「FRONT TOWARD ENEMY」(MMP)を対戦をするべく準備しています(以降、FTE)。ベトナム戦争の陸戦を題材に1ユニット=チーム(班)単位として小隊~中隊規模の小規模戦闘を扱った戦術級ゲームです。
ゲームの紹介
ゲームの内容はコマンドマガジン150号に今回の対戦相手でもある旅団長さん自らが書かれたレビュー記事が出ていますのでぜひ参照してください。
Kindle Unlimitedを利用されている方であれば電子版が読み放題の対象になっていますね
簡単に
1ターン=5分、1ヘックス=50メートルというスケールはアドバンスド・スコードリーダー(以降、ASL)に近いですが1ユニットはチーム(4名)となっています。また指揮官ユニットは1~2名の指揮チーム。支援火器や砲兵器(迫撃砲)も火器チームとして登場します。車両1両単位になっています。
ASLのスケール
1ユニット=基本は分隊単位(10名~15名程度)、最小単位として半個分隊(5名程度)に分割可能、指揮官等は1名
車両1両、支援火器、砲兵器は1門毎に独立
1ヘックス=40メートル
1ターン=2分
汎用性を重視し細かな兵器が登場するASLとは異なり、FTEの戦場と登場兵器は限定的です。アメリカ軍は通常のファイアチームの他、機関銃チーム、また81ミリ迫撃砲装備のチーム、あとは指揮官チームだけです。車両も兵員輸送用のM113のみ。
第二次世界大戦を扱ったゲームとの違いとしてはヘリコプターの存在は特徴的です。
一方の北ベトナム軍/ベトコンは、ファイアチームの他は機関銃チーム、迫撃砲チーム、57ミリの無反動砲装チームが登場します。
ベトナム戦争ぽいアイテムやルールとしては、ヘリの他、民間人ユニット、主にベトコンの秘密施設(トンネルとか)、ボックスアートにもなっているクレイモアなどがあります。また勝利条件はポイント制なのですが、アメリカ軍は負傷者や死者を後送することでポイントを得ることができるようになっています。後送のためには、前線のチームが装甲車やヘリの場所、またはマップ外まで運んでいく必要があるのですが、前線の戦力が落ちることになり、悩みどころとなります。
マップはASLのような汎用マップを組み合わせるのではなく、大きなマップの一部分をシナリオに応じて用いるというスタイルになっています。
小さな集落や水田などが点在するものの、多くはジャングルという地形です。
ジャングルではLOS(視線)は限定され、当然戦闘距離は短くなります。視界がきかないところでは、隠蔽配置や隠蔽移動が多用されます。ASLの太平洋戦域のシナリオでもそうだったように、本ゲームでも隠蔽がきってもきりはなせない戦場を舞台にしているのです。まさに「プラートーン」などのベトナム戦争映画で描かれた世界です。
練習用シナリオの初期配置。アメリカ軍1個分隊(2個チーム+指揮官)は北ベトナム軍が配置されたジャングルを抜け左手に抜ける必要がある。
ASLを経験した戦術級猛者であればルールは難しくはないでしょう。
戦術級初めてという人でも、ルールの汎用性とともにマニアックな詳細化を追求して複雑な多層構造物のようになっているASLよりは、テーマを絞っている分、シンプルに構築されていてあまり敷居も高くなく、楽しめるように思います。FTEは新しいゲーム(2019年リリース)ではありますが、先日プレイした「LAST HUNDRED YARDS」(こちらも2019年リリース)のようなラディカルな要素も少なく、ルールも遥かに読みやすいです。
基本的なルール
チットプルによるランダム・アクティベイト(活性化)
基本システムはチットによってアクティベイトしていくスタイルで、各ユニットはひとつのターン内に1回活性化できる権利があります。両軍与えられたチットを引き終わるとそのターンは終了します。両軍の状況・能力などによって与えられているチットの数がシナリオによって異なります。チットの中にはイベントチットが混入してあり、それを引くとイベントが発生することになります。
扱いやすい射撃解決ルール
射撃にあたっては、地形、隠蔽状態、ユニットの状態、射程(近接射撃・遠距離射撃)、複数ユニットによる射撃などなどにより、ノーマル状態から射撃が目標に対して効果を及ぼしたかの判定するダイスの目に修正が施されるのですが、この構造がわかりやすく好感がもてました。ダイスについても10面体ダイスを用いるため、様々な修正後の最終的な成功確率が感覚的にわかりやすい点もよいです。
ASLを悪く言うつもりはないのですが、ASLの場合、歩兵射撃の解決の際、「火力値の修正」、「ダイスの目に対する修正」、効果を与えた際の目標の「士気チェックへの修正」と幾重にも修正ポイントがあり、ダイスも6面ダイス2個の合算値を用いるため成功確率もわかりにくいです(ASLプレイヤーは6面ダイスの合算値の出る確率くらい諳んじている!と言われそうですが)。
車両が登場するといっても大口径砲を搭載した戦車が登場するわけでもないので、戦車戦闘関係のルールは不要ですし、機関銃はもとより迫撃砲なども対歩兵戦闘に用いられるため歩兵の射撃ルールの中で取り扱われているなど、全体にルールの所要量が少ない点も特徴的です。
ルールがあっさりしていると言っても決して過度に簡略化しているとか、見劣りするということではありません。前述のとおりテーマを絞り、ゲーム化範囲を選ぶことでシンプルになるものだと感心したのです。
次回は練習シナリオを用いながら実際に動かしてみます。
ご参考
近年の作品でラディカルなシステムを採用した戦術級ゲーム(+ルールが読みにくい)
LAST HUNDRED YARDS
アドバンスド・スコードリーダー スターターキット(Advanced Squad Leader Starter Kit:ASL SK)で太平洋戦域を舞台にした#4 Pacific Theater Operation
残念ながら汎用マップなので本ゲームのようなジャングル感は薄い・・
これも比較的新しい戦術級ゲーム。ゲームシステムは本システムよりも難易度は低い
OLD SCHOOL TACTICAL
(つづく)