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歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「FRONT TOWARD ENEMY」(MMP)を対戦する

ベトナム戦争を扱った戦術級ゲーム「FRONT TOWARD ENEMY」(MMP)を対戦した。

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yuishika.hatenablog.com

 

 

 

シナリオ概要

シナリオ1「SEARCH AND DESTROY」
村やジャングルに紛れたベトコン(南ベトナム解放民族戦線)を捜索殲滅するため、サーチ・アンド・デストロイ作戦が実施され、1個小隊規模のアメリカ軍部隊がベトコンの拠点があるとされた村々を襲撃した。

ダイスの結果により、当方はベトコンを担当。Rさんが米軍を担当した。

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全36ターン(1ターン=5分なので3時間)
勝利条件はポイント制。ベトコン側はアメリカ軍へ与えた損害、アメリカ軍はベトコンに与えた損害の他、隠匿された施設や補給品を発見・破壊すると得点になる。

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1行目はアメリカ軍、2行目はベトコンを構成するユニット。
3行目はベトコンが設置する施設(発見・破壊するとアメリカ軍の得点になる)

 

初期配置

初期配置でベトコンは、マップ内の村と村ヘックスから4ヘックス以内に配置。アメリカ軍は第1ターンに、マップ右端からヘリコプター搭乗状態で進入する。

ベトコンは背後にジャングルに覆われた丘(289高地)を抱えた中央と右側(北側)の村を配置場所として選択した。配置場所には選ばなかった左側(南側)の村は周囲の障害地形からも隔絶した平地の中にあるため、部隊の移動展開に問題があると判断した。
アメリカ軍は十分な機動ができないジャングルからではなく、村が面している平地側から来るのではないはと予想した。火力と射程に優れ、アウトレンジ攻撃が可能な平地側からであれば、近接戦闘がメインとなるジャングル内よりも、アメリカ兵にとって安全に戦闘ができると判断するのではないかと考えたのだ。

こうした判断により、兵力の配置は集落内のヘックスに集中させ、”裏山”に当たるジャングル側は、ジャングル内の移動経路になる「小路(Trail)」沿いに、いくぶんかの陣地(塹壕たこつぼ)と小路の合流点数カ所にブービートラップを仕掛けることで対応した(平地側は移動経路の限定ができないためブービートラップには不向きと判断していた)。
さらに中央と右側の村との兵力配置については均等配備するのはなく、中央側にはダミーユニット、民間人(村民)ユニット、また偽装施設を多く配置し、武装した主力は右側の規模が小さい村側に集中させた。

プレイ

マップ右端(北方向)に現れたアメリカ軍のヘリボーン部隊(ヘリ10機)が降下場所に選んだのは、ベトコン側の予想を外れた場所であった。
主力は中央の村から死角にあたるマップ下側のジャングル端にある平地に、また一部は289高地山頂部にわずかにある平地に降り立った。289高地山頂部はその後も、負傷兵を回収する救助ヘリの降下位置として、活用されていく。

ジャングルは基本的にLOS(Line of Sight:視線)を妨害し、隣接するヘックスしか見ることはできない。289高地山頂は麓の村やジャングルの中からは見えないため、安全にヘリの発着や乗員の乗降ができたのだ。

アメリカ軍が開けた平地側ではなく山間部の死角を降下場所に選んだのは、ベトコンによりヘリを攻撃されることを恐れたためであった。

歩兵ユニットの戦死または負傷によるポイントは3~4点(死体や負傷者を運び出せればポイント戻りがあり喪失するポイントを軽減できるため、損失ポイントは軽減可能)であるのに対し、ヘリを失うと一挙に10点を失う。さらにこのゲームの戦闘解決システムの性質上、貧弱なベトコンの火力であっても射程内であれば10%の確率でラッキーヒットが発生し、損害判定を行うことになるため、撃墜される可能性があった。

降機したアメリカ軍部隊はジャングルの中に入りジャングル内の小路を通って村に接近していった。

ジャングルの必要移動力は1ヘックスあたり2移動力、小路は1移動力。
だが289高地のジャングルのほとんどが等高線がはいった傾斜地にあたるため、等高線を超える移動には追加の移動力が必要となり、小路を通ったとしても下手すると1ヘックス程度しか動くことができない。

