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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

OLD SCHOOL TACTICAL(Flyingpig Games)を試す

Flyingpig Games社による第二次世界大戦を舞台にした戦術級ゲーム「OLD SCHOOL TACTICAL」です。ツイッターで海外の人が紹介しているのは時々目にしていたのですが、日本語でのAARはほとんどなく、ショップの扱いもないみたいなんですよね。それでもちょうどクラウドファンディングの募集をやっている(?)三作目が太平洋戦域を扱うようで、旭日旗を掲げて行進する日本海軍の陸戦隊という珍しい絵柄のボックスアートが気になっていたんですよ。

その「OLD SCHOOL TACTICAL」ですが、千葉会年末恒例のオークション大会で出品され入手することができました。
入手したのはVol.2というシリーズで1944年~45年の西部戦線を扱っているシリーズの基本セットと、エキスパンションの「AIRBORNE」「GHOST FRONT」の3作まとめてになります。*1
「OLD SCHOOL TACTICAL Vol.2」の基本セットはノルマンディ後のフランス。エキスパンションの「AIRBORNE」は開封ですが名前 からするとマーケットガーデン作戦あたりでしょうかサント=メール=エグリーズの戦い、3作目は1944年12月のバルジ戦のようです。

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ゲームのスケール

OLD SCHOOLとはノスタルジーな雰囲気をいうようで直訳では”古き良き”といった意味になるのでしょうが、いまひとつカッコよくないです。英語の素養があれば言葉が持つ言語外のニュアンスを感じるところはあるのかもしれませんが、あいにくとよくわかりません。*2

スケールは歩兵は分隊・半個分隊・操作班または指揮官・狙撃兵といった単独兵。
車両は1両、砲兵器は1門からユニット化されています。
1ヘックスは50メートル。ASL*3が1ヘックス40メートルなのでスケールは近いです。
1ターンのスケールの明記はないです。 

コンポーネント

箱が巨大です。GMTやMMPの標準的なボックスよりも2倍近くあります。その分、ボックスアートは大迫力です。

マップはGMTのゲームによくあるような、折りたたみ式の厚めのハードマップ。マップだけでも重いです。
デザインが素晴らしく北フランスノルマンディ地方の農村地帯が濃い目の落ち着いた色調で描かれ美しいです。
この基本セットだけでシナリオが16個ついているのですが、ASLのように複数のマップを組み合わせて使うのではなく、このマップ1枚の中で一部を区切って使うようです。ASLのヒストリカルモジュールでとられている方法ですね。*4
マップの周囲には、ターン記録や損害ポイント、後から出てくるインパルスポイントなどの各種記録マーカーを置く記録表が配置されています。

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絵画調というのでしょうか。緑が美しい田園風景を俯瞰したデザインになっています。

ユニットは大きめです。アメリカ軍、ドイツ軍、マーカーそれぞれ100枚弱で合計でも300ユニット弱程度とユニット数は多くはないです。
ユニットは角丸仕様で、若干硬いですが指で撃ち抜けます。

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付属のユニットシート、各ユニットの性能を記載したカードとイベントを記載したカードが合計100枚程度(左下)。ダイスは6面ダイス2個振りが基本です。

カードは2種類あります。収録されたユニット種類ごとにスペックや早見表、特別ルールが記載されたカードと、LUCKカードです。
カードは収録されたユニット(各クラスの歩兵、砲兵器、車両)の性能(移動力、攻撃力、装備、命中確認表等)のリファレンスになっており、ユニット上の細かな数値や記号を目を凝らして見たり、マニュアルに記載された兵器特有の特別ルールを探したりしないで済むようにまとめられています。そのシナリオに登場するユニットのカードを手元に置いてプレイするっている親切デザイン。ルーペ必携で目を凝らして判読しないといけないASLのユニットを考えると、使い勝手が雲泥の差です。

もうひとつのLUCKカードはゲーム前に双方1枚ずつドローしておき、プレイの途中でタイミングが良いときに使うという内容になっています。
内容としては盤外射撃や航空支援を得られたり、ハプニング的な致命的命中(Critical Hit)などがあります。

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収録されている兵器はドイツ軍・アメリカ軍とも王道のものが多いです。ASLのようにマイナーな改造型までを網羅的に収録するといったことはないです。それにしても”King Tiger"という呼び名は久しぶりに見ました。

独特のインパルスシステム

イニシアティブを決める

このゲームで特徴的なのはゲーム進行の部分、イニシアティブ制にインパルスポイントというポイントを使ったシステム(インパルスシステムと呼ばれています)になるでしょう。
英文ルールは全体に簡潔で読みやすいのですが、この2つのパートだけは、関係性や影響、シミュレーションしている現象などを理解するのに何度も読み直してしまいました。
両プレイヤーは各ターンの共通処理(回復処理など)を終わらせた後、イニシアティブを決めるために2個の6面ダイス(2D6)を振ります。ダイスの目の合計が大きいプレイヤーがイニシアティブを持ったということで先攻することができます。

インパルスポイントを決める

続いて両プレイヤーはインパルスポイントのダイスを振ります。
インパルスポイントのダイスはシナリオによってそれぞれの軍ごとに振るダイスの数と修正値が与えられています(6面ダイス2個から3個、それに修正値がつく。例:2D6+3)
ダイス3個振りの場合、最低値3から最大値18までとかなり数に開きが発生します。
ルールブックの説明ではインパルスシステムは戦場における不確実性、例えば指揮命令の貧弱さ、弾薬の欠乏、戦火の元での怖れや勇気、その他多数の考慮事項を表したものということです。各ユニットは移動、突撃、射撃といった行動を行う場合にこのインパルスポイントを消費します。
何が強烈かというと、ダイスの目次第でポイント数にかなり差がつくことです。*5ポイントに差がついた状態では、ポイントが多い側の”俺のターン!”状態が続くことになります。ポイントが少ない側はポイントが拮抗するまでは、多い側の移動に応じた”臨機射撃”しかできません。臨機射撃にもポイントは必要ですので、ポイントがなければ何の対応もできないことになるのです。
インパルスポイントを使用し減じていき、相手のインパルスポイント以下のポイントになった場合に、イニシアティブプレイヤーは”パス”をすることができます(パスを行った場合、1ポイント減ぜられます。)
インパルスポイントは次のターンに持ち越すことはできませんので、ポイントがなくなるまでプレイヤーは相互に手番を繰り返します。 

インパルスポイントの使い方

移動(Move)、突撃移動(Assult Move)、射撃(Fire)、回復、盤外射撃の誘導、退避(Take Cover)はインパルスポイントが必要です(他にもあるかもしれませんがとりあえず)。
特に最初の3種類のアクション、移動、突撃移動、射撃はスペシャルアクションとして、1ユニット毎に1ターンにそれぞれ最大1回ずつ、かつ3種類のうち2種類までしか実施することができません。スペシャルアクションとしてひとつのユニットが、1ターンに実施できる回数に上限があります。1ターンに実施できるスペシャルアクションは2回、うち「移動」「突撃移動」は1回のみ。「射撃」は2回可能です。
スペシャルアクション以外のアクションには回数制限はありません。
なお「移動」と「突撃移動」の違いは、「突撃移動」の場合、移動は1ヘックスに限られる一方で敵ユニットが存在するヘックスにも入ることができます。移動先のヘックスに敵ユニットが存在した場合、白兵戦が発生し、白兵戦フェイズに処理が行われることになります。

つまり、移動して射撃をするのか、射撃して移動するのか、または射撃を重ねて実施するのかを選べる、インパルスポイントの範囲の中で移動と射撃の組み合わせパターンを、自由な順番で実施していくことができるということになります。

この行動の順番性が高いという点はなかなか面白く、このゲームのポイントといって良いでしょう。

 

以降は特徴的な部分を記載します。

フェイズ構成

おおざっぱな構成です

1.共通処理(イニシアティブ/インパルスロール、回復などの共通処理)

2.プレイターン(相互にインパルスポイントを使ってアクションを行う)

3.共通処理(白兵戦フェイズ)

 

射撃ルール

射撃(攻撃)の解決には、歩兵戦闘テーブルと、車輌戦闘テーブルがあります。
歩兵戦闘テーブルは、

<攻撃側火力>ー<防御力>から火力数値を出し、2D6により解決します。
各種修正には火力に対する修正と、ダイスの数値に対する修正とがあります。

車輌戦闘テーブルは、対装甲目標(まぁ戦車が相手ってことですね)の場合の戦闘解決になります。車輌戦闘テーブルで与えた損害の判定を行う前に「命中判定」を各車輌や砲兵器のカードに記載がある射程毎の「命中確認」表に基づいて実施するのが特徴です。詳しくはシナリオリプレイの中で紹介します。

その他

インパルスポイントはシナリオによって決められたダイスロールによって決まりますが、累積したCasualty Victory Point(それまでに発生した除去ユニット数によって決まる)5ポイント毎に毎ターンのインパルスポイントが-1されます。
インパルスポイントは基本ダイスロールによって決まるわけですが、この修正処理によりゲームの状況を反映する仕掛けになっています。

最終ターンが終わる際、延長可否のチェックがあります。
双方のプレイヤーで1個ずつダイスを振り7以上の場合、1ターン分ゲームが延長されます。 

*1:ちなみにVol.1は初期の東部戦線が題材ということで、基本セットの他、スターリングラード戦を扱うエキスパンションが発売されているようです。Vol.2はVol.1がなくてもプレイできる仕様になっています。もう少しいうと、ルールブックはVer5.5になっておりVol.2の時点でもかなりバージョンアップを重ねてきているのが伺えます。

*2:このゲームの英文レビュなどを見ていると、英語圏の人でも同じ様なことを書いている人はいました”OLD SCHOOLって何?”って話です(What does ‘old school’ mean?)。このレビュワーの記事によると、多数の四角いカウンターを使って、六角形のヘックスで覆われたマップの上で、比率や数値計算の上で結果表を用いて解決を行うといった一連のシステム自体を古いと表現しているのではないかというのですが、この意見には与しないですね。

theplayersaid.com

*3:Advanced Squad Leader:旧アバロンヒル社、現在はMMP社が発売している戦術級ゲームのスタンダードにして最高峰作品ですね。

*4:1シナリオだけ前作のマップを使うものが混じっている模様。

*5:3Dの場合であれば、出目の範囲は3から18ということになります。