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「BOOTS&SADDLES」(GDW)を対戦する(2/2)-シナリオ1「威力偵察」-

現代戦を戦術級クラスで扱った「ASSAULT」シリーズの第2作目「BOOTS & SADDLES」(GDW)を対戦した。練習シナリオでゲームシステムを復習しつつ、ヘリコプターの扱いを体感できたところで、通常シナリオに挑戦してみることにした。

 

 

 

 

シナリオ設定が秀逸

選んだシナリオはシナリオ1「威力偵察」。

「BOOTS & SADDLES」にはシナリオは3種類しか付属していないのだが、各シナリオでの両軍の兵力パターンはそれぞれ6種類設定されている。プレイヤーは開始前に7から12まで書かれたチットを引いてシナリオに登場する戦力を決める。

勝利条件やターンの長さなどシチュエーションは同一だが、シナリオ毎に両軍の兵力はそれぞれ6パターン用意されているので、彼我の戦力の組み合わせとしては36パターンということになる。しかも、(ここが重要)相手がどのチットをひいたのかはゲームが終了するまで明かされない。

相手側がどのような戦力なのかわからないままゲームは始まり、シナリオ開始後、敵情不明の敵戦力と衝突することになるのだ。

第1作「ASSAULT」にも同じシナリオ名称のシナリオ3種類が付属しており、こちらもまた各シナリオ毎に両軍とも6パターンの戦力が設定されている。
「ASSAULT」と本作は連結することができ、ひとつのシナリオについて、「ASSAULT」での兵力が基幹となるパターン1~6、本作の兵力が基幹となるパターン7~12の合計12種類の戦力からチットを引いて決めることも可能となっている。

融合するとその組み合わせはひとつのシナリオ毎に実に144パターンとなる!

今回は「ASSAULT」と本作をあわせた12パターンではなく、本作のパターン7~12のほうから選ぶことになった。

 

兵力を決める

シナリオは前回と同様にシナリオ1「威力偵察」を選択。

ソ連軍の諸兵科連合部隊がアメリカ軍の前線に接触し、突破をはかるというものだ。勝利条件は敵ユニットの除去によるポイントと、突破(マップ反対側からの脱出)の成否によるボーナスポイントによって決まる。全18ターン(実時間にして1時間30分)。

 

運命のチット引きの結果は「12」。
陸上兵力は練習シナリオCと同様に、機甲騎兵大隊編成。M1 2.5個小隊、M3 2個小隊、歩兵2個小隊、M106(迫撃砲装備)1個小隊というもの。特異なのは、シナリオ後半、大量のヘリボーン部隊が登場することだ。UH-60 通称”ブラックホーク”が11個小隊、歩兵4個小隊に対戦車ミサイルTOW装備の対戦車ミサイル 4個小隊が、第8ターンから11ターンにかけて断続的に登場する。
ソ連軍攻撃開始という連絡を受けた緊急展開部隊がヘリで登場したといったシチュエーションだろうか。

 

はたと困った。

ソ連軍の戦車を止めることができる装備が、M-1 2.5個小隊(0.5は中隊本部)しかないのだ。M-3の主砲は対戦車戦闘ではほぼ役にたたない。頼れるのは弾数制限があるTOWミサイルのみ。
練習シナリオでは攻撃ヘリが少しばかり登場したのでヘリによる対戦車戦力を期待できたが、それもない。TOWミサイル小隊が後半に登場するが、機動力がない歩兵であるため待ち伏せ攻撃が主体となるしかない・・。
途中で登場するヘリは全て輸送ヘリUH-60で、武装ベトナム戦争映画でよく描かれる機体横のデッキに備えられた機関銃しかなく、対歩兵戦闘にさえ十分には使えないくらいの戦力だ。

さらに深刻なのが対空兵装だ。一部の歩兵が装備するスティンガー対空ミサイルだけである。後続の歩兵小隊が装備している分を加えても、スティンガー装備の歩兵は3個小隊にすぎない・・。うち初期配置ユニットの中ではユニット1個だけである。
ソ連軍に戦闘ヘリがあった場合はほぼ対抗できないのではないか・・?

 

戦力は薄い。本来ならば、前線部隊の後退を含めた二重三重の防衛戦を設定したいところであるが、戦線を一重に引くのが精一杯という戦力にすぎない。
無理に前進防御は行わずに、塹壕(初期配置で3個)*1と、移動フェイズの間、移動を行わなかったユニットが得ることができる「遮蔽物(Cover)」下にはいることによって「視認」確率を下げるしかないだろう。

 

侵攻開始

ソ連軍はマップ左端から右端に突破をはかる。幹線道路沿った予想侵攻ルートが緑色の矢印で表した。実際は丘陵地にはいったところで道路を外れ、点線矢印を進んだ。

赤印はアメリカ軍の配備(水色はダミー)。初期配置位置からほぼ動かないままとする。
アメリカ軍は、前線のM-1ユニット2個小隊が主力。M-1の近くに歩兵を配置しているのは、戦車から視認するよりも、歩兵からのほうが視認の成功率が高いためだ。

