「'65: Squad-Level Combat in the Jungle of Vietnum」(Flying Pig Games)を対戦しました。副題通りベトナム戦争における分隊レベルの戦闘を扱った戦術級ゲームです。デザイナーは、「Old School Tactical」と同じMark.H.Walkerです。
「’65」(Flying Pig Games)を対戦しました。ベトナム戦争を舞台にカードドリブンの戦術級です。戦術級の複雑要素は極力抑えつつ予想以上に面白い作品でした。同社の戦術級「Old School Tactical」よりも簡単です。おせちもいいけどカレーもね、的作品かな(おせちとは言わずもがな、かのゲームですが) pic.twitter.com/FheBDgZuIF
— yuishikani (@yuishikani1) 2021年5月16日
Mark.H.Walkerによる戦術級ゲームは、「Old School Tactical」シリーズを以前紹介しています。
またベトナムにおける戦術級ゲームとしては、「Front Toward Enemy」(MMP)をプレイしていますね。yuishika.hatenablog.com
ゲームの内容
ユニット
歩兵は基本、分隊単位(RPGチームなど一部は班)。または指揮官や狙撃兵などはヒーローとして個人単位でユニット化されています。車両、ヘリコプターは1両・1機単位です。
小火器は分隊やチームの装備兵器として能力に組み込まれていますので、小銃装備の分隊や機関銃分隊、RPGチームなどが登場します。火砲は盤外からの支援砲撃として登場し、対戦車砲や迫撃砲はありません。
(訂正)アメリカ軍にM40無反動砲(対戦車目的)が登場します。また迫撃砲はないですが、アメリカ軍の小銃装備の分隊はグレネードランチャーを装備しており射撃に用いることができます。
基本的なゲームシステム
カード上に記載されたアクションを交互に行うというカードドリブンでゲームは進みます。イニシアティブ、攻撃結果、命中や損害といった各種判定は全てカード上に記載された数値や結果によって処理されるため、ゲーム中、ダイスは用いません。
ゲームの手順
カード4枚が配られ、プレイヤーはイニシアティブ決定のためカードを選びます。
イニシアティブをとったプレイヤーが先攻となり、カードに従い交互にアクションを実施します。カードはインパルス毎に補充され、基本常に4枚手元にあることになります。途中、戦闘等が発生すると判定のためカードをドローし、決定します。
一連の処理の中で、「End of Turn」というカードがドローされ、さらに同カードが一定枚数(シナリオによって異なるが4枚程度)に達した時点でそのターンのインパルスアクションは終了します。
予備フェイズとして、ここまでアクションを行わなかったユニットが移動を行いターン終了となります。またここでカードは1枚を残し残りは捨てます。
戦闘解決
非装甲目標に関する処理
ユニットの攻撃力、射程による減衰、カードのアクションによる増減、防御側ヘックスの地形効果などなどを加減してでてきた数値が攻撃判定を行うカードのドロー枚数となります。カードを引き、その中から”HIT”が表示されたカード枚数が防御側に与えた損害になります。通常の歩兵ユニットはまず「動揺」状態となり、その後「ステップロス」さらに除去となります。
「動揺」状態のユニットはカードによって回復します。士気や練度といった概念はありません。
装甲目標に関する処理
命中判定ー破壊判定の2段階で実施します。
彼我の距離を基準の数値として、攻撃側の命中修正、防御側のサイズ修正、地形修正、カードによる修正などを増減し、命中判定値を計算します。カードを1枚引き、カードにある命中判定の数値が命中判定値以上であれば命中となります。
命中すると破壊判定となり、こちらも同じ様な操作、攻撃側の対装甲攻撃力、防御側の装甲値、他の要素から破壊判定値を導出し、カードの数値を用いて破壊判定を行います。なお車輌は前面と側面/背面で防御力が異なります。
その他の戦闘関係ルール
臨機射撃
射撃を行うことができるリアクションカードを持っている場合、実施できます。
プレイした印象では、なかなかタイミングよく「射撃」を行うことができる「リアクションカード」を持っていることがないように感じました。
支援砲撃(盤外砲撃)
カードアクションにより実施されます。全カードのうち1枚だけしかないレアカードですので、引いたらすぐに使いたくなります。歩兵目標に対して強力です。
強襲戦闘(白兵戦)
「強襲」能力を持つユニットが、目標ヘックスに移動アクションを行うことで発生します。戦闘解決は相互に同時に射撃を行ったとして解決します。
その他戦闘
クリティカルヒット、全力射撃、側面射撃、Ambushといった戦場でのアクシデントやボーナスもすべてカードで表現されています。
地形とLOS
空中にいるヘリコプターを除き、高度の概念はありません。
ベトナムの地形らしく、ジャングル、クナイ、茂みといった複数の地形が登場します。
マップのヘックスが大きく、地形のグラフィックもはっきり描かれているため、LOS判定がしやすいです。なおASLのようにLOS判定=射撃実施とはみなされませんので、好きなだけLOS判定をしてよいです。
BOG(走行不能)判定がないため、車輌はずんずんジャングルの中にはいっていくことが可能です(必要移動力が大きいため、効率的とは言えない)。
マップは美しいです。上記の通り地形による高度はありませんので、平坦な戦場になっています。
「Old School Tactical」では1枚の大きなハードマップの一部を使うことでシナリオの戦場となっていましたが、本ゲームでは、ASLのように小型マップをシナリオの設定にあわせて組み合わせることで、戦場を表すシステムになっています。
能力(特別能力)
このゲームが特徴的なのは、ユニット面について単純に攻撃力、移動力といった数値データが記載しているだけではなく、細かなシンボルマークが複数種類表示されていることです。
これはユニット毎だったりユニット種類毎の特徴的な能力を表しており、カードと組み合わせることで多くのバリエーションを生み出し、このゲームの面白さにつながっているように感じます。
ユニットの左辺中央部の四角のシンボル(複数並んでいるものもあり)や、下辺中央部の丸印のシンボルが能力(特殊能力)を表しています。
例えば、上記図内で右下にいるライフル銃を構えた”CHU”という単独兵ユニットには左辺中央分に縦に3種類の四角のシンボル(上から青、紫、エンジ色)が並んでいますがこれはそれぞれ、「困難目標」(損害を受けにくい)、「狙撃兵」(攻撃を行う時に色々特典がある)、「移動戦闘不可」(カードによって可能となる移動後すぐに戦闘というアクションをとれない)という特徴を表しています。
カード
インパルスフェイズには、インパルス毎に合計4枚になるように補充されます。ターンの終わりには1枚を残し残りは捨てます。
このようにカードの入れ替わりが激しいため、カードドリブンシステムのゲームにありがちなカードのカウンティングはあまり意味がないようになっています。
カードに記載されている行動には、アクション、支援、リアクションがあり、アクションは上で説明したインパルスにおける活動、支援は戦闘時などに通常のアクションに付加する形で追加され、効果が適用されるカードになります。リアクションは相手が出したカードに対応して出すことができるカードになります。「臨機射撃」「(突然の)遮蔽物」といった相手の行動に対するカウンターになるカードが含まれます。
カードはレギュラーサイズですが、ユニットは歩兵ユニットも車輌などのユニットも大きいです。目測ASLユニット比 1.5~1.8程度ありそうです。
(つづく)