Their Finest Hour -歴史・ミリタリー・ウォーゲーム -

歴史、ミリタリー、ウォーゲーム

「幸村外伝」(ツクダ/GJ)を対戦する

千葉会にて「幸村外伝~真田幸村大阪夏の陣~」を対戦にて初プレイしました。

Amazon | ゲームジャーナル別冊 幸村外伝 ~真田幸村 大坂夏の陣 ...

戦闘正面も限られ、取り得る作戦も限定された中での、大部隊同士の戦いなので、考えることも少ない、一種のパーティゲームなのではないかと想像していたのですが、実際プレイしてみると、予想外に楽しめるゲームでした。

 

ゲーム概要

ゲームスケール

いずれも明記はないので推測

  • 地図からの目測で1ヘックス=100メートル程度(大きくても1ヘックス=150メートル程度かと思われる)
  • 1ターンは15分~20分と見る*1
  • 1ユニット=500人弱

ゲーム概要

  • 移動-防御射撃(相手側)-攻撃の各フェイズからなるプレイヤーターンを交互に実施
  • 敵ZOCにて移動停止。戦闘後後退以外でのZOCからの離脱は不可
  • スタック 1ヘックス=1ユニット
  • メイアタック
  • ユニットは騎馬隊・槍隊・鉄砲隊の3種類
  • ユニットには戦闘力-士気-移動力、属する大名家、一部に武将名が記載
  • 武将名が記載されたユニットは、性能値が一般ユニットよりも優れる場合があるが、指揮範囲、指揮修正等のルールはない(除:選択ルール採用時)
  • 関東方先攻でプレイヤーターンを交互に行うオーソドックスな進行。
    プレイヤーターンの手順は、”移動”-”防御射撃”(防御側)-戦闘。
  • 戦闘フェイズでの攻撃方法は白兵戦と射撃戦。防御射撃は射撃戦として解決。白兵戦は戦力差、射撃戦は火力による解決表になっている
  • 射撃戦と防御射撃は鉄砲隊のみが実施可能
  • 射撃戦は一方的に相手に損害を与えることができる
  • 戦闘結果は除去、士気チェック後士気値をオーバーした数値分のヘックス後退の2種類
  • 後退途中に通過したヘックスにいたユニットは連鎖後退のチェックのため士気チェックを行う。さらも連鎖後退中に通過したヘックスに存在する他のユニットにも後退が発生する可能性がある
  • ステップロス無し、補給・補充等のルール無し

概して戦闘ルールはいわゆるNAWシステム。
防御射撃の考慮と連鎖後退含む後退ルールのみ注意
全体には後退の結果が多いのでオーソドックスに包囲戦法が有効(特に数が少ない西軍)。

  • 徳川の移動制限】徳川本陣の部隊は5ターンまで、または接敵するまでは毎ターン2ヘックス北に向かって移動する必要がある。また徳川家康ユニットは毎ターン1ヘックスの決められた移動方向に移動する必要がある。違反するとペナルティとしてポイントが大阪方に加算される
  • 大阪方は選択ルールを採用しない限り援軍等は無し。関東方は指定されたターン以降ターン毎にダイスを振り援軍多数参陣
  • 勝敗はポイントの比較。
    ポイントは除去ユニットの数。
    他に、関東方はマップ北端(大阪城方面)からの脱出、茶臼山の占領等
    大阪方は、徳川家康ユニット除去、関東方が徳川家康ユニットの移動制限に抵触する違反を犯した場合等に得点

その他選択ルール

外伝を謳っているとおり、ifケースをメインとする様々な選択ルールが用意されている。ざっとあげると次の通り。
その多くは真田ファン・大阪方への判官贔屓が強い人であれば感涙もの。

 

プレイ

当方は大阪方を担当。
選択ルールは採用せず
ゲームジャーナルより提供されている伊達藩ユニットは差し替え済
マップ写真は手前側が大阪方で北になる。

1~2ターン

関東方は、徳川本陣の移動制限ルールに従い2ヘックス北上。

大阪方は、最前線の部隊を左右に延翼しつつ中央部の毛利隊他を前進。関東方の前衛部隊の動きにあわせて最前線の部隊を整理する。左翼を若干下げ、右翼の真田隊を上げる。

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1ターン終了時。大阪城側から大阪方(オレンジ・赤色)とその向こうの関東方(薄紫・紫・緑色)の布陣を臨む。徳川本陣はこのさらに奥側、徳川家康ユニットはその最後列に位置しており、遥かに遠い。

3ターン

関東方の前進後、大阪方は全線で接敵し攻撃を開始。
関東方も鉄砲隊ユニットを隣接して配置することにより、防御射撃の火力を高めて応戦するが、士気が高い大阪方は頑強に抵抗。

東翼(写真左側)では若干突出してきていた上野沼田藩真田信吉*2)の部隊を拘束すると、中央部隊との間に開いた間隙に毛利勝永らの騎馬隊を滑り込ませる。
中央部の関東方先鋒である上総大多喜藩本多忠朝*3)、常陸真壁藩(浅野長重*4)、常陸宍戸藩(秋田実*5)はいずれも戦闘力や士気が高くないため大阪方の中央部隊で抑え込まれ、早くもあちこちで連鎖後退が発生する。
西翼、真田隊の前面には関東方の越前福井藩松平忠直*6)1万5千人が前進。真田隊は移動速度が高い騎馬隊を最西翼に遣り、後方への突破を図る。

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3ターン終了時。全線で両軍が激突。大阪方は東翼と最西翼で後方へ突破を試みる

4ターン

上野沼田藩真田信吉)は開いた間隙を埋めるべく後退しようとするが、前線で大阪方に拘束された部隊等もありあちこちで包囲され除去される。
中央部では後方の部隊の前進に伴い、先鋒から第二線・第三線まで押し合いへし合い状態。あちこちで連鎖後退を生じさせているが、部隊数が違いすぎるので大阪方としては後退ではなく、少しでもユニット除去にもっていきたいところ。 

大阪方は包囲のため無理目の戦闘後前進を行っていたところを関東方の防御射撃や攻撃で後退せざるを得なくなり退却ができずに除去されてしまうユニットが出始めるが、いまのところキルレシオでいけば関東方を圧倒している。

真田隊の前面にいる越前福井藩松平忠直)も部隊数は多いものの、個々の強さとしては中庸。真田隊に抑えられている。

大阪方の懸念は前線をあげすぎていること。そろそろマップの左右から登場する関東方の増援を考慮する必要がある。

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4ターン終了時。画面上方に濃い紫色のユニットが見えてきているのが徳川本陣。家康はこの最後尾にいるためまだ写真には写っていない。 最西翼では真田幸村の騎馬隊が戦線後方まで突き抜けた状態だが、そろそろ現れるであろう関東方の増援を考慮するとこのまま突き進むべきか思案中

5ターン

心配したそばから関東方の増援として伊勢津藩(藤堂高虎)と豊前小倉藩細川忠興)が到着。東翼、奈良街道沿いに登場。関東方は増援のユニット数も半端ない。 これで毛利勝永隊側からの突破は難しくなったので防御にシフトすることにする。
関東方の部隊数がいくら多いとは言え、スタック禁止なので前線に並ぶことができるユニット数は、大阪方と変わらない。となると同じ程度の数のユニット同士では個々のユニットの性能に優れる大阪方が有利となる。

関東方の中央部は徳川本陣も接近したため、大団子状態となっている。徳川家康ユニットはこうした中でも最低1ヘックス北側(マップ手前側)に移動し続ける必要がある。

西翼はいったんは戦線突破に成功した真田幸村騎馬隊だがここから中央部の徳川家康のところまでは遠く、また松平忠直の騎馬隊などの妨害などもありえるため、ここで突破は断念し撤収することにする。ここで、「内府の首、貰い受けた!!」と”真田幸村の謀略”ゴッコをしたいところではあったが・・。*7

代わりに真田騎馬隊は、撤収途中に松平隊の横側面を襲いけっこうな打撃を与えた。

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5ターン終了時。東端の青色のユニットが関東方の援軍として登場した細川隊と藤堂隊。これだけでもかなりの数。 関東方の先鋒(薄い紫)、二段目(黄緑)、三段目(緑)は除去と連鎖後退が重なりぐちゃぐちゃになっている。そこへ最後尾に徳川本陣(紫)が現れた状態。 西側の松平忠直(赤紫)も横合いから真田隊(赤)に襲われ隊列がてんで乱れた。 関東方の重厚な陣立てに比べると、大阪方(オレンジ・赤)は薄い防衛線になってしまっている。

 

6ターン

残念ながらこのターン途中でゲームは終了した。
6ターン目、マップ西端(右端)の手前側に仙台藩伊達政宗)の大部隊が援軍として到着。
真田隊は後背から攻撃を受けることになったが、騎馬隊の主力は拘束されていなかった点、また後方に置いておいた予備部隊もあったので仙台藩の部隊の前に防衛線を引くことは可能であったと考えられる。

それ以外の戦線ではいずれも包囲を多用して関東方の部隊に打撃を与えることができていたのでこのまま地道に防衛線を維持しつつチャンスを伺うといった展開になったのではないかと想像する。

ここまでの除去ユニットは関東方20ユニット(うち10ユニットが先鋒部隊(薄い紫)、10ユニットが松平忠直の隊(赤紫))、一方の大阪方の損害はオレンジユニット2ユニットのみとなっていた。

 

 感想

冒頭に書いたように予想以上におもしろゲームであった。
大阪方から言うと、マップの半分程度までの深い縦深にびっしりと関東方のユニットが並ぶ中を、2回の射撃と連鎖後退を駆使して、数は少ないが優秀な自軍ユニットを使い、関東方の進撃を止めつつ、目指すは家康の首!というプレイができる。
今回、関東方の陣にぽっかり進撃路が拓いた時には内心歓声をあげてしまった。

また今回は使っていないがルールブックの中で選択ルールを見た時に並んだIf設定に思わず感動してしまった。ほとんどが大阪方に適用されるルールばかりな訳だが、判官贔屓、豊臣贔屓、真田贔屓であれば夢に見たようなシチュエーションが並んでいて、デザイナーはわかっているなぁ、と思ったものだ。
いつかソロでも取り組みたいものだ。

関東方は逆に王様プレイというか王道プレイができるのではないか。確かに個々のユニットは大阪方のユニットよりは性能が低く、先鋒の諸隊など不甲斐ないほどだが、それでも圧倒的な数の軍勢で押し包むように進撃する醍醐味はある
「圧倒的ではないか、我が軍は!」と家康が言ったかどうかはわからないが、たまにはこういうプレイも良いのでは?

 

 

 

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大阪の陣の小説といえばこれが定番ですよね。
豊臣方の首脳陣の行動に何度歯噛みすることか・・。

*1:史実では正午ごろ大阪方先鋒の毛利勝永の手のものが関東方の先鋒本多忠朝の軍に撃ちかけてはじまり、その後、16時頃には大阪城は炎上したという件から、ゲームにおけるターン数から算出

*2:真田信之の子なので幸村(信繁)の甥になる。冬の陣では大阪方に負け敗走した

*3:本多忠勝の子。冬の陣の際には酒を飲んでいたことで不覚をとり敗走したことから、夏の陣では先鋒として奮戦するが討死。関東方先鋒敗走のきっかけとなる。

*4:浅野長政の子。夏の陣では敗走

*5:元は出羽秋田の出身。夏の陣では大阪方先鋒に大損害を出し敗走する。陣の15年後、幕府より伊勢での蟄居を命じられる。理由は伝わっていない。その後30年を伊勢ですごしたという。

*6:結城秀康の子。大坂の陣の少し前に家中で御家騒動を起こす。冬の陣では真田丸の戦いで損害を受ける。夏の陣では真田隊を抜くとそのまま大阪城に直進した。後に気を病み乱行が目立ったため隠居させられる。その後、豊後にて27年間を蟄居

*7:

真田幸村の謀略

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