 

ソ連軍の前衛が登場。ヘリコプターも陸上ユニットも隠蔽状態では同じような矢印マークなので、区別がつかない。ソ連軍が進む丘陵地は開けているに見えるが、細かく見ると林があったり建物があったりでアメリカ軍前線からは見えていない。

 

ソ連軍は陸続と後続が盤上に姿を表している。写真の盤面上側(アメリカ軍右翼)正面に装甲車を「視認」。すぐさまM-1が射撃を行い、全滅させた。
続けて、左翼側(画面下側)の正面でもソ連軍装甲車が「視認」されたため、同様にM-1により撃破した。
それ以降、ソ連軍は慎重になり、本隊はなかなか姿を現さない・・。ヘリコプターの突出はない・・。

 

増援のソ連軍ユニットが前線にとどまったまま、その後、突出することもなく慎重に場所取りをしている。一部、「視認」をし合う場面もあったが上手く視認できないまま進行した。

アメリカ軍にもUH-60が多数飛来し、前線各所に歩兵とTOWミサイル小隊をばらまき配置した。

UH-60 1個小隊を突出させ、アメリカ軍右翼前方の市街地に歩兵を降下させたが、その直後、丘陵地にいたソ連軍の対空自走砲ZSU-30により攻撃を受け、UH-60は撃破された。

2008 Moscow Victory Day Parade - 9K22 Tunguska.jpg

ゲーム中ではZSU-30として登場するが、現在は「2K22ツングースカ」と呼ばれている模様。ゲーム内の兵器紹介でも、ZSU-23シルカの後継して紹介されているため、同一と思われる。ゲームでの兵装は小口径徹甲弾(砲塔横の30ミリ砲)はあるものの、地対空ミサイル搭載という整理にはなっていない。ゲームがデザインされた当時は正確な兵装は不明だったのだろう。

 

最終盤(第14ターンあたり)。
ソ連軍の先頭は丘陵地の林の中から出てこないまま。アメリカ軍はUH-60と歩兵の到着によりようやく2重の戦線を張ることができたくらい。歩兵を下ろした後のUH-60は何に使おう・・といったところ。

 

結局のところ、ソ連軍が大量のユニットを前線までもってきたものの、それ以上、進出ができないまま、時間切れゲーム終了となった。
アメリカ軍の丘陵地に配置されたユニットはダミーだったので、ソ連軍はダミーを恐れて慎重に位置取りをしてしまったらしい。

ゲーム中の両軍の損害は、ソ連軍がBRDM装甲車 2個ユニット、アメリカ軍がUH-60 1個ユニットとなった。ソ連軍の突破を阻止したことによるボーナスがはいるため、勝利ポイントはアメリカ軍有利というところ。

後で聞いたところによると、前回対戦時に、M-1 1個小隊によって、1個大隊規模のM-80などの主力戦車が全滅したことから過度に慎重になったらしい。

なおソ連軍にはヘリコプターはひとつも配属にならなかった模様だ。
結局のところ、ヘリコプターを想定してプレイしたものの、両軍とも攻撃を行うヘリは装備されなかったということになる。

 

感想戦

敵情不明、敵戦力不明という状態で開始されるゲームはやはり良かった。今回は両軍とも戦力として、”スカ”をひいてしまったようでなんとも冴えない展開で終始してしまった。

答え合わせにはなるが、後でソ連軍の戦闘序列を見ると、序盤で軽装の装甲車が登場し、砲兵の観測班が進出。その後、本隊として歩兵を搭乗させたBMPが多数(まさに多数!)登場するという内容であった。戦車についてはBMPの登場と同時、または少し早く先駆けとして、T-72T-64が4.5個小隊登場していたようだ。
確かに主力戦車がこの規模の場合、M-1複数小隊を相手にするのは決断がいるだろう。おそらくT-72T-64全てを損耗して、M-1 1個小隊と刺し違えるといったくらいの覚悟が必要な戦力比のイメージだ。

 

攻撃ヘリコプターの登場は、攻撃側・防御側とも打ち手のバリエーションが増えるという意味で有効であったように思う。そのゲーム中での描き方は若干違和感はないではなかったが、地上戦主体ということで良いかとも思う。

今回やや不完全燃焼気味(特にヘリ関係が登場しなかった)だったので、次回はゲーム内での最大規模の戦力が、両軍とも登場するシナリオ2「遭遇戦」をすることとした。

(終わり)

 

*1:ASSAULTシリーズではプレイ途中での塹壕掘りなどはできない。歩兵は掩蔽できるが車両はできない。ただしシリーズ3作目で工兵部隊ユニットが登場すると車両の掩蔽もできるようになるとか・・。なおシリーズ第3作は日本語化されなかった