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「STALINGRAD -VERDUN ON THE VOLGA-」(LAST STAND GAMES)をVASSAL対戦する(2)

「Stalingrad -Verdun on the Volga-」をVASSAL対戦しました。

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前回記事はこちら

yuishika.hatenablog.com

 

第2ターン

ターンが変わると「昼間」インパルスが始まります。第1ターンの「夜」インパルスの間に戦力を補充したドイツ軍が攻勢を再開するのは必至です。

ソ連軍は、各エリアの防御力を計算して、ドイツ軍が投入しえる師団の戦力を計り、必要に応じスタックを積み上げます。十分な数、まして十分な戦力のユニットがある訳ではないためメリハリをつけた配置が必要となります。

 

第1インパルスー労働者部隊の英雄的な活躍によりドイツ軍装甲部隊が押しどめられた話

f:id:yuishika:20210507181142j:plain ドイツ軍は最初の攻撃として、マップ西端外にいた第14装甲軍団直属の精鋭戦闘団(カンペグルッペ)を投入し、北部地区の市街地に向かう森林エリアを攻撃します。
そこはソ連軍の部隊配置換えの間隙で生じていたウィークポイントで、配置されていたのはスターリングラードの工場労働者から編成された労働者部隊ユニット(1-2)1個のみです。
ソ連軍は第2ターンにあたって、ドイツ軍の攻撃は第1ターンに引き続き中央地区を起点に行うと予想し、北部地区については南側のドイツ軍師団に面したエリアを中心に部隊配置を行っていたことから、この西側からの横合いのエリアの防備は後回しにしていたのでした。
ここを突破された場合、そのまま河川を超え、北部地区市街地にそのまま突入されることになり、またソ連軍全体の防衛ラインの後退・再配置が引き起こされることになるポイントでした。
攻撃側のドイツ軍は増援として到着したばかりの最強カンペグルッペユニット(7-6)を含む精鋭スタック。戦力差からソ連軍の敗北、さらには損害の吸収ができずにオーバーランが引き起こされるのは必至!

ここで奇跡が2回起きます。
工場労働者から組織された貧弱な装備しかもたない労働者部隊ユニットは、ドイツ軍の強力なスツーカの直協支援を最低の「1」でしのいだ上、続いて進撃してきた装甲部隊の攻撃をわずか1ステップロスの損害で押し留めたのでした。ドイツ軍側はこのゲームの攻撃側の常として”先導ユニット”がステップロスとなりますので、労働者部隊は自らの1ステップロスと引き換えにドイツ軍装甲部隊ユニットのステップロスを勝ち取ったのです。さらに、労働者ユニットは全滅していないため、ドイツ軍のオーバーランは発生しません。ドイツ軍装甲部隊は足止めを食ったことなります。
ソ連軍は戦線の整理の部隊移動を行う時間猶予を得られ、さらにはこの労働者部隊はもう1回ドイツ軍に対し戦闘を強要させることになるのです(さらに言うと、労働者ユニットは全滅しても次のターンには補充ポイントの消費無しに復活できます)。

おそらく彼らはこの森から帰ってくることはないでしょうが、スターリンジューコフでなくともこの”英雄”達の活躍を絶賛してやみません。

f:id:yuishika:20210507175821j:plain 今回はダイスの目によりドイツ軍の突破は押し止められたのですが、市街地エリアでは、ソ連軍は「英雄」の宣言をすることにより、ドイツ軍のオーバーランの発生を留めることができます。ルールブックによると、ソ連兵がスターリングラード戦の中で度々起こした”ヘラクラス的な活躍”、を表現したルールなのだそうです。「英雄」の宣言は1ターンに1回実施でき、ソ連軍の防衛線を考慮する上でなくてはならない要素になっています。

ちなみに今回のゲームでは「英雄」ルールが発動される機会はありませんでした。

 

第2ターンの初動においてドイツ軍の攻撃は第1ターンの流れから中央部を突破した第24装甲師団を中心に展開されるであろうと予想していました。このため北部地区の備えは中央部からの攻撃に備えた防衛線(上記の赤線)を集中的に強化しており、実際のドイツ軍の攻撃のような横合いからの攻撃はほぼない、と(理由はあったのですが)判断していたのでした。

結果として横合いからの攻撃に対する備えは後回しになり、丘陵地に配置されていたのは労働者ユニットだけだったという訳です。*1

 