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濃灰色がベトコン、明灰色がアメリカ軍。ジャングルや村の中に位置しているため、両軍とも「隠蔽状態(Concealed)」マーカーが載っているので、何がなにかわからなくなっている。ベトコンの「隠蔽状態」マーカーの半分近くは、ダミーや民間人ユニットなので、実態があるスタックは見た目ほど多くはない。
マップ左端に、第1ターンのランダムイベントで登場したコブラ2機と初期配置のUH-1ホッグ2機が、ベトコンが姿を現すとすぐに集中攻撃を浴びせるべく空中待機中。ただこれらのヘリも長くは滞空できず帰還することになる。

UH-1の輸送タイプは通称「スリッグ」。7名の兵が搭乗可能。よってこのシナリオでは1個小隊相当分の兵を運ぶため8機が登場している。輸送タイプのヘリは、搭乗した兵を降ろすとすぐに退避していく。同じUH-1にガンポットを装備した、ガンシップ型のUH-1の通称は「ホッグ」だ。なお輸送タイプのUH-1も、映画などで見るように、乗降口に機関銃を装備しているのである程度の火力は持っている(この乗降口に搭載した機関銃を”サガミマウント”と言うらしい。余談)

第1ターン

ランダムイベントでアメリカ軍側に攻撃ヘリコブラ」2機が支援に登場するが、発見されたベトコンユニットが存在しないため、何もできないまま空中待機。
ここでベトコンユニットが移動や戦闘といった存在を暴露されるような行動を行うと、待機中のUH-1のガンシップ型「ホッグ」2機とあわせて攻撃してくることは必至だ。実態としては影響は少ないものの、ベトコンは空中から動きを封じられた格好となった。

ランダムイベントは毎ターン1回発生する。イベントはアメリカ軍向けまたはベトコン向けどちらかにあたり、支援攻撃を得る、援軍を得るといった良いイベントと、指揮ができなくなるなどのペナルティイベントがある。また一定割合でイベントなしが発生することもある。

第2ターン

ジャングル内を前進するアメリカ軍の1ファイアチームがブービートラップに掛かり、1名負傷。

第3ターン

ここまで沈黙を守っていたベトコン側で最長射程をもつ狙撃兵が、最長距離でアメリカ軍を狙撃するも外れる。

もともと火力が弱いベトコンユニットは目標がジャングルなどの防御地形にいると、地形修正がはいるため、どうかすると修正後の射撃値がマイナスがとなることが少なくない。とはいえダイスを振って「1」の場合は必ず成功というルールがあるため、最低でも必ず10%の成功率は残っている(逆のパターンで、ダイスの結果「10」の場合は、必ず失敗扱いとなる)。

この射撃、外したこと自体は予想された結果だったが、その後、この狙撃兵は空中にいたヘリに集中攻撃を受け、負傷後、さらに戦死してしまう。

もうひとつこのターン、アメリカ軍の前線観測班チーム(FO:Foward Obsserver)が村を見下ろす位置に前進したことで支援砲撃を呼び出すことができるようになる。

アメリカ軍はどのシナリオでもデフォルトで支援砲撃の呼び出しが可能であり(ここが物量で圧倒するアメリカ軍たる所以)、呼び出した際に呼び出しの成否と呼び出された砲種類また砲撃がはじまるまでの時間(ターン数)をダイスで決める。なお北ベトナム軍は、ランダムイベントとして支援砲撃の権利を得ることができるが、そもそもランダムイベントでそのイベントを引き当てる確率が低い上に、呼び出した際の成否チェックの成功確率が低いため、実際に支援砲撃を得られる確率は非常に低いと言わざるを得ない。

第4ターン

アメリカ軍主力がジャングル内にベトコンが設けた未確認状態の施設マーカー(白地に赤い?マークがあるマーカー)のあるヘックスに進入し、捜索を開始する。

各ユニットは練度値(Troop Quality)を持っており様々な成否チェックに用いられる。施設があるヘックスでの捜索チェック、また発見後の破壊チェックについてもこの練度を用いて判定される。

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 アメリカ兵のファイアチームはおおよそこの練度は4、一方のベトコン兵は3が多い。このゲームのわかりやすいのは、ダイスの判定の際に10面ダイスを使うため、それぞれの数値はそのまま、アメリカ兵の成功率は40%とすぐにわかることだ。

2ヶ所目のブービートラップが爆発し、アメリカ軍に負傷者が発生する。ジャングル内でベトコンとアメリカ軍との射撃戦が発生しはじめた。

ジャングル内では隣接ヘックスまでしか射線が通らないため隣接ヘックス同士での射撃戦となる

ジャングルの隣接ヘックス同士でアメリカのファイアチームと、ベトコンが打ち合いを始めた場合、それぞれの射撃値は「3」と「1」となり、それぞれ30%と10%の確率で相手に損害を与えることができるようになる。
見てわかるように、まともに射撃戦を行った場合、ベトコンが撃ち負けるのは必定。

