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「BOOTS&SADDLES」(GDW)を対戦する(1/2)ー まずは練習シナリオをやってみたー

T-72T-64といった旧世代兵器がニュースの中に登場したり、榴弾砲がゲームチェンジャーになり得るいった話が普通にニュースに流れる今日このごろですが、かつて起こり得たかもしれない第三次世界大戦におけるアメリカ対ソ連の地上戦を戦術級で扱った「ASSAULT」シリーズの、第二弾、「BOOTS&SADDLES」を対戦した。T-80と並んでT-72T-64も登場するので、ウクライナ戦も十分再現可能じゃないか?*1

 

 

第1作では戦車・装甲車・歩兵・火器といった地上兵器だけが扱われていたが、本作では各種ヘリコプターとそれらに対抗するための地上の対空兵器が追加されている。本作単体で遊ぶこともできるが、可能であれば第1作目と連結してプレイするとシナリオのバリエーションも増えて良いと思う。

 

練習シナリオCをやってみた

ゲームシステムについて段階的に習得してもらおうということで、練習シナリオが3本付属している。

本作から追加されたヘリコプターの使い勝手、例えば、一連のゲームの手順の中での使い方や戦闘結果の感触などを得るために段階的に適用ルールを拡張していく「練習シナリオ」をプレイしてみた。練習シナリオC、ヘリコプターが登場するものだ。

 

希望によりMさんがソ連軍、当方はアメリカ軍を担当した。

  攻撃ヘリ、輸送ヘリ部隊を擁したソ連軍の戦車・歩兵・砲兵の諸兵科連合部隊だ。ちょうどウクライナでも有名になった大隊戦術群に近いかもしれない(今の大隊戦術群の起源はアフガニスタン侵攻時のソ連と言われているので、時代的には近い)。

迎え撃つのは、アメリカ軍の機甲騎兵大隊という編成のグループ。M1エイブラムス 2個小隊(1個小隊は車両4両)、M3騎兵戦車2個小隊、搭乗の歩兵2個小隊付き、M106迫撃砲搭載装甲車(M113の改造タイプ)。こちらもいわゆる機甲歩兵砲兵の諸陛下連合編成、さらにヘリコプター AH-1 2個小隊、OH-58 3個小隊、が随伴するというもの。
数としてはソ連軍の半分以下のようだが、その分、兵器性能が良いということだろう。

 

練習シナリオの特別ルールとしてすべてのユニットは「視認」された状態ではじまるとされる。「ASSAULT」シリーズのシナリオはいずれも、相手方の戦力がわからない。盤上に登場した際も隠蔽状態でユニットが裏返された状態で登場すること。攻撃を行うためには、相手を「視認」しなければならないという基本原則がある。
このルールにより、通常の多くの戦術級ゲームに比べて、偵察ユニットの重要度が高くなるというところなのだが、練習シナリオにおいてはこれをオミットするということだ。

勝利条件は相手を全滅させること。なかなかに過激なシナリオだ。

 

装備の選択

アメリカ軍のヘリコプターについては、機体下部や左右にとりつけたパイロンに搭載する兵器を決めておく必要がある。
ここでは、対戦車ミサイルを搭載するべきなのか、空対空ミサイルを搭載するべきなのかというところで迷ってしまった。
何分にもこのシナリオのアメリカ軍には有力な対空兵装がないのだ。歩兵ユニットの一部(中隊に1個小隊の割合)が保有しているスティンガー携帯対空ミサイルくらいだ。

登場することが必至なソ連軍の攻撃ヘリMi-24を押し留めるには何をすればよいのか?

 

よくあることだが、中途半端な決断をすることになる。

AH-1のうち1個小隊、OH-58 2個小隊は対空ミサイルを搭載させ、残り(AH-1 1個小隊、OH-58 1個小隊)には、対戦車ミサイルやロケット砲などの対地攻撃用の武装をさせた。
やっかいなのはこの空対空ミサイル、パイロンひとつを専有し、しかも再装填はできないので、これを装備すると使用するとそれでそのパイロンはそれ以上役にたたなくなる。パイロンを複数保有しているAH-1はともかく、パイロンを1個しか装備していないOH-58にとってはミサイル1発撃った後はやることがなくなってしまう。*2ミサイル射出後の、パブリク突撃艇状態になってしまうのだ。

 

練習シナリオであるためマップは1枚のみ。
マップ奥側から続く2本の一級道路(赤い線)を通り、ソ連軍の梯団が姿を現す。
アメリカ軍(緑色)はマップ手前にある丘陵地帯にM1 2個小隊を展開、支援するようにスティンガー装備の歩兵を配置。M3はTOW対戦車ミサイルしか頼りにならず、弾数制約があることを考えると、気休め程度。

アスタリスク(*)印のマーカーが載っているのは、M-1 1個小隊。稜線上から2キロ先の道路を疾走してくるソ連軍のBMPを射撃、瞬く間に1個半小隊(6両)を屠るも、距離が近かったため、BMPから対戦車ミサイル(サガ-)を撃ち込まれ*3、4両中1両を失った。

 

  ソ連側の主力へりMi24ハインドが中央の稜線あたりから中央にかけて前進してくるので、右翼から回り込ませるように空対空ミサイルを搭載した、OH58 2個小隊とAH1 1個小隊を前進する。

ソ連軍のヘリの前進速度が遅いと思ったら、ソ連製ヘリは「戦闘隊形」では極端に移動力が落ちるようなスペックだった。*4
アメリカ群のOH58なんか、偵察ヘリという身上から身軽なので、「移動隊形」と「戦闘隊形」では同じように移動できるのに対し、ハインドなどのソ連製ヘリは「戦闘隊形」では移動力が1/4に減少するため、ほとんど地上の車両と同じ様な速度でしか移動できなくなる。

 

ソ連軍の進撃速度が遅いので、こちらからチョッカイをかける。
空対空ミサイルを搭載したOH58とAH1を前進させ、密集するハインドの編隊にミサイル1発を発射した。

赤外線誘導ミサイルは、ハインドの断熱性能が高くない排気口めがけて飛ぶが外れる(命中率60%であった)。これでミサイルを発射したOH58は装備を使い果たしたことになる・・・*5。AH1からも空対空ミサイルを射撃しようと接近したが、一旦見送り。よく見ると、ハインドは対地攻撃用の武装はできても、対空用の武装は装備できないようだ。

そうこうするうちに、BMP1.5個ユニットを除去するものの、M1にも損害がでたところで(上記写真の説明書き参照)シナリオは中止とした。

やっぱり「視認」ルールがあってこその「ASSAULT」シリーズだと再認識したのだ。

(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

*1:さすがに155ミリクラスの大型野砲は盤外射撃という形での登場となる。

*2:本来、OH-58は偵察ヘリの役割も担っているため、そのまま偵察任務に就くということは考えられるが、今回のシナリオの場合、全ての敵ユニットは「視認」済状態であるため、わざわざ偵察ヘリを飛ばす必要性はほぼない。

*3:本作では射撃解決は同時になる。通常は射撃の前に「視認」チェックがあるため完全に同時解決にならないことが多いのだが、今回はお互い「視認」状態であったため、アメリカ軍側も損害でてしまった。

*4:ユニットの3番目の数値が移動力だが、移動力数値の右肩にある小さな数値が操縦値となる。ヘリは「移動隊形」の場合は移動力そのままを使って移動するが、「戦闘隊形」では1ヘックス進む毎に操縦値分の移動力を要する。ハインドの操縦値は「4」なので、「戦闘隊形」のハインドは1ヘックスあたり4移動力が必要となり、1つの移動フェイズに5ヘックス分しか移動できなくなる。
もっともヘリはひとつのターンの間に、移動を実施できるのが都合3回あるため通すとかなり移動できる点は変わりない。

*5:書いていて気づいたが1個小隊分あったため、命中判定はもう1回できたはず・・