第1インパルスでのドイツ軍のもうひとつの攻撃は最北端のゾーンから、行われます。
こちらの攻撃も予想外でした(またもやドイツ軍の攻撃の兆候を見逃した情報将校は厳罰ものです)。
第16装甲師団の装甲部隊は作戦予備として、また装甲部隊の補充のため、後置しつづけるのではないかと想定していたのですが、躊躇なく攻撃参加させてきました。

あっさりと守備の歩兵連隊を消滅させたドイツ軍はそのままオーバーランをするかと思ったのですが、下手に前進して補給線を脅かされるのを嫌ったのか、また一部部隊だけを前進させることによる部隊の分散を避けたのか、攻撃を行ったエリアで停止します。

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第2ターン第1インパルス
ドイツ軍は西側(マップ上方)から第14装甲軍団直属の複数戦闘団を労働者ユニット1個で守備していた森林エリアに進入させた。市街地側のソ連軍は、南側(マップ左手)からの、例えば第295・389歩兵師団などからの攻撃に備え、部隊配置を行っていたため(わかりづらいですが黄緑色の点線)、実際に攻撃が行われた部分は手薄になっていた。
ドイツ軍はマップ右手(北側)から第16装甲師団の複数装甲連隊を進入させた。

 

第2~6インパルス

f:id:yuishika:20210507180642j:plain 北からは独立系の戦闘団、北方からは第16装甲師団に迫られ、じりじりと地歩を失い、ユニットを減らしているソ連軍は守備エリアを減らさないと戦線を維持できなくなってきます。
ソ連軍のジリ貧状況に止めを刺したのは第389歩兵師団によるオーバーランと絡めた進撃で、これによりソ連軍はここまで固守していた、勝利ポイントエリアを含んだいくつかのエリアからの大幅な撤収を行わざる得なくなります。

ソ連軍が守備エリアを縮小してエリア単位の部隊密度を高めるのにあわせ、ドイツ軍は攻撃力を強化するため南部地区に配置していた第29歩兵師団を中央地区に転進させてきます。

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第2~6インパルス
ドイツ軍第389歩兵師団が北部地区の市街地中心部のエリア(ただしこのエリアは市街地ではない)に侵攻したことにより、ソ連軍は河畔側のエリアにも部隊を配置せなばならなくなり玉突きで各所の前線エリアを放棄し後退させた。、
続いてドイツ軍は南部地区でソ連軍を包囲状態においていた第29歩兵師団を中央地区に移動させた。

第7インパルス ードイツ軍の新鋭部隊はママエフクルガンへ攻撃を行う-

f:id:yuishika:20210316230323p:plainドイツ軍は、カンペグルッペ(7-6)を先頭にした第295歩兵師団により、ママエフクルガンを攻撃します。ママエフクルガンのゲーム内での地位はここまでの記事でも度々登場してきたように、ソ連軍の増援がボルガ河を渡河してくる際の、「渡河チェック」に影響を与える点があります。ママエフクルガンをドイツ軍が占拠した際の修正地は+2となり、「渡河チェック」の成功値は落ちるのです。
ただし勝利ポイントエリアではないため、ソ連軍の渡河に邪魔立てする必要性がないのであれば、通過点のひとつでしかないエリアでもあります。

 

この市街を一望できる丘陵地を守るソ連軍は1個戦車連隊に1個歩兵連隊の2個連隊。勝利ポイントエリアではないため、最優先の守備エリアとは言えない陣容です。

ドイツ軍はスツーカの出撃、師団砲兵による支援砲撃を投入。ソ連軍もここは勝負どころと、軍団砲兵による支援砲撃を投入します。

ドイツ軍による攻撃は、スツーカによる直協支援が振るいません。その後のダイスもやや悪く、ソ連軍に思う様な損害を与えられません。結果によっては全滅もありえたソ連軍は戦車連隊がステップロスと一時後退という損害にとどまり、全滅を免れます。損害を戦車連隊側で引き受けたため、歩兵連隊は無傷のままとなりますが、戦車連隊の後退にあわせ、自主的退却によりいったんはママエフクルガンから撤退します。

ここでドイツ軍の兵站チェックの結果は、「昼」インパルスの終了を告げ、「夜」インパルスが到来することになります。

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第7インパルス
第295歩兵師団はカンペグルッペ(7-6)とともにママエフクルガンに進出し、同地のソ連軍部隊を撃退します。

 

第8インパルス[夜間] -ソ連軍はママエフクルガンへ逆襲する-

f:id:yuishika:20210507180237j:plain「夜」インパルスが始まります。

ママエフクルガンに隣接したエリアにもともと守備についていた第13親衛狙撃兵師団の連隊を含むソ連軍は、前のインパルスでママエフクルガンから自主的退却していた歩兵連隊を加えフルスタックとし、夜陰にまぎれママエフクルガンの丘を登りはじめます。

対するドイツ軍は、前の戦闘でステップロス状態となっていたカンペグルッペ(4-6)と歩兵3個連隊からなるフルスタック。
ソ連軍は第13親衛狙撃兵師団の部隊が参加した夜間戦闘でかつ、市街地エリアか森林エリアにおいてのみ認められる「ストームグループ」を宣言します。

「昼」インパルス中のドイツ軍にスツーカによる「航空支援」があるのと対称的に、「夜」インパルス中のソ連軍には「ストームグループ」の使用が認められています。実施条件は、「夜」インパルス、市街地エリアまたは森林エリアにおける戦闘時、かつ第1~3ターンの期間中は第13親衛狙撃兵師団のユニット(全部で3ユニットある)が参加した攻撃であること、です。

戦闘に与える影響は、戦闘結果をもとめるダイスに先立って、1D6による数値を攻撃側(ソ連軍)の戦闘値に追加させることが可能なことになります。

もともと「夜」インパルス中のソ連軍の攻撃には一律「+1」の夜間戦闘におけるそf連兵の優位性という追加修正がつくのとあわせ、発動条件こそ厳しいものの、「ストームグループ」の発動は強力な切り札となるのです。

 結果は「ストームグループ」が猛威を振るい、ドイツ軍は3個歩兵連隊を失い、カンペグルッペユニットは隣接エリアに撤退します。あと一息でカンペグルッペユニットの除去まで行けたのですが、良しとしましょう。
実はこれが今回はじめてソ連軍がドイツ軍に与えた損害となったのでした。

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第8インパルス
直前のインパルスにドイツ軍に奪われたママエフクルガンに対し、第13親衛狙撃兵師団の一連隊を含むソ連フルスタックは隣接エリアから逆襲、ドイツ軍スタックを壊滅状態にさせ退けた。

 

第9インパルス[夜間]-ソ連軍は「夜」インパルスの延長を宣言する-

全滅こそ逃れたものの1個師団に近い兵力が失われたことからドイツ軍は、先の第29歩兵師団の南部地区からの転用に加え、同じ南部地区にあった第94歩兵師団も中央部へ転進させます。

ドイツ軍の右翼(南部地区)にあった2個歩兵師団がごっそりと中央地区に展開されてきたのです。半包囲状態にあった南部地区のソ連軍は包囲を解かれ、ドイツ軍がいなくなったエリアに進出、展開します。

その裏、兵站チェックにおいて「夜」インパルスの終了のダイスの目が出たのですが、ソ連軍は「アドバンテージ」を使い、「夜」インパルスの延長を宣言します。

 

第10インパルス[夜間]~  -そしてストームグループが再度猛威を振るう-

f:id:yuishika:20210507180408j:plain 漫然と「夜」の終わりを受け入れることも可能だったのですが、「昼」インパルスになるとふたたびドイツ軍が攻勢を再開するのは必至です。
ゲームの流れも自然にドイツ軍側になびいていくでしょう。そうなる前にソ連軍はドイツ軍に対して、ダメ押しの攻撃を仕掛けることを画策したのでした。

ダメ押しの目標は、さきほどママエフクルガンから撤退したステップロス状態のカンペグルッペユニット。ちょうどよく森林エリアに存在しています。

ソ連軍はママエフクルガン攻撃に参加したスタックを用いることとし、先頭になる第13親衛狙撃兵師団の一連隊のユニットを、「戦力の譲渡」アクションを用いて回復させ、さらに次の第11インパルスにおいて、ドイツ軍の最強カンペグルッペユニットがいる森林エリアに攻撃をかけ、さらには「ストームグループ」を宣言します。

結果、独軍ユニットは粉砕され、オーバーランが発生しました。

 

ここでドイツ軍から、最大衝力をもったユニットが失われた事を理由に投了が宣せられました(7-6というユニットはドイツ軍に2個しかなく、そのうち1個が失われた)。

 

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第9~10インパルス[夜間]
ドイツ軍は南部地区から第29歩兵師団に続き、第94歩兵師団も引き抜き、中央地区へ転進させた。南部地区のソ連軍部隊は包囲から解かれ、ドイツ軍が去ったエリアに進出した。
ママエフクルガンのソ連軍は「戦力の譲渡」を用い先導ユニットを補充すると隣接エリアに残っていたドイツ軍のカンペグルッペ(4-6)を襲い除去に成功する。

 

感想戦

このタイミングでドイツ軍が投了するのは早いように感じました。

第3ターンになると「昼」インパルスが始まります。「昼」インパルスではスツーカの利用や師団砲兵が再び活動できるようになるため、ドイツ軍が再び盛り返してくることは必至なのです。

この点について、戦後、いくつか感想メールのやり取りの一部を記載します。

 

ドイツ軍の立場からの意見

  1. ドイツ軍が進撃し続け、ソ連軍の守備エリアが狭まっていくにつれて、ソ連軍のユニット密度が上がっていった後の時点のことを見据えていく必要があった。
  2. (第2ターンの攻勢の主力となった)独立系ユニットから構成されたスタックは、同一師団効果と砲兵支援による攻撃時のダイス修正が使えないため、個々のユニットは戦力が大きく見えても、スタックとしての衝力には額面の戦闘力ほどはなく、途中から攻勢に限界が来ていた。最初から同一師団効果と砲兵支援が使えるような進軍を考えておくか、ソ連軍の第2ターン増援フェイズが終わった時点で、ドイツ軍は南部地区の師団戦力を北方に転用する(スイングする)ことが必要だったのではないか。こうした戦力転用が十分にできず、南部地区において強力な師団をあらた塩漬けにしてしまった。

 

ソ連軍の密度があがってきてスタック毎の防御力が高まった際に、ドイツ軍がどう戦っていくかという問題は第2戦のときにもでてきていた課題です。
両軍とも積み上がるところまでつみあがった後は、運頼みで、ダイスの出目が悪かったときには「アドバンテージ」を発動させて強制的に「引き分け」に持ち込むという・・ことかなというのが第2戦のときの感想でした。

そうしたゲームシステムに寄っかかった、イチかバチかのギャンブル的な攻撃を行うことが”ゲームとして美しいか”という意見もあるかと思います。
一方で伸るか反るかでひとつひとつのエリアを血みどろになって両軍が取り合うのはそれはそれでスターリングラード的ではないかという気もしないではないです。

もっとも、第2戦の際のソ連軍に起こったのは、スタックが積み上がってしまい包囲された状態では増援すら受領できなくなるという事態であったりしたので、どこかが破綻が生じる可能性は高いのではないかと考えます。つまりはソ連軍がフルスタック状態で籠もったとしても、どこかで破綻を来す可能性は十分にあるため、臆せず突撃あるのみではないか・・と。

 

ドイツ軍の事情ばかり書いていますが、ソ連軍もまた異なった事情で苦しいです。
ここまでずっとソ連軍はユニットを除去され続けています。
今回はたまたま局地的な逆襲が成功しましたが、ドイツ軍がソ連軍のスタックを除去するのが難しくなっている以上に、ソ連軍がドイツ軍スタックを除去するのは難しいです。ドイツ軍以上に、ダイスの目頼りのイチかバチかの勝負に出る他ありません。
ソ連軍の正しい戦い方は、攻撃を受け続けることで攻撃を行うドイツ軍に出血を強いながら、ふんばるということでしかないのでしょう。

いずれにせよ両軍とも最後までキリキリと気を許すことができない良ゲームだと思います。オススメです。 

 

VASSAL対戦(メール対戦)について

戦闘が発生する毎に相手側にも砲兵支援の実施意思の確認、戦闘後の損害処理の確認などもあり頻繁にログファイルのやりとりが発生しました。ただその間もじっくりと考えることができる時間が確保される点は非常に印象深かったです。

ゲームへの理解も深まるし、相手のとり得る作戦の検証などじっくりと可能だった点がよかったですね。

また良いゲームを選んで試してみたいものです。

 

(了)

 

第1戦、第2戦時の記事は次のとおりです。

 

 

*1:現実世界を想像するとこうした司令部における部隊配置のミスは、現場のまさに身を挺した献身的な働きで帳消しにされ、誰も責任を問われないのだろうなぁ・・とか思ってしまいます。