ていた覚えがあります。その割にはあまりこのゲーム自体をとりあげた記事は読んで覚えがないのですよね。
戦術級ゲームとしては、先に「スコードリーダー」に行っていたため本作は未プレイでした。

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コンポーネント

丹精な仕上がりのハードマップです。
きちんと中芯の厚紙の上に皮革風の仕上がりがしてある、当時のアバロンヒル社のゲームによくあった仕様です。
ユニットの仕上がりもよく、ノーコーディングなのですが印字もきれいで、車輌の上面図が細かく記述されています。

ただマップ内のヘックスとユニットが若干小さめです。
ツクダホビーのゲームもそうだったのですが当時はこれが普通サイズだったんですかね?

登場ユニットとスケール

1ヘックス=70メートル、1ターン=3分、1ユニット=1両、1門、1個分隊
登場ユニットは車輌、歩兵分隊、対戦車砲

1944年から1945年の東部戦線末期をとりあげています。両軍の登場車輌は次の通り。

ドイツ軍

ソ連

  • T34/75
  • T34/85
  • JS2     ※ IS-2
  • SU76
  • SU100

他に両軍に、対戦車砲、輸送車両(ハーフトラック、トラック)、歩兵分隊が登場します。

ゲームシステム

進め方

  1. イニシアティブの決定
  2. 直接射撃:第1プレイヤー、第2プレイヤー
  3. 移動:第1プレイヤー、第2プレイヤー
  4. 間接射撃
  5. ターン更新

イニシアティブは両プレイヤーがダイスを振り大きい値を出した方が直接射撃フェイズ、移動フェイズそれぞれについて先手・後手を決めます。
シナリオによりイニシアティブのダイスの目の修正値が定められています。基本このゲームのダイスは1D6です。

移動と射撃フェイズそれぞれについて先手・後手を決めるという点は注意です。イニシアティブを取るか否かはかなりゲームの行方を左右します。

射撃解決

射撃には装甲目標に対するAP弾射撃と非装甲目標に対するHE弾射撃に分かれます。
AP弾、HE弾とありますがそれ以外の特殊砲弾が登場するわけではないです。

車輌には前面/側面/後面それぞれに装甲レベルが定められています。

各車両の主砲には、距離に応じて貫通力と破壊判定の際の数値が与えられています。
当然距離が離れるほど貫通力も破壊判定の数値も弱くなります。

 

  1. 目標までの距離に応じた貫通力を表で確認する
  2. 目標ユニットの向きに応じた装甲レベルと貫通力を比べて貫通できるか確認する
  3. 貫通する場合、破壊判定の数値を確認し、ダイスにより破壊判定を行う

戦車を扱うゲームでよくあるのは、①命中判定 があって、②破壊判定 があるというシステム(さらにはこの間に”命中箇所判定”がはいるゲームもある)ですが、本ゲームはこの命中判定と破壊判定をダイス1回で済ませるようになっています。

なおこのゲームには弾薬切れ、致命的命中のような異例な処理、また機関銃などの副武装は登場しません。

移動と射撃の関係でいうと、射撃時に射撃時の状態(=移動状態)を宣言することにより同じターンのうちに射撃と移動を同時に行うことも可能です。射撃を行いつつ移動する場合は当然、不利なダイス修正がはいります。

 

  • 完全停止射撃
  • 一時停止射撃
  • 行進間射撃

 

HE弾射撃

目標が歩兵分隊、トラック、対戦車砲といった非装甲目標の場合はHE弾射撃として解決されますが詳細は省略します。

その他

  • 移動途中に相手のユニットがいるヘックスに入るオーバーランが可能
  • スタック制限は車輌2ユニット、歩兵4ユニット
  • 森、建物、陣地にいるユニットは”発見”されるまで攻撃されない。
  • 歩兵は同一ヘックスにいる装甲ユニットに対して、歩兵突撃戦闘を行うことができる(パンツァーファウスト非装備の歩兵分隊が装甲ユニットを攻撃することができる唯一の手段)
  • 直接射撃フェイズに射撃を行わず、移動フェイズで未移動のユニットは相手側の移動中に”臨機射撃”を行うことができる

 

印象

全体のルールは非常に簡単です。戦術級の経験があればひととおり聞けばすぐにプレイにはいることができます。ルールは簡単なので戦術級初心者にインスト即プレイも可能でしょう。

それでいて、移動状態に応じた射撃(射撃と移動の同時実施)やオーバーラン、臨機射撃などもスマートに取り込まれている点は感心しました。

ガルパンを題材に戦車戦を扱った「ぱんつぁー・ふぉー!」も多分に初心者向けだったのですが、戦車戦のシミュレーションという点では本ゲームのほうがバランスが取れているように感じました。

 

 

yuishika.hatenablog.com

 

本ゲームはダイスの解決が6面ダイス1個によっているため、数値の処理がばっさりとしており、ダイスの結果に依存する部分が大きい印象です。車輌の性能も同様にばっさりと整理されています(詳細は次の記事で書きます)。

 

 

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