第5ターン&以降のターン

アメリカ軍によるベトコン施設捜索は1ヘックスずつ「捜索」。施設ユニットの半分はダミーですが、本物を発見した際にはその後、「破壊」チェックです。アメリカ兵でも成功率は40%(=練度値)ですのでかなり手間取っている。

この頃になると「砲撃支援」が次々と着弾しはじめる。アメリカ兵といえどもファイアチームの火力はたかがしれているので、まとめて複数ヘックスに対してファイアチームの火力以上の火力での打撃を与えることができる支援砲撃は非常に有効だ。ベトコンユニットの中には民間人(村民 )ユニットもまぎれているため、リスクを見込んだ上での砲撃となる(民間人に死傷者が発生した場合は、アメリカ軍側にペナルティがつく)。

プレイ途中、「砲撃支援」の手順の適用を間違えていることを気づいた。
ASL(アドバンスドスコードリーダー)ユーザーからすると、「臨機射撃」を行う際、また「突撃移動」を行う際に練度チェックを行うのも忘れがちだ。
「臨機射撃」の手順自体はASLよりもわかりやすく実行できるが、射撃の際に練度チェックに成功しないと臨機射撃ができない。ただでさえ練度が「3」しかないベトコン兵にはつらい。

ベトコンは村内に置いていた兵力をジャングル内に送り込みはじめる。
あわせて前線で負傷した兵を回収し、トンネルより脱出させる

負傷兵や死体をマップ外に出すとポイントが戻ることは書いたが、その手段としてアメリカ軍はヘリでの脱出か盤端から連れ出す。ベトコンはトンネル経由か盤端経由となる。悩ましいのはヘリで脱出させる場合を除き、負傷兵や死体を連れ出す際には連れ出したチームもまたゲームから退場してしまうことになるのだ

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赤丸地点は、今回のゲームを通して最大の激戦地となったジャングル内の小路(trail)の交差点。ベトコンの拠点がある北側の村につながる小路である。。もともとはベトコンが設けたたこつぼ(Foxhall)があったが、写真は、アメリカ軍の支援砲撃により一度アメリカ軍の手に落ち、ベトコンが奪還するべく包囲した場面。その後、ベトコンに奪還され、アメリカ軍の射撃チームは負傷兵を抱えて後退した。その後もアメリカ軍の支援砲撃にさらされ続けた。

 

1ヘックスずつ攻略したアメリカ軍が歩ををすすめる中、14、5ターン進んだところで時間切れ終了。

 

感想戦

ASLユーザーが忘れがちなルール

ゲーム中、いくつかのルールの見落としや適用漏れがあった。ASLではいずれもチェックは不要なこともあり、「機会射撃」と「突撃移動」に連動チェックが必要な点は見落としがち。
とはいえ全体にはルールはシンプル。とりわけダイスが10面ダイスのため修正値と確率がわかりやすい点、また射撃解決のシーケンスもシンプルでよかった。

非対称な軍隊による戦闘

シナリオについては冒頭ヘリが多数登場するなど派手な展開を見せるものの、その後の展開は結構地味だ。アメリカ軍は1ヘックスずつ地歩を進めながら、捜索を行っていく。ベトコンが攻撃してきても、火力が弱いため損害を受ける確率は高くない。恐れるのはむしろ、ブービートラップや民間人への誤射か。

一方のベトナム軍はけっこう苦しいように感じた。なによりもアメリカ軍は敵の死傷による他、ベトコン施設の発見・破壊でもポイントを得ることができる。一方のベトコン側はアメリカ兵の死傷のみでしかポイントを稼げない。ヘリの撃墜は高得点だが、登場シーンは限られている。ベトコンの勝ち筋がわかりづらい。

アメリカ軍の攻め方

今回Rさんはアメリカ軍をジャングルそばに降下させジャングル経由で侵攻したが、平地側から派手な力押しもできたのではないかというのもありかなとおもう。平地側から観測チームに観測させて、どしどし地上支援を繰り返し、姿を現したベトコンにはヘリの対地支援や機関銃チームの銃撃を集中させるのだ・・。今後アメリカ軍を担当したら試してみよう。

 

 

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クレイモアの実物の写真。思ったよりサイズが小さい。
「FRONT TOWARD ENEMY」というのは実際にクレイモアに書いてある但し書きであることがわかる。

 

 

【図解】ベトナム戦争

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  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: 